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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123837
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】故障位置特定システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20220817BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20220817BHJP
   B61B 11/00 20060101ALI20220817BHJP
   B61B 12/02 20060101ALI20220817BHJP
   B61B 12/06 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G01R31/08
G01R31/00
B61B11/00 A
B61B12/02 C
B61B12/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010774
(22)【出願日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】2101331
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515238552
【氏名又は名称】ポマ
【氏名又は名称原語表記】POMA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー,クリスチャン
【テーマコード(参考)】
2G033
2G036
【Fターム(参考)】
2G033AA00
2G033AB01
2G033AB02
2G033AC04
2G033AD18
2G033AD20
2G033AD24
2G033AE02
2G033AF00
2G036AA22
2G036BA46
2G036BB20
2G036CA06
2G036CA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搬送設備におけるケーブル故障を位置特定するための単純かつ信頼できる解決策を提供する。
【解決手段】ケーブル搬送設備における故障位置特定システムは、電気安全ライン(11)によって接続された安全ユニット(10)と、エンドモジュール(13)とを備える。安全ライン(11)は、直列に接続された常閉タイプの複数のケーブル故障接点(14)を含む。位置特定システムは、搬送設備に沿って分散された複数の位置特定モジュール(20)を含み、複数の位置特定モジュール(20)の各々は、安全ライン(11)を短絡するために、常開タイプの第1の試験接点(21)を含む。ケーブル故障接点(14)のうちの1つに由来する故障が検出されると、各位置特定モジュール(20)は、安全ライン上の故障接点(14)を位置特定することができるように、その第1の試験接点(21)を選択的に閉じることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル搬送設備における故障位置特定システムであって、
前記位置特定システムは、安全ユニット(10)、エンドモジュール(13)、および前記安全ユニット(10)を前記エンドモジュール(13)に接続する電気安全ライン(11)を備え、
-前記安全ライン(11)は、前記安全ライン(11)に沿って直列に接続され、開けられたときに、前記搬送設備におけるケーブル故障をシグナリングする、常閉タイプの複数のケーブル故障接点(14)を含み、
-前記位置特定システムが、前記搬送設備に沿って分散された複数の位置特定モジュール(20)を含み、前記複数の位置特定モジュール(20)の各々が、前記安全ライン(11)を短絡するために、常開タイプの第1の試験接点(21)を含み、
-前記ケーブル故障接点(14)のうちの1つに由来する故障が検出されると、各位置特定モジュール(20)が、前記安全ライン(11)上の前記故障接点(14)を位置特定することができるように、その第1の試験接点(21)を選択的に閉じることができる、ことを特徴とする、故障位置特定システム。
【請求項2】
-各位置特定モジュール(20)がまた、前記安全ライン(11)に沿って直列に接続された、常閉タイプの第2の試験接点(22)も含み、
-前記安全ライン(11)上で短絡故障が検出された後、各位置特定モジュール(20)が、前記安全ライン(11)上で前記短絡故障が位置特定され得るように、その第2の試験接点(22)を選択的に開くことができることを特徴とする、請求項1に記載の故障位置特定システム。
【請求項3】
