(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123944
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】光電変換素子に用いる有機薄膜、及びその光電変換素子
(51)【国際特許分類】
H01L 51/42 20060101AFI20220818BHJP
H01L 27/30 20060101ALI20220818BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20220818BHJP
C07D 413/10 20060101ALN20220818BHJP
C07D 263/57 20060101ALN20220818BHJP
C07D 471/04 20060101ALN20220818BHJP
C07D 413/04 20060101ALN20220818BHJP
【FI】
H01L31/08 T
H01L27/30
H01L27/146 C
C07D413/10
C07D263/57
C07D471/04 104Z
C07D413/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021421
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】望月 俊二
(72)【発明者】
【氏名】樺澤 直朗
(72)【発明者】
【氏名】島 大和
(72)【発明者】
【氏名】三枝 優太
(72)【発明者】
【氏名】北原 秀良
【テーマコード(参考)】
4C056
4C063
4C065
4M118
5F849
【Fターム(参考)】
4C056AA01
4C056AB01
4C056AC02
4C056AD03
4C056AE03
4C056CA03
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4C063AA01
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4C063CC52
4C063CC76
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4C063EE10
4C065AA05
4C065BB04
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4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK05
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4C065PP10
4M118AA01
4M118AA05
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4M118CA14
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4M118HA26
5F849AB11
5F849BA21
5F849BB03
5F849XA02
5F849XA46
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5F849XA55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】優れた耐熱性と電荷輸送性を持つ光電変換素子に用いる有機薄膜を提供する。
【解決手段】下記一般式で表される化合物を含む有機薄膜。
(式中、Ar1~Ar4は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、j、k、m、n、p、q、r、sは、それぞれ独立して、0~2の整数を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子に用いる有機薄膜であり、前記有機薄膜は下記一般式(1)で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物を含む有機薄膜。
【化1】
(1)
(式中、
Ar1~Ar4は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。
j、k、m、n、p、q、r、sは、それぞれ独立して、0~2の整数を表す。
なお、Ar1~Ar4はそれぞれ複数個である場合、同一でも異なっていてもよい。
p=1かつj=0である場合、Ar2は単結合を介してベンゾオキサゾール環の4位に結合しており、q=1かつk=0である場合、Ar3は単結合を介してベンゾオキサゾール環の6位に結合しており、r=1かつm=0である場合、Ar4は単結合を介してベンゾオキサゾール環の5位または7位に結合しており、s=1かつn=0である場合、Ar1は単結合を介してベンゾオキサゾール環の2位に結合している。)
【請求項2】
光電変換素子に用いる有機薄膜であり、前記有機薄膜は下記一般式(2)で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物を含む請求項1に記載の有機薄膜。
【化2】
(2)
(式中、Ar1~Ar3は、前記一般式(1)中のAr1~Ar3の定義と同じであり、j、k、n、p、q、sは、前記一般式(1)中のj、k、n、p、q、sの定義と同じである。)
【請求項3】
前記一般式(2)において、Ar1~Ar3は、下記一般式(a)~(z)からなる群より選択される構造である、請求項2に記載の有機薄膜。
【化3】
(式中、破線部は結合部位を示し、
