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特開2022-123974止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法
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  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図1
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図2
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図3
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図4
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図5
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図6
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図7
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図8
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図9
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図10
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図11
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図12
  • 特開-止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123974
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20220818BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20220818BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/16 C
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021466
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000106955
【氏名又は名称】シバタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】西本 安志
(72)【発明者】
【氏名】西山 啓太郎
【テーマコード(参考)】
2E036
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036GA02
2E036HB23
2E036HC07
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 より迅速に取り付けができる止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法を提供する。
【解決手段】 止水板構造体1は、床面4から壁面3に垂直方向に水密状態に取り付けられる略矩形状の取付部材11a、11bに、水密性を有する略矩形状の止水板本体21が水密状態に取り付けられている。止水板本体21は取付部材11a、11bに対向する部分において、上方部分にはボルト型ストライカ23a、23bが設けられ、下方部分には爪部(不図示)が設けられている。取付部材11a、11bは止水板本体と対向する部分において、上方部分にはボルト型ストライカ23a、23bを上方から挿入可能な回転ラッチ13a、13bが設けられ、下方部分には爪部を挿入可能な孔部(不図示)が設けられている。取付けに際しては、爪部を孔部に挿入した後にボルト型ストライカ23a、23bを回転ラッチ13a、13bに上方から挿入する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔に設置された一対の構造物に取り付けられる止水板構造体であって、
前記構造物の各々に、床面から垂直方向に水密状態に取り付けられた一対の取付部材と、
水密性を有し、前記取付部材に取り付けられる止水板本体とを備え、
前記止水板本体の前記取付部材に対向する部分における上方部分の各々には、一対の係合体が設けられ、
前記取付部材の上方部分の各々には、前記係合体が上方から挿入可能に構成され、前記係合体と係合する一対の被係合体が設けられる、止水板構造体。
【請求項2】
前記係合体は、ボルト型ストライカを含み、
