(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123886
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20220817BHJP
H04L 61/2514 20220101ALI20220817BHJP
H04L 47/22 20220101ALI20220817BHJP
H04L 47/24 20220101ALI20220817BHJP
【FI】
H04L12/44 300
H04L61/2514
H04L47/22
H04L47/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039167
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2021021115の分割
【原出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】514257723
【氏名又は名称】アルテリア・ネットワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】武井 将
【テーマコード(参考)】
5K030
5K033
【Fターム(参考)】
5K030HA08
5K030HC01
5K030HC20
5K030HD03
5K030HD09
5K030JA02
5K030LA03
5K030LC02
5K033BA01
5K033CB06
5K033CB09
5K033CB17
5K033DA06
5K033DA16
5K033DB18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易な構成によって、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)の通信回線網において集合住宅の住居毎に通信帯域を制御するシステム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】通信帯域制御システム100は、集合住宅A200の住居毎のプライベートアドレスを含む所定の情報を集合住宅A200において中継するマンションルータ210と、ISPの通信回線網において中継するセンタールータ110と、の間に仮想直結回線を設定する設定装置180と、通信回線網において取得した所定の情報に含まれるプライベートアドレスに基づいて通信帯域を制御するように、ISPの通信回線網における通信経路を設定するポリシールータ130と、ISPの通信回線網とインターネットとの間に設けられ、プライベートアドレスをグローバルアドレスに変換するアドレス変換装置170と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅内の独立した住居それぞれで通信される、前記住居ごとのプライベートアドレ
スを含む所定の情報を、少なくとも一つの前記集合住宅において中継する第1ルータと、
前記所定の情報をインターネット・サービス・プロバイダーの通信回線網において中継す
る第2ルータと、の間に前記所定の情報を通過させる仮想的に直結された回線を設定する
回線設定部と、
前記通信回線網において前記所定の情報を取得する取得部と、
前記所定の情報に含まれる前記プライベートアドレスに基づいて、前記所定の情報に対
する通信帯域を制御するように、前記所定の情報の前記通信回線網における通信経路を設
定する第1経路設定部と、
前記インターネット・サービス・プロバイダーの前記通信回線網とインターネットとの
間に設けられる、前記プライベートアドレスをグローバルアドレスに変換する変換部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記第1経路設定部は、前記プライベートアドレスと優先制御の対象か否かを示す情報
とが対応付けられるデータベースに基づいて、前記プライベートアドレスに前記優先制御
が設定されている場合、前記通信帯域が制限を受けない前記通信経路を設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プライベートアドレスに前記優先制御が設定されている場合、前記プライベートア
ドレスと前記優先制御の対象となるアプリケーションを示す情報とが対応付けられるデー
タベースと、前記所定の情報に含まれるアプリケーションに関する情報と、に基づいて、
前記所定の情報が前記優先制御の対象となるアプリケーションに関する情報を含む場合、
前記通信帯域が制限を受けない前記通信経路を設定する第2経路設定部をさらに備える、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第2経路設定部は、前記プライベートアドレスに前記優先制御が設定されている場
合、前記プライベートアドレスと前記優先制御の対象となるアプリケーションを示す情報
とが対応付けられるデータベースと、前記所定の情報に含まれるアプリケーションに関す
る情報と、に基づいて、前記所定の情報が前記優先制御の対象となるアプリケーションに
関する情報を含まない場合、前記通信帯域が制限を受ける前記通信経路を設定する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
コンピュータが、
集合住宅内の独立した住居それぞれで通信される、前記住居ごとのプライベートアドレ
スを含む所定の情報を、少なくとも一つの前記集合住宅において中継する第1ルータと、
前記所定の情報をインターネット・サービス・プロバイダーの通信回線網において中継す
る第2ルータと、の間に前記所定の情報を通過させる仮想的に直結された回線を設定する
ことと、
前記通信回線網において前記所定の情報を取得することと、
前記所定の情報に含まれる前記プライベートアドレスに基づいて、前記所定の情報に対
する通信帯域を制御するように、前記所定の情報の前記通信回線網における通信経路を設
定することと、
前記インターネット・サービス・プロバイダーの前記通信回線網とインターネットとの
間に設けられる、前記プライベートアドレスをグローバルアドレスに変換することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
集合住宅内の独立した住居それぞれで通信される、前記住居ごとのプライベートアドレ
スを含む所定の情報を、少なくとも一つの前記集合住宅において中継する第1ルータと、
前記所定の情報をインターネット・サービス・プロバイダーの通信回線網において中継す
る第2ルータと、の間に前記所定の情報を通過させる仮想的に直結された回線を設定する
ことと、
前記通信回線網において前記所定の情報を取得することと、
前記所定の情報に含まれる前記プライベートアドレスに基づいて、前記所定の情報に対
する通信帯域を制御するように、前記所定の情報の前記通信回線網における通信経路を設
定することと、
前記インターネット・サービス・プロバイダーの前記通信回線網とインターネットとの
