(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123676
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】アコヤ貝殻黒変病原因細菌の特異的検出法及びそのためのキット
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20220817BHJP
C12Q 1/689 20180101ALI20220817BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12Q1/689 ZNA
C12Q1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021128
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】酒徳 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】一色 正
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ06
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX01
(57)【要約】
【課題】操作が簡便であり、迅速に検出・同定することが可能な、アコヤガイ殻黒変病の原因細菌の一つであるTenacibaculum sp. Pbs-1株の検出方法を提供すること。
【解決手段】PCR法を用いたアコヤ貝殻黒変病原因細菌の検出方法であって、前記殻黒変病原因細菌の検出用の塩基配列を含む二本鎖DNAを合成するためのプライマーペアとして、前記殻黒変病原因細菌の16SrRNAに含まれる塩基配列からなるフォワードプライマーと、16Sと23SのISR領域(internal spacer region)に含まれる塩基配列からなるリバースプライマーとの組み合わせ、を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCR法を用いたアコヤ貝殻黒変病原因細菌の検出方法であって、
前記殻黒変病原因細菌の検出用の塩基配列を含む二本鎖DNAを合成するためのプライマーペアとして、
前記殻黒変病原因細菌の16SrRNAに含まれる塩基配列からなるフォワードプライマーと、
前記殻黒変病原因細菌の16Sと23SのISR領域(internal spacer region)に含まれる塩基配列からなるリバースプライマーとの組み合わせ、
を用いる殻黒変病原因細菌の同定方法。
【請求項2】
前記プライマーペアが、
(A)配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せ、
(B)前記(A)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したプライマーペア、及び
(C)前記(A)又は(B)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列に対応する相補的配列からなるプライマーペアの何れかである、
請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記殻黒変病原因細菌が、Tenacibaculumsp. Pbs-1株である、請求項1又は2に記載の検出方法。
【請求項4】
前記PCR法が、2ステップPCR法である、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項5】
前記PCR法が、以下の条件で行われる、請求項4に記載の検出方法:
初めに94℃で3分間、その後94℃で30秒間、69.6℃で1分間の2STEP反応を35サイクル繰り返した後、4℃でクーリングする。
【請求項6】
(A)配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せ、
(B)前記(A)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したプライマーペア、及び
(C)前記(A)又は(B)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列に対応する相補的配列からなるプライマーペアの何れかである、プライマーペア。
【請求項7】
請求項6記載のプライマーペアを含む、アコヤ貝殻黒変病原因細菌の検出用キット。
【請求項8】
配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマー。
【請求項9】
配列番号1において、塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したフォワードプライマー。
【請求項10】
配列番号1の塩基配列に対応する相補的配列からなるフォワードプライマー。
【請求項11】
配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマー。
【請求項12】
