(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123868
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】トナー用途のための摩擦帯電量の低下されたシリカ
(51)【国際特許分類】
C01B 33/12 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
C01B33/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019347
(22)【出願日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】21156535
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マライケ ギーセラー
(72)【発明者】
【氏名】フランク メンツェル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー リギン
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ゴルヒャート
【テーマコード(参考)】
4G072
【Fターム(参考)】
4G072AA41
4G072BB05
4G072CC18
4G072DD04
4G072DD05
4G072DD06
4G072EE01
4G072GG01
4G072HH14
4G072HH30
4G072LL06
4G072MM26
4G072MM31
4G072TT01
4G072TT02
4G072TT06
4G072UU30
(57)【要約】
【課題】表面処理されたヒュームドシリカ、その製造方法およびその使用。
【解決手段】表面処理されたヒュームドシリカは、-500μC/g~+500μC/gの摩擦静電荷、-3.5μC/m2~+3.5μC/m2の、該摩擦静電荷の、BET表面積に対する比、メタノール/水混合物中のメタノール少なくとも20体積%のメタノールぬれ性、0.020wt%×g/m2以下の、炭素含有率の、BET表面積に対する比を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理されたヒュームドシリカであって、
-500μC/g~+500μC/gの摩擦静電荷量;
-3.5μC/m2~+3.5μC/m2の、摩擦静電荷量の、BET表面積に対する比;
メタノール/水混合物中のメタノール少なくとも20体積%のメタノールぬれ性;
0.020wt%×g/m2以下の、炭素含有率の、BET表面積に対する比
を特徴とする、表面処理されたヒュームドシリカ。
【請求項2】
前記シリカがBET表面積が、30m2/g~500m2/gである、請求項1に記載のシリカ。
【請求項3】
前記シリカが、オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される表面処理剤を使用して、得られる、請求項1または2に記載のシリカ。
【請求項4】
前記シリカの数値的なメジアン粒子サイズd50が、メタノール中の前記シリカの5重量%分散液の25℃での120秒の超音波処理後の静的光散乱により決定して、10μm未満である、請求項1から3までのいずれか1項に記載のシリカ。
【請求項5】
前記シリカの炭素含有率が、0.1重量%~5重量%である、請求項1から4までのいずれか1項に記載のシリカ。
【請求項6】
前記シリカが、ASTM D280-01のA法に従って決定される、0.4重量%未満の乾燥減量を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のシリカ。
【請求項7】
前記シリカ粉末のタンプ密度が、250g/L以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載のシリカ。
【請求項8】
前記シリカが、二酸化ケイ素少なくとも50重量%を含む、シリカ系の混合酸化物、シリカ系のドープされた酸化物、またはその混合物である、請求項1から7までのいずれか1項に記載のシリカ。
【請求項9】
前記シリカの粒子サイズ分布のスパン(d90-d10)/d50が、3.0未満である、請求項1から8までのいずれか1項に記載のシリカ。
【請求項10】
前記シリカのメタノールぬれ性が、メタノール/水混合物中のメタノール30体積%~70体積%である、請求項1から9までのいずれか1項に記載のシリカ。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の表面処理されたヒュームドシリカを製造する方法であって、以下の工程:
a)BET表面積s1およびシラノール密度d1
SiOHを有する表面未処理の親水性ヒュームドシリカを、得られる熱処理されたシリカのシラノール基密度d2
SiOHが前記d1
SiOH値の少なくとも5%だけ低下され、かつ得られる熱処理されたシリカのBET表面積s2が前記s1値の30%以下だけ低下されるまで、300℃~1400℃の温度で熱処理にかける工程;
b)工程a)において得られた熱処理されたシリカを、オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤で表面処理する工程;
c)任意に、工程a)においておよび/または工程b)において得られたシリカを破砕する工程
を含む、前記方法。
【請求項12】
工程a)の期間が、2分~8時間である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法の工程a)が、回転炉中で実施される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれか1項に記載のシリカを含む、組成物、殊にトナー組成物。
【請求項15】
ペイントまたはコーティング、シリコーン、薬剤学的製剤または化粧用製剤、接着剤またはシーラント、トナー組成物の成分として、ならびに液体系のレオロジー特性を変更するため、沈降防止剤として、粉末の流動性を改善するため、およびシリコーン組成物の機械的性質または光学的性質を改善するための、請求項1から10までのいずれか1項に記載のシリカの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦静電荷量の低下された表面改質ヒュームドシリカ、ならびにその製造方法およびトナーにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーは、画像形成装置、例えばプリンタ、複写機およびファックス装置において使用して、画像を1枚の媒体上へ形成することができる。該画像形成装置は、該トナーを、リザーバーから該媒体へ、現像剤系を介して、該トナー粒子と該現像剤系における多様な成分との間に発生される差分電荷を利用して、移動させることができる。トナー摩擦帯電量および流れ特性の制御は、乾式トナー表面改質および該トナー粒子の表面上の微粒子の付着により達成することができる。トナー粒子の摩擦帯電量は、外添剤の正しい選択により大部分は制御することができる。それらの高い純度および極めて低い含水率のために、ヒュームドシリカは、優れた絶縁体であり、すなわち極めて高い電気抵抗を有する。したがって、ヒュームドシリカは、他の粒子と衝突する際に高い静電荷量を蓄積し、かつ運ぶことができる。用語「摩擦帯電」(“tribo-charging”)は、通常、トナー技術において使用される、それというのも、表面間の摩擦を通じた静電荷の発生をいうからである。この特性は、ヒュームドシリカを、トナーの電荷特性を明確に定義された手法で制御し、かつ調節するのに極めて効率的にする。本質的に、該トナー表面は、それに応じてヒュームドシリカ表面の特性および電荷量を帯びる。
