(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123956
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】お茶淹れ用具及びお茶淹れ方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/00 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
A47J31/00 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021439
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】518322388
【氏名又は名称】株式会社IPM研究社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】鶴藤 友義
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA01
4B104BA53
4B104BA56
4B104BA82
4B104BA83
4B104BA85
4B104BA90
4B104EA20
4B104EA22
4B104EA30
4B104EA33
(57)【要約】
【課題】熟練者でなくても簡単にお茶を美味しく淹れることが可能なお茶淹れ用具を提供する。
【解決手段】本発明のお茶入れ用具は、水を収容可能な容器10と、茶葉の量と水量に関する比率を、倍水毎に適切な成分浸出温度と共に表示した複数の淹れ方を示す淹れ方テーブル20と、所定量の加熱した水を容器10に入れてから茶葉に適した温度になるまでの第1の時間、及び、第1の時間が経過した後、容器10に入れる茶葉に適した成分浸出時間である第2の時間を管理するタイマ30と、容器10内に入れた茶葉の成分浸出の促進、又は、成分浸出調整することが可能な回動手段40と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を収容可能な容器と、
茶葉の量と水量に関する比率を、倍水毎に適切な成分浸出温度と共に表示した複数の淹れ方を示す淹れ方テーブルと、
所定量の加熱した水を前記容器に入れてから茶葉に適した温度になるまでの第1の時間、及び、前記第1の時間が経過した後、前記容器に入れる茶葉に適した成分浸出時間である第2の時間を管理するタイマと、
前記容器内に入れた茶葉の成分浸出の促進、又は、成分浸出調整することが可能な回動手段と、
を有することを特徴とするお茶淹れ用具。
【請求項2】
前記容器には、収容される水の量がわかる水量目盛り、及び/又は、収容される湯の熱を吸収する吸熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のお茶淹れ用具。
【請求項3】
前記容器、淹れ方テーブル、タイマ、回動手段は、1つの収容ボックス内に収容されてセット化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のお茶淹れ用具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のお茶淹れ用具を用いて前記容器に加熱した水と茶葉を入れた際のお茶淹れ方法であり、
前記淹れ方テーブルに表示されている複数の比率表示は、それぞれ茶葉の量が同じに設定されており、
前記容器に加熱した水を入れてから、容器に入れる茶葉に適した温度になるまでの前記タイマで報知した前記第1の時間に基づいて、第2の成分浸出時間の成分浸出を開始することを特徴とするお茶淹れ方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のお茶淹れ用具を用いて前記容器に加熱した水と茶葉を入れた際のお茶淹れ方法であり、
前記容器には、前記淹れ方テーブルの比率表示の水量に関係なく、前記容器内の加熱された水が容器に入れる茶葉に適した温度になるまでの前記第1の時間を一定にする吸熱手段が設けられており、
