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特開2022-123906トリム用インサート,トリム,その製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123906
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】トリム用インサート,トリム,その製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
B60R13/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021366
(22)【出願日】2021-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】501419554
【氏名又は名称】三協スチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】駒場 守
(72)【発明者】
【氏名】駒場 慈実
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BA07
3D023BA09
3D023BB01
3D023BB22
3D023BC01
3D023BD01
3D023BD02
3D023BD03
3D023BD28
3D023BE10
3D023BE31
(57)【要約】
【課題】 芯材と糸の結合を簡便に行って生産性の向上を図る。
【解決手段】 トリム用インサート100の芯材110は、主片112と側片114が連続した波形状となっている。隣接する主片112の間には、主片112と側片114によって形成されたU字状部分の開口を塞ぐように、繋ぎ片120が設けられている。この繋ぎ片120を形成することで、主片112の間隔が一定に保持されるようになっている。更に、繋ぎ片120には、薄肉の破断部122が形成されている。この破断部122が、トリム成形時や湾曲施工時に破断することで、トリム用インサート100の伸縮性に影響を与えないようになっている。芯材110に対しては、ミシン40で糸30を織り込まれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に延びた主片が、長手方向に平行に多数設けられており、それら主片が側片で結合された芯材を使用するトリム用インサートであって、
前記主片にミシンによって複数の糸を長手方向に織り込んだことを特徴とするトリム用インサート。
【請求項2】
隣接する主片もしくは隣接する側片の間に形成される開口側に、前記主片の間隔を一定に保持する繋ぎ片を形成したことを特徴とする請求項1記載のトリム用インサート。
【請求項3】
前記繋ぎ片に、外力によって破断する破断部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のトリム用インサート。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のトリム用インサートがトリム本体に埋設されたことを特徴とするトリム。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載のトリム用インサートの製造方法であって、
前記主片に、ミシンによって複数の糸を長手方向に織り込むことを特徴とするトリム用インサートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアやトランクルームなどに設けられるトリムの内部に芯材として埋設されるトリム用インサート,トリム,その製造方法に関し、特に、芯材を糸で結んだ構造のトリム用インサート,トリム,その製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアやトランクルームなどでは、よく知られているように、防滴・防音・防振などや内装装飾の端部仕上げなどの観点からトリム部品が設けられており、トリム部品には、形状保持・伸縮管理・成形安定性といった観点から、インサート材が芯材として埋設されている。
【0003】
このような芯材を糸で結ぶようしたトリム用インサートとしては、下記特許文献1記載の「ゴム製トリム」に開示された補強用インサートがある。これは、等間隔の波状の補強体の波間を長手方向にキャリア糸で結びつけるようにした構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-197445号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、補強体に糸との結合を行う際に、効率的に量産できる方法があると好都合である。特に、補強体が伸縮する可能性があり、このような場合であっても、良好に補強体と糸の結合を行うことができるように工夫する必要がある。
【0006】
本発明は、かかる点に着目したもので、補強体である芯材と糸の結合を簡便に行うことができ、生産性の向上を図ることができるトリム用インサート,トリム,その製造方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトリム用インサートは、幅方向に延びた主片が、長手方向に平行に多数設けられており、それら主片が側片で結合された芯材を使用するトリム用インサートであって、前記主片にミシンによって複数の糸を長手方向に織り込んだことを特徴とする。主要な形態の一つによれば、隣接する主片もしくは隣接する側片の間に形成される開口側に、前記主片の間隔を一定に保持する繋ぎ片を形成したことを特徴とする。更には、前記繋ぎ片に、外力によって破断する破断部を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明のトリムは、前記いずれかのトリム用インサートがトリム本体に埋設されたことを特徴とする。本発明のトリム用インサートの製造方法は、前記主片に、ミシンによって複数の糸を長手方向に織り込むことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、芯材に対してミシンにより糸を織り込むようにしたので、芯材と糸の結合を簡便に行うことができ、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例を示す図である。(A)は実施例1のトリム用インサートを示し、(B)は(A)において芯材の間隔が変化した場合を示し、(C)は実施例2のトリム用インサートを示す。
図2】前記実施例2における芯材を拡大して示す図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)の#2-#2線に沿って矢印方向に見た断面図である。
図3】前記実施例2のトリム用インサートを用いたトリムの例を示す図である。
