(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123674
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】水素ガス燃焼装置、及び水素ガス燃焼システム
(51)【国際特許分類】
F23D 14/22 20060101AFI20220817BHJP
F23L 7/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
F23D14/22 E
F23C99/00 310
F23D14/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021126
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】520356021
【氏名又は名称】川島 弘江
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】特許業務法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 弘江
【テーマコード(参考)】
3K019
3K065
【Fターム(参考)】
3K019AA06
3K019BA02
3K019BA05
3K019BB04
3K019CA03
3K019CB01
3K019CC02
3K065TA01
3K065TB13
3K065TD01
3K065TD05
3K065TE06
3K065TN01
3K065TN16
3K065TP08
(57)【要約】
【課題】
本発明は、水素を燃料とする水素ガス燃焼装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
酸素を供給する酸素供給管と、水素を供給する水素供給管と、水素と酸素に着火する着火装置とを備え、酸素供給管及び水素供給管が、外部にて酸素及び水素を混合可能に噴射し、着火装置が、混合された酸素と水素に着火する、水素ガス燃焼装置に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を供給する酸素供給管と、
水素を供給する水素供給管と、
水素と酸素に着火する着火装置と
を備え、
酸素供給管及び水素供給管が、外部にて酸素及び水素を混合可能に噴射し、
着火装置が、混合された酸素と水素に着火する、水素ガス燃焼装置。
【請求項2】
複数の水素供給管が、酸素供給管と平行に、且つ、酸素供給管の酸素の噴射方向を中心軸とした同心円状に設置され、
水素供給管から噴射される水素の噴射方向が、前記中心軸へ向くよう、水素供給管の先端の向きが傾斜している、請求項1に記載の水素ガス燃焼装置。
【請求項3】
酸素供給管及び水素供給管が、
タングステン、タングステン合金、モリブデンまたはモリブデン合金を含む、請求項1または2に記載の水素ガス燃焼装置。
【請求項4】
酸素供給管に供給する酸素の流量を制御する酸素流量制御手段と、
水素供給管に供給する水素の流量を制御する水素流量制御手段と
を備える、請求項1~3のいずれかに記載の水素ガス燃焼装置。
【請求項5】
水素供給管に供給する水素の流量を制御する水素流量制御手段と、
酸素と水素の燃焼温度を計測する温度センサと
を備え、
水素流量制御手段が、計測した燃焼温度に基づいて、水素供給管に供給する水素の流量を制御する、請求項1~4のいずれかに記載の水素ガス燃焼装置。
【請求項6】
酸素供給管に供給する酸素の流量を制御する酸素流量制御手段を備え、
酸素流量制御手段が、酸素供給管に供給する酸素の供給を停止することで、水素の燃焼を停止する、請求項1~5のいずれかに記載の水素ガス燃焼装置。
【請求項7】
酸素を供給する酸素供給管と、水素を供給する水素供給管と、水素と酸素に着火する着火装置とを備えた複数の水素ガス燃焼装置と、
前記複数の水素ガス燃焼装置の酸素の流量及び水素の流量を制御するための水素ガスバーナー制御装置と
を備え、
水素ガスバーナー制御装置が、
複数の水素ガス燃焼装置それぞれの酸素供給管に供給する酸素の流量を制御する酸素流量制御手段と、
複数の水素ガス燃焼装置それぞれの水素供給管に供給する水素の流量を制御する水素流量制御手段と
