IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機機器制御株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電流検出装置 図1
  • 特開-電流検出装置 図2
  • 特開-電流検出装置 図3
  • 特開-電流検出装置 図4
  • 特開-電流検出装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123748
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】電流検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20220817BHJP
   G01R 15/18 20060101ALI20220817BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R15/18 C
G01R19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021255
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴
【テーマコード(参考)】
2G014
2G025
2G035
【Fターム(参考)】
2G014AA16
2G014AB33
2G014AC17
2G025AA00
2G025AB14
2G025AC01
2G035AA20
2G035AB04
2G035AC03
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD18
2G035AD19
2G035AD23
2G035AD27
2G035AD47
2G035AD50
2G035AD51
2G035AD55
(57)【要約】
【課題】本発明は、消費電力を低減することができる電流検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電流検出装置1は、電流Iが流れる導線3a,3bを囲む磁気コア2に供給する励磁電流Ibの極性を反転させる矩形波電圧のデューティ変化に基づいて電流Iを検知して直流漏電を検出する直流漏電検出回路11と、交流の電流Iが導線3a,3bの少なくとも一方に流れることによって磁気コア2に生じる磁束に基づいて交流漏電を検出する交流漏電検出回路12と、矩形波の出力電圧Vaを間欠で出力させて、矩形波の出力電圧Vaの出力期間に直流漏電が検出され矩形波の出力電圧Vaの非出力期間に交流漏電が検出されるように直流漏電検出回路11及び交流漏電検出回路12を制御する検出切替制御回路13とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定電流が流れる導線を囲む磁気コアに供給する励磁電流の極性を反転させる矩形波電圧のデューティ変化に基づいて前記測定電流を検知して直流漏電を検出する直流漏電検出部と、
交流の前記測定電流が前記導線に流れることによって前記磁気コアに生じる磁束に基づいて交流漏電を検出する交流漏電検出部と、
前記矩形波電圧を間欠で出力させて、前記矩形波電圧の出力期間に前記直流漏電が検出され前記矩形波電圧の非出力期間に前記交流漏電が検出されるように前記直流漏電検出部及び前記交流漏電検出部を制御する制御部と
を備える電流検出装置。
【請求項2】
前記直流漏電検出部から入力される第一検出信号及び前記交流漏電検出部から入力される第二検出信号を同期させて漏電検出信号を生成する漏電検出信号生成部と
を備える
請求項1に記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記直流漏電検出部は、
前記磁気コアに巻回されて前記励磁電流が流れる励磁コイルと、
設定した閾値に応じて前記磁気コアを飽和状態又はその近傍の状態で前記矩形波電圧を発生する発振部と、
前記発振部への電源供給を遮断する遮断部と
を有する
請求項1又は2に記載の電流検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏電検知等に用いる高透磁率材料の非線形な特性を利用する電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電流検出装置としては、種々の構成を有するものが提案され、実施されているが、構造的に簡単で微小電流の検知が可能なものとしてフラックスゲート方式の電流センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、交流漏電及び直流漏電の両方を検出する漏電遮断器に、直流漏電検出用のフラックスゲート方式が組み合わされた漏電遮断器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-162244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラックスゲート方式において1個の零相変流器(Zero-phase Current Transformer:ZCT)を用いて全領域の電流を検出回路で検出する場合、零相変流器に設けられた検出コイルに発振された電流が常時、流されている。このため、当該検出回路の消費電力が大きくなるという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、消費電力を低減することができる電流検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による電流検出装置は、測定電流が流れる導線を囲む磁気コアに供給する励磁電流の極性を反転させる矩形波電圧のデューティ変化に基づいて前記測定電流を検知して直流漏電を検出する直流漏電検出部と、交流の前記測定電流が前記導線に流れることによって前記磁気コアに生じる磁束に基づいて交流漏電を検出する交流漏電検出部と、前記矩形波電圧を間欠で出力させて、前記矩形波電圧の出力期間に前記直流漏電が検出され前記矩形波電圧の非出力期間に前記交流漏電が検出されるように前記直流漏電検出部及び前記交流漏電検出部を制御する制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る電流検出装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電流検出装置の直流漏電検出回路に設けられた発振回路の一例を示す回路図である。
