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  • 特開-液体クロマトグラフ 図1
  • 特開-液体クロマトグラフ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123952
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20220818BHJP
   G01N 30/24 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G01N30/86 R
G01N30/24 A
G01N30/86 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021432
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 覚
(57)【要約】      (修正有)
【課題】必要以上に長い時間にわたって分析が実行されることを防止できるようにする。
【解決手段】移動相を送液する送液ポンプ4、移動相中に試料を注入するためのインジェクタ6、試料の成分を分離するための分離カラム8、分離された成分を検出するための検出器10、送液ポンプ4及びインジェクタ6の動作を管理するためのコントローラ12を備える。コントローラ12は、クロマトグラムにおけるピーク数についてのユーザによる設定値を記憶する設定値記憶部14と、分析が開始されてからのクロマトグラムにおけるピーク数をカウントするピークカウンタ18を備え、ピークカウンタ18によりカウントされたピーク数が設定値に達したことを実行中の分析の終了トリガとして検出するように構成された終了トリガ検出部20を備える。終了トリガ検出部20が終了トリガを検出したことに基づいて実行中の分析を終了させるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動相を送液するための送液ポンプと、
前記送液ポンプにより送液される移動相が流れる分析流路と、
前記分析流路を流れる移動相中に試料を注入するためのインジェクタと、
前記分析流路上に設けられ、前記インジェクタにより移動相中に注入された試料の成分を分離するための分離カラムと、
前記分析流路上における前記分離カラムの下流に設けられ、前記分離カラムにおいて分離された成分を検出するための検出器と、
前記送液ポンプ及び前記インジェクタの動作を管理するためのコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記インジェクタにより前記移動相中に試料が注入されることによって開始される分析中に得られるクロマトグラムにおけるピーク数についてのユーザによる設定値を記憶する設定値記憶部と、
前記分析が開始されてからの前記クロマトグラムにおけるピーク数をカウントするように構成されたピークカウンタと、
前記ピークカウンタによりカウントされた前記分析が開始されてからのピーク数が前記設定値に達したことを実行中の前記分析の終了トリガとして検出するように構成された終了トリガ検出部と、を備え、かつ、
前記終了トリガ検出部が前記終了トリガを検出したことに基づいて実行中の前記分析を終了させるように構成されている、液体クロマトグラフ。
【請求項2】
前記コントローラは、前記終了トリガ検出部が前記終了トリガを検出してから所定時間が経過したときに実行中の前記分析を終了させるように構成されている、請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項3】
前記コントローラは、予め設定された最大分析時間を記憶する分析時間記憶部をさらに備え、前記終了トリガ検出部が前記終了トリガを検出する前に前記分析が開始されてからの経過時間が前記最大分析時間に達したときに、当該分析を終了させるように構成されている、請求項1又は2に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項4】
前記コントローラは、予め設定された分析プログラムに基づいて、複数の試料についての分析を順次実行するように構成されており、
前記分析時間記憶部は前記複数の試料のそれぞれについての前記最大分析時間を記憶している、請求項1又は2に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項5】
前記コントローラは、予め設定された分析プログラムに基づいて、複数の試料についての分析を順次実行するように構成されており、
前記設定値記憶部は、前記複数の試料のそれぞれについての前記設定値を記憶しており、