【0003】
従来技術の説明
多様な表面改質ヒュームドシリカ粒子を、トナー配合物における添加剤として適用することができる。適切なシリカ添加剤の選択は、特定のトナー用途の要件により決定される。トナーにおけるシリカの使用適性を決定する最も重要なパラメーターの1つは、その摩擦静電荷量である(単に摩擦帯電量とも呼ばれる)。表面改質化学、粒子表面積等を含めた、ヒュームドシリカの物理化学的性質に応じて、幅広い範囲の摩擦帯電量を達成することができる。こうして、Evonik Industriesにより製造された、215~265m2/gのBET表面積を有する表面改質ヒュームドシリカAEROSIL(登録商標)R 976 Sは、-680μC/gの摩擦帯電量を提供するのに対し、同じ製造者による別の表面改質シリカ、AEROSIL(登録商標)NA 200 Y(BET=100~150m2/g)は、+260μC/gの摩擦帯電量を提供する。トナーにおける使用に適している、これらのおよび他の典型的なヒュームドシリカは、www.aerosil.comでオンラインで入手可能な製品パンフレット“AEROSIL(登録商標) Fumed Silica and AEROXIDE(登録商標) Oxides for Toner Technical Information TI 1222”に記載されている。
【0004】
高い負電荷を有する表面処理されたヒュームドシリカは、通常、高疎水性であるのに対し、正に帯電された粒子または負電荷の低下された粒子は、極性アミノシランまたは第四級トリアルキルアンモニウム部分でしばしば表面改質されて、そのような粒子をより疎水性でなくするかまたはそれどころか親水性にする。こうして、欧州特許出願公開第0992857号明細書(EP 0992857 A2)には、例1に、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを表面処理剤として使用する、-300μC/gの摩擦帯電量を有する高疎水性シリカ粉末の製造が開示されている。同じ特許出願公開明細書の比較例1は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランおよび1,3-ジアミノプロパンで表面処理された、-150μC/gの摩擦帯電量を有する高親水性シリカの製造を示す。
【0005】
水に対して比較的高い親和性を有する親水性シリカを含有するトナー組成物の帯電特性は、その環境の変化、例えば変動する湿度に依存しうる。
【0006】
高疎水性および親水性の双方ともの表面処理されたヒュームドシリカは、通常、比較的高い炭素含有率により特徴付けられている。したがって、比較的高い量のしばしば高価な表面処理剤が必要とされる。
【0007】
摩擦帯電量の低下された表面改質ヒュームドシリカ粒子は、電荷量の低下されたトナー組成物に必要とされる。そのようなシリカ粒子は、しばしば、摩擦帯電量の、BET表面積に対する比較的高い比により特徴付けられている。こうして、表面改質ヒュームドシリカAEROSIL(登録商標)RX 50(製造者:Evonik Industries)は、-200μC/gの摩擦帯電量、25~45m2/gのBET表面積(摩擦帯電量/平均BET=-5.7μC/m2)、および0.5~1.0wt%の炭素含有率を有する。
【0008】
他の場合において、例えば-200μC/g~+200μC/gの、摩擦帯電量の低下されたヒュームドシリカは、その表面積に関して比較的高い炭素含有率を示す。こうして、-110μC/gの摩擦帯電量を有する表面改質ヒュームドシリカAEROSIL(登録商標)RY 50(製造者:Evonik Industries)は、15~45m2/gのBET表面積および3.0~5.0wt%の炭素含有率(炭素含有率/平均BET>0.100wt%×g/m2)を有する。欧州特許出願公開第0992857号明細書の例2に開示されたヒュームドシリカ粉末は、+200μC/gの摩擦帯電量、130m2/gのBET表面積および5.5wt%の炭素含有率(炭素含有率/BET=0.042wt%×g/m2)を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0992857号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2676930号明細書
【特許文献3】西独国特許発明第952891号明細書
【特許文献4】西独国特許出願公開第2533925号明細書
【特許文献5】西独国特許出願公開第2702896号明細書
【特許文献6】国際公開第2011/076518号
【特許文献7】欧州特許出願公開第0725037号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“AEROSIL(登録商標) Fumed Silica and AEROXIDE(登録商標) Oxides for Toner Technical Information TI 1222”,[online],インターネット<URL:www.aerosil.com>
【非特許文献2】Journal of Colloid and Interface Science, vol. 125, no. 1, (1988), pp. 61-68
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明により扱われる技術的課題は、比較的低い表面電荷量を有するトナー組成物における添加剤としての使用に特に適しているヒュームドシリカを提供することである。
【0012】
そのようなトナー組成物の帯電特性は、環境の変化、例えば湿度に依存しないべきである。
【0013】
そのようなヒュームドシリカ粉末を製造するのに必要とされる表面処理剤の量は、最小限にされるべきである。
【0014】
本発明は、
-500μC/g~+500μC/gの摩擦静電荷量;
-3.5μC/m2~+3.5μC/m2の、該摩擦静電荷量の、BET表面積に対する比;
メタノール/水混合物中のメタノール少なくとも20体積%のメタノールぬれ性;
0.020wt%×g/m2以下の、炭素含有率の、BET表面積に対する比
により特徴付けられる、表面処理されたヒュームドシリカを提供する。
【0015】
そのようなヒュームドシリカは、比較的低い表面電荷を有するトナー組成物における添加剤としての使用に特に適している。生じるトナー組成物の帯電特性は、環境の変化、例えば湿度に依存していない。そのようなヒュームドシリカを製造するのに必要とされる表面処理剤の量は比較的少なく、そのようなシリカの製造コストを低下させる。
【0016】
シリカ
本発明のシリカは、粒子の形で、例えば粉末または粒状物として、好ましくは存在する。最も好ましくは、本発明のシリカは、シリカ粉末である。
【0017】
本発明において、用語「粒状物」(“granules”)は、粒のある(grainy)、容易に流し込み可能な、自由流動性の粒子状固体材料を意味すると理解される。該粒状物は、球状または他の任意の形状を有する粒のある粒子、例えばペレット、リング等、または例えば統計的粒子サイズ分布を有する、破砕された粒状材料の不規則に形成された破片の形であってよい。
【0018】
本発明に関連して用語「粉末」は、微粒子を包含する。
【0019】
本発明に関連して使用される用語「摩擦帯電量」(“tribo-charge”)は、用語「摩擦静電荷量」(“tribo-electrostatic charge”)に等価である。このパラメーターは、異なるトナー添加剤の静電特性を評価するのにルーチンとして使用される。摩擦帯電量の値は、例えば欧州特許出願公開第2676930号明細書(EP2676930A1)の段落[0118]に記載されたように、ブローオフ静電位計を使用して決定することができる。
