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特開2022-123723工具経路生成方法、工具経路生成プログラム及びサーバ装置
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  • 特開-工具経路生成方法、工具経路生成プログラム及びサーバ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123723
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】工具経路生成方法、工具経路生成プログラム及びサーバ装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
G05B19/4093 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021227
(22)【出願日】2021-02-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】506130207
【氏名又は名称】有限会社KIMORI
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(72)【発明者】
【氏名】小田 利通
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269BB08
3C269EF63
3C269EF71
3C269KK08
3C269QB02
(57)【要約】
【課題】被加工物の『面』に関する3次元データを利用することなく、NC加工における回転工具の工具経路を簡便に生成する。
【解決手段】被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路を、当該端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データをもとに、使用する回転工具に関する工具データ、加工条件附帯データを利用してコンピュータで演算処理を行うことにより生成する。工具経路の演算処理に用いる形状データは加工対象となる端縁部分の「線」に関するデータであるため、被加工物の「面」に関する3次元データを利用する必要がなくなる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路をコンピュータで生成する工具経路生成方法であって、
前記端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群の移動方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを入力する入力ステップと、
前記入力ステップにおいて入力した各データに基づいて、前記点群を前記端縁部分の加工点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算ステップと、
前記演算ステップで得た前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として出力する出力ステップと、
を含む、工具経路生成方法。
【請求項2】
被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路をコンピュータで算出するための工具経路生成プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群の移動方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを入力する入力手段、
前記入力した各データに基づいて、前記点群を前記端縁部分の加工点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算手段、
前記演算した前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として出力する出力手段、
として機能させる、工具経路生成プログラム。
【請求項3】
クライアント端末とネットワークを介して接続され、被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路を生成するサーバ装置であって、
前記クライアント端末から、
前記端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群の移動方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを受信する受信部と、
受信した各データに基づいて前記一群の座標データの各々を加工基準点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算部と、
前記演算した前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として前記クライアント端末へ送信する送信部と、
を備える、サーバ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NC加工における回転工具の工具経路をコンピュータで生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、被加工物に対する高精度な加工を自動的に行うNC工作機械の普及が進む中、NC工作機械で使用する工具の制御技術についても種々の手法が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被加工物のモデルに面取り面を作成することなくバリ取りや面取りといった端縁加工を行う技術が開示されている。特許文献1では、被加工物のモデルにおいて、加工対象となる端縁部分の形状を示す曲線上の特定の点における当該曲線に対する第一の接線ベクトル、当該端縁部分に隣接する2つの面のうちの一方の面に接する第二の接線ベクトル及び他方の面に接する第三の接線ベクトルからなる3つの接線ベクトルを用いた演算処理を曲線上の複数の点で行うことにより、工具の経路を生成することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6349023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した手法では、加工対象となる端縁部分に隣接する2つの『面』に接する2つの接線ベクトル(上記した第二の接線ベクトル、第三の接線ベクトル)を演算に用いる関係上、これら2つの『面』に関する3次元データが必要となる。