前記安全ユニット(10)が、前記安全ライン(11)上で発生するケーブル故障および短絡故障を検出するための検出手段を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の故障位置特定システム。
【請求項4】
前記安全ユニット(10)が、前記位置特定モジュール(20)の前記第1の試験接点(21)が閉じられることを要求するために、前記位置特定モジュール(20)と通信するための手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の故障位置特定システム。
【請求項5】
前記ケーブル故障接点(14)のうちの1つに由来するケーブル故障が検出されると、前記安全ユニット(10)が、2つの連続する位置特定モジュール(20)間の前記ケーブル故障の位置が決定されるまで、次々に前記第1の試験接点(21)を一時的に閉じるように位置特定モジュール(20)に依頼することによる反復シーケンスを行うことを特徴とする、請求項4に記載の故障位置特定システム。
【請求項6】
前記安全ユニット(10)が、前記位置特定モジュール(20)の前記第2の試験接点(22)が開かれることを要求するために、前記位置特定モジュール(20)と通信するための手段を備えることを特徴とする、請求項2に記載の故障位置特定システム。
【請求項7】
前記安全ライン(11)上で発生する短絡故障が検出されると、前記安全ユニット(10)が、2つの連続する位置特定モジュール(20)間の前記短絡故障の位置が決定されるまで、次々に前記第2の試験接点(22)を一時的に開くように位置特定モジュール(20)に依頼することによる反復シーケンスを行うことを特徴とする、請求項6に記載の故障位置特定システム。
【請求項8】
各位置特定モジュール(20)が、前記安全ライン(11)上で発生するケーブル故障および短絡故障を検出するための検出手段を備えることを特徴とする、請求項2に記載の故障位置特定システム。
【請求項9】
前記ケーブル故障接点(14)のうちの1つに由来するケーブル故障が検出されると、各位置特定モジュール(20)が、前記搬送設備における前記位置特定モジュール(20)のランキングの関数である所定の時間、その第1の試験接点(21)を閉じることを特徴とする、請求項8に記載の故障位置特定システム。
【請求項10】
前記安全ライン(11)上で短絡故障が検出されると、各位置特定モジュール(20)が、前記搬送設備における前記位置特定モジュール(20)のランキングの関数である所定の時間、その第2の試験接点(22)を開くことを特徴とする、請求項8に記載の故障位置特定システム。
【請求項11】
請求項1に記載の位置特定システムを使用して、ケーブル搬送設備における故障を位置特定する方法であって、前記ケーブル故障接点(14)のうちの1つに由来するケーブル故障が検出されると、前記安全ユニット(10)が、2つの連続する位置特定モジュール(20)間の前記ケーブル故障の位置が決定されるまで、次々に前記第1の試験接点(21)を一時的に閉じるよう位置特定モジュール(20)に依頼し、前記安全ライン(11)上を進む信号を分析することによる、反復シーケンスを行うことを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項2に記載の位置特定システムを使用して、ケーブル搬送設備における故障を位置特定する方法であって、前記安全ライン(11)上で発生する短絡故障が検出されると、前記安全ユニット(10)が、2つの連続する位置特定モジュール(20)間の前記短絡故障の位置が決定されるまで、次々に第2の試験接点(22)を一時的に開けるよう位置特定モジュール(20)に依頼し、前記安全ライン(11)上を進む信号を分析することによる、反復シーケンスを行うことを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項10または11に記載の故障を位置特定する方法であって、前記反復シーケンスが増加的、減少的、または二分的であることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、本発明は、空中ケーブル、特にゴンドラ、チェアリフト、およびスキートウなどのスキーリゾートで使用される機械的リフトによる人員または機器の搬送を目的とした施設の技術的分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、そのようなケーブル搬送設備に沿って走る電気安全ラインにわたる故障位置特定システムにも関する。
【0003】
先行技術
それ自体が知られている手段によって、ケーブル搬送設備は、搬送設備に沿って分散された複数のケーブル故障電気接点が直列に接続されている、少なくとも1つのいわゆる電気安全ラインを含む。これらの故障接点は、例えば、設備の様々なパイロンに位置し、例えば、破壊可能な安全バーのおかげで、パイロンでのケーブルの脱線事故を検出する機械的故障検出器によって作動される。
【0004】