間に設けられる、前記プライベートアドレスをグローバルアドレスに変換することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅における複数の住戸の端末にインターネットを利用させる通信システムであっ
て、大量のセッションを使用する住戸の端末のインターネット通信を自動的に遮断する通
信システムが開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の通信システムは、マンションの全住戸におけるMACアドレスが割
り当てられた各パソコンが、マンションのルータを通じてインターネットを利用可能に構
成される状況において、各パソコンがインターネットで使用中のセッション数の監視を行
う。当該通信システムは、マンションの住戸のパソコンのうち、MACアドレスに基づき
、大量のセッションを使用するパソコンに対して、インターネットを使用不可にする。こ
のように、当該通信システムでは、大量のセッションを使用するパソコンのインターネッ
ト利用を迅速かつ確実に遮断することができる。これにより、当該通信システムは、健全
にインターネットを使用している住戸の利用者が受ける利用制限を解消することができる
。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の通信システムでは、各マンションのルータごとにM
ACアドレスに基づき通信制御を行っているため、複数のマンションを一括して、住戸ご
とのプライベートアドレスに基づき通信制御を行うことはできない。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するために、簡易なシステム構成によって、イン
ターネット・サービス・プロバイダーの通信回線網において集合住宅の住居ごとに通信帯
域を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、集合住宅内の独立した住居それぞれで通信
される、前記住居ごとのプライベートアドレスを含む所定の情報を、少なくとも一つの前
記集合住宅において中継する第1ルータと、前記所定の情報をインターネット・サービス
・プロバイダーの通信回線網において中継する第2ルータと、の間に前記所定の情報を通
過させる仮想的に直結された回線を設定する回線設定部と、前記通信回線網において前記
所定の情報を取得する取得部と、前記所定の情報に含まれる前記プライベートアドレスに
基づいて、前記所定の情報に対する通信帯域を制御するように、前記所定の情報の前記通
信回線網における通信経路を設定する第1経路設定部と、前記インターネット・サービス
・プロバイダーの前記通信回線網とインターネットとの間に設けられる、前記プライベー
トアドレスをグローバルアドレスに変換する変換部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、集合住宅内の独立した住居そ
れぞれで通信される、前記住居ごとのプライベートアドレスを含む所定の情報を、少なく
とも一つの前記集合住宅において中継する第1ルータと、前記所定の情報をインターネッ
ト・サービス・プロバイダーの通信回線網において中継する第2ルータと、の間に前記所
定の情報を通過させる仮想的に直結された回線を設定することと、前記通信回線網におい
て前記所定の情報を取得することと、前記所定の情報に含まれる前記プライベートアドレ
スに基づいて、前記所定の情報に対する通信帯域を制御するように、前記所定の情報の前
記通信回線網における通信経路を設定することと、前記インターネット・サービス・プロ
バイダーの前記通信回線網とインターネットとの間に設けられる、前記プライベートアド
レスをグローバルアドレスに変換することと、を実行する。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、集合住宅内の独立した住居それ
ぞれで通信される、前記住居ごとのプライベートアドレスを含む所定の情報を、少なくと
も一つの前記集合住宅において中継する第1ルータと、前記所定の情報をインターネット
・サービス・プロバイダーの通信回線網において中継する第2ルータと、の間に前記所定
の情報を通過させる仮想的に直結された回線を設定することと、前記通信回線網において
前記所定の情報を取得することと、前記所定の情報に含まれる前記プライベートアドレス
に基づいて、前記所定の情報に対する通信帯域を制御するように、前記所定の情報の前記
通信回線網における通信経路を設定することと、前記インターネット・サービス・プロバ
イダーの前記通信回線網とインターネットとの間に設けられる、前記プライベートアドレ
スをグローバルアドレスに変換することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易なシステム構成によって、インターネット・サービス・プロバイ
ダーの通信回線網において集合住宅の住居ごとに通信帯域を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る帯域制御システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る帯域制御システムを含むシステムの構成の一例を示す図である。
【
図3】ポリシーベースルータの構成の一例を示す図である。
【
図4】ポリシーベースルータの振分テーブルの一例を示す図である。
【
図5】トラフィック制御ルータの構成の一例を示す図である。
【
図6】トラフィック制御ルータの通信帯域テーブルの一例を示す図である。
【
図8】判定装置の振分テーブルの一例を示す図である。
【
図9】帯域制御システムの情報処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】他の実施形態に係る判定装置の振分テーブルの一例を示す図である。
【
図11】他の実施形態に係る帯域制御システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態におけるテスト自動化システム10について、図面を参照
して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下
に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本発明は、その
趣旨を逸脱しない範囲で種々変形し、または各実施例を組み合わせるなどして実施するこ
とができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類
似の符号を付して表している。
【0013】
===帯域制御システム100の概要===
図1を参照して、本実施形態に係る帯域制御システム100の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る帯域制御システム100の概要を示す図である。帯域制御シス
テム100は、インターネット・サービス・プロバイダーの通信回線網(以下、「ISP
通信回線網」という)において、集合住宅200の各住居230との間で通信されるデー
タの通信帯域を制御するシステムである。ここで、「通信帯域」とは、例えば各住居23
0からインターネットにアクセス可能な通信量をいう。以下、便宜上、一例として、住居