図3】発振回路の出力電圧波形と励磁コイルの電流波形とを示す模式図である。
図4】磁気コアの磁界の強さと磁束密度の関係を示す特性線図及び磁気コアのインダクタンス特性を示す特性線図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電流検出装置の動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電流検知装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る電流検出装置1は、電流I(測定電流の一例)が流れる導線3a,3bを囲む磁気コア2に供給する励磁電流Ibの極性を反転させる矩形波の出力電圧(矩形波電圧の一例)Va(図1では不図示、図2参照)のデューティ変化に基づいて電流Iを検知して直流漏電を検出する直流漏電検出回路(直流漏電検出部の一例)11を備えている。直流漏電検出回路11の詳細は後述する。
【0011】
導線3a,3bは、例えば漏電検知等の対象物に設けられている。導線3a,3bには、例えば10A~800Aの往復の電流Iが流れるようになっている。当該対象物が健全状態では、導線3a,3bに流れる電流の和はゼロであるが、当該対象物の漏電や地絡などが発生すると、導線3a,3bに流れる電流の和が零にならず、導線3a,3bには、検出対象とする例えば15mA~500mA程度の微小な差異電流が流れる。磁気コア2は、リング状を有し、導線3a,3bの回りに配設されている。つまり、磁気コア2内に導線3a,3bが挿通されている。
【0012】
電流検出装置1は、交流の電流Iが導線3a,3bの少なくとも一方に流れることによって磁気コア2に生じる磁束に基づいて交流漏電を検出する交流漏電検出回路(交流漏電検出部の一例)12を備えている。交流漏電検出回路12の詳細は後述する。
【0013】
電流検出装置1は、励磁電流Ibの極性を反転させる矩形波の出力電圧Vaを間欠で出力させて、矩形波の出力電圧Vaの出力期間に直流漏電が検出され矩形波の出力電圧Vaの非出力期間に交流漏電が検出されるように直流漏電検出回路11及び交流漏電検出回路12を制御する検出切替制御回路(制御部の一例)13を備えている。また、電流検出装置1は、直流漏電検出回路11及び交流漏電検出回路12に供給される電力を生成する電源回路16を備えている。詳細は後述するが、検出切替制御回路13は、直流漏電検出回路11及び交流漏電検出回路12のそれぞれに設けられた構成要素に電源回路16で生成された電力を供給したり停止したりして、直流漏電検出回路11及び交流漏電検出回路12での漏電検出を切り替えるように構成されている。
【0014】
電流検出装置1は、直流漏電検出回路11から入力される直流漏電検出信号(第一検出信号の一例)Sdd1及び発振停止検出信号(第一検出信号の一例)Sdd2並びに交流漏電検出回路12から入力される交流漏電検出信号(第二検出信号の一例)Sdaを同期させて漏電検出信号Sdを生成する漏電検出信号生成回路(漏電検出信号生成部の一例)14を備えている。漏電検出信号生成回路14の詳細は後述する。
【0015】
電流検出装置1は、漏電検出信号生成回路14から入力される漏電検出信号Sdの信号レベルに基づいて、給電系統に接続された機器(不図示)と導線3a,3bの給電側との間に設けられた電流遮断器(不図示)の開極及び閉極を制御するための制御信号を出力する出力回路15を備えている。
【0016】
次に、直流漏電検出回路11の詳細な構成の一例について図1から図4を用いて説明する。
図1に示すように、直流漏電検出回路11は、磁気コア2に巻き回されて励磁電流Ibが流れる励磁コイル117を有している。励磁コイル117は、磁気コア2に所定巻数で巻回されている。また、直流漏電検出回路11は、設定した閾値に応じて磁気コア2を飽和状態又はその近傍の状態で矩形波の出力電圧Vaを発生する発振回路(発振部の一例)111を有している。励磁コイル117は、発振回路111に接続されている。発振回路111は、励磁コイル117に励磁電流Ibを供給するように構成されている。
【0017】
直流漏電検出回路11は、発振回路111への電源供給を遮断するスイッチ114(遮断部の一例)を有している。スイッチ114は、例えば電界効果トランジスタなどの半導体スイッチで構成されている。スイッチ114は、発振回路111と電源回路16との間に配置されている。スイッチ114は、検出切替制御回路13から入力される切替制御信号Scdによってオン状態(閉状態)からオフ状態(開状態)又はその逆方向への切り替わりが制御される。
【0018】
ここで、発振回路111の構成の一例について図2から図4を用いて説明する。図2は、発振回路111の概略構成の一例を示すブロック図である。図2では、理解を容易にするため、発振回路111に接続された電源回路16、検出切替制御回路13及びスイッチ114が併せて図示されている。
【0019】
図2に示すように、発振回路111は、コンパレータとして動作するオペアンプ111aを備えている。オペアンプ111aの出力側と反転入力側との間に励磁コイル117が接続されている。また、オペアンプ111aの反転入力側は抵抗111bを介してグランドに接続され、オペアンプ111aの非反転入力側は、オペアンプ111aの出力側及びグランド間に直列に接続された分圧抵抗111c及び111d間に接続されている。
【0020】
そして、オペアンプ111aの出力側が出力端子toに接続されている。
このため、発振回路111では、分圧抵抗111c,111dの接続点Eの閾値電圧Vthがオペアンプ111aの非反転入力側に供給されており、閾値電圧Vthと励磁コイル117及び抵抗111bとの接続点Dの電圧Vdとが比較されて、その比較出力が図3(a)に示す矩形波の出力電圧Vaとしてオペアンプ111aの出力側から出力される。
【0021】