故障接点の1つが開かれるとすぐに、つまり、例えば、ケーブルが脱線すると、安全ラインの連続性が破られるため、明らかな安全上の理由で搬送設備を迅速に停止することができる。
【0005】
しかしながら、このような故障が発生したら、できるだけ迅速に故障を修正し、それにより、設備のシャットダウンを最小限に抑えることができるように、できるだけ最良に故障を位置特定することが必須である。しかし、空中ケーブル搬送設備は、多数のパイロンで、長い距離をカバーしていて、特に山ではアクセスが困難で、アクセスに時間がかかり得る。したがって、オペレーターが故障を位置特定するのに役立つシステムを持つことの重要性。
【0006】
ケーブル故障を位置特定するのを支援する解決策はすでにある。例えば、文献EP0180501は、例えば、基地局や安全ユニットに位置する電気信号送信器と故障検出器との間の距離を、電気信号が進むのに必要な時間を測定することによって位置特定を行うデバイスを説明している。しかしながら、このようなシステムは、時間の経過とともに、特にデバイスの摩耗および破損に起因して、精度が低くなり、信頼性が低くなることがある。
【0007】
文献FR2504482に開示される別の解決策は、各故障接点を抵抗器に並列に接続することであり、その値は、所定であり、設備内の故障接点の位置に特有である。故障接点の1つが開けられると、開けられた接点の抵抗値に応じて安全ラインの全体の抵抗が変化する。安全ライン上の電圧変化を測定することにより、並列抵抗器の値を推測することができ、それにより故障接点を識別することができる。しかしながら、このようなシステムはまた、多数の故障接点を有する広範囲の設備には不正確である。加えて、各故障接点と並列に別個の抵抗値が必要となるため、このようなシステムを維持することは複雑である。2つの故障が同時に発生した場合、そのようなシステムも同様に機能しなくなる。
【0008】
本発明の開示
このため、本発明は、搬送設備におけるケーブル故障を位置特定するための単純かつ信頼できる解決策を提供することによって、従来技術の欠点のすべてまたは一部を是正することを目的とする。
【0009】
そのために、本発明は、ケーブル搬送設備における故障位置特定システムを説明し、位置特定システムは、安全ユニット、エンドモジュール、および安全ユニットをエンドモジュールに接続する電気安全ラインを含み、安全ラインは、安全ラインに沿って直列に接続され、開けられたときに、搬送設備におけるケーブル故障をシグナリングする、常閉タイプの複数のケーブル故障接点を含む。位置特定システムは、システムが、搬送設備に沿って分散された複数の位置特定モジュールを含み、複数の位置特定モジュールの各々が、安全ラインを短絡することを可能にする、常開タイプのタイプの第1の試験接点を含み、ケーブル故障接点のうちの1つに由来する故障が検出されると、各位置特定モジュールが、安全ライン上の故障接点が位置特定され得るように、その第1の試験接点を選択的に閉じることができることを特徴とする。
【0010】
特徴によれば、各位置特定モジュールはまた、安全ラインに沿って直列に接続された、常閉タイプの第2の試験接点を含む。安全ライン上で短絡故障が検出された後、各位置特定モジュールは、安全ライン上の短絡故障が位置特定され得るように、第2の試験接点を選択的に開くことができる。
【0011】
別の特徴によれば、安全ユニットは、安全ライン上で発生するケーブル故障および短絡故障を検出するための検出手段を備える。
【0012】
別の特徴によれば、安全ユニットは、位置特定モジュールの第1の試験接点を閉じることを要求するために、位置特定モジュールと通信するための手段を備え、これにより、ケーブル故障接点の1つに由来するケーブル故障が検出されると、安全ユニットは、2つの連続する位置特定モジュール間のケーブル故障の位置が決定されるまで、次々に第1の試験接点を一時的に閉じるように位置特定モジュールに依頼することによる反復シーケンスを行う。
【0013】
別の特徴によれば、安全ユニットは、位置特定モジュールの第2の試験接点を開くことを要求するために、位置特定モジュールと通信するための手段を備え、これにより、安全ライン上で発生する短絡故障が検出されると、安全ユニットは、2つの連続する位置特定モジュール間の短絡故障の位置が決定されるまで、次々に第2の試験接点を一時的に開くように位置特定モジュールに依頼することによる反復シーケンスを行う。
【0014】
別の特徴によれば、各位置特定モジュールは、安全ライン上で発生するケーブル故障および短絡故障を検出するための検出手段を備える。ケーブル故障接点のうちの1つに由来するケーブル故障が検出されると、各位置特定モジュールは、搬送設備における位置特定モジュールのランキングの関数である所定の時間、第1の試験接点を閉じる。同様に、安全ライン上で短絡故障が検出されると、各位置特定モジュールは、搬送設備における位置特定モジュールのランキングの関数である所定の時間、第2の試験接点を開く。