前記被係合体は、回転ラッチを含む、請求項1記載の止水板構造体。
【請求項3】
前記取付部材に対する、前記止水板本体の奥行き方向への移動を阻止する固定補助手段を更に設けた、請求項1又は請求項2記載の止水板構造体。
【請求項4】
前記固定補助手段は、
前記止水板本体の前記取付部材に対向する部分における下方部分の各々に設けられる一対の爪部と、
前記取付部材の前記止水板本体に対向する部分における下方部分の各々に設けられ、前記爪部を挿入可能な一対の孔部とを含み、
前記爪部の前記孔部への挿入において、前記爪部の先端部分の一部が前記孔部の一部に接触するように構成される、請求項3記載の止水板構造体。
【請求項5】
前記止水板本体は、その幅方向の両側面が開放された中空構造を有する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の止水板構造体。
【請求項6】
前記止水板本体は、2枚以上の板材を組み合わせてなる、請求項1から請求項5のいずれかに記載の止水板構造体。
【請求項7】
前記止水板本体には、前記取付部材と対向する部分及び前記床面に接する部分に渡って止水材が連続的に設けられている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の止水板構造体。
【請求項8】
請求項4に記載の止水板構造体の止水板本体の取付方法であって、
前記止水板本体の前記爪部を前記取付部材の前記孔部に挿入する工程と、
前記孔部に挿入した前記爪部と前記孔部との接触部分を基準位置として前記係合体及び前記被係合体とを位置合わせして、前記止水板本体の前記係合体を前記取付部材の前記被係合体に対して上方から挿入する工程とを備えた、止水板構造体の止水板本体の取付方法。
【請求項9】
所定間隔に設置された一対の構造物に取り付けられる止水板構造体であって、
前記構造物の各々に、床面から垂直方向に水密状態に取り付けられた一対の取付部材と、
水密性を有し、前記取付部材に取り付けられる止水板本体とを備え、
前記止水板本体には、前記取付部材側に突出する一対の係合体が設けられ、
前記取付部材の各々には、前記係合体と係合する一対の被係合体が設けられ、
前記係合体は、前記被係合体に対して上方から挿入可能に構成され、
前記係合体及び前記被係合体の少なくとも一方は、挿入後の前記係合体の前記被係合体からの抜け落ちを防止する抜止め手段を有する、止水板構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法に関し、特に外部から構造物内部への水の侵入を防止するための止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洪水等による水の侵入を防止するために設置する止水装置に関する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、構造物の壁等に設けられた床面と隣接し、側方に向けて開口する開口部の少なくとも下部を床面と接した状態で屋外側から覆う遮水板と、構造物の開口の縁に設けられた方立に固定されて遮水板を少なくとも床面に向けて押し付ける押付部材と、遮水板に設けられ、遮水板と床面との間や遮水板と方立との間をシールする弾性変形可能なシール部材とを備える防水装置が開示されている。この防水装置は、開口部を覆うように遮水板を載置した後に、押付部材によって遮水板を床面に向けて押し付けるものであり、遮水板の取り付け及び取り外しが容易でありながら、比較的簡素な構成によって遮水板を開口部を覆う位置に留めることができるものとなっている。
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1のような従来の防水装置では、遮水板が床面と方立とに適切に密着することを意識して遮水板の位置を調整しながら押付部材を取り付ける必要があるため、より迅速に取り付けられる防水装置が求められていた。そこで、次のような発明が提案されている。
【0005】
特許文献2には、建物等の出入口等に立設された対の方立て間に止水パネルを支持する止水パネルの取付け装置が開示されている。この止水パネルの取付け装置の止水パネルは係止突部又は係止爪からなる係止体を備えており、方立ては止水パネルとの対峙面に係止体が係止又は差し込み支持される被係止体又は係止孔からなる係止体受けを備えているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-050448号公報