からデータがインターネット側にアップロードされる処理について説明するが、インター
ネットからデータが住居側にダウンロードされる処理も同様であるとして、その説明を省
略する。
【0014】
図1に示すように、帯域制御システム100は、例えば、集合住宅200(例えば、集
合住宅A~集合住宅C)の各住居230(例えば、101室~103室)のプライベート
アドレスを含むデータ(以下、「個別データ」という)を、マンションルータ210を通
じてセンタールータ110で受信する。なお、帯域制御システム100は、予め、マンシ
ョンルータ210とセンタールータ110との間に、個別データを通過させる仮想的に直
結された回線N(以下、「仮想直結回線N」という)を設定している。
【0015】
帯域制御システム100は、個別データに含まれるプライベートアドレス(以下、「個
別データのプライベートアドレス」という)に基づき、当該プライベートアドレスに通信
帯域の制限を受けないという登録がされているか否かを判定する。帯域制御システム10
0は、個別データのプライベートアドレスに通信帯域の制限を受けないという設定がされ
ているか否かの判定の結果に応じて、個別データが出力される通信経路を切り替える。こ
こで、帯域制御システム100は、個別データのプライベートアドレスに通信帯域の制限
を受けないという設定がされている場合、個別データにおけるアプリケーションの種別に
関する情報(以下、「個別アプリ情報」という)が、所定のアプリケーションの種別に関
する情報(以下、「優先アプリ情報」という)と一致するか否かを判定する。帯域制御シ
ステム100は、優先アプリ情報と一致すると判定した場合、個別データに対して通信帯
域の制限をかけないように通信経路を切り替える。その後、帯域制御システム100は、
各住居230に紐づくプライベートアドレスをグローバルアドレスに変換する。
【0016】
すなわち、帯域制御システム100は、ISP通信回線網でキャリアグレードナットを
実行するよう構成することで、ISP通信回線網において各住居230のプライベートア
ドレスに基づき、個別データに対する通信帯域の制御を行うことができる。これにより、
帯域制御システム100は、簡易なシステム構成によって、個別データに対する通信帯域
の制御を行うことができる。
【0017】
なお、「通信帯域の制御」とは、例えば、所定の住居230で通信されるデータに対し
て、通信帯域に制限をかけない制御、他の住居230で通信されるデータと比較して広い
通信帯域を設定する制御、又は他の住居230で通信されるデータと同様の通信帯域の制
限をかける制御などであってもよい。
【0018】
また、「仮想直結回線N」とは、任意のプロトコルのパケットをカプセル化して伝送す
る技術を用いた回線であり、例えばGRE(Generic Routing Encapsulation)、IPs
ec(Security Architecture for Internet Protocol)、又はIPIPトンネリングな
どである。
【0019】
===帯域制御システム100の構成===
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る帯域制御システム100の構成について説明
する。
図2は、本実施形態に係る帯域制御システム100を含むシステムの構成の一例を
示す図である。なお、以下、便宜上、帯域制御システム100において、住居230から
インターネット側に個別データをアップロードする処理について説明するが、インターネ
ット側から住居230に個別データをダウンロードする処理についても同様であるため、
その説明を省略する。
【0020】
図2に示すように、帯域制御システム100は、例えば、センタールータ110と、ル
ートリフレクタ120と、ポリシーベースルータ130と、ポリシーベースルータ140
と、トラフィック制御ルータ150と、判定装置160と、アドレス変換装置170と、
設定装置180とを含む。
【0021】
センタールータ110は、例えば、集合住宅200のマンションルータ210との間で
、個別データをISP通信回線網において中継する装置である。センタールータ110は
、例えば仮想回線通信部(不図示)を有する。仮想回線通信部は、マンションルータ21
0との間で仮想直結回線Nによって通信する。すなわち、センタールータ110は、マン
ションルータ210の仮想回線通信部(不図示)との間で、予め確立している例えばIP
トンネルを通じて、個別データをカプセル化したIPパケットを通信する。
【0022】
ルートリフレクタ120は、例えば、マンションルータ210とセンタールータ110
との間の経路情報や設定情報を、マンションルータ210およびセンタールータ110に
配信する装置である。
【0023】
ポリシーベースルータ130は、例えば、センタールータ110から個別データを取得
し、ポリシーベースルーティングを行う装置である。ポリシーベースルータ130は、個
別データのプライベートアドレスに基づき、個別データを出力する通信経路を設定する。
具体的には、ポリシーベースルータ130は、例えば、個別データのプライベートアドレ
スと、通信帯域を制限しない制御(以下、「優先制御」という)の対象か否かを示す情報
とが対応付けられるデータベースに基づき、アップロードする個別データを出力する通信
経路を設定する。これにより、ISP通信回線網において集合住宅200の各住居230
のプライベートアドレスに基づき通信帯域を制御できるため、簡易なシステム構成により
効率よく通信帯域を制限できる。ポリシーベースルータ130の構成については後述する
。
【0024】
ポリシーベースルータ140は、例えば、アドレス変換装置170から個別データを取
得し、ポリシーベースルーティングを行う装置である。ポリシーベースルータ140は、
個別データのプライベートアドレスに基づき、個別データを出力する通信経路を設定する
。具体的には、ポリシーベースルータ140は、例えば、個別データのプライベートアド
レスと優先制御の対象か否かを示す情報とが対応付けられるデータベースに基づき、ダウ
ンロードする個別データを出力する通信経路を設定する。
【0025】
なお、「通信経路」とは、例えば、個別データをポリシーベースルータ130,140
からトラフィック制御ルータ150に出力する通信経路(以下、「制限経路」という)、
及び個別データをポリシーベースルータ130,140から判定装置160に出力する通
信経路(以下、「判定経路」という)をいう。
【0026】
トラフィック制御ルータ150は、例えば、個別データのプライベートアドレスに基づ
き、集合住宅200ごとに個別データの通信帯域に制限をかける装置である。具体的には
、トラフィック制御ルータ150は、例えば、集合住宅200ごとの全ての個別データの
通信帯域に基づき、集合住宅200ごとに優先度を付与する。トラフィック制御ルータ1
50は、例えば、付与した優先度に基づき、個別データの通信帯域に制限をかける。すな
わち、ポリシーベースルータ130,140で個別データの通信経路を制限経路に設定さ
れた場合、個別データは通信帯域の制限を受ける。これにより、優先制御の対象に対して
