(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012368
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
H02M3/155 V
H02M3/155 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114170
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中田 健一
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS13
5H730BB13
5H730BB14
5H730CC01
5H730CC12
5H730CC16
5H730CC17
5H730DD03
5H730DD04
5H730EE57
5H730FD11
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】相対的に電圧が高低となる高直流電圧と低直流電圧との双方で蓄電装置を充電でき、且つ、高直流電圧及び低直流電圧を出力することができる電源装置を提供すること。
【解決手段】電源装置30は、高直流電圧V1及び低直流電圧V2が入力される入力部31と、高圧ラインLN1と、低圧ラインLN2と、基準電位ラインLN3と、高直流電圧V1が出力される高圧出力端32と、低直流電圧V2が出力される低圧出力端33と、を備えている。電源装置30は、正極端子34a、負極端子34b及び中間端子34cを有するメインバッテリ34と、双方向コンバータ35と、を備えている。高圧ラインLN1には、高圧出力端32と、正極端子34aと、第1入出力端35aとが接続される。低圧ラインLN2には、低圧出力端33と、中間端子34cと、第2入出力端35bと、が接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に電圧が高低となる高直流電圧及び低直流電圧が入力される入力部と、
高圧ラインと、
低圧ラインと、
基準電位ラインと、
前記高直流電圧が出力される高圧出力端と、
前記低直流電圧が出力される低圧出力端と、
正極端子、負極端子及び中間端子を有する蓄電装置と、
コンバータと、
を備え、
前記コンバータは、第1入出力端、第2入出力端、及び基準電位端を有するとともに、前記第1入出力端と前記基準電位端との間の電圧を前記第2入出力端と前記基準電位端との間の電圧に変換することも、前記第2入出力端と前記基準電位端との間の電圧を前記第1入出力端と前記基準電位端との間の電圧に変換することも可能な双方向コンバータであり、
前記入力部に入力される前記高直流電圧は、前記高圧ラインと前記基準電位ラインとの間に印加され、
前記入力部に入力される前記低直流電圧は、前記低圧ラインと前記基準電位ラインとの間に印加され、
前記高圧ラインには、前記高圧出力端と、前記正極端子と、前記第1入出力端が接続され、
前記低圧ラインには、前記低圧出力端と、前記中間端子と、前記第2入出力端が接続され、
前記基準電位ラインには、前記負極端子と、前記基準電位端が接続される
ことを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、蓄電装置を電源として用いる電源装置が知られている。例えば特許文献1には、蓄電装置としてのメインバッテリの出力電力を変換する電力変換器を備えた車両用の電源装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電源装置としては、外部から入力される直流電圧を用いて蓄電装置の充電を行いたい場合がある。この場合、例えば汎用性や充電に要する期間の短縮化などといったことから、電圧が相対的に高低となる高直流電圧と低直流電圧との双方で蓄電装置を充電したい場合がある。また、電源装置は、例えば駆動電圧が異なる複数種類の負荷を駆動させるために、電圧が異なる2種類の直流電力を出力したい場合がある。