【0015】
本発明はまた、このような位置特定システムを用いてケーブル搬送設備における故障を位置特定する方法についても説明する。ケーブル故障接点のうちの1つに由来するケーブル故障が検出されると、安全ユニットは、2つの連続する位置特定モジュール間のケーブル故障の位置が決定されるまで、次々に第1の試験接点を一時的に閉じるように位置特定モジュールに依頼し、安全ライン上を進む信号を分析することによる、反復シーケンスを行う。安全ライン上で発生する短絡故障が検出されると、安全ユニットは、2つの連続する位置特定モジュール間の短絡故障の位置が決定されるまで、次々に第2の試験接点を一時的に開けるよう位置特定モジュールに依頼し、安全ライン上を進む信号を分析することによる、反復シーケンスを行う。1つの特徴によれば、反復シーケンスは、増加的、減少的、または二分的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【0017】
図1】ケーブル搬送設備における従来技術の安全ラインの一実施形態の簡略化された概略図を示す。
図2】本発明による安全ラインの簡略化された概略図である。
図3】安全ライン上を進む電圧信号の図の一例を示す。
図4.1-4.4】安全ライン上で発生するケーブル故障を位置特定するためのシーケンスの一例を示す。
図5.1-5.4】安全ライン上で発生する短絡故障を位置特定するためのシーケンスの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、ケーブル搬送設備のためのケーブル故障検出システムは、一端で中央安全ユニット10と他端でエンドモジュール13との間に接続された電気安全回路を既知の手段で備える。安全回路は、主安全ライン11と戻りライン12とからなる。エンドモジュール13は、例えば、カソードが接地されたダイオードを含み、安全ユニット10も接地され、実際には安全回路の戻りライン12が接地を通過する。
【0019】
安全ユニット10は、概して、搬送設備の駆動ステーションに位置する制御および監視モジュールである。これは、安全ライン11上で信号を送信するための手段、ならびに、安全ライン11上を進む信号を分析することによって、安全ライン11の開きまたは安全ライン11上で発生する短絡を検出するための手段を含む。好ましくは、特に搬送設備のオペレーターに故障の位置をシグナリングするための、マン-マシンシグナリングおよびダイアログ手段も含む。
【0020】
安全ライン11は、脱線などの設備ケーブルの故障を表す複数の故障接点14を含む。これらは、常閉タイプで、安全ライン11に沿って直列に接続されている。本文献では、接点は、コマンドがない場合に、デフォルトで閉じられた(すなわち導電性の)位置にある場合、「常閉」タイプである。逆に、接点は、コマンドがない場合に、デフォルトで開けられた(すなわち導電性でない)位置にある場合、「常開」タイプである。したがって、通常の動作中、すべてのケーブル故障接点14が閉位置にあるとき、安全ライン11および戻りライン12によって形成される安全回路は導電性である。しかしながら、故障接点14のうちの1つが開位置に変わると、安全回路11が破壊されてケーブル故障が発生する。図面を簡略化するために、図に示される例は、安全ライン11に沿って広がる4つの故障接点14のみを含む。
【0021】
故障接点14は、例えば、ケーブルが渡されるパイロンで、ローラの近傍に配置され得る破壊可能な導電バーから直接なり、破壊されると、ケーブルがローラ上の位置を離れたことを示す。破壊されると、故障接点14として機能する位置センサを作動させる機械的な破壊可能なバーが使用されてもよい。好ましくは、設備の各パイロン上に複数の故障接点14がある。
【0022】
図2を参照すると、本発明による位置特定システムは、搬送設備上に分散された複数の位置特定モジュール20を含む。各位置特定モジュール20は、第1の試験接点と呼ばれる常開タイプの接点21、ならびに接点21のための電子制御手段を含む。第1の試験接点21は、閉じるように命令されると、例えば、接地することによって、安全ライン11を短絡させるように構成される。
【0023】
位置特定モジュール20は、例えば、各パイロンに配置することができるが、搬送設備の地理的構成および故障位置の所望の精度に応じて、パイロンごとに複数の位置特定モジュール20を有するか、またはいくつかのパイロンについて1つの位置特定モジュール20を有するように判断されてもよい。しかしながら、位置特定モジュール20の数が多いほど、ケーブル故障または短絡故障の位置がより正確になることは明らかである。
【0024】
図面を簡略化するために、様々な図に示される例は、各故障接点14の下流で安全ライン11に沿って接続された4つの位置特定モジュール20を含む。本文献では、慣例により、点Aは、点Bが安全ユニット10と点Aとの間に物理的に位置する場合、安全ライン11上の点Bの下流にあると言える。同様に、点Aは、点Aが安全ユニット10と点Bとの間に物理的に位置する場合、安全ライン11上の点Bの上流にあると言える。