配列番号2において、塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したリバースプライマー。
【請求項13】
配列番号2の塩基配列に対応する相補的配列からなるリバースプライマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は, アコヤ貝の殻黒変病の原因細菌を迅速・特異的に検出するPCR法及びそのためのキットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の真珠養殖は三重県、長崎県および愛媛県の3県を合わせて生産量の約9割を占めている。これらの地域で生産されるアコヤ真珠は、世界的にも非常に評価が高い。その年間生産量と輸出額はそれぞれ20トンと300億円を超え、地域経済・産業の根幹を担っているとともに、輸出品としても重要な産業となっている。特に、三重県は真珠養殖発祥の地であり、大珠作成法の開発や、厘珠や小珠の主要生産地として、生産量だけでは計れない重要な地域であるが、近年、真珠形成母貝アコヤガイの殻黒変病が深刻化し、そのような伝統技術の継承も危ぶまれている。
【0003】
本症例は1967年に初報告され、2020年現在も解決には至っていない。重症な殻黒変病個体は斃死に至り、真珠を収穫できる個体が養殖開始時の半分に満たない年すらある。また、斃死に至らなくても本疾病個体は、抱いている真珠にも黒変様の「しみ」が形成され、低品質真珠(ドクズ珠)として格下げとなり、取引価格に雲泥の差が出る。そのため、真珠養殖業者は真珠を安定的に生産することが非常に困難であり、平成5年から平成15年の10年間で、三重県、愛媛県および長崎県にける真珠養殖の経営体数は、それぞれ36%、28%、24%も減少した。特に三重県での減少が著しく、平成25年時の経営体数は、283経営体(最盛期の10%)にまで減少している。このように、殻黒変病は、真珠養殖業者の間で大きな問題としてとらえられており、殻黒変病に対する対策が急務とされているが、その原因すらわかっていなかった。そのような中、富山大学を中心とした研究コンソーシアムは、日本国内の主要養殖地(三重・愛媛・長崎)におけるアコヤガイの殻黒変病の発症状況を調査し、殻黒変病に特定の細菌が高密度に感染している可能性を見出し(非特許文献1参照)、更に研究を進めた結果、殻黒変病個体からTenacibaculum sp.Pbs-1株を単離し、本菌株を健常な母貝に感染させて殻黒変病を再現することに成功し、約50年間不明だった殻黒変病の1因を特定した。(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】真珠形成母貝アコヤガイの寄生虫病に関する新展開 -その被害状況の把握と原因の究明-. 酒徳昭宏., 藤村卓也., 伊藤美智子., 高島成剛., 一色 正. 日本応用生物学会誌., 30, 1-6. 2017.
【非特許文献2】Newly isolated bacterium Tenacibaculum sp. strain Pbs-1 from diseased pearl oysters is associated with black-spot shell disease. Sakatoku A., Fujimura T., Ito M., Takashima S., Isshiki T. Aquaculture. 493, 61- 67. 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在、アコヤ貝殻黒変病の原因細菌の一つであるTenacibaculumsp.Pbs-1株の感染の有無を確認する方法は、非特許文献2に記載した富山大学が開発したPCR-DGGEによるものしかなく、操作の煩雑性や検出までに時間がかかることなど問題点も多い。
したがって、解決しようとする課題は、操作が簡便であり、迅速に検出・同定することが可能な、アコヤガイ殻黒変病の原因細菌の一つであるTenacibaculum sp. Pbs-1株の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の[1]ないし[13]に関する。
[1] PCR法を用いたアコヤ貝殻黒変病原因細菌の検出方法であって、
前記殻黒変病原因細菌の検出用の塩基配列を含む二本鎖DNAを合成するためのプライマーペアとして、
前記殻黒変病原因細菌の16SrRNAに含まれる塩基配列からなるフォワードプライマーと、
前記殻黒変病原因細菌の16Sと23SのISR領域(internal spacer region)に含まれる塩基配列からなるリバースプライマーとの組み合わせ、
を用いる殻黒変病原因細菌の同定方法。
[2] 前記プライマーペアが、
(A)配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せ、
(B)前記(A)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したプライマーペア、及び
