(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123768
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】ちり取り
(51)【国際特許分類】
A47L 13/52 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
A47L13/52 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021290
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】横山 広
(72)【発明者】
【氏名】中川 和紀
【テーマコード(参考)】
3B074
【Fターム(参考)】
3B074HH01
3B074HH03
(57)【要約】
【課題】 ちり取りの不使用時に、塵埃等が集塵ケースの内部に付着するのを防ぐことができると共に、集塵ケースの汚れを外部から視認され難くすることができるちり取りを提供する。
【解決手段】 ちり取り10は、略棒状の把持柄1と、略平坦状の底板21と、底板21の両側端及び後端から起立する側板22と、底板21の後部上方を覆うように側板22から延びる天板23とを有する集塵ケース2と、把持柄1の端部と集塵ケースの天板23とを回動可能に連結した回動手段3とを有しており、把持柄1を床面に対して略垂直方向に立てた状態で、集塵ケース2の下部開口4側を下方として床面に当接可能な収納モードと、集塵ケースの底板21側を下方として床面に当接可能な集塵モードとに変形可能とした。
【選択図】
図1(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略棒状の把持柄と、
略平坦状の底板と、前記底板の両側端及び後端から起立する側板と、前記底板の後部上方を覆うように前記側板から延びる天板と、を有する集塵ケースと、
前記把持柄の端部と前記集塵ケースの天板とを回動可能に連結した回動手段と、
を有するちり取りにおいて
前記集塵ケースは、前記底板と、側板の一部とから下部開口が形成され、前記天板と、側板の一部とから上部開口が形成されており、
前記把持柄を床面に対して略垂直方向に立てた状態で、前記集塵ケースの下部開口側を下方として床面に当接可能な収納モードと、前記集塵ケースの底板側を下方として床面に当接可能な集塵モードと、に変形可能であることを特徴とするちり取り
【請求項2】
使用者が把持柄を操作することによって、収納モードと集塵モードとに変形可能なことを特徴とする請求項1に記載のちり取り
【請求項3】
集塵ケースの底板は、前方端部に軟質部材を有し、収納モードにおいて、前記軟質部材は床面に当接していないことを特徴とする請求項1又は2に記載のちり取り
【請求項4】
回動手段は、把持柄の軸方向に突出するように付勢された押圧部材と、集塵ケースの天板の外面に形成され、前記押圧部材と嵌合する2箇所以上の凹部を有する受け部材と、前記把持柄を前記受け部材を中心に、往復回動可能に接続した軸部材と、を有し、
前記把持柄は、集塵ケースの底板の平面に対して略垂直上方と略平行後方を往復回動できるものであって、前記受け部材の凹部の最下点は、前記軸部材の軸中心から、集塵ケースの底板の平面に対して垂直上方に引いた仮想線よりも前方側に寄って形成されていると共に、前記軸部材の軸中心から、集塵ケースの底板の平面に対して平行後方に引いた仮想線よりも下方側に寄って形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のちり取り
【請求項5】
収納モードにおいて、柄と、該柄の下端に設けられた清掃刷毛と、を有する箒を着脱可能なちり取りであって、
集塵ケースの天板の外面に、前記箒の柄の一部を収納可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のちり取り
【請求項6】
収納モードにおいて、天板の開口縁は、床面に対して略平行となるように形成されていると共に、前記天板の開口縁は、箒の清掃刷毛を集塵ケースの内部に案内する誘導壁を構成していることを特徴とする請求項5に記載のちり取り
【請求項7】
収納モードにおいて、箒の清掃刷毛を集塵ケースの内部に収納可能であると共に、集塵ケースの下部開口及び上部開口を越えて外方に突出しないように収容可能なことを特徴とする請求項5又は6に記載のちり取り