【0020】
以下の手順は、摩擦帯電量の測定に適用することができる:
ノンコートフェライトキャリア50gおよび該ヒュームドシリカ粒子(粗大なシリカ粒子は、必要に応じて、測定前に粉砕またはミリングすることができる)0.1gを、75mLガラス容器中へ入れ、キャップでふたをし、TURBULA(登録商標)ミキサーを使用して90rpmの回転速度で5分間混合する。引き続き、こうして製造された混合物0.1gを取り出し、窒素を1分間吹き込み、該摩擦帯電量を、ブローオフ静電位計(型式TB-200、製造者:Toshiba Chemical)の使用により測定する。該測定は、25℃の温度および55%の相対湿度で実施される。
【0021】
本発明のヒュームドシリカは、-500μC/g~+500μC/g、好ましくは-400μC/g~+400μC/g、より好ましくは-300μC/g~+300μC/g、より好ましくは-250μC/g~+250μC/g、好ましくは-200μC/g~+200μC/g、より好ましくは-200μC/g~+100μC/g、より好ましくは-200μC/g~+50μC/g、より好ましくは-200μC/g~0μC/g、より好ましくは-150μC/g~0μC/g、より好ましくは-100μC/g~0μC/g、より好ましくは-90μC/g~0μC/gの摩擦静電荷量を有する。
【0022】
本発明のシリカの比較的低い摩擦静電荷量は、比較的低い表面電荷を有するトナー組成物におけるその使用を可能にする。
【0023】
本発明によるシリカは、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5.0重量%、より好ましくは0.2重量%~4.0重量%、より好ましくは0.3重量%~3.0重量%、よりいっそう好ましくは0.4重量%~2.5重量%、さらによりいっそう好ましくは0.5重量%~2.0重量%の炭素含有率を有することができる。該炭素含有率は、EN ISO3262-20:2000(8章)に従い元素分析により決定することができる。分析される試料を、セラミックるつぼ中へ量り入れ、燃焼添加剤を供給し、誘導炉中で酸素流下で加熱する。存在する炭素は、CO2に酸化される。CO2ガスの量は、赤外検出器により定量される。本発明によるシリカの挙げた炭素含有率は、不燃性化合物、例えば炭化ケイ素等を除く該シリカの全ての炭素含有成分をいう。
【0024】
本発明のシリカは、20m2/gを超える、好ましくは30m2/g~500m2/g、より好ましくは50m2/g~400m2/g、より好ましくは70m2/g~300m2/g、最も好ましくは80m2/g~200m2/gのBET表面積を有することができる。該比表面積は、単にBET表面積とも呼ばれ、DIN 9277:2014に従って、ブルナウアー-エメット-テラー法に従う窒素吸着により決定することができる。
【0025】
本発明によるシリカは、0.020wt%×g/m2以下、より好ましくは0.019wt%×g/m2以下、より好ましくは0.018wt%×g/m2以下、より好ましくは0.017wt%×g/m2以下、より好ましくは0.016wt%×g/m2以下、より好ましくは0.005wt%×g/m2~0015wt%×g/m2の、炭素含有率の、BET表面積に対する比を有する。用語「wt%」は、本発明に関連して「重量%」を意味する。
【0026】
こうして、公知のシリカと比べて、本発明のシリカは、該炭素含有率の、BET表面積に対する比較的低い比により特徴付けられている。したがって、例えばトナー用途のために、所望のシリカ特性は、より少ない量の表面処理剤で達成することができる。
【0027】
本発明のシリカの該摩擦帯電量の、BET表面積に対する比は、-3.5μC/m2~+3.5μC/m2、好ましくは-3.0μC/m2~+3.0μC/m2、より好ましくは-2.5μC/m2~+2.5μC/m2、より好ましくは-2.3μC/m2~+2.3μC/m2、好ましくは-2.3μC/m2~+1.0μC/m2、より好ましくは-2.0μC/m2~+1.0μC/m2、より好ましくは-1.5μC/m2~+0.5μC/m2、より好ましくは-1.5μC/m2~0μC/m2である。
【0028】
こうして、本発明のシリカは、該摩擦静電荷量の比較的低い値および同時に、比較的高いBET表面積により特徴付けられており、ある種のトナー組成物に特に有用な基本的な特性の極めて特別な組合せを提供する。
【0029】
本発明によるシリカは好ましくは、100μm未満、より好ましくは50μm未満、より好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満、より好ましくは0.05μm~10μm、より好ましくは0.05μm~8μm、より好ましくは0.05μm~5μm、より好ましくは0.05μm~3μm、より好ましくは0.05μm~2μm、より好ましくは0.05μm~1.5μm、より好ましくは0.1μm~1.0μmの数値的なメジアン粒子サイズd50を有し、これは、メタノール中の該シリカの5重量%分散液の25℃での120秒の超音波処理後に静的光散乱法により決定される。
【0030】
本発明のシリカは好ましくは、200μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下、好ましくは80μm以下、好ましくは50μm以下、好ましくは30μm以下、好ましくは20μm以下、好ましくは10μm以下、好ましくは5μm以下の粒子サイズd90を有し、これは、メタノール中の該シリカの5重量%分散液の25℃での120秒の超音波処理後に静的光散乱(SLS)により決定される。
【0031】
本発明のシリカは好ましくは、3.0未満、好ましくは0.4~3.0、より好ましくは0.5~2.0、より好ましくは0.6~1.8、より好ましくは0.7~1.7、より好ましくは0.8~1.6の粒子サイズ分布のスパン値(d90-d10)/d50により特徴付けられることができる、比較的狭い粒子サイズ分布を有する。
【0032】
上記の粒子サイズd10、d50およびd90は、アグリゲーションおよびアグロメレーションされたヒュームドシリカ粒子の粒子サイズをいう。これらの値は、メタノール中の該シリカの5重量%分散液の25℃での120秒の超音波処理後に静的光散乱法により決定される。値d10、d50およびd90は、全ての粒子のそれぞれ10%、50%、または95%を超えない粒子サイズを表す。
【0033】
多様な粉末状または粗大グレインの粒状材料のタンプ密度(tamped density)(「タップ密度」(“tapped density”)とも呼ばれる)は、DIN ISO 787-11:1995 “General methods of test for pigments and extenders -- Part 11: Determination of tamped volume and apparent density after tamping”に従って決定することができる。これは、撹拌およびタンピング後の床の見掛け密度を測定することを包含する。本発明のシリカは好ましくは、600g/L以下、より好ましくは500g/L以下、より好ましくは400g/L以下、より好ましくは300g/L以下、より好ましくは250g/L以下、より好ましくは20g/L~200g/L、より好ましくは30g/L~180g/L、より好ましくは40g/L~150g/L、より好ましくは50g/L~120g/Lのタンプ密度を有する。
【0034】
