(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123897
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】調理用鍋
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
A47J27/00 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021356
(22)【出願日】2021-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】519386741
【氏名又は名称】二瓶 清
(74)【代理人】
【識別番号】100155181
【弁理士】
【氏名又は名称】中 大介
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 清
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA26
4B055BA69
4B055CA10
4B055CB20
(57)【要約】
【課題】被調理物の焦げ付きを防止して煩わしさを解消することができる調理用鍋を提供する。
【解決手段】上面が開放された外容器100と、上面が開放されて外容器100に所定の間隙Sを有して収容される、被調理物Rを収容するための内容器200と、内容器200が外容器100に収容された状態で生じる間隙Sに注水するための注水部とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放された第一の容器本体と、
上面が開放されて前記第一の容器本体に所定の間隙を有して収容される、被調理物を収容するための第二の容器本体と、
前記第二の容器本体が前記第一の容器本体に収容された状態で生じる間隙に注水するための注水部とを備えたことを特徴とする調理用鍋。
【請求項2】
前記第二の容器本体が前記第一の容器本体に収容された場合に間隙を形成するためのスペーサを備えたことを特徴とする請求項1に記載の調理用鍋。
【請求項3】
前記第一の容器本体は、前記第二の容器本体が該第一の容器本体に収容された状態で生じる間隙に注水された注水量を視認可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の調理用鍋。
【請求項4】
前記第一の容器本体と前記第二の容器本体とを着脱可能に固定する固定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の調理用鍋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、熱伝導率の高い有底筒状の金属製の容器本体に把手が設けられ、家庭用のガスコンロや電磁誘導加熱器具等の加熱手段に載置して加熱することで被調理物を加熱することができる調理用鍋が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような調理用鍋を用いて、例えば、カレーやシチュー等を作り、余りが生じた場合には、当該調理用鍋に蓋などをして加熱手段上に載置しておくか、冷蔵庫に保存する等し、別の日に食する際に、当該調理用鍋を加熱手段にて再度加熱することで被調理物の余りを加温することが一般的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示すような従来の調理用鍋では、加熱する際に、被調理物を適度に混ぜる作業を行う必要があり、その作業を怠ると、被調理物の調理用鍋の内底に接する部分が過剰に加熱されて調理用鍋の内底に焦げ付いてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被調理物の焦げ付きを防止して煩わしさを解消することができる調理用鍋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、
上面が開放された第一の容器本体と、
上面が開放されて前記第一の容器本体に所定の間隙を有して収容される、被調理物を収容するための第二の容器本体と、
前記第二の容器本体が前記第一の容器本体に収容された状態で生じる間隙に注水するための注水部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の調理用鍋において、
前記第二の容器本体が前記第一の容器本体に収容された場合に間隙を形成するためのスペーサを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の調理用鍋において、
前記第一の容器本体は、前記第二の容器本体が該第一の容器本体に収容された状態で生じる間隙に注水された注水量を視認可能とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の調理用鍋において、
前記第一の容器本体と前記第二の容器本体とを着脱可能に固定する固定手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被調理物の焦げ付きを防止して煩わしさを解消することができる調理用鍋を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】調理用鍋の組み付け要領について説明する図である。
【
図5】本実施形態に係る調理用鍋を用いた被調理物の加熱調理要領について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る調理用鍋について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
先ず、
図1~
図4を参照しながら、本実施形態に係る調理用鍋10について説明する。本実施形態に係る調理用鍋10は、第1の容器本体としての外容器100と、第2の容器本体としての内容器200とを備えて構成されている。
【0015】
図3(a)に示すように、外容器100は、円形平板状の底面部101と、底面部101の端縁から湾曲しながら立ち上げ形成された側面部102とが一体形成されてなり、上面が開放され、収容空間103が形成されている。外容器100は、ガスコンロや電磁誘導加熱装置(いわゆる、「IHクッキングヒータ」)等の加熱手段により加熱され、内容器200に加熱手段の熱を伝達するための容器である。本実施形態では、外容器100を、透明の耐熱ガラスにより形成しているが、これに限らず、耐熱性を有する金属、樹脂、陶磁器及びこれらの組合せのいずれを採用してもよい。また、透明でなくてもよいが、後述するように、外容器100と内容器200とを組み合わせた際に生じる間隙Sに水Wを注水した際にその水量を視認可能な窓部を設けると、水量を容易に把握でき、空焚きを防止できるので便利である。
【0016】