【請求項8】
収納モードにおいて、集塵ケースの天板の平面が床面に対して略垂直平面上に位置していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のちり取り
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみや塵埃を収容する集塵ケースと棒状の把持柄とを備えたちり取りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ごみや塵埃を収容するプラスチック製の集塵ケースと、棒状の把持柄とを備えた家庭用に用いられるちり取りが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のちり取りは、柄部と、受け部とからなり、柄部上方には、アクティブ式取っ手と挟み溝が設けられ、末端には、位置決め柱とスライド柱が設けられ、受け部の内端壁にはコ形溝が設けられており、コ形溝の両側には、位置決め孔とスライド弧溝が設けられ、位置決め柱とスライド柱を、コ形溝の位置決め孔とスライド弧溝内に嵌合し、位置決め柱を支点にして、柄部のスライド柱をスライド弧溝内でスライドさせて不使用時の収納モードとすることができるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のちり取りの収納モードは、受け部の開口先端部が上方に向けられた状態となることから、塵埃等が内部に付着し、残存する可能性があると共に、受け部の汚れを外部から視認され易いものであった。また、受け部の開口先端部を上方に回動させる動作は、使用者が手で受け部の開口先端部に触れる必要があるため、不衛生であると共に、塵埃等の飛散が懸念されていた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、ちり取りの不使用時に、塵埃等が集塵ケースの内部に付着し、残存するのを防ぐことができると共に、集塵ケースの汚れを外部から視認され難くすることができ、簡単な操作で、ちり取りの集塵モードと収納モードとを変形させることができるちり取りを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、略棒状の把持柄と、略平坦状の底板と、前記底板の両側端及び後端から起立する側板と、前記底板の後部上方を覆うように前記側板から延びる天板と、を有する集塵ケースと、前記把持柄の端部と前記集塵ケースの天板とを回動可能に連結した回動手段と、を有するちり取りにおいて、前記集塵ケースは、前記底板と、側板の一部とから下部開口が形成され、前記天板と、側板の一部とから上部開口が形成されており、前記把持柄を床面に対して略垂直方向に立てた状態で、前記集塵ケースの下部開口側を下方として床面に当接可能な収納モードと、前記集塵ケースの底板側を下方として床面に当接可能な集塵モードと、に変形可能であることを特徴としている。
【0008】
請求項1のちり取りの発明は、把持柄を床面に対して略垂直方向に立てた状態で、集塵ケースの下部開口側を下方として床面に当接可能な収納モードに変形可能であることから、ちり取りの不使用時に、塵埃等が集塵ケースの内部に付着し、残存するのを防ぐことができると共に、集塵ケースの汚れを外部から視認され難くすることができる。また、集塵ケースの下部開口側を下方として、収納モードに変形できるため、塵埃等の飛散を防止することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、使用者が把持柄を操作することによって、収納モードと集塵モードとに変形可能なことを特徴としている。これにより、使用者の手が集塵ケースに触れることがないので、衛生的であると共に、塵埃等の付着を防ぐことができる。また、簡単な操作で、ちり取りの集塵モードと収納モードとを変形させることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、集塵ケースの底板は、前方端部に軟質部材を有し、収納モードにおいて、前記軟質部材は床面に当接していないことを特徴としている。