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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123796
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/04 20060101AFI20220817BHJP
   F21S 8/00 20060101ALI20220817BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220817BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220817BHJP
【FI】
F21V5/04 450
F21S8/00 300
F21V5/04 200
F21Y115:10
F21Y115:10 300
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021346
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚原 康晴
(72)【発明者】
【氏名】淵脇 高幸
(72)【発明者】
【氏名】矢成 ちひろ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】グレアを低減して均一な発光を実現した照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具11は、光源部41と、光源部41からの光を照明器具の下端部から外部に照射する横長に形成された照射開口25と、照射開口25を塞ぐように設けられる光制御部材61と、を有する。光制御部材61は、入射面62が平面であり、出射面64が断面アーチ状の凹面に形成される。光制御部材61の長手方向の両端部61aは、前記照射開口25の長手方向の両端部25aの近傍に配置される。光制御部材61の長手方向の中央部が照射開口25の長手方向の両端部25aよりも照明器具の内部側に配置される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部からの光を照明器具から外部に照射する横長に形成された照射開口と、
前記照射開口を塞ぐように設けられる光制御部材と、を有し、
前記光制御部材は、入射面が平面であり、出射面が断面アーチ状の凹面に形成される、照明器具。
【請求項2】
前記光制御部材の長手方向の両端部は、前記照射開口の長手方向の両端部近傍に配置される、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記光制御部材の長手方向の中央部が前記照射開口の長手方向の両端部よりも照明器具の内部側に配置される、請求項1または請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記光源部の光軸方向と前記光制御部材の出射面の出射方向が異なる、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記光制御部材は、前記出射面と交差する少なくとも1つの壁部を有し、
前記壁部の出射面側端部は、前記照射開口の端部と上下方向の位置が近傍である、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、グレアが生じない明るい足元灯が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される足元灯は、器具本体の照射開口に遮光ルーバー板材から形成された透光性カバーが設けられている。足元灯から出射した直接光は主に足元を照らし、人の目には入らないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-282911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の足元灯の構成においてLED素子等の指向性の強い光源を用いた場合、光源と遮光ルーバー板材との距離を適切に設けることができないと、光源から出射した光が十分に拡散されないため足元灯からの照射光は局所的に輝度が高くなるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、グレアを低減して均一な発光を実現した照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