を備える、水素ガス燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を燃料とする水素ガス燃焼装置、及び水素ガス燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への配慮から、燃料電池やエンジンへの利用など、水素をクリーンエネルギーとして活用する方法に注目が集まっており、ガスバーナーの燃料として水素を用いることも検討されている。例えば、特許文献1には、窒素酸化物の発生を抑えることが可能な、水素ガスバーナー用のノズルが開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1のノズルを用いた水素ガスバーナーにおいては、ノズル内に空気を供給することで、水素を燃焼させるための酸素を賄っているため、燃焼時に窒素が混ざって窒素酸化物が生成される場合がある。また、水素の燃焼を高温で維持すると、ノズルの内壁が融解してしまうという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、水素を燃料とする水素ガス燃焼装置、及び水素ガス燃焼システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の
[1]酸素を供給する酸素供給管と、水素を供給する水素供給管と、水素と酸素に着火する着火装置とを備え、酸素供給管及び水素供給管が、外部にて酸素及び水素を混合可能に噴射し、着火装置が、混合された酸素と水素に着火する、水素ガス燃焼装置;
[2]複数の水素供給管が、酸素供給管と平行に、且つ、酸素供給管の酸素の噴射方向を中心軸とした同心円状に設置され、水素供給管から噴射される水素の噴射方向が、前記中心軸へ向くよう、水素供給管の先端の向きが傾斜している、前記[1]に記載の水素ガス燃焼装置;
[3]酸素供給管及び水素供給管が、タングステン、タングステン合金、モリブデンまたはモリブデン合金を含む、前記[1]または[2]に記載の水素ガス燃焼装置;
[4]酸素供給管に供給する酸素の流量を制御する酸素流量制御手段と、水素供給管に供給する水素の流量を制御する水素流量制御手段とを備える、前記[1]~[3]のいずれかに記載の水素ガス燃焼装置;
[5]水素供給管に供給する水素の流量を制御する水素流量制御手段と、酸素と水素の燃焼温度を計測する温度センサとを備え、水素流量制御手段が、計測した燃焼温度に基づいて、水素供給管に供給する水素の流量を制御する、前記[1]~[4]のいずれかに記載の水素ガス燃焼装置;
[6]酸素供給管に供給する酸素の流量を制御する酸素流量制御手段を備え、酸素流量制御手段が、酸素供給管に供給する酸素の供給を停止することで、水素の燃焼を停止する、前記[1]~[5]のいずれかに記載の水素ガス燃焼装置;
[7]酸素を供給する酸素供給管と、水素を供給する水素供給管と、水素と酸素に着火する着火装置とを備えた複数の水素ガス燃焼装置と、前記複数の水素ガス燃焼装置の酸素の流量及び水素の流量を制御するための水素ガスバーナー制御装置とを備え、水素ガスバーナー制御装置が、複数の水素ガス燃焼装置それぞれの酸素供給管に供給する酸素の流量を制御する酸素流量制御手段と、複数の水素ガス燃焼装置それぞれの水素供給管に供給する水素の流量を制御する水素流量制御手段とを備える、水素ガス燃焼システム;
により上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水素を燃料とする水素ガス燃焼装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる、水素ガス燃焼装置の酸素供給管及び水素供給管の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる、水素ガス燃焼システムの構成を表す模式図である。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる、水素ガス燃焼システムの構成を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明するが、本発明は図面及び実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、以下に記載する好ましい数値や構成に限定されるものではない。
【0010】
(水素ガス燃焼装置)
以下、本発明の水素ガス燃焼装置について説明する。水素ガス燃焼装置は、酸素を供給する酸素供給管と、水素を供給する水素供給管と、水素と酸素に着火する着火装置とを備える。また、水素ガス燃焼装置は、酸素供給管及び水素供給管が、外部にて酸素及び水素を混合可能に噴射し、着火装置が、混合された酸素と水素に着火するように構成されている。
【0011】