通信帯域に優位性を持たせることができるため、ユーザに対して優先制御への申込みを促
すことができる。トラフィック制御ルータ150の構成については後述する。
【0027】
判定装置160は、例えば、個別データの通信帯域を制限するか否かを判定する装置で
ある。具体的には、判定装置160は、例えば、個別データに含まれる個別アプリ情報に
基づき、個別データの通信帯域を制限するか否かを判定する。これにより、ユーザが所望
するアプリケーションについてのみ優先制御を実現できるため、ユーザに対して優先制御
への申込みを促すことができる。判定装置160の構成については後述する。
【0028】
アドレス変換装置170は、例えば、IPS通信回線網とインターネットとの間に設け
られ、プライベートアドレスをグローバルアドレスに変換する装置である。具体的には、
アドレス変換装置170は、例えば、集合住宅200から送信される個別データをキャリ
アグレードナットで一括してアドレス変換する。アドレス変換装置170は、例えば、住
居230からインターネットへアップロードする個別データをポリシーベースルータ14
0から受信してインターネット側に送信する。また、アドレス変換装置170は、例えば
、インターネットから住居230にダウンロードする個別データをインターネット側から
受信してポリシーベースルータ140に送信する。このようにISP通信回線網において
キャリアグレードナットでアドレス変換することで、ISP通信回線網においてプライベ
ートアドレスに基づき住居230ごとの通信帯域の制御が可能になるとともに、帯域制御
システム100のシステム構成を簡易にできる。
【0029】
設定装置180は、例えば帯域制御システム100を構成する各種装置を設定する装置
である。設定装置180は、例えば、センタールータ110およびマンションルータ21
0に対して、仮想直結回線Nを構築するための情報を配信する。また、設定装置180は
、例えば、各住居230の通信制限に関する申込内容を示す申込情報を取得する。申込情
報には、例えば、住居230に紐づくプライベートアドレスおよび優先制御に関する情報
が含まれる。設定装置180は、例えば、プライベートアドレスおよび優先制御に関する
情報をポリシーベースルータ130およびポリシーベースルータ140に配信する。また
、設定装置180は、例えば、優先制御に関する情報に含まれるアプリケーションに関す
る情報を判定装置160に送信する。これにより、ポリシーベースルータ130、ポリシ
ーベースルータ140、及び判定装置160は、設定装置から送信される情報に基づき記
憶部161の各種テーブルを簡易に更新できる。
【0030】
<<ポリシーベースルータ130,140>>
図3を参照して、ポリシーベースルータ130,140の構成について説明する。
図3
は、ポリシーベースルータ130の構成の一例を示す図である。なお、ポリシーベースル
ータ140の構成は、ポリシーベースルータ130の構成と同様であるため、その説明を
省略する。
【0031】
図3に示すように、ポリシーベースルータ130は、例えば、記憶部131と、通信部
132と、経路設定部133と、経路切替部134とを含む。
【0032】
記憶部131は、例えば振分テーブル131aを格納する。
図4を参照して、振分テー
ブル131aについて説明する。
図4は、ポリシーベースルータ130の振分テーブル1
31aの一例を示す図である。
図4に示すように、振分テーブル131aは、例えば、「
プライベートアドレス」の項目に、「優先制御」および「経路」の項目が対応付けられる
。「プライベートアドレス」の項目は、例えば、各住居230のプライベートアドレスに
関する情報を含む。「優先制御」の項目は、例えば、対応するプライベートアドレスが優
先制御の対象であるか否かに関する情報を含む。例えば、「優先制御」の項目には、優先
制御の対象に「対象」と入力され、優先制御の対象でないものに「非対象」と入力されて
もよい。「経路」の項目は、例えば、個別データを出力する通信経路(ここでは、制限経
路または判定経路)に関する情報を含む。
【0033】
通信部132は、例えば、センタールータ110、トラフィック制御ルータ150、及
び判定装置160との間で、個別データを送受信する。
【0034】
経路設定部133は、個別データが出力される通信経路を設定する。具体的には、経路
設定部133は、振分テーブル131aを参照して、個別データのプライベートアドレス
に対応する通信経路を特定する。経路設定部133は、例えば、特定された通信経路(例
えば、制限経路または判定経路)に関する情報を個別データに付加して、経路切替部13
4に出力する。
【0035】
経路切替部134は、経路設定部133から出力される通信経路に関する情報に基づき
、個別データの出力先を切り替える。具体的には、経路切替部134は、例えば、通信経
路に関する情報が「制限経路」を示す情報である場合、通信部132からトラフィック制
御ルータ150に個別データが出力されるよう、通信部132の出力先を切り替える。ま
た、経路切替部134は、例えば、通信経路に関する情報が「判定経路」を示す情報であ
る場合、通信部132から判定装置160に個別データが出力されるよう、通信部132
の出力先を切り替える。
【0036】
これにより、帯域制御システム100は、各集合住宅200に対して優先度の低い通信
帯域が生じても、集合住宅200の住居230の居住者が優先制御を設定されている場合
、優先度に関係なく、当該住居230に対して所望の通信帯域を利用させることができる
。
【0037】
<<トラフィック制御ルータ150>>
図5を参照して、トラフィック制御ルータ150の構成について説明する。
図5は、ト
ラフィック制御ルータ150の構成の一例を示す図である。
【0038】
図5に示すように、トラフィック制御ルータ150は、例えば、記憶部151と、通信
部152と、帯域演算部153と、帯域制御部154とを含む。
【0039】
記憶部151は、例えば通信帯域テーブル151aを格納する。
図6を参照して、通信
帯域テーブル151aについて説明する。
図6は、トラフィック制御ルータ150の通信
帯域テーブル151aの一例を示す図である。
図6に示すように、通信帯域テーブル15
1aは、例えば、「集合住宅」の項目に、「住居アドレス」および「最低補償帯域」の項
目が対応付けられる。「集合住宅」の項目は、例えば集合住宅を識別する識別符号を含む
。「住居アドレス」の項目は、例えば各住居230のプライベートアドレスに関する情報
を含む。「最低補償帯域」の項目は、例えば、集合住宅200ごとの最低補償帯域に関す
る情報を含む。ここで、「最低補償帯域」とは、集合住宅200ごとに設定される、制限
がかからない通信帯域である。最低補償帯域は、例えば、住居ごとの通信の品質基準(例
えば、500kbps)に0.5をかけた値に、集合住宅を構成する住居の個数(例えば
、100戸)をかけた値(例えば、25Mbps)である。
【0040】
通信部152は、例えば、ポリシーベースルータ130、ポリシーベースルータ140
、及び判定装置160との間で、個別データを送受信する。
【0041】
帯域演算部153は、例えば集合住宅200ごとに優先度の低い通信帯域を演算する。