【特許文献2】特開2020-084566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献2のような従来の止水パネルの取付け装置は、止水パネルの係止体を方立ての一面より被係止体に対してストレートに差し込み支持することで、止水パネルを持ち上げる動作をなくし、簡易かつ速やかに止水パネルの取付け又は取外しを可能とするものである。しかしながら、特に建物等の屋内側から作業する際には係止体受けが見づらくなることもあり、位置合わせが難しいという問題点があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、より迅速に取り付けができる止水板構造体及び止水板構造体の止水板本体の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、所定間隔に設置された一対の構造物に取り付けられる止水板構造体であって、構造物の各々に、床面から垂直方向に水密状態に取り付けられた一対の取付部材と、水密性を有し、取付部材に取り付けられる止水板本体とを備え、止水板本体の取付部材に対向する部分における上方部分の各々には、一対の係合体が設けられ、取付部材の上方部分の各々には、係合体が上方から挿入可能に構成され、係合体と係合する一対の被係合体が設けられるものである。
【0010】
このように構成すると、止水体本体の取付部材への取付けに必要な作業量が低減する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、係合体は、ボルト型ストライカを含み、被係合体は、回転ラッチを含むものである。
【0012】
このように構成すると、ボルト型ストライカを回転ラッチに押し込むだけで止水板本体を取付部材に取り付けることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、取付部材に対する、止水板本体の奥行き方向への移動を阻止する固定補助手段を更に設けたものである。
【0014】
このように構成すると、止水板本体の取付部材への取付状態が更に安定する。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、固定補助手段は、止水板本体の取付部材に対向する部分における下方部分の各々に設けられる一対の爪部と、取付部材の止水板本体に対向する部分における下方部分の各々に設けられ、爪部を挿入可能な一対の孔部とを含み、爪部の孔部への挿入において、爪部の先端部分の一部が孔部の一部に接触するように構成されるものである。
【0016】
このように構成すると、爪部と孔部との接触部分を止水板本体と取付部材との位置合わせの基準とすることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、止水板本体は、その幅方向の両側面が開放された中空構造を有するものである。
【0018】
このように構成すると、止水板本体が中実構造を有するものに比べて軽量化される。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の構成において、止水板本体は、2枚以上の板材を組み合わせてなるものである。
【0020】
このように構成すると、止水板本体を板材毎に分割できる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、止水板本体には、取付部材と対向する部分及び床面に接する部分に渡って止水材が連続的に設けられているものである。
【0022】
このように構成すると、止水板本体と取付部材との間及び止水板本体と床面と間の止水性が向上する。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項4に記載の止水板構造体の止水板本体の取付方法であって、止水板本体の爪部を取付部材の孔部に挿入する工程と、孔部に挿入した爪部と孔部との接触部分を基準位置として係合体及び被係合体とを位置合わせして、止水板本体の係合体を取付部材の被係合体に対して上方から挿入する工程とを備えたものである。
【0024】
このように構成すると、止水板本体を取付部材に取り付ける際に下方から上方に向かって順に取り付けることができる。
【0025】
請求項9記載の発明は、所定間隔に設置された一対の構造物に取り付けられる止水板構造体であって、構造物の各々に、床面から垂直方向に水密状態に取り付けられた一対の取付部材と、水密性を有し、取付部材に取り付けられる止水板本体とを備え、止水板本体には、取付部材側に突出する一対の係合体が設けられ、取付部材の各々には、係合体と係合する一対の被係合体が設けられ、係合体は、被係合体に対して上方から挿入可能に構成され、係合体及び被係合体の少なくとも一方は、挿入後の係合体の被係合体からの抜け落ちを防止する抜止め手段を有するものである。
【0026】
