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特開2022-123716コンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123716
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】コンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/36 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
B65G15/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021208
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】遠周 宏純
【テーマコード(参考)】
3F024
【Fターム(参考)】
3F024AA19
3F024CA01
3F024CA04
3F024CA08
3F024CB03
3F024CB10
3F024CB13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンベヤベルトを使用等する顧客にとって有利なコンベヤベルトの仕様の提案を支援する、コンベヤベルト仕様提案支援システム及びコンベヤベルト仕様提案支援方法を提供する。
【解決手段】コンベヤベルト仕様提案支援システムで、処理部は現在コード径を含むコンベヤベルトの現在仕様の受付ける入力受付処理と、現在コード径に基づき、標準コード径一覧から1つの標準コード径を選択する、現在仕様のうち現在コード径を標準コード径選択処理で選択した標準コード径に置き換えてなる第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が、現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下か判断する、第1コード先端応力判断処理で第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が現在仕様のコード先端応力と同等以下であると判断した場合に、第1新仕様を提案する仕様として決定する提案仕様決定処理を行うように構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードを備えたコンベヤベルトの仕様の顧客への提案を支援する、コンベヤベルト仕様提案支援システムであって、
入力部と、
処理部と、
記憶部と、
を備え、
前記記憶部は、標準コード径の一覧である標準コード径一覧を記憶しており、
前記処理部は、
前記入力部の操作による、コンベヤベルトの現在コード径を含む前記コンベヤベルトの現在仕様の入力を、受け付ける、入力受付処理と、
前記現在コード径に基づき、前記標準コード径一覧から、1つの前記標準コード径を選択する、標準コード径選択処理と、
前記現在仕様のうち前記現在コード径を前記標準コード径選択処理で選択した前記標準コード径に置き換えてなる第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が、前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下であるかを判断する、第1コード先端応力判断処理と、
前記第1コード先端応力判断処理において前記第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下であると判断した場合に、前記第1新仕様を、提案する仕様として決定する、提案仕様決定処理と、
を行うように構成されている、コンベヤベルト仕様提案支援システム。
【請求項2】
前記記憶部は、顧客が所有する加硫機の一覧である顧客所有加硫機一覧をさらに記憶しており、
前記処理部は、
前記第1コード先端応力判断処理において前記第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等よりも大きいと判断した場合に、前記第1新仕様のうちステップ長さをより長くしてなる第2新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下になるかを判断する、第2コード先端応力判断処理と、
前記第2コード先端応力判断処理において前記第2新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下になると判断した場合に、前記第2新仕様のコンベヤベルトの接続部が前記顧客所有加硫機一覧にある前記加硫機のいずれかによって施工可能であるかを判断する、施工可否判断処理と、
をさらに行うように構成されており、
前記処理部は、前記施工可否判断処理において、前記第2新仕様のコンベヤベルトの接続部が前記顧客所有加硫機一覧にある前記加硫機のいずれかによって施工可能であると判断した場合に、前記提案仕様決定処理において、前記第2新仕様を、提案する仕様として決定する、請求項1に記載のコンベヤベルト仕様提案支援システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記標準コード径選択処理において、
前記現在コード径と前記標準コード径一覧とを比較し、前記標準コード径一覧に、前記現在コード径と同じ前記標準コード径が含まれているかを判断する、コード径比較処理と、
前記コード径比較処理において前記標準コード径一覧に前記現在コード径と同じ前記標準コード径が含まれていると判断した場合に、前記現在コード径と同じ前記標準コード径を選択する、同一標準コード径選択処理と、
前記コード径比較処理において前記標準コード径一覧に前記現在コード径と同じ前記標準コード径が含まれていないと判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部の構造が所定許容範囲内であるかを判断する、接続部構造判断処理と、
前記接続部構造判断処理において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を選択する、隣接標準コード径選択処理と、
をさらに行うように構成されている、請求項1又は2に記載のコンベヤベルト仕様提案支援システム。
【請求項4】
前記接続部構造判断処理において、前記処理部は、前記コード径比較処理において前記標準コード径一覧に前記現在コード径と同じ前記標準コード径が含まれていないと判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側及び小径側にそれぞれ隣接する一対の前記標準コード径のそれぞれについて、当該標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であるかを判断し、
前記隣接標準コード径選択処理において、前記処理部は、
(a)前記接続部構造判断処理において、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断し、かつ、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の小径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内ではないと判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を選択し、
(b)前記接続部構造判断処理において、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内ではないと判断し、かつ、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の小径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の小径側に隣接する前記標準コード径を選択し、
(c)前記接続部構造判断処理において、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断し、かつ、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の小径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を選択する、
請求項3に記載のコンベヤベルト仕様提案支援システム。
【請求項5】
前記記憶部は、顧客が所有する加硫機の一覧である顧客所有加硫機一覧をさらに記憶しており、
前記接続部構造判断処理において、前記処理部は、
(a)前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部のステップ数が前記現在仕様のコンベヤベルトと同じであると判断した場合、かつ、
(b)前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部が前記顧客所有加硫機一覧にある前記加硫機のいずれかによって施工可能であると判断した場合
に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断する、請求項3又は4に記載のコンベヤベルト仕様提案支援システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記入力受付処理において、前記入力部の操作による、施工時間短縮の要求の有無の入力を、さらに受け付けるようにされており、