すなわち、本願に開示する照明器具は、
光源部と、
前記光源部からの光を照明器具から外部に照射する横長に形成された照射開口と、
前記照射開口を塞ぐように設けられる光制御部材と、を有し、
前記光制御部材は、入射面が平面であり、出射面が断面アーチ状の凹面に形成されるものである。
【0009】
本願に開示する照明器具において、
前記光制御部材の長手方向の両端部は、前記照射開口の長手方向の両端部近傍に配置されることが好ましい。
【0010】
本願に開示する照明器具において、
前記光制御部材の長手方向の中央部が前記照射開口の長手方向の両端部よりも照明器具の内部側に配置されることが好ましい。
【0011】
本願に開示する照明器具において、
前記光源部の光軸方向と前記光制御部材の出射面の出射方向が異なることが好ましい。
【0012】
本願に開示する照明器具において、
前記光制御部材は、前記出射面と交差する少なくとも1つの壁部を有し、
前記壁部の出射面側端部は、前記照射開口の端部と上下方向の位置が近傍であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、グレアを低減して均一な発光を実現した照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る照明器具を示す斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る照明器具を示す斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る照明器具を示す正面図。
図4図3におけるA-A線断面図。
図5】本発明の実施形態に係る照明器具を示す分解図。
図6】天板を示す斜視図。
図7】器具本体に基板を取り付ける方法を説明するための説明図。
図8図4におけるB-B線断面図。
図9】パッキンを示す図であり、(a)背面側を示す斜視図、(b)は前面側を示す斜視図。
図10】光制御部材の前面側を示す図であり、(a)は光制御部材を右上方から見た斜視図、(b)は光制御部材を左下方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る照明器具11について、図1から図10を用いて説明する。本実施形態に係る照明器具11は、LED素子42を光源とする照明器具である。照明器具11は、例えば、被取付面の一例である壁面Wに設けられた取付孔に埋め込まれるように取り付けられて床面を照らすフットライト(足元灯)として使用することが可能である。以下の説明では、例えば図4に示すように壁面Wに照明器具11を取り付けた場合を基準として、照明器具11の壁面Wに取り付けられる側を照明器具11の被取付面側(背面側)として説明する。図1から図3における上下方向を、照明器具11の「上下方向」として説明する。図1から図3における左右方向を、照明器具11の「左右方向」又は「幅方向」として説明する。図4における前後方向を照明器具11の「前後方向」として説明する。また、以下の説明において、上方から照明器具11等を見た状態を平面視とする。また、照明器具11等を側方から見た状態を側面視とする。また、照明器具11等の断面形状を見た状態を断面視とする。
【0016】
図1から図5に示すように、照明器具11は、正面視において横長の略直方形状である。照明器具11は、器具本体21、電源部31、端子台35、端子台カバー36、光源部41、弾性部材の一例であるパッキン51、光制御部材61及び取付バネ71を主に備える。
【0017】
器具本体21は、正面視において横長の長方形状である。器具本体21は、背面側(後側)が開口された有底凹状の金属製の部材である。器具本体21は、下側が開口されている。器具本体21は、照明器具11の前面側に配置される前面カバーの一例である。器具本体21は、天板28、電源部31、端子台35、光源部41、パッキン51、光制御部材61及び取付バネ71等を保持するものである。器具本体21は、熱伝導率の高い、例えば金属素材で構成される。本実施形態では、一例として器具本体21をアルミニウム合金で構成している。これにより、電源部31及び光源部41から生じる熱を放熱することができる。
【0018】
器具本体21は、凹部22、一対の基板案内部23・23、天板取付部24、照射開口25を主に有している。
【0019】
