(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123732
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】有料道路の自動料金収受機械
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20220817BHJP
【FI】
G07B15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021237
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】509055437
【氏名又は名称】西日本高速道路ファシリティーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】中場 俊之
(72)【発明者】
【氏名】坂井 道生
(72)【発明者】
【氏名】野上 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】好川 徹
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 英也
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127BA11
3E127CA21
3E127EA03
3E127EA21
3E127FA70
(57)【要約】
【課題】証明書の画像を失敗することなく、確実に読み取ることができること。
【解決手段】高速道路等の有料道路の出口部に設置される自動料金収受機械10であって、通行券を挿入する通行券挿入部11、利用料金等を表示する表示部12、料金投入部、釣銭返却部、カード挿入部17、領収書発出部18、インターホン部(カメラ20、スピーカー19、マイク22)び、証明書確認部30がその前面に設けられた自動料金収受機械10である。前記証明書確認部30に証明書又は証明カードを挿入できる証明書挿入口32を設け、当該証明書挿入口32の内部空間の底面部及び天井部にそれぞれ撮像カメラを設置し、前記証明書又は証明カードの表と裏を共に撮影できるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路等の有料道路の出口部に設置される自動料金収受機械であって、通行券を挿入する通行券挿入部、利用料金等を表示する表示部、料金投入部、釣銭返却部、カード挿入部、領収書発出部、インターホン部、及び、証明書確認部がその前面に設けられた自動料金収受機械において、
前記証明書確認部に証明書又は証明カードを挿入できる証明書挿入口を設け、
当該証明書挿入口の内部空間の底面部及び天井部にそれぞれ撮像カメラを設置し、前記証明書又は証明カードの表と裏を共に撮影できることを特徴とする有料道路の自動料金収受機械。
【請求項2】
前記証明書挿入口の近傍に証明書用撮像カメラを設置し、前記証明書挿入口に挿入することができないサイズの証明書を前記証明書用撮像カメラで撮影できることを特徴とする請求項1に記載の有料道路の自動料金収受機械。
【請求項3】
前記証明書確認部に呼出ボタン又は呼出感知部を付加し、これら呼出ボタン又は呼出感知部により係員を呼び出せることを特徴とする請求項1又は2に記載の有料道路の自動料金収受機械。
【請求項4】
前記インターホン部にビデオカメラを設置し、ビデオ通話ができるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の有料道路の自動料金収受機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高速道路等の有料道路の出口部に設置される自動料金収受機械に関するものであり、特に身体障碍者等の料金割引を受けることができる利用者が提示する証明書等を読み取る部分に特徴を有るものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る自動料金収受機械は、上記のように有料道路の出口部に設置され、入口部で受け取った通行券を出口部に設置された自動料金収受機械の通行券挿入口に挿入し、機械の表示部に表示された通行料金を料金投入部に投入し、又は、カード挿入口にETCカードやクレジットカードを挿入し、釣銭がある場合には釣銭返却部から釣銭を受け取り、必要に応じて領収書を領収書発出部から受け取り、出口部の通行制御バーが開放され、一般道に移動することができるものである。
【0003】