これにより、軟質部材の劣化を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれかの発明において、回動手段は、把持柄の軸方向に突出するように付勢された押圧部材と、集塵ケースの天板の外面に形成され、前記押圧部材と嵌合する2箇所以上の凹部を有する受け部材と、前記把持柄を前記受け部材を中心に、往復回動可能に接続した軸部材と、を有し、前記把持柄は、集塵ケースの底板の平面に対して略垂直上方と略平行後方を往復回動できるものであって、前記受け部材の凹部の最下点は、前記軸部材の軸中心から、集塵ケースの底板の平面に対して垂直上方に引いた仮想線よりも前方側に寄って形成されていると共に、前記軸部材の軸中心から、集塵ケースの底板の平面に対して平行後方に引いた仮想線よりも下方側に寄って形成されていることを特徴としている。これにより、把持柄の長手方向が、集塵ケースの底板の平面に対して略垂直上方又は略平行後方よりも若干傾いた状態で固定させることができるので、自重や多少の衝撃で把持柄の固定が解除されるのを防ぐことができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、収納モードにおいて、柄と、該柄の下端に設けられた清掃刷毛と、を有する箒を着脱可能なちり取りであって、集塵ケースの天板の外面に、前記箒の柄の一部を収納可能な凹部が形成されていることを特徴としている。したがって、収納モードの状態で箒をちり取りに着脱することができると共に、コンパクトにできる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、収納モードにおいて、天板の開口縁は、床面に対して略平行となるように形成されていると共に、前記天板の開口縁は、箒の清掃刷毛を集塵ケースの内部に案内する誘導壁を構成していることを特徴としている。したがって、誘導壁により、箒の清掃刷毛を集塵ケースの内部にスムーズに案内することができる。また、天板の開口縁が誘導壁を構成しているので、箒の清掃刷毛が集塵ケースの底板や側板に接触して汚れるのを防ぐことができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項5又は6の発明において、収納モードにおいて、箒の清掃刷毛を集塵ケースの内部に収納可能であると共に、集塵ケースの下部開口及び上部開口を越えて外方に突出しないように収容可能なことを特徴としている。したがって、収納モードにおいて、箒の清掃刷毛が外部から視認され難くすることができると共に、清掃刷毛に付着した塵埃等が外部に飛散するのを防ぐことができる。また、箒を連結させた状態で、よりコンパクトにできる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1~7のいずれかの発明において、収納モードにおいて、集塵ケースの天板の平面が床面に対して略垂直平面上に位置していることを特徴としている。したがって、収納モードにおいて、部屋の壁面に集塵ケースの天板を当接させることによって、集塵ケースの開口面が床面と壁面とによって覆われることとなるので、集塵ケースに付着した塵埃等が外部に飛散するのを防ぐことができると共に、集塵ケースの汚れを一層外部から視認され難くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、ちり取りの不使用時に、塵埃等が集塵ケースの内部に付着するのを防ぐことができると共に、集塵ケースの汚れを外部から視認され難くすることができる。また、請求項2の発明は、使用者の手に塵埃等が付着するのを防ぐことができる。また、請求項3の発明は、軟質部材の劣化を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。また、請求項4の発明は、自重や多少の衝撃で把持柄の固定が解除されるのを防ぐことができる。
【0017】
請求項5の発明は、収納モードの状態で箒をちり取りに着脱することができる。また、請求項6の発明は、箒の清掃刷毛を集塵ケースの内部にスムーズに案内することができると共に、箒の清掃刷毛が集塵ケースの底板や側板に接触して汚れるのを防ぐことができる。また、請求項7の発明は、収納モードにおいて、箒の清掃刷毛が外部から視認され難くすることができると共に、清掃刷毛に付着した塵埃等が外部に飛散するのを防ぐことができる。また、請求項8の発明は、集塵ケースに付着した塵埃等が外部に飛散するのを防ぐことができると共に、集塵ケースの汚れを一層外部から視認され難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1(a)】本発明に係るちり取りの集塵モードにおける斜視図