前記処理部は、前記標準コード径選択処理において、
前記同一標準コード径選択処理又は前記隣接標準コード径選択処理の後に、前記入力受付処理において施工時間短縮の要求があると入力されたかを判断する、短縮要求判断処理と、
前記短縮要求判断処理において、前記入力受付処理において施工時間短縮の要求があると入力されたと判断した場合に、前記標準コード径一覧から、前記同一標準コード径選択処理又は前記隣接標準コード径選択処理で選択した前記標準コード径よりも大径の前記標準コード径を選択する、大径標準コード径選択処理と、
をさらに行うように構成されている、請求項3~5のいずれか一項に記載のコンベヤベルト仕様提案支援システム。
【請求項7】
コードを備えたコンベヤベルトの仕様の顧客への提案を支援する、コンベヤベルト仕様提案支援システムを用いた、コンベヤベルト仕様提案支援方法であって、
前記コンベヤベルト仕様提案支援システムは、
入力部と、
処理部と、
記憶部と、
を備え、
前記記憶部は、標準コード径の一覧である標準コード径一覧を記憶しており、
前記コンベヤベルト仕様提案支援方法は、
前記処理部が、前記入力部の操作による、コンベヤベルトの現在コード径を含む前記コンベヤベルトの現在仕様の入力を、受け付ける、入力受付ステップと、
前記処理部が、前記現在コード径に基づき、前記標準コード径一覧から、1つの前記標準コード径を選択する、標準コード径選択ステップと、
前記処理部が、前記現在仕様のうち前記現在コード径を前記標準コード径選択ステップで選択した前記標準コード径に置き換えてなる第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が、前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下であるかを判断する、第1コード先端応力判断ステップと、
前記処理部が、前記第1コード先端応力判断ステップにおいて前記第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下であると判断した場合に、前記第1新仕様を、提案する仕様として決定する、提案仕様決定ステップと、
を含む、コンベヤベルト仕様提案支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コードを備えたコンベヤベルトがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/024777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、コンベヤベルトを使用等する顧客にとって例えばコスト面等から有利なコンベヤベルトの仕様の提案をするための手法が、十分に確立されていなかった。
【0005】
本発明は、コンベヤベルトを使用等する顧客にとって有利なコンベヤベルトの仕様の提案を支援することができる、コンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システムは、
コードを備えたコンベヤベルトの仕様の顧客への提案を支援する、コンベヤベルト仕様提案支援システムであって、
入力部と、
処理部と、
記憶部と、
を備え、
前記記憶部は、標準コード径の一覧である標準コード径一覧を記憶しており、
前記処理部は、
前記入力部の操作による、コンベヤベルトの現在コード径を含む前記コンベヤベルトの現在仕様の入力を、受け付ける、入力受付処理と、
前記現在コード径に基づき、前記標準コード径一覧から、1つの前記標準コード径を選択する、標準コード径選択処理と、
前記現在仕様のうち前記現在コード径を前記標準コード径選択処理で選択した前記標準コード径に置き換えてなる第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が、前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下であるかを判断する、第1コード先端応力判断処理と、
前記第1コード先端応力判断処理において前記第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下であると判断した場合に、前記第1新仕様を、提案する仕様として決定する、提案仕様決定処理と、
を行うように構成されている。
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システムによれば、コンベヤベルトを使用等する顧客にとって有利なコンベヤベルトの仕様の提案を支援することができる。
【0007】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システムにおいて、
前記記憶部は、顧客が所有する加硫機の一覧である顧客所有加硫機一覧をさらに記憶しており、
前記処理部は、
前記第1コード先端応力判断処理において前記第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等よりも大きいと判断した場合に、前記第1新仕様のうちステップ長さをより長くしてなる第2新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下になるかを判断する、第2コード先端応力判断処理と、
前記第2コード先端応力判断処理において前記第2新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下になると判断した場合に、前記第2新仕様のコンベヤベルトの接続部が前記顧客所有加硫機一覧にある前記加硫機のいずれかによって施工可能であるかを判断する、施工可否判断処理と、
をさらに行うように構成されており、
前記処理部は、前記施工可否判断処理において、前記第2新仕様のコンベヤベルトの接続部が前記顧客所有加硫機一覧にある前記加硫機のいずれかによって施工可能であると判断した場合に、前記提案仕様決定処理において、前記第2新仕様を、提案する仕様として決定すると、好適である。
これにより、接続部をさらに考慮しつつ、顧客にとって有利な仕様の提案を支援することができる。
【0008】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システムにおいて、
前記処理部は、前記標準コード径選択処理において、
前記現在コード径と前記標準コード径一覧とを比較し、前記標準コード径一覧に、前記現在コード径と同じ前記標準コード径が含まれているかを判断する、コード径比較処理と、
前記コード径比較処理において前記標準コード径一覧に前記現在コード径と同じ前記標準コード径が含まれていると判断した場合に、前記現在コード径と同じ前記標準コード径を選択する、同一標準コード径選択処理と、
前記コード径比較処理において前記標準コード径一覧に前記現在コード径と同じ前記標準コード径が含まれていないと判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部の構造が所定許容範囲内であるかを判断する、接続部構造判断処理と、
前記接続部構造判断処理において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を選択する、隣接標準コード径選択処理と、
をさらに行うように構成されていると、好適である。
これにより、顧客に提案する新規の仕様のコード径を標準コード径に適切に落とし込むことができる。
【0009】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システムにおいて、
前記接続部構造判断処理において、前記処理部は、前記コード径比較処理において前記標準コード径一覧に前記現在コード径と同じ前記標準コード径が含まれていないと判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側及び小径側にそれぞれ隣接する一対の前記標準コード径のそれぞれについて、当該標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であるかを判断し、
前記隣接標準コード径選択処理において、前記処理部は、
(a)前記接続部構造判断処理において、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断し、かつ、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の小径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内ではないと判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を選択し、
(b)前記接続部構造判断処理において、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内ではないと判断し、かつ、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の小径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の小径側に隣接する前記標準コード径を選択し、