R1~R7は、相互に同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、相互に隣接するR1~R7は単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。)
【請求項4】
前記請求項1~3のいずれか1項に記載の有機薄膜を電子ブロッキング層として含む光電変換素子。
【請求項5】
前記電子ブロッキング層材料の最高被占分子軌道(HOMO)準位が5.8~7.0eVであることを特徴とする請求項4に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記請求項4または請求項5に記載の光電変換素子の光電変換層に、n型半導体として、フラーレンまたはフラーレン誘導体を含有する光電変換素子。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子に用いる有機薄膜、及びその光電変換素子に関するものであリ、詳しくはベンゾオキサゾール環構造を有する化合物を含有する有機薄膜、及びその有機薄膜を適用する各種の光電変換素子、特に撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光電変換素子は例えば太陽電池や光センサ等に広く利用され、その中でも撮像素子であるイメージセンサはテレビカメラやスマートフォン搭載のカメラだけでなく、運転支援システム用途にも用いられ始めるなどのため、その用途、市場は共に広がりをみせている。
【0003】
これまでの撮像素子の材料は、Si膜やSe膜といった無機材料が使用されており、その撮像方法としてはプリズムを用い色分ける3板式と、カラーフィルターを用いた単板式の二つが主流であった。しかし、三板式は光の利用率は高いものの、プリズムを使用するため小型化が難しく、単板式はプリズムを使用しないため、小型化は比較的容易であるが、代わりにカラーフィルターを使用するため、解像度、光の利用率が悪かった(非特許文献1)。
【0004】
有機物は無機物と比較し、特定波長の光をよく吸収するため、それぞれの波長に合わせた材料を組み合わせることでプリズムを使用せずとも、三原色に対しそれぞれ光を効率よく利用できる撮像素子を構築することができる。そのため光の利用効率が高く、小型の撮像素子を作れることが可能となる。また、無機物では達成することのできない、フレキシブル性や作成プロセスにおいての塗布による大面積化といった価値を付加できる可能性がある(非特許文献2)。
【0005】
有機物を用いた光電変換素子は次世代の撮像素子への展開が期待されており、いくつかの報告がなされている。例えばキナクドリン、キナゾリン誘導体を光電変換素子に用いた例(特許文献1)、ベンゾチエベンゾチオフェン誘導体を光電変換素子に用いた例(特許文献2)、インドロカルバゾールを光電変換素子に用いた例(特許文献3)などがある。一般的に有機撮像素子は高コントラスト化、省電力化を目的とし、暗電流の低減を目指すことによって性能は向上すると考えられている。暗電流の低減のため、光電変換部と電極部の間に、正孔ブロッキング層、もしくは電子ブロッキング層を挿入する手法が用いられることもある。
【0006】
正孔ブロッキング層、並びに、電子ブロッキング層は有機エレクトロニクス分野では、一般的に使用される手法であり、それぞれデバイスの構成膜中において、電極または導電膜と、それ以外の膜の界面に配置され、正孔若しくは電子の逆移動を制御しながら、必要な電荷は速やかに移動する。特許文献4では電子ブロッキング層として最高被占分子軌道(HOMO)準位が4.7~5.8eVを持つ化合物が、電極への電荷の受け渡しを効率化するのに有効であることを提案している。
【0007】
光電変換層には高い感度が求められるが、高感度化には以下のような方法がある。
・光電変換はp型半導体とn型半導体の界面起こるため、活性層をバルクヘテロ構造とし、界面の面積を増やす。
・光吸収で生成した励起子から正孔と電子を効率的に分離するため、アクセプター性の強い化合物を活性層に使用する。
【0008】
電子ブロック層を備えた素子で、活性層をバルクヘテロ構造とした場合、電子ブロック層とn型半導体とが接する界面が生じる。アクセプター性の強い化合物をn型半導体として使用した場合、適切なエネルギー準位の化合物を電子ブロッキング層として使用しないと、特許文献5に示されるように、有機半導体材料の最高被占分子軌道(HOMO)からアクセプター性の強い化合物(特許文献5ではフラーレン誘導体)の最低空分子軌道(LUMO)への電子移動が起こり、暗電流特性が悪くなる。特許文献4で提案されているHOMO準位の電子ブロッキング層では、活性層にフラーレン誘導体のようなアクセプター性が強く、LUMO準位が深い材料を使用した場合、電子ブロッキング層のHOMO準位と活性層中のn型半導体のLUMO準位とのエネルギー準位が近くなり、活性層中のn型半導体材料から電子ブロッキング層への電子移動が起こり、暗電流特性が悪くなる。前記電子移動を起こさせないようにするためには、電子ブロッキング層に使用する材料のHOMO準位を深くする必要がある。
【0009】
また光電変換素子を光センサや有機撮像素子として使用する場合、応答速度も求められる。応答速度を大きくするには、素子に使用する材料の移動度を高める必要があるが、これまで光電変換素子の電子ブロッキング層として、深いHOMO準位を持ち、好適な正孔移動度を持つ化合物の検討はなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4945146号公報
【特許文献2】特開2018-170487号公報
【特許文献3】特開2018-085427号公報
【特許文献4】特開2011-187937号公報
【特許文献5】特許第5624987号公報
【特許文献6】特開2010-83862公報
【特許文献7】国際公開第2015/038503号