(C)前記(A)又は(B)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列に対応する相補的配列からなるプライマーペアの何れかである、
前記[1]に記載の検出方法
[3] 前記殻黒変病原因細菌が、Tenacibaculumsp. Pbs-1株である、前記[1]又は[2]に記載の検出方法。
[4] 前記PCR法が、2ステップPCR法である、前記[1]~[3]のいずれか1つに記載の検出方法。
[5] 前記PCR法が、以下の条件で行われる、前記[4]に記載の検出方法:
初めに94℃で3分間、その後94℃で30秒間、69.6℃で1分間の2STEP反応を35サイクル繰り返した後、4℃でクーリングする。
[6] (A)配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せ、
(B)前記(A)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したプライマーペア、及び
(C)前記(A)又は(B)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列に対応する相補的配列からなるプライマーペアの何れかである、プライマーペア。
[7] 前記[6]記載のプライマーペアを含む、アコヤ貝殻黒変病原因細菌の検出用キット。
[8] 配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマー。
[9] 配列番号1において、塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したフォワードプライマー。
[10] 配列番号1の塩基配列に対応する相補的配列からなるフォワードプライマー。
[11] 配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマー。
[12] 配列番号2において、塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したリバースプライマー。
[13] 配列番号2の塩基配列に対応する相補的配列からなるリバースプライマー。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アコヤガイ殻黒変病の原因細菌の一つであるTenacibaculum sp. Pbs-1株を簡便な操作で、迅速に検出・同定することができる。このため作業者の負担の軽減およびシステムの自動化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実験例1-1におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図2】実験例1-2におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図3】実験例2-1におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図4】実験例2-2におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図5】実験例2-3におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図6】実験例2-4におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図7】実験例2-5におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図8】実験例3-1におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図9】実験例3-2におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図10】実験例4-1におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図11】実験例4-2におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図12】実験例4-3におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図13】実験例4-4におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【
図14】実験例5におけるPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、アコヤガイ殻黒変病の原因細菌、具体的には、Tenacibaculum sp. Pbs-1株を簡便な操作で、迅速に検出・同定する新規なPCR法を見出したものである。
Tenacibaculum sp. Pbs-1株は、アコヤガイ殻黒変病の原因細菌の一つとして、富山大学を中心とした研究コンソーシアムにより発見されたものであり、この細菌は、非特許文献2に記載の方法で入手可能である。
【0010】