内容器200は、外容器100と同様に、円形平板状の底面部201と、底面部201の端縁から湾曲しながら立ち上げ形成された側面部202とが一体形成されてなり、上面が開放され、収容空間207が形成されている。内容器200は、例えば、カレーやシチュー等の被調理物を収容するための容器である。なお、本実施形態では、外容器100と内容器200とが同じサイズ、同じ形状をなしているが、必ずしも同じサイズ及び同じ形状でなくてもよい。また、外容器100及び内容器200の形状も上述したものに限定されず、例えば、有底筒状としてもよいし、適宜の形状を採用することができる。また、本実施形態では、内容器200を、透明の耐熱ガラスにより形成しているが、これに限らず、耐熱性を有する金属、樹脂、陶磁器及びこれらの組合せのいずれを採用してもよい。
【0017】
また、内容器200の上端に一対の取付部203が互いに対向する位置に設けられている。取付部203は、内容器200の側面部202の外面から突出して設けられている。取付部203は、断面視L字状に形成されて掛止部203aが形成されており、外容器100の上端縁を掛止することができるようになっている。なお、本実施形態では、図示しないが、例えば、取付部203の外側にネジ挿通孔を形成し、つまみネジを挿通して外容器100を内容器200に取り付けた状態でつまみネジで着脱自在に固定するようになっている。なお、外容器100の内容器200に対する取付構造は上述したものに限定されず、外容器100と内容器200とが着脱不能に固着されてもよい。また、固定手段も上述したものに限定されず、例えば、レバー操作により外容器100と内容器200とが着脱できるようにしてもよく、公知の固定手段を適用することができる。
【0018】
取付部203の上面部には、輪状に折曲形成された把手204が上方に向けて突設されており、調理者等が把持することにより調理用鍋10を持ち運ぶことができるようになっている。把手204の形状は周知のもののいずれも採用することができ、また、内容器200の側方から突出して片手持ちが可能なものであってもよい。
【0019】
また、内容器200の底面部201の外側面の略中心及び中心から偏心した位置にスペーサ205が複数設けられるとともに、側面部202の外側面の四方にスペーサ206が適宜高さ位置に設けられている。これらのスペーサ205,206は、内容器200が外容器100に装着された際に、外容器100と内容器200との間に所定距離の間隙S(
図1及び
図2参照)が形成されるように設けられている。なお、これらのスペーサ205,206は、外容器100に設けられてもよいし、外容器100と内容器200との両方に設けられてもよい。また、スペーサ205,206は、例えば、樹脂で形成されており、内容器200に対して固着されているが、内容器200と一体成形されてもよい。また、スペーサ205,206が設けられる位置や数や材料は上述したものに限定されず、適宜なものを採用することができる。
【0020】
以上のようにして構成された調理用鍋10を用いて被調理物Rを調理する要領について、
図5を参照しながら説明する。なお、
図5は、
図1におけるB-B部分の断面を表している。
【0021】
先ず、例えば、
図5(a)に示すように、調理済みの被調理物Rが収容された内容器200を外容器100に上述した要領で取り付け、ガスコンロGに載置する。例えば、内容器200に収容された被調理物Rは、別の日に調理されたカレーの残りであって、冷蔵庫により冷却されていたものである。
【0022】
続いて、
図5(b)に示すように、外容器100と内容器200との間に形成された間隙Sに、やかんK等を用いて注水部として機能する収容空間103の上端より適宜量の水を注水する。
【0023】
その後、
図5(c)に示すように、ガスコンロGを着火させ、外容器100を加熱する。このとき、例えば、必要に応じて、内容器200の開放部分を閉塞するために蓋を用いてもよい。すると、ガスコンロGの炎Fにより生じる熱が外容器100と内容器200との間の間隙Sに注水された水Wが加温され、その後、水Wが沸騰する。なお、沸騰した水Wは、水蒸気となって外容器100の収容空間103の上方から放出される。加温された水Wが保持する熱は、内容器200を通して内容器200に収容された被調理物Rに伝導する。本実施形態に係る調理用鍋10によれば、水Wの沸点は100度であるため、被調理物Rも100度以上に加熱されることがない。そのため、被調理物Rが収容された従来の調理用鍋を直接ガスコンロGで加熱調理した場合では、被調理物Rが高温により焦げてしまい、その焦げが鍋底に付着してしまうため、調理をする者は、温度管理や被調理物Rを適宜タイミングでかき混ぜなければならず、煩わしいという不都合が生じていたが、本実施形態に係る調理用鍋10によれば、そのような作業が不要となり、調理負担が軽減される。また、本実施形態では、外容器100が透明材料により形成されているので、注水された水Wの残量が容易に把握でき、残量が少なくなった場合には、上述した要領で水Wを追加すればよい。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、上面が開放された外容器100と、上面が開放されて外容器100に所定の間隙Sを有して収容される、被調理物Rを収容するための内容器200と、内容器200が外容器100に収容された状態で生じる間隙Sに注水するための注水部(外容器100に内容器200が取り付けられた状態における外容器100の収容空間103の上端部分)とを備えている。そのため、注水部から間隙Sに注水することで、第二の容器本体に収容された被調理物の温度を制御でき、被調理物が焦げるのを防止でき、その結果、調理用鍋に被調理物に焦げ付きが生じるのを防止でき、調理における煩わしさを解消することができる。
【0025】
また、本実施形態によれば、内容器200が外容器100に収容された場合に間隙Sを形成するためのスペーサ205,206を備えているので、第二の容器本体と第二の容器本体が接触するのを防止でき、被調理物を加熱した際に、一部分だけ高熱となってしまうのを防止することができるようになる。
【0026】
また、本実施形態によれば、外容器は、内容器が外容器に収容された状態で生じる間隙Sに注水された注水量を視認可能とされているので、注水量の管理を容易に行うことができ、例えば、空焚きといった不都合を防止することができるようになる。
【0027】
また、本実施形態によれば、外容器100と内容器200とを着脱可能に固定する取付部203を備えているので、手入れが容易であり、また、外容器100と内容器200とをそれぞれ別の用途に用いることもできるので、利便性が高まる。
【0028】
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0029】
10 調理用鍋
100 外容器(第一の容器本体)
200 内容器(第二の容器本体)
203 取付部(固定手段)
205 スペーサ
206 スペーサ
R 被調理物
S 間隙
W 水