【0025】
本発明によれば、第1の試験接点21は、ケーブル故障接点14のうちの1つに由来する故障を位置特定するために使用される。これを行うために、ケーブル故障が検出されると、すなわち、ケーブル故障接点14のうちの1つが開くと、各位置特定モジュール20は、以下に詳細に説明する動作に従って、安全ライン11上の故障ケーブル故障接点14を位置特定することができるように、その第1の試験接点21を一時的かつ選択的に閉じることができる。
【0026】
さらに、搬送設備のオペレーターが、安全ライン11に沿って予期せず発生し得るすべての短絡故障を位置特定することができることも重要である。パイロンの1つでの電気接続不良による偶発的な接地などの短絡故障が発生すると、安全ライン11はもはや動作しなくなり、したがって、搬送設備の長時間のシャットダウンを避けるために、この故障を迅速に位置特定することが好ましい。
【0027】
このため、各位置特定モジュール20はまた、有利には、第2の試験接点22と呼ばれる補足的な接点、ならびに、第2の試験接点22のための電子制御手段を含み得る。第2の試験接点22は、常閉接点であり、開くように命令されたときに、安全ライン11に開きを生ずるように構成される。
【0028】
第2の試験接点22は、本発明によると、短絡が検出されると、各位置特定モジュール20が、以下に詳細に説明する動作に従って、安全ライン11上の短絡故障を位置特定することができるように、その第2の試験接点22を一時的かつ選択的に開くことができるため、安全ライン11上で短絡故障を位置特定するために使用される。
【0029】
図4.1~図4.4は、ケーブル故障を位置特定するために行われるべきシーケンスの動作の実施形態を詳細に示す。これらの図において、それぞれ21a、21b、21c、および21dと呼ばれる、第1の試験接点21を各々含む、それぞれ20、20a、20b、20c、および20dと呼ばれる4つの位置特定モジュール20を見ることができる。
【0030】
図4.1は、ケーブル故障接点14cの開きによって表されるケーブル故障の発生を示しており、これにより安全ライン11が開かれる。安全ライン11のこの開きが安全ユニット10によって検出された後、ケーブル故障を位置特定するための反復シーケンスが開始される。実際、安全ユニット10は、1つずつ(すなわち、次々に別々に)第1の試験接点21を一時的に閉じるように位置特定モジュール20に依頼し、2つの連続する位置特定モジュール20間のケーブル故障の位置が決定されるまで、閉じられる度に、安全ライン11上を進む信号を分析する。
【0031】
したがって、図4.2に示されるように、安全ユニット10は、第1の位置特定モジュール20a(例えば、安全ユニット10の最も近くに位置するもの)を選択し、その第1の試験接点21aを閉じることによって、一時的な(例えば、1秒間)短絡を行うように依頼する。その瞬間に、安全ライン11がもはや開いていないが短絡によって導電していることを安全ユニット10が検出すると、それは、開いているケーブル故障接点14cが第1の試験接点21aの下流にあること(図4.2の場合)、すなわち、第1の位置特定モジュール20aが安全ユニット10と故障ケーブル故障接点14cとの間に位置することを意味する。
【0032】
次に、図4.3に示されるように、第1の試験接点21aが再び開かれるのを待った後、安全ユニット10は、第2の位置特定モジュール20bを選択して一時的な短絡を行い、第1の試験接点21bを閉じるように依頼する。その瞬間に、安全ライン11がもはや開いていないが短絡によって導電していることを再び安全ユニット10が検出すると、それは、ケーブル故障接点14cが依然として第1の試験接点21b(図4.3の場合)の下流にあること、すなわち、第2の位置特定モジュール20bが安全ユニット10と故障ケーブル故障接点14cとの間に位置することを意味する。
【0033】
次に、図4.4に示されるように、第1の試験接点21bが再び開かれるのを待った後、安全ユニット10は、第3の位置特定モジュール20cを選択し、第1の試験接点21bを閉じることによって一時的な短絡を行う。前述の2つの場合とは逆に、安全ユニット10は短絡を検出しないが、安全ライン11が開いていると見なし続ける。これは、ケーブル故障接点14cが、第1の試験接点21cの上流に位置する、すなわち、故障ケーブル故障接点14cが、安全ユニット10と第3の位置特定モジュール20cとの間に位置することを意味する。このようにして、ケーブル故障が連続する位置特定モジュール20bと20cとの間に位置していると容易に推測され、ケーブル故障位置特定のシーケンスが完了する。
【0034】