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は相対的に電圧が高低となる高直流電圧と低直流電圧との双方で蓄電装置を充電でき、且つ、高直流電圧及び低直流電圧を出力することができる電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する電源装置は、相対的に電圧が高低となる高直流電圧及び低直流電圧が入力される入力部と、高圧ラインと、低圧ラインと、基準電位ラインと、前記高直流電圧が出力される高圧出力端と、前記低直流電圧が出力される低圧出力端と、正極端子、負極端子及び中間端子を有する蓄電装置と、コンバータと、を備え、前記コンバータは、第1入出力端、第2入出力端、及び基準電位端を有するとともに、前記第1入出力端と前記基準電位端との間の電圧を前記第2入出力端と前記基準電位端との間の電圧に変換することも、前記第2入出力端と前記基準電位端との間の電圧を前記第1入出力端と前記基準電位端との間の電圧に変換することも可能な双方向コンバータであり、前記入力部に入力される前記高直流電圧は、前記高圧ラインと前記基準電位ラインとの間に印加され、前記入力部に入力される前記低直流電圧は、前記低圧ラインと前記基準電位ラインとの間に印加され、前記高圧ラインには、前記高圧出力端と、前記正極端子と、前記第1入出力端が接続され、前記低圧ラインには、前記低圧出力端と、前記中間端子と、前記第2入出力端が接続され、前記基準電位ラインには、前記負極端子と、前記基準電位端が接続されることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、入力部に入力される高直流電圧は、コンバータを介することなく蓄電装置に入力される。これにより、コンバータによる損失を抑制しつつ、蓄電装置の充電を行うことができる。
【0008】
また、蓄電装置から出力される高直流電圧は、コンバータを介することなく、高圧出力端から出力される。これにより、コンバータによる損失を抑制しつつ、高直流電圧を出力することができる。
【0009】
入力部に入力される低直流電圧は、コンバータを介することなく、中間端子及び負極端子間に入力される。これにより、コンバータによる損失を抑制しつつ、低直流電圧を用いて蓄電装置における中間端子及び負極端子間の部分の充電を行うことができる。また、コンバータが第2入出力端と基準電位端との間の電圧を第1入出力端と基準電位端との間の電圧に変換することによって蓄電装置における正極端子及び中間端子間の部分を充電することができる。
【0010】
更に本構成によれば、蓄電装置における中間端子及び負極端子間の部分から出力される低直流電圧を、コンバータを介することなく出力することができるため、コンバータによる損失を抑制しつつ、低直流電圧を出力することができる。
【0011】
また、コンバータが第1入出力端と基準電位端との間の電圧を第2入出力端と前記基準電位端との間の電圧に変換することにより、蓄電装置における正極端子及び中間端子間の部分を用いて低直流電圧を出力することができる。これにより、蓄電装置の内部の充電状態の不均衡を是正することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、相対的に電圧が高低となる高直流電圧と低直流電圧との双方で蓄電装置を充電でき、且つ高直流電圧及び低直流電圧を出力することができるとともに、蓄電装置の内部の充電状態の不均衡を是正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】電源装置及び当該電源装置を備えた車両の概要を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、電源装置の一実施形態について説明する。本実施形態の電源装置は、車両に搭載されており、車両用の電源として用いられている。つまり、本実施形態の電源装置は、車両用電源装置である。以下、車両の概要について説明した後、電源装置について説明する。
【0015】
図1に示すように、車両10は、外部からの電源と接続するのに用いられるインレット11~13と、AC/DC変換回路20と、電源装置30と、を備えている。
本実施形態の車両10は、複数種類のインレット11~13を有している。詳細には、車両10は、高直流電圧V1を出力する高圧充電装置101と接続するのに用いられる高圧インレット11と、低直流電圧V2を出力する低圧充電装置102と接続するのに用いられる低圧インレット12と、交流電圧V3を出力する交流電源103と接続するのに用いられる交流インレット13と、を有している。