例えば、図3(a)に示すように、時点t1で、オペアンプ111aの出力側の出力電圧Vaがハイレベルとなると、ハイレベルの出力電圧Vaが励磁コイル117に印加される。このため、発振回路111は、出力電圧Vaと抵抗111bの抵抗値R111bとに応じた励磁電流Ibで励磁コイル117を励磁する。このとき、励磁電流Ibは、図3(b)に示すように、出力電圧Vaの立ち上がり時点t1から比較的急峻に立ち上がり、その後緩やかに増加する放物線状に増加する。
【0022】
このとき、オペアンプ111aの非反転入力側に出力電圧Vaを分圧抵抗111c,111dの接続点Eで得られる分圧抵抗111cの抵抗値R111c及び分圧抵抗111dの抵抗値R111dで分圧された比較的大きな閾値電圧Vthが入力されている。一方、オペアンプ111aの反転入力側の励磁コイル117及び抵抗111bの接続点Dの電圧Vdは、励磁コイル117の励磁電流Ibの増加に応じて増加し、図3(a)に示すように、電圧Vdが時点t2で非反転入力側の閾値電圧Vthを上回ると、オペアンプ111aの出力電圧Vaがローレベルに反転する。
【0023】
出力電圧Vaがローレベルに反転することに応じて励磁コイル117を流れる励磁電流Ibの極性が反転し、励磁電流Ibが最初は急峻に低下し、その後緩やかに低下する放物線状に減少する。
【0024】
このとき、閾値電圧Vthは、ローレベルとなっていることにより、閾値電圧Vthも低い電圧となっている。そして、オペアンプ111aの反転入力側の励磁コイル117及び抵抗111bの接続点Dの電圧Vdが、励磁コイル117の励磁電流Ibの減少に応じて減少し、図3(a)に示すように、電圧Vdが時点t3で非反転入力側の閾値電圧Vthを下回ると、オペアンプ111aの出力電圧Vaが時点t1と同様にハイレベルに反転する。
このため、出力電圧Vaは、図3(a)に示すように、ハイレベル及びローレベルを繰り返す矩形波電圧となり、発振回路111が非安定マルチバイブレータとして動作する。そして、励磁コイル117の励磁電流Ibは、図3(b)に示すように増加及び減少を繰り返す鋸歯状波電流となる。
【0025】
ところで、磁気コア2は、図4(a)に示すように角型比の大きな磁束密度Bと磁界の強さHとの関係を表すB-H特性を有し、高透磁率材料の非線型な特性を有する。このB-H特性を有する磁気コア2のインダクタンスは、導線3a,3bの差電流が零であるときに、図4(b)に示すように飽和電流付近Gで急激に消失する。磁気コア2を貫通する導線3a,3bに任意の検出対象となる微小な差電流の電流値Cが生じると、図4(b)のB-H特性は、破線図示のように差電流の電流値Cに応じて磁界の強さHの正方向にシフトしてインダクタンスが消失するタイミングが変化する。
【0026】
このため、電流が零のときにインダクタンスが飽和する電流(図4のG)と励磁電流Ibの極性が切り換わる電流(図3のF)とを一致させる。そうすると、インダクタンスが飽和する電流(図4のJ)が導線3a,3bの差電流の電流値Cに応じて変化するので、励磁電流Ibの極性が切り換わる電流(図3(b)のH)も同様に変化することになる。
【0027】
励磁電流Ibの極性が切り換わる電流値が変化することにより、励磁コイル117と抵抗111bとの接続点Dの電圧Vdが閾値電圧Vthを上回るタイミングが遅れることになる。このため、オペアンプ111aから出力される出力電圧Vaの立ち下がり時点が導線3a,3bの差電流の電流値Cに応じて図3(a)で破線図示のように遅れる。この結果、出力電圧Vaの矩形波電圧のデューティ比が導線3a,3bの差電流の電流値Cに応じて変化する。
【0028】
図1に示すように、直流漏電検出回路11は、発振回路111の出力端子toに接続されてデューティ比を検出する電流検知部としての検出回路112を有している。検出回路112は、出力電圧Vaのハイレベル状態を維持している時間とローレベル状態を維持している時間とを計測することにより、デューティ比を検出することができる。検出回路112は、検出したデューティ比に基づいて導線3a,3bの微小差電流の電流値Cを検知することができる。
【0029】
検出回路112は、検出した当該微小差電流の電流値Cが所定値以上である場合には、給電系統に接続された機器に直流漏電が生じていると判定し、信号レベルが例えばハイレベルの直流漏電検出信号Sdd1を漏電検出信号生成回路14に出力する。一方、検出回路112は、検出した当該微小差電流の電流値Cが所定値よりも小さい場合には、給電系統に接続された機器に生じている直流漏電が許容範囲であると判定し、信号レベルが例えばローレベルの直流漏電検出信号Sdd1を漏電検出信号生成回路14に出力する。
【0030】
図2に戻って、直流漏電検出回路11に設けられたスイッチ114は、オペアンプ111aの電源入力端子(不図示)と電源回路16との間に配置されている。このため、スイッチ114が検出切替制御回路13から入力される切替制御信号Scdによってオン状態になると、オペアンプ111aに電源が供給(電力が供給)されるので、発振回路111は、上述のように動作して、ハイレベル及びローレベルを繰り返す矩形波の出力電圧Vaを励磁コイル117に出力する。
【0031】
一方、スイッチ114が検出切替制御回路13から入力される切替制御信号Scdによってオフ状態になると、オペアンプ111aに電力が供給されなくなるので、オペアンプ111aは動作を停止し、発振回路111の出力端子toの電圧レベルはローレベルとなる。
【0032】
図1に示すように、スイッチ114は、検出回路112に設けられた不図示の各種回路(例えば出力電圧Vaのデューティ比を検出する回路)の電源端子に接続されている。このため、検出回路112は、スイッチ114がオフ状態になると、動作を停止する。これにより、スイッチ114が検出切替制御回路13から入力される切替制御信号Scdによってオフ状態になると、検出回路112の出力端子の電圧レベルはローレベルとなる。
【0033】
このように、発振回路111及び検出回路112は、スイッチ114がオフ状態になると、いずれも停止状態となって、発振回路111及び検出回路112のそれぞれの出力端子の電圧レベルはローレベルになる。このため、直流漏電検出回路11は、停止状態では、直流漏電が検出されていない場合と同じ信号レベルの直流漏電検出信号Sdd1を漏電検出信号生成回路14に出力すると看做すことができる。