N個の位置特定モジュール20を含む位置特定システムにおいて、いくつかのタイプの反復シーケンスが可能である。図4.1~図4.4の例では、シーケンスは増分的であると称され、ランキング1の位置特定モジュール20a(安全ユニット10に最も近い)から始まり、一時的に短絡される位置特定モジュールのランキングが、安全ユニット10が安全ライン11において短絡を検出しなくなるランキングiが見つかるまで反復的に増分され、故障がランキングiとi-1の位置特定モジュール20の間に位置していることが推測される。
【0035】
同等の方法では、シーケンスは減少的でもよく、すなわち、ランキングNの最後の位置特定モジュール(エンドモジュール13に最も近い)から始まり、一時的に短絡される位置特定モジュールのランキングが、安全ユニット10が安全ライン11における短絡を検出するランキングiが見つかるまで反復的に減少され、故障がランキングiとi+1の位置特定モジュールの間に位置していることが推測される。
【0036】
同様に、シーケンスは、二分的でもよく、すなわち、ランキングN/2(またはN/2に近い)の位置特定モジュールを一時的に短絡させることから始めて、安全ライン11を2つのゾーンに分離し、その結果に応じて、ランキング3N/4またはランキングN/4のいずれかの位置特定モジュール20で継続し、連続するランキングに到達するまで、各反復時に2つのゾーンに分離するというように継続する。二分シーケンスは、位置特定モジュールの個数Nが大きい場合、より高速であるという利点を有し得る。
【0037】
図5.1~図5.4は、短絡故障を位置特定するために行われるべきシーケンスの動作の実施形態を詳細に示す。これらの図において、それぞれ22a、22b、22c、および22dと呼ばれる、第2の試験接点22を各々含む、それぞれ20a、20b、20c、および20dと呼ばれる4つの位置特定モジュール20を見ることができる。
【0038】
図5.1は、19で表される位置で発生する安全ライン11と接地との間の短絡故障の発生を示す。この安全ライン11上の短絡が安全ユニット10によって検出された後、短絡故障を位置特定するための反復シーケンスが開始される。実際、安全ユニット10は、1つずつ(すなわち、次々に別々に)第2の試験接点22を開くように位置特定モジュール20に依頼し、2つの連続する位置特定モジュール20間の短絡19の位置が決定されるまで、開かれる度に、安全ライン11の上を進む信号を分析する。
【0039】
したがって、図5.2に示されるように、安全ユニット10は、第1の位置特定モジュール20a(例えば、安全ユニット10に最も近い位置に配置されたもの)を選択し、その第2の試験接点22aを開くことによって、安全ライン11を一時的に(例えば、1秒間)開くように依頼する。その瞬間に、安全ライン11がもはや短絡していないが開いていることを安全ユニット10が検出すると、それは、短絡19の位置が第2の試験接点22a(図5.2の場合である)の下流にあること、すなわち、第1の位置特定モジュール20aが安全ユニット10と短絡19との間に位置することを意味する。
【0040】
次に、図5.3に示されるように、第2の試験接点22aが再び閉じられるのを待った後、安全ユニット10は、第2の位置特定モジュール20bを選択し、その第2の試験接点22bを開くことによって安全ライン11を一時的に開くように依頼する。その瞬間に、安全ライン11がもはや短絡していないが開いていることを再び安全ユニット10が検出すると、それは、短絡19の位置が依然として第2の試験接点22bの下流にあること(図5.3の場合である)、すなわち、第1の位置特定モジュール20bが安全ユニット10と短絡19との間に位置することを意味する。
【0041】
次に、図5.4に示されるように、第2の試験接点22bが再び開かれるのを待った後、安全ユニット10は、第3の位置特定モジュール20cを選択して、安全ライン11を一時的に開き、第2の試験接点22cを開くように依頼する。前述の2つの場合とは逆に、安全ユニット10は、安全ライン11が開かれていることを検出しないが、短絡していると見なし続ける。これは、短絡19が、第2の試験接点22cの上流に位置する、すなわち、短絡19が、安全ユニット10と第3の位置特定モジュール20cとの間に位置することを意味する。このようにして、短絡19が連続する位置特定モジュール20bと20cとの間に位置していると容易に推測され、短絡故障位置特定のシーケンスが完了する。
【0042】
ケーブル故障位置特定のシーケンスと同じ方法で、いくつかのタイプのシーケンス、すなわち、増分、減少、二分、または他のタイプのシーケンスが、本発明の一部として短絡を位置特定するために可能である。
【0043】