凹部22は、背面側(後側)と下側が開放された有底略箱状の部分である。凹部22は、光源部41、パッキン51、光制御部材61、配線等を収容して配置するための部分であり、内部にこれらを収容するための奥行き及び幅が確保されている。凹部22は、器具本体21の前側を閉塞する四角形状の底部22aと、底部22aの周囲に形成される側面視略コ字状の側壁部22bを有している。
【0020】
基板案内部23は、凹部22の底部22aから背面側に向かって突出するコ字状(U字状)の部分である。基板案内部23は、光源部41を凹部22の底部22aにおける背面側の所定の位置に案内するためのものである。基板案内部23は、底部22aにおける左右方向の両端近傍に配置されている。基板案内部23は、底部22aにおいて上下方向の略中央部に配置されている。基板案内部23には、光源部41の基板43の長手方向の両端部が係止され、光源部41が器具本体21に対して位置決めされる。
本実施形態の基板案内部23はコ字状(U字状)に設けたが、コ字状(U字状)以外の形状で形成してもよい。例えば、直線形状や、光源部41の基板43の一部を挟むような形状に設けてもよい。
【0021】
天板取付部24は、凹部22の底部22aに設けられる背面側に向かって凸状の複数のボスである。天板取付部24は、天板28の貫通孔28a、28bに対応して形成されている。天板取付部24には、天板28がネジ等の取付部材30により取り付けられる。
【0022】
照射開口25は、器具本体21の下側の開口部分である。照射開口25は、光源部41からの光を照明器具11の下端部から外部に照射する横長に形成された部分である。照射開口25は、光制御部材61の出射面から出た光を外部に照射する部分である(図4参照)。
【0023】
図4及び図5に示すように、天板28は、光源部41と電源部31との間を仕切る平板形状の板状部材である。天板28は、本発明の仕切板の一例である。天板28は、パッキン51が取り付けられた器具本体21の背面側を覆う部材である。天板28は、その外形がパッキン51の外形よりも上下方向及び幅方向の各寸法がやや小さい横長の長方形状に形成されている。天板28は、四隅近傍にネジ等の取付部材30を挿通する貫通孔28a及び左右方向略中央に設けられる貫通孔28bと、パッキン51の電線保持部56の凸部56bを係合する切欠孔28c(図6参照)とを有している。切欠孔28cは、天板28の上端の一部を開口するように形成されている。天板28の前面側は、黒色に塗装されている。天板28は、パッキン51の背面側に配置され、先ず、切欠孔28cにパッキン51の凸部56bを係合して位置決めし、ネジ等の取付部材30を貫通孔28bに挿通して、底部22aの左右方向中央部に配置された天板取付部24に取り付けられる。次に、電源カバー33の貫通孔33bを天板28の貫通孔28aと重なるように配置し、貫通孔33bと貫通孔28aにネジ等の取付部材30を挿通して、器具本体21の天板取付部24に共締めする。電源カバー33の延出部33a・33aと天板28は、取付部材30によって共締めされて器具本体21に取り付けられる。図4に示すように、天板28は、器具本体21とで光源部41を囲う空間Sが形成される。天板28は、光源部41から出射された光を反射する反射面28dを有する。反射面28dは、光源部41と対向している。
【0024】
本実施形態の天板28は、前面側(反射面28d)を黒色に塗装した。黒色塗装の反射面28dは、白色や銀色塗装のものと比べて反射率が低い。そのため、光源から出射された光は、その一部が天板28の反射面28dに吸収され、一部が反射して空間S内に拡散した後に照明器具11の出射開口から照射される。これにより、照明器具11からの照射光は、輝度を低減し、明るさが抑えられている。暗闇の中で点灯している場合でも、照明器具11からの照射光が眩しすぎないため、例えば、夜間にトイレに行くなどの就寝途中の使用者を完全に覚醒させにくい。
なお、反射面28dには、例えば、光を効率良く反射するために、白色塗装、銀色塗装、または光沢のある金属メッキなどの反射加工が施されていてもよい。また、反射面28dには、器具本体21の出射開口に誘導するように凹曲面や傾斜面を形成してもよい。また、反射面28dには、例えば、ディンプル形状を有するように加工されていてもよい。さらに、反射面28dは、粗面化加工(例えば、シボ加工)により微細な凹凸を表面に形成したものであってもよい。反射面28dの形状は、所望の照射光を得るために適宜変更することができる。反射面28dは、光を拡散させてもよい。
【0025】