【0016】
高直流電圧V1は、低直流電圧V2よりも高圧であり、例えば低直流電圧V2の2倍の電圧である。ただし、相対的に高直流電圧V1の電圧が低直流電圧V2の電圧よりも高くなっていれば、高直流電圧V1の電圧及び低直流電圧V2の電圧の具体的な値については任意である。
【0017】
交流電源103は、交流電圧V3を出力するものであれば任意であり、例えば100V又は200Vの系統電圧でもよいし、3相400Vの交流電圧でもよい。また、交流電源103は複数設けられていてもよい。この場合、交流インレット13は、複数の交流電源103に対応させて複数設けられていてもよいし、1つでもよい。
【0018】
AC/DC変換回路20は、交流インレット13に接続されており、交流インレット13から入力される交流電圧V3を低直流電圧V2に変換する。AC/DC変換回路20の具体的な構成は任意であるが、例えばPFC回路などが考えられる。
【0019】
電源装置30は、電圧が相対的に高低となる高直流電圧V1及び低直流電圧V2が入力される入力部31と、高直流電圧V1が出力される高圧出力端32と、低直流電圧V2が出力される低圧出力端33と、を備えている。
【0020】
入力部31は、例えば高直流電圧V1が入力される高入力部31aと、低直流電圧V2が入力される低入力部31bと、を備えている。
高入力部31aは、高圧インレット11と接続されており、高圧インレット11に入力された高直流電圧V1は、高入力部31aに入力される。高入力部31aは、高直流電圧V1が入力される入力端又は入力端子ともいえる。
【0021】
低入力部31bは、低圧インレット12及びAC/DC変換回路20の双方に接続されている。低圧インレット12に入力される低直流電圧V2、及び、AC/DC変換回路20によって変換された低直流電圧V2は、低入力部31bに入力される。低入力部31bは、低直流電圧V2が入力される入力端及び入力端子ともいえる。
【0022】
なお、高入力部31a及び低入力部31bは、端子であってもよいし、端子ではなく、配線の途中箇所でもよい。要は、電源装置30は、高直流電圧V1が入力される部位と、低直流電圧V2が入力される部位とを有していればよい。
【0023】
車両10は、高圧インレット11と高入力部31aとを接続する配線上に設けられた高圧リレー41と、低圧インレット12と低入力部31bとを接続する配線上に設けられた低圧リレー42と、を備えている。低圧リレー42は、低圧インレット12と低入力部31bとを接続する配線におけるAC/DC変換回路20の接続箇所と低圧インレット12との間の部分に接続されている。つまり、AC/DC変換回路20は、低圧リレー42を介することなく、低入力部31bに接続されている。
【0024】
図1に示すように、車両10は、高圧出力端32に接続された駆動用インバータ51と、走行用モータ52と、を備えている。駆動用インバータ51は、高圧出力端32から出力される高直流電圧V1を用いて走行用モータ52を駆動するものであり、詳細には高直流電圧V1を走行用モータ52が駆動可能な交流電圧に変換するものである。走行用モータ52は、車両10を走行させるのに用いられるものであり、詳細には駆動用インバータ51によって変換された交流電圧によって駆動して車輪を回転させる。本実施形態では、駆動用インバータ51及び走行用モータ52によって、高圧出力端32に接続された高圧負荷53が構成されているといえる。
【0025】
車両10は、低圧出力端33に接続された降圧コンバータ54及び低圧負荷55を備えている。降圧コンバータ54は、低圧出力端33から出力される低直流電圧V2を降圧変換し、その変換された直流電圧を出力するDC/DCコンバータである。なお、降圧コンバータ54の具体的な構成は任意である。
【0026】
低圧負荷55は、低直流電圧V2によって駆動する負荷である。低圧負荷55は、例えば電動エアーコンディショナやヒータなどである。低圧負荷55の種類や数は任意である。
【0027】