Tenacibaculum sp. Pbs-1株の検出方法は、非特許文献2に記載されているとおり、富山大学が開発したPCR-DGGEによるものしかなく, 操作の煩雑性や検出までに時間がかかることなど問題点も多い。
これに対し、本出願人は、アコヤ貝殻黒変病原因細菌の検出用の塩基配列を含む二本鎖DNAを合成するためのプライマーを設計する過程において、殻黒変病原因細菌の16SrRNA領域と16Sと23Sのinternal spacer region(ISR領域)の2つの領域に着目し、16SrRNA領域に含まれる塩基配列をフォワードプライマーとし、ISR領域に含まれる塩基配列からなるリバースプライマーとするプライマーペアを用いることが有効であることを見出したものである。
具体的には、フォワードプライマーとして配列番号1に示す塩基配列(5’-ATACGGAGGGTGCAAGCGTT-3’)を含むプライマーと、リバースプライマーとして、配列番号2に示す塩基配列(5’-TAGCTTGCGCTACAACGAGC-3’)を含むプライマーとからなるプライマーペアを用いたPCRにより、Tenacibaculum sp. Pbs-1株を特異的に検出することができる。-TGATTATGTGGGGCTGGTTATG-3’)を含む-CGAGGAAAGTTGTGTTCGTGATG-3’)を含む
【0011】
配列番号1の塩基配列を含むフォワードプライマーには、配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーのほか、
配列番号1において、塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したフォワードプライマーや、
配列番号1の塩基配列に対応する相補的配列からなるフォワードプライマーを含んでもよい。
【0012】
また配列番号2の塩基配列を含むリバースプライマーには、配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーのほか、
配列番号2において、塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したリバースプライマーや、
配列番号2の塩基配列に対応する相補的配列からなるリバースプライマーを含んでもよい。
【0013】
したがって、配列番号1の塩基配列を含むフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列を含むリバースプライマーとの組み合わせよりなるプラマーペアは、
(A)配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せ、
(B)前記(A)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したプライマーペア、及び
(C)前記(A)又は(B)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列に対応する相補的配列からなるプライマーペアの何れかであってもよい。
【0014】
かかるプライマーペアの具体例としては、
(1a)配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーと組合せ、
(1b-1)配列番号1の改変塩基配列からなる改変フォワードプライマーと、配列番号2からなるリバースプライマーの組み合わせからなるプライマーペア。
(1b-2)配列番号1からなるフォワードプライマーと、配列番号2の改変塩基配列からなる改変リバースプライマーの組み合わせからなるプライマーペア。
(1b-3)配列番号1の改変塩基配列からなる改変フォワードプライマーと、配列番号2の改変塩基配列からなる改変リバースプライマーの組み合わせからなるプライマーペア。
(1c-1)配列番号1の相補配列からなるフォワードプライマーと、配列番号2の相補配列からなるリバースプライマーの組み合わせからなるプライマーペア。
(1c-2)配列番号1の改変塩基配列の相補配列からなる改変フォワードプライマーと、配列番号2の相補配列からなるリバースプライマーの組み合わせからなるプライマーペア。
(1c-3)配列番号1の相補配列からなるフォワードプライマーと、配列番号2の改変塩基配列の相補配列からなる改変リバースプライマーの組み合わせからなるプライマーペア。
(1c-4)配列番号1の改変塩基配列の相補配列からなる改変フォワードプライマーと、配列番号2の改変塩基配列の相補配列からなる改変リバースプライマーの組み合わせからなるプライマーペア、が挙げられる。
【0015】
PCR法としては、タッチダウンPCR法、ネステッドPCR法、2ステップ PCR法などのいずれを用いてもよいが、迅速に高精度な結果が得られることから、2ステップ PCR法が好ましい。2ステップ PCR法は、アニーリングと伸長反応のステップを同時に行う方法であり、2つのステップを同時に行うことにより、検出時間の短縮が可能である。また、高温でアニーリングを行うため、反応の特異性が高くなり、高精度な結果が期待できる。
【0016】