このように構成すると、止水体本体の取付部材への取付けに必要な作業量が低減されると共に、取付け後の止水体本体の意図しない移動が阻止される。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、止水体本体の取付部材への取付けに必要な作業量が低減するため、止水板構造体を迅速に取り付けることが可能となる。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、ボルト型ストライカを回転ラッチに押し込むだけで止水板本体を取付部材に取り付けることができるため、止水構造体をより迅速に取り付けることが可能となる。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、止水板本体の取付部材への取付状態が更に安定するため、止水板構造体の信頼性が向上する。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発明の効果に加えて、爪部と孔部との接触部分を止水板本体と取付部材との位置合わせの基準とすることができるため、止水板構造体のより迅速な取付けが可能となる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、止水板本体が中実構造を有するものに比べて軽量化されるため、止水板本体の取り扱いが容易となる。
【0032】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、止水板本体を板材毎に分割できるため、止水板本体をコンパクトに収納できると共に、運搬が容易となる。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、止水板本体と取付部材との間及び止水板本体と床面と間の止水性が向上するため、止水板構造体の信頼性が向上する。
【0034】
請求項8記載の発明は、止水板本体を取付部材に取り付ける際に下方から上方に向かって順に取り付けることができるため、止水板本体を取付部材に取り付ける際の位置合わせが容易となり、止水板構造体を迅速に取り付けることが可能となる。
【0035】
請求項9記載の発明は、止水体本体の取付部材への取付けに必要な作業量が低減されると共に、取付け後の止水体本体の意図しない移動が阻止されるため、止水板構造体を迅速に安定した状態で取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】この発明の第1の実施の形態による止水板構造体の設置状態を示す概略斜視図である。
図2図1で示した止水板構造体の止水板本体の背面側を示す概略図である。
図3図1で示した止水板構造体の止水板本体を示す概略図であって、(A)は右側面側を、(B)は平面側を、(C)は底面側を示す図である。
図4図2で示した止水板構造体の板材の接続部分を示す概略図であって、(A)は図2のA部分拡大図であり、(B)は(A)のB-B断面図である。
図5図1で示した止水板構造体の取付部材を示す概略図であって、(A)は正面側を、(B)は右側面側を示す図であり、(C)は(A)のC-C拡大図である。
図6図1で示した止水板構造体の止水板本体を取付部材へ取り付ける際の前半の取付工程を示す概略右側面図である。
図7図1で示した止水板構造体の止水板本体を取付部材へ取り付ける際の後半の取付工程を示す概略右側面図である。
図8図7で示した止水板構造体の取付工程に対応したボルト型ストライカ及び回転ラッチの位置関係を示す正面側から見た模式図である。
図9図8の(3)で示したボルト型ストライカと回転ラッチとの係合状態を示す概略平面図である。
図10】この発明の第2の実施の形態による止水板構造体の止水板本体の背面側を示す概略図であり、図2に対応する図である。
図11】この発明の第2の実施の形態による止水板構造体の取付部材を示す概略図であって、図5に対応する図であり、(A)は正面側を、(B)は右側面側を示す図であり、(C)は(A)のC-C拡大図である。
図12図10で示した止水板本体の下側に位置する板材を図11で示した取付部材へ取り付ける際の取付工程を示す概略右側面図である。
図13図10で示した止水板本体の上側に位置する板材を図11で示した取付部材へ取り付ける際の取付工程を示す概略右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、この発明の第1の実施の形態による止水板構造体の設置状態を示す概略斜視図である。
【0038】
図1を参照して、止水板構造体1は、例えば間口2を形成する一対の壁面3等の所定間隔に設置された一対の構造物と床面4とに取り付けられるものである。具体的には、図1の矢印方向から見た側を正面として、ステンレス等の水密性を有する素材からなる略矩形板状の一対の取付部材11a、11bが、床面4から垂直方向に、ゴム製材料等からなるパッキン14を介して壁面3及び床面4に対して水密状態となるように取り付けられている。又、取付部材11a、11bの正面側には、樹脂等の水密性を有する素材から形成された矩形板状の止水板本体21が取り付けられている。
【0039】
図2は、図1で示した止水板構造体の止水板本体の背面側を示す概略図であり、図3は、図1で示した止水板構造体の止水板本体を示す概略図であって、(A)は右側面側を、(B)は平面側を、(C)は底面側を示す図である。
【0040】