【0034】
また、直流漏電検出回路11を停止状態とする場合、発振回路111を停止状態とし、検出回路112を動作状態としてもよい。この場合、検出回路112が動作する分だけ電力を消費してしまうものの、発振回路111の出力電圧Vaは、ローレベルの電圧となる。これにより、検出回路112は、直流漏電が検出されていない場合と同じ信号レベルの直流漏電検出信号Sdd1を漏電検出信号生成回路14に出力することができる。また、発振回路111の出力端子toや検出回路112の出力端子にプルダウン抵抗が接続されていてもよい。これにより、直流漏電検出回路11が停止状態(すなわち発振回路111及び検出回路112が停止状態)の場合に、電流検出装置1に生じるノイズなどの影響で発振回路111及び検出回路112が誤動作しても、発振回路111及び検出回路112のそれぞれの出力端子の電圧レベルをより確実にローレベルに維持できる。
【0035】
図1に示すように、直流漏電検出回路11は、発振回路4の出力端子toに接続されて過大直流電流検知部としての過大直流電流検知回路113を有している。これにより、発振回路4の出力端子toから出力される矩形波の出力電圧Vaは、過大直流電流検知回路113に供給される。過大直流電流検知回路113は、矩形波の出力電圧Vaが入力されるハイパスフィルタ回路113aと、ハイパスフィルタ回路113aから出力されるフィルタ出力が供給される発振停止検出回路113bとを有している。
【0036】
ここで、ハイパスフィルタ回路113aは、通常の微小差電流を検出している状態で発振回路111から出力される矩形波の出力電圧Vaを通過させるようにカットオフ周波数が設定されている。
【0037】
発振停止検出回路113bでは、ハイパスフィルタ回路113aのフィルタ出力が矩形波の出力電圧Vaである場合には、微小差電流を検出している状態であると判断するが、ハイパスフィルタ回路113aのフィルタ出力が出力されない状態となると、発振回路111の発振出力が停止した発振停止状態であると判断して導線3a,3bの少なくとも一方に過大な直流電流が流れていることを検知することができる。
【0038】
すなわち、発振回路111では、前述したように、導線3a,3bに流れる微小差電流を検出している状態では、図3(a)に示す矩形波の出力電圧Vaを出力している。このとき、発振回路111は、磁気コア2のB-H特性線上の変化点で発振することが可能であり、電流検出が可能である。このため、発振停止検出回路113bは、ハイパスフィルタ回路113aを介して矩形波の出力電圧Vaが入力されることにより、発振回路111が発振状態であり、微小電流検出状態であることを検知することができる。微小差電流が零である場合も矩形波の出力電圧Vaは出力される。
【0039】
ところが、導線3a,3bの少なくとも一方に過大な直流電流が供給されると、磁気コア2が磁気飽和状態となって、発振回路111の発振出力は、発振出力がB-H特性線の変化点で発振することはできず、B-H特性線の磁気飽和領域側に大きくシフトして発振することになる。このため、発振回路111の発振出力は、振幅が変化しない直流状態となって発振停止状態となってしまう。
【0040】
このように発振回路111が発振停止状態となると、ハイパスフィルタ回路113aを通過する高周波成分がないことからからフィルタ出力が得られなくなり、発振停止検出回路113bの入力信号がローレベルに維持される。このため、発振停止検出回路113bで発振回路111の発振停止状態を検出することができ、発振停止状態を表す例えばハイレベルの発振停止検出信号Sdd2を出力する。一方、発振停止検出回路113bは、ハイパスフィルタ回路113aのフィルタ出力が矩形波の出力電圧Vaである場合には、発振停止状態でないことを表す例えばローレベルの発振停止検出信号Sdd2を出力する。この発振停止検出信号Sdd2により、導線3a,3bの少なくとも一方に過大な直流電流が流れたことによるものと判断することができる。
【0041】
このとき、検出回路112では、発振回路111の出力電圧Vaが一定レベル(例えばローレベル一定)となることにより、デューティ比の測定が不能となる。しかしながら、上述したように、過大直流電流検知回路113で導線3a,3bの少なくとも一方に過大直流電流が流れたことを検知することができるので、検出回路112での測定不能状態が、過大直流電流によるものと容易に判断することができる。
【0042】
ところで、発振回路111は、スイッチ114がオフ状態となって停止状態となると、発振回路111の出力端子toの電圧レベルは、ローレベル一定となる。このため、発振回路111が停止状態と、導線3a,3bの少なくとも一方に過大な直流電流が流れている状態とでは、同じ電圧レベルの電圧がハイパスフィルタ回路113aに入力される。このため、直流漏電検出回路11は、ハイパスフィルタ回路113aに入力される電圧の電圧レベルだけではこれらの2つの状態を判別することができない。そこで、直流漏電検出回路11は、過大直流電流検知回路113の出力端子と漏電検出信号生成回路14との間に配置されたスイッチ115を有している。スイッチ115は、例えば電界効果トランジスタなどの半導体スイッチで構成されている。
【0043】
スイッチ115は、検出切替制御回路13から入力される切替制御信号Scdによってオン状態(閉状態)からオフ状態(開状態)又はその逆方向への切り替わりが制御される。スイッチ115は、スイッチ114がオン状態の場合にはオン状態となり、スイッチ114がオフ状態の場合にはオフ状態となるように制御される。このため、スイッチ115は、発振回路111及び検出回路112が動作している場合にオン状態となり、発振回路111及び検出回路112が停止している場合にオフ状態となる。これにより、直流漏電検出回路11は、導線3a,3bの少なくとも一方に過大な直流電流が流れることによって発振回路111の出力電圧Vaの電圧レベルがローレベルになった場合には、過大直流電流検知回路113から出力される発振停止検出信号Sdd2を漏電検出信号生成回路14に出力できる。一方、発振回路111及び検出回路112が停止している場合、過大直流電流検知回路113から出力される発振停止検出信号Sdd2の漏電検出信号生成回路14への入力は、スイッチ115によって遮断される。このため、直流漏電検出回路11は、発振回路111及び検出回路112が停止している場合には、発振停止検出信号Sdd2を漏電検出信号生成回路14に出力できない。
