(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123971
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ヒートシンクケース、プリント回路板及び基板構造
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20220818BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220818BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220818BHJP
H01L 23/40 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
H05K9/00 U
H05K7/20 F
H05K7/20 B
H05K1/02 F
H01L23/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021460
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖野 正裕
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 久志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】北井 敦
(72)【発明者】
【氏名】大久保 仁智
【テーマコード(参考)】
5E321
5E322
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E321AA02
5E321AA14
5E321AA31
5E321CC03
5E321GG01
5E321GG05
5E321GH03
5E322AA01
5E322AB04
5E322AB11
5E322FA04
5E338AA03
5E338CC06
5E338EE13
5F136BA03
5F136BC01
5F136BC07
5F136DA25
5F136EA44
5F136FA01
(57)【要約】
【課題】プリント配線板に放熱器を搭載する際、簡素な構成で放熱器からの電磁波放射を抑制できるヒートシンクケースを提供する。
【解決手段】プリント回路板に搭載された電子部品を覆うヒートシンクケースは、電子部品を覆う伝導体の天板部品と、天板部品の周縁部に接触し且つ電子部品を囲み天板部品と交叉する方向に突出する伝導体の複数のフィンガ部品と、を有する。フィンガ部品の各々は、天板部品に接触する導通部を一端に備えかつ導通部と交叉する方向に延在するバネ部と、バネ部の他端に備えられかつ電子部品を囲むようにプリント回路板に固定された伝導体の複数のジャンパ部品の各々を挟む挟持部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路板に搭載された電子部品を覆うヒートシンクケースであって、
前記電子部品を覆う伝導体の天板部品と、
前記天板部品の周縁部に接触し且つ前記電子部品を囲み前記天板部品と交叉する方向に突出する伝導体の複数のフィンガ部品と、
を有し、
前記複数のフィンガ部品の各々は、前記天板部品に接触する導通部を一端に備えかつ前記導通部と交叉する方向に延在するバネ部と、前記バネ部の他端に備えられかつ前記電子部品を囲むように前記プリント回路板に固定された伝導体の複数のジャンパ部品の各々を挟む挟持部と、を有する
ことを特徴とするヒートシンクケース。
【請求項2】
前記バネ部は、前記導通部及び前記挟持部の間で前記プリント回路板と直角とならない角度で前記天板部品に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンクケース。
【請求項3】
前記電子部品及び前記天板部品の間に挟まれている熱伝導性材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンクケース。
【請求項4】
には
前記天板部品は、前記プリント回路板の反対側の裏面に突出して形成された放熱フィンを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のヒートシンクケース。
【請求項5】
前記複数のフィンガ部品の各々の前記導通部と前記バネ部には、前記導通部から前記挟持部へ伸び前記導通部を分割する少なくとも1つのスリットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のヒートシンクケース。