図4】本発明の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0012】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。同図(A)に示すように、本実施例のトリム用インサート10は、波状に連続して湾曲した形状の芯材20と、糸30とによって構成されている。芯材20は、例えば金属や樹脂によって形成されており、主片22と円弧状の側片24が連続している。すなわち、芯材20の長手方向に直交する幅方向に延びた主片22を、芯材20の長手方向に一定の間隔で平行に設けている。そして、多数の主片22は、その端部において、隣接する主片22が側片24で接続された構成となっている。このような芯材20は、例えば平板プレスなどの方法で製造される。一方、糸30は、例えばポリエステルによって形成されている。
【0013】
本実施例によれば、芯材20に対する糸30の結合は、ミシン40を使用して行われる。すなわち、芯材20の主片22に対して、ミシン40により、糸30を織り込む(ないし編み込む)ようにしている。いわば、芯材20の主片22が横糸に対応しており、糸30が縦糸に対応していると考えることができる。一般的な工業用のミシンでは、同時に3本の糸30を織り込むことができるので、2回で6本の糸30を織り込むことができる。また、ミシンを改良して、一度に6本の糸30を芯材20に織り込むようにしてもよい。
【0014】
芯材20の主片22のピッチΔLは、ミシン40で糸30を織り込むことができれば適宜設定してよいが、例えば25mm~40mmであれば、十分に糸30の織り込みが可能である。糸30の並列本数は、トリム用インサート10の引張強度に関係するので、必要に応じて増減してよい。また、糸30として引張強度の高いものを使用することで、本数を減らすことができる。
【0015】
このように、本実施例によれば、ミシン40を利用して、芯材20に糸30を織り込むこととしたので、効率的よくトリム用インサート10を製造することができる。
【実施例0016】
次に、図1(B),(C)~図3を参照して、本発明の実施例2について説明する。前記トリム用インサート10の芯材20は、上述したように、主片22と側片24が連続した波形状となっている。このため、主片22の間隔が、図1(B)に示すように変化してしまう恐れがある。そこで、本実施例では、主片22の間隔が一定に保持されるように工夫している。
【0017】
図2には、本実施例のトリム用インサート100の芯材110が拡大して示されており、図2(A)の#2-#2線に沿って矢印方向に見た断面が図2(B)に示されている。これらの図において、芯材110は、前記実施例1と同様に金属や樹脂によって形成されており、主片112と側片114が連続した波形状となっている。すなわち、一定の間隔の主片112の端部において、隣接する主片112が側片114で接続された構成となっている。これらの点は、上述した実施例1と同様である。
【0018】
更に、本実施例では、隣接する主片112ないし側片114の間に、繋ぎ片120が設けられている。すなわち、主片112と側片114によって形成されたU字状部分の開口を塞ぐように、繋ぎ片120が設けられている。この繋ぎ片120を形成することで、主片112の間隔が一定に保持されるようになっている。更に、繋ぎ片120には、図2(B)に断面を示すように、薄肉の破断部122が形成されている。この破断部122が、トリム成形時や湾曲施工時に破断することで、トリム用インサート100の伸縮性に影響を与えないようになっている。なお、破断部122は、例えば厚み方向の潰しによって形成され、繋ぎ片120の表裏いずれに設けてもよい。形状も適宜設定してよい。一つの繋ぎ片120に、複数の破断部122を設けるようにしてもよい。
【0019】
図1(C)には、上述した芯材110に対して、ミシン40で糸30を織り込む様子が示されている。本実施例によれば、芯材110に繋ぎ片120が設けられているので、主片112の間隔が一定に保持されるようになる。このため、同図(B)に示すような不具合が生ずることなく、良好に主片112に対して糸30を織り込むことができる。すなわち、図3(A)に示す芯材110に対して糸30が折り込まれ、同図(B)に示すトリム用インサート100が得られる。このトリム用インサート100は、例えば同図(C)に示すように、ゴム材などによるトリム本体130の中に埋設される。このときのトリム本体130に対する埋設工程で、上述した芯材110の繋ぎ片120の破断部122が破断するようになる。あるいは、同図(D)に示すように、トリム本体130を折り曲げたときに、繋ぎ片120の破断部122が破断するようになる。このため、トリム用インサート100の伸縮性は、良好に保持されるようになる。
【0020】
このように、本実施例によれば、芯材110の開口側に繋ぎ片120を設けることとしたので、主片112の間隔が一定に保持されるようになり、糸30の織り込みを良好に行うことができる。
<他の実施例>
【0021】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例では、主片22が円弧状の側片24によって結合された波形状の芯材の例を示したが、形状は適宜変更してよい。例えば、図4(A)に示す芯材210のように、主片212が略コ字状の側片214で結合されていてもよい。主片212の開口側には、繋ぎ片220が設けられており、繋ぎ片220には破断部が設けられている。同図(B)に示すトリム用インサートは、芯材310の主片312が、一方の端部よりの位置で結合片314により結合された形状となっている。この例は、特開2004-148892号公報に開示されている。このような芯材310の場合、主片312の両端の開口のうち、結合片314から離れた開口側に、破断部付きの繋ぎ片320を設けるようにすることで、主片312の間隔を一定に保持することができる。もちろん、主片312の開口側の両方に繋ぎ片320を設けてもよい。
(2)上述した実施例に示した各部の厚みや形状は、必要に応じて適宜変更してよい。素材についても同様である。糸の本数も、必要に応じて適宜増減してよい。
(3)本発明のトリム用インサートの適用対象としては、自動車などのウエザーストリップ用トリム,ドアオープニング用トリム,サンルーフ用トリム,シートコーナー用トリムなど、各種の緩衝材,シール材,装飾材としてのトリムに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、芯材に対してミシンにより糸を織り込むようにしたので、芯材と糸の結合を簡便に行うことができ、生産性が向上するため、トリム用インサートに好適である。
【符号の説明】
【0023】
10:トリム用インサート
20:芯材
22:主片
24:側片
30:糸
40:ミシン
100:トリム用インサート
110:芯材
112:主片
114:側片
120:繋ぎ片
122:破断部
130:トリム本体
210:芯材
212:主片
214:側片
220:繋ぎ片
310:芯材
312:主片
314:結合片
320:繋ぎ片
ΔL:ピッチ
図1
図2
図3
図4