ここでは、一例として、帯域演算部153が、住居230が100戸で構成される、集合
住宅A、集合住宅B、及び集合住宅Cそれぞれに対して、優先度の低い通信帯域を演算す
ることとして説明する。なお、一例として、品質基準を500kbpsとし、最低補償帯
域を25Mbpsとして説明する。また、一例として、集合住宅Aの全住居230で使用
中の通信帯域を125Mbps、集合住宅Bの全住居230で使用中の通信帯域を125
Mbps、集合住宅Cの全住居230で使用中の通信帯域を325Mbpsとする。
【0042】
帯域演算部153は、集合住宅200ごとで使用されている通信帯域のうち優先度の低
い通信帯域を、集合住宅200ごとの通信帯域から最低補償帯域を減算して算出する。こ
こで、帯域演算部153は、集合住宅Aを100Mbps、集合住宅Bを100Mbps
、集合住宅Cを300Mbpsとして算出する。そして、帯域演算部153は、最大使用
帯域を算出する。帯域演算部153は、最大使用帯域につき、集合住宅A~集合住宅Cに
おいて、例えば(((品質基準500kbps×100戸)-最低補償帯域25Mbps
)×3棟)で75Mbpsとして算出する。次に、帯域演算部153は、集合住宅A~集
合住宅Cそれぞれで使用されている通信帯域のうち優先度の低い通信帯域の比率(集合住
宅A:集合住宅B:集合住宅C=100:100:300)に応じて、集合住宅A~集合
住宅Cそれぞれに最大使用帯域を割り当てる。帯域演算部153は、集合住宅Aに対して
15Mbps、集合住宅Bに対して15Mbps、集合住宅Cに対して45Mbpsを、
通信回線網の輻輳時に優先度が低い通信帯域(例えば、最低補償帯域内のトラフィックが
送信されてから送信される通信帯域)に割り当てる。
【0043】
なお、上記において、最低補償帯域は通信の品質基準(ここでは、500kbps)に
0.5をかけた値に基づき算出される値であるとして説明したが、これに限定されない。
例えば、最低補償帯域は、通信の品質基準(例えば、500kbps)に、集合住宅を構
成する住居の個数(例えば、100戸)をかけた値(例えば、50Mbps)であっても
よい。この場合、帯域演算部153は、例えば、この最低保証帯域を超えた集合物権A~
Cの個別データ(トラフィック)を、通信回線網の輻輳時に優先度の低い通信帯域(例え
ば、テールドロップの対象となる通信帯域)に割り当てる。
【0044】
帯域制御部154は、例えば帯域演算部153で演算された結果に基づき集合住宅20
0それぞれの通信帯域を制御する。具体的には、一例として、帯域制御部154は、例え
ば、最低補償帯域が通信の品質基準に0.5をかけた値に基づき算出される場合、集合住
宅200ごとに最低補償帯域(ここでは、25Mbps)を超過し、集合住宅200全体
(ここでは、集合住宅A~C)での最大使用帯域(ここでは、75Mbps分)を超えな
い範囲において、最低補償帯域内の個別データ(トラフィック)が送出されてから個別デ
ータを送出する。すなわち、帯域制御部154は、例えば、通信回線網が輻輳している状
態において、個別データのうち最低補償帯域を超過したデータに対して帯域制限をかける
よう制御する。また、他の例として、帯域制御部154は、例えば、最低補償帯域が通信
の品質基準に集合住宅を構成する住居の個数をかけた値に基づき算出される場合、集合住
宅200ごとの最低補償帯域(ここでは、50Mbps)を確保し、個別データのうち集
合住宅200全体(ここでは、集合住宅A~C)の最大使用帯域(ここでは、最低補償帯
域50Mbps×3棟)を超過した優先度の低いデータ(トラフィック)をランダムに、
又は全てを破棄してもよい。すなわち、帯域制御部154は、例えば、通信回線網が輻輳
している状態において、個別データのうち集合住宅200全体の最大使用帯域を超過した
データに対して帯域制限をかけるよう制御する。
【0045】
これにより、帯域制御システム100は、集合住宅200ごとにその使用している通信
帯域に応じて制限をかけるため、全集合住宅200における優先制御を申し込んでいない
全ユーザに対して、公平に通信帯域を割り当てることができる。
【0046】
<<判定装置160>>
図7を参照して、判定装置160の構成について説明する。
図7は、判定装置160の
構成の一例を示す図である。
【0047】
図7に示すように、判定装置160は、例えば、記憶部161と、通信部162と、振
分判定部163と、経路設定部164と、経路切替部165とを含む。
【0048】
記憶部161は、例えば振分テーブル161aを格納する。
図8を参照して、振分テー
ブル161aについて説明する。
図8は、判定装置160の振分テーブル161aの一例
を示す図である。
図8に示すように、振分テーブル161aは、例えば、「プライベート
アドレス」の項目に「アプリケーション」の項目が対応付けられる。「プライベートアド
レス」の項目は、例えば、各住居230のプライベートアドレスに関する情報を含む。「
アプリケーション」の項目は、例えば、優先制御の対象となるアプリケーションの種別に
関する情報を含む。
【0049】
通信部162は、ポリシーベースルータ130、トラフィック制御ルータ150、及び
ポリシーベースルータ140との間で、個別データを送受信する。
【0050】
振分判定部163は、例えば、個別データに所定のアプリケーションに関する情報が含
まれるか否かを判定する。具体的には、振分判定部163は、例えば、TCP/IP参照
モデルのアプリケーション層の内容を参照して、個別データのアプリケーションの種別に
関する個別アプリ情報を特定する。そして、振分判定部163は、振分テーブル161a
を参照して、個別データのプライベートアドレスに対応するアプリケーションの種別に関
する優先アプリ情報を特定する。振分判定部163は、個別アプリ情報と優先アプリ情報
とを比較する。振分判定部163は、比較した結果を示す情報(以下、「比較結果情報」
という)を経路設定部164に出力する。
【0051】
経路設定部164は、例えば、比較結果情報に基づき個別データを出力する通信経路を
設定する。具体的には、経路設定部164は、例えば、比較結果情報が個別アプリ情報と
優先アプリ情報とが一致することを示す場合、個別データをポリシーベースルータ140
に出力する通信経路(ここでは、非制限経路)に関する情報を個別データに付加して、経
路切替部165に出力する。一方、経路設定部164は、例えば、比較結果情報が個別ア
プリ情報と優先アプリ情報とが一致しないことを示す場合、個別データをトラフィック制
御ルータ150に出力するための通信経路(ここでは、制限経路)に関する情報を個別デ
ータに付加して、経路切替部165に出力する。
【0052】
経路切替部165は、経路設定部164から出力される通信経路に関する情報に基づき
、個別データの出力先を切り替える。経路切替部165は、例えば、通信経路に関する情
報が例えば「非制限経路」を示す情報である場合、通信部162からポリシーベースルー
タ140に個別データを出力するよう、通信部162の出力先を切り替える。また、経路
切替部165は、例えば、通信経路に関する情報が「制限経路」を示す情報である場合、
通信部162からトラフィック制御ルータ150に個別データを出力するよう、通信部1