該シリカの乾燥減量(LOD)は、好ましくは2.0wt%未満、より好ましくは1.5wt%未満、より好ましくは1.0wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満、より好ましくは0.4wt%未満、より好ましくは0.35wt%未満、より好ましくは0.3wt%未満、より好ましくは0.25wt%未満、より好ましくは0.2wt%未満、より好ましくは0.15wt%未満、より好ましくは0.1wt%未満である。乾燥減量は、ASTM D280-01(A法)に従って決定することができる。こうして、本発明のヒュームドシリカは通常、比較的少ない量の水を含有し、このことは、少ない含水量を必要とする用途において特に有用にする。
【0035】
本発明のシリカは、ヒュームド(「熱分解法(の)」(“pyrogenic”)としても公知の)シリカである。ヒュームド(熱分解法)シリカは、火炎加水分解または火炎酸化によって製造される。これは、一般に水素/酸素炎中の、加水分解性または酸化性の出発材料の酸化または加水分解を包含する。熱分解法に使用される出発材料は、有機物質および無機物質を含む。四塩化ケイ素は特に適している。こうして得られる親水性シリカはアモルファスである。ヒュームドシリカは、一般にアグリゲーションされた形で存在する。「アグリゲーション(された)」は、発生時に最初に形成されるいわゆる一次粒子が、その反応において後で互いに堅固に結合されて3次元ネットワークを形成することになることを意味すると理解される。該一次粒子は、実質的に細孔不含であり、かつそれらの表面上に遊離ヒドロキシル基を有する。そのような親水性シリカは、必要に応じて、例えば反応性シランでの処理により、疎水化することができる。
【0036】
本発明のシリカは、5nm~50nm、好ましくは5nm~40nmの平均一次粒子サイズd50を有することができる。一次粒子の平均サイズd50は、透過型電子顕微鏡法(TEM)分析により決定することができる。d50の代表的な平均値を計算するために、少なくとも100個の粒子が分析されるべきである。
【0037】
本発明のシリカは、単独の化合物(二酸化ケイ素)、シリカ系の混合酸化物、シリカ系のドープされた酸化物、またはその混合物を含んでいてよい。
【0038】
ヒュームドシリカの一例は、シリカ系の混合酸化物である。そのような混合酸化物を、H2/O2炎中で揮発性金属化合物、例えば塩化物の形の少なくとも2種の異なる金属源を同時に反応させることにより製造することは公知である。そのような酸化物の一例は、Evonikにより名称Aerosil(登録商標) MOX 170で製造されるSiO2/Al2O3混合酸化物である。Aerosil(登録商標) MOX 170を製造する際に、SiCl4およびAlCl3の混合物が、火炎中で直接加水分解される。対応するシラン、例えば、メチルトリクロロシラン、トリクロロシラン、等が、西独国特許発明第952891号明細書(DE-A 952 891)、西独国特許出願公開第2533925号明細書(DE-A 25 33 925)および西独国特許出願公開第2702896号明細書(DE-A 27 02 896)に記載されたように、該塩化物の代わりにまたは該塩化物に加えて原料として使用されてもよい。
【0039】
こうして製造される混合酸化物の全ての成分、例えば上記の場合のシリカおよびアルミナは、他の種類の材料、例えば数種の金属酸化物の機械的混合物、ドープされた金属酸化物等とは対照的に、一般に、該混合酸化物材料全体に均質に分布される。後者の場合に、例えば数種の金属酸化物の混合物については、対応する純粋な酸化物の分離したドメインが存在しうるものであり、これらのドメインがそのような混合物の特性を決定する。
【0040】
本発明のシリカは、二酸化ケイ素を主成分として含む。好ましくは、該シリカは、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは70重量%~99.9重量%、より好ましくは80重量%~99.5重量%、より好ましくは90重量%~99.0重量%、より好ましくは92重量%~98.5重量%、より好ましくは95重量%~98.0重量%の二酸化ケイ素を含む。最も好ましくは、本発明のシリカは、二酸化ケイ素以外の酸化物を実質的に含有しない。
【0041】
表面処理剤
本発明において、用語「表面処理された」は、シリカの遊離シラノール基の完全なまたは部分的な改質によりシリカの表面特性を変更する、シリカと、対応する表面処理剤との化学反応に関する。
【0042】
そのような表面処理は、親水性または疎水性の特性を本発明のシリカの表面に付与しうる。本発明に関連して用語「疎水化された」または「疎水性(の)」は、極性媒体、例えば水に対する低い親和性を有する表面処理された粒子に関する。親水性粒子は、それに対して、極性媒体、例えば水に対する高い親和性を有する。該疎水性材料の疎水性は、典型的には、適切な無極性基を該シリカ表面に適用することにより達成することができる。シリカの疎水性の程度は、そのメタノールぬれ性を含めたパラメーターによって、例えば、国際公開第2011/076518号(WO2011/076518 A1)、第5-6頁に、詳細に記載されたように、決定することができる。純水中で、疎水性シリカは、該水から完全に分離し、該溶剤でぬれることなく、その表面を浮遊する。それに対して、純メタノール中で、疎水性シリカは、該溶剤体積全体に分布され;完全なぬれが行われる。該メタノールぬれ性の決定のために、疎水性のまたは疎水化された粒子0.2g(±0.005g)をそれぞれ、透明な遠心分離管中へ量り入れる。メタノール10、20、30、40、50、60、70または80体積%を有するメタノール/水混合物の8.0ml分を各試料に添加する。該管を30秒間振とうし、ついで2500min-1で5分間遠心分離される。その沈降物体積が定義される。該メタノールぬれ性は、沈降物体積が100%である(試験されたシリカ試料について最大限可能)、メタノールの体積パーセントとして定義される。その数が大きければ大きいほど、その疎水性も大きくなる。
【0043】
本発明のシリカは、メタノール/水混合物中のメタノール少なくとも20体積%、より好ましくは20体積%~80体積%、より好ましくは25体積%~75体積%、より好ましくは30体積%~70体積%、より好ましくは35体積%~65体積%、最も好ましくは40体積%~60体積%のメタノールぬれ性を有する。
【0044】
本発明のシリカは、オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される表面処理剤を使用して好ましくは得られる。
【0045】
好ましいオルガノシランの一つのタイプは、一般式
R′x(RO)ySi(CnH2n+1) (Ia)および
R′x(RO)ySi(CnH2n-1) (Ib)
のアルキルオルガノシランであり、上記式中、
R=アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル等であり、
R′=アルキルまたはシクロアルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、シクロヘキシル、オクチル、ヘキサデシル等であり、
n=1~20であり、
x+y=3であり、
x=0~2であり、かつ
y=1~3である。
【0046】
式(Ia)および(Ib)のアルキルオルガノシランの中で、特に好ましいのは、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシランである。
【0047】
表面処理に使用されるオルガノシランは、ハロゲン、例えばClまたはBrを含有していてよい。特に好ましいのは、以下のタイプのハロゲン化オルガノシランである:
- 一般式
X3Si(CnH2n+1) (IIa)および
X3Si(CnH2n-1) (IIb)
のオルガノシラン、上記式中、X=Cl、Br、n=1~20である;
- 一般式
X2(R′)Si(CnH2n+1) (IIIa)および
X2(R′)Si(CnH2n-1) (IIIb)