(c)前記接続部構造判断処理において、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断し、かつ、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の小径側に隣接する前記標準コード径を用いた場合にコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断した場合に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径の大径側に隣接する前記標準コード径を選択すると、好適である。
これにより、顧客に提案する新規の仕様のコード径を標準コード径により適切に落とし込むことができる。
【0010】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システムにおいて、
前記記憶部は、顧客が所有する加硫機の一覧である顧客所有加硫機一覧をさらに記憶しており、
前記接続部構造判断処理において、前記処理部は、
(a)前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部のステップ数が前記現在仕様のコンベヤベルトと同じであると判断した場合、かつ、
(b)前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部が前記顧客所有加硫機一覧にある前記加硫機のいずれかによって施工可能であると判断した場合
に、前記標準コード径一覧において前記現在コード径に隣接する前記標準コード径を用いた場合のコンベヤベルトの接続部の構造が前記所定許容範囲内であると判断すると、好適である。
これにより、接続部をさらに考慮して、顧客にとって有利な仕様の提案を支援することができる。
【0011】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システムにおいて、
前記処理部は、前記入力受付処理において、前記入力部の操作による、施工時間短縮の要求の有無の入力を、さらに受け付けるようにされており、
前記処理部は、前記標準コード径選択処理において、
前記同一標準コード径選択処理又は前記隣接標準コード径選択処理の後に、前記入力受付処理において施工時間短縮の要求があると入力されたかを判断する、短縮要求判断処理と、
前記短縮要求判断処理において、前記入力受付処理において施工時間短縮の要求があると入力されたと判断した場合に、前記標準コード径一覧から、前記同一標準コード径選択処理又は前記隣接標準コード径選択処理で選択した前記標準コード径よりも大径の前記標準コード径を選択する、大径標準コード径選択処理と、
をさらに行うように構成されていると、好適である。
これにより、施工時間短縮の要求がある場合に、当該要求に応えることができる。
【0012】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援方法は、
コードを備えたコンベヤベルトの仕様の顧客への提案を支援する、コンベヤベルト仕様提案支援システムを用いた、コンベヤベルト仕様提案支援方法であって、
前記コンベヤベルト仕様提案支援システムは、
入力部と、
処理部と、
記憶部と、
を備え、
前記記憶部は、標準コード径の一覧である標準コード径一覧を記憶しており、
前記コンベヤベルト仕様提案支援方法は、
前記処理部が、前記入力部の操作による、コンベヤベルトの現在コード径を含む前記コンベヤベルトの現在仕様の入力を、受け付ける、入力受付ステップと、
前記処理部が、前記現在コード径に基づき、前記標準コード径一覧から、1つの前記標準コード径を選択する、標準コード径選択ステップと、
前記処理部が、前記現在仕様のうち前記現在コード径を前記標準コード径選択ステップで選択した前記標準コード径に置き換えてなる第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が、前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下であるかを判断する、第1コード先端応力判断ステップと、
前記処理部が、前記第1コード先端応力判断ステップにおいて前記第1新仕様のコンベヤベルトのコード先端応力が前記現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等以下であると判断した場合に、前記第1新仕様を、提案する仕様として決定する、提案仕様決定ステップと、
を含む。
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援方法によれば、コンベヤベルトを使用等する顧客にとって有利なコンベヤベルトの仕様の提案を支援することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンベヤベルトを使用等する顧客にとって有利なコンベヤベルトの仕様の提案を支援することができる、コンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るコンベヤベルト仕様提案支援システムを概略的に示す、ブロック図である。
図2図1の標準コード径一覧の一例を説明するためのイメージ図面である。
図3図1の顧客所有加硫機一覧の一例を説明するためのイメージ図面である。
図4】本発明の一実施形態に係るコンベヤベルト仕様提案支援方法を示す、フローチャートである。
図5】コンベヤベルトを備えたベルトコンベヤの一例を概略的に示す、概略図である。
図6図5のコンベヤベルトのうち、破線で囲った部分を、拡大してベルト周方向断面により示す、ベルト周方向断面図である。
図7】1ステップ構造を有する接続部の一例を、接続部カバーゴムを省略した状態で概略的に示す、平面図である。
図8】2ステップ構造を有する接続部の一例を、接続部カバーゴムを省略した状態で概略的に示す、平面図である。
図9】3ステップ構造を有する接続部の一例を、接続部カバーゴムを省略した状態で概略的に示す、平面図である。
図10】コード先端応力を説明するためのイメージ図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法は、例えば採鉱現場や建設現場等において様々な搬送物を運搬するために使用されるとともにコードを備えたコンベヤベルトに関し、仕様を顧客へ提案するのを支援するために使用されると、好適なものである。
以下、本発明に係るコンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0016】
〔コンベヤベルト〕
本発明に係るコンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法の実施形態を説明する前に、まず、図5図9を参照しつつ、コード20を備えたコンベヤベルト1の一般的な構成について、説明する。
図5は、コンベヤベルト1を備えたベルトコンベヤ2の一例を、概略的に示している。コンベヤベルト1は、例えば採鉱現場や建設現場等において様々な搬送物を運搬するために使用される。図5のベルトコンベヤ2は、コンベヤベルト1に加え、一対のプーリP1、P2と、ホッパHと、を備えている。コンベヤベルト1は、無端帯状に構成されており、一対のプーリP1、P2の周りに巻き掛けられている。一対のプーリP1、P2は、それぞれ、コンベヤベルト1のベルト幅方向に延在する回転軸の周りで回転可能に構成されている。一対のプーリP1、P2のうち、一方のプーリP1は、ヘッドプーリと呼ばれるものであり、駆動プーリである。一対のプーリP1、P2のうち、他方のプーリP2は、テールプーリと呼ばれるものであり、従動プーリである。これら一対のプーリP1、P2の駆動により、コンベヤベルト1は、ベルト周方向(図5では右回り)に回転される。ベルトコンベヤ2は、これら一対のプーリP1、P2どうしの間においてコンベヤベルト1を支持するように構成された1つ又は複数のローラ(図示せず)を備えていてもよい。
本明細書で説明する各例において、ベルトコンベヤ2は、図示する構成とは異なる任意の構成を有してよい。
【0017】
なお、本明細書においては、コンベヤベルト1の「周方向」、「厚み方向」、「幅方向」、「内周側」、「外周側」を、それぞれ、「ベルト周方向」、「ベルト厚み方向」、「ベルト幅方向」、「ベルト内周側」、「ベルト外周側」ともいう。コンベヤベルト1の「厚み方向(ベルト厚み方向)」は、コンベヤベルト1の「周方向(ベルト周方向)」及び「幅方向(ベルト幅方向)」に対して垂直な方向である。
【0018】
コンベヤベルト1のうち、テールプーリP2からヘッドプーリP1に向かって走行する部分は、キャリア側部分であり、ホッパHから投下された搬送物Mを載せた状態で走行する。コンベヤベルト1のキャリア側部分では、コンベヤベルト1の外周面1oが、鉛直方向上側の面となり、搬送物Mの搬送面となるのに対し、コンベヤベルト1の内周面1iは、鉛直方向下側の面となる。コンベヤベルト1のキャリア側部分は、そのベルト幅方向両側の端部分が上側に向かって曲げられた状態で走行してもよく、それにより、搬送物Mが搬送面からこぼれ落ちるのを抑制することができる。ただし、コンベヤベルト1のキャリア側部分は、ベルト幅方向に沿って略平坦状に展開された状態で走行してもよい。コンベヤベルト1のキャリア側部分によって搬送された搬送物Mは、ヘッドプーリP1の近傍に設けられた荷降ろし部(図示せず)に投下される。
一方、コンベヤベルト1のうち、ヘッドプーリP1からテールプーリP2に向かって走行する部分は、リターン側部分である。コンベヤベルト1のリターン側部分では、その全部又は大部分において、コンベヤベルト1の外周面1oが、鉛直方向下側の面となり、コンベヤベルト1の内周面1iは、鉛直方向上側の面となる。コンベヤベルト1のリターン側部分は、図の例において、コンベヤベルト1のキャリア側部分に対し、鉛直方向下側に位置している。コンベヤベルト1のリターン側部分は、例えば、ベルト幅方向に沿って略平坦状に展開された状態で走行する。