【請求項6】
前記複数のフィンガ部品の各々は、複数の幅の狭いフィンガ部品の一列から構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のヒートシンクケース。
【請求項7】
請求項1に記載のヒートシンクケースを固定する前記プリント回路板であって、
グラウンドプレーン及び前記グラウンドプレーンにそれぞれが接続され複数の接地ランドを有し、
前記接地ランドのそれぞれが前記電子部品を囲むように固定され、
前記ジャンパ部品は少なくともその両端に脚部と前記両端の脚部を繋ぐベンチ部とを有し、
前記ジャンパ部品の前記脚部は前記接地ランドのそれぞれに接合されて固定され、
前記ジャンパ部品の前記ベンチ部は前記プリント回路板の搭載面に沿って前記搭載面から離れて延在し、
前記ベンチ部は前記フィンガ部品の前記挟持部に挟まれる
ことを特徴とするプリント回路板。
【請求項8】
前記複数のジャンパ部品は連結して環状に構成されていることを特徴とする請求項7に記載のプリント回路板。
【請求項9】
1の面に電子部品を搭載する搭載領域を有し、前記搭載領域の外側の領域に接地ランドを有する基板と、
前記搭載領域の外側の領域上に前記1の面に沿って前記1の面と離間して前記搭載領域を囲むように延在するベンチ部と、前記ベンチ部の両端で前記接地ランドに接合され前記基板に対して前記ベンチ部を支持する支持部とを有する伝導体の複数の支持部品と、
前記1の面上において前記搭載領域を覆うように延在する天板部品と、
前記天板部品に接触する導通部を一端に備え、他端に前記ベンチ部を挟む挟持部を有する伝導体のバネ部品と、
を有することを特徴とする基板構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板に放熱器を搭載する際、放熱器からの電磁波放射を抑制させるヒートシンクケース、プリント回路板及び基板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板上に搭載された集積回路(IC)をはじめとした発熱部品は、その冷却を促すために放熱器(ヒートシンク)を使用することがある。一方でヒートシンクを用いることにより、プリント配線板からの不要な電磁波(EMI)が、ヒートシンクを介することで増幅するという問題が発生する場合があった。この対策の一つとして、ヒートシンクをプリント配線板のグラウンドプレーンと導通させることが挙げられる。特許文献1において、EMI対策を施した集積回路搭載構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、ヒートシンクをプリント配線板のグラウンドプレーンに導通させる場合、ヒートシンクとグラウンドプレーンとを導通させるための導体ランドやスルーホール等をプリント配線板にあらかじめ用意しておかなければならない。この場合、ヒートシンクの形状や導体ランド・スルーホールの位置によっては、ヒートシンクで共振が発生し、特定の周波数において逆にEMIが増大する恐れがある。この対策としては、ヒートシンクでの共振が発生しにくいように、プリント配線板に多数の導体ランドやスルーホールを用意する、導体ランド・スルーホールの位置を変更する、ヒートシンクの形状を変更すること等が挙げられるが、いずれの場合もコストの発生が避けられない。また、レイアウトの制約から形状変更や設計変更が困難な場合も考えられる。という問題点があった。
【0005】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、プリント配線板に放熱器を搭載する際、簡素な構成で放熱器からの電磁波放射を抑制できるヒートシンクケース、プリント回路板及び基板構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヒートシンクケースは、プリント回路板に搭載された電子部品を覆うヒートシンクケースであって、前記電子部品を覆う伝導体の天板部品と、前記天板部品の周縁部に接触し且つ前記電子部品を囲み前記天板部品と交叉する方向に突出する伝導体の複数のフィンガ部品と、を有し、前記複数のフィンガ部品の各々は、前記天板部品に接触する導通部を一端に備えかつ前記導通部と交叉する方向に延在するバネ部と、前記バネ部の他端に備えられかつ前記電子部品を囲むように前記プリント回路板に固定された伝導体の複数のジャンパ部品の各々を挟む挟持部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のプリント回路板は、上記のヒートシンクケースを固定する前記プリント回路板であって、グラウンドプレーン及び前記グラウンドプレーンにそれぞれが接続され複数の接地ランドを有し、前記接地ランドのそれぞれが前記電子部品を囲むように固定され、前記ジャンパ部品は少なくともその両端に脚部と前記両端の脚部を繋ぐベンチ部とを有し、前記ジャンパ部品の前記脚部は前記接地ランドのそれぞれに接合されて固定され、前記ジャンパ部品の前記ベンチ部は前記プリント回路版の搭載面に沿って前記搭載面から離れて延在し、前記ベンチ部は前記フィンガ部品の前記挟持部に挟まれることを特徴とする。