電源部31は、光源部41が有するLED素子42に給電を行って、LED素子42を点灯させるための電源装置である。電源部31は、器具本体21における光源部41よりも後方(背面側)配置されている。電源部31は、電源回路部32と、該電源回路部32を覆う電源カバー33を有している。電源回路部32は、略直方体形状の絶縁ケース内に、直方形状に加工されたプリント配線板上に複数の電子部品が実装された電源回路が収容されたものである。電源カバー33は、電源回路部32の周囲を覆う有底箱状の金属製部材である。電源カバー33は、電源回路部32の周囲を覆う有底箱状部分の端部の一部から左右方向にそれぞれ延びる延出部33a・33aと、取付バネ71が取り付けられるバネ取付部34・34を有する。延出部33aには、貫通孔であるネジ取付部33b・33bが設けられている。電源カバー33の延出部33a・33aと天板28は、器具本体21の天板取付部24にネジ等の取付部材30により共締めされて固定される。これにより、照明器具11の組立作業の作業性が向上し、部品点数を抑えることができる。バネ取付部34・34は、取付バネ71の基端部を位置決めするための上下一対の凸部34a・34aを有する。なお、上下一対の凸部34a・34aは必須の構成ではなく、凸部34aを設けない構成や、バネ取付部34にそれぞれ1つずつ凸部34aを設けてもよい。図4に示すように、電源部31は、光源部41の基板43のLED素子42が実装されている実装面側に対向するように配置される。電源部31は、配線を介して外部商用電源から供給される交流電流を所定の直流電流に変換し、変換後の電流をLED素子42に供給するためのものである。電源部31は、電線を介して端子台35に電気的に接続されている。
【0026】
端子台35は、電源カバー33に対して端子台35を位置決めするための上下方向に並ぶ一対の凸部35aと、当該一対の凸部35aの間に設けられる貫通孔35bとを有する。端子台35は、凸部35aを電源カバー33の貫通孔33cに挿通することで位置決めされるともに貫通孔35bにネジ等の取付部材37を挿通して電源カバー33の背面側に取り付けられる。例えば、照明器具11を壁面Wに取り付ける際、端子台35から延びる配線を予め壁面W裏側の外部商用電源(図示せず)用配線に接続することで、電源部31は外部商用電源と電気的に接続される。電源部31と光源部41は、配線(電線)によって電気的に接続されている。端子台カバー36は、樹脂製の有底箱状で前側が開口されている。端子台カバー36は、端子台35を覆うとともに端子台35の外側に嵌合される。
【0027】
なお、本実施形態では、端子台35を使用しているが、特に限定するものではない。例えば、端子台35を使用する代わりに、コネクタ等の接続部品を使用する構成とすることもできる。
【0028】
光源部41は、照明器具11内において側方(背面側)に向けて光を出射する部分である。光源部41は、光源である発光素子が実装されたモジュール基板である。光源部41は、平板状(横長状)に加工された基板43上に、この基板43の長手方向(左右方向)に点光源である複数のLED素子42が、等間隔かつ略直線状に基板上に並べられて配置されたものである。なお、本実施形態では光源として複数のLED素子を用いたが、これに限らず、COB型発光モジュールや有機EL素子などを用いてもよい。基板43は、器具本体21の一対の基板案内部23により位置決めされる(図7(a)参照)。これにより、基板43は、器具本体21の背面側にある底部22aの平坦面に当接して配置される。次に、あらかじめ光制御部材61が係合されたパッキン51が器具本体21の凹部22に嵌合される。これにより、パッキン51の基板押さえ部53が基板43の左右方向の両端部に当接する(図7(b)参照)。続いて、パッキン51の背面側に天板28が配置され、ネジ等の取付部材30により天板28が器具本体21の天板取付部24に取り付けられることでパッキン51が押圧される(図8参照)。これにより、基板43が器具本体21の凹部22に固定される。また、基板43は、パッキン51の基板押さえ部53によって器具本体21の凹部22の底部22a側に押圧されて基板43と器具本体21との密着度が高めることできる。このように器具本体21に光源部41を取り付けるため、光源部41を取り付けるためのネジ等の取付部材が不要であり、部品点数を抑えることができる。基板43は、基板43の左右方向の一端近傍に有するコネクタ44から延びる電線によって電源部31と電気的に接続されている。
【0029】