【0006】
上記した課題に鑑み、本発明は、被加工物の『面』に関する3次元データを利用することなく、NC加工における回転工具の工具経路を簡便に生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路をコンピュータで生成する工具経路生成方法であって、前記端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群の移動方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを入力する入力ステップと、前記入力ステップにおいて入力した各データに基づいて、前記点群を前記端縁部分の加工点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算ステップと、前記演算ステップで得た前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路をコンピュータで算出するための工具経路生成プログラムであって、前記コンピュータを、前記端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群の移動方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを入力する入力手段、前記入力した各データに基づいて、前記点群を前記端縁部分の加工点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算手段、前記演算した前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として出力する出力手段、として機能させることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、クライアント端末とネットワークを介して接続され、被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路を生成するサーバ装置であって、前記クライアント端末から、前記端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群の移動方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを受信する受信部と、受信した各データに基づいて前記一群の座標データの各々を加工基準点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算部と、前記演算した前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として前記クライアント端末へ送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被加工物の加工対象となる端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データに対する演算処理によって、使用する回転工具の工具位置の基点となる座標データを算出するように構成されているので、被加工物の『面』に関する3次元モデルを利用することなく工具経路を生成することができる。したがって、工具経路をより簡便に生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】NC加工システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る工具経路生成方法を示すフローチャートである。
図3】演算処理の具体例を示す説明図である。
図4】演算処理の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る工具経路生成方法、工具経路生成プログラム及びサーバ装置各々の実施形態について、公知のNC工作機械を用いて、被加工物の端縁部分に対するバリ取りや面取りといったエッジ加工を行うための工具経路をコンピュータで生成する場合を例にとり、図面を参照しながら説明する。
【0013】
実施形態に係る加工システム10は、図1示すように、NC工作機械12、クライアント端末14およびサーバ装置16を有する。
【0014】
NC工作機械12は、被加工物に対する加工を数値制御によって自動的に行う工作機械であり、NCフライス盤などが代表的である。NC工作機械12は、基本構成として、数値制御(NC)装置と加工装置(いずれも不図示)を備える。NC工作機械12は、クライアント端末14とローカルネットワークを介して接続されている。
【0015】
本実施形態で使用されるコンピュータは、ユーザが使用するクライアント端末14と、このクライアント端末14とネットワークを介して接続されたサーバ装置16とを含む。クライアント端末14およびサーバ装置16は、何れも、CPU、ROMやRAMなどの記憶部、他の外部機器との間でネットワークを介して各種データの送受信を行う通信部16Bのほか、所要のデータを表示するディスプレイ(表示部)、操作指示を入力するためのキーボードやタッチパネルなどの入力部といった、コンピュータの基本的な構成要素を備えている。
【0016】
クライアント端末14には、公知のCAD/CAMシステムが組み込まれており、NC工作機械12の動作を制御するための工具経路データ(「カッタロケーション(CL)データ」ともいう。)を出力する。NC工作機械12は、クライアント端末14から出力された工具経路データに基づいてNC装置が加工装置の動作を制御することにより、被加工物に対する所定の加工を行う。