【0019】
図6は、図5のコンベヤベルト1のうち、破線で囲った部分(主に、後述の接続部1j)を、拡大してベルト周方向断面により示している。
図6に示すように、コンベヤベルト1は、カバーゴム10と、複数のコード20と、を備えている。
【0020】
カバーゴム10は、ゴムで構成されている。カバーゴム10は、コンベヤベルト1の外表面(外周面1о、内周面1i、及び、一対の側面)を形成している。
【0021】
複数のコード20は、ベルト幅方向に沿って配列されているとともに、それぞれベルト周方向に沿って延在している。これら複数のコード20は、互いに同じベルト厚み方向位置に位置している。複数のコード20は、コンベヤベルト1の芯体としての機能を有する。複数のコード20は、カバーゴム10に埋設されている。コード20は、スチールコードであると好適である。1本のコード20は、1本の単繊維のみで構成されてもよいし、あるいは、複数本の単繊維が撚られ又は束ねられてなるものでもよい。
コンベヤベルト1は、芯体として、複数のコード20に加えて、カバーゴム10の内部に、有機繊維(ナイロン、ポリエステル、アラミド等からなる繊維)からなる帆布を、1つ又は複数有してもよい。
【0022】
図6に示すように、カバーゴム10のうち、複数のコード20よりもベルト外周側に位置する部分は、外周側カバーゴム10оであり、カバーゴム10のうち、複数のコード20よりもベルト内周側に位置する部分は、内周側カバーゴム10iである。
【0023】
図7図9は、それぞれ図6に示す部分の構成の別々の例を平面図により示しており、カバーゴム10の一部(後述の接続部カバーゴム12)の図示を省略している。
図5図9に示すように、コンベヤベルト1は、1つ又は複数(図5の例では、3つ)の本体部1mと、当該1つ又は複数の本体部1mのベルト周方向の端部1m1、1m2どうしを接続する、1つ又は複数(図5の例では、3つ)の接続部1jと、を有している。本体部1mと接続部1jとは、それぞれ、コンベヤベルト1のベルト周方向の一部分を構成しており、帯状である。本体部1mと接続部1jとは、ベルト周方向に沿って交互に配置されている。
図5の例のようにコンベヤベルト1が本体部1mを複数有する場合、接続部1jは、互いにベルト周方向に隣接する一対の本体部1mにおける、互いにベルト周方向に隣接する一対のベルト周方向の端部1m1、1m2どうしを接続する。一方、コンベヤベルト1が本体部1mを1つのみ有する場合、接続部1jは、当該本体部1mの一対のベルト周方向の端部1m1、1m2どうしを接続する。
【0024】
図6に示すように、本体部1mは、カバーゴム10と複数のコード20とを有している。本明細書では、カバーゴム10のうち、本体部1mを構成する部分を、「本体部カバーゴム11」という。本体部1mでは、カバーゴム10の内部で複数のコード20が連続的に延在している。本体部カバーゴム11のベルト周方向端部は、図6に示すように、それぞれの外周面及び内周面が、接続部1jのベルト周方向中心に向かうにつれて徐々にベルト厚み方向の内側へ向かうように、先細り状に構成されてもよい。
図7図9に示すように、平面視において、本体部1mのベルト周方向の端部1m1、1m2の先端1m1e、1m2eは、通常、互いに平行であり、かつ、ベルト幅方向に対して非垂直に傾斜した方向に延在する。ただし、本体部1mのベルト周方向の端部1m1、1m2の先端1m1e、1m2eは、ベルト幅方向に対して平行に延在してもよい。本明細書では、平面視において本体部1mのベルト周方向の端部1m1、1m2の先端1m1e、1m2eが延在する方向を「接続部幅方向」という。
【0025】
図6に示すように、接続部1jは、カバーゴム10と複数のコード20とを有している。本明細書では、カバーゴム10のうち、接続部1jを構成する部分を、「接続部カバーゴム12」という。上述のように、図7図9では、接続部カバーゴム12の図示を省略している。接続部カバーゴム12は、互いにベルト周方向に隣接する一対の本体部カバーゴム11のベルト周方向の端部同士を接続している。接続部1jでは、カバーゴム10の内部で、上記複数のコード20のベルト周方向の先端201、202が位置している。具体的に、接続部1jでは、カバーゴム10(具体的には、接続部カバーゴム12)の内部で、当該接続部1jに対しベルト周方向一方側(図6図9では左側)に位置する、本体部1mのベルト周方向の端部1m1(以下、「第1ベルト周方向端部(1m1)」という。)から、ベルト周方向他方側(図6図9では右側)へ延在し当該接続部1j内で終端する、複数のコード20(以下、「第1コード部分(21)」という。)のそれぞれのベルト周方向他方側の先端201と、当該接続部1jに対しベルト周方向他方側(図6図9では右側)に位置する、本体部1m(前記本体部1mと異なる又は同じであり得る。)のベルト周方向の端部1m2(以下、「第2ベルト周方向端部(1m2)」という。)から、ベルト周方向一方側(図6図9では左側)へ延在し当該接続部1j内で終端する、複数のコード20(以下、「第2コード部分(22)」という。)のそれぞれのベルト周方向一方側の先端202とが、位置している。
【0026】
一般的に、接続部1jにおけるコード20の配置構造として、様々なステップ構造がある。図7図9は、そのうち3つの例を概略的に示している。ステップ構造については、例えば、ドイツ工業規格DIN 22110において記載されている。第1コード部分21及び第2コード部分22どうしが接続部幅方向に重なり合う部分(ただし、場合によってはベルト幅方向中央に位置する第1コード部分21及び第2コード部分22を除いて観る。)は、「ステップ」と呼ばれる。1つの接続部1j内にベルト周方向に沿ってステップがN個存在する場合、その接続部1jのステップ構造は、「Nステップ構造」と呼ばれる。ステップのベルト周方向の長さを、「ステップ長さ(SL)」という。1つの接続部1j内におけるベルト周方向に沿ったステップの数を「ステップ数」という。ステップ数が2以上である場合、各ステップどうしの間の隙間は、互いに突き合わせて配置された第1コード部分21及び第2コード部分22どうしの間の隙間に対応する。ステップ数が2以上である場合、各ステップのステップ長さSLどうしは、同じであり得る。
図7は、1ステップ構造の一例を示している。ベルト幅方向中央に位置する第1コード部分21及び第2コード部分22を除き、第1コード部分21及び第2コード部分22として、それぞれ1種類の長さのものが用いられており、第1コード部分21と第2コード部分22とがベルト幅方向に沿って交互に配置されている。図7の例では、ベルト幅方向中央に位置する第1コード部分21及び第2コード部分22どうしが突き合わせて配置されているが、この構成は必須ではない。
図8は、2ステップ構造の一例を示している。第1コード部分21及び第2コード部分22として、それぞれ2種類の長さのものが用いられている。
図9は、3ステップ構造の一例を示している。第1コード部分21及び第2コード部分22として、それぞれ3種類の長さのものが用いられている。
ステップ構造には、1ステップ構造、2ステップ構造、3ステップ構造の他に、4ステップ構造、5ステップ構造、6ステップ構造、7ステップ構造等が存在する。
一般的に、ステップ数が多いほど、接続部1jのベルト周方向長さやベルト幅方向長さが長くなる傾向があり、また、接続部1jの施工に掛かる作業量が多くなる傾向がある。
【0027】
ここで、コンベヤベルト1の接続部1jを施工する方法を説明する。
まず、予め準備された1つ又は複数の本体部1mにおける一対のベルト周方向の端部(第1ベルト周方向端部1m1、第2ベルト周方向端部1m2)のそれぞれにおいて、カバーゴム10を除去することにより、複数のコード20(具体的には、複数の第1コード部分21及び複数の第2コード部分22)を、露出させる。
その後、例えば図7図9のように、上記1つ又は複数の本体部のうち、カバーゴム10の除去が行われた一対のベルト周方向の端部(第1ベルト周方向端部1m1、第2ベルト周方向端部1m2)どうしをベルト周方向に対向させた状態で、露出された複数の第1コード部分21及び複数の第2コード部分22を、所望のステップ構造となるように配置する。
その後、複数の第1コード部分21及び複数の第2コード部分22のベルト外周側及びベルト内周側に、接続部カバーゴム12を構成するための未加硫ゴムを配置する。これにより、未加硫状態における接続部1jが完成する。
その後、加硫機によって、上記未加硫ゴムを加硫する。当該未加硫ゴムが加硫されることによって、接続部カバーゴム12が形成され、ひいては、接続部1jが形成される。それにより、当該接続部1jに対しベルト周方向の両側の、本体部1mの一対のベルト周方向の端部(第1ベルト周方向端部1m1、第2ベルト周方向端部1m2)どうしが、接続部1jを介して接合される。
【0028】
〔コンベヤベルト仕様提案支援システム〕
つぎに、図1図3を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るコンベヤベルト仕様提案支援システム3の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るコンベヤベルト仕様提案支援システム3を概略的に示すブロック図である。コンベヤベルト仕様提案支援システム3は、コード20を備えたコンベヤベルト1の仕様を顧客へ提案するのを支援するように、構成されている。