光源部41は、基板43の実装面の裏面が器具本体21の凹部22における底部22aの平坦面に当接して配置されるため、光源部41から生じた熱は底部22aに伝わる。底部22aに伝わった熱は、底部22aの前面側の周辺温度が底部22aの温度よりも低い場合、底部22aの前面側の周辺の空気へ伝わる。また、底部22aに伝わった熱は、器具本体21の全体に伝わる。これにより、底部22aに伝わった熱は、底部22aの周囲に放熱される。すなわち、器具本体21は、光源部41から生じた熱を伝えて外部に放出する放熱部材として機能する。
なお、基板43は、熱伝導性シートや放熱グリスを介して器具本体21の凹部22(底部22a)に取り付けてもよく、これにより、より高い放熱性を得ることもできる。
また、本実施形態では、光源部41として1つのモジュール基板を用いたものであるが、特に限定するものではなく、複数のモジュール基板で光源部を構成してもよい。
【0030】
図9に示すように、パッキン51は、外形が横長の略長方形の枠状であって可撓性のある弾性部材である。本実施形態のパッキン51は、黒色に彩色されている。本実施形態のパッキン51は、シリコーンゴムを用いて作製した。パッキン51は、光源部41と天板28との間に配置される。パッキン51は、周壁部52と、基板押さえ部53と、係合部54と、張出部55と、電線保持部56と、係止部57(図8参照)とを有する。周壁部52は、器具本体21の側壁部22bに沿うように形成される。周壁部52は、略角筒状のパッキン51の外枠部分である。基板押さえ部53は、周壁部52の左右部分から内側に向かって延びる部分である。基板押さえ部53は、パッキン51を器具本体21に取り付けた際に、光源部41の左右方向の両端部と重なり、基板43の実装面に当接する部分である。係合部54は、左右方向に延び、上下方向に連通する角筒状の部分である。係合部54は、光制御部材61の上端部の外形よりも小さい寸法になるように形成される。これにより、係合部54に光制御部材61が係合されると係合部54が拡がるため、係合部54が元の形状に戻ろうとする復元力により収縮して光制御部材61の周囲に沿うように配置される。光制御部材61を係合した状態でパッキン51を器具本体21と天板28の間に配置すると、パッキン51の係合部54は器具本体21と天板28と光制御部材61とそれぞれ当接する。パッキン51は、その摩擦力により各部材と密着して所望の位置に保持される。これにより、係合部54は、光制御部材61を安定して保持することができる。張出部55は、天板28の外周縁から外側に張り出す略長方形枠状の部分である(図2及び図4参照)。張出部55は、照明器具11の壁面Wに取り付けた際に、壁面Wに当接するリブ55aを有する。リブ55aは、周壁部52の周囲に亘って長方形枠状であって背面側に突出するように形成されている。リブ55aは、断面視において2つの略三角形状が連続した形状に形成される。リブ55aは、照明器具11が壁面Wに取り付けられた際に、当該壁面Wの取付孔の周縁部に当接する。これにより、壁面Wの取付孔の周縁部と照明器具11との隙間を塞ぐことができ、例えば、室外での使用の場合は雨水等の浸入を防止することができる。
【0031】
電線保持部56は、周壁部52の上部の右側から下方に向かって突出して形成される部分である。電線保持部56は、切欠部56aと、断面視略台形状の凸部56bを有する。切欠部56aは、電線保持部56の下側を開口するように切り欠かれた部分であり、光源部41と電源部31とを電気的に接続する電線を挟んで保持する部分である。凸部56bは、天板28の切欠孔28cが係合する部分である。電線保持部56の切欠部56aは下側が開口するように切り欠かれて形成され、天板28の切欠孔28cは上側が開口するように切り欠かれて形成されている。そのため、電線は電線保持部56の切欠部56aと天板28の切欠孔28cとで上下に挟み込まれるようにして保持される。これにより、電線保持部56の切欠部56aより電線が脱落することを防止することができる。係止部57は、基板押さえ部53の下方に配置される平坦面であり、光制御部材61を係合部54に係合した際に、光制御部材61の左右方向の両端部の上端を係止する部分である。
【0032】
パッキン51は、天板28がパッキン51の復元力に抗して器具本体21にネジ等の取付部材により取り付けられることで、光源部41の基板43の周縁部の一部(本実施形態では基板43の左右方向の両端部)がパッキン51の基板押さえ部53により器具本体21の底部22aに押圧される。この際に、パッキン51は、器具本体21内において圧縮した状態で取り付けられるため、例えば係合部54と光制御部材61との間に隙間が生じることを抑えることができ、例えば、室外での使用の場合は雨水等の浸入を防止することができる。右側の基板押さえ部53は、左側の基板押さえ部53の形状とは異なり、光源部41の基板43を基板案内部23に配置した際に、光源部41のコネクタ44と干渉しないように切欠部53aが設けられている。