【0044】
さらに、直流漏電検出回路11は、スイッチ115と漏電検出信号生成回路14との間に配置されたプルダウン抵抗116を有している。プルダウン抵抗116は、スイッチ115及び漏電検出信号生成回路14の間と、グランドとの間に配置されている。このため、スイッチ115がオフ状態となった場合には、プルダウン抵抗116を介してグランドレベルの電圧が漏電検出信号生成回路14に入力される。つまり、直流漏電検出回路11は、発振回路111及び検出回路112が停止している場合には信号レベルがローレベルの発振停止検出信号Sdd2を漏電検出信号生成回路14に出力できる。したがって、直流漏電検出回路11は、過大直流電流検知回路113にローレベルの電圧が入力されたとしても、導線3a,3bの少なくとも一方に過大な直流電流が流れている状態と、発振回路111が停止状態とで異なる信号レベルの発振停止検出信号Sdd2を漏電検出信号生成回路14に出力できる。
【0045】
次に、交流漏電検出回路12の概略構成の一例について説明する。
図1に示すように、交流漏電検出回路12は、磁気コア2に巻き回された2次コイル124を有している。2次コイル124は、磁気コア2に所定巻数で巻回されている。2次コイル124は、導線3a,3bに流れる交流電流の振幅に応じて磁気コア2に生じる磁束に基づいて誘導電流Icを出力する。
【0046】
交流漏電検出回路12は、2次コイル124に接続された電流検出回路121を有している。電流検出回路121は、例えば2次コイル124の両端間に接続された電流検出用抵抗(不図示)を有している。電流検出回路121は、2次コイル124から電流検出用抵抗に流れる交流電流を電圧信号に変換する。
【0047】
ところで、CCID(Charge Circuit Interrupt Device)における交流漏電の漏電判定閾値については、周波数による人体への影響の違いを考慮して、漏電周波数が高いほど大きな値に設定することが例えば、UL2331-2により規格化されている。つまり、CCIDにおける交流漏電の漏電判定閾値については、漏電周波数が低いほど感度が高く、漏電周波数が高いほど感度が低くなるように規格化されている。
【0048】
そこで、交流漏電検出回路12は、2次コイル124に流れる誘導電流Icの周波数に基づいて導線3a,3bに流れる交流の電流I(すなわち交流漏電)の周波数を検出する周波数検出回路122を有している。周波数検出回路122の入力端子は、電流検出回路121の出力端子に接続されている。これにより、周波数検出回路122には、電流検出回路121から出力される電圧信号が入力される。周波数検出回路122は例えば、電流検出回路121から入力される電圧信号の周波数を導線3a,3bに流れる交流の電流Iの周波数として検出する。
【0049】
交流漏電検出回路12は、電流検出回路121及び周波数検出回路122に接続された交流漏電判定回路123を有している。交流漏電判定回路123の一方の入力端子には、電流検出回路121の出力端子が接続され、交流漏電判定回路123の他方の入力端子には、周波数検出回路122の出力端子が接続されている。これにより、交流漏電判定回路123には、電流検出回路121から出力される電圧信号と、周波数検出回路122から出力される出力信号が入力される。周波数検出回路122から出力される出力信号は、導線3a,3bに流れる交流の電流Iの周波数の情報を含んでいる。
【0050】
交流漏電判定回路123は、例えばUL2331-2により規格化された交流漏電の漏電判定閾値に基づいて生成された交流漏電の漏電判定閾値が記憶されている。交流漏電判定回路123は例えば、漏電周波数に対して許容可能な漏電電圧の最大値(実効値換算の最大値)を漏電判定閾値として記憶している。交流漏電判定回路123は、周波数検出回路122から入力される出力信号に含まれる周波数において、電流検出回路121から入力される電圧信号の実効値が漏電判定閾値よりも大きいか否かを判定する。交流漏電判定回路123は、電流検出回路121から入力される電圧信号の実効値が漏電判定閾値よりも大きいと判定した場合には、給電系統に接続された機器に交流漏電が生じていると判定し、信号レベルがハイレベルの交流漏電検出信号Sdaを漏電検出信号生成回路14に出力する。一方、交流漏電判定回路123は、電流検出回路121から入力される電圧信号の実効値が漏電判定閾値以下であると判定した場合には、給電系統に接続された機器に交流漏電が生じていないと判定し、信号レベルがローレベルの交流漏電検出信号Sdaを漏電検出信号生成回路14に出力する。
【0051】
交流漏電検出回路12は、周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123への電源供給を遮断するスイッチ125を有している。スイッチ125は、例えば電界効果トランジスタなどの半導体スイッチで構成されている。スイッチ125は、周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123と電源回路16との間に配置されている。スイッチ125は、検出切替制御回路13から入力される切替制御信号Scaによってオン状態(閉状態)からオフ状態(開状態)又はその逆方向への切り替わりが制御される。
【0052】
スイッチ125は、周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123のそれぞれに設けられた不図示の各種回路の電源端子に接続されている。このため、周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123は、スイッチ125がオフ状態になると、動作を停止する。これにより、スイッチ125が検出切替制御回路13から入力される切替制御信号Scaによってオフ状態になると、周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123のそれぞれの出力端子の電圧レベルは、いずれもローレベルとなる。つまり、周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123は、スイッチ125がオフ状態になると、いずれも停止状態となって信号レベルがローレベルの出力信号を出力すると看做すことができる。