コンベヤベルト仕様提案支援システム3のユーザは、例えば、コンベヤベルト1の製造メーカーであり得る。顧客は、例えば、コンベヤベルト1を使用する者である。コンベヤベルト仕様提案支援システム3のユーザは、顧客が現在使用しているコンベヤベルト1から新規のコンベヤベルト1に交換する場合に、新規のコンベヤベルト1の仕様を顧客に提案するために、コンベヤベルト仕様提案支援システム3を使用することができる。
【0029】
コンベヤベルト仕様提案支援システム3は、処理部31と、記憶部33と、入力部32と、出力部34と、を備えている。コンベヤベルト仕様提案支援システム3は、1つの装置(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、タブレット等)から構成されてもよいし、あるいは、複数の装置から構成されてもよい。
【0030】
処理部31は、記憶部33に記憶されたプログラム331を実行することにより、記憶部33、入力部32、及び出力部34を含む、コンベヤベルト仕様提案支援システム3の全体を制御するように構成されている。処理部31の具体的な処理については、後述する。
処理部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを1つ又は複数含んで構成される。
処理部31と、記憶部33、入力部32、及び出力部34のそれぞれとの間の通信は、有線通信であってもよいし無線通信であってもよい。
【0031】
記憶部33は、処理部31によって実行されるプログラム331と、標準コード径一覧332と、顧客所有加硫機一覧333とを、記憶している。
記憶部33は、例えば、1つ又は複数のROMや1つ又は複数のRAM等から構成される。また、記憶部33は、メモリカード(USB等)のような外部記憶装置から構成されてもよい。また、記憶部33は、処理部31を構成するプロセッサの内部メモリであってもよい。
記憶部33は、接続部1jのステップ構造におけるステップ数とステップ長さとを対応付けた、ステップ長さ対応表(図示せず)を記憶していると、好適である。なお、本明細書では、ステップ長さ対応表に登録されたステップ長さを、「標準ステップ長さ」という。ステップ長さ対応表については、後述の第1コード先端応力判断ステップS30で用いる。
【0032】
標準コード径一覧332は、図2に一例を示すように、コンベヤベルト1のコード20のコード径(mm)の一覧である。本明細書では、標準コード径一覧332に登録されたコード径を、「標準コード径」と呼ぶ。標準コード径一覧332に登録された標準コード径のコード20は、例えばコンベヤベルト仕様提案支援システム3のユーザ(例えば、コンベヤベルト1の製造メーカー)によって在庫が確保されている等して、手配しやすい状態にある。標準コード径一覧332は、図2の例のように、標準コード径(mm)とコード強力(kN/本)とを対応付けて登録していると、好適である。
【0033】
顧客所有加硫機一覧333は、図3に一例を示すように、顧客が所有する加硫機の一覧である。加硫機は、コンベヤベルト1の接続部1jの施工時に用いられる。顧客所有加硫機一覧333は、図3の例のように、加硫機毎に、加硫機の寸法を登録していると、好適である。例えば、顧客所有加硫機一覧333は、図3の例のように、加硫機毎に、加硫機の幅及び長さを登録していると、好適である。ここで、加硫機の幅は、加硫機のベルト幅方向に沿う長さを指す。また、加硫機の長さは、加硫機のベルト周方向に沿う長さを指す。より大きな加硫機ほど、より大きな接続部1jを施工可能である。
【0034】
入力部32は、例えばキーボード、マウス、及び/又は押しボタン等から構成され、ユーザからの入力を受け付ける。
【0035】
出力部34は、処理部31で処理した結果、入力部32で入力された情報、記憶部33が記憶する情報等、種々の情報を、出力するように構成されている。出力部34は、表示部341を有する。表示部341は、例えば、ディスプレイ又はモニタ等から構成される。表示部341と入力部32とでタッチパネルを構成してもよい。出力部34は、音声を出力するように構成された音声出力部を有してもよい。音声出力部は、例えば、スピーカー等から構成される。出力部34は、紙等の媒体に印刷するように構成された印刷部を有してもよい。印刷部は、例えば、プリンタ等から構成される。
【0036】
〔コンベヤベルト仕様提案支援方法〕
つぎに、図4を主に参照しつつ、本発明の一実施形態に係るコンベヤベルト仕様提案支援方法について説明する。以下に説明する本実施形態に係るコンベヤベルト仕様提案支援方法は、コード20を備えたコンベヤベルト1の仕様を顧客へ提案するのを支援するために使用されるものであり、上述した本発明の一実施形態に係るコンベヤベルト仕様提案支援システム3(図1)を用いるものである。以下に説明する各ステップS10~S70は、処理部31が、記憶部33に記憶されたプログラム331を実行することにより行うものである。
【0037】
まず、処理部31は、入力受付ステップS10において、ユーザの入力部32の操作による入力を受け付ける、入力受付処理を行う。
入力受付ステップS10(ひいては入力受付処理)において、処理部31は、ユーザによる入力部32の操作によって、顧客が現在使用しているコンベヤベルト1の仕様(以下、「現在仕様」という。)の入力を、受け付ける。入力受付ステップS10で入力を受け付ける現在仕様は、少なくとも、顧客が現在使用しているコンベヤベルト1のコード20のコード径(以下、「現在コード径」という。)を含む。入力受付ステップS10で入力を受け付ける現在仕様は、顧客が現在使用しているコンベヤベルト1の接続部1jのステップ構造に関する情報(例えば、ステップ数等)をさらに含むと、好適である。その他、入力受付ステップS10で入力を受け付ける現在仕様は、例えば、顧客が現在使用しているコンベヤベルト1の強力(N/mm)、幅(ベルト幅方向の長さ)(mm)、外周側カバーゴム10оの厚み(mm)、内周側カバーゴム10iの厚み(mm)、コード20の打ち込み本数(本)、及び、コード20のピッチ(mm)のうち、少なくとも1つを含むと好適である。
入力受付ステップS10(ひいては入力受付処理)において、処理部31は、ユーザによる入力部32の操作によって、顧客からの施工時間短縮の要求の有無の入力を、さらに受け付けると、好適である。これは、後述の短縮要求判断ステップS25を行う場合に行うと、好適である。ただし、施工時間短縮の要求の有無の入力を受け付けることは、必須ではない。
処理部31は、入力受付ステップS10(ひいては入力受付処理)において、入力部32の操作によって種々の情報を入力するための入力欄を表示部341に表示させることで、これらの情報の入力を受け付けるようにしてもよい。
処理部31は、入力受付ステップS10(ひいては入力受付処理)において入力された種々の情報を、記憶部33に格納してもよい。
【0038】
入力受付ステップS10の後、処理部31は、標準コード径選択ステップS20において、入力受付ステップS10で入力された現在コード径に基づき、標準コード径一覧332から、1つの標準コード径を選択する、標準コード径選択処理を行う。
後の説明からわかるように、処理部31は、標準コード径選択ステップS20で選択した標準コード径について、その後のステップS30~S60で問題が無いかを確認し、問題が無ければ、ステップS40において、当該標準コード径を、顧客へ提案する仕様として決定する。
上述のとおり、標準コード径一覧332に登録された標準コード径のコード20は、例えばコンベヤベルト仕様提案支援システム3のユーザ(例えば、コンベヤベルト1の製造メーカー)によって在庫が確保されている等して、手配しやすい状態にある。標準コード径選択ステップS20(ひいては標準コード径選択処理)において標準コード径を選択することにより、顧客に提案する新規の仕様のコード径を標準コード径に落とし込むことができ、ひいては、現在仕様のコンベヤベルト1よりも短納期や低コストなコンベヤベルト1を顧客に提案することが可能になる。よって、顧客にとって有利な仕様の提案を支援することができる。
【0039】
本実施形態において、標準コード径選択ステップS20は、コード径比較ステップS21、同一標準コード径選択ステップS22、接続部構造判断ステップS23、隣接標準コード径選択ステップS24、短縮要求判断ステップS25、及び、大径標準コード径選択ステップS26を含む。ただし、標準コード径選択ステップS20は、ステップS25~S26を含まなくてもよい。
以下、ステップS21~S26について1つずつ説明する。
【0040】
入力受付ステップS10の後、コード径比較ステップS21において、処理部31は、現在コード径と標準コード径一覧332とを比較し、標準コード径一覧332に、現在コード径と同じ標準コード径が含まれているかを判断する、コード径比較処理を行う。
【0041】
処理部31は、コード径比較ステップS21(ひいてはコード径比較処理)において標準コード径一覧332に現在コード径と同じ標準コード径が含まれていると判断した場合に、同一標準コード径選択ステップS22において、現在コード径と同じ標準コード径を選択する、同一標準コード径選択処理を行う。
【0042】