本発明でPCR分析のために使用されるプライマーペア以外の試薬は、公知のものを公知の組合せにより使用することができる。測定に必要な試薬としては、PCR用の酵素、pH緩衝液、dNTP、Mg2+源、ろ過処理などにより精製された滅菌水が挙げられる。
【0017】
本発明において使用されるPCR用の酵素としては、耐熱性DNAポリメラーゼが挙げられる。耐熱性DNAポリメラーゼは、通常用いられるあらゆる耐熱性DNAポリメラーゼを用いることができる。このような酵素として、例えば,pol I 型DNAポリメラーゼ、α型DNAポリメラーゼ、混合型DNAポリメラーゼ、Hot start用DNAポリメラーゼ等が挙げられる。ポリメラーゼは,通常用いられるあらゆる耐熱性DNAポリメラーゼを用いることができる。このような酵素として,例えば,pol I 型DNAポリメラーゼ,α型DNAポリメラーゼ,混合型DNAポリメラーゼ,Hot start用DNAポリメラーゼ等が挙げられる。
【0018】
PCRにおける温度サイクルの条件を含む具体例としては、採用するPCR法により、適宜調製されるものであるが、
例えば、タッチダウンPCR法であれば、後述の実験例2-3に示すように、
Tenacibaculum sp. Pbs-1株を、初めに94℃で1分間、その後94℃で30秒間、68℃(-0.2℃/cycle)で30秒間、72℃で30秒間の反応を15サイクル繰り返した後、
94℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で30秒間の反応を3サイクル繰り返し、
最後に、72℃で3分間反応させた後、4℃でクーリングする方法が一例として挙げられる。
なお、上記PCR工程において、(-0.2℃/cycle)とは、1サイクル当たり、0.2℃ずつ温度が低下することを意味する。つまり、上記の場合、反応1サイクル目は68℃であるところ、2サイクル目で67.8℃、3サイクル目で67.6℃と、0.2℃ずつ温度が低下し、15サイクル目では、65℃になる。
【0019】
また、ネステッドPCR法では、後述の実験例3-1に示すように、
Tenacibaculum sp. Pbs-1株を、最初に、配列番号1のフォワードプライマーと配列番号4のリバースプライマーを使用して増幅し増幅産物を得た後(以下、「a工程」ともいう)、
その増幅産物を鋳型DNAにして, 配列番号1のフォワードプライマーと配列番号2のリバースプライマーを使用してさらに増幅する(以下、「b工程」ともいう)工程において、
前記のa工程のPCRプログラムは、以下のとおりとし:
初めに94℃で30秒間、その後94℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で1分間の反応を7サイクル繰り返した後、
72℃で3分間反応させ、4℃でクールダウンした。
また前記のb工程のPCRプログラムは、以下のとおりとして行う方法が一例として挙げられる。
初めに94℃で1分間、その後94℃で30秒間、68℃(-0.2℃/cycle)で30秒間、72℃で30秒間の反応を15サイクル繰り返した後、
94℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で30秒間の反応を3サイクル繰り返した後、
最後に、72℃で3分間反応させ、4℃でクールダウンした。
【0020】
また2STEP PCR法では、後述の実験例4-2で示すように、
Tenacibaculum sp. Pbs-1株を、94℃で3分間、その後94℃で30秒、69.6℃で1分間の2stepの反応を35サイクル繰り返した後、4℃でクーリングする方法が一例として挙げられる。
【0021】
本発明にかかるアコヤ貝殻黒変病原因細菌検出用のキットは、少なくとも
(A)配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せ、
(B)前記(A)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列の一部をプライマーとしての機能を損なわない範囲で1または2の塩基が付加、欠失または置換したプライマーペア、及び
(C)前記(A)又は(B)の各プライマーペアの一方又は両方のプライマーの塩基配列に対応する相補的配列からなるプライマーペアの何れかを含み、
これらの構成成分に加えて、前述の「PCR用の酵素、pH緩衝液、dNTP、Mg2+源、ろ過処理などにより精製された滅菌水」を含んでも良い。
さらに本発明にかかるキットには、PCR法等の手順が記載されている取扱説明書に添付してもよい。
【実施例0022】
製造例1 Tenacibaculum sp. Pbs-1株とその他の近縁種のTenacibaculum属細菌のDNAの準備
以下の実施例等で使用したTenacibaculum sp. Pbs-1株は、非特許文献2に記載の方法で採取したものを使用し、その他の近縁種のTenacibaculum属細菌は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構から購入したものを使用した。またTenacibaculum sp. Pbs-1株とその他の近縁種のDNAは、海水サイトファーガ液体培地で約1日培養後の菌体からWizard Genomic DNA Purification Kit(プロメガ)を用いてDNAを抽出した。そのようにして得られたDNA溶液をテンプレートとしてPCRに用いた。