前記容器に加熱した水を入れてから、容器に入れる茶葉に適した温度になるまでの前記第1の時間を、同じになるように時間管理して前記タイマで報知することを特徴とするお茶淹れ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉から成分を浸出させるのに用いられるお茶淹れ用具、及び、お茶を淹れる方法に関し、特に、一人用の比較的少ない量を淹れる場合に適するお茶淹れ用具、及び、お茶淹れ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、煎茶、玉露等の日本茶を淹れる場合、陶磁器製の急須を用いることがある。このような急須を用いてお茶を淹れる手順としては、熱湯を湯冷まし容器又は湯飲みに注いで温度を下げてから、その所定温度に低下したお湯と茶葉を急須に入れて成分を浸出させ、所定時間が経過した後、急須のお茶を湯飲みに注いでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記したようなお茶の淹れ方は、工程が複雑であり、実際のお湯の温度も大きくばらつき易く、相当の熟練者でないと美味しく淹れることができない。
【0004】
本発明は、熟練者でなくても簡単にお茶を美味しく淹れることが可能なお茶淹れ用具、及び、お茶を淹れるお茶淹れ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係るお茶淹れ用具は、水を収容可能な容器と、茶葉の量と水量に関する比率を、倍水毎に適切な成分浸出温度と共に表示した複数の淹れ方を示す淹れ方テーブルと、所定量の加熱した水を前記容器に入れてから茶葉に適した温度になるまでの第1の時間、及び、前記第1の時間が経過した後、前記容器に入れる茶葉に適した成分浸出時間である第2の時間を管理するタイマと、前記容器内に入れた茶葉の成分浸出の促進、又は、成分浸出調整することが可能な回動手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
上記したお茶淹れ用具では、淹れ方テーブルに基づいて、容器に所定量の加熱した水を注いだ後、タイマによって、飲もうとする茶葉にとって最適な温度になるまでの時間(第1の時間)が管理でき、かつ、第1の時間が経過したときに、茶葉を投入して成分が浸出する最適の時間(第2の時間)が管理できるので、熟練者でなくても美味しいお茶を簡単に淹れることができる。また、お茶を淹れる際には、回動手段によって成分浸出調整ができるので、成分の浸出状況(色の状態)を目視することで、お茶を淹れる人にとって最適な状態になったときに茶葉を取り出すこともできる。
【0007】
また、本発明は、上記したお茶淹れ用具を用いて、前記容器に加熱した水と茶葉を入れた際のお茶淹れ方法であり、前記淹れ方テーブルに表示されている複数の比率表示は、それぞれ茶葉の量が同じに設定されており、前記容器に加熱した水を入れてから、容器に入れる茶葉に適した温度になるまでの前記タイマで報知した前記第1の時間に基づいて、第2の成分浸出時間の成分浸出を開始することを特徴とする。
【0008】
淹れ方テーブルに表示されている茶葉の量と水量に関する比率の表示(倍水表示)は、茶葉の量を一定にすることで、低倍水の場合は水量が少なくなり、高倍数の場合は水量が多くなる。淹れ方テーブルにおいて、低倍数で飲む茶葉は、茶葉のうまみ成分を浸出させることで成分浸出温度を低く、高倍数で飲む茶葉は、茶葉の渋み成分を浸出させることで成分浸出温度を高くなるようにすることで、前記第1の時間を略同じに設定することができ、お茶を淹れる操作をより簡単にすることができる。
【0009】
また、本発明は、上記したお茶淹れ用具を用いて、前記容器に加熱した水と茶葉を入れた際のお茶淹れ方法であり、前記容器には、前記淹れ方テーブルの比率表示の水量に関係なく、前記容器内の加熱された水が容器に入れる茶葉に適した温度になるまでの前記第1の時間を一定にする吸熱手段が設けられており、前記容器に加熱した水を入れてから、容器に入れる茶葉に適した温度になるまでの前記第1の時間を、同じになるように時間管理して前記タイマで報知することを特徴とする。
【0010】
上記したお茶淹れ用具の容器に吸熱手段を設けることで、淹れ方テーブルの倍水の茶葉に適した成分浸出温度度にする時間(第1の時間)を略一定にすることができるので、お茶を淹れる操作をより簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熟練者でなくても簡単に美味しいお茶を淹れることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るお茶淹れ用具の一構成例を示す図であり、収容例を示す図。