一方、処理部31は、コード径比較ステップS21(ひいてはコード径比較処理)において標準コード径一覧332に現在コード径と同じ標準コード径が含まれていないと判断した場合に、接続部構造判断ステップS23において、標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jの構造が所定許容範囲内であるかを判断する、接続部構造判断処理を行う。ここで、「標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径」とは、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側及び/又は小径側に隣接する標準コード径を意味しており、例えば、現在コード径が5.3mmであり、標準コード径一覧332が図2の例のものである場合、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側に隣接する標準コード径は6mmであり、標準コード径一覧332において現在コード径の小径側に隣接する標準コード径は5mmである。また、「標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1」とは、現在仕様のコンベヤベルト1において、コンベヤベルト1の幅(mm)を一定にし、コンベヤベルト1の強力(N/mm)を下げず、かつ、コード20間のベルト幅方向の隙間を所定間隔以上確保するという条件のもと、コード20のコード径を現在コード径から標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径に置き換えてなるコンベヤベルト1を指している。処理部31は、「標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1」を、例えばFEM解析又は所定の計算等によって特定してもよい。処理部31は、例えば、「標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1」の強力を算出する際等に、標準コード径一覧332において当該標準コード径に対応付けられたコード強力を用いてもよい。現在仕様のコンベヤベルト1と「標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1」とでは、コード20のコード径の他、コード20の打ち込み本数(本)やピッチが異なり得る。このことに伴い、「標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1」は、現在仕様のコンベヤベルト1に比べて、接続部1jのステップ構造及び寸法(ベルト幅方向長さ及びベルト周方向長さ)が異なり得る。接続部1jのステップ構造は、コード20のコード径及びピッチによって決まる。例えば、予め記憶部33に、コード20のコード径と、コード20のピッチと、ステップ構造とを、対応付けた、ステップ構造対応表を記憶しておき、「標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1」の接続部1jのステップ構造を決定するにあたっては、処理部31は、当該コンベヤベルト1のコード20のコード径及びピッチに対して対応付けられたステップ構造を当該ステップ構造対応表から選択するようにしてもよい。
ここで、接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において、処理部31は、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側及び小径側にそれぞれ隣接する一対の標準コード径のそれぞれについて、当該標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jの構造が所定許容範囲内であるかを判断すると、好適である。ここで、「標準コード径一覧332において現在コード径の大径側及び小径側にそれぞれ隣接する一対の標準コード径」とは、例えば、現在コード径が5.3mmであり、標準コード径一覧332が図2の例のものである場合、標準コード径6mm及び5mmである。
【0043】
接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において、処理部31は、
(a)標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jのステップ数が現在仕様のコンベヤベルト1の接続部1jのステップ数と同じであると判断した場合、かつ、
(b)標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jが顧客所有加硫機一覧333にある加硫機のいずれかによって施工可能であると判断した場合
に、標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jの構造が所定許容範囲内であると判断し、それ以外の場合に、当該接続部1jの構造が所定許容範囲内ではないと判断すると、好適である。
なお、上記(a)の「現在仕様のコンベヤベルト1の接続部1jのステップ数」については、例えば、上述のように、入力受付ステップS10で入力を受け付ける現在仕様に、顧客が現在使用しているコンベヤベルト1の接続部1jのステップ数を含めることにより、入力受付ステップS10で入力された当該ステップ数から特定するようにしてもよい。
上記(b)については、例えば、標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jのベルト幅方向長さ及びベルト周方向長さが、それぞれ、顧客所有加硫機一覧333にある加硫機のいずれかの幅及び長さ以下である場合に、施工可能であると判断するようにしてもよい。
上記(a)により、現在仕様に比べてステップ数が増えるのを回避することができ、ひいては、ステップ数の増加により接続部1jの施工に掛かる作業量や費用が増えるおそれを回避することができる。また、上記(b)により、仮に現在仕様に比べて接続部1jの寸法が変わったとしても、接続部1jを実際に施工できることを担保することができる。このようにして、接続部を考慮して、顧客にとって有利な仕様の提案を支援することができる。
ただし、接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において、処理部31は、上記(a)の判断は行わずに、上記(b)の場合に、標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jの構造が所定許容範囲内であると判断するようにしてもよい。
なおここで所定許容範囲内とは顧客が受け入れられる許容範囲内のことを指しており、具体的には上記(a)、(b)の条件を満たす事である。
【0044】
接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において、処理部31は、標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jの構造が所定許容範囲内ではないと判断した場合、提案無し決定ステップS70において、顧客への提案は無しと決定する、提案無し決定処理を行う。
より具体的に、処理部31は、接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側に隣接する標準コード径を用いた場合において接続部1jの構造が所定許容範囲内ではないと判断し、かつ、標準コード径一覧332において現在コード径の小径側に隣接する標準コード径を用いた場合において接続部1jの構造が所定許容範囲内ではないと判断した場合に、提案無し決定ステップS70(ひいては提案無し決定処理)において、顧客への提案は無しと決定すると、好適である。
処理部31は、提案無し決定ステップS70(ひいては提案無し決定処理)において、顧客への提案は無しとの決定を出力部34に出力させると、好適である。具体的には、例えば、処理部31は、表示部341に、顧客への提案は無しとの決定を表示させると、好適である。これにより、ユーザは、当該決定を把握することができる。
【0045】
処理部31は、接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において現在コード径に隣接する標準コード径を用いた場合のコンベヤベルト1の接続部1jの構造が所定許容範囲内であると判断した場合に、隣接標準コード径選択ステップS24において、標準コード径一覧332において現在コード径に隣接する標準コード径を選択する、隣接標準コード径選択処理を行う。
これにより、接続部1jを考慮しつつ、顧客に提案する新規の仕様のコード径を標準コード径に落とし込むことができる。
より具体的に、隣接標準コード径選択ステップS24(ひいては隣接標準コード径選択処理)において、処理部31は、
(a)接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側に隣接する標準コード径を用いた場合に接続部1jの構造が所定許容範囲内であると判断し、かつ、標準コード径一覧332において現在コード径の小径側に隣接する標準コード径を用いた場合に接続部1jの構造が所定許容範囲内ではないと判断した場合に、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側に隣接する標準コード径を選択し、
(b)接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側に隣接する標準コード径を用いた場合に接続部1jの構造が所定許容範囲内ではないと判断し、かつ、標準コード径一覧332において現在コード径の小径側に隣接する標準コード径を用いた場合に接続部1jの構造が所定許容範囲内であると判断した場合に、標準コード径一覧332において現在コード径の小径側に隣接する標準コード径を選択し、