【0017】
また、クライアント端末14では、加工装置で使用する回転工具の工具経路データの生成に必要な各種データが入力される。入力されたデータは、ネットワークを介してサーバ装置16へ送信される。
【0018】
サーバ装置16の記憶部には、工具経路生成プログラムが格納されている。サーバ装置16は、クライアント端末14から送信される各種データを通信部16Bにおいて受信する。そして、受信したデータに基づいて、サーバ装置16のCPUが当該プログラムを実行し、所定の演算処理を行うことにより、加工装置で使用する回転工具の工具経路となる工具経路データを生成する。サーバ装置16で生成された工具経路データは、サーバ装置16の通信部16Bよりネットワークを介してクライアント端末14へ送信される。
【0019】
このように、本実施形態では、コンピュータであるクライアント端末14とサーバ装置16とを相互に連携させて、入力手段、演算手段及び出力手段として機能させることにより、回転工具の工具経路データを生成するように構成されている。また、本例では、サーバ装置16のCPUが演算部16Aとして機能し、サーバ装置16の通信部16Bが受信部および送信部として機能している。
【0020】
上記構成を有するNC加工システム10では、サーバ装置16に格納されている工具経路生成プログラムが実行されることにより、工具経路生成方法が実施されることとなる。これについて、以下、図1図4を適宜参照しながら、具体的な加工例を挙げて詳細に説明する。
【0021】
本例では、図3(a)~(c)に示すように、直方体の正面中央部分に円形断面の貫通孔20Aが開設された外観形状を有する物体を被加工物20とし、その貫通孔20Aの開口端縁部分20Bに対する面取り加工を行う場合を例示する。また、使用する回転工具には、先端部分が球面形状をしたロリポップエンドミル22(球形ボールエンドミル)を用いるものとする。
【0022】
はじめに、クライアント端末14側の入力画面において、工具経路データの生成に必要となる各種データが入力される。具体的には、加工対象となる被加工物20の端縁部分20Bの形状を表す形状データ、加工装置において使用される回転工具(本例では、ロリポップエンドミル22)に関する工具データ、および、端縁部分20Bに対して行う加工条件として附帯する加工条件附帯データが、それぞれ入力される(図2:ステップS1)。クライアント端末14において入力された各種データは、サーバ装置16へ送信される(図2:ステップS2)。
【0023】
形状データは、クライアント端末14に組み込まれたCAD/CAMシステムで表現される被加工物20の3次元モデルのデータにおいて、加工対象となる端縁部分20Bを選択することにより、入力処理が実行される。ここで入力される形状データは、端縁部分20Bを表現する『線』に関するデータであるが、実質的には、端縁部分20Bの形状を表す一群の連続する点群で構成される3次元座標データとなる。
【0024】
工具データは、使用する工具の種類を選択することにより、入力処理が実行される。ここで入力される工具データには、回転工具の位置を示す回転軸心上の基点Pと、回転工具の加工点Sとの距離となる工具半径rとが含まれている。本例では、ロリポップエンドミル22の先端部分である球面を構成する「球の中心点」を基点Pとしている。
【0025】
加工条件附帯データは、入力画面において、端縁部分20Bに対する工具の角度θと、面取りの大きさ(加工代)を設定することにより、入力処理が実行される。ここで設定される角度θは、点群の移動方向から見た基点Pと回転工具の加工点Sとを結ぶ仮想直線(図3(b)に示す直線L2)と回転工具の回転軸心(図3(b)に示す直線L1)の角度である。
【0026】
サーバ装置16が各種データをクライアント端末14から受信すると(図2:ステップS3)、続いて、サーバ装置16において、工具経路データを生成するための演算処理が実行される(図2:ステップS4)。本例では、一群の連続する点群の各々を端縁部分20Bの加工点Sn(n≧1)とした場合における回転工具の基点Pの座標データPn(n≧1)を、クライアント端末14から受信した各種データに基づいて、それぞれ演算することとしている。
【0027】
ここで、図3図4を参照しながら、形状データを表す点群を構成する一つの点(加工点S)における演算処理を代表的に説明する。一群の連続する点群は『線』に関するデータであるから、点Sを加工点とした場合、点Sの両側には別の隣接点(SまたはSn)が存在している。点Sの次の加工点をいずれの隣接点にするかは任意であるが、少なくとも、点群には方向の概念が存在するといえる。
【0028】
図3(c)及び図4は、加工対象となる端縁部分20Bを被加工物20の正面から見た図である。点Sを出発点として時計回りに加工を行うとすると、加工点となる点Snも時計回りの方向へ順に移動することとなる。本例では、端縁部分20Bの形状が円形であるため、点群の移動方向は、特定の点(点S)における接線方向(図3(a)に示す接線L3の方向)と同視できる。そうすると、上記入力処理において入力された「角度θ」は、点Sにおける接線方向に直交し、点Sを面内に含む平面上に表すことができる。
【0029】
図3(b)は、入力された「角度θ」を上記平面上に表した図である。直線L1は、回転工具の回転軸心を上記平面に投影した投影線である。回転工具の基点Pは、この直線L1上に必ず配置される。また、入力された「角度θ」(例えば、45°)に基づいて、点Sを通り直線L1と45°の角度で交差する直線L2を算出できる。そして、回転工具の基点Pから点Sまでの距離は工具半径rとなるから、直線L1と直線L2の交点が、点Sから工具半径r分だけ離れた位置となる座標データPが求められる。本例では、この交点の座標データPを、点Sを加工点とした場合における回転工具の基点Pの座標データPとしている。
【0030】