ここで、駆動用インバータ51及び走行用モータ52によって構成される高圧負荷53は、低圧負荷55よりも高い電圧で駆動するものである。この点に着目すれば、車両10は、駆動電圧が相対的に高低となる高圧負荷53と低圧負荷55とを有しており、電源装置30は、高圧負荷53に対応する高直流電圧V1と、低圧負荷55に対応する低直流電圧V2との双方を出力するように構成されているといえる。また、車両10は、低直流電圧V2を降圧変換する降圧コンバータ54を有することにより、低直流電圧V2よりも低い電圧で駆動する負荷を駆動させることができたり、メインバッテリ34よりも低圧のサブバッテリを充電することができたりする。
【0028】
電源装置30について詳細に説明する。
電源装置30は、蓄電装置としてのメインバッテリ34と、コンバータ35と、高圧ラインLN1と、低圧ラインLN2と、基準電位ラインLN3と、を備えている。
【0029】
メインバッテリ34は、例えば二次電池や電気二重層キャパシタなどであり、一例としてはリチウムイオン電池や鉛蓄電池である。メインバッテリ34は、複数の単位セルが直列に接続されることによって構成されている。
【0030】
本実施形態では、メインバッテリ34は、正極端子34aと、負極端子34bと、中間端子34cと、を有している。正極端子34a及び負極端子34bは、メインバッテリ34を構成する複数の単位セルの両端に接続された端子である。メインバッテリ34は、正極端子34a及び負極端子34bに高直流電圧V1が入力されることにより充電される。また、正極端子34a及び負極端子34bから高直流電圧V1が出力される。
【0031】
中間端子34cは、メインバッテリ34を構成する複数の単位セルの間に接続された端子である。中間端子34cは、中間端子34c及び負極端子34b間の電圧が低直流電圧V2の電圧となる位置に形成されている。これにより、中間端子34c及び負極端子34bから低直流電圧V2が出力される。
【0032】
すなわち、メインバッテリ34は、正極端子34aと中間端子34cとの間の部分である第1パーツ34xと、中間端子34cと負極端子34bとの間の部分である第2パーツ34yと、によって構成されている。第2パーツ34yは、低直流電圧V2によって充電され、且つ、低直流電圧V2を出力する電源として機能する。
【0033】
コンバータ35は、第1入出力端35a、第2入出力端35b及び基準電位端35cを有する。コンバータ35は、第1変換も第2変換も可能な双方向コンバータである。第1変換とは、第1入出力端35aと基準電位端35cとの間の電圧を第2入出力端35bと基準電位端35cとの間の電圧に変換することであり、第2変換とは、第2入出力端35bと基準電位端35cとの間の電圧を第1入出力端35aと基準電位端35cとの間の電圧に変換することである。
【0034】
コンバータ35は、例えば第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2と、コイルL1と、を有している。第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2は、例えばIGBTで構成されている。ただし、両スイッチング素子Q1,Q2の具体的な構成は任意であり、MOSFETでもよい。
【0035】
両スイッチング素子Q1,Q2はハーフブリッジ回路を構成している。詳細には、両スイッチング素子Q1,Q2は、接続線LN4によって互いに直列に接続されている。そして、両スイッチング素子Q1,Q2の直列接続体は、第1入出力端35aと基準電位端35cとに接続されている。コイルL1は、第2入出力端35bと接続線LN4とに接続されている。
【0036】
かかる構成によれば、両スイッチング素子Q1,Q2が交互にON/OFFすることにより、第1変換又は第2変換が行われる。
高圧ラインLN1及び基準電位ラインLN3は、高入力部31aに接続されている。入力部31(詳細には高入力部31a)に入力される高直流電圧V1は、高圧ラインLN1と基準電位ラインLN3との間に印加される。高圧ラインLN1及び基準電位ラインLN3は高圧出力端32に接続されている。
【0037】
低圧ラインLN2及び基準電位ラインLN3は、低入力部31bに接続されている。入力部31(詳細には低入力部31b)に入力される低直流電圧V2は、低圧ラインLN2と基準電位ラインLN3との間に印加される。低圧ラインLN2及び基準電位ラインLN3は低圧出力端33に接続されている。
【0038】
高圧ラインLN1には、高圧出力端32の他に、正極端子34aと、第1入出力端35aとが接続される。低圧ラインLN2には、低圧出力端33の他に、中間端子34cと、第2入出力端35bとが接続される。基準電位ラインLN3には、負極端子34bと基準電位端35cとが接続される。