【0053】
したがって、交流漏電検出回路12は、交流漏電を検出した場合には、ハイレベルの交流漏電検出信号Sdaを漏電検出信号生成回路14に出力し、交流漏電を検出しなかった場合及び動作を停止している場合には、ローレベルの交流漏電検出信号Sdaを漏電検出信号生成回路14に出力する。
【0054】
また、周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123の少なくとも一方の出力端子には、プルダウン抵抗が接続されていてもよい。これにより、交流漏電検出回路12が停止状態(すなわち周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123が停止状態)の場合に、電流検出装置1に生じるノイズなどの影響で周波数検出回路122及び交流漏電判定回路123が誤動作しても、交流漏電検出信号Sdaの信号レベルをより確実にローレベルに維持できる。
【0055】
検出切替制御回路13は、所定の周期で極性が切り替わる矩形状の切替制御信号Sca,Scdを生成するように構成されている。検出切替制御回路13は、互いに位相が反転した切替制御信号Sca及び切替制御信号Scdを生成する。スイッチ114、スイッチ115及びスイッチ125は、導電性が同一(例えば導電性がn型)の電界効果トランジスタで構成されている。このため、検出切替制御回路13は、スイッチ114,115のオン/オフ状態と、スイッチ125のオン/オフ状態とが逆となるように制御できる。つまり、検出切替制御回路13は、スイッチ114,115がオン状態の場合にスイッチ125がオフ状態となり、スイッチ114,115がオフ状態の場合にスイッチ125がオン状態となるように制御できる。
【0056】
これにより、検出切替制御回路13は、直流漏電検出回路11が動作状態の場合に交流漏電検出回路12を停止状態とし、直流漏電検出回路11が停止状態の場合に交流漏電検出回路12を動作状態とすることができる。発振回路111は、直流漏電検出回路11が動作中に矩形波の出力電圧Vaを出力する。このため、検出切替制御回路13は、動作状態及び停止状態が繰り返されるように直流漏電検出回路11(より具体的には発振回路111)を制御することによって、発振回路111から出力電圧Vaを間欠で出力させることができる。
【0057】
また、検出切替制御回路13は、発振回路111から出力電圧Vaが出力される出力期間に直流漏電検出回路11において直流漏電を検出し、当該出力期間に交流漏電検出回路12における交流漏電の検出を停止するように制御できる。一方、検出切替制御回路13は、発振回路111から出力電圧Vaが出力されていない非出力期間に直流漏電検出回路11における直流漏電の検出を停止し、当該出力期間に交流漏電検出回路12において交流漏電を検出するように制御できる。このように、検出切替制御回路13は、直流漏電検出回路11及び交流漏電検出回路12での漏電検出を切り替えて制御することができる。
【0058】
図1に示すように、漏電検出信号生成回路14は、直流漏電検出回路11に設けられた検出回路112及び検出切替制御回路13に接続された論理積(AND)ゲート141を有している。また、漏電検出信号生成回路14は、直流漏電検出回路11に設けられたスイッチ115を介して過大直流電流検知回路113と、検出切替制御回路13とに接続されたANDゲート142を有している。また、漏電検出信号生成回路14は、交流漏電検出回路12に設けられた交流漏電判定回路123及び検出切替制御回路13に接続されたANDゲート143を有している。さらに、漏電検出信号生成回路14は、ANDゲート141,142,143に接続された論理和(OR)ゲート144を有している。
【0059】
ANDゲート141の一方の入力端子は、検出回路112の出力端子に接続され、ANDゲート141の他方の入力端子は、スイッチ115の出力側の端子に接続されている。スイッチ115の入力側の端子は、発振停止検出回路113bの出力端子に接続されている。ANDゲート141の出力端子は、ORゲート144の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。
【0060】
このため、ANDゲート141は、検出切替制御回路13から出力される切替制御信号Scdの信号レベルがハイレベルの場合に検出回路112から入力される直流漏電検出信号Sdd1をORゲート144に出力する。一方、ANDゲート141は、検出切替制御回路13から出力される切替制御信号Scdの信号レベルがローレベルの場合には、検出回路112から入力される直流漏電検出信号Sdd1の信号レベルによらずローレベル一定の信号をORゲート144に出力する。
【0061】
また、ANDゲート142は、検出切替制御回路13から出力される切替制御信号Scdの信号レベルがハイレベルの場合にスイッチ115を介して発振停止検出回路113bから入力される発振停止検出信号Sdd2をORゲート144に出力する。一方、ANDゲート142は、検出切替制御回路13から出力される切替制御信号Scdの信号レベルがローレベルの場合には、スイッチ115を介して発振停止検出回路113bから入力される発振停止検出信号Sdd2の信号レベルによらずローレベル一定の信号をORゲート144に出力する。
【0062】
また、ANDゲート143は、検出切替制御回路13から出力される切替制御信号Scaの信号レベルがハイレベルの場合に交流漏電判定回路123から入力される交流漏電検出信号SdaをORゲート144に出力する。一方、ANDゲート143は、検出切替制御回路13から出力される切替制御信号Scaの信号レベルがローレベルの場合には、交流漏電判定回路123から入力される交流漏電検出信号Sdaから入力される交流漏電検出信号Sdaの信号レベルによらずローレベル一定の信号をORゲート144に出力する。
【0063】