【特許文献8】国際公開番号2017/159684号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】映像情報学会メディア協会誌、60, 3, 291(2006)
【非特許文献2】Adv.Mater.28,4766(2016)
【非特許文献3】J.Org.chcm.,71,1802(2006)
【非特許文献4】J.Org.chcm.,79,6310(2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記の現状を鑑みてなされたものであり、HOMO準位が深く、優れた耐熱性、正孔輸送性を持つ化合物を利用し、光電変換素子に用いる有機薄膜を提供することにより、その有機薄膜を適用する各種の光電変換素子、特に撮像素子、及び光センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで本発明者らは上記の目的を達成するために、ベンゾオキサゾール環骨格が持つ、深いHOMO準位に着目し、さらなる正孔輸送能の向上を目指し、鋭意開発を行なった結果、ベンゾオキサゾール環構造の化合物を含む有機薄膜が前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、以下の各項に係るものである。
1)光電変換素子に用いる有機薄膜であり、前記有機薄膜は下記一般式(1)で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物を含むことである有機薄膜である。
【0015】
【0016】
式中、Ar1~Ar4はそれぞれ、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、j、k、m、n、p、q、r、sは、それぞれ独立して、0~2の整数を表す。
なお、Ar1~Ar4はそれぞれ複数個である場合、同一でも異なっていてもよい。p=1かつj=0である場合、Ar2は単結合を介してベンゾオキサゾール環の4位に結合しており、q=1かつk=0である場合、Ar3は単結合を介してベンゾオキサゾール環の6位に結合しており、r=1かつm=0である場合、Ar4は単結合を介してベンゾオキサゾール環の5位または7位に結合しており、s=1かつn=0である場合、Ar1は単結合を介してベンゾオキサゾール環の2位に結合している。)
【0017】
2)光電変換素子に用いる有機薄膜であり、前記有機薄膜は下記一般式(2)で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物を含む1)に記載の有機薄膜。
【0018】
【化2】
(2)
式中、Ar1~Ar3は、前記一般式(1)中のAr1~Ar3の定義と同じであり、j、k、n、p、q、sは、前記一般式(1)中のj、k、n、p、q、sの定義と同じである。)
【0019】
3)前記一般式(2)において、Ar1~Ar3は、下記一般式(a)~(z)からなる群より選択される構造である、2)に記載の有機薄膜。
【0020】
【0021】
式中、破線部は結合部位を示し、R1~R7は、相互に同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、相互に隣接するR1~R7は単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0022】
4)前記1)~3)のいずれか1項に記載の有機薄膜を電子ブロッキング層として含む光電変換素子。
【0023】
5)前記電子ブロッキング層の最高被占分子軌道(HOMO)準位が5.8~7.0eVであることを特徴とする4)に記載の光電変換素子。
【0024】
6)前記4)または5)に記載の光電変換素子の光電変換層に、n型半導体として、フラーレンまたはフラーレン誘導体を含有する光電変換素子。
【0025】
7)前記4)~6)のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する撮像素子。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一般式(1)等で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物を含む有機薄膜はHOMO準位が深く、正孔輸送能を持つ有機薄膜であり、各種の光電変換素子に適用できる。それにより、良い暗電流特性と変換効率を有する光電変換素子、特に撮像素子、及びこれを用いる光センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】一般式(1)で表される化合物の例として、化合物(1-1)~(1-15)の構造を示す図である。
【
図4】一般式(1)で表される化合物の例として、化合物(1-16)~(1-30)の構造を示す図である。
【
図5】一般式(1)で表される化合物の例として、化合物(1-31)~(1-45)の構造を示す図である。
【
図6】一般式(1)で表される化合物の例として、化合物(1-46)~(1-60)の構造を示す図である。
【
図7】一般式(1)で表される化合物の例として、化合物(1-61)~(1-75)の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、光電変換素子に適用する、上記一般式(1)等で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物を含む有機薄膜、及びその有機薄膜を使用することを特徴とする光電変換素子に関するものである。
【0029】
また、詳細な説明と請求の範囲にある「ないし」との用語は範囲を表す用語は、例えば「5ないし10」との記載は、「5以上10以下」を意味し、「ないし」の前後に記載される数値自体も含む範囲を表す。
