IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウェーバー フィーバーテック ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特開-車両のための仕切り壁 図1
  • 特開-車両のための仕切り壁 図2
  • 特開-車両のための仕切り壁 図3
  • 特開-車両のための仕切り壁 図4
  • 特開-車両のための仕切り壁 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123869
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】車両のための仕切り壁
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019387
(22)【出願日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】20 2021 100 719.2
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522055717
【氏名又は名称】ウェーバー フィーバーテック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Weber Fiberteck GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100093067
【弁理士】
【氏名又は名称】二瓶 正敬
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト シュテッツナー
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA04
3D022BC15
(57)【要約】
【課題】車両又は自動車、特に輸送車両のための仕切り壁、及びそのような仕切り壁を備える車両を提供する。
【解決手段】重なり領域(16)において垂直方向に重なり合い、それによりこの重なり領域(16)において管路(18)が形成されるように相対して配置されている仕切り壁上半分(12)と仕切り壁下半分(14)と、を備える、車両のための仕切り壁。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重なり領域(16、56、70、96)において垂直方向に重なり合い、それにより前記重なり領域(16、56、70、96)において管路(18、58、72、98)が形成されるように相対して配置されている仕切り壁上半分(12、52、92)と仕切り壁下半分(14、54、94)と、を備える車両のための仕切り壁。
【請求項2】
前記2つの仕切り壁半分(12、14、52、54、92、94)がプラスチックから製作されている、請求項1に記載の仕切り壁。
【請求項3】
前記管路(18、58、72、98)の前記領域に補強が設けられている、請求項1又は請求項2に記載の仕切り壁。
【請求項4】
前記補強がエンドレスファイババンド(26)により実現されている、請求項3に記載の仕切り壁。
【請求項5】
前記2つの仕切り壁半分(12、14、52、54、92、94)がねじ止めによって互いに接合されている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の仕切り壁。
【請求項6】
前記ねじ止めのために、金属ねじ用のプラスチック挿入物が挿入されている、請求項5に記載の仕切り壁。
【請求項7】
前記仕切り壁(10、50、90)に切欠き(22)が設けられている、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の仕切り壁。
【請求項8】
前記切欠き(22)に、透明材料からなる板片(24、100)が設置されている、請求項7に記載の仕切り壁。
【請求項9】
換気機能を果たすために、空隙(74)及び/又は通風路(76)が設けられている、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の仕切り壁。
【請求項10】
車両内部空間を有する車両であって、前記車両内部空間を2つの空間に分割するように設定されている請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の仕切り壁(10、50、90)が前記車両内部空間に設けられている、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両又は自動車、特に輸送車両のための仕切り壁、及びそのような仕切り壁を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を輸送するために企図された自動車は、仕切り壁によって運転室から仕切られる貨物室を有する。これらの仕切り壁は、人、特に運転者のための空間と輸送される物品のための空間が提供されるように車両内部空間を分割するように設定されている。
【0003】
仕切り壁については、良好な空間分割と同時に、高い可変性を可能にすることが追求される。特に、仕切り壁は、構造が複雑すぎたり重すぎたりすることなしに、貨物室と運転室との間の確実な仕切りを提供すべきである。