なお、基板43の周縁部の一部を基板押さえ部により押圧する場合、押圧する部分が基板43の両端部以外であってもよく、例えば、基板43の角部のみを基板押さえ部で押圧するように構成してもよい。
【0033】
光制御部材61は、光源部41からの光を反射及び拡散させて制御する部材である。光制御部材61は、照射開口25を塞ぐように設けられる。光制御部材61は、半透明(乳白色)の樹脂製の部材である。光制御部材61は、入射面62と、導光部63と、出射面64と、壁部65と、係止部66を有している。入射面62は、左右方向に水平に延びる平面であり、平面視で横長の矩形状に形成されている。導光部63は、凹面形状であり、入射面62から出射面64に光を導く部分である。導光部63の長手方向の両端部63a・63aは、照射開口25の長手方向の両端部25a・25aの近傍に配置される(図8参照)。導光部63の長手方向の中央部は、照射開口25の長手方向の両端部25aよりも照明器具11の内部側に配置される。出射面64は、左右方向に延びるとともに、断面視においてアーチ状の凹面に形成されている。光源部41の光軸Lの方向は、光制御部材61の出射面64の出射方向(図4の矢印E)と異なっている。これにより、光源部41の最も強い光である光軸Lの方向の光が出射面64から直接出射されず、グレアを低減することができる。また、光制御部材61の入射面62の垂線Pは、光軸Lの方向と交差している(図4参照)。これにより、光源部41の最も強い光である光軸Lの方向の光が入射面62に入射されず、グレアを低減することができる。
【0034】
壁部65は、導光部63の前後方向の後端部から下方に延びる板状の部分である。壁部65は、出射面64と交差するように形成される(図10(b)参照)。壁部65の下端部(出射面側端部)は、照射開口25の下端部と上下方向の位置が近傍である。壁部65の下端部は、照射開口25の下端部と平行になるように形成されている。壁部65は、照明器具11を壁面Wに取り付けた際に、壁面Wに対向する。壁部65の壁面Wに対向する側は、平坦面に形成されている。係止部66は、導光部63の前面及び後面の上端部分に左右方向に直線状に延びる庇状の部分である。係止部66は、パッキン51の係合部54の上端に係止される部分である。光制御部材61は、パッキン51の係合部54を塞ぐように取り付けられる。これにより、光制御部材61は、LED素子42に埃などが付着することを防ぐことができる。光制御部材61では、光源部41から出た光が空間S内を反射しながら下方に導かれた光が入射面62を介して導光部63内に入射され、導光部63を通過した光が出射面64から出射して照明器具11の照射開口25から下方に照射される。
なお、光制御部材61の形状は、用途に応じて適宜変更可能であり、例えば出射面の形状は、平坦面形状、凸面形状、プリズム形状であってもよく、これらを組み合わせた形状であってもよい。
また、光制御部材61の外側表面にシボ加工等の光拡散処理を施してもよい。これにより、LED素子42の粒感を低減し、より均斉な発光面を実現することができる。
【0035】
取付バネ71は、照明器具11を壁面Wの取付孔に埋め込んで取り付けるための固定手段である。取付バネ71は、電源カバー33のバネ取付部34に配設される。取付バネ71は、ステンレス素材等の板状金属部材の中途部を複数箇所屈曲及び湾曲させて形成された板バネである。取付バネ71は、略V字状に形成された板バネであり、基端部が電源カバー33のバネ取付部34に当接してネジ等の取付部材により固定されるとともに、自由端部が照明器具11側方に延出されるものである。取付バネ71を屈曲した状態で照明器具11を壁面Wの取付孔に設置した場合、取付バネ71は、取付バネ71が広がろうとする弾性力によって取付孔の周縁を押圧することで天板28との間で壁面Wを挟持し、照明器具11を壁面Wに固定する。
なお、取付バネの形状、取付位置、本数等については、本実施形態のものに限定されない。また、照明器具11を被取付面に取り付ける方法として、取付バネ以外の方法を用いてもよい。例えば、ネジ等の取付部材を用いて被取付面や取付枠に取り付ける方法が採用できる。
【0036】
以上説明した本実施形態に係る照明器具11では、光源部41のLED素子42が実装された基板43は、前面カバーである器具本体21の背面側に当接している。これにより、LED素子42から生じた熱は、基板43から器具本体21に伝わり、さらに器具本体21から例えば前面側の周囲の空気へと放熱することができる。これにより、小型で放熱性の高い照明器具11を提供することができる。