【
図2】
図1に示すお茶淹れ用具において、箱の蓋を外してその構成要素を示す平面図。
【
図3】
図2に示した構成要素の内、箱本体から容器とタイマを取り出した状態を示す平面図。
【
図4】回動手段を用いて容器内でお茶を淹れている状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るお茶淹れ用具の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明は、茶葉(ここでの茶葉とは、緑茶、紅茶、花、果実、根等の各種の植物素材を意味し、これをお茶と総称する)から成分浸出する際に用いられるお茶淹れ用具であり、熟練者でなくても美味しいお茶を簡便に淹れるように構成されたものとなっている。お茶については、ティーバッグのような袋に収容して成分を浸出するものであっても良いし、茶葉を投入して直接成分を浸出するものであっても良い。
【0014】
図1から
図4は、本実施形態に係るお茶淹れ用具1の一構成例を示す図である。お茶淹れ用具1は、水を収容可能な容器10と、茶葉の量と水量に関する比率(倍水)を、倍水毎に適切な成分浸出温度と共に表示した複数の淹れ方を示した淹れ方テーブル20と、所定量の加熱した水を前記容器に入れてから茶葉に適した温度になるまでの第1の時間、及び、前記第1の時間が経過した後、前記容器に入れる茶葉に適した成分浸出時間である第2の時間を管理するタイマ30と、容器内に入れた茶葉の成分浸出の促進、又は、成分浸出調整することが可能な回動手段40と、を有する。
【0015】
本実施形態では、容器10、淹れ方テーブル20、タイマ30、回動手段40が1つの収容ボックス(箱体)3に収容されており、収容ボックス3の台座(下箱)3Aに、これらの構成部品を設置する容器載置部3a、タイマ載置部3b、回動手段載置部3cが設けられている。そして、各載置部に容器10、タイマ30、回動手段40を設置して蓋体(カバー)3Bを被せることで、お茶淹れ用具をセット化している。この場合、本実施形態では、タイマ載置部3bに、そのまま淹れ方テーブル20を配設しており、タイマ30を取り外すと、淹れ方テーブル20が視認できるようになっているが、淹れ方テーブル20については、収容ボックスの外側面や蓋体3Bの内面に表示しても良いし、シートや冊子として収容ボックス内に収容しても良い。また、台座3Aに設けられる各載置部には、滑り止めを設けたり、各部材と同形状の収容凹部を設けておく等、収容ボックス3を搬送しても、内部に収容されている部材が一定位置に保持されるようにすることが好ましい。
【0016】
このようにお茶淹れ用具をセット化することで、扱い易く、操作方法も標準化することができるので、効率よくお茶を淹れることができる。また、保管や搬送も易く、部品の紛失を防止することができる。なお、図に示した収容ボックス3の構成は一例であり、その形状、各部品の収容態様や取り出し方法については限定されることはない。
【0017】
前記水を収容する容器10は、例えば、陶磁器や金属等の素材でティーカップや湯飲みとして構成することができ、そのままお茶を淹れて飲むことができるようになっている。本実施形態では、茶葉の成分浸出状態(浸出した成分の色やにごり)が把握し易いように、白色の白磁器で構成されたカップ形態となっており、取手11を持ってそのまま中で淹れたお茶を飲むことができるようになっている。この容器10については、真空構造のマグカップやアルミカップにする等、その素材や形状については限定されることはなく、また、単にお茶を淹れるものとして構成しても良い。例えば、取手及び注出口を有し、中で淹れたお茶を別の湯飲み等に注いで飲むような形態(急須のような形態)であっても良い。また、容器10の内側面には、注いだ水量が分かるように、目盛りや、水量が把握できる印などを付しておく(デザイン化しても良い)ことが好ましい。或いは、湯を沸かすポット側で水量を管理することで、容器10に入れる水量を把握するようにしても良い。
【0018】