【0023】
PCR法における最適な条件の検討
・一般的な3step PCR法について
実験例1-1
Tenacibaculum sp. Pbs-1株とその他の近縁種のTenacibaculum属細菌のDNAを、以下の手順にて一般的な3-STEP PCR法を用いて増幅した。
PCR法に供する反応液は、下記表1に記載の組成の反応液を使用した。
【表1】
上記表1中、Primer F、Primer R、はそれぞれフォワードプライマー、リバースプライマーを示す。また反応溶液中、Ex Taq buffer、dNTPmix及びEx Taq HSは、タカラバイオ社のものを使用した。
PCRプログラムは、初めに94℃で3分間、その後94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で1分間の反応を35サイクル繰り返した後、最後に72℃で3分間反応させ、15℃でクーリングした。なお、プライマーには16S rRNA遺伝子上に設計した配列番号1のフォワードプライマー(以下「16S フォワード」ともいう)と16S-23S internal spacer region上に設計した配列番号2のリバースプライマー(以下、「リバースb」ともいう)及び、配列番号3に示す塩基配列(5’- TCTCTAGGCATTGCCCAGTG-3’)のリバースプライマー(以下、「リバースa」ともいう)を用いた。
上記の手順によるPCR法により増幅したTenacibaculum sp. Pbs-1株とその他のTenacibaculum属細菌のDNAを、2%(w/v)アガロースゲル電気泳動を行い、増幅産物(バンド)を確認した。結果を
図1(a)及び(b)に示す。なお、
図1(a)はリバースaを使用したもの、
図1(b)はリバースbを使用したものを示す。
図1(a)及び(b)より、リバースbの方がリバースaに比して、検出される菌数の数はわずかに少ないものの、いずれのリバースもほぼすべての菌種が検出され、Pbs-1株に対する特異性は認められなかった。
【0024】
なお、
図1(a)および(b)の記号および番号で示される各レーンは以下の産物及び化合物の電気泳動の結果を示す。
M: 100bp ラダーマーカー
1: Tenacibaculum sp. Pbs-1株
2: T.ascidiaceicola
3: T.sediminilitoris
4: T.aestuariivivum
5: T.maritimum
6: T.amylolyticum
7: T.mesophilum
8: N.C.(DNAテンプレートの代わりに, 滅菌水を同量加えたもの)
【0025】
実験例1-2
PCRプログラムを、下記に変更する以外は、実験例1-1と同様にしてPCRを行った。
初めに94℃で3分間、その後94℃で1分間、65℃で1分間、72℃で1分間の反応を30サイクル繰り返した後、最後に72℃で3分間反応させ、15℃でクーリングした。結果を
図2(a)及び(b)に示す。なお、
図2(a)はリバースaを使用したもの、
図2はリバースbを使用したものを示す。また、
図2(a)および(b)の記号および番号で示される各レーンは
図1と同様である。
図2より、
図1と比較して検出される菌種の数は減少したものの、Pbs-1株に対する特異性は認められなかった。
【0026】
・タッチダウン PCR法に関する検討
実験例2-1
Tenacibaculum sp. Pbs-1株とその他の近縁種のTenacibaculum属細菌のDNAを、以下の手順にてタッチダウン PCR法を用いて増幅した。
PCR法に供する反応液は、下記表2に記載の組成の反応液を使用した。
【0027】
【表2】
上記表2中、Ex Taq buffer、dNTPmix及びEx Taq HSは、実験例1-1と同様のものを使用した。
【0028】
PCRプログラムは,初めに94℃で3分間、その後94℃で1分間、68℃(-0.2℃/cycle)で1分間、72℃で1分間の反応を15サイクル繰り返した後、
94℃で1分間、65℃で1分間、72℃で1分間の反応を5サイクル繰り返し、
最後に、72℃で3分間反応させた後、4℃でクーリングした。なお、使用したプライマーは実験例1-1と同様である。結果を
図3(a)及び(b)に示す。なお、
図3(a)はリバースaを使用したもの、
図3(b)はリバースbを使用したものを示す。また
図3(a)および(b)の記号および番号で示される各レーンは
図1と同様である。
図3より、実験例1-1及び1-2の一般的なPCR法に比して、Pbs-1株に対する特異性が向上したが、一部他の細菌も検出された。
また、
図3(a)及び(b)との対比から、リバースbの方がリバースaに比して、バンドが濃く鮮明であることから、以後の実験では、リバースbのみを使用して検討を行った。
【0029】
実験例2-2
リバースbのみを使用し、PCRプログラムを、下記に変更する以外は、実験例2-1と同様にしてPCRを行った。