この自動料金収受機械には、使用方法等が解らない場合等に備えて、インターホン部(カメラ、スピーカー、マイク)が設けられており、適宜必要に応じて利用者が係員とのコミュニケーションを取ることができるようになっている。
【0004】
現在、有料道路ではETCシステムが普及しているが、全ての有料道路料金所でこのシステムが採用されている訳ではなく、その一部の出口料金所においては本発明に係る自動料金収受機械が利用されている。
【0005】
ここで、有料道路の利用者としては身体障碍者も含まれ、身体障碍者の場合には料金の割引を受けることができる。
その際には、身体障碍者であることを示す証明書、例えば、身体障碍者手帳やカード等が存在しており、これらの証明書を提示することによって料金の割引を受けることができる。
【0006】
下記特許文献に記載の発明は、「証明書カメラ付き料金自動収受機」に関するものである。
その発明の課題は、利用者が差し出す証明書の映像をより的確に取得することを可能にすることである。
【0007】
その発明の構成は、走行レーン上の車両から提示される証明書を撮影するカメラ機構と、車両の車高の検出値に基づいてカメラ機構のチルト方向の角度を制御するカメラ制御部とを備える。
車高に応じてカメラの角度を制御することにより、視野の狭い望遠レンズであっても証明書の映像を撮ることが容易である。
この料金自動収受機は、カメラ機構が撮影した映像を車両側に表示するディスプレイを備える。
利用者自らディスプレイの映像を見ることにより適切な位置に証明書を提示することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明においては、上記従来の発明と同様に、証明書の画像の撮影を失敗することなく、より確実に読み取ることができるようにすることをその課題とする。
そのために、従来のような1台の撮像カメラによるのではなく、証明書を所定のエリア内に挿入又は載置することができる空間を設け、この空間内に証明書を挿入又は載置した状態で撮影できるようにすることをその課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、高速道路等の有料道路の出口部に設置される自動料金収受機械であって、通行券を挿入する通行券挿入部、利用料金等を表示する表示部、料金投入部、釣銭返却部、カード挿入部、領収書発出部、インターホン部、及び、証明書確認部がその前面に設けられた自動料金収受機械において、前記証明書確認部に証明書又は証明カードを挿入できる証明書挿入口を設け、当該証明書挿入口の内部空間の底面部及び天井部にそれぞれ撮像カメラを設置し、前記証明書又は証明カードの表と裏を共に撮影できることを特徴とする有料道路の自動料金収受機械である。
【0011】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記証明書挿入口の近傍に証明書用撮像カメラを設置し、前記証明書挿入口に挿入することができないサイズの証明書を前記証明書用撮像カメラで撮影できることを特徴とする有料道路の自動料金収受機械である。
【0012】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記証明書確認部に呼出ボタン又は呼出感知部を付加し、これら呼出ボタン又は呼出感知部により係員を呼び出せることを特徴とする有料道路の自動料金収受機械である。
【0013】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の何れかの発明において、前記インターホン部にビデオカメラを設置し、ビデオ通話ができるようにしたことを特徴とする有料道路の自動料金収受機械である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1のものにおいては、高速道路等の有料道路の出口部に設置される自動料金収受機械であって、通行券を挿入する通行券挿入部、利用料金等を表示する表示部、料金投入部、釣銭返却部、カード挿入部、領収書発出部、インターホン部(カッコ書き削除)、及び、証明書確認部がその前面に設けられた自動料金収受機械において、前記証明書確認部に証明書又は証明カードを挿入できる証明書挿入口を設け、当該証明書挿入口の内部空間の底面部及び天井部にそれぞれ撮像カメラを設置し、前記証明書又は証明カードの表と裏を共に撮影できるようにしたため、利用者が身体障碍者である場合等、料金割引のための証明書(身体障碍者手帳やカード)等を前記証明書挿入口に挿入する際に、その証明書が表向き又は裏向きの何れの向きに挿入されたとしても、問題なく一度の挿入操作のみによって、当該証明書の面を読み取ることが可能となる。
【0015】