【
図1(b)】本発明に係るちり取りの集塵モードにおける正面図
【
図1(c)】本発明に係るちり取りの集塵モードにおける左側面図
【
図2(a)】本発明に係るちり取りの収納モードにおける斜視図
【
図2(b)】箒と合体させた状態の本発明に係るちり取りの収納モードにおける斜視図
【
図2(c)】箒と合体させて壁に当接させた状態の本発明に係るちり取りの収納モードにおける左側面図
【
図3】(a)~(c)箒を取り付けた状態の本発明に係るちり取りの収納モードにおける正面図
【
図4】(a)~(d)箒との着脱過程を示す本発明に係るちり取りの左側面図
【
図5】(a) 本発明に係るちり取りの収納モードにおける部分断面図(b)本発明に係るちり取りの集塵モードにおける部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1(a)は、本発明に係るちり取りの集塵モードにおける斜視図であり、
図1(b)は、本発明に係るちり取りの集塵モードにおける正面図、
図1(c)は、本発明に係るちり取りの集塵モードにおける左側面図である。また、
図2(a)は、本発明に係るちり取りの収納モードにおける斜視図であり、
図2(b)は、箒と合体させた状態の本発明に係るちり取りの収納モードにおける斜視図、
図2(c)は、箒と合体させて壁に当接させた状態の本発明に係るちり取りの収納モードにおける左側面図である。これらの図を用いて本発明に係るちり取りの概要を以下に説明する。
【0020】
本発明に係るちり取り10は、略棒状の把持柄1と、略平坦状の底板21と底板21の両側端及び後端から起立する側板22と、底板21の後部上方を覆うように側板22から延びる天板23とを有する集塵ケース2と、把持柄1の端部と集塵ケース2の天板23とを回動可能に連結した回動手段3とを有している。また、集塵ケース2の底板21は、前方端部に軟質部材6を有している。また、把持柄1の端部には、持ち手1aが形成されており、持ち手1aの近傍には係止ホルダー12が取り付けられている。この係止ホルダー12は、後述するように箒の柄8aを係止することができる。
【0021】
集塵ケース2は、底板21と、側板22の一部とから下部開口4が形成され、天板23と、側板22の一部とから上部開口5が形成されている。ここで、
図1(a)に示す側板の前方上部に位置する角部22a、22a同士を結んだ仮想線7が下部開口4と上部開口5の境界線であり、下部開口4とは、仮想線7と、両側板の端縁22b、22bと、軟質部材の端縁6aで囲まれた部分で定義される。また、上部開口5とは、仮想線7と、両側板の上縁22c、22cと、天板の端縁23aで囲まれた部分で定義される。
【0022】
ちり取り10は、把持柄1を床面に対して略垂直方向に立てた状態で、集塵ケース2の下部開口4側を下方として床面に当接可能な収納モードと、集塵ケース2の底板21側を下方として床面に当接可能な集塵モードとに変形することが可能となっている。尚、集塵ケース2は合成樹脂で一体的に形成されており、ポリプロピレン、導電性ポリプロピレン、ABS樹脂、導電性ABS樹脂、ポリアミド樹脂等を採用することができる。また、軟質部材6は、ゴム製が好ましい。
【0023】
ちり取り10は、収納モードにおいて、軟質部材6を床面に当接していないようにしている。これにより、軟質部材6の劣化を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
【0024】
ちり取り10は、集塵ケースの天板23の外面に、箒8の柄の一部を収納可能な凹部が形成されている。
図2(b)に示すように、収納モードにおいて、柄8aと、柄8aの下端に設けられた清掃刷毛11とを有する箒8を着脱することができるようにしている。箒8の清掃刷毛11は、基台9に一方の端部が固定されている。また、柄の連結部8cと基台の連結部9aとが連結されていると共に、連結部8c、9aはクラッチ機構を備えており、柄8aに対して任意の角度で基台9固定することができるようにしている。尚、8bは柄8aの端部に形成されている持ち手である。
【0025】
また、