【0037】
また、照明器具11では、基板43のLED素子42が実装されている実装面側に対向するように電源部31が配置されている。電源部に光源部から生じる熱の影響を与えないように光源部と電源部との間に距離を設ける場合に、光源部の幅方向に隣接して電源部を配置すると、照明器具が幅方向に大型化してしまう。一方、照明器具11のように、基板43の実装面に対向して電源部31を配置することで、照明器具11を幅方向に大型化させることなく、LED素子42が実装された基板43と電源部31との間に距離を設けることができ、電源部31にLED素子42からの熱の影響を与えにくい。
【0038】
また、照明器具11では、光源部41と電源部31との間を仕切る天板28を有し、器具本体21と天板28とで光源部41を囲う空間Sが形成されている。このように、光源部41と電源部31との間に天板28を設けて空間Sを形成することで、電源部31の電源部品などが光を遮って、これらの陰が生じることを抑止する。さらに、LED素子42から出射された光は空間S内で反射や拡散されてから照明器具11の照射開口25から照射されるため、ムラの少ない照射光を得ることができる。
【0039】
また、照明器具11では、天板28は、光源部41から出射された光を反射する反射面28dを有している。これにより、光源部41のLED素子42から出射された光を天板28の反射面28dによりを制御して、所望の照射光を得ることができる。
【0040】
また、照明器具11では、LED素子42が実装された基板43と天板28との間に弾性部材であるパッキン51を有し、天板28をパッキン51の復元力に抗して器具本体21にネジ等の取付部材により取り付けることで、基板43がパッキン51により器具本体21に押圧されている。これにより、LED素子42が実装された基板43と器具本体21との密着度を高めることができるため、より伝熱性が向上し、器具本体21からの放熱性を高めることができる。
【0041】
また、照明器具11では、器具本体21は、背面側にLED素子42が実装された基板43を所定の位置に案内する基板案内部23を有している。器具本体21の所定の位置に基板43を配置しやすくなるため、組立性が向上する。また、例えば、本実施形態のように基板案内部23の形状を基板43の両端部の形状に沿うようにコ字状(U字状)に構成した場合、器具本体21から基板43の脱落を抑止することができる。
【0042】
また、照明器具11では、パッキン51は、器具本体21の側壁部22bに沿う周壁部52と、この周壁部52から左右方向の内側に延びる基板押さえ部53・53とを有し、基板押さえ部53・53により基板43の周縁部の一部(本実施形態では基板43の左右方向の両端部)が器具本体21に押圧されている。このように、基板押さえ部53・53により基板43の周縁部の一部が押圧されることによって、基板43の取付面との密着性を高めることができる。また、基板43の周縁部の一部のみを押圧するように基板押さえ部53・53を設けることで、基板43の周縁部の全てを囲わないため、基板押さえ部53が光を遮って、これらの陰が生じることを抑えることができる。本実施形態の基板押さえ部53・53の場合は、基板43の両端部を除く上端部と下端部に基板押さえ部が配置されていないので、基板43の上端側と下端側に向けて光を配光しやすい構成となっている。
【0043】
また、照明器具11では、光源部41からの光を制御する光制御部材61を有し、パッキン51は、光制御部材61を係合する係合部54を有している。このように、パッキン51に光制御部材61を係合する係合部54を設けることで、パッキン51に対して光制御部材61の位置決めをしやすくするとともに、光制御部材61を保持することができる。そのため、光制御部材61を取り付ける取付部材を別途必要としないため、部品点数を減らすことができる。また、光制御部材61の周囲にパッキン51が配置される構成となるため、光制御部材61がパッキン51を介して隣接する他の部材(例えば、器具本体21や壁面W)との気密性を高めることができる。
【0044】