のオルガノシラン、上記式中、X=Cl、Brであり、
R′=アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル等、シクロアルキル、例えばシクロヘキシルであり、
n=1~20である;
- 一般式
X(R′)2Si(CnH2n+1) (IVa)および
X(R′)2Si(CnH2n-1) (IVb)
のオルガノシラン、上記式中、X=Cl、Brであり、
R′=アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル等、シクロアルキル、例えばシクロヘキシルであり、
n=1~20である。
【0048】
式(II)~(IV)のハロゲン化オルガノシランの中で、特に好ましいのは、ジメチルジクロロシランおよびクロロトリメチルシランである。
【0049】
使用されるオルガノシランは、アルキルまたはハロゲン置換基以外、例えばフッ素置換基または一部の官能基も含有することができる。好ましくは使用されるのは、一般式
(R″)x(RO)ySi(CH2)mR′ (V)
の官能化オルガノシランであり、上記式中、
R″=アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、またはハロゲン、例えばClまたはBrであり、
R=アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルであり、
x+y=3であり、
x=0~2であり、
y=1~3であり、
m=1~20であり、
R′=メチル、アリール(例えば、フェニルまたは置換フェニル基)、ヘテロアリール、
-C4F9、-OCF2-CHF-CF3、-C6F13、-O-CF2-CHF2、-NH2、-N3、-SCN、-CH=CH2、-NH-CH2-CH2-NH2、-N-(CH2-CH2-NH2)2、-OOC(CH3)C=CH2、-OCH2-CH(O)CH2、-NH-CO-N-CO-(CH2)5、-NH-COO-CH3、-NH-COO-CH2-CH3、-NH-(CH2)3Si(OR)3、-Sx-(CH2)3Si(OR)3、-SH、-NR1R2R3(R1=アルキル、アリール;R2=H、アルキル、アリール;R3=H、アルキル、アリール、ベンジル、C2H4NR4R5、ここでR4=H、アルキルおよびR5=H、アルキル)である。
【0050】
式(V)の官能化オルガノシランの中で、特に好ましいのは、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0051】
一般式R′R2Si-NH-SiR2R′(VI)[式中、R=アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルであり;R′=アルキル、ビニルである]のシラザンは、表面処理剤としても適している。式(VI)の最も好ましいシラザンは、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)である。
【0052】
表面処理剤としても適しているのは、環状ポリシロキサン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D6)である。環状ポリシロキサンの中で最も好ましくは、D4が使用される。
【0053】
表面処理剤の別の有用なタイプは、一般式(VII):
【化1】
ポリシロキサンまたはシリコーン油であり、上記式中、
Y=H、CH
3、C
nH
2n+1、ここでn=1~20、Si(CH
3)
aX
b、ここでa=2~3、b=0または1、a+b=3であり、
X=H、OH、OCH
3、C
mH
2m+1、ここでm=1~20であり、
R、R′=アルキル、例えばC
oH
2o+1、ここでo=1~20、アリール、例えばフェニルおよび置換フェニル基、ヘテロアリール、(CH
2)
k-NH
2、ここでk=1~10、Hであり、
u=2~1000、好ましくはu=3~100である。
【0054】
式(VII)のポリシロキサンおよびシリコーン油の中で最も好ましくは、ポリジメチルシロキサンは、表面処理剤として使用される。そのようなポリジメチルシロキサンは通常、162g/mol~7500g/molのモル質量、0.76g/mL~1.07g/mLの密度および0.6mPa・s~1000000mPa・sの粘度を有する。
【0055】
シリカを製造する方法
本発明はさらに、以下の工程を含む、本発明の表面処理されたヒュームドシリカを製造する方法を提供する:
a)BET表面積s1およびシラノール密度d1
SiOHを有する表面未処理の親水性ヒュームドシリカを、得られる熱処理されたシリカのシラノール基密度d2
SiOHが該d1
SiOH値の少なくとも5%だけ低下され、かつ得られる熱処理されたシリカのBET表面積s2が該s1値の30%以下だけ低下されるまで、300℃~1400℃の温度での熱処理にかける工程;
b)工程a)において得られた熱処理されたシリカを、オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤で表面処理する工程;
c)任意に、工程a)においておよび/または工程b)において得られたシリカを破砕する工程。
【0056】
本発明の方法の工程a)において使用される上記の表面未処理の親水性ヒュームドシリカは、表面処理されていない、すなわち、全く表面処理剤で改質されず、ひいては事実上親水性である。
【0057】
本発明の方法の工程a)およびb)において呼ばれる用語「表面未処理の親水性シリカ」および「熱処理されたシリカ」は、シリカ粉末に限定されておらず、むしろシリカ粉末、ならびに球状または他の任意の形状を有する他の粒のある粒子または物体、例えばペレット、リング等、または例えば統計的粒子サイズ分布を有する、破砕された粒状材料の不規則に形成された破片を包含する。
【0058】
こうして、本発明の方法の工程a)を実施する前に、前記の表面未処理の親水性シリカは、緻密化されて、親水性シリカを、例えば粒状物の形で得ることができる。
【0059】
そのような緻密化は、例えば脱気または圧密により、行われて、少なくとも80g/L、好ましくは80g/L~2000g/L、より好ましくは90g/L~1500g/L、より好ましくは90g/L~800g/L、より好ましくは100g/L~700g/L、より好ましくは110g/L~600g/L、より好ましくは120g/L~500g/Lのタンプ密度を有するシリカを得ることができる。
【0060】
本発明の方法の工程a)において使用される表面未処理の親水性シリカは、緻密化にかけられていない粉末であってもよい。
【0061】
本発明による方法の工程a)において、該親水性シリカの熱処理は、300℃~1400℃、好ましくは350℃~1300℃、より好ましくは400℃~1200℃、より好ましくは400℃~1100℃、より好ましくは400℃~1050℃、より好ましくは400℃~1000℃の温度で実施される。工程a)の期間は、適用される温度に依存し、かつ一般に1秒~20時間、好ましくは1分~10時間、より好ましくは2分~8時間、より好ましくは5分~5時間、より好ましくは10分~3時間、より好ましくは15分~2時間であってよい。
【0062】
本発明の方法の工程a)における熱処理は明らかに、遊離シラノール基の数の低下を、そのような基の縮合およびO-Si-O橋の形成により、もたらす。この方法は、該BET表面積の低下をもたらすこともできる。該親水性シリカの初期シラノール基含有率およびそのBET表面積を低下させる程度は、この熱処理の適用される温度および期間に応じて調整することができる。
【0063】
本発明の方法の工程a)は、得られる熱処理されたシリカのシラノール密度d2
SiOHが、本方法の工程a)において使用されるシリカのシラノール密度d1