図1に加えて図2及び図3の(A)~(C)の各々を併せて参照して、止水板本体21の背面側の上方部分における幅方向の両側には、係合体として一対のボルト型ストライカ23a、23bが、止水板本体21の取付部材11a、11bへの取付け時において取付部材11a、11b側に突出するように設けられている。付け加えると、このボルト型ストライカ23a、23bは、取付部材11a、11bに対向する部分において、取付部材11a、11bに設けられた後述する被係合体と係合できるような位置に設けられている。このように構成した効果については後述する。
【0041】
更に、止水板本体21の背面側の下方部分における幅方向の両側には、一対の爪部25a、25bが設けられている。付け加えると、この爪部25a、25bは、取付部材11a、11bに対向する部分において、取付部材11a、11bに設けられた後述する孔部に挿入できるような位置に設けられている。又、爪部25a、25bは、側面視略逆L字形状であり、爪部25a、25bの先端部分28a、28bは、止水板本体21側に位置する部分が斜めに削られた先細り形状に形成されている。これらのように構成した効果については後述する。
【0042】
又、止水板本体21はその幅方向の両端部が開放された中空構造を有している。このようにすることで、止水板本体21が中実構造を有するものに比べて軽量化されるため、止水板本体21の取り扱いが容易となる。又、止水板構造体1を使用して外部からの水の侵入を阻止する際には、外部の水を止水板本体21の中空構造の内部の空間27に導入することで止水板本体21の重量を増すことができ、使用時における止水板構造体1の安定性が向上する。
【0043】
更に、止水板本体21にはゴム製材料等からなる止水材26が、止水板本体21の背面側の取付部材11a、11bに対向する部分と止水板本体21の底面側の床面4に接する部分とに渡って、略U字形状を描くように連続的に設けられている。このようにすることで、止水板本体21と取付部材11a、11bとの間及び止水板本体21と床面4と間の止水性が向上するため、止水板構造体1の信頼性が向上する。
【0044】
更に、止水板本体21の上部には逆U字形状の把持部47a、47bを有する取手46a、46bが設けられている。この取手46a、46bの把持部47a、47bの各々は上げ下げ自在に構成されている。止水板本体21の収納時や取付け後においては、取手46bの把持部47bで示すように下方に押し下げておくことができる。一方で、止水板本体21の運搬や取付けの際には、取手46aの把持部47aで示すように上方に引き上げ、取手46a、46bを介して止水板本体21を持ち上げることができ、止水板本体21の運搬や取付けが行いやすくなる。
【0045】
図4は、図2で示した止水板構造体の板材の接続部分を示す概略図であって、(A)は図2のA部分拡大図であり、(B)は(A)のB-B断面図である。
【0046】
図1から図3に加えて図4を併せて参照して、止水板本体21は、2枚の略矩形状の板材22a、22bを連結部24a~24eにおいて、ネジ43a~43d及び板プレート44a、44bによって連結してなるものである。具体的には、連結部24aについて図4の(A)及び(B)で示すように、板プレート44aを板材22aの中空構造の内部の空間27aの底面に載置し、板プレート44bを板材22bの中空構造の内部の空間27bの天面に接触させる。この状態から、ネジ43a~43dを板材22a側から板材22b側に向かって板プレート44a、44b及び板材22a、板材22bに挿通して締結する。尚、板材22a、22bの連結作業は板材22a、22bの接続部分付近の背面側の各々に設けられた開口42a、42bを介して行うことができる。又、開口42a、42bは、水の侵入を防止するためにカバープレート41a、41bによって覆われている。更に、連結部24b~24eについても同様の構成である。このようにすると、止水板本体21を板材22a、22b毎に分割できるため、止水板本体21を不使用時にはコンパクトに収納することができると共に運搬が容易となる。
【0047】
又、図示していないが、板材22a及び板材22bの接続面に止水材等を設けておくと、使用時における止水板本体21の止水性がより向上するため、止水板構造体1の信頼性が向上する。
【0048】
図5は、図1で示した止水板構造体の取付部材を示す概略図であって、(A)は正面側を、(B)は右側面側を示す図であり、(C)は(A)のC-C拡大図である。
【0049】
尚、取付部材11bについては、取付部材11aと同様の構成を有するため、ここでは取付部材11a側を中心に説明し、取付部材11b側の説明は省略する。
【0050】
図1及び図5の(A)~(C)を併せて参照して、取付部材11aの壁面3側の上方部分には、前述した止水板本体21のボルト型ストライカ23aと係合する被係合体である回転ラッチ13aが設けられている。回転ラッチ13aは、上方に開放された凹部31aと、回動中心33aを中心として上下方向に回動する略コの字形状のロック機構32aとを有する。ボルト型ストライカ23aと回転ラッチ13aの具体的な動作については後述するが、回転ラッチ13aの凹部31aに差し込まれたボルト型ストライカ23aをロック機構32aが上方から覆うことでラッチすることができる。
【0051】