【0030】
上記一般式(1)中の「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」、又は「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」又は「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基及びカルボリニル基などを挙げることができる。さらに、炭素数6ないし30のアリール基及び炭素数2ないし30のヘテロアリール基から選択することもできる。
【0031】
上記一般式(1)中の「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」、又は「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのシリル基;メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基若しくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基のような基を挙げることができ、これらの置換基は、更に前記例示した置換基で置換されていてもよい。
【0032】
本発明の化合物の合成が容易であることから、前記一般式(1)中のj、k、m、nは、0≦j+k+m+n≦6を満たす整数が好ましく、m=0かつ0≦j+k+n≦4を満たす整数がより好ましい。
【0033】
また、本発明の化合物の合成が容易であることから、前記一般式(1)中のp、q、r、sは、0≦p+q+r+s≦6を満たす整数が好ましく、r=0かつ1≦p+q+s≦5を満たす整数がより好ましい。
【0034】
本発明の化合物の耐熱性及び電荷移動度の観点から、上記一般式(1)および(2)中のAr1~Ar4が、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基であることが好ましく、前記Ar1~Ar4の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のカルバゾリル基、置換もしくは無置換のジベンゾフリル基、又は置換もしくは無置換のベンゾチエニル基であることがより好ましい。
【0035】
また、一般式(1)及び(2)中のAr1~Ar4は、下記一般式(a)~(z)からなる群より選択される構造であってもよい。
【0036】
【0037】
前記一般式(a)~(z)中のR1~R7において、「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」又は「置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」、又は「炭素原子数2ないし6の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基及び2-ブテニル基などを挙げることができる。
【0038】
前記一般式(a)~(z)中のR1~R7において、「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」又は「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」における「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」又は「炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」としては、具体的に、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1-アダマンチルオキシ基及び2-アダマンチルオキシ基などを挙げることができる。
【0039】
前記一般式(a)~(z)中のR1~R7において、「置換若しくは無置換のアリールオキシ基」における「アリールオキシ基」としては、具体的に、フェニルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ターフェニリルオキシ基、ナフチオキシル基、アントラセニルオキシ基及びフェナントレニルオキシ基などの炭素数6ないし30のアリールオキシ基を挙げることができる。
【0040】
前記一般式(a)~(z)中のR1~R7において、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」、又は「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」又は「縮合多環芳香族基」の具体例も一般式(1)において挙げられた具体例と同じである。
【0041】
前記一般式(a)~(z)中のR1~R7において、「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」、「置換縮合多環芳香族基」、「置換メチレン基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基」、又は「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」における「置換基」の具体例も一般式(1)において挙げられた具体例と同じである。
【0042】
本発明の化合物の合成が容易であることから、上記一般式(a)~(z)中のR1~R7が水素原子もしくはフェニル基であることが好ましい。
【0043】
本発明の上記一般式(1)、または式(2)で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物の中で、好ましい化合物の具体例を