まず、本発明の実施の形態にかかる、水素ガス燃焼装置について、図示しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる、水素ガス燃焼装置の酸素供給管及び水素供給管の構成を示す模式図である。
図1は、水素ガス燃焼装置の酸素供給管及び水素供給管を側面から視た図である。
【0012】
図1に示すように、水素ガス燃焼装置1は、酸素を供給する酸素供給管2と、水素を供給する複数の水素供給管4とを備える。また、酸素供給管2は、酸素供給管2から酸素を噴射する酸素噴射口3を備える。さらに、水素供給管4は、水素供給管4から水素を噴射する水素噴射口5を備える。
図1の矢印の方向は、酸素の噴射方向である。水素ガス燃焼装置1は、水素と酸素が混合する混合領域6の近傍において、水素と酸素に着火するための着火装置7を備えている。混合領域6は、水素ガス燃焼装置1の外部にある。
【0013】
図1に示すように、一の酸素供給管2と、複数の水素供給管4は、略平行に設置されている。酸素供給管2は円筒状の形状を有しており、円筒の中心軸は直線上である。一方、水素供給管4も円筒状の形状を有しているが、円筒の中心軸は途中で屈曲している。
【0014】
これら複数の水素供給管4は、酸素供給管2の酸素の噴射方向を中心軸とした同心円状に設置されている。ここでは、この中心軸を中心軸Xと表す。水素供給管4の数は、二以上であれば特に限定されない。また、これらの水素供給管4は等間隔に設置されている。酸素の噴射方向に垂直な断面において、一の水素供給管4と酸素供給管2を結ぶ直線と、該一の水素供給管4に隣接する他の水素供給管4と酸素供給管2を結ぶ直線とにより形成される角は、360°を水素供給管4の数で除した値となる。
【0015】
水素ガス燃焼装置1において、噴射先側を前方と定義し、噴射元側を後方と定義した場合、酸素噴射口3は、水素噴射口5よりも酸素の噴射方向の後方に配置されている。水素供給管4から噴射される水素の噴射方向が中心軸Xへ向くよう、水素供給管4の先端の向き、つまり水素噴射口5の向きが、中心軸Xから傾斜している。中心軸Xと、水素噴射口5から水素の噴射方向に沿って伸びる直線Yが交差する点とその近傍が、混合領域6となる。このような構成することで、酸素供給管2及び水素供給管4よりも前方にて、酸素及び水素を混合し、燃焼させることができる。よって、酸素と水素とが反応する際の炎により、水素ガス燃焼装置1が直接的に加熱されることを防ぐことができる。
【0016】
また、酸素供給管2や水素供給管4の素材は、耐火性、耐熱性を有するものであることが好ましい。例えば、ステンレスなどの高硬度の金属材料、あるいは、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム等の耐火金属又はこれらを含む合金を用いることができる。
【0017】
なお、酸素供給管2、水素供給管4及び着火装置7の構成は、水素ガス燃焼装置1の外部の酸素噴射口3及び水素噴射口5から離れた位置で、酸素と水素を混合し、燃焼できるものであれば、特に限定されない。上では、酸素供給管2を、水素供給管4の中心となる位置に配置する構成について説明をしたが、水素供給管を酸素供給管の中心となる位置に配置する構成を採用してもよい。この場合、一の水素供給管及び複数の酸素供給管が、略平行に設置されている。水素供給管は円筒状の形状を有しており、円筒の中心軸は直線上である。一方、酸素供給管も円筒状の形状を有しているが、円筒の中心軸は途中で屈曲している。複数の酸素供給管は、水素供給管の水素の噴射方向を中心軸とした同心円状に、等間隔に設置されている。
【0018】
本発明の水素ガス燃焼装置によれば、最高燃焼温度は約3000℃となる。燃焼温度は、500℃以上であることが好ましく、1500℃以上であることがより好ましい。また、燃焼温度は、3200℃以下であることが好ましく、2500℃以下であることがより好ましい。
【0019】
また、本発明の水素ガス燃焼装置では、酸素と水素の燃焼により発生するのは水蒸気のみであるため、二酸化炭素や窒素酸化物を排出することなく、環境に悪影響を与えないクリーンなエネルギー利用が可能である。
【0020】
(着火装置及び着火方式)
次に、本発明の水素ガス燃焼装置1における、着火装置7及び着火方式について説明する。酸素と水素との混合気体への着火は、放電により火花を発生させる放電式の着火装置及び着火方式を採用することが好ましい。着火装置7の放電に用いる手段は特に限定されないが、例えば、圧電素子等を利用した放電などが挙げられる。着火装置7は、混合領域6に着火が可能で、且つ、着火した後に発生する炎に巻き込まれない位置に設けられる。