SiOHの少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは10%~50%、より好ましくは10%~45%だけ低下され;かつ得られる熱処理されたシリカのBET表面積s2が、本方法の工程a)において使用されるシリカのBET表面積s1の30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、より好ましくは1%~10%だけ低下されるまで、実施される。
【0064】
該シラノール密度dSiOHは、SiOH基/nm2で表現される、BET表面積に対するシラノール基の数である。このパラメーターは、該シリカと水素化アルミニウムリチウムとの反応を含む方法により、例えば、欧州特許出願公開第0725037号明細書(EP 0725037 A1)の第8頁第17行~第9頁第12行に詳細に記載されたように、決定することができる。この方法は、Journal of Colloid and Interface Science, vol. 125, no. 1, (1988), pp. 61-68にも詳細に記載されている。
【0065】
乾燥されたシリカ試料のシラノール(SiOH)基は、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)と反応され、この反応中に形成されるガス状水素の量、ひいては該試料中のシラノール基の量nOH(単位:mmol SiOH/g)が決定される。試験される材料の対応するBET表面積(単位:m2/g)を使用して、該シラノール基含有率(mmol OH/g)は、BET表面積に対するシラノール基の数dSiOHへ容易に変換することができる:
dOH[SiOH/nm2]=(nOH[mmol SiOH/g]×NA)/(BET[m2/g]×1021)
ここで、NAは、アボガドロ数(約6.022×1023)である。
【0066】
本発明の方法において使用される表面未処理のヒュームドシリカは通常、少なくとも1.40 SiOH/nm2、好ましくは1.40 SiOH/nm2~3.00 SiOH/nm2、より好ましくは1.50 SiOH/nm2~2.80 SiOH/nm2のBET表面積に対するシラノール基の数d1
SiOHを有する。
【0067】
本発明の方法において使用される表面未処理のヒュームドシリカは、20m2/gを超える、好ましくは30m2/g~500m2/g、より好ましくは50m2/g~400m2/g、より好ましくは70m2/g~350m2/g、最も好ましくは80m2/g~300m2/gのBET表面積を有することができる。該比表面積は、単にBET表面積とも呼ばれ、DIN 9277:2014に従って、ブルナウアー-エメット-テラー法に従う窒素吸着により決定することができる。
【0068】
本発明の方法の工程a)における熱処理中に、使用されたシリカは、通常、緻密化される。本発明の方法の工程a)において熱処理されたシリカのタンプ密度は、この工程において使用されるシリカのタンプ密度よりも、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%だけ高い。
【0069】
本発明の方法の工程a)は、該シリカが運動しながら、好ましくは該方法中に一定に運動しながら、好ましくは実施される、すなわちシリカは、該熱処理中に運動されている。そのような「動的な」方法は、「静的な」熱処理方法の反対であり、ここで、シリカ粒子が運動されない、例えば、層状に、例えばマッフル炉中での、熱処理中に存在している。
【0070】
工程a)における表面未処理の親水性シリカ粉末を、該熱処理の適した温度および期間との組合せで使用するそのような動的な熱処理方法が、トナー組成物における使用に特に適した狭い粒子サイズ分布を有する小さな粒子の製造を可能にすることが驚くべきことに見出された。それに対して、該熱処理工程中に全く運動しない「静的な」熱処理は、はるかに大きい粒子サイズおよびはるかに幅広い粒子サイズ分布を有する焼結されたアグリゲートをもたらす。
【0071】
本発明の方法の工程a)は、適した任意の装置中で実施することができ、該シリカ粉末を、好ましくは該シリカを運動させながら、上記で特定された温度で特定された期間、維持することを可能にする。適した一部の装置は、流動床反応器および回転炉である。回転炉、特に1cm~2m、好ましくは5cm~1m、より好ましくは10cm~50cmの直径を有するものが、本発明の方法の工程a)において好ましくは使用される。
【0072】
該シリカは、好ましくは、少なくとも1cm/min、より好ましくは少なくとも10cm/min、より好ましくは少なくとも25cm/min、より好ましくは少なくとも50cm/minの運動速度で運動されている。好ましくは、該シリカは、この運動速度で該熱処理工程a)の全期間、運動されている。回転炉における運動速度は、この反応器タイプの周速度に相当する。流動床反応器における運動速度は、そのキャリアガス流量(流動化速度)に相当する。
【0073】
本発明の方法の工程a)を実施する前、実施中または実施した後に、本質的に水が添加されないことがさらに好ましい。このようにして、吸収された水の付加的な蒸発が回避され、かつより低い含水率を有する熱処理されたシリカを得ることができる。
【0074】
該熱処理工程a)は、ガス、例えば、空気または窒素等の流れ下で実施することができ、その際に、該ガスは好ましくは、本質的に水不含であるかまたは予備乾燥される。
【0075】
「本質的に水不含である」は、該ガスに関して、該ガスの湿度が、使用される条件、例えば温度および圧力下で、その湿度を超えない、すなわち蒸気または水蒸気が、該ガスに使用前に添加されないことを意味する。本発明の方法の工程a)において使用されるガスの含水率は、好ましくは5体積%未満、より好ましくは3体積%未満、より好ましくは1体積%未満、より好ましくは0.5体積%未満である。
【0076】
本発明による方法の工程b)は、10℃~250℃の温度で1分間~24時間、実施することができる。工程b)の時間および期間は、該方法および/または目標とされるシリカ特性に特有の要件に従って選択することができる。例えば、より低い処理温度は通常、より長い疎水化時間を必要とする。本発明の好ましい一実施態様において、前記の表面未処理の親水性シリカの疎水化は、10~80℃で3~24時間、好ましくは5~24時間、実施される。本発明の別の好ましい実施態様において、該方法の工程b)は、90~200℃で、好ましくは100~180℃で、最も好ましくは120~160℃で0.5~10時間、好ましくは1~8時間実施される。本発明による方法の工程b)は、0.1~10barの圧力下で、好ましくは0.5~8bar下で、より好ましくは1~7barで、最も好ましくは1.1~5bar下で実施することができる。最も好ましくは、工程b)は、閉じた系において使用される表面処理剤の自然蒸気圧下で該反応温度で実施される。
【0077】
本発明の方法の工程b)は、水の存在下で実施することができる。
【0078】
本発明の方法の工程b)における水の、該表面処理剤に対するモル比は、好ましくは0.1~100、より好ましくは0.5~50、より好ましくは1.0~10、より好ましくは1.2~9、より好ましくは1.5~8、より好ましくは2~7である。
【0079】
しかしながら、特に低い含水率を有する表面処理されたシリカを得るべき場合には、本発明の方法の工程b)を実施する前、実施中または実施した後に、本質的に水は好ましくは添加すべきではない。
【0080】
該表面処理剤および/または水は、本発明の方法において液体の形で好ましくは使用される。
【0081】