図3~7に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0044】
尚、具体例のベンゾオキサゾール環構造を有する化合物は、それ自体公知の方法に準じて合成することができる(例えば、特許文献6、7、非特許文献3、4参照)
【0045】
本発明の一般式(1)または式(2)等で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物は、蒸着法、スピンコート法及びインクジェット法などの公知の方法によって有機薄膜を形成することができる。また、上記一般式(1)または式(2)等で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物は、単独で成膜してもよいが、複数種を混合して成膜することもできる。更に本発明の効果を損なわない範囲で、他の化合物と混合して成膜することもできる。
【0046】
本発明の一般式(1)または式(2)等で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物の精製はカラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法などによって行うことができる。化合物の同定は、NMR分析によって行うことができる。物性値として、ガラス転移点(Tg)、HOMO準位、及び正孔移動度の測定を行うことが好ましい。ガラス転移点(Tg)は薄膜状態の安定性の指標となるものであり、HOMO準位は暗時におけるn型半導体からの電荷移動を抑制する指標となるものであり、正孔移動度は正孔輸送能の指標となるものである。
【0047】
ガラス転移点(Tg)は、粉体を用いて高感度示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス製、DSC3100SA)によって求めることができる。ガラス転移温度(Tg)は、加熱工程を有する製造プロセスへの適用や保存性の向上の観点から、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。
【0048】
HOMO準位は、ITO基板の上に真空蒸着により100nmの有機膜を作製して、イオン化ポテンシャル測定装置(住友重機械工業株式会社製、PYS-202)によって求めることができる。HOMO準位は、n型半導体との界面電荷の移動を抑制の観点から、5.8eV~7.0eVの範囲内のエネルギー準位が好ましく、5.9~6.6eVの範囲内のエネルギー準位がより好ましい。
【0049】
正孔移動度は、ITO基板の上に真空蒸着により3~4μmの有機膜を作製して、タイムオブフライト測定装置(オプテル社製、TOF―401)によって求めることができる。正孔移動度は、光電変換層で発生した正孔を効率良く陽極へ輸送する観点から、電界強度0.25MV/cmにおける正孔移動度が、1.0E-07(cm2/Vs)以上であることが好ましく、1.0E-06(cm2/Vs)以上であることがより好ましい。
【0050】
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、光エネルギーを電気に変換する素子のことを指す。本発明の光電変換素子は、少なくとも陽極、電子ブロッキング層、光電変換層および陰極をこの順に有するものである。
図1は本発明の光電変換素子の一つの構成例である。
図1に示す実施形態は、基板1/陽極2/電子ブロッキング層3/光電変換層4/陰極5の順で積層されてなる光電変換素子である。また、本発明の光電変換素子は、
図2に示す実施形態のように、基板1/陰極5/光電変換層4/電子ブロッキング層3/陽極2の順で積層されたものであってもよい。しかしながら、本発明の光電変換素子は、
図1及び
図2に示す態様に限定されるものではない。また、本発明の光電変換素子は、少なくとも陽極、電子ブロッキング層、光電変換層および陰極を上記の順に有している限り、各層の間に他の層を有する態様を排除するものではない。
【0051】
<基板>
本発明の光電変換素子における基板としては、特に限定は無く、ガラス基板、プラスチック基板等を用いることができ、また透明であっても不透明であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、有機無機ハイブリッド樹脂等のプラスチック基板、ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウムスズ酸化物等の無機基板、金、銅、クロム、チタン、アルムニウム等の金属基板等を挙げることができる。これらのうち、トランジスタの形成の観点から、ガラス、及びシリコンが好ましい。
【0052】
<電子ブロッキング層>
本発明の光電変換素子における電子ブロッキング層は、上記一般式(1)等で表されるベンゾオキサゾール環構造を有する化合物を含む。
【0053】
<光電変換層>
本発明の光電変換素子における光電変換層は、有機材料でも無機物でもよく、受光した光量に応じた信号電荷を発生することができればよい。光電変換層が有機材料の場合、その有機半導体膜は、一層であっても複数の層であってもよく、一層の場合はp型有機半導体膜、n型有機半導体膜、又はp型有機半導体及びn型有機半導体の混合膜(バルクヘテロ構造)が用いられる。また、複数の層である場合は、p型有機半導体膜、n型有機半導体膜、又はp型有機半導体及びn型有機半導体混合膜のいずれか2つ以上を積層した構造であり、層間にバッファ層を挿入することも可能である。これらのうち、p型有機半導体及びn型有機半導体の混合膜(バルクヘテロ構造)からなる構造がより好ましく、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を2種以上含有してもよい。
【0054】