【0021】
(水素ガス燃焼システム、及び水素ガスバーナー制御装置)
以下では、本発明の水素ガス燃焼システム、及び水素ガスバーナー制御装置について説明する。本発明の水素ガス燃焼システムにおいて、水素ガスバーナー制御装置は、水素ガス燃焼装置1に供給する酸素の流量と水素の流量を制御する。水素ガスバーナー制御装置により、水素ガス燃焼装置1に供給する酸素及び水素の流量を制御することで、水素の燃焼温度を制御することができる。また、水素ガスバーナー制御装置は、水素ガス燃焼装置が有する着火装置を制御可能であり、酸素と水素の混合気体への着火をコントロールすることができる。
【0022】
混合領域6に供給される水素と酸素の流量の比は、(水素の流量)/(酸素の流量)が7/3以下であることが好ましい。また、(水素の流量)/(酸素の流量)が1/24以上であることが好ましい。(水素の流量)/(酸素の流量)が該範囲にある場合、燃焼を停止させることなく、水素を安定的に燃焼させることができる。なお、水素と酸素の流量の比を算定する際における水素の流量は、複数の水素供給管4による水素の流量の合計である。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態にかかる水素ガス燃焼システムにおける、水素ガス燃焼装置及び水素ガスバーナー制御装置の構成を表す模式図である。本発明の水素ガス燃焼システム11は、上で説明をした水素ガス燃焼装置1及び水素ガスバーナー制御装置12から構成される。水素ガスバーナー制御装置12は、水素流量制御部13、酸素流量制御部14、着火制御部15及び制御部16を有する。
【0024】
水素は、水素ボンベから水素流量制御部13に供給される。水素流量制御部13には水素流量計と開閉弁が設けられており、水素流量制御部13は、制御部16からの制御信号に応じて、開閉弁を調整することで、水素ガス燃焼装置1の水素供給管4に供給する水素の流量を制御する。同様に、酸素は、酸素ボンベから酸素流量制御部14に供給される。酸素流量制御部14には酸素流量計と開閉弁が設けられており、酸素流量制御部14は、制御部16からの制御信号に応じて、水素ガス燃焼装置1の酸素供給管2に供給する酸素の流量を制御する。
【0025】
着火制御部15は、水素ガス燃焼装置1が備える着火装置7と接続され、制御部16からの制御信号に応じて、酸素と水素の混合気体への着火を制御する。
【0026】
制御部16は、CPU、RAM、ストレージ部などから構成される。制御部16は、格納された所定のプログラムを実行し、水素流量制御部13、酸素流量制御部14及び着火制御部15等の制御を実行する。制御部16は、水素流量制御部13、酸素流量制御部14及び着火制御部15のそれぞれと接続されており、相互に信号または情報を送受信しながら、水素流量制御部13、酸素流量制御部14及び着火制御部15の制御を行う。また、制御部16は内部タイマを備えている。
【0027】
制御部16は、水素流量制御部13、酸素流量制御部14のそれぞれを制御することで、水素供給管の水素の流量、酸素供給管の酸素の流量のそれぞれを調整する。また、制御部16は、水素流量制御部13、酸素流量制御部14、着火制御部15のそれぞれを制御することで、水素ガス燃焼装置1において着火装置7による混合気体への着火や、水素流量制御部13、酸素流量制御部14による水素の燃焼の停止等を制御することができる。
【0028】
また、本発明の水素ガス燃焼システム11は、水素ガスバーナー制御装置12を用いた酸素と水素の流量制御により、水素ガス燃焼装置1において、水素の燃焼を短時間で停止させるための仕組みを備えている。
【0029】
まず、水素ガスバーナー制御装置12は、制御部16において酸素流量制御部14を制御し、水素ガス燃焼装置1への酸素の供給を停止する。水素ガスバーナー制御装置12が水素ガス燃焼装置1への酸素の供給を停止すると、水素ガス燃焼装置1では、混合領域6における水素の濃度が急激に上昇する。これにより、例えば、酸素と水素の構成比率において水素の比率を70%以上に上昇させることが出来るため、混合比で水素と反応するために必要なだけの酸素の構成比率を維持できなくなる。結果として、水素ガス燃焼装置1における水素の燃焼を停止することができる。ここで、酸素よりも先に水素の供給を先に停止してしまうと、水素供給管4内に残留している水素ガスの濃度が4~70%の範囲となり、残留した水素ガスが燃焼してしまう可能性がある。
【0030】