前記終了トリガ検出部は、前記複数の試料のそれぞれの分析において各試料についての前記設定値を用いて前記終了トリガを検出するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項6】
前記コントローラは、前記終了トリガ検出部の有効化及び無効化を、ユーザによる指示に基づいて及び/又は自動的に、切り替えるように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフでは、分析を開始してから予め設定された分析時間が経過したときにその分析を終了するように分析プログラムを組むことが多い(特許文献1参照)。この場合、ユーザは、試料のプレ分析を行なって必要な成分のピークが検出されるまでにどの程度の時間を要するかを確認し、分析時間を設定する。同じ分析条件で複数の試料の連続分析を行なう場合、分離カラムでの保持時間が長い成分を含む試料に合わせて分析時間を設定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-138248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単一組成の移動相を用いるアイソクラティック法で複数の試料の連続分析を行なう場合に、分離カラムでの保持時間が長い化合物は分離カラムからの溶出が極端に遅くなってしまうことがある。そのような化合物を含む試料に合わせて分析時間を設定すると、その他の試料の分析も必要以上に長く実行され、不要な分析データをとり続けることになる。その結果、複数の試料についての全ての分析が終了するまでの時間が長くなる上、必要以上に大きな容量の分析データが蓄積されるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、必要以上に長い時間にわたって分析が実行されることを防止できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体クロマトグラフは、移動相を送液するための送液ポンプと、前記送液ポンプにより送液される移動相が流れる分析流路と、前記分析流路を流れる移動相中に試料を注入するためのインジェクタと、前記分析流路上に設けられ、前記インジェクタにより移動相中に注入された試料の成分を分離するための分離カラムと、前記分析流路上における前記分離カラムの下流に設けられ、前記分離カラムにおいて分離された成分を検出するための検出器と、前記送液ポンプ及び前記インジェクタの動作を制御するためのコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記インジェクタにより前記移動相中に試料が注入されることによって開始される分析中に得られるクロマトグラムにおけるピーク数についてのユーザによる設定値を記憶する設定値記憶部と、前記分析が開始されてからの前記クロマトグラムにおけるピーク数をカウントするように構成されたピークカウンタと、前記ピークカウンタによりカウントされた前記分析が開始されてからのピーク数が前記設定値に達したことを実行中の前記分析の終了トリガとして検出するように構成された終了トリガ検出部と、を備え、かつ、前記終了トリガ検出部が前記終了トリガを検出したことに基づいて実行中の前記分析を終了させるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コントローラは、分析中に得られるクロマトグラムにおけるピーク数についてのユーザによる設定値を記憶しており、分析が開始されてからクロマトグラムにおけるピーク数をカウントし、ピーク数が設定値に達したことを実行中の分析の終了トリガとして検出するように構成されているので、ユーザが所望するピークが検出された時点を基準として分析が終了するようになる。これにより、必要以上に長い時間にわたって分析が実行されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体クロマトグラフの一実施例を示す概略構成図である。
図2】同実施例の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る液体クロマトグラフの一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1に示されているように、液体クロマトグラフは、分析流路2を備え、その分析流路2内を送液ポンプ4によって送液される移動相が流れる。分析流路2上には、インジェクタ6、分離カラム8及び検出器10が設けられている。インジェクタ6は、分析流路2を流れる移動相中に試料を注入する。分離カラム8は、分析流路2上におけるインジェクタ6の下流に設けられ、移動相中に注入された試料の成分を分離するためのものである。検出器10は、分析流路2上における分離カラム8の下流に設けられ、分離カラム8において分離された成分を検出するためのものである。