前記淹れ方テーブル20には、淹れる茶葉の量(g)と水量(cc)に関する比率を表示(倍水表示)した項目が含まれている。本実施形態では、例えば、玉露やかぶせ茶等の茶葉を用いた際に、うまみ成分を浸出するように淹れるのに最適な条件(10倍水、20倍水、30倍水)、及び、それに適した温度(成分浸出温度)が表記されている。更には、煎茶やほうじ茶等のような茶葉を用いた際に、渋み成分を浸出するように淹れるのに最適な条件(50倍水、70倍水、100倍水)、及び、それに適した温度(成分浸出温度)が表記されている。
【0019】
本実施形態では、淹れ方テーブル20に表示されている複数の倍水表示に関しては、それぞれ茶葉の量が同じ(2g)に設定されている。この2gは、一般に市販されているティーバッグと略同量となっており、一人分のお茶を淹れるに際して適切な量であるとともに、うまみ成分を浸出させたり渋み成分を浸出させるに際して、適温範囲になるまでの時間を一定に管理できるようにしている(熟練者でなくても、その倍水表示のお茶を簡単に美味しく淹れるようにしている)。すなわち、倍水が低いと、それに伴って水量も少なくなり、倍水が高いと、それに伴って水量も多くなる。水量が少ないと、加熱した水を容器10に注いでから温度が低下し易いが、水量が多いと、加熱した水を容器10に注いでから温度が低下し難くなる。
【0020】
この場合、倍水が低い茶葉としては、うまみ成分を楽しむお茶(例えば玉露やかぶせ茶など)が適しており、その成分浸出温度は低い。また、倍水が高い茶葉は、渋み成分のバランスを楽しむお茶(例えば煎茶や紅茶など)が適しており、その成分浸出温度は高い。このため、加熱した水を容器10に注いでから、適切な成分浸出温度になるまでの時間(第1の時間)については、最初に容器10に入れる段階での水の温度を明確にしておくことで略一律に管理することが可能となる。例えば、電気ポットで熱湯(90℃)に加熱した状態で容器10に注ぐ、或いは、温度設定の無い湯沸かし器では、沸騰状態(96~100℃)を避けて沸騰状態がおさまってから容器10に注ぐ等、最初に容器10に注ぐときの水の温度を明確にしておけば、倍水が低いと成分浸出温度は低く、倍水が高いと成分浸出温度は高いので、容器10に注いでから、適切な成分浸出温度に下がるまでの時間は略一定となる。すなわち、ユーザは、容器10に好みの倍数に応じた加熱された水を注いだ後、所定の時間(例えば1分)を時間管理するだけで、淹れようとする茶葉にとって最適な温度条件にすることができ、温度を気にすることなく、簡単に美味しいお茶を淹れるのに適した温度に設定することができる。
【0021】
また、淹れ方テーブル20における成分浸出温度は、この実施形態では10℃の範囲(例えば50~60℃)を設けているが、この温度範囲の設定は、それよりも小さくしても良いし、大きくしても良い(例えば、5℃~12℃の範囲に設定することができる)。
温度範囲を広く設定するのは、例えば、20倍水設定のとき、59℃で成分浸出開始して2分後に茶葉を分離したときの温度が53℃に低下した場合、温度の自然低下は6度であり、成分浸出の平均温度は56度になる。つまり、温度変化を考慮した淹れ方テーブルとしている。また、仮に想定以上の温度変化が生じた場合でも、後述する回動手段により成分浸出調整することができるため、簡単に美味しいお茶を淹れることができる。
【0022】
なお、上記した淹れ方テーブル20は、ユーザが購入した茶葉を生産する茶園が推奨する温度条件に設定したものを用いても良い。また、倍水についても、200倍水、300倍水(倍水は無限に存在する)など、様々な倍水での条件が記載されていても良い。この場合、倍水(水量)に応じて、容器10に、加熱された水を入れてからの時間(前記第1の時間)については、ユーザが管理しても良い。例えば、紅茶のように90℃で淹れたい場合、容器10に熱湯を入れてから、すぐ茶葉を入れるなど、第1の時間管理については、ユーザで管理するようにしても良い。
【0023】
また、淹れ方テーブル20に、水量に応じて、加熱された水の温度と経過時間との関係を示す項目を設けておいても良い。すなわち、全ての倍水で、温度がその茶葉にとって適切な成分浸出温度になるのを同じとなるように時間管理することが困難な場合、例えば、特定の倍水毎に1分又は2分を選択する等の形で設定するようにしても良い。また、倍水を分類し、特定のグループ内で時間が同じになるように設定しても良い。
【0024】