したがって、ORゲート144は、直流漏電検出信号Sdd1、発振停止検出信号Sdd2及び交流漏電検出信号Sdaのうちのいずれか1つの信号レベルがハイレベルの場合に、信号レベルがハイレベルの漏電検出信号Sdを生成する。つまり、ORゲート144は、直流漏電、過大直流電流の漏電及び交流漏電のいずれかが給電系統に接続された機器に生じると、信号レベルがハイレベルの漏電検出信号Sdを生成する。一方、ORゲート144は、直流漏電検出信号Sdd1、発振停止検出信号Sdd2及び交流漏電検出信号Sdaのうちのいずれも信号レベルがローレベルの場合には信号レベルがローレベルの漏電検出信号Sdを生成する。つまり、ORゲート144は、直流漏電、過大直流電流の漏電及び交流漏電のいずれも給電系統に接続された機器に生じていない場合には、信号レベルがローレベルの漏電検出信号Sdを生成する。
【0064】
漏電検出信号生成回路14は、直流漏電検出回路11から入力される直流漏電検出信号Sdd1及び発振停止検出信号Sdd2と、交流漏電検出回路12から入力される交流漏電検出信号Sdaと、検出切替制御回路13から入力される切替制御信号Scd,Scaとに基づいて生成した漏電検出信号Sdを出力回路15に出力する。
【0065】
出力回路15は、漏電検出信号生成回路14から入力される漏電検出信号Sdの信号レベルが高レベルの場合には給電系統に接続された機器に漏電が生じているため、当該機器と導線3a,3bの給電側との間に設けられた電流遮断器を開極するための制御信号を生成して当該電流遮断器に出力する。一方、出力回路15は、漏電検出信号生成回路14から入力される漏電検出信号Sdの信号レベルが低レベルの場合には当該機器に漏電が生じていないため、当該電流遮断器の閉極を維持するための制御信号を生成して当該電流遮断器に出力する。
【0066】
なお、電流検出装置1は、検出回路112から出力される直流漏電検出信号Sdd1、発振停止検出回路113bから出力される発振停止検出信号Sdd2及び交流漏電判定回路123から出力される交流漏電検出信号Sdaのそれぞれをブザーや点滅表示器などで構成される別個独立の警報回路に個別に供給することにより、検出された漏電の種類を音又は光で警報するように構成されていてもよい。
【0067】
次に、本実施形態に係る電流検出装置1の漏電検出の動作について図1及び図2を参照しつつ図5を用いて説明する。図5では、理解を容易にするため、漏電が検出された後の電流遮断器の開極が制御される動作の図示は省略されている。図5では、電流検出装置1の漏電検出動作における各種波形が模式的に示されている。図5中の「Scd」は、検出切替制御回路13から出力される切替制御信号Scdの信号波形を示している。図5中の「Sca」は、検出切替制御回路13から出力される切替制御信号Scaの信号波形を示している。図5中の「Va」は、発振回路111から出力される矩形波の出力電圧Vaの電圧波形を示している。図5中の「Ic」は、2次コイル124に流れる誘導電流Icの電流波形を示している。図5中の「Sdd1」は、検出回路112から入力される直流漏電検出信号Sdd1の信号波形を示している。図5中の「Sdd2」は、発振停止検出回路113bから出力される発振停止検出信号Sdd2の信号波形を示している。図5中の「Sda」は、交流漏電判定回路123から入力される交流漏電検出信号Sdaの信号波形を示している。
【0068】
図5に示すように、期間T1では、切替制御信号Scdの信号レベルが高レベルとなるのに対し、切替制御信号Scaの信号レベルが低レベルとなる。このため、期間T1では、直流漏電検出回路11に設けられたスイッチ114,115(図1参照)がオン状態となり、交流漏電検出回路12に設けられたスイッチ125(図1参照)がオフ状態となる。また、期間T1では、導線3a,3b(図1参照)には過大の電流Iが流れていないとする。このため、発振回路111(図1参照)は、矩形波の出力電圧Vaを励磁コイル117に出力する。
【0069】
これにより、発振回路111から出力される矩形波の出力電圧Vaが、検出回路112及び過大直流電流検知回路113に設けられたハイパスフィルタ回路113a(図1参照)に入力される。その結果、検出回路112は、信号レベルがハイレベルの直流漏電検出信号Sdd1を出力する。また、過大直流電流検知回路113に設けられた発振停止検出回路113bは、信号レベルがローレベルの発振停止検出信号Sdd2を出力する。一方、交流漏電検出回路12に設けられた交流漏電判定回路123(図1参照)は、停止状態であるため、信号レベルがローレベルの交流漏電検出信号Sdaを出力する。これにより、漏電検出信号生成回路14(図1参照)は、直流漏電検出信号Sdd1に対応して信号レベルがハイレベルの漏電検出信号Sdを出力回路15に出力する。
【0070】
図5に示すように、期間T2では、切替制御信号Scdの信号レベルが低レベルとなるのに対し、切替制御信号Scaの信号レベルが高レベルとなる。このため、期間T2では、直流漏電検出回路11に設けられたスイッチ114,115がオフ状態となり、交流漏電検出回路12に設けられたスイッチ125がオン状態となる。また、期間T2では、導線3a,3bには交流の電流Iが流れていないとする。このため、発振回路111は、矩形波の出力電圧Vaを励磁コイル117に出力せず、過大直流電流検知回路113に設けられたハイパスフィルタ回路113aには、電圧レベルが低レベルの電圧が入力される。
【0071】
これにより、直流漏電検出回路11に設けられた検出回路112及び過大直流電流検知回路113のそれぞれの出力端子の電圧レベルがローレベルとなる。このため、直流漏電検出信号Sdd1及び発振停止検出信号Sdd2の信号レベルは、ローレベル一定となる。一方、交流漏電検出回路12は、交流漏電を検出していないので、交流漏電判定回路123は、信号レベルがローレベルの交流漏電検出信号Sdaを出力する。このように、直流漏電検出信号Sdd1、発振停止検出信号Sdd2及び交流漏電検出信号Sdaはいずれも、信号レベルが低レベル一定であるため、漏電検出信号生成回路14は、信号レベルがローレベルの漏電検出信号Sdを出力回路15に出力する。
【0072】
図5に示すように、期間T3では、期間T1と同様に、切替制御信号Scdの信号レベルが高レベルとなるのに対し、切替制御信号Scaの信号レベルが低レベルとなる。一方、期間T3では、期間T1と異なり、導線3a,3bに過大な電流Iが流れているとする。
