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  • 特開-デッキプレート及びデッキ工法 図1
  • 特開-デッキプレート及びデッキ工法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123681
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】デッキプレート及びデッキ工法
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/40 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
E04B5/40 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021136
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】島田 稜子
(72)【発明者】
【氏名】関 勝輝
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正行
(57)【要約】
【課題】施工作業を省力化することができるデッキプレート及びデッキ工法を提供する。
【解決手段】デッキプレート1は、鉄筋コンクリート構造部の型枠に用いられるデッキプレートであって、長方形板状のフランジ部2と、フランジ部2の一面2A側から突出した複数のリブ3と、フランジ部2の長手方向の端部においてリブ3が潰されたエンドクローズ部4と、を備え、長手方向の少なくとも一方側の端部におけるエンドクローズ部4が、フランジ部2に対して交差するように他面2B側に向かって延びる交差板部43を有して屈曲されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造部の型枠に用いられるデッキプレートであって、
長方形板状のフランジ部と、
前記フランジ部の一面側から突出した複数のリブと、
前記フランジ部の長手方向の端部において前記リブが潰されたエンドクローズ部と、を備え、
前記長手方向の少なくとも一方側の端部における前記エンドクローズ部が、前記フランジ部に対して交差するように他面側に向かって延びる交差板部を有して屈曲されていることを特徴とするデッキプレート。
【請求項2】
前記交差板部は、前記フランジ部に対して直交するように延びることを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のデッキプレートを用いたデッキ工法であって、
前記交差板部をコンクリート止めとして用いることを特徴とするデッキ工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキプレート及びデッキ工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築構造物の床スラブや天井スラブを構築する際に用いられるデッキプレートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたデッキプレートは、平坦形状のフランジ部と、フランジ部から突出した複数のリブと、を備えており、フランジ部と一体に形成されたリブにより、デッキプレートの強度向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-138138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようなデッキプレートでは、長手方向の両端部においてリブが潰されることによりエンドクローズ部が形成されており、デッキプレートの両端部を梁の上側に載置することができるようになっている。このようなデッキプレート上にコンクリートを打設する際、デッキプレートがコンクリート下面の型枠となる。このとき、床スラブ等の端部には、側面の型枠としてのコンクリート止めをさらに設置する必要があり、さらにはコンクリートの側圧に対する補強も必要となることから、施工作業の省力化が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工作業を省力化することができるデッキプレート及びデッキ工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るデッキプレートは、鉄筋コンクリート構造部の型枠に用いられるデッキプレートであって、長方形板状のフランジ部と、前記フランジ部の一面側から突出した複数のリブと、前記フランジ部の長手方向の端部において前記リブが潰されたエンドクローズ部と、を備え、前記長手方向の少なくとも一方側の端部における前記エンドクローズ部が、前記フランジ部に対して交差するように他面側に向かって延びる交差板部を有して屈曲されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係るデッキプレートにおいて、前記交差板部は、前記フランジ部に対して直交するように延びる。
【0008】
一方、本発明に係るデッキ工法は、上記のデッキプレートを用いたデッキ工法であって、前記交差板部をコンクリート止めとして用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るデッキプレート及びデッキ工法によれば、施工作業を省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るデッキプレートを示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るデッキプレートの製造途中段階の様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係るデッキプレート1を示す斜視図であり、図2は、デッキプレート1の製造途中段階の様子を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るデッキプレート1は、鉄筋コンクリート構造部(例えば床スラブや天井スラブ等)の型枠に用いられるデッキプレートであって、長方形板状のフランジ部2と、フランジ部2の一面2A側から突出した複数のリブ3と、フランジ部2の長手方向の端部においてリブ3が潰されたエンドクローズ部4と、を備え、長手方向の少なくとも一方側の端部におけるエンドクローズ部4が、フランジ部2に対して交差するように他面2B側に向かって延びる交差板部43を有して屈曲されている。以下、デッキプレート1について具体的に説明する。
【0014】