62の出力先を切り替える。
【0053】
すなわち、帯域制御システム100は、振分判定部163で個別アプリ情報と優先アプ
リ情報とが一致すると判定された場合、個別データが通信帯域の制限を受けないよう処理
する。一方、帯域制御システム100は、振分判定部163で個別アプリ情報と優先アプ
リ情報とが一致しないと判定された場合、個別データが通信帯域の制限を受けるよう処理
する。換言すると、帯域制御システム100は、ISP通信回線網において、プライベー
トアドレスに紐づくアプリケーションに関する情報に基づき、通信帯域を制限するか否か
を制御できる。
【0054】
これにより、帯域制御システム100は、ISP通信回線網においてプライベートアド
レスに基づき、個別データに含まれる特定のアプリケーションに関する情報に対してのみ
優先制御を実現できるため、住居230のユーザに対して優先制御への申込みを促すこと
ができる。
【0055】
===帯域制御システム100の情報処理===
次に、
図9を適宜参照して、本実施形態に係る帯域制御システム100の情報処理の手
順について説明する。
図9は、本実施形態に係る帯域制御システム100の情報処理の手
順を示すフローチャートである。
【0056】
まず、ステップS100において、帯域制御システム100は、センタールータ110
に仮想直結回線Nを設定するための設定情報を配信する。同時に、ステップS101にお
いて、帯域制御システム100は、集合住宅200のマンションルータ210に設定情報
を配信する。これにより、帯域制御システム100は、仮想直結回線Nを通じて、ISP
通信回線網において住居230に紐づくプライベートアドレスに基づく各種処理を実行で
きる。
【0057】
次に、ステップS200において、帯域制御システム100は、例えばポータルサイト
などを通じて、住居230から優先制御の申込みに関する申込情報を取得する。申込情報
には、例えば、住居230に紐づくプライベートアドレスおよび優先制御に関する情報が
含まれる。ステップS201において、帯域制御システム100は、申込情報に基づき、
ポリシーベースルータ130,140に優先制御の対象となるプライベートアドレスを登
録する。これにより、ポリシーベースルータ130,140は、プライベートアドレスに
基づき、優先制御の対象となる個別データを判別できる。次に、ステップS202におい
て、帯域制御システム100は、申込情報に基づき、判定装置160に優先制御の対象と
なるアプリケーションの種別に関する優先アプリ情報を登録する。これにより、判定装置
160は、個別データの個別アプリ情報に基づき、優先制御の対象となる個別データを判
別できる。
【0058】
次に、ステップS300,S301において、帯域制御システム100は、住居230
から送信される個別データを、仮想直結回線Nを通じてマンションルータ210から取得
する。ステップS302において、帯域制御システム100は、ポリシーベースルータ1
30の振分テーブル131aに、個別データのプライベートアドレスが登録されているか
否かを判定する。プライベートアドレスが登録されていないと判定された場合(ステップ
S302:NO)、ステップS303において、帯域制御システム100は、個別データ
をトラフィック制御ルータ150に出力することで、通信帯域テーブル151aに基づき
個別データに通信帯域の制限をかける。プライベートアドレスが登録されていると判定さ
れた場合(ステップS302:YES)、ステップS304において、帯域制御システム
100は、判定装置160に個別データを出力する。帯域制御システム100は、判定装
置160において個別データの個別アプリ情報を特定する。帯域制御システム100は、
判定装置160の振分テーブル161aを参照して、個別アプリ情報と一致する優先アプ
リ情報が登録されているか否かを判定する。優先アプリ情報が登録されていないと判定さ
れた場合(ステップS304:NO)、ステップS303に処理を移行して、帯域制御シ
ステム100は、個別データをトラフィック制御ルータ150に出力することで、通信帯
域テーブル151aに基づき個別データに通信帯域の制限をかける。優先アプリ情報が登
録されていると判定された場合(ステップS304:YES)、ステップS305におい
て、帯域制御システム100は、個別データをポリシーベースルータ140に出力するこ
とで優先制御を実現する。帯域制御システム100は、アドレス変換装置170を通じて
個別データをインターネットに送信する。
【0059】
===その他の実施形態===
上記において、判定装置160は、振分判定部163において、個別データに所定のア
プリケーションに関する情報が含まれるか否かが判定されるように説明したが、これに限
定されない。例えば、判定装置160は、所定のアプリケーションに関する情報が含まれ
るか否かに加えて、個別データが通信帯域の制限を受けないことを示す情報に基づき、個
別データに対して通信帯域を制限しないと判定してもよい。
図10を参照して、この場合
の判定装置160の判定の処理について説明する。
図10は、他の実施形態に係る判定装
置160の振分テーブル161bの一例を示す図である。振分テーブル161bは、例え
ば、「プライベートアドレス」の項目に、「制御種別」および「経路」の項目が対応付け
られる。「プライベートアドレス」の項目は、例えば、各住居230のプライベートアド
レスに関する情報を含む。「制御種別」の項目は、例えば、優先制御の対象であるか否か
を判定するための情報を含む。「制御種別」の項目には、例えば、アプリケーションの種
別にかかわらず優先制御の対象となるものに「全情報」が入力され、優先制御の対象とな
るアプリケーションの種別に関する情報(ここでは、「Aアプリケーション」や「Bアプ
リケーション」)が入力されていてもよい。振分判定部163は、振分テーブル161a
に基づき、プライベートアドレスに対応する「制御種別」の項目に応じた通信経路に切り
替えられるよう、経路設定部164に通信経路に関する情報を出力する。これにより、帯
域制御システム100は、個別データのプライベートアドレスに基づき、所定のアプリケ
ーションに関する情報のみによらず、所定のプライベートアドレスに対して全ての個別デ
ータに通信帯域の制限をかけない処理も実行できるため、住居230のユーザに対して優
先制御への申込みを促すことができる。
【0060】
また、上記において、帯域制御システム100は、判定装置160を含むように説明し
たが、これを含まなくてもよい。
図11を参照して、この場合の帯域制御システム100
aについて説明する。
図11は、他の実施形態に係る帯域制御システム100aの構成の
一例を示す図である。
図11に示すように、帯域制御システム100aは、帯域制御シス
テム100におけるポリシーベースルータ130およびポリシーベースルータ140の機
能のみが異なる。以下では、便宜上、帯域制御システム100と異なる部分についてのみ
説明する。また、ポリシーベースルータ140aは、ポリシーベースルータ130aと同
様であるためその説明を省略する。ポリシーベースルータ130aは、個別データのプラ
イベートアドレスに基づき、個別データを出力する通信経路を設定する。ここで、「通信