さらに、ユーザが1つの茶葉を淹れる場合であっても、上記した淹れ方テーブル20をそのまま利用することが可能である。例えば、煎茶を淹れる場合、上記した淹れ方テーブル20に基づいて、成分浸出温度になるようにしても良い。この場合、倍水が低いと比較的うまみが感じられるお茶を淹れることができ、倍水が高いと渋みが感じられるお茶を淹れることができる。
【0025】
前記タイマ30は、所定量の加熱した水を容器10に入れてから茶葉に適した温度になるまでの第1の時間を管理すると共に、前記第1の時間が経過した後、引き続き、容器10に入れる茶葉に適した成分浸出時間である第2の時間を管理する機能を有する。タイマ30は、例えば、経過時間を表示するデイスプレイ31、時間を設定するテンキー32、ストップ・リセットボタン33、スタートボタン34、報音装置(図示せず)を備えており、上記したように、時間(上記のように予め定められた時間、又は、ユーザが選択した時間)をテンキー32に入力し、ユーザが加熱された水を容器10に入れたときにスタートボタン34を押すことで、第1の時間を管理することができる。すなわち、その時間が経過したときに報知されることで、ユーザは、容器10に茶葉(ティーバッグ)を投入すれば良い。
【0026】
そして、前記タイマ30は、容器10に入れる茶葉に適した成分浸出時間である第2の時間の管理を開始する。この第2の時間は、ユーザが飲もうとする茶葉によって異なり、例えば、その茶葉を生産した茶園が推奨する時間である。ユーザは、容器10に茶葉を入れる際、再びテンキー32を操作して推奨時間に設定し、スタートボタン34を押せば良い。なお、第1の時間表示と第2の時間表示は、デイスプレイ31に同時に表示しても良いし、1つの時間を表示して切り換えて表示するようにする等、適宜、変形することができる。また、表示はカウントアップ方式で時間を連続的に表示する方式であっても良いし、カウントダウン方式であっても良い。
【0027】
前記回動手段40は、茶葉を収容したティーバッグから成分が浸出するのを促進したり、成分浸出調整するのに用いられ、容器10の中で茶葉と湯の動きを静かで自由にコントロールして、美味しく茶葉の成分浸出が行うためのものである。具体的に、本実施形態の回動手段40は、一定の長さを有し、容器10の開口10aから突出するつまみ部42を有する棒状の本体41と、本体41の先端側に設けられ、茶葉を収容したティーバッグ50(
図4参照)を着脱可能に挟む把持部45とを有している。
【0028】
前記本体41は、SUS等の金属や木材等によって一体形成することができ、その先端に設けられる前記把持部45は、弾性部材によって閉じる方向に付勢された一対の開閉可能な挟持部45a,45bを備えている。この挟持部45a,45bを開閉することで、ティーバック50を挟み込むことができ、前記つまみ部42を摘まんで容器10の湯の中に入れ、容器10の開口10aから突出するつまみ部42を把持しながら、ティーバック50を容器10内でゆっくりと回動操作することによって、容易に成分の浸出を促進することが可能となる。
【0029】
このような回動手段40によれば、容器10内の水の量に関係なく(水の量が少なくても回動手段40で茶葉を上方から水中に沈めた状態で)、容器内で水と茶葉を回転方向に回動して成分浸出を促進することができ、また、その成分の浸出状況(色やにごり)を見ながら、好みの味に調整することができる。すなわち、第2の時間を管理している状況下において最適な成分浸出状況を把握することができる。
なお、このような回動手段については、茶葉を直接、淹れることができる茶漉しのような構成であっても良い。また、
図4に示すような棒状部材であれば、前記本体41は、操作時に力を掛けることなく、自然かつソフトにティーバッグが操作できるように柔軟性を有することが好ましい。
【0030】
上記したようなお茶淹れ用具1によれば、容器10に所定の温度に加熱された水を入れてからタイマ30で第1の時間を管理するだけで、飲みたいお茶に適した温度設定をすることができるため、熟練者でなくても手順を容易にして、美味しいお茶を淹れることが可能となる。また、適切な成分浸出時間(第2の時間)についても、タイマ30によって管理するため、最適な温度、及び、最適な成分浸出時間で、美味しいお茶を容易に淹れることが可能となる。この場合、回動手段40を操作することで、成分浸出調整することができるので、好みの味に調整することも可能となる。
【0031】