【0039】
電源装置30は、コンバータ35を制御する制御部としての電源ECU36を備えている。電源ECU36は、高入力部31aに入力される高直流電圧V1、及び、低入力部31bに入力される低直流電圧V2を把握するように構成されている。例えば、電源装置30は、高入力部31aに入力される高直流電圧V1及び低入力部31bに入力される低直流電圧V2を検出し、その検出結果を電源ECU36に送信するセンサを有している。
【0040】
電源ECU36は、両スイッチング素子Q1,Q2を制御することにより第1変換又は第2変換が行われるようにコンバータ35を制御する。
例えば、電源ECU36は、低圧出力端33から低直流電圧V2を出力する場合には、第1変換が行われるようにコンバータ35を制御する。詳細には、電源ECU36は、高圧ラインLN1を介してメインバッテリ34から第1入出力端35aに入力される高直流電圧V1が低直流電圧V2に変換されて第2入出力端35bから低圧ラインLN2へ向けて出力されるように両スイッチング素子Q1,Q2を交互にON/OFFさせる。この場合、両スイッチング素子Q1,Q2のデューティ比は、低直流電圧V2及び高直流電圧V1の比率に対応させて設定されるとよい。
【0041】
なお、低直流電圧V2を出力する場合とは、例えば車両10に、降圧コンバータ54及び低圧負荷55を制御する車両ECUが設けられている場合には、電源ECU36が車両ECUから出力指令を受信したことが考えられる。ただし、これに限られず、例えば電源ECU36は、車両10が走行中であれば低直流電圧V2を出力する場合と判定してもよい。
【0042】
また、電源ECU36は、低入力部31bに低直流電圧V2が入力される場合には、第2変換が行われるようにコンバータ35を制御する。詳細には、電源ECU36は、低圧ラインLN2を介して第2入出力端35bに入力される低直流電圧V2が高直流電圧V1に変換されて第1入出力端35aから高圧ラインLN1に出力されるように両スイッチング素子Q1,Q2を交互にON/OFFさせる。この場合、両スイッチング素子Q1,Q2のデューティ比は、低直流電圧V2及び高直流電圧V1の比率に対応させて設定されるとよい。
【0043】
次に本実施形態の作用について説明する。
入力部31に高直流電圧V1が入力される場合には、当該高直流電圧V1は、コンバータ35を介することなく、換言すればコンバータ35によって変換されることなく、メインバッテリ34に入力される。これにより、メインバッテリ34が充電される。
【0044】
入力部31に低直流電圧V2が入力される場合には、当該低直流電圧V2は、第2パーツ34yに直接入力される。これにより、第2パーツ34yの充電が行われる。
また、低直流電圧V2は、コンバータ35によって高直流電圧V1に変換されて高圧ラインLN1に出力される。そして、高圧ラインLN1に出力された高直流電圧V1によって、第1パーツ34xも充電される。
【0045】
メインバッテリ34から出力される高直流電圧V1は、コンバータ35を介することなく、換言すればコンバータ35によって変換されることなく、高圧出力端32から出力される。これにより、コンバータ35によって損失が生じにくい。
【0046】
第2パーツ34yから出力される低直流電圧V2は、コンバータ35を介することなく、換言すればコンバータ35によって変換されることなく、低圧出力端33から出力される。この場合、コンバータ35によって損失が生じにくい。
【0047】
また、メインバッテリ34から出力される高直流電圧V1は、コンバータ35によって低直流電圧V2に変換されて、低圧出力端33から出力される。これにより、第1パーツ34xからも放電が行われる。
【0048】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)電源装置30は、相対的に電圧が高低となる高直流電圧V1及び低直流電圧V2が入力される入力部31と、高圧ラインLN1と、低圧ラインLN2と、基準電位ラインLN3と、高直流電圧V1が出力される高圧出力端32と、低直流電圧V2が出力される低圧出力端33と、を備えている。電源装置30は、正極端子34a、負極端子34b及び中間端子34cを有する蓄電装置としてのメインバッテリ34と、コンバータ35と、を備えている。