初めに94℃で3分間、その後94℃で1分間、68℃(-0.2℃/cycle)で1分間、72℃で1分間の反応を15サイクル繰り返した後、
94℃で1分間、65℃で1分間、72℃で1分間の反応を3サイクル繰り返し、
最後に、72℃で3分間反応させた後、4℃でクーリングした。結果を
図4に示す。なお、
図4の記号および番号で示される各レーンは
図1と同様である。
図4より、Pbs株のみにバンドが検出された。
【0030】
実験例2-3
PCRプログラムを、下記示す通り、反応時間を短縮するプログラムに変更する以外は、実験例2-2と同様にしてPCRを行った。
初めに94℃で1分間、その後94℃で30秒間、68℃(-0.2℃/cycle)で30秒間、72℃で30秒間の反応を15サイクル繰り返した後、
94℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で30秒間の反応を3サイクル繰り返し、
最後に、72℃で3分間反応させた後、4℃でクーリングした。結果を
図5に示す。なお、
図5の記号および番号で示される各レーンは
図1と同様である。
図5より、各反応時間を実験例2-2に比して短縮してもPbs-1株のみにバンドが検出された。
【0031】
実験例2-4
菌種をTenacibaculum sp. Pbs-1株のみとし、その濃度を0g~1μgの範囲になるよう調製してPCRを行う以外は、実験例2-2と同様にしてPCRを行った。結果を
図6に示す。なお、
図6の横軸のうち、Mは100bp ラダーマーカーであり、その他は、図中に示されるそれぞれの濃度における電気泳動の結果を示す。
図6より、タッチダウンPCRでは、Pbs-1株の濃度が10ngの範囲まで検出できることがわかった。
【0032】
実験例2-5
菌種をTenacibaculum sp. Pbs-1株のみとし、その菌体数を0~10
9cells/mlの範囲になるよう調製してPCRを行う以外は、実験例2-2と同様にしてPCRを行った。結果を
図7に示す。なお、
図7の横軸のうち、Mは100bp ラダーマーカーであり、その他は、図中に示されるそれぞれの菌体数における電気泳動の結果を示す。
図7より、タッチダウンPCRでは、Pbs-1株の菌体数が10
9の範囲まで検出できることがわかった。
【0033】
・ネステッド PCR法について
実験例3-1
Tenacibaculum sp. Pbs-1株とその他の近縁種のTenacibaculum属細菌のDNAを、以下の手順にてネステッド PCR法を用いて増幅した。
PCR法に供する反応液は、下記表3に記載の組成の反応液を使用した。
【表3】
上記表3中、Ex Taq buffer、dNTPmix及びEx Taq HSは、実験例1-1と同様のものを使用した。
【0034】
最初に、Tenacibaculum sp. Pbs-1株を、実験例1-1等と同様の16S フォワードと23Sに設計した配列番号4に示す塩基配列(5’-ACCAGCGGATTTGCCTACCA-3’)のリバースプライマー(以下、「23S リバース」ともいう)を使用して増幅し増幅産物を得た後(以下、「a工程」ともいう)、
その増幅産物を鋳型DNAにして, 前述の16Sフォワードと前述のリバースbを使用してさらに増幅した(以下、「b工程」ともいう)。
【0035】
前記のa工程のPCRプログラムは、以下のとおりである。
初めに94℃で30秒間、その後94℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で1分間の反応を7サイクル繰り返した後、
72℃で3分間反応させ、4℃でクールダウンした。
また前記のb工程のPCRプログラムは、以下のとおりである。
初めに94℃で1分間、その後94℃で30秒間、68℃(-0.2℃/cycle)で30秒間、72℃で30秒間の反応を15サイクル繰り返した後、
94℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で30秒間の反応を3サイクル繰り返した後、
最後に、72℃で3分間反応させ、4℃でクールダウンした。
結果を
図8に示す。なお、
図8の記号および番号で示される各レーンは
図1と同様である。
図8より、実験例3-2のタッチダウンPCR法(
図4参照)に比してより濃いバンドが検出された。
【0036】
実験例3-2
菌種をTenacibaculum sp. Pbs-1株のみとし、その濃度を0g~100ngの範囲になるよう調製してPCRを行う以外は、実験例3-1と同様にしてPCRを行った。結果を
図9に示す。なお、
図9の横軸のうち、Mは100bp ラダーマーカーであり、その他は、図中に示されるそれぞれの濃度における電気泳動の結果を示す。
図9より、ネステッドPCRでは、Pbs-1株の濃度が10ngの範囲まで検出できることがわかった。なお、検出感度は、タッチダウン法と同程度であった。
【0037】
・2STEP PCR法に関する検討
実験例4-1
Tenacibaculum sp. Pbs-1株とその他の近縁種のTenacibaculum属細菌のDNAを、以下の手順にて2STEP PCR法を用いて増幅した。