図2(c)に示すように、収納モードにおいて、箒8をちり取り10に装着した状態で側面視すると、箒8の柄の一部と清掃刷毛11とは、集塵ケースの側板22に覆われて視認され難くなっている。これにより、不使用時に、箒の清掃刷毛11に付着した塵埃や汚れ等を視認することで受ける不快感や心理的な抵抗感等を軽減することができる。さらに、集塵ケースの天板23の平面が、床面に対して略垂直平面上に位置しているため、部屋の壁面に集塵ケースの天板23を当接させた状態で床面に静置させた場合は、集塵ケースの下部開口4と上部開口5が床面と壁面とで覆われることとなり、外部からより一層視認され難くなると共に、箒の清掃刷毛11に付着した塵埃等が飛散するのを防ぐことができる。また、箒の清掃刷毛11は、集塵ケースの下部開口4及び上部開口5を越えて突出しないように固定されている。従って、箒の清掃刷毛11が床面や壁面と当接し屈曲することで起きる、清掃効果や耐久性の低下を防止できると共に、清掃刷毛11に付着している塵埃や汚れ等を、床面や壁面に付着させることを防止できる。
【0026】
図3(a)~(c)は、箒を取り付けた状態の本発明に係るちり取りの収納モードにおける正面図である。これらの図を用いて箒のちり取りへの取り付け手順を説明する。
【0027】
まず、ちり取り10を起立させた状態で箒の清掃刷毛11を開口4、5から集塵ケース2の内部に入れる。この時、
図3(a)に示すように、箒の柄8aの連結部8cは、天板の凹部23bに嵌合された状態であるが、係止ホルダー12には係止されていない状態であり、箒の柄8aは少し正面側に傾いている。また、箒の清掃刷毛11の長手方向は、使用者が清掃時に様々な体勢で使用していることから、床面に対して傾斜した状態となっている。
【0028】
次に、
図3(b)に示すように、箒の柄8aを上方に引き上げると共に、略垂直となるように傾きを直して、係止ホルダー12に挟み込む。この時、基台9の上部が上部開口5の縁であって、天板23の開口縁に当接した状態となると共に、清掃刷毛11の長手方向は、床面に対して平行になる。
【0029】
次に、
図3(c)に示すように、箒の柄8aを下方に下げると、箒の持ち手8bの一方の端部近傍の柄に取り付けられている係止リング8dが係止ホルダー12に係止して箒8は、ちり取り10に固定される。具体的には、係止ホルダー12は略C型断面形状の弾性部材で形成されており、内径は係止リング8dの外径と略同じ長さであり、係止ホルダー12の開口径は、係止リング8dの外径よりも若干短くしている。また、箒の持ち手8bの外径は、係止リング8dの外径よりも太く形成されている。また、箒の柄8aの外径は、係止リング8dの外径よりも細く形成されていると共に、係止ホルダー12の開口径よりも短く形成されている。したがって、箒8をちり取り10に固定する際には、箒の柄8a側を係止ホルダー12の開口側から挿入した後、下方に落とすことによって、係止リング8dを係止ホルダー12に係止することもできるが、係止リング8dを直接係止ホルダー12の開口から挿入しても係止ホルダー12に係止することができる。また、箒8をちり取り10から取り外す際には、固定する際の動作と逆の動作をすることによって、容易に取り外すことができる。
【0030】
図3(c)に示すように、収納モードにおいて、集塵ケースの天板23の平面が床面に対して略垂直平面上に位置しており、天板23の開口縁は、床面に対して略平行となるように形成されている。また、天板23の開口縁は、箒の清掃刷毛11の長手方向を、床面に対して略平行となるように修正しながら、集塵ケース2の内部に案内する誘導壁を構成している。また、収納モードにおいて、箒の清掃刷毛11を集塵ケース2の内部に収納可能であると共に、集塵ケースの下部開口4及び上部開口5を越えて外方に突出しないように収容可能としている。これにより、収納モードにおいて、箒の清掃刷毛11が外部から視認され難くすることができると共に、清掃刷毛11に付着した塵埃等が外部に飛散するのを防ぐことができる。さらに、箒の清掃刷毛11が集塵ケース2の内面や床面と当接し屈曲することで起きる、清掃効果や耐久性の低下を防止できると共に、清掃刷毛11に付着している塵埃や汚れ等を、集塵ケース2の内面や床面に付着させることを防止できる。
【0031】
図4(a)~(d)は、箒との着脱過程を示す本発明に係るちり取りの左側面図である。これらの図を用いて本発明に係るちり取りと箒との着脱について説明する。