前記p型有機半導体はドナー性の有機半導体であり、主に正孔輸送性の有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある化合物である。
p型半導体としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、複素環化合物を配位子とする金属錯体、ベンゾチオフェン誘導体、イソベンゾチオフェン誘導体、ジナフトチエノチオフェン誘導体、ジアントラセノチエノチオフェン誘導体、ベンゾビスベンゾチオフェン誘導体、チエノビスベンゾチオフェン、ジベンゾチエノビスベンゾチオフェン誘導体、ジチエノベンゾジチオフェン誘導体、ジベンゾチエノジチオフェン誘導体、ベンゾジチオフェン誘導体、ナフトジチオフェン誘導体、アントラセノジチオフェン誘導体、テトラセノジチオフェン誘導体、ペンタセノジチオフェン誘導体に代表されるチエノアセン系材料やトリアリールアミン化合物、カルバゾール化合物といったアミン系誘導体、インデノカルバゾール誘導体、含酸素複素環式化合物(フラン誘導体、イソベンゾフラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ベンゾジフラン誘導体、オキサゾール誘導体、イソオキサゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンズイソオキサゾール誘導体、シクロペンタジフラン誘導体等)などを挙げることができる。
【0055】
前記n型有機半導体は、アクセプター性有機半導体であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン、アントラセン、フラーレン、フェナントレン、テトラセン、ピレン、ペリレン、フルオランテン、又はこれらの誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、フタルイミド、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これに限らず、上記したように、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いてよい。これらのうち、フラーレン、及びフラーレン誘導体が好ましく、C60フラーレン、及びC60フラーレン誘導体がより好ましい。
【0056】
<正孔ブロッキング層>
本発明の光電変換素子では、陰極と光電変換層の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。電子輸送層を形成する材料として、特に限定されるものではないが、アクセプター性有機半導体が好ましい。例えば、ピリジン、キノリン、アクリジン、インドール、イミダゾールベンズイミダゾール、フェナントロリンのような含窒素複素環を含む有機分子及び有機金属錯体で、更に可視光領域の吸収が少ない材料が好ましい。また、5nmから30nm程度の薄膜で形成する場合には可視光領域に吸収を有するフラーレン及びその誘導体などを用いることもできる。
【0057】
<電極(陽極・陰極)>
陽極、陰極としては一般に電極として用いられている導電材料であれば特に制限はなく、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属硼化物、有機導電性化合物、これらの混合物等が挙げられる。具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムタングステン(IWO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化チタン等の導電性金属酸化物、酸化窒化チタン(TiNxOx)、窒化チタン(TiN)等の金属窒化物、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性化合物、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。
【0058】
以下、本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0059】
<4,6-ビス(4-ナフタレン-1-イル-フェニル)-2-(4-ピリジン-3-イル-フェニル)-ベンゾオキサゾール(化合物1-1)の合成>
反応容器に、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(4-ナフタレン-1-イル-フェニル)-ベンゾオキサゾール4.5g、3-ピリジルボロン酸1.0g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.32g、トリシクロヘキシルホスフィン0.4g、リン酸三カリウム4.7gを加え、一晩還流撹拌した。放冷した後、分液、水層から酢酸エチルを加え抽出を行った後、濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル)によって精製した後、ジクロロメタン/メタノールによる晶析を行うことで、4,6-ビス(4-ナフタレン-1-イル-フェニル)-2-(4-ピリジン-3-イル-フェニル)-ベンゾオキサゾールの白色粉体1.8g(収率38%)を得た。
【0060】
【0061】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
【0062】
1H-NMR(CDCl3)で以下の32個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.98(1H)、8.68(1H)、8.52(2H)、8.34(2H)、8.12(1H)、8.07-7.89(10H)、7.82(2H)、7.76(2H)、7.69(2H)、7.64(9H)。