上記した手法により、一群の連続する点群(加工点S・・・Sn)の各々について、対応する基点Pの座標データP・・・Pnをそれぞれ演算して求める。その結果として得られる一群の基点Pの座標データP・・・Pnが、回転工具の工具経路データとなる。このようにして生成された工具経路データは、クライアント端末14へ送信される(図2:ステップS5)。
【0031】
このように、本実施形態によれば、加工対象となる端縁部分20Bを表す『線』に関するデータをもとに、工具データ、加工条件附帯データを利用して演算処理を行うこととしているため、被加工物20の『面』に関する3次元モデルを利用することなく工具経路を生成することができる。したがって、従来の手法と比較して、工具経路をより簡便に生成することが可能となる。
【0032】
なお、クライアント端末14は、工具経路データ(座標データP・・・Pn)をサーバ装置16から受信すると(図2:ステップS6)、これをNC工作機械12へ出力する(図2:ステップS7)。ここで、NC工作機械12は、その機種または仕様によって、制御プログラムを実行させるためのデータ形式が異なる場合があるが、本実施形態のようにして工具経路データを生成すれば、使用するNC工作機械12に応じてユーザがクライアント端末14側で制御データを独自にカスタマイズすることも可能である。そのため、NC工作機械の機種や仕様による制約が解消されるといった利点も得られる。
【0033】
以上、本発明に係る工具経路生成方法、工具経路生成プログラム及びサーバ装置の各々を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態で実施されても構わない。
【0034】
<変形例>
(1)上記実施形態では、クライアント端末14とサーバ装置16とを連携させて工具経路を生成することとしたが、工具経路生成プログラムをクライアント端末14側に格納し、スタンドアローン形式で工具経路を生成する態様で実施しても構わない。あるいは、一連の処理をサーバ装置16側で行うこととしてもよい。
【0035】
(2)上記実施形態では、使用される回転工具としてロリポップエンドミル22を例示したが、回転工具の種類はこれに限定されるものではない。例えば、ボールエンドミルやフラットエンドミルを使用する場合にも利用することが可能である。要するに、回転工具の基点が回転軸心上に配置される工具であれば、その他の形態の回転工具にも応用することができる。
【0036】
(3)上記実施形態では、クライアント端末14、サーバ装置16の各々がコンピュータの基本的な構成要素を備えるものであったが、NC加工システム10の態様に応じて、必要な構成要素のみを備えた形態で実施しても構わない。例えば、サーバ装置16は、キーボードやディスプレイといった構成要素を備えていないものであっても構わない。
【0037】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0038】
10 NC加工システム
12 NC工作機械
14 クライアント端末
16 サーバ装置
16A 演算部
16B 通信部(受信部、送信部)

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路をコンピュータで生成する工具経路生成方法であって、
前記被加工物の端縁部分のうちの加工対象となる端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群を構成する特定の点における接線方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを入力する入力ステップと、
前記入力ステップにおいて入力した各データに基づいて、前記点群を前記加工対象となる端縁部分の加工点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算ステップと、
前記演算ステップで得た前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として出力する出力ステップと、
を含む、工具経路生成方法。
【請求項2】
被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路をコンピュータで算出するための工具経路生成プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記被加工物の端縁部分のうちの加工対象となる端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群を構成する特定の点における接線方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを入力する入力手段、
前記入力した各データに基づいて、前記点群を前記加工対象となる端縁部分の加工点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算手段、
前記演算した前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として出力する出力手段、
として機能させる、工具経路生成プログラム。
【請求項3】
クライアント端末とネットワークを介して接続され、被加工物の端縁部分をNC加工する回転工具の工具経路を生成するサーバ装置であって、
前記クライアント端末から、
前記被加工物の端縁部分のうちの加工対象となる端縁部分の形状を表す一群の連続する点群で構成される形状データ、前記回転工具の位置を示す回転軸心上の基点と前記回転工具の加工点との距離となる工具半径を含む工具データ、および、前記点群を構成する特定の点における接線方向から見た前記基点と前記回転工具の加工点とを結ぶ仮想直線と前記回転工具の回転軸心の角度と加工代とを含む加工条件附帯データを受信する受信部と、
受信した各データに基づいて前記点群を前記加工対象となる端縁部分の加工点とした場合における前記基点の座標データをそれぞれ演算する演算部と、
前記演算した前記基点の座標データの各々を前記回転工具の工具経路として前記クライアント端末へ送信する送信部と、
を備える、サーバ装置。