【0008】
本発明の基板構造は、1の面に電子部品を搭載する搭載領域を有し、前記搭載領域の外側の領域に接地ランドを有する基板と、前記搭載領域の外側の領域上に前記1の面に沿って前記1の面と離間して前記搭載領域を囲むように延在するベンチ部と、前記ベンチ部の両端で前記接地ランドに接合され前記基板に対して前記ベンチ部を支持する支持部とを有する伝導体の複数の支持部品と、前記1の面上において前記搭載領域を覆うように延在する天板部品と、前記天板部品に接触する導通部を一端に備え、他端に前記ベンチ部を挟む挟持部を有する伝導体のバネ部品と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プリント配線板に放熱器を搭載する際、簡素な構成で放熱器からの電磁波放射を抑制できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による第1の実施例であるヒートシンクケースがプリント配線板に搭載された基板アセンブリの外観を示す概略斜視図である。
【
図2】第1の実施例のヒートシンク本体を透視したプリント配線板上に配置したジャンパ部品とフィンガ部品等を示す上面図である。
【
図3】第1の実施例であるヒートシンクケースがプリント配線板に搭載された基板アセンブリを示す概略分解斜視図である。
【
図4】
図1の線xxにおける基板アセンブリの断面を示す概略断面図である。
【
図5】第1の実施例におけるプリント配線板に搭載された1つのジャンパ部品を示す概略斜視図である。
【
図6】第1の実施例におけるプリント配線板に搭載された電子部品とその周辺の4つのジャンパ部品とを示す概略斜視図である。
【
図7】第1の実施例におけるプリント配線板に搭載された1つのフィンガ部品を示す概略斜視図である。
【
図8】第1の実施例におけるプリント配線板に搭載された電子部品の周辺に4つのジャンパ部品を取り付ける様子を示す概略斜視図である。
【
図9】基準となる、プリント配線板上に配置したヒートシンク本体をプリント配線板上のグラウンドプレーンに接続しない場合の放射される電磁波の周波数・電磁波強度変化を示すグラフである。
【
図10】比較例である従来技術のようにプリント配線板上に設けた導体パッドやスルーホールの箇所のみ、ヒートシンク本体と接続した場合の放射される電磁波の周波数・電磁波強度変化を示すグラフである。
【
図11】本実施例のヒートシンクケースの場合の放射される電磁波の周波数・電磁波強度変化を示すグラフである。
【
図12】第2の実施例におけるプリント配線板に搭載された幅の狭いフィンガ部品の複数を示す概略斜視図である。
【
図13】第1、第2の実施例の変形例に用いられる環状ジャンパ部品を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例の電子機器について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、実質的に同一の機能および構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例0012】
(構成の説明)
図1は、第1の実施例であるヒートシンクケース11がプリント配線板13(以下、基板ともいう)に搭載された電子部品15を覆う基板アセンブリの外観を示す概略斜視図(ヒートシンクケース11の内部を破線で示してある)である。
図2は、ヒートシンク本体(破線)を透視した基板13上に配置したジャンパ部品17とフィンガ部品19等を示す上面図である。
図3は、かかる基板アセンブリを示す概略分解斜視図である。
図4は、
図1の線xxにおける基板アセンブリの断面を示す概略断面図である。なお、図中の基板13に上面の搭載面には種々の電子部品が搭載され電子回路が構成されているが、説明を簡略するために、動作中に熱を主に発生する放熱すべき電子部品15のみを示し、他の電子部品を省略して示している。
【0013】
(ヒートシンクケース)