【0073】
このため、発振回路111は、矩形波の出力電圧Vaではなく、電圧レベルがローレベル一定の出力電圧Vaを検出回路112及びハイパスフィルタ回路113aに出力する。その結果、検出回路112は、信号レベルがローレベルの直流漏電検出信号Sdd1を出力する。また、発振停止検出回路113bは、信号レベルがハイレベルの発振停止検出信号Sdd2を出力する。一方、交流漏電検出回路12に設けられた交流漏電判定回路123は、停止状態であるため、信号レベルがローレベルの交流漏電検出信号Sdaを出力する。これにより、漏電検出信号生成回路14は、発振停止検出信号Sdd2に対応して信号レベルがハイレベルの漏電検出信号Sdを出力回路15に出力する。
【0074】
図5に示すように、期間T4では、期間T2と同様に、切替制御信号Scdの信号レベルが低レベルとなるのに対し、切替制御信号Scaの信号レベルが高レベルとなる。一方、期間T4では、期間T2と異なり、導線3a,3bには、交流漏電と検出される大きさの交流の電流Iが流れているとする。
【0075】
その結果、直流漏電検出回路11に設けられた検出回路112及び過大直流電流検知回路113のそれぞれの出力端子の電圧レベルがローレベルとなる。このため、直流漏電検出信号Sdd1及び発振停止検出信号Sdd2の信号レベルは、ローレベル一定となる。一方、交流漏電検出回路12は、交流漏電を検出するので、交流漏電判定回路123は、信号レベルがハイレベルの交流漏電検出信号Sdaを出力する。これにより、漏電検出信号生成回路14は、交流漏電検出信号Sdaに対応して信号レベルがハイレベルの漏電検出信号Sdを出力回路15に出力する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態による電流検出装置1は、電流Iが流れる導線3a,3bを囲む磁気コア2に供給する励磁電流Ibの極性を反転させる矩形波電圧のデューティ変化に基づいて電流Iを検知して直流漏電を検出する直流漏電検出回路11と、交流の電流Iが導線3a,3bの少なくとも一方に流れることによって磁気コア2に生じる磁束に基づいて交流漏電を検出する交流漏電検出回路12と、矩形波の出力電圧Vaを間欠で出力させて、矩形波の出力電圧Vaの出力期間に直流漏電が検出され矩形波の出力電圧Vaの非出力期間に交流漏電が検出されるように直流漏電検出回路11及び交流漏電検出回路12を制御する検出切替制御回路13とを備えている。
【0077】
当該構成を備える電流検出装置1は、直流漏電検出回路11を間欠動作することができるので、消費電力を低減することができる。また、電流検出装置1は、直流漏電検出回路11及び交流漏電検出回路12を備えているので、小さい直流漏電から大きな交流漏電まで網羅して漏電を検出することができる。
【0078】
本実施形態によると、測定電流が流れる導線を貫通させた1つの磁気コア2と、この磁気コア2に巻回された1つの励磁コイル117とを備え、励磁コイル117に発振回路111で矩形波の出力電圧Vaを印加したときの励磁コイル117を流れる励磁電流Ibの極性切り換わり電流と電流が零であるときに磁気コア2のインダクタンスが飽和する電流とを一致させることにより、発振回路111の矩形波の出力電圧Vaのデューティ比を測定電流の電流値Cに応じて変化させ、このときのデューティ比を検出回路112で検出するだけの簡易な構成で、磁気コア2を貫通する導線3a,3bを流れる微小電流を広範囲に確実に検知することができ、低コスト化を図ることができる。
【0079】
また、電流検出装置1は、特許文献1に記載された従来例のように2つの磁気コアを使用する場合のようにコア材料特性の違いによるS/N比の低下が生じることはなく、微小電流を高精度で検知することができる。
しかも、電流検出装置1は、特許文献1に記載された従来例のように磁気センサ等を使用することなしに電流検知が可能であるので、堅牢で、周囲環境条件により影響を受けることが少ない電流検知装置を提供することができる。
【0080】
さらに、発振回路111から出力される矩形波の出力電圧Vaを過大直流電流検知回路113に供給するので、導線3a,3bの少なくとも一方に過大直流電流が流れて、発振回路111が発振停止状態となったときに、この発振停止状態を発振停止検出回路113bで検出することができ、導線3a,3bの少なくとも一方に過大直流電流が流れていることを確実に検知することができる。
【0081】
なお、上記実施形態においては、過大直流電流検知回路113のフィルタ回路としてハイパスフィルタ回路113aを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、微小差電流検出時の発振回路111の矩形波の出力電圧Vaを通過させるバンドパスフィルタ回路を適用してもよい。さらには、ローパスフィルタ回路を適用して矩形波の出力電圧Vaを平均化し、その平均値のレベルを発振停止検出回路113bで判別するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、2本の導線3a及び3bの差電流を検知する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、1本の導線に流れる微小電流を検出することもできる。
【符号の説明】
【0082】
1 電流検出装置
2 磁気コア
3a,3b 導線
11 直流漏電検出回路
12 交流漏電検出回路
13 検出切替制御回路
14 漏電検出信号生成回路
15 出力回路
16 電源回路
111 発振回路
111a オペアンプ
111b 抵抗
111c 分圧抵抗
111d 分圧抵抗
112 検出回路
113 過大直流電流検知回路
113a ハイパスフィルタ回路
113b 発振停止検出回路
114,115,125 スイッチ
116 プルダウン抵抗
117 励磁コイル
121 電流検出回路
122 周波数検出回路
123 交流漏電判定回路
124 2次コイル
141,142,143 ANDゲート
144 ORゲート
Sca 切替制御信号
Scd 切替制御信号
Sd 漏電検出信号
Sda 交流漏電検出信号
Sdd1 直流漏電検出信号
Sdd2 発振停止検出信号
図1
図2
図3
図4
図5