経路」とは、例えば、個別データをトラフィック制御ルータ150に出力する制限経路、
及び個別データをポリシーベースルータ140aに出力する通信経路(以下、「非制限経
路」という)をいう。ポリシーベースルータ130aの経路切替部134aは、通信経路
に関する情報に基づき、個別データの出力先を切り替える。経路切替部134aは、例え
ば、通信経路に関する情報が「制限経路」を示す情報である場合、通信部132からトラ
フィック制御ルータ150に個別データが出力されるよう、通信部132の出力先を切り
替える。また、経路切替部134は、例えば、通信経路に関する情報が「非制限経路」を
示す情報である場合、通信部132からポリシーベースルータ140に個別データが出力
されるよう、通信部132の出力先を切り替える。これにより、帯域制御システム100
aは、ISP通信回線網においてプライベートアドレスに基づき、簡易なシステム構成に
よって、住居230ごとの通信帯域の制限を実現できる。
【0061】
また、上記において、帯域制御システム100における、センタールータ110、ルー
トリフレクタ120、ポリシーベースルータ130、ポリシーベースルータ140、トラ
フィック制御ルータ150、判定装置160、アドレス変換装置170、及び設定装置1
80は、物理的に存在するものに限定されない。センタールータ110、ルートリフレク
タ120、ポリシーベースルータ130、ポリシーベースルータ140、トラフィック制
御ルータ150、判定装置160、アドレス変換装置170、及び設定装置180の少な
くともいずれかは、クラウドコンピュータで実現されていてもよい。
【0062】
また、上記において、帯域制御システム100における、センタールータ110、ルー
トリフレクタ120、ポリシーベースルータ130、ポリシーベースルータ140、トラ
フィック制御ルータ150、判定装置160、アドレス変換装置170、及び設定装置1
80は、それぞれ別個の装置であることに限定されない。帯域制御システム100におい
ては、各装置がそれぞれ任意の組み合わせで一つの装置として機能するように構成されて
いてもよい。
【0063】
===帯域制御システム100のハードウェア構成===
図12を参照して、帯域制御システム100を構成する各装置のHW構成の一例につい
て説明する。
図12は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【0064】
図12に示すように、各装置は、制御部(CPU)101、記憶装置102、通信I/
F(インタフェース)103、入力装置104、出力装置105を備えていてもよい。各
装置のHWの各構成要素は、例えば、バスB1を介して相互に接続される。なお、各装置
のHWは、一例を示すものであって、各装置のHWの構成として全ての構成要素を含まな
くてもよい。例えば、センタールータ110、ルートリフレクタ120、ポリシーベース
ルータ130、140、トラフィック制御ルータ150、及びアドレス変換装置170の
HWは、入力装置104や出力装置105を着脱可能な構成を有していてもよいし、入力
装置104や出力装置105を有していなくてもよい。
【0065】
制御部101は、プログラムP1内に含まれたコードまたは命令によって実現する機能
を実行するために物理的に構造化された回路を有し、例えば、ハードウェアに内蔵された
データ処理装置により実現される。制御部101は、代表的には中央処理装置(CPU)
、であり、その他にマイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC
、FPGAであってもよいし、そうでなくてもよい。本開示において、制御部101は、
これらに限定されない。
【0066】
記憶装置102は、各装置が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを
記憶する機能を有する。記憶装置102は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種
の記憶媒体により実現される。ただし、本開示において、記憶装置102は、これらに限
定されない。また、記憶装置102は、メモリ(memory)と表現されてもよいし、されな
くてもよい。
【0067】
通信I/F103は、ネットワークNを介して各種データの送受信を行う。通信I/F
103による通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できる
のであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信I/F103は、ネットワ
ークNを介して、他の装置との通信を実行する機能を有する。通信I/F103は、各種
データを制御部101からの指示に従って、他の装置に送信する。また、通信I/F10
3は、他の装置から送信された各種データを受信し、制御部101に伝達する。また、通
信I/F103を単に通信部と表現する場合もある。また、通信I/F103が物理的に
構造化された回路で構成される場合には、通信回路と表現する場合もある。
【0068】
入力装置104は、各装置に対する各種操作を入力する装置により実現される。入力装
置104は、ユーザからの入力を受け付けて、受け付けた入力に係る情報を制御部101
に伝達できる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。入力
装置104は、代表的にはキーボード等に代表されるハードウェアキーや、マウス等のポ
インティングデバイスで実現される。なお、入力装置104は、例えば、タッチパネルや
カメラ(動画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含んでいてもよい
し、そうでなくてもよい。ただし、本開示において、入力装置104は、これらに限定さ
れない。
【0069】
出力装置105は、例えば、表示部を含む。表示部は、代表的にはモニタ(例えば、液
晶ディスプレイやOELD)で実現される。なお、表示部は、ヘッドマウントディスプレ
イ(HDM)などであってもよいし、そうでなくてもよい。なお、これらの表示部13a
は、3Dで表示データを表示可能であってもよいし、そうでなくてもよい。ただし、本開
示において、表示部は、これらに限定されない。
【0070】
各装置は、プログラムP1と各種データベース(又は各種テーブル)とを記憶装置10
2に記憶する。各装置において、制御部101がこのプログラムP1を実行することで、
制御部101に含まれる各部としての処理を実行する。つまり、記憶装置102に記憶さ
れるプログラム15aは、各装置に、制御部101が実行する各機能を実現させる。この
プログラムP1は、プログラムモジュールと表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0071】
本開示の各実施形態は、各装置のCPUがプログラムを実行することにより、実現され
るものとして説明する。
【0072】
また、本開示の各実施形態のプログラム(例えば、ソフトウェアプログラム、コンピュ