【0032】
まず、
図4(a)に示す箒8がちり取り10に固定されている状態から両者を引き離すと共に、ちり取り10の集塵ケースの側板22の前方下部に位置する角部Zを支点にして把持柄1を図面上、反時計回りに約45度傾けた後、角部Zの支点を維持した状態で把持柄1を床面に対して垂直となる状態に戻しつつ、把持柄1を下方に向けて押すと回動手段3はロックが解除され、
図4(b)に示す状態となる。この状態から把持柄1をさらに下方に向けて押すと、集塵ケース2は、底板21が床面に当接して
図4(c)に示す集塵モードの状態となる。この状態では、把持柄1は、回転手段3がロックされた状態となるので、床面に対して略垂直な状態が維持される。
【0033】
一方、集塵モードから収納モードにする場合は、
図4(c)に示す状態から、箒8をちり取り10側に引き寄せると共に、ちり取り10は角部Zを支点として把持柄1を図面上時計回りに約45度傾けた後、角部Zの支点を維持した状態で把持柄1を床面に対して垂直となる状態に戻しつつ、把持柄1を下方に向けて押すと回動手段3はロックが解除され、
図4(d)に示す状態となる。この状態からちり取り10の把持柄1を箒の柄8aに近づけて、係止リング8dを係止ホルダー12に係止することにより、
図4(a)に示す収納モードの状態となる。上述のように使用者は把持柄1を操作することによって収納モードと集塵モードとに変形することができ、使用者の手が集塵ケース2に触れることがないので、衛生的であると共に、塵埃等の付着を防ぐことができる。
【0034】
図5(a)は、本発明に係るちり取りの収納モードにおける部分断面図であり、
図5(b)は、本発明に係るちり取りの集塵モードにおける部分断面図である。これらの図を用いて回動手段について説明する。
【0035】
回動手段3は、把持柄1の軸方向に突出するようにバネ17によって付勢された押圧部材13と、集塵ケースの天板の外面に形成され、押圧部材13と嵌合する2箇所の凹部14a、14bを有する受け部材14と、把持柄1を、受け部材14を中心に往復回動可能に接続した軸部材15とを有している。そして、押圧部材13の先端に形成されている凸部13aが凹部14a又は、凹部14bに嵌合することによって把持柄1は、ロックされた状態となる。尚、凹部14aと凹部14bの間に別の凹部を形成することも可能であり、これにより、把持柄1の長手方向が集塵ケースの底板21に対して略45度の角度を有して把持柄1がロックされた状態とすることも可能である。
【0036】
把持柄1は、集塵ケースの底板21の平面に対して略垂直上方と略平行後方を往復回動できるものであって、受け部材の凹部14a、14bの最下点16は、軸部材15の軸中心から、底板21の平面に対して垂直上方に引いた仮想線Xよりも前方側に寄って形成されていると共に、軸部材15の軸中心から、底板21の平面に対して平行後方に引いた仮想線Yよりも下方側に寄って形成されている。ここで、前方側、下方側とは、集塵ケースの底板21を床面に設置した状態の集塵モードを基準にしている。
【0037】
これにより、把持柄1の長手方向が、集塵ケースの底板21の平面に対して略垂直上方又は略平行後方よりも若干傾いた状態で固定させることができるので、自重や多少の衝撃で把持柄1の固定が解除されるのを防ぐことができる。また、受け部材の凹部14a、14bの最下点16と、仮想線Xまたは仮想線Yとの距離は、把持柄1の長さや自重によって適宜選択できるものであり、把持柄1の長手方向が、把持柄1の回動方向とは逆方向に傾く構造であれば、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係るちり取りは、ごみや塵埃を集める清掃道具として利用される。
【符号の説明】
【0039】
1 把持柄
1a 持ち手
2 集塵ケース
3 回動手段
4 下部開口
5 上部開口
6 軟質部材
6a 軟質部材の端縁
7 仮想線
8 箒
8a 箒の柄
8b 箒の持ち手
8c 柄の連結部
8d 係止リング
9 基台
9a 基台の連結部
10 ちり取り
11 清掃刷毛
12 係止ホルダー
13 押圧部材
13a 凸部
14 受け部材
14a、14b 凹部
15 軸部材
16 最下点
17 バネ
21 底板
22 側板
22a 角部
22b 端縁
22c 上縁
23 天板
23a 天板の端縁
23b 天板の凹部
X、Y 仮想線
Z 角部