(c)接続部構造判断ステップS23(ひいては接続部構造判断処理)において、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側に隣接する標準コード径を用いた場合に接続部1jの構造が所定許容範囲内であると判断し、かつ、標準コード径一覧332において現在コード径の小径側に隣接する標準コード径を用いた場合に接続部1jの構造が所定許容範囲内であると判断した場合に、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側に隣接する標準コード径を選択すると、好適である。
なお、コード20のコード径は、太いほうが、コード20の打ち込み本数を少なくすることができ、ひいては、接続部1jの施工に掛かる作業量(ひいては施工時間)を減らすことができ、ひいては、顧客にとって有利となる。よって、上記(c)では、標準コード径一覧332において現在コード径の小径側に隣接する標準コード径を選択するのではなく、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側に隣接する標準コード径を選択することにより、コード20の打ち込み本数を少なくすることができ、ひいては、接続部1jの施工に掛かる作業量(ひいては施工時間)を減らすことができ、ひいては、顧客にとって有利な仕様の提案を支援することができる。ただし、上記(c)では、標準コード径一覧332において現在コード径の小径側に隣接する標準コード径、又は、標準コード径一覧332において現在コード径の大径側及び小径側のうちの任意の一方に隣接する標準コード径を、選択するようにしてもよい。
【0046】
処理部31は、同一標準コード径選択ステップS22(ひいては同一標準コード径選択処理)又は隣接標準コード径選択ステップS24(ひいては隣接標準コード径選択処理)の後に、短縮要求判断ステップS25において、入力受付ステップS10(ひいては入力受付処理)において施工時間短縮の要求があると入力されたかを判断する、短縮要求判断処理を行う。
【0047】
処理部31は、短縮要求判断ステップS25(ひいては短縮要求判断処理)において、入力受付ステップS10(ひいては入力受付処理)において施工時間短縮の要求があると入力されたと判断した場合に、大径標準コード径選択ステップS26において、標準コード径一覧332から、同一標準コード径選択ステップS22(ひいては同一標準コード径選択処理)又は隣接標準コード径選択ステップS24(ひいては隣接標準コード径選択処理)で選択した標準コード径よりも大径の標準コード径を選択する、大径標準コード径選択処理を行う。
これにより、施工時間短縮の要求がある場合に、より大径の標準コード径を選択するので、その分、コード20の打ち込み本数を少なくすることができ、ひいては、接続部1jの施工に掛かる作業量(ひいては施工時間)を減らすことができ、施工時間短縮の要求に応えることができる。
より具体的に、処理部31は、大径標準コード径選択ステップS26(ひいては大径標準コード径選択処理)において、標準コード径一覧332から、同一標準コード径選択ステップS22(ひいては同一標準コード径選択処理)又は隣接標準コード径選択ステップS24(ひいては隣接標準コード径選択処理)で選択した標準コード径よりも所定クラスだけ大径側の標準コード径を選択すると、好適である。ここで、「クラス」とは、標準コード径一覧332に登録された個々の標準コード径の階級(種類)を指している。例えば、標準コード径一覧332が図2の例のものであり、ステップS22又はステップS24で選択した標準コード径が5mmである場合、当該標準コード径よりも2クラスだけ大径側の標準コード径は、7mmとなる。上記所定クラスは、大きいクラスに設定されているほど、コード20のコード径を太くすることができ、コード20の打ち込み本数を少なくすることができるので、接続部1jの施工に掛かる作業量(ひいては施工時間)を減らすことができ、ひいては、顧客にとって有利となる。上記所定クラスは、1クラス、2クラス、又は3クラスに設定されていると、好適である。
処理部31は、大径標準コード径選択ステップS26(ひいては、大径標準コード径選択処理)の後、第1コード先端応力判断ステップS30に進む。
【0048】
処理部31は、短縮要求判断ステップS25(ひいては短縮要求判断処理)において、入力受付ステップS10(ひいては入力受付処理)において施工時間短縮の要求が無いと入力されたと判断した場合、あるいは、入力受付ステップS10(ひいては入力受付処理)において施工時間短縮の要求の有無が入力されていないと判断した場合に、第1コード先端応力判断ステップS30に進む。
【0049】
ただし、短縮要求判断ステップS25(ひいては短縮要求判断処理)及び大径標準コード径選択ステップS26(ひいては大径標準コード径選択処理)は、行わなくてもよい。
【0050】
上述のように、標準コード径選択ステップS20において、処理部31は、大径標準コード径選択ステップS26を行う場合は最終的に大径標準コード径選択ステップS26にて標準コード径を1つ選択し、一方、大径標準コード径選択ステップS26を行わない場合は最終的に同一標準コード径選択ステップS22又は隣接標準コード径選択ステップS24にて標準コード径を1つ選択する。
【0051】
第1コード先端応力判断ステップS30において、処理部31は、現在仕様のうち現在コード径を標準コード径選択ステップS20(ひいては標準コード径選択処理)で選択した標準コード径に置き換えてなる第1新仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力が、現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等以下であるかを判断する、第1コード先端応力判断処理を行う。
ここで、「現在仕様のうち現在コード径を標準コード径選択ステップS20(ひいては標準コード径選択処理)で選択した標準コード径に置き換えてなる第1新仕様のコンベヤベルト1」とは、現在仕様のコンベヤベルト1において、コンベヤベルト1の幅(mm)を一定にし、コンベヤベルト1の強力(N/mm)を下げず、かつ、コード20間のベルト幅方向の隙間を所定間隔以上確保するという条件のもと、コード20のコード径を現在コード径から標準コード径選択ステップS20(ひいては標準コード径選択処理)で選択した標準コード径に置き換えてなる第1新仕様のコンベヤベルト1を指している。処理部31は、「第1新仕様のコンベヤベルト1」を、例えばFEM解析又は所定の計算等によって特定してもよい。処理部31は、例えば、「第1新仕様のコンベヤベルト1」の強力を算出する際等に、標準コード径一覧332において標準コード径選択ステップS20(ひいては標準コード径選択処理)で選択した標準コード径に対応付けられたコード強力を用いてもよい。現在仕様のコンベヤベルト1と第1新仕様のコンベヤベルト1とでは、コード20のコード径の他、コード20の打ち込み本数やピッチが異なり得る。このことに伴い、第1新仕様のコンベヤベルト1は、現在仕様のコンベヤベルト1に比べて、接続部1jのステップ構造及び寸法(ベルト幅方向長さ及びベルト周方向長さ)が異なり得る。例えば、「第1新仕様のコンベヤベルト1」の接続部1jのステップ構造を決定するにあたっては、処理部31は、当該コンベヤベルト1のコード20のコード径及びピッチに対して対応付けられたステップ構造を上記ステップ構造対応表から選択するようにしてもよい。また、第1新仕様のコンベヤベルト1の接続部1jのステップ長さSLについては、処理部31は、記憶部33に予め記憶された上述のステップ長さ対応表において当該ステップ構造のステップ数に対して対応付けられた標準ステップ長さに設定すると、好適である。
なお、「コード先端応力」について、図10を参照しつつ説明する。図10のグラフに概略的に示すように、一般的に、接続部1jの接続部カバーゴム12のうち、互いにベルト幅方向に隣接する第1コード部分21及び第2コード部分22どうしの間の部分12aに作用する応力(せん断応力)は、当該第1コード部分21及び当該第2コード部分22のそれぞれの先端201、202に隣接する部分12abにおいて、最も大きくなる。「コード先端応力」とは、接続部カバーゴム12における、互いにベルト幅方向に隣接する第1コード部分21及び第2コード部分22どうしの間の部分12aのうち、当該第1コード部分21及び当該第2コード部分22のそれぞれの先端201、202に隣接する部分12abに作用する応力(せん断応力)を指す。なお、一般的に、コード径が太くなると、コード先端応力は大きくなる傾向がある。また、コード先端応力は、小さいほど、コンベヤベルト1の寿命を長くすることができる。
なお、「現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等」とは、具体的に、現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力の100%を指す。よって、「現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等以下」とは、現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力の100%以下を意味する。
第1コード先端応力判断ステップS30(ひいては第1コード先端応力判断処理)において、処理部31は、例えばFEM解析又は所定の計算等のシミュレーションを行うことによって、上記コード先端応力を算出すると、好適である。処理部31は、上記コード先端応力を算出する際に、標準コード径一覧332において標準コード径選択ステップS20(ひいては標準コード径選択処理)で選択した標準コード径に対応付けられたコード強力を用いてもよい。