PCR法に供する反応液は、下記表4に記載の組成の反応液を使用した。
【0038】
【表4】
上記表4中、Ex Taq buffer、dNTPmix及びEx Taq HSは、実験例1-1と同様のものを使用した。
【0039】
PCRプログラムは,初めに94℃で3分間、その後94℃で30秒間、69.6℃で1分間の2STEP反応を35サイクル繰り返した後、4℃でクーリングした。
なお、使用したプライマーは実験例2-2と同様である。結果を
図10に示す。なお、
図10の記号および番号で示される各レーンは
図1と同様である。
図10より、Pbs-1株に太いバンドが検出されたが、他の菌種にもバンドが検出された。
【0040】
実験例4-2
プライマーの濃度を1/2(0.125μg)に変更する以外は、実験例4-1と同様にして、PCR法を行った。結果を
図11に示す。なお、
図11の記号および番号で示される各レーンは
図1と同様である。
図11より、2STEP PCR法では、タッチダウンPCR法より濃いバンドが、Pbs-1株のみに検出された。
【0041】
実験例4-3
Tenacibaculum sp. Pbs-1株の濃度を0g~100ngの範囲になるように調製してPCRを行う以外は、実験例4-2と同様にしてPCRを行った。結果を
図12に示す。なお、
図12の横軸のうち、Mは100bpラダーマーカーであり、その他は、図中に示されるそれぞれの濃度における電気泳動の結果を示す。
図12より、2STEP PCRでは、Pbs-1株の濃度が1ngの範囲まで検出できることがわかった。この検出感度は、タッチダウン法、ネステッド法に比して、最も優れたものであった。
【0042】
実験例4-4
Tenacibaculum sp. Pbs-1株の菌体数を菌体数が0~10
9cells/mlの範囲になるように調製してPCRを行う以外は、実験例4-2と同様にしてPCRを行った。結果を
図13に示す。なお、
図13の横軸のうち、Mは100bp ラダーマーカーであり、その他は、図中に示されるそれぞれの菌体数における電気泳動の結果を示す。
図13より、2STEP PCRでは、Pbs-1株の菌体数が10
9の範囲まで検出できることがわかった。
【0043】
・実験結果のまとめ
以上の結果より、16S rRNA遺伝子上に設計した配列番号1のフォワードプライマーと16S-23S internal spacer region上に設計した配列番号2のリバースプライマーを用い、2STEP PCR法を用い、「初めに94℃で3分間、その後94℃で30秒間、69.6℃で1分間の2STEP反応を35サイクル繰り返した後、4℃でクーリングする」というPCRプログラムにより行うPCR法が、Tenacibaculum sp. Pbs-1株のみの検出に特異的であることが確認された。
【0044】
また非特許文献2に記載のPbs-1株の検出法、他の論文に記載のPCRの反応時間を表5にまとめた。表5より、非特許文献2に記載のPbs-1株の検出法と比較して, 1日半程度も短縮できることが確認された。
また表5より、他の論文と比べて, 約30分の時間短縮できることが確認された。
【0045】
【0046】
実験例5 海水中における検出の可能性の検討
富山湾で採水した天然海水にTenacibaculum sp. Pbs-1株を菌体数が0~10
10cells/mlの範囲になるように添加し, それぞれの海水からDNAを抽出した。DNA抽出からPCRの方法は, 実験例4-2と同様に行った。結果を
図14に示す。なお、
図14の横軸のうち、Mは100bp ラダーマーカーであり、その他は、図中に示されるそれぞれの菌体数における電気泳動の結果を示す。
図14より、2STEP PCRでは、海水中であっても、Pbs-1株の菌体数が10
6cells/mlの範囲まで検出できることがわかった。
現在、殻黒変病の原因細菌の感染の有無を確認する方法は、富山大学が開発したPCR-DGGE(非特許文献2参照)によるものしかなく、操作の煩雑性や検出までに時間がかかることなど問題点も多い。本発明により原因細菌特異検出法をキット化することも可能になると考えられる。キット化された際には養殖地のある県の水産試験場でも簡便に使用することができ、原因細菌の発生状況の把握や感染個体の除去(間引き)など養殖過程での対応もできるようになることから、1級品真珠生産量の増加に大きく貢献することが期待できる。また、本発明で感染対策に関する研究を行う際に細菌の有無を簡便に調べることができ、その進捗を大きく加速させることができると予想できる。そして将来的に、感染対策法が確立された際には生産量が回復(約40トン/年)し、生産額と輸出額が2倍の300億円と600億円になると予想される。加えて、予備的な調査から、日本で養殖されている日本産やベトナム産アコヤガイ(Pinctada fucata)だけでなく、インド洋産アコヤガイ(P. radiata)やクロチョウガイ(P.margaritifera)など、他国の別種母貝でも本疾病と同様の黒変が見られていることから、本発明は、日本だけでなく、世界中の真珠養殖業者が求めているものであり、波及した際には、さらに大きな経済的効果が得られると予想される。