また、本発明の水素ガス燃焼システム11では、燃焼温度をモニタリングすることができる。例えば、酸素と水素の混合気体の燃焼温度を測定するために、水素ガス燃焼装置1に専用の温度センサをアタッチメントとして備え、制御部16において、混合気体の燃焼温度をモニタリングできるように構成してもよい。また、燃焼の対象となる燃焼対象物が耐熱容器内に格納されているような場合は、耐熱容器内の温度を温度センサにて測定することとしてもよい。燃焼温度をモニタリングすることにより、例えば、混合気体の燃焼温度を着火前に予め設定し、燃焼中に燃焼温度を一定に保つことが可能となる。
【0031】
混合気体の燃焼温度が予め設定した温度より過剰に上昇した場合には、制御部16において、水素供給管4に供給する水素の流量を少なくするように水素流量制御部13を制御することで、混合気体の燃焼温度を低下させることができる。燃焼温度が設定した温度より低下した場合には、制御部16において、水素供給管4に供給する水素の流量を少なくするように水素流量制御部13を制御することで、混合気体の燃焼温度を低下させることができる。このようにすることで、水素ガス燃焼装置1において消費する水素の消費量を必要最低限に抑制しながら、所望の燃焼温度による燃焼を継続させることが可能になる。
【0032】
また、本発明の水素ガス燃焼システム11では、制御部16に備えられた内部タイマにより、混合気体の燃焼時間を設定できるように構成してもよい。設定した燃焼時間を経過した場合、水素ガス燃焼システム11が自動的に水素ガス燃焼装置1における混合気体の燃焼を停止し、長時間、水素が燃料として消費されることを抑えることが可能になる。耐熱容器内の燃焼対象物を燃焼させる場合、燃焼温度をモニタリングして温度を一定に保つ方法よりも、設定した燃焼時間内に燃焼を完了する方法の方が、より少ない水素ガス量にて燃焼を行うことが出来る。
【0033】
本発明の水素ガス燃焼システム11では、前述した燃焼温度のモニタリングと、燃焼時間の設定を同時に実行することも可能である。
【0034】
本発明の水素ガス燃焼システム11では、専用の温度センサや専用タイマ等のアタッチメントによる自動制御が不要な場合には、使用者が手動で水素ガス燃焼装置1による燃焼のON/OFFを切り換えたり、手動で所定の位置における水素と酸素の混合比を調整して燃焼温度を調節できる。
【0035】
本発明の水素ガス燃焼システム11においては、一の水素ガスバーナー制御装置12に複数の水素ガス燃焼装置1を接続し、水素ガス燃焼装置1のそれぞれへの酸素と水素の流量を制御できるような構成を採用してもよい。
図3は、本発明の実施の形態にかかる、水素ガス燃焼システムの構成を示す図の一例である。
【0036】
図3に示すように、本実施の形態においては、水素ガス燃焼システム11が、1台の水素ガスバーナー制御装置12に複数台の水素ガス燃焼装置1a、1b、・・・、1nを接続して使用できるように構成することが可能である。水素ガスバーナー制御装置12は、水素ガス燃焼装置1a~1nのそれぞれについて、水素流量制御部13により水素の流量を制御し、酸素流量制御部14により酸素の流量を制御し、さらに、着火制御部15により水素と酸素への着火を制御する。
【0037】
本発明の水素ガス燃焼システム11では、例えば、工場のライン作業等で複数の水素ガス燃焼装置1を設置する必要がある場合であっても、水素ガス燃焼装置1間の距離が短いときには、一の水素ガスバーナー制御装置12に、複数の水素ガス燃焼装置1を接続して制御し、使用することができる。
【0038】
本発明の水素ガス燃焼システム11は、水素を燃料として使用しているため、二酸化炭素や窒素酸化物を排出することがなく、反応後に水蒸気のみが排出される。そのため、周辺環境への悪影響も少なく、大量に火力を必要とするような用途においても有用である。本発明の水素ガス燃焼システム11の用途としては、例えば、道路工事でアスファルトを加熱するためのバーナーとして使用することができる。また、その他の用途としては、例えば、火葬場に設置してある火葬用バーナーとして、従来のバーナーに置き換えて使用することもできる。火葬用バーナーとして使用した場合には、LPガスなどの燃料ガスや重油等を使用する従来の化石燃料の燃焼を利用したバーナーとは異なり、燃料の燃焼反応による異臭が発生せず、無臭で火葬を行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 水素ガス燃焼装置
2 酸素供給管
3 酸素噴射口
4 水素供給管
5 水素噴射口
6 混合領域
7 着火装置
11 水素ガス燃焼システム
12 水素ガスバーナー制御装置
13 水素流量制御部
14 酸素流量制御部
15 着火制御部
16 制御部