【0004】
乗用車及びトラックのための従来の仕切り壁は、通常、鋼から製作され、それにより比較的重く、音響の観点からすると最適ではない。その場合、仕切り壁は、貨物室からの物体に対して運転者を保護するために用いられ、貨物室からの分離を作成する。後方の視界を良くするために、仕切り壁は任意的に板片(Scheibe)を含む。この種の仕切り壁は、典型的にはワンピースに形成されている。
【0005】
西独国実用新案公開第8326707号明細書は、座席構造物と一体の仕切り壁を記載し、下部が座席として形成され、上部が比較的平らな壁部分の形態の背もたれとして形成されている。
【0006】
さらに、補強用の鋼製支柱を有するプラスチック仕切り壁もある。これらのプラスチック仕切り壁はより良い音響挙動を示す。しかし、これらの仕切り壁は、鋼製支柱を使用することにより非常に重く、これに加えて、大抵の場合、板片なしで形成されている。板片が存在する場合、板片は、その弾性材料にもとづいて、板片を保護するための格子を有する。
【0007】
欧州特許出願公開第1650086号明細書は、仕切り壁によって互いに分離される貨物室と運転室とを有する自動車を記載する。仕切り壁は、ヒンジを介して旋回可能に互いに接続される2つの面を有する。したがって、この仕切り壁は、垂直方向に分割され、すなわち仕切り壁は、垂直方向に分離される2つの部分又は面を備えている。したがって、2つの面は、垂直方向に延びる線によって互いに分離され、仕切り壁の右半分と左半分を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】西独国実用新案公開第8326707号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1650086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上を背景として、請求項1の特徴を有する仕切り壁、及び請求項10に記載の車両が提示される。実施形態は、従属請求項及び以下の記載から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
提示される仕切り壁は、車両又は自動車、特に貨物車両又は輸送車両の内部空間で使用するように設定されている。仕切り壁は、仕切り壁上半分又は仕切り壁上部と、仕切り壁下半分又は仕切り壁下部とを備えている。2つの仕切り壁半分は、これらが重なり領域において垂直方向に重なり合い、それによりこの重なり領域において管路が形成されるように相対して配置される、又は接合されるか、若しくは組み立てられる。
【0011】
上及び下という表現は、車両において組み立てられた状態で、仕切り壁上半分が、重なり領域を除いて仕切り壁下半分の上方に配置されていることを指す。その場合、2つの仕切り壁半分は、これらが、2つの空間の間、典型的には車両乗員室と貨物室又は輸送室との間の確実な仕切りを可能にする安定した仕切り壁をなすように互いに接続されている。したがって、仕切り壁は水平方向に分割され、すなわち仕切り壁上半分と仕切り壁下半分との間の移行領域に沿って伸びる線が実質的に水平方向に延びる。
【0012】
重なり領域は、2つの仕切り壁半分が垂直方向に重なり合う領域である。この種の重なり合いは、2つの仕切り壁半分のうちの少なくとも1つに特殊な形状を付与することによって、及び/又は2つの仕切り壁半分を車両の長手方向にずらして配置することによって達成される。この重なり領域は、例えば矩形状の横断面を有する管路ができるように形成されている。この管路は、仕切り壁の補強をなし、例えば金属などの特に安定した重い材料を使用する必要なしに、十分に安定した仕切り壁を提供することを可能にする。
【0013】
一実施形態では、2つの仕切り壁半分はプラスチックから製作されている。このために、例えば繊維強化プラスチックが考えられる。したがって、仕切り壁を軽い材料から製作することができ、このことはまた最大積載量も増やす。
【0014】
管路の領域には補強材、例えばエンドレスファイババンドを設けることができる。この場合、LFT材料(LFT:長繊維強化熱可塑性プラスチック)も使用することができる。
【0015】
2つの仕切り壁半分は、確実に互いに接続されなければならない。このために、例えばねじ止めが考えられる。
【0016】
仕切り壁に切欠きを設けることができる。切欠きは、典型的には仕切り壁上半分に設けられていて、車両乗員室内の人が、場合によっては、輸送される物品の位置がずれていないかどうかを点検するために後方の輸送室を見ることができることを可能にする。
【0017】
切欠きには、例えば透明材料からなる格子又は板片を設置することができる。
【0018】
さらに、換気機能を果たすために空隙及び/又は通風路を設けることができる。
【0019】
さらに、車両内部空間に本明細書中に記載される種類の仕切り壁が設けられている車両内部空間を有する車両、特に自動車が提示される。この仕切り壁は、車両内部空間を2つの空間に分割又は細分化するように設定されている。
【0020】
上記の車両は、その内部空間に本明細書中に記載される種類の仕切り壁を有する。このようにして、車両の内部空間が、完全に互いに仕切ることができる2つの空間に細分化される。2つの空間は、典型的には運転室及び貨物室である。
【0021】