【0011】
送液ポンプ4及びインジェクタ6の動作はコントローラ12によって管理される。コントローラ12は、CPU(中央演算装置)及び情報記憶装置などを備えた1又は2以上のコンピュータ装置によって実現される。
【0012】
コントローラ12は、設定値記憶部14、分析時間記憶部16、ピークカウンタ18及び終了トリガ検出部20を備えている。設定値記憶部14及び分析時間記憶部16は、情報記憶装置の一部の記憶領域によって実現される機能であり、ピークカウンタ18及び終了トリガ検出部20は、所定のプログラムがCPUによって実行されることによって実現される機能である。
【0013】
設定値記憶部14は、試料の分析によって得られるクロマトグラム上で検出されるピーク数についてのユーザによる設定値を記憶する。このピーク数についての設定値は、試料の分析の終了タイミングを規定するためのものである。すなわち、ユーザは、分析を終了するタイミングをクロマトグラム上のピーク数によって予め規定しておくことができる。分析すべき試料が複数存在する場合、ユーザは、分析の終了タイミングを規定するピーク数の設定を試料ごとに行なうことができる。設定値記憶部14には、ユーザによって設定された試料ごとのピーク数についての設定値が記憶される。
【0014】
分析時間記憶部16は、1つの分析が開始されてから終了するまでの最大時間、すなわち、最大分析時間を記憶する。最大分析時間は、ユーザによって設定されたものであってもよいし、規定のものであってもよい。また、分析すべき試料が複数存在する場合、試料ごとに最大分析時間を設定して分析時間記憶部16に記憶させることもできる。
【0015】
ピークカウンタ18は、試料の分析が開始されてから、予め設定されたピークの検出条件に基づいてクロマトグラム上のピークを検出し、検出したピークの数をカウントするように構成されている。ピークの検出条件としてクロマトグラムの傾きを含むことができる。その場合、傾きが所定のしきい値を超えたときにピークの開始点を検出し、傾きが所定のしきい値を下回ったときにピークの終了点を検出する。また、ピークの検出条件としてピークレベルを含むこともできる。ピークレベルをピークの検出条件に含むことで、一定レベル以上のピークのみをピークとしてピークカウンタ18にカウントさせることができる。
【0016】
終了トリガ検出部20は、試料の分析が開始されてからピークカウンタ18によってカウントされたピーク数が設定値記憶部14に記憶されている設定値に達したことを実行中の分析の終了トリガとして検出するように構成されている。
【0017】
コントローラ12は、終了トリガ検出部20による終了トリガの検出に基づいて、実行中の分析を終了させる。また、コントローラ12は、分析が開始されてからの経過時間が分析時間記憶部16に記憶されている最大分析時間を経過したときは、終了トリガ検出部20が終了トリガを検出していなくても実行中の分析を終了させ、不要な分析データを採取し続けることを防止する。なお、分析を終了させる動作には、分析データの採取を終了する動作を含むことができる。分析を終了することにより、次の試料の分析へ移行することができる。
【0018】
この実施例の動作の一例について、図1とともに図2のフローチャートを用いて説明する。
【0019】
前提として、ユーザは、試料ごとに分析終了のタイミングを規定するためのピーク数を予め設定しており、その設定値が設定値記憶部14に記憶されている。ユーザが連続分析の開始の指示をコントローラ12に対して入力すると、コントローラ12は、移動相の流量の調整や分析すべき試料の採取といった分析準備が実行されるように送液ポンプ4及びインジェクタ6を制御し(ステップ101)、分析準備が完了するとインジェクタ6に試料注入を実行させる(ステップ102)。これにより、試料の分析が開始される。
【0020】
試料の分析が開始されると、コントローラ12のピークカウンタ18は、検出器10からの出力信号に基づいて得られるクロマトグラムにおけるピーク数のカウントを開始する(ステップ103)。終了トリガ検出部20は、ピークカウンタ18によりカウントされるピーク数を監視している(ステップ104)。ピークカウンタ18によりカウントされるピーク数がその試料に対して設定された値に達すると(ステップ104:Yes)、終了トリガ検出部20は分析の終了トリガを検出する(ステップ106)。コントローラ12は、終了トリガ検出部20が終了トリガを検出してから所定時間が経過したときに実行中の分析を終了させる(ステップ107)。
【0021】
また、コントローラ12は、試料の分析が開始されてからの経過時間を計測している。そして、経過時間が最大分析時間に達したときは(ステップ105:Yes)、終了トリガ検出部20が終了トリガを検出していなくても実行中の分析を終了させる(ステップ107)。