本発明の方法の工程b)において、工程a)における熱処理にかけられたシリカは、液体の表面処理剤でおよび任意に水で、任意の順序で、周囲温度(約25℃)で好ましくはスプレーされ、かつ該混合物は、引き続き、50℃~400℃の温度で1~6時間の期間にわたって熱処理される。
【0082】
工程b)における表面処理のための代替的な方法は、工程a)における熱処理にかけられたシリカを、最初に水で、ついで表面処理剤で、または最初に表面処理剤で、ついで水で、または水および表面処理剤との混合物で、処理し、ここで、水および/または表面処理剤は蒸気形であり、引き続き、該混合物を50℃~800℃の温度で0.5~6時間の期間にわたって熱により処理することによって実施することができる。
【0083】
さらに別の可能な表面処理方法は、適した表面処理剤を、前記の熱処理されたシリカを含む分散液、例えば水含有分散液に添加することを含む。該混合物は、撹拌しながら加熱することができ、かつ表面処理された生成物は、ついでろ過により分離することができる。
【0084】
工程b)における表面処理後の熱処理は、保護ガス、例えば、窒素等下で実施することができる。該表面処理は、スプレー装置を備えた加熱できるミキサーおよび乾燥機中で、連続的にまたはバッチ式のいずれかで実施することができる。適した装置は、例えば、プロシェアミキサーまたはプレート、サイクロン、または流動床乾燥機であってよい。
【0085】
使用される表面処理剤の量は、該粒子のタイプおよび適用される表面処理剤のタイプに依存する。しかしながら、通常、工程a)における熱処理にかけられるシリカの量に関連して該表面処理剤1重量%~25重量%、好ましくは2重量%~20重量%、より好ましくは5重量%~18重量%が使用される。
【0086】
任意に使用される水の量も、該粒子のタイプおよび適用される表面処理剤のタイプに依存する。しかしながら、通常、工程a)における熱処理にかけられるシリカの量に関連して、水0.5重量%~15重量%、好ましくは1重量%~12重量%、より好ましくは2重量%~10重量%が使用される。
【0087】
該表面処理剤および任意に該水の必要とされる量は、使用される表面未処理の親水性シリカのBET表面積に依存しうる。こうして、好ましくは、該表面処理剤におけるケイ素原子0.1μmol~100μmol、より好ましくは1μmol~50μmol、より好ましくは3.0μmol~20μmolおよび工程a)における熱処理にかけられる前記の表面未処理の親水性シリカのBET比表面積1m2あたり水0.1μmol~500μmol、より好ましくは1μmol~100μmol、より好ましくは10μmol~50μmolが使用される。
【0088】
本発明の方法の任意の工程c)において、工程a)における熱処理にかけられたシリカおよび/または工程b)において得られた表面処理されたシリカは破砕される。こうして、特に、緻密化された物体または粗大な粒子が、工程a)および/またはb)において使用されるかまたは得られる場合には、これらは、引き続き1または2つの工程c)において破砕されて、シリカ粉末を得ることができる。
【0089】
本発明の方法の任意の工程c)における破砕は、このために適した任意の機械によって、例えばミルにより、実現することができる。
【0090】
シリカ粉末が、双方の工程a)およびb)において使用されると共に得られる場合には、破砕は不要である。なお、この場合に得られるシリカは、さらに破砕されて、例えばミリングされて、よりいっそう小さなシリカ粒子を得ることができる。
【0091】
シリカを含む組成物
本発明の別の対象は、本発明のシリカを含む組成物、殊にトナー組成物である。
【0092】
本発明による組成物は、少なくとも1種の結合剤を含むことができ、該結合剤は、該組成物の個々の部分を互いにかつ任意に1種以上の充填剤および/または他の添加剤に接合し、こうして該組成物の機械的性質を改善することができる。そのような結合剤は、有機物質または無機物質を含有することができる。該結合剤は任意に、反応性有機物質を含有する。有機結合剤は、例えば、(メタ)アクリレート、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アラビアゴム、カゼイン、植物油、ポリウレタン、シリコーン樹脂、ワックス、セルロースグルーおよびそれらの混合物からなる群から選択することができる。そのような有機物質は、使用される組成物の硬化を、例えば該溶剤の蒸発、重合、架橋反応または別のタイプの物理的または化学的な変換により、もたらすことができる。そのような硬化は、例えば、熱によるかまたは紫外線または他の放射線の作用下で行うことができる。単一(1)成分(1-C)および多成分系、特に2成分系(2-C)の双方とも、結合剤として適用することができる。本発明に特に好ましいのは、水性のまたは水と混和性の(メタ)アクリレート系結合剤およびエポキシ樹脂(好ましくは2成分系として)である。
【0093】
該有機結合剤に加えてまたはその代替として、本発明の組成物は、無機の硬化性物質を含有することができる。そのような無機結合剤は、鉱物質結合剤とも呼ばれ、添加剤物質を互いに接合するという、該有機結合剤と本質的に同じ課題を有する。さらに、無機結合剤は、非水硬性結合剤と水硬性結合剤とに分けられる。非水硬性結合剤は、水溶性結合剤、例えばカルシウム石灰、ドロマイト石灰、セッコウおよび硬セッコウであり、これらは空気中でのみ硬化する。水硬性結合剤は、空気中および水の存在下で硬化し、かつ該硬化後に水に不溶である結合剤である。これらは、水硬性石灰、セメント、およびメーソンリーセメントを含む。異なる無機結合剤の混合物は、本発明の組成物において使用することもできる。
【0094】
該シリカおよび該結合剤とは別に、本発明による組成物は、付加的に、少なくとも1種の溶剤および/または充填剤および/または他の添加剤を含有することができる。
【0095】
本発明の組成物において使用される溶剤は、水、アルコール、脂肪族および芳香族の炭化水素、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択することができる。例えば、使用される溶剤は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、およびアセトンであってよい。特に好ましくは、該溶剤は、300℃未満、特に好ましくは200℃未満の沸点を有する。そのような比較的揮発性の溶剤は、本発明による組成物の硬化中に容易に蒸発または気化することができる。
【0096】
シリカの使用
本発明のシリカは、ペイントまたはコーティング、シリコーン、薬剤学的製剤または化粧用製剤、接着剤またはシーラント、トナー組成物の成分として、ならびに液体系(liquid system)のレオロジー特性を変更するため、沈降防止剤として、粉末の流動性を改善するため、およびシリコーン組成物の機械的性質または光学的性質を改善するために、使用することができる。
【0097】
本発明のシリカは、トナー組成物における使用に特に適している。
【0098】
本発明はさらに、本発明のシリカを含むトナー組成物を提供する。
【0099】
そのようなトナー組成物は通常、1μm~25μmの範囲内の平均サイズを有するトナー粒子を含む。本発明のヒュームドシリカは、該トナー組成物の0.01重量%~2.0重量%の範囲内で存在してよい。
【実施例0100】
分析方法
摩擦帯電量[単位:μC/g]
ノンコートフェライトキャリア50gおよび該ヒュームドシリカ0.1gを、75mLガラス容器中へ入れ、キャップでふたをし、TURBULA(登録商標)ミキサーを使用して5分間振とうした。引き続き、こうして製造された混合物0.1gを取り出し、窒素を1分間吹き込み、摩擦帯電量を、ブローオフ静電位計(Toshiba Chemicalからの型式TB-200)の使用により測定した。該測定を、25℃の温度および55%の相対湿度で実施した。