提示される仕切り壁をもってすれば、仕切り壁がより軽量になる一方で、より良好な音響挙動を示すことが達成される。これに加えて、プラスチックで製作することは、生産がより経済的で持続可能である。リブ列の取付けは、比較的容易に実現でき、設計自由度が増す。
【0022】
これによって、他の仕切り壁とは異なり、支持するための鋼製支柱を省略できるということが実現される。この場合、仕切り壁は、水平方向に分けられ、すなわち2つの部分又は半分の間の分離が実質的に水平方向に延び、このことが車両への組付けを容易にする。したがって、下部と上部がある。上部と下部とは重なり合い、それにより管路を形成する。管路は、比較的大きい慣性モーメントを生成し、仕切り壁の変形を少なくする一方で、剛性を高める。
【0023】
この管路をさらに補強するために、エンドレスファイババンドを挿入することができる。
【0024】
プラスチックにとって適切なねじ止めによって2つの部分を接合することができる。この場合、直接ねじ止めするか、又は金属ねじ用のプラスチック挿入物を挿入することができる。
【0025】
仕切り壁に板片が設けられる場合、これを格子なしに形成することができる。このことは、より剛性の高い長繊維材料又はLFT材料を使用することにより実現することができる。それにより、板片はそれほど大きく変形し得ない。
【0026】
これに加えて、車両における圧力補償を提供するために、仕切り壁は、空隙又は通風路により提供される換気機能を果たすことができる。
【0027】
本発明の他の利点及び実施形態は、以下の記載及び添付の図面から明らかになる。
【0028】
当然のことながら、上記の、及び以下にさらに説明される特徴は、それぞれ記載された組合せだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなしに他の組合せ、又は単独でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】仕切り壁の一実施形態の平面図及び側面図である。
図2】仕切り壁の一実施形態の側面図及びこの図からの部分図である。
図3】仕切り壁の一実施形態の詳細図である。
図4】仕切り壁の一実施形態の別の詳細図である。
図5】仕切り壁の一実施形態の一部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を、実施形態をもとにして図面に模式的に示し、図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【0031】
図1は、全体が参照符号10で示される仕切り壁の一実施形態を示す。その場合、この仕切り壁10は、左側に平面図で示され、右側に側面図で示されている。
【0032】
仕切り壁10は、重なり領域16が形成されるように相対して配置される仕切り壁上半分12と仕切り壁下半分14とを備える。この重なり領域16は、右側に見えるように、管路18として形成されている。これに加えて、側面図は、2つの仕切り壁半分12及び14が互いにわずかにずらして配置されていることを明確に示す。さらに、仕切り壁下半分14は、その上領域に、水平方向に一貫した2つのウェブ20を有する特殊な形状を有し、2つのウェブは、仕切り壁上半分12の下領域と一緒に管路18を形成又は規定する。
【0033】
これに加えて、仕切り壁上半分12が切欠き22を有し、この切欠きに透明材料からなる板片24が設置されている。このために、例えばガラス又はプラスチックが考えられる。
【0034】
さらに、管路18において、エンドレスファイババンド26が2つのウェブ20の間で仕切り壁下半分14に取り付けられ、エンドレスファイババンドは、管路18、したがって仕切り壁10全体の追加的補強を提供する。
【0035】
図2は、左側に、全体が参照符号50で示される仕切り壁の一実施形態を側面図で示す。この仕切り壁50は、仕切り壁上半分52と仕切り壁下半分54とを備える。2つの仕切り壁半分52、54の間の移行領域には、図2の右側に拡大して示される重なり領域56が形成されている。
【0036】
重なり領域56は、この場合、水平方向に延びる2つのチャンバ60を有する管路58として形成されている。重なり領域56の特殊な形状付与は、仕切り壁50の補強を提供し、高い安定性を保証する。
【0037】
図3は、参照符号70で示される仕切り壁の重なり領域を示す。重なり領域は管路72として形成されている。管路72は完全には閉じられず、管路は、空隙74及び通風路76を設けて形成されていることが見て取れる。これらの空隙74及び通風路76によって管路72の安定性が損なわれることはない。しかしこれらによって換気機能を果たすことができる。
【0038】
図4は、図3の図と類似であり、単に側面から見た、及び上部のない図を示す。
【0039】
図5は、全体が参照符号90で示される仕切り壁の左部分を示す。この仕切り壁90は、仕切り壁上半分92と仕切り壁下半分94とを備え、これらの仕切り壁半分は、管路98として形作られる重なり領域96が形成されるように相対して配置され、互いに接続されている。この管路98は、補強のために用いられる。これに加えて、この管路98に電気線、例えば信号線を通すことが企図され得る。
【0040】
さらに、図示は、仕切り壁上半分92に設けられている板片100を示す。
図1
図2
図3
図4
図5