【0049】
コンバータ35は、第1入出力端35a、第2入出力端35b、及び基準電位端35cを有する。コンバータ35は、第1入出力端35aと基準電位端35cとの間の電圧を第2入出力端35bと基準電位端35cとの間の電圧に変換すること(第1変換)も、第2入出力端35bと基準電位端35cとの間の電圧を第1入出力端35aと基準電位端35cとの間の電圧に変換すること(第2変換)も可能な双方向コンバータである。
【0050】
入力部31に入力される高直流電圧V1は、高圧ラインLN1と基準電位ラインLN3との間に印加され、入力部31に入力される低直流電圧V2は、低圧ラインLN2と基準電位ラインLN3との間に印加される。高圧ラインLN1には、高圧出力端32と、正極端子34aと、第1入出力端35aとが接続される。低圧ラインLN2には、低圧出力端33と、中間端子34cと、第2入出力端35bとが接続される。基準電位ラインLN3には、負極端子34bと基準電位端35cとが接続される。
【0051】
かかる構成によれば、高直流電圧V1と低直流電圧V2との双方でメインバッテリ34を充電でき、且つ、高直流電圧V1及び低直流電圧V2を出力することができる。
また、入力部31に低直流電圧V2が入力されることにより、メインバッテリ34における中間端子34c及び中間端子34c間の部分が充電される。そして、コンバータ35が第2変換を行うことにより、メインバッテリ34における正極端子34a及び中間端子34c間の部分である第1パーツ34xを充電することができる。これにより、メインバッテリ34の内部の充電状態の不均衡を是正することができる。
【0052】
また、コンバータ35が第1変換を行うことにより、第1パーツ34xを用いて低直流電圧V2を出力することができるため、メインバッテリ34の内部の充電状態の不均衡を是正することができる。
【0053】
詳述すると、メインバッテリ34における中間端子34c及び負極端子34b間の部分である第2パーツ34yを用いることにより、低直流電圧V2を出力することができる。この場合、低直流電圧V2を出力するのに第2パーツ34yのみを用いると、第2パーツ34yの使用頻度が、メインバッテリ34における正極端子34a及び中間端子34c間の部分である第1パーツ34xよりも高くなるため、第2パーツ34yと第1パーツ34xとで充電状態の不均衡が生じる。
【0054】
この点、本構成によれば、低直流電圧V2を出力するのに両パーツ34x,34yを用いることができるため、両パーツ34x,34yの充電状態の不均衡を是正することができる。
【0055】
なお、念のために説明すると、第2パーツ34yからは低直流電圧V2が直接出力されるため、その分だけコンバータ35による損失は低減される。このため、上記のようにコンバータ35にて第1変換が行われる場合であっても、低直流電圧V2の出力に係る損失は低減される。
【0056】
(2)メインバッテリ34から出力される高直流電圧V1は、コンバータ35を介することなく、高圧出力端32から出力されるため、コンバータ35の大型化を抑制しつつ、高圧出力端32から出力可能な電力を大きくすることができる。
【0057】
詳述すると、仮にメインバッテリ34から出力される高直流電圧V1が、コンバータ35を介して高圧出力端32から出力される場合、高直流電圧V1がコンバータ35にも伝送される。この場合、高直流電圧V1を大きくしようとすると、コンバータ35の許容電力(換言すれば使用可能な最大電力)を大きくする必要が生じ、その結果例えばコンバータ35の大型化といった不都合が懸念される。
【0058】
この点、本構成によれば、上述したとおり、メインバッテリ34から出力される高直流電圧V1は、コンバータ35を介さないため、上記不都合を抑制できる。なお、高直流電圧V1を用いたメインバッテリ34の充電についても同様である。
【0059】
(3)電源装置30は、コンバータ35を制御する制御部としての電源ECU36を備えている。電源ECU36は、低圧出力端33から低直流電圧V2を出力する場合には、メインバッテリ34に蓄電された高直流電圧V1が低直流電圧V2に変換される第1変換(換言すれば降圧動作)が行われるようにコンバータ35を制御する。電源ECU36は、入力部31に低直流電圧V2が入力される場合には低直流電圧V2が高直流電圧V1に変換される第2変換(換言すれば昇圧動作)が行われるようにコンバータ35を制御する。これにより、(1)などの効果を奏する。