ヒートシンクケース11は、電子部品15を覆う本体である伝導体のヒートシンク本体11a(天板部品)と、ヒートシンク本体の下面の周縁部に接触し且つ電子部品15を囲みヒートシンク本体11aと交叉する方向に突出する伝導体の4つのフィンガ部品19とを含む。ヒートシンクケース11は、金属製すなわち伝導体のジャンパ部品17及びフィンガ部品19を用いてヒートシンク本体11aと基板13のグラウンドプレーンGPとを導通させる。
【0014】
(ヒートシンク本体)
図1~
図4に示すように、金属等からなる放熱板であるヒートシンク本体11aは、基板13上の電子部品15に対向し挟むように設けられており、そのヒートシンク本体11aの下面に電子部品15に対向するように柔軟性を有する熱伝導シートTIMが設けられている。ヒートシンク本体11aおよび電子部品15に接触して挟まれた熱伝導シートTIMは、発熱する電子部品上面とヒートシンク本体下面との間の小さな隙間や凸凹を埋め、効率よく熱を伝えるサーマルインターフェースマテリアル(Thermal Interface Material)薄膜部材であるが、シート形態に限定されず、粘性形態で配置されてもよい。
【0015】
ヒートシンク本体11aは、基板13の反対側の上面に突出して形成された複数の放熱フィン11bを有する。
【0016】
また、ヒートシンク本体11aは、電子部品15を囲む4組のジャンパ部品17及びフィンガ部品19を介して、基板13上に搭載したグラウンドプレーンGPに接続される。ヒートシンク本体11aとジャンパ部品17及びフィンガ部品19とによって、電子部品15を囲む、すなわちシールドすることによって、電子部品15とその周辺からのEMIを低減することができる。
【0017】
(ジャンパ部品)
図5は、4個のうちの1つのジャンパ部品17を示す概略斜視図である。
【0018】
各々のジャンパ部品17は棚形状を有し、その両端の脚部FTと両端の脚部FTを繋ぐ棚板部BSFとを有する。ジャンパ部品17の棚板部BSFは、基板13の搭載面に沿って搭載面から離れて延在しており、脚部FTを挟み込むフィンガ部品19が棚板部BSFに固定される。ジャンパ部品17の両端の脚部FTは接地ランドGLにそれぞれに接合され固定される。複数の接地ランドGLは、グラウンドプレーンGPにそれぞれが接続されている。接地ランドGL及びグラウンドプレーンGPは、予め基板13の搭載面上に設けられている。よって、接地ランドGLのそれぞれも電子部品15を囲むように固定される。
【0019】
このように、
図6に示す4個のジャンパ部品17は、グラウンドプレーンGPにそれぞれが接続されて電子部品15を囲むように基板13の搭載面上に予め固定される。
【0020】
(フィンガ部品)
図7は、4個のうちの1つのフィンガ部品19の一部を示す概略部分斜視図である。
【0021】
フィンガ部品19の各々は、ヒートシンク本体11a(
図4、参照)に接触する導通部CNTを一端に備えかつ導通部と交叉する方向に延在するバネ部19aと、バネ部19aの他端に備えられかつジャンパ部品17の棚板部BSF(
図5、参照)の各々を挟む挟持部CLPと、を有する。一般のジャンパは離れた電気回路同士を繋ぐ導電体の構造物であるが、本実施例のジャンパ部品はグラウンドプレーンGPに接続されフィンガ部品の土台となる部材である。
【0022】
図7に示すように、フィンガ部品19の導通部CNTとバネ部19aには、導通部CNTから挟持部CLPへ伸び導通部CNTを分割する複数のスリットSLTが設けられている。スリットSLTにより、バネ部19aの剛性を抑えその柔軟性が確保できる。
【0023】
フィンガ部品19のバネ部19aは、導通部CNT及び挟持部CLPの間で基板13と直角とならない角度でヒートシンク本体11aに対して傾斜している。当該バネ部19aの傾斜により、バネ部19aの弾性が確保できる。すなわち、バネ部19aは、その断面形状がZ字形状の板バネである。
【0024】
(動作の説明)
まず、基板13上にジャンパ部品17(
図5、参照)を実装するための接地ランドGLを設ける。
図5のような形状のジャンパ部品17の場合、ジャンパ部品17の1個当たり2箇所の接地ランドGLが必要である。ヒートシンク本体11aでの共振をなるべく抑えるためにはヒートシンク本体11aと基板13のグラウンドプレーンGPとがヒートシンク本体11a全面で均一に導通されていることが望ましいため、
図3に示すように、グラウンドプレーンGPは、搭載する電子部品(図示せず)を除く基板13上にまんべんなく配置する。
【0025】
続いて、基板13の製造後の手順について説明する。基板13の製造は、一般的な積層基板を想定しているが、多重積層基板、ビルドアップ基板等であってもよい。基板13の製造後、基板13にIC等電子部品等の部品(図示せず)を搭載・はんだ付けする。その際、ジャンパ部品17も併せて実装する(
図6、参照)。