システムの信頼性を向上させるために、安全ユニット10は、安全ライン11上で定常信号を送信せず、代わりに、約+/-12Vの振幅、および約数十ミリ秒(例えば、約18Hzである55ミリ秒)の周期を有する周期的な方形波電圧信号などの可変信号を送信する。本実施形態では、電圧対時間の図は図3に示される。この図は、様々な状況の関数として、安全ライン11上の3つの電圧曲線S1、S2、およびS3を示している。第1の曲線S1は、方形波信号の送信中に動作が正常な場合に、安全ユニット10または位置特定モジュール20によって測定される信号を示す。この曲線S1では、測定された信号の正半波は、実際に、エンドモジュール13のダイオードにより減衰され、この半波で接地に導電する。
【0044】
ケーブル故障により安全ライン11が開かれると、図3の第2の曲線S2は、安全ユニット10によって、または開けられたケーブル故障接点14の上流に配置された位置特定モジュール20によって測定された信号を表す。安全ライン11に電流が流れなくなっても、エンドモジュール13のダイオードがもはや接続されていないとすると、曲線S2は、減衰せずに、安全ユニット10によって送信される電圧信号に直接対応する。
【0045】
第3の曲線S3は、安全ライン11で短絡が発生した場合に測定されるゼロ信号に対応する。第3の曲線S3はまた、ケーブル故障の下流(すなわち、開かれた故障接点14とエンドモジュール13との間)に位置する位置特定モジュール20によって測定され得る信号に対応し、これは、安全ライン11が上流で開いているため、この位置特定モジュールが実際にはもはや何も検出していないためである。
【0046】
安全ユニット10は、標準化または非標準化されたプロトコルに従って、位置特定システムの位置特定モジュール20と通信することができる。この通信のための物理的媒体は、例えば、WiFiネットワークもしくはLPWAN(低電力広域エリアネットワーク)による、または他の手段による、有線または無線のいずれかである。通信が有線である場合、通信信号を周期的な方形波信号に重ねることによって安全ライン11の導体上で直接、または好ましくは、安全ライン11に使用されるマルチストランド電気ケーブルに潜在的に利用可能な他の導体を使用することによって、通信を行うことができる。新しい設備には、専用の電気導体との有線通信が好ましくは使用される。しかし、既存の設備が改修されており、他の導体が利用可能でない場合、通信は安全ライン11の導体上に重ねられる。
【0047】
この通信により、安全ユニット10は、位置特定モジュール20に、それらの試験接点21、22を開閉するための命令を送ることによって、反復位置特定シーケンスを制御することができる。加えて、この通信の信頼性を向上させるために、安全ユニット10が、位置特定モジュール20に対して、その第1の試験接点21を閉じるか、または第2の試験接点22を開くように命令を送る反復シーケンスの間、通信プロトコルは、この位置特定モジュール20に、命令が実行されたことを示すために、戻り通信によって安全ユニット10に確認を送り返させることができる。
【0048】
しかしながら、通信が安全ライン11の導体を直接使用する場合、この安全ライン11の開きまたは短絡により、安全ユニット10と位置特定モジュール20のすべてまたは一部との間の通信が不可能になることは明らかである。このため、この通信に依存しない別の実施形態がこの場合提案される。
【0049】
この実施形態では、様々な位置特定モジュール20は、それ自体が、安全ライン11上を進む信号を分析することができる。したがって、それらは、安全ライン11上で発生するケーブル故障および短絡故障を検出する手段を有し、その第1の試験接点21を選択的に閉じるか、または第2の試験接点22を開くことができる。
【0050】
したがって、安全ライン11の開きが位置特定モジュール20によって検出されると、シーケンスは次のようになる:第1の位置特定モジュール20、すなわち、ランキングが1のモジュールは、その第1の試験接点21を1秒間閉じ、次いで、それを1秒間再び開くことによって短絡を生じさせる。したがって、ランキングが2の位置特定モジュール20は、2秒待ってから、その第1の試験接点21を2秒間閉じ、次いで、それを1秒間再び開ける。同様に、ランキングが3の位置特定モジュール20は、したがって、5秒間待ってから、その第1の試験接点21を3秒間閉じ、次いでそれを1秒間再び開ける。そのようにして、ランキングがiの各位置特定モジュール20は、((i-1)(i/2+1))秒に等しい時間待ってから、その第1の試験接点21をi秒の期間にわたって閉じ、次いで、それを1秒間再び開ける。したがって、一時的な短絡が生じる秒数iを測定することにより、位置特定モジュール20と安全ユニット10との間の通信を必要とせずに、ランキングiの位置特定モジュール20によって一時的な短絡が生じたことを知ることができる。
【0051】