即ち、利用者は、前記証明書挿入口に証明書を挿入する際に、その証明書の面の向きについて上下何れかを選択する必要がなく、ただそのまま証明書の面の上下に拘ることなく挿入することができ、利用者にとって便利なものとなり、他方、料金徴収側にとっても証明書の確認に過誤の入る余地が少なくなるのである。
ここで、上記身体障碍者手帳の他に、料金無料証明書として、被災証明書、災害派遣等従事車両証明書、又は、公務自動車証明書等を挙げることができる。
【0016】
本発明の第2のものにおいては、前記証明書挿入口の近傍に証明書用撮像カメラを設置し、前記証明書挿入口に挿入することができないサイズの証明書を前記証明書用撮像カメラで撮影することができるようにしたものである。
これは、証明書として上記無料証明書等も考えられ、これらの証明書で、前記証明書挿入口に挿入できないサイズのものについては、当該証明書を手で証明書用撮像カメラの前にかざして撮影することができるようにしたものである。
【0017】
本発明の第3のものにおいては、前記証明書確認部に呼出ボタン又は呼出感知部を付加し、当該呼出ボタン又は呼出感知部により係員を呼び出せるようにしたものであるが、上記証明書確認部の操作が分からない利用者に対して前記呼び出しボタン等を設け、インターホン部での会話ができるようにしたものである。
【0018】
本発明の第4のものにおいては、前記インターホン部にビデオカメラを付加し、ビデオ通話ができるようにしたものであり、利用者の便宜を図ったものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る有料道路の自動料金収受機械の一実施形態の正面説明図である。
【
図2】上記実施形態に係る証明書確認部の証明書挿入口の内部構造についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る有料道路の自動料金収受機械の一実施形態の正面説明図である。
【0021】
本発明に係る自動料金収受機械10は、その全体が縦長の略直方体形状を有し、その前面に通行券を挿入する通行券挿入部11、利用料金等を表示する表示部12、料金投入部となる硬貨投入部13及び紙幣投入部14、釣銭返却部となる紙幣返却部15及び硬貨返却部16、ETCカードやクレジットカード等の挿入部となるカード挿入部17、領収書発出部18、インターホン用スピーカー19、インターホン用カメラ20、インターホン用マイク22、並びに、証明書確認部30がその前面に設けられている。
【0022】
また、その前面には、トラブルが生じた際に係員を呼び出すための呼出ボタン21が設けられ、また、上記証明書確認部30の左側にも手の不自由な人のための呼出感知部33が設けられている。
【0023】
更に、その前面の下方左側には、使用済みの証明書を回収するための証明書回収箱を設け、その証明書回収口23は縦長に設けられている。
【0024】
本発明の特徴部分である上記証明書確認部30は、前面部の下方右側のエリアに設けられており、その右側部分には証明書を確認するための証明書用撮像カメラ31が設けられ、その左側には身体障碍者手帳やカード等を挿入し載置することができる証明書挿入口32が設けられ、その更に左側には手をかざすことにより感知できる近接感知器からなる上記呼出感知部33が設けられている。
【0025】
上記ビデオ通話用にインターホン部20には、マイク22とスピーカー19を備える。
これにより利用者とは双方向でビデオ通話が可能となる。
上記表示部12は、液晶ディスプレイからなり、通行利用料金の他、利用区間、車種、割引額等々の各種情報が表示される。
【0026】
利用手順は以下の通りとなる。
有料道路の出口部に設置された自動料金収受機械10は、車両検知器(自動料金収受機械とは別装置)からの信号を得て車両の進入を感知し、料金の精算処理を開始する。
【0027】
利用者は、通行券を通行券挿入部11に挿入するか、有料道路入口部でETCにより通過した場合はETCカードをカード挿入部17に挿入する。
当該通行券またはETCカードが読み取られ、利用料金等その他の各種情報が上記表示部12に表示される。
【0028】
ここで、利用者が身体障碍者等であってその証明書又は証明カードを有している場合には、料金の割引が得られるため、利用者が所有する証明書等を上記証明書確認部30の証明書挿入口32内に挿入する。
【0029】
証明書挿入口32の内部は、略直方体の空間部から形成されており、上記証明書等は当該空間部の底面部上に載置されることとなる。
後に詳説するが、この空間部の底面部の下方、及び、天井部の上方には撮像カメラが設置されていて、挿入された証明書等は、その上面と下面とが同時に撮影されるように設定されている。
【0030】