図5のような形状のジャンパ部品17であれば多くの場合、自動搭載機を用いることができ、既存の実装工程ではんだ付けまで行うことが可能である。
【0026】
次に、各部品を実装した基板13にヒートシンク本体11aを取り付ける。
【0027】
図8に示すように、ヒートシンク本体11aは基板13上に実装した部品のうち、高発熱部品を効率的に冷却することが目的であるから、冷却したい電子部品15とヒートシンク本体11aとを確実に接触させるために熱伝導材料(Thermal Interface Materials)の熱伝導シートTIM(又はグリス等)を電子部品15上に配置する。
【0028】
ヒートシンク本体11aを基板13上のグラウンドプレーンGPと確実に導通させるため、ジャンパ部品17に対し、
図8に示すように、フィンガ部品19を取り付ける。フィンガ部品19は導体であり、ジャンパ部品17に固定する挟持部CLP(固定部)とヒートシンク本体11aに接して導通を確保する導通部CNTで構成されている。ジャンパ部品17の下部の挟持部CLPはクリップ形状をしており、ジャンパ部品17へ挟むことでジャンパ部品17とフィンガ部品19との導通を確保しつつ、フィンガ部品19をジャンパ部品17に固定することが可能となる(
図7、参照)。ジャンパ部品17の上部の導通部CNTは板バネのバネ部19aの一端となっており、ヒートシンク本体11aをフィンガ部品19に押し付けることで導通部CNTがヒートシンク本体11a下面に広く接触するように変形し、ヒートシンク本体11aとフィンガ部品19との導通を確保することが可能となる(
図7、参照)。
【0029】
そして、電子部品15上の熱伝導シートTIMとジャンパ部品17上のフィンガ部品19の上に、
図3に示すヒートシンク本体11aを配置し、ヒートシンク本体11aの対角線に設けられた貫通孔(図示せず)及び基板13に設けられたネジ孔SCHを介し、2本の雄ネジSCを貫通させて、雄ネジSCを基板13裏の雌ネジ(図示せず)に螺合させてヒートシンク本体11aを基板13に固定する(
図1、参照)。
【0030】
(動作の説明)
基板13上の回路が動作することによって、電子部品15に接続する配線や部品(図示せず)から電磁波が放射される。放射された電磁波の一部はヒートシンク本体11aへ入射する。ヒートシンク本体11aの大きさや形状によって入射した電磁波が共振を起こし、空間へ強く放射することがあるが、適切にグラウンドプレーンGPと導通させることでヒートシンク本体11aから放射される電磁波の周波数や強度を制御することが可能である。本実施例のヒートシンクケースによって、ヒートシンク本体11aとグラウンドプレーンGPとの接続を多く確保することが可能となり、ヒートシンク本体11aからの電磁波の放射を抑制することができる。
【0031】
(効果の説明)
以上のように、第1の実施例によれば、ジャンパ部品17とフィンガ部品19を使用することでEMIの低減効果を得ることが可能となる。
【0032】
EMIの低減効果の比較として、ヒートシンク本体11aからの電磁波の放射を測定した。
【0033】
図9は、基板13上に配置したヒートシンク本体11aを、基板13上のグラウンドプレーンGPに接続しない場合のEMI(周波数・電磁波強度)を示すグラフである。グラフ中×は各周波数における電磁波強度のピークを示す。かかる各ピークを比較の基準とする。
【0034】
図10は、比較例である従来技術のように基板13上に設けた導体パッドやスルーホールの箇所のみ、ヒートシンク本体11aと接続した場合のEMI(周波数・電磁波強度)を示すグラフである。グラフ中〇は各周波数における電磁波強度のピークを示すが、比較例では基準に対してピークが低減している周波数がみられる一方、ほとんど低減していない周波数も見られる。これはヒートシンク本体11aとグラウンドプレーンGPとの接続が少なく、特に波長の短い高周波域において、共振箇所にグラウンドプレーンGPとの接続を設けることができなかったためである。
【0035】
図11は、本実施例のヒートシンクケースの場合のEMI(周波数・電磁波強度)を示すグラフである。グラフ中▽は各周波数における電磁波強度のピークを示す。
図11から明らかなように、本実施例では、基準(
図9)に対して周波数によらずEMIが低減していることが確認できる。このEMI低減効果は、比較例である従来技術に比べて効果的にヒートシンク本体11aの共振箇所にグラウンドプレーンGPとの接続を設けることができたためと推定される。
以上のように、本実施例によれば、第1の実施例と同様の効果が得られると共に、より安価なフィンガ部品191を選定することも可能である共に、フィンガ部品191の位置の自由度が広がる。