同様に、位置特定モジュール20によって短絡故障が検出されると、シーケンスは次のようになる:ランキング1の第1の位置特定モジュール20は、その第2の試験接点22を1秒間開き、次いで、それを1秒間閉じることによって、安全ライン11の一時的な開きを生じさせる。したがって、ランキングが2の位置特定モジュール20は、2秒待ってから、その第2の試験接点22を2秒間開き、次いで、それを1秒間閉じる。そのようにして、ランキングがiの各位置特定モジュール20は、((i-1)(i/2+1))秒に等しい時間待ってから、その第2の試験接点22をi秒の期間にわたって開き、次いで、それを1秒間閉じる。したがって、安全ライン11が一時的に開けられる秒数iを測定することにより、モジュールと安全ユニットとの間の通信を必要とせずに、ランキングiの位置特定モジュール20によって一時的な開きが生じたことを知ることができる。
【0052】
位置特定モジュール20の電力供給は、いくつかの方法で提供されてもよく:モジュールは、内部電池を有する場合、または例えば、パイロンの太陽電池パネルによって電力供給される場合、自律的であってもよい。しかし、ローカル電源を設置することを避けるために、それらは、安全ラインに使用されるマルチストランド電気ケーブル内の利用可能な導体を介して電力供給されてもよい。最後に、電源は、電池またはコンデンサを充電するのに十分な方形波信号により、安全ライン11から直接供給されてもよいが、安全ライン11に破損が生じることがある。
【0053】
本発明はまた、特にパイロンローラ上の振動または困難な気象条件(氷、雨、風など)に起因して、ケーブル搬送設備で発生し得る不注意または一時的な故障の問題をよりよく理解するための解決策を提案する。これらのランダムな故障は、安全ライ11の一時的な開きだけでなく、一時的な短絡でもあり得る。故障が一時的で、明確ではなく発生する場合のみ、真の原因を見つけることは非常に時間がかかり、面倒であることが判明している。
【0054】
そのために、例えば、2対2で接合された一組の対のバーであって、各バーが安全ラインの1つに接続されている状態で、搬送設備に沿って2つの安全ラインを並列に設置することによって、冗長性が確実にされ得ることが既に知られている。第1のタイプの動作は、いわゆるノーマル-バックアップモードで機能することであり、つまり、2つの安全ラインのうちの一方のみが所与の時間にアクティブであり、アクティブなラインで故障が検出された場合は、他方の安全ラインへの切り替えが簡単に行われ得る。第2のタイプの動作も可能であり:2つのラインは、搬送設備が動作している間はアクティブである。2つのラインうちのいずれかで故障が発生した場合、オペレーターは、特定の安全チェックを進めた後、動作したままのラインを選択して、設備をリスタートする。
【0055】
この冗長性および本発明の位置特定システムのおかげで、アクティブでないときに一時的故障を被る安全ライン上の故障を位置特定することがより容易になる。故障をより良く特定するために、ラインを2つの部分にセグメント化して短くして、残りの部分を、一時的故障が同じ条件下で継続して発生するかどうかを確認するために十分に長い期間にわたって監視する試みがなされる。
【0056】
ラインをセグメント化するために、安全ユニット10は、安全ラインのほぼ中央に位置する位置特定モジュール20に、検出された故障の逆作用を実施する、つまり、一時的故障が短絡である場合、第2の試験接点22を開くか、または一時的故障がケーブル故障である場合、第1の試験接点21を閉じるかのいずれかを実施するように依頼する。一時的故障が同じ条件下で継続して発生する場合、それは、故障が安全ユニット10と位置特定モジュール20との間のラインの上流部分に位置することを意味する。一時的故障が同じ条件下でもはや発生しない場合、それは、故障が位置特定モジュール20とエンドモジュール13との間のラインの下流部分に位置することを意味する。次いで、二分シーケンスは、不注意な故障が2つの連続する位置特定モジュールの間に位置するまで、安全ラインの識別された部分を2つに再びセグメント化することによって、何度も繰り返される。
【0057】
さらに、位置特定システムが、正常に機能していることを確実にするために、自己試験を行うことができる。好ましくは、これらの自己試験は、搬送設備が運用上の安全性を損なわないように動作していないとき、例えば、設備が起動される前に1日1回、実施される。安全ユニットは、各位置特定モジュール20に、第1の試験接点21のマイクロ閉じ、次いで第2の試験接点22のマイクロ開きを連続して実施し、安全ライン11上の信号への影響を分析するように依頼する。
【0058】
ランキング番号iを各位置特定モジュール20に設定および記憶するために、それは、例えば、シリアル番号または位置特定モジュール20内のマイクロスイッチによって事前に決定され得る。しかしながら、位置特定モジュール20のオンサイト設置の前など、コンピュータに接続されている間の構成段階中に、ソフトウェアによってこのランキング番号iを設定できることが好ましい。
【0059】
本来、本発明は例として上記に説明されている。当業者は、本発明の範囲を超えることなく、本発明の異なる実施形態の変形例を作製することができることが理解される。
図1
図2
図3
図4.1-4.4】
図5.1-5.4】