これにより、利用者が証明書等の上面又は下面の向きを気にする必要が無く、証明書等をその上面又は下面を気にすることなく、思いつくままに挿入することによって証明書等の両面を撮影し、確認することが出来る。
【0031】
上記証明書等が上記証明書挿入口32に挿入できない大きさのものにあっては、その証明書挿入口32の右側にある証明書用撮像カメラ31の前にその証明書等をかざして撮影することもできる。
【0032】
これにより証明書等が確認されると、上記利用料金から割引料金が差し引かれた料金が上記表示部12に表示されることとなる。
利用者は、上記表示部12に表示された割引料金を支払うこととなる。
【0033】
料金支払は、現金又はETCカードやクレジットカードで行うことが出来る。
各種カードの場合には、カード挿入口17から挿入し、現金の場合には、紙幣や硬貨は紙幣投入口14及び/又は硬貨投入口13に投入して支払いを完了することができる。
【0034】
釣銭がある場合には、上記釣銭返却部である紙幣返却部15及び/又は硬貨返却部16から返却される。
利用者が領収書を必要とする際には、領収書発出部18の右隣りにある領収書発行ボタン18bを押すことにより領収書発出部18から領収書が発出される。
【0035】
上記の手順の中で、利用者が機械の使用法について迷ったり、分からない場合には、呼出ボタン21、又は、証明書確認部30の呼出感知部33に手をかざして係員を呼び出し、ビデオ通話を行い、問題を解決することができる。
【0036】
図2は、上記実施形態に係る自動料金収受機械の証明書確認部の証明書挿入口の内部構造についての説明図である。
【0037】
上記証明書挿入口32は、証明書確認部30の略中央部に位置し、その内部空間は上下偏平な略直方体形状を有している。
この内部空間の天井部に上部撮像カメラ35が、その底面部の下方に下部撮像カメラ36が設けられている。
【0038】
上記内部空間の天井部及び底面部は当然透明体から形成され、挿入された証明書の上面側及び下面側の両面を撮影することができる。
ここで撮影された証明書画像データは、係員が目視確認してチェックすることとなる。
【0039】
尚、証明書等が上記証明書挿入口32に挿入できないサイズのものである場合には、上記した通り、この証明書確認部30の右側に設けた証明書用撮像カメラ31で撮影することになる(
図1参照)。
【0040】
以上のように、本発明にあっては、証明書の確認手段として、証明書挿入口32を特別に設け、この証明書挿入口32の内部空間の天井部と底面部の両方に撮像カメラを設けて挿入された証明書の上面及び下面の両方を共に撮影できるようにしたことをその特徴とするものである。
【0041】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明にあっては以下の通り各種設計変更することができる。
本発明においては、その前面部に設けた表示部、インターホン部(カメラ、スピーカー、マイク)、呼出ボタン、通行券挿入部、硬貨投入部、紙幣投入部、紙幣返却部、硬貨返却部、カード挿入部、領収書発出部、証明者確認部、及び、証明者回収口等の設置位置、即ち、そのレイアウトは自由に設定することができるが、特に、証明書確認部は運転者がその運転席から座ったまま操作できる位置に設けることが極めて望ましい。
利用者が身体障碍者の場合に座ったまま操作できるからである。
【0042】
その他、表示部は上方の一番見やすい位置に配設し、呼出ボタンの位置も運転席から容易に手の届く範囲内に設けることが好ましい。
証明書確認部に設けた証明書挿入口の縦横のサイズも自由に設定することができ、その内部空間の大きさも適宜自由に設定することができる。
【0043】
上記証明書挿入口の横に配置した証明書用撮像カメラに関しても、利用者がそのカメラの前にかざす際にインターホン部(カメラ、スピーカー、マイク)によって係員と会話をしながら行うこともできる。
【0044】
以上、本発明は、その証明書確認部の証明書挿入口の内部空間の天井部と底面部との両方に撮像カメラを設置することにより、証明書の確認をより容易に行うことのできる有料道路の自動料金収受機械を提供することができたものである。
【符号の説明】
【0045】
10 自動料金収受機械
11 通行券挿入部
12 表示部
13 硬貨投入部
14 紙幣投入部
15 紙幣返却部
16 硬貨返却部
17 カード挿入部
18 領収書発出部
19 インターホン用スピーカー
20 インターホン用カメラ
21 呼出ボタン
22 インターホン用マイク
23 証明書回収口
30 証明書確認部
31 証明書用撮像カメラ
32 証明書挿入口
33 呼出感知部
35 上部撮像カメラ
36 下部撮像カメラ