接続部1j内において互いにベルト幅方向に隣接する第1コード部分21及び第2コード部分22からなる対が複数対存在する場合、「コード先端応力」は、例えば、これらの対のそれぞれのコード先端応力の平均値を用いてもよいし、あるいは、これらの対のうちベルト幅方向の重なりが最も短い対のコード先端応力を用いてもよい。
【0052】
処理部31は、第1コード先端応力判断ステップS30(ひいては第1コード先端応力判断処理)において第1新仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力が現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等以下であると判断した場合に、提案仕様決定ステップS40において、第1新仕様を、提案する仕様(提案仕様)として決定する、提案仕様決定処理を行う。
提案仕様決定ステップS40において決定する提案仕様は、少なくとも、標準コード径選択ステップS20(ひいては標準コード径選択処理)において選択した標準コード径を含む。その他、提案仕様決定ステップS40において決定する提案仕様は、例えば、コンベヤベルト1の強力(N/mm)、幅(ベルト幅方向の長さ)(mm)、外周側カバーゴム10оの厚み(mm)、内周側カバーゴム10iの厚み(mm)、コード20の打ち込み本数(本)、及び、コード20のピッチ(mm)のうち、少なくとも1つを含むと好適である。提案仕様決定ステップS40において決定する提案仕様は、接続部1jのステップ構造に関する情報(例えば、ステップ数、ステップ長さSL等)、かつ/又は、接続部1jの寸法(ベルト幅方向長さ及びベルト周方向長さ)をさらに含んでもよい。
第1コード先端応力判断ステップS30を経てから提案仕様決定ステップS40を行うことにより、仮に標準コード径選択ステップS20において選択された標準コード径が現在コード径とは異なるとしても、第1新仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力が、現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等以下であることを担保することができ、ひいては、現在仕様のコンベヤベルト1と同等の寿命を確保できるようなコンベヤベルト1の仕様を顧客に提案することができる。このようにして、接続部1jを考慮しつつ、顧客にとって有利な仕様の提案を支援することができる。
処理部31は、提案仕様決定ステップS40(提案仕様決定処理)において、提案仕様を出力部34に出力させると、好適である。具体的には、例えば、処理部31は、表示部341に、提案仕様を表示させると、好適である。これにより、ユーザは、提案仕様を把握することができ、提案仕様を顧客に提案することができる。出力部34に出力させる提案仕様は、少なくとも、標準コード径選択ステップS20(ひいては標準コード径選択処理)において選択した標準コード径を含むのがよく、その他、例えば、コンベヤベルト1の強力(N/mm)、幅(ベルト幅方向の長さ)(mm)、外周側カバーゴム10оの厚み(mm)、内周側カバーゴム10iの厚み(mm)、コード20の打ち込み本数(本)、及び、コード20のピッチ(mm)のうち、少なくとも1つを含むと好適である。出力部34に出力させる提案仕様は、接続部1jのステップ構造に関する情報(例えば、ステップ数、ステップ長さSL等)、かつ/又は、接続部1jの寸法(ベルト幅方向長さ及びベルト周方向長さ)をさらに含んでもよい。
【0053】
処理部31は、第1コード先端応力判断ステップS30(ひいては第1コード先端応力判断処理)において第1新仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力が現在仕様のコンベヤベルトのコード先端応力と同等よりも大きいと判断した場合に、第2コード先端応力判断ステップS50において、第1新仕様のうちステップ長さSLをより長くしてなる第2新仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力が現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等以下になるかを判断する、第2コード先端応力判断処理を行う。
ここで、「第1新仕様のうちステップ長さSLをより長くしてなる第2新仕様のコンベヤベルト1」とは、ステップ長さSLを第1新仕様のステップ長さSL(標準ステップ長さ)よりも長くしたこと以外は第1新仕様と同じであるような第2新仕様のコンベヤベルト1を指している。
「コード先端応力」の求め方については、第1コード先端応力判断ステップS30(ひいては第1コード先端応力判断処理)と同様でよい。
なお、一般的に、ステップ長さSLが長くなると、コード先端応力は小さくなる傾向がある。
【0054】
処理部31は、第2コード先端応力判断ステップS50(ひいては第2コード先端応力判断処理)において第2新仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力が現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等よりも大きくなると判断した場合に、提案無し決定ステップS70(ひいては提案無し決定処理)において、顧客への提案は無しと決定する。
【0055】
一方、処理部31は、第2コード先端応力判断ステップS50(ひいては第2コード先端応力判断処理)において第2新仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力が現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等以下になると判断した場合に、施工可否判断ステップS60において、第2新仕様のコンベヤベルト1の接続部1jが顧客所有加硫機一覧333にある加硫機のいずれかによって施工可能であるかを判断する、施工可否判断処理を行う。
ここで、処理部31は、例えば、第2新仕様のコンベヤベルト1の接続部1jのベルト幅方向長さ及びベルト周方向長さが、それぞれ、顧客所有加硫機一覧333にある加硫機のいずれかの幅及び長さ以下である場合に、施工可能であると判断するようにしてもよい。
【0056】
処理部31は、施工可否判断ステップS60(ひいては施工可否判断処理)において、第2新仕様のコンベヤベルト1の接続部1jが顧客所有加硫機一覧333にある加硫機のいずれによっても施工可能ではないと判断した場合に、提案無し決定ステップS70(ひいては提案無し決定処理)において、顧客への提案は無しと決定する。
【0057】
一方、処理部31は、施工可否判断ステップS60(ひいては施工可否判断処理)において、第2新仕様のコンベヤベルト1の接続部1jが顧客所有加硫機一覧333にある加硫機のいずれかによって施工可能であると判断した場合に、提案仕様決定ステップS40(ひいては提案仕様決定処理)において、第2新仕様を、提案する仕様(提案仕様)として決定する。
【0058】
第2コード先端応力判断ステップS50を経てから提案仕様決定ステップS40を行うことにより、第1新仕様からステップ長さSLだけを変えてなる第2新仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力が、現在仕様のコンベヤベルト1のコード先端応力と同等以下であることを担保することができ、ひいては、現在仕様のコンベヤベルト1と同等の寿命を確保できるようなコンベヤベルト1の仕様を顧客に提案することができる。
また、第2コード先端応力判断ステップS50の後に施工可否判断ステップS60を経てから提案仕様決定ステップS40を行うことにより、第2コード先端応力判断ステップS50で検討した第2仕様のコンベヤベルト1を実際に施工できることを担保することができる。
このようにして、接続部1jを考慮しつつ、顧客にとって有利な仕様の提案を支援することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のコンベヤベルト仕様提案支援システム、及び、コンベヤベルト仕様提案支援方法は、例えば採鉱現場や建設現場等において様々な搬送物を運搬するために使用されるとともにコードを備えたコンベヤベルトに関し、仕様を顧客へ提案するのを支援するために使用されると、好適なものである。
【符号の説明】
【0060】
3:コンベヤベルト仕様提案支援システム、
31:処理部、 32:入力部、 33:記憶部、 331:プログラム、 332:標準コード径一覧、 333:顧客所有加硫機一覧、 34:出力部、 341:表示部、
1:コンベヤベルト、 1o:外周面、 1i:内周面、 1j:接続部、 1m:本体部、 1m1:第1ベルト周方向端部(ベルト周方向の端部)、 1m1e:先端、 1m2:第2ベルト周方向端部(ベルト周方向の端部)、 1m2e:先端、
2:ベルトコンベヤ、
10:カバーゴム、 10о:外周側カバーゴム、 10i:内周側カバーゴム、 11:本体部カバーゴム、 12:接続部カバーゴム、 12a:第1コード部分と第2コード部分との間の部分、 12ab:コード先端に隣接する部分、 20:コード、 21:第1コード部分、 22:第2コード部分、 201、202:ベルト周方向の先端、
H:ホッパ、 M:搬送物、 P1:ヘッドプーリ(プーリ)、 P2:テールプーリ(プーリ)、 SL:ステップ長さ
図1
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図10