図5は、上記した容器の変形例を示す図である。
この変形例の容器10Aは、容器の開口10aに上蓋15を着脱できるように構成されている。上蓋15は、開口10aと略同形状に形成された上壁15aと、開口10aの内周面に嵌まり込む環状リング15bと、環状の指掛部15cとを備えており、前記環状リング15bの外周面には、容器10Aの内周面と密着するシリコンリング16が取着されている。このシリコンリング16は、容器10Aの内周面に密着して水漏れを防止するように、例えば、二枚羽付きで上蓋15に着脱自在に構成することが可能である。
【0032】
また、上壁15aには、注出口15dが形成されており、淹れたお茶を注ぎ出すことができるようになっている(注出口15dは、飲み口として利用されるものであっても良いし、容器10Aを急須として利用するようにしても良い)。更に、上壁15aには、一部に通気孔15eが形成されると共に、その内面には、環状の突部15fが形成されている。このような突部15fを設けることで、二煎目時に、上蓋15を裏返してティーバック50を置いた際、ティーバッグ50からの水が漏れないようにすることが可能となる。
【0033】
さらに、上蓋15の環状リング15bの端部に茶漉し網17を配置しても良い。このような茶漉し網17を設けることで、容器10A内に直接、茶葉を入れた際、そのまま注出口15dを飲み口として利用することもできる。この場合、茶漉し網17は、上蓋15に対して、凹凸部を形成したり、ネジ部を形成する等、着脱可能に構成しても良い。
【0034】
そして、前記容器10Aには、吸熱手段18が配設されている。この吸熱手段18は、容器に注いだ水の熱を吸収して温度を下げる機能を備え、吸熱後は、水の温度(お茶)を保温する機能を備えている。
【0035】
前記吸熱手段18は、図に示すように、容器10Aの底側に配設することができ、容器本体の素材よりも吸熱性の良い材料(例えば、アルミ、アルミ混合材、銅、鉄等の金属、これらの混合材)や、液体(水など)で構成することができる。或いは、容器本体と同じ材料で容器の下部に厚肉に配設したものであっても良い。このような吸熱手段18は、ブロック状に構成して、容器本体の底側に窓を設け、着脱自在に配設しても良いし、容器本体を形成する際に一体形成したものであっても良い。
【0036】
このような吸熱手段18は、容器内に温度の高い水を入れると吸熱することから、上記した第1の時間を短くすることができる。この場合、水量が少ないと、大きく温度低下させるため第1の時間を短くして、水量が多い場合と同じ時間になるように管理し易くすることができる(上記した第1の時間を容器内に入れた水の量に関係なく一定に管理し易くすることができる)。また、吸熱手段18は、一定温度下がると保温効果を発揮することから、水量が少なく第1の時間が短くても、その低下した温度を維持して、安定した成分浸出温度を維持することも可能となる。
【0037】
上記したように、吸熱手段18を設けることで、淹れ方テーブルの比率表示の水量に関係なく、容器内の加熱された水が容器に入れる茶葉に適した温度になるまでの前記第1の時間を一定にすることが可能となることから、容器10Aに加熱した水を入れてから、容器に入れる茶葉に適した温度になるまでの前記第1の時間を、同じになるように時間管理(タイマ30で報知)することで、熟練者でなくても簡単に美味しいお茶を淹れることが可能となる。
【0038】
なお、前記吸熱手段18は、
図5に示すように、容器10Aの底部に設けることで、水量が少ないときに大きく温度低下させることができる。この場合、吸熱手段18が配設される位置については、適宜、変更することができ、例えば、容器の中間高さ位置か、それよりも下方位置に厚肉部を形成して吸熱性を確保するようにしても良い。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
例えば、容器10の構成、タイマ30の構成、回動手段40については、図に示された構成に限定されることはない。また、淹れ方テーブル20の各項目は、一例を示しただけであり、水の量や茶葉の量(倍水表示)等、適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 お茶淹れ用具
3 収容ボックス
10,10A 容器
20 淹れ方テーブル
30 タイマ
40 回動手段