また、照明器具11では、パッキン51は、天板28の外周縁から外側に張り出す張出部55を有し、張出部55は照明器具11の被取付面である壁面Wに当接している。このように、パッキン51の張出部55を用いて、壁面Wと当接するように構成することで、照明器具11の気密性を確保することができる。照明器具と壁面Wとの気密性を確保するために別途気密パッキンを必要としないため、部品点数を減らすとともに、組立性を向上させることができる。また、パッキン51は器具本体21と天板28との間に挟まれて固定されているため、照明器具を壁面Wに取り付ける際にパッキンが脱落したり、位置がずれたりしないため、照明器具の取り付けがしやすい。
【0045】
また、照明器具11では、張出部55は、壁面Wに当接するリブ55aを有している。リブ55aを有することで、確実に壁面Wに接触し、壁面Wとの気密性をさらに高めることができる。
【0046】
また、照明器具11では、パッキン51は黒色で形成されている。パッキン51を黒色にすることで照明器具11の外部への光漏れを抑止することができる。すなわち、光源部41から出射された光に対してパッキン51を黒色することによりパッキン51を介した光の透過を抑止する。また、パッキン51を黒色にすることで、パッキン51による反射を抑え、照明器具11から照射される照射光の輝度を低減して、グレアを抑止した照射光、例えばフットライト(足元灯)に適した照射光を得ることができる。
【0047】
また、照明器具11では、光源部41と電源部31は電線により電気的に接続され、パッキン51は、この電線を保持する電線保持部56を有している。電線保持部56により電線を光源部41(基板43)から離間する位置に保持して、照明器具11内での電線の変位や移動を抑止することができる。また、電線保持部56を、光源部41と電源部31との間において配線距離が短くなる位置に配置することで、光源部41と電源部31との電線の長さを短くすることができる。
【0048】
また、照明器具11では、光源部41と、光源部41からの光を照明器具11の下端部から外部に照射する横長に形成された照射開口25と、照射開口25を塞ぐように設けられる光制御部材61と、を有し、光制御部材61は、入射面62が平面であり、出射面64が断面アーチ状の凹面に形成されている。これにより、光源部41から出射された光は、光制御部材61によって反射拡散されて照明器具11の照射開口25から外部に出射される。出射面64が断面アーチ状の凹面に形成されているため、横長に形成された照射開口25の長手方向の両端部にまで光を拡散することができるため、グレアを低減した均一な発光を実現することができる。
【0049】
また、照明器具11では、光制御部材61の導光部63における長手方向の両端部63aは、照射開口25の長手方向の両端部25aの近傍に配置されている。これにより、光制御部材61の導光部63における長手方向の両端部63aを通過した光が、照射開口25の端縁によって陰になりにくい。
【0050】
また、照明器具11では、光制御部材61の導光部63の長手方向の中央部は、照射開口25の長手方向の両端部25aよりも照明器具11の内部側に配置されている。これにより、光制御部材61の出射面64の最も明るい部分が照明器具11の内部側に配置されるため、グレアを低減することができる。
【0051】
また、照明器具11では、光源部41の光軸Lの方向は、光制御部材61の出射面64の出射方向(図4の矢印E)と異なっている。これにより、最も輝度の高い光軸Lの方向の光を直接出射面64から出射しないため、グレアを低減することができる。
【0052】
また、照明器具11では、光制御部材61は、出射面64と交差する少なくとも1つの壁部65を有し、壁部65の下端部は、照射開口25の下端部と上下方向の位置が近傍である。このように壁部65を設けることで、光制御部材61の剛性を高めることができるため、変形しにくくなる。また、壁面Wの凹凸の影響やパッキン51のよれが発生することを抑えることで、照射開口25を遮らないようにし、均一な配光を保持することができる。
以上のように、照明器具11によれば、グレアを低減して均一な発光を実現した照明器具を提供することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について、図面(図1図10)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態で示す形状等は、一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
11 照明器具
21 器具本体
25 照射開口
31 電源部
41 光源部
42 LED素子
43 基板
61 光制御部材
62 入射面
64 出射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10