【0101】
メタノールぬれ性[単位:メタノール/水混合物中のメタノールの体積%]を、国際公開第2011/076518号、第5-6頁に詳細に記載された方法により決定した。
【0102】
炭素含有率[単位:wt%]を、EN ISO3262-20:2000(8章)に従い元素分析により決定した。分析される試料を、セラミックるつぼ中へ量り入れ、燃焼添加剤を供給し、誘導炉中で酸素流下で加熱した。存在する炭素は、CO2に酸化される。CO2ガスの量は、赤外検出器により定量される。
【0103】
BET表面積に対するシラノール基の数dSiOH[シラノール密度、単位:SiOH/nm2]を、欧州特許出願公開第0725037号明細書の第8頁第17行~第9頁第12行に詳細に記載されたように、シリカの予備乾燥された試料と、水素化アルミニウムリチウム溶液との反応により決定した。
【0104】
乾燥減量(LOD、単位:wt%)を、ASTM D280-01(A法)に従って決定した。
【0105】
BET比表面積[m2/g]を、DIN 9277:2014に従って、ブルナウアー-エメット-テラー法に従う窒素吸着により決定した。
【0106】
シリカの製造
例1~3
熱処理
ヒュームドシリカ粉末AEROSIL(登録商標) 90(BET=90m2/g、製造者:Evonik Resource Efficiency GmbH)を、ローラーコンパクター中で2kN/cmのプレス力で圧縮した。こうして得られた圧縮ロッドを、スクリーングラニュレーター中で破砕し、約320g/Lのタンプ密度を有する生じた破砕された破片を、回転炉中で400℃(例1)、700℃(例2)、または1000℃(例3)で熱処理にかけた。該回転炉における該シリカの平均滞留時間は、30~60分の範囲内であった。
【0107】
得られた粗大粒子を、ミリングして粉末を得て、この粉末を、引き続き疎水化に使用した。
【0108】
表面処理
熱処理工程後の親水性シリカ粉末(100g)を、反応器中へ入れた。水(1.0g)を、25℃で連続的に撹拌しながら添加し、続いてヘキサメチルジシラザン(HMDS)(10g)を該シリカ上にスプレーした。該撹拌を、窒素ガス雰囲気下で200℃で120分間続けた。この時間の後に、該シリカ粉末を、乾燥皿中へ入れ、かつ1cmまでの厚さの薄層で、窒素雰囲気中で乾燥器中で120℃で3h乾燥させて、全ての揮発分を蒸発させた。
【0109】
熱処理後の該親水性シリカの物理化学的性質は、第1表に示されている。対応する表面処理されたシリカ粉末の物理化学的性質は、第2表にまとめられ、かつ商業的に入手可能な製品Aerosil(登録商標) NX 90 GおよびAerosil(登録商標) NX 90 Sと比較され、これらは双方とも、親水性Aerosil(登録商標) 90を前駆物質として使用して製造され、かつHMDSで表面処理される(www.aerosil.comでオンラインで入手可能な製品パンフレット“AEROSIL(登録商標) Fumed Silica and AEROXIDE(登録商標) Oxides for Toner Technical Information TI 1222”に基づくデータ)。
【0110】
第1表からは、90m2/gのBET表面積を有するシリカの400~1000℃で30~60分間の熱処理が、約11~42%程度だけの該シラノール基含有率dSiOHの低下と同時に、熱処理されない出発材料(Aerosil(登録商標) 90)に比べて約4~6%のみだけの該BET表面積の低下をもたらしたことが分かる。
【0111】
第2表からは、熱処理され、かつHMDSで疎水化された試料(例1~3)が、対応する熱処理されておらず、かつ疎水化された試料(Aerosil(登録商標) NX 90 GおよびAerosil(登録商標) NX 90 S)について約-300μC/gの摩擦帯電量に比べて、-20~-70μC/gの範囲内の摩擦帯電量を有する材料を提供したことが分かる。その結果として、得られたシリカ材料の摩擦帯電量の、BET表面積の対する比は、0.25~0.96で、従来技術から公知の類似の材料、例えばAerosil(登録商標) NX 90 GおよびAerosil(登録商標) NX 90 Sについて報告されたものよりもはるかに低かった、第2表参照。
【0112】
【0113】
【0114】
本発明の好ましい実施態様は以下のとおりである:
1. 表面処理されたヒュームドシリカであって、
-500μC/g~+500μC/gの摩擦静電荷量;
-3.5μC/m2~+3.5μC/m2の、摩擦静電荷量の、BET表面積に対する比;
メタノール/水混合物中のメタノール少なくとも20体積%のメタノールぬれ性;
0.020wt%×g/m2以下の、炭素含有率の、BET表面積に対する比
を特徴とする、表面処理されたヒュームドシリカ。
2. 前記シリカがBET表面積が、30m2/g~500m2/gである、前記1.に記載のシリカ。
3. 前記シリカが、オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される表面処理剤を使用して、得られる、前記1.または2.に記載のシリカ。
4. 前記シリカの数値的なメジアン粒子サイズd50が、メタノール中の前記シリカの5重量%分散液の25℃での120秒の超音波処理後の静的光散乱により決定して、10μm未満である、前記1.~3.のいずれかに記載のシリカ。
5. 前記シリカの炭素含有率が、0.1重量%~5重量%である、前記1.~4.のいずれかに記載のシリカ。
6. 前記シリカが、ASTM D280-01のA法に従って決定される、0.4重量%未満の乾燥減量を有する、前記1.~5.のいずれかに記載のシリカ。
7. 前記シリカ粉末のタンプ密度が、250g/L以下である、前記1.~6.のいずれかに記載のシリカ。
8. 前記シリカが、二酸化ケイ素少なくとも50重量%を含む、シリカ系の混合酸化物、シリカ系のドープされた酸化物、またはその混合物である、前記1.~7.のいずれかに記載のシリカ。
9. 前記シリカの粒子サイズ分布のスパン(d90-d10)/d50が、3.0未満である、前記1.~8.のいずれかに記載のシリカ。
10. 前記シリカのメタノールぬれ性が、メタノール/水混合物中のメタノール30体積%~70体積%である、前記1.~9.のいずれかに記載のシリカ。
11. 前記1.~10.のいずれかに記載の表面処理されたヒュームドシリカを製造する方法であって、以下の工程:
a)BET表面積s1およびシラノール密度d1
SiOHを有する表面未処理の親水性ヒュームドシリカを、得られる熱処理されたシリカのシラノール基密度d2
SiOHが前記d1
SiOH値の少なくとも5%だけ低下され、かつ得られる熱処理されたシリカのBET表面積s2が前記s1値の30%以下だけ低下されるまで、300℃~1400℃の温度で熱処理にかける工程;
b)工程a)において得られた熱処理されたシリカを、オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤で表面処理する工程;
c)任意に、工程a)においておよび/または工程b)において得られたシリカを破砕する工程
を含む、前記方法。
12. 工程a)の期間が、2分~8時間である、前記11.に記載の方法。
13. 前記方法の工程a)が、回転炉中で実施される、前記11.または12.に記載の方法。
14. 前記1.~10.のいずれかに記載のシリカを含む、組成物、殊にトナー組成物。
15. ペイントまたはコーティング、シリコーン、薬剤学的製剤または化粧用製剤、接着剤またはシーラント、トナー組成物の成分として、ならびに液体系のレオロジー特性を変更するため、沈降防止剤として、粉末の流動性を改善するため、およびシリコーン組成物の機械的性質または光学的性質を改善するための、前記1.~10.のいずれかに記載のシリカの使用。