【0060】
(4)入力部31は、高直流電圧V1が入力される高入力部31aと、低直流電圧V2が入力される低入力部31bと、を備えている。
かかる構成によれば、例えば電源装置30の接続先を高圧充電装置101又は低圧充電装置102に切り替える切替スイッチなどを設けることなく、電源装置30に高直流電圧V1と低直流電圧V2とを入力させることができる。
【0061】
(5)車両10は、電源装置30と、高圧出力端32に接続され且つ高直流電圧V1を交流電力に変換する駆動用インバータ51と、駆動用インバータ51に接続され且つ当該交流電力によって駆動する走行用モータ52と、を備えている。
【0062】
かかる構成によれば、高直流電圧V1を用いて走行用モータ52を駆動することができる。この場合、コンバータ35の損失を抑制できる分だけ、走行距離の向上を図ることができる。
【0063】
(6)車両10は、低圧出力端33に接続された降圧コンバータ54を備えている。降圧コンバータ54は、低直流電圧V2を降圧変換する。
かかる構成によれば、低直流電圧V2よりも低い電圧を生成することができる。これにより、車両10に搭載された低直流電圧V2よりも低い電圧で駆動する負荷を駆動させることができたり、メインバッテリ34よりも低圧のサブバッテリを充電したりすることができる。
【0064】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 降圧コンバータ54が電源装置30内に設けられていてもよい。すなわち、電源装置30が降圧コンバータ54を有する構成でもよい。この場合、電源装置30は、低直流電圧V2を出力する低圧出力端33とは別に、降圧コンバータ54によって降圧変換された直流電力が出力される端子を有するとよい。つまり、電源装置30は、電圧が異なる3種類の直流電力を出力する構成でもよい。
【0065】
○ 電源装置30が両リレー41,42の少なくとも一方を有する構成でもよい。
○ 入力部31の具体的な構成は任意である。例えば、電源装置30は、単一の入力端子を備える構成でもよい。この場合、電源装置30は、当該入力端子の入力側に設けられ、入力端子の接続先を高圧インレット11と低圧インレット12とに切り替える第1切替スイッチと、入力端子の出力側に設けられ、入力端子の接続先を正極端子34aと中間端子34cとに切り替える第2切替スイッチと、を備えている構成でもよい。そして、電源装置30は、入力される電力に応じて、両切替スイッチを制御する制御回路を有するとよい。
【0066】
○ 電源装置30が駆動用インバータ51を備えている構成でもよい。
○ 電源ECU36は、第1特定条件が成立している状況下では、低圧出力端33から低直流電圧V2を出力する場合であっても第1変換が行われないようにコンバータ35を制御してもよい。
【0067】
電源ECU36は、第2特定条件が成立している状況下では、入力部31に低直流電圧V2が入力されている場合であっても第2変換が行われないようにコンバータ35を制御してもよい。
【0068】
○ 高圧出力端32に接続される高圧負荷53は、駆動用インバータ51及び走行用モータ52に限られず任意である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
【0069】
(イ)中間端子は、蓄電装置における中間端子及び負極端子間の電圧が低直流電圧の電圧となる位置に形成されているとよい。
【符号の説明】
【0070】
10…車両、11~13…インレット、30…電源装置、31…入力部、31a…高入力部、31b…低入力部、32…高圧出力端、33…低圧出力端、34…メインバッテリ、34a…正極端子、34b…負極端子、34c…中間端子、34x…第1パーツ、34y…第2パーツ、35…コンバータ、35a…第1入出力端、35b…第2入出力端、35c…基準電位端、36…電源ECU、51…駆動用インバータ、52…走行用モータ、54…降圧コンバータ、55…低圧負荷、LN1…高圧ライン、LN2…低圧ライン、LN3…基準電位ライン、V1…高直流電圧、V2…低直流電圧、V3…交流電圧。