【0022】
コントローラ12は、分析を終了させた後(ステップ107)、次に分析すべき試料があるか否かを予め設定された分析プログラムに基づいて確認し(ステップ108)、次に分析すべき試料がある場合はステップ101~107を繰り返す。
【0023】
なお、コントローラ12におけるトリガ検出部20の機能は、必要に応じて有効/無効を切り替えることができるようになっていてもよい。終了トリガ検出部20の機能の有効/無効の切替えは、ユーザが任意に実行できるようになっていてもよいし、移動相の平衡化を実行する際などにコントローラ12が自動的に終了トリガ検出部20の機能を無効にするようになっていてもよい。
【0024】
以上において説明した実施例は本発明に係る液体クロマトグラフの実施形態の一例にすぎず、本発明に係る液体クロマトグラフの実施形態は以下に示すとおりである。
【0025】
本発明に係る液体クロマトグラフの一実施形態では、移動相を送液するための送液ポンプと、前記送液ポンプにより送液される移動相が流れる分析流路と、前記分析流路を流れる移動相中に試料を注入するためのインジェクタと、前記分析流路上に設けられ、前記インジェクタにより移動相中に注入された試料の成分を分離するための分離カラムと、前記分析流路上における前記分離カラムの下流に設けられ、前記分離カラムにおいて分離された成分を検出するための検出器と、前記送液ポンプ及び前記インジェクタの動作を管理するためのコントローラと、を備えている。そして、前記コントローラは、前記インジェクタにより前記移動相中に試料が注入されることによって開始される分析中に得られるクロマトグラムにおけるピーク数についてのユーザによる設定値を記憶する設定値記憶部と、前記分析が開始されてからの前記クロマトグラムにおけるピーク数をカウントするように構成されたピークカウンタと、前記ピークカウンタによりカウントされた前記分析が開始されてからのピーク数が前記設定値に達したことを実行中の前記分析の終了トリガとして検出するように構成された終了トリガ検出部と、を備え、かつ、前記終了トリガ検出部が前記終了トリガを検出したことに基づいて実行中の前記分析を終了させるように構成されている。
【0026】
上記一実施形態の第1態様では、前記コントローラは、前記終了トリガ検出部が前記終了トリガを検出してから所定時間が経過したときに実行中の前記分析を終了させるように構成されている。
【0027】
上記一実施形態の第2態様では、前記コントローラは、予め設定された最大分析時間を記憶する分析時間記憶部をさらに備え、前記終了トリガ検出部が前記終了トリガを検出する前に前記分析が開始されてからの経過時間が前記最大分析時間に達したときに、当該分析を終了させるように構成されている。このような態様により、極端に溶出の遅い化合物に起因して分析が長くなり、それによって不要なデータ採取が続行されるという事態を防止できる。この第2態様は上記第1態様と組み合わせることができる。
【0028】
上記第2態様において、前記コントローラは、予め設定された分析プログラムに基づいて、複数の試料についての分析を順次実行するように構成されていてもよく、その場合には、前記分析時間記憶部は前記複数の試料のそれぞれについての前記最大分析時間を記憶するようになっていてもよい。
【0029】
上記一実施形態の第3態様では、前記コントローラは、予め設定された分析プログラムに基づいて、複数の試料についての分析を順次実行するように構成されており、前記設定値記憶部は、前記複数の試料のそれぞれについての前記設定値を記憶しており、前記終了トリガ検出部は、前記複数の試料のそれぞれの分析において各試料についての前記設定値を用いて前記終了トリガを検出するように構成されている。このような態様により、複数の試料のそれぞれに応じた分析の終了タイミングを規定することが可能になる。この第3態様は、上記第1態様及び/又は第2態様と組み合わせることができる。
【0030】
上記一実施形態の第4態様では、前記コントローラは、前記終了トリガ検出部の有効化及び無効化を、ユーザによる指示に基づいて及び/又は自動的に、切り替えるように構成されている。このような態様により、必要に応じてピーク数による分析の終了タイミングの設定を無効化することができ、分析の終了タイミングを分析開始からの経過時間のみによって規定するなど、分析の終了タイミングについて柔軟な設定が可能になる。この第3態様は、上記第1態様、第2態様及び/又は第3態様と組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0031】
2 分析流路
4 送液ポンプ
6 インジェクタ
8 分離カラム
10 検出器
12 コントローラ
14 設定値記憶部
16 分析時間記憶部
18 ピークカウンタ
20 終了トリガ検出部
図1
図2