以下では、長方形板状のフランジ部2の長辺方向をX方向とし、短辺方向をY方向とし、板に直交する方向をZ方向とする。また、図1における下側をZ方向の一方側とし、上側を他方側とする。
【0015】
デッキプレート1は、例えばフラットデッキであって、全体が1枚の薄鋼板により形成されている。デッキプレート1の表面には、溶融亜鉛メッキ等の耐食加工が適宜に施されていてもよい。
【0016】
フランジ部2は、複数の板部20によって構成されている。板部20は、X方向を長辺方向とする長方形板状に形成され、複数の板部20がY方向に並んでいる。複数の板部20は、リブ3を介して互いに一体に形成されている。フランジ部2のうち、リブ3が設けられる側の面(Z方向における一方側の面)を一面2Aとし、その反対側の面(Z方向における他方側の面)を他面2Bとする。他面2Bには、剛性向上を目的としてエンボス加工や突条部加工等が施されていてもよい。
【0017】
フランジ部2には、Y方向の一方側の端縁に、一面2A側に向かって屈曲された係止部が形成されていてもよい。係止部は、複数のデッキプレートを連結するために形成された部位であり、1つのデッキプレートにおける係止部が、これとY方向に隣り合う他のデッキプレートにおける受容部に挿入されるようになっていればよい。
【0018】
リブ3は、フランジ部2の一面2A側から突出しており、その基端部から先端部に向かうにしたがって(即ち一面2Aから離れるにしたがって)Y方向寸法が大きくなるような断面三角形状に形成されている。即ち、リブ3において基端部は断面の三角形の頂点に位置し、先端部は底辺に位置する。図1においては、1つのリブ3のみが見えているが、3枚の板部20のそれぞれの間にリブ3が設けられており、さらに図1における最も右側(手前側)に位置する板部20の右側端縁にもリブ3が設けられており、即ち合計で3つのリブ3が設けられている。板部20の間に設けられたリブ3は、Y方向両側に位置する板部20のそれぞれと一体に形成されることにより、両側の板部20を接続している。
【0019】
エンドクローズ部4は、図2にも示すように、デッキプレート1のX方向両端部において、リブ3がフランジ部2に沿うとともに同一平面上に位置するように平面状に潰されることで形成された部位である。尚、図2は、後述する交差板部43を形成する前のデッキプレートの様子を示している。エンドクローズ部4において、フランジ部2の一面2Aに沿うようにリブ3が潰されている。また、エンドクローズ部4が形成されることにより、デッキプレート1のX方向両端部が閉塞され、且つ、両端部におけるZ方向寸法が小さくなっている。
【0020】
デッキプレート1のX方向両端部に形成されたエンドクローズ部4のうち一方(図1における下側)には、曲げ加工が施されることにより、フランジ部2の延長面上に位置する平坦部41と、平坦部41から他面2B側に向かって直角又は略直角に屈曲された屈曲部42と、屈曲部42から他面2B側に向かって延びる交差板部43と、が形成される。交差板部43は、YZ平面に沿って延び、即ちXY平面に沿ったフランジ部2に対して直交するように延びる。尚、図示の例では、交差板部43のうち外側を向いた面(一面2Aに対応した面)の詳細な描写を省略しており、実際には、板部20同士の境界線やリブ3を潰した跡等が存在する。
【0021】
上記のようなデッキプレート1は、エンドクローズ部4が梁のフランジ部の上面に載置された状態でコンクリートが打設される。このとき、フランジ部2がコンクリートの荷重を主に受ける面(板部)となる。さらに、X方向の一方の端部において、交差板部43がコンクリートの側圧を受ける面(板部)となり、デッキプレート1上からコンクリートが流出しないようになっている。即ち、交差板部43がコンクリート止めとして機能する。従って、デッキプレート1を用いたデッキ工法では、交差板部43が設けられた部位において、デッキプレート1とは別体のコンクリート止めを設置する必要がない。
【0022】
尚、交差板部43には、梁と固定されるための部位(例えば頭付きスタッドが貫通可能な貫通孔)が形成されていてもよく、これにより、梁との固定強度を向上させることができる。また、一体に形成された鋼板であるフランジ部20及び交差板部43によって、スラブのうち下面及びX方向の一方側の端面を囲むことができ、スラブの耐力及び剛性を向上させることができる。
【0023】
デッキプレート1において、交差板部43のZ方向寸法は、スラブ厚に応じて(例えばスラブ厚と略等しい又は若干大きい寸法を有するように)設定されればよい。エンドクローズ部4は、リブ3が潰されて形成されることで充分な強度を有しており、スラブ厚が大きい(例えば300mm)場合であっても、コンクリートの側圧によって変形しにくい(例えば、交差板部43の先端部の変位量を1mm未満とし、屈曲部42の角度変化量を1°未満としやすい)。
【0024】
また、コンクリート打設時には、複数の梁によって囲まれて床スラブ等が構成される範囲に複数のデッキプレートが用いられ、複数のデッキプレートがX方向及びY方向に敷き並べられる。このような複数のデッキプレートをデッキプレート組と呼ぶ。デッキプレート組の全体のうちX方向の端縁や床スラブ等の端部に位置するデッキプレートにおいて、この端縁の位置に交差板部43が形成されていればよい。尚、X方向に1枚のデッキプレートしか並ばない場合には、このデッキプレートのX方向両端部に交差板部43を設けることが好ましい。
【0025】
このように、本発明の実施の形態に係るデッキプレート1によれば、エンドクローズ部4が、フランジ部2に対して直交するように他面2B側に向かって延びる交差板部43を有することで、交差板部43をコンクリート止めとして機能させ、別体のコンクリート止めを設ける作業を省略し、施工作業を省力化することができる。
【0026】
尚、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、上記の本発明の実施の形態では、屈曲部42が直角又は略直角に形成され、交差板部43がフランジ部2に対して直交するように延びるものとしたが、交差板部は、フランジ部との直交方向に対して多少の傾きを有していてもよい。コンクリートの側圧によって屈曲部や交差板部に変形が生じやすい場合には、変形量に応じて屈曲部を予め鋭角に形成しておいてもよい。
【0027】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係るデッキプレートに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0028】
1…デッキプレート、2…フランジ部、3…リブ、4…エンドクローズ部、43…交差板部
図1
図2