ータプログラム、またはプログラムモジュール)は、コンピュータに読み取り可能な記憶
媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、されなくてもよい。記憶媒体は、「一時的
でない有形の媒体」に、各実施形態のプログラムを記憶可能である。また、各実施形態の
プログラムは、本開示の各実施形態の機能の一部を実現するためのものであってもよいし
、そうでなくてもよい。さらに、本開示の各実施形態の機能を記憶媒体にすでに記録され
ているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログ
ラム)であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0073】
各装置は、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行
することによって、各実施形態に示す複数の機能部の機能を実現することができる。
【0074】
また、本開示のプログラムは、プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワ
ークや放送波等)を介して、各装置に提供されてもよいし、されなくてもよい。各装置は
、例えば、インターネット等を介してダウンロードしたプログラムPを実行することによ
り、各実施形態に示す複数の機能部の機能を実現する。
【0075】
また、本開示の各実施形態は、プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送
波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。各装置における処理の少なくとも
一部は、1以上のコンピュータ(例えば、1以上のコンピュータにより構成されるクラウ
ドコンピューティング)により実現されていてもよいし、そうでなくてもよい。
【0076】
各装置における処理の少なくとも一部を、帯域制御システム100を構成する他の装置
により行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい。
【0077】
帯域制御システム100を構成する各装置における処理の少なくとも一部を、集合住宅
200に設けられる所定の装置により行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい。ま
た、集合住宅200に設けられる各装置における処理の少なくとも一部を、帯域制御シス
テム100に設けられる所定の装置により行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい
。また、帯域制御システム100は、集合住宅200に設けられる各種装置を含めて、帯
域制御システム100として定義されてもよい。
【0078】
===まとめ===
本実施形態に係る帯域制御システム100は、集合住宅200内の独立した住居230
それぞれで通信される、住居230ごとのプライベートアドレスを含む個別データ(所定
の情報)を、少なくとも一つの集合住宅200において中継するマンションルータ210
(第1ルータ)と、個別データ(所定の情報)をISP通信回線網(インターネット・サ
ービス・プロバイダーの通信回線網)において中継するセンタールータ110(第2ルー
タ)と、の間に個別データ(所定の情報)を通過させる仮想直結回線N(仮想的に直結さ
れた回線)を設定する設定装置180(回線設定部)と、ISP通信回線網(通信回線網
)において個別データ(所定の情報)を取得するポリシーベースルータ130,140の
通信部132,142(取得部)と、個別データ(所定の情報)に含まれるプライベート
アドレスに基づいて、個別データ(所定の情報)に対する通信帯域を制御するように、個
別データ(所定の情報)のISP通信回線網(通信回線網)における通信経路を設定する
ポリシーベースルータ130,140の経路設定部133,143(第1経路設定部)と
、ISP通信回線網(インターネット・サービス・プロバイダーの通信回線網)とインタ
ーネットとの間に設けられる、プライベートアドレスをグローバルアドレスに変換するア
ドレス変換装置170(変換部)と、を備える。これにより、帯域制御システム100は
、簡易なシステム構成によって、ISP通信回線網において集合住宅200の各住居23
0に紐づくプライベートアドレスに基づき集合住宅200の住居230ごとに通信帯域の
制御が可能となる。
【0079】
また、本実施形態に係る帯域制御システム100のポリシーベースルータ130,14
0の経路設定部133,143(第1経路設定部)は、プライベートアドレスと優先制御
の対象か否かを示す情報とが対応付けられる振分テーブル131a,141a(データベ
ース)に基づいて、プライベートアドレスに優先制御が設定されている場合、通信帯域が
制限を受けない判定経路又は非制限経路(通信経路)を設定する。これにより、帯域制御
システム100は、簡易なシステム構成によって、ISP通信回線網において集合住宅2
00の各住居230に紐づくプライベートアドレスに基づき、優先制御の対象に対して通
信帯域に優位性を持たせることができる。このため、帯域制御システム100は、ユーザ
に対して優先制御への申込みを促すことができる。
【0080】
また、本実施形態に係る帯域制御システム100は、プライベートアドレスに優先制御
が設定されている場合、プライベートアドレスと優先制御の対象となるアプリケーション
を示す情報とが対応付けられる振分テーブル161a(データベース)と、個別データ(
所定の情報)に含まれるアプリケーションに関する情報と、に基づいて、個別データ(所
定の情報)が優先制御の対象となるアプリケーションに関する情報を含む場合、通信帯域
が制限を受けない通信経路を設定する判定装置160の経路設定部164(第2経路設定
部)をさらに備える。これにより、帯域制御システム100は、ユーザが所望するアプリ
ケーションについてのみ優先制御を実現できるため、ユーザに対して優先制御への申込み
を促すことができる。
【0081】
また、本実施形態に係る帯域制御システム100の判定装置160の経路設定部164
(第2経路設定部)は、プライベートアドレスに優先制御が設定されている場合、プライ
ベートアドレスと優先制御の対象となるアプリケーションを示す情報とが対応付けられる
振分テーブル161a(データベース)と、個別データ(所定の情報)に含まれるアプリ
ケーションに関する情報と、に基づいて、個別データ(所定の情報)が優先制御の対象と
なるアプリケーションに関する情報を含まない場合、通信帯域が制限を受ける通信経路を
設定する。これにより、帯域制御システム100は、ユーザが所望するアプリケーション
についてのみ優先制御を実現できるため、ユーザに対して優先制御への申込みを促すこと
ができる。
【符号の説明】
【0082】
100・・・帯域制御システム、110・・・センタールータ、120・・・ルートリ
フレクタ、130、140・・・ポリシーベースルータ、150・・・トラフィック制御
ルータ、160・・・判定装置、170・・・アドレス変換装置、180・・・設定装置
。