又、取付部材11aの上端部には、回転ラッチ13aの凹部に合わせた切欠き16aが設けられている。
【0052】
更に、取付部材11aの止水板本体21と対向する部分における下方部分には矩形状の孔部15aが設けられている。この孔部15aは前述したように止水板本体21の爪部25aが挿入可能なものである。これらのように構成した効果については後述する。
【0053】
次に、取付部材11a、11bに止水板本体21を取り付ける際の具体的な方法について説明する。
【0054】
図6は、図1で示した止水板構造体の止水板本体を取付部材へ取り付ける際の前半の取付工程を示す概略右側面図であり、(1)は止水板本体を準備する工程を示す図であり、(2)は止水板本体の爪部を取付部材の孔部に挿入する工程を示す図であり、(3)は止水板本体を引き起こす工程を示す図である。
【0055】
尚、止水板本体21及び取付部材11aの関係と止水板本体21及び取付部材11bの関係とは同様のものとなるため、以下では止水板本体21及び取付部材11aの関係を中心に説明し、止水板本体21及び取付部材11bに関する説明は省略する。
【0056】
まず、図6の(1)を参照して、止水板本体21を保管場所等から予め壁面3に取り付けておいた取付部材11aの近くまで運搬する。
【0057】
次に、図6の(2)を参照して、止水板本体21をその上方側が屋外方向に向かって傾斜するように持ち上げる。その状態から、爪部25aを取付部材11aの孔部15aに差し込んで、爪部25aの先端部分28aの止水板本体21側の部分29aを、孔部15aの開口付近19aにひっかける。その際、止水板本体21の背面側に取り付けられた止水材26の下方部分39は取付部材11aに押し付けられることになる。その際、孔部15aに爪部25aを引っ掛けるために爪部25aの根元まで一気に押し込むようにした場合、爪部25aと孔部15aとの間に遊びがなくなり、止水材26が取付部材11aへ過剰に押し付けられ破損する虞がある。しかしながら、爪部25aは前述したように略逆L字形状であり、爪部25aの先端部分28aの止水板本体21側の部分29aが斜めに削られた先細り形状となっているため、爪部25aを孔部15aに斜め下方に軽く差し込むだけで、爪部25aの先端部分28aの止水板本体21側の部分29aを孔部15aの開口付近19aにひっかけることができる。それにより、爪部25aと孔部15aとの間に遊びが生まれるため、止水材26の取付部材11aへの過剰な押付けにより止水材26が塑性変形して破損してしまうことを防止できる。
【0058】
更に、図6の(3)を参照して、止水板本体21の爪部25aと取付部材11aの孔部15aとの接触部分30を位置合わせの基準にして、屋外側に向かって上方に傾斜した止水板本体21を取付部材11a側に向かって引き起こしていく。その際、止水板本体21の爪部25aと取付部材11aの孔部15aとの接触部分30を支点にして矢印で示すようなやや弧を描くような軌道で止水板本体21を引き起こすことで、引き起こしの作業が容易となる。
【0059】
図7は、図1で示した止水板構造体の止水板本体を取付部材へ取り付ける際の後半の取付工程を示す概略右側面図であり、(1)は止水板本体を直立状態まで引き起こす工程を示す図であり、(2)止水板本体を上方から下方に向かって押し下げる工程を示す図である。又、図8は、図7で示した止水板構造体の取付工程に対応したボルト型ストライカ及び回転ラッチの位置関係を示す正面側から見た模式図である。
【0060】
図7の(1)を参照して、止水板本体21の爪部25aと取付部材11aとの接触状態を維持したまま、止水板本体21が直立状態となるまで止水板本体21を取付部材11a側に向かって更に引き起こす。すると、止水板本体21の背面側の止水材26が取付部材11aに押し付けられ、止水板本体21のボルト型ストライカ23aの円筒部分35aが、取付部材11aの切欠き16a及び回転ラッチ13aの凹部31aの上方に位置する。この状態において、図8の(1)を併せて参照して、回転ラッチ13aは、ロック機構32aのコの字形状の開放部分が斜め上方を向いて開放された状態となっており、ボルト型ストライカ23aの円筒部分35aが、回転ラッチ13aのロック機構32aのコの字形状の開放部分に接触した状態となる。
【0061】
次に、図7の(2)を参照して、図7の(1)の状態から止水板本体21を垂直下方に押し下げると、止水板本体21のボルト型ストライカ23aの円筒部分35aが、取付部材11aの切欠き部16aと回転ラッチ13aの凹部31aに押し込まれるように降下する。その際には、図8の(2)を併せて参照して、ボルト型ストライカ23aの円筒部分35aがロック機構32aのコの字形状の開放部分を押し下げることによりロック機構32aが回動中心33aを中心として矢印方向へ回動し始める。ボルト型ストライカ23aの円筒部分の回転ラッチ13aの凹部31aへの挿入が完了すると、図8の(3)を参照して、回転ラッチ13aのロック機構32aがボルト型ストライカ23aの円筒部分35aの一部を上方から覆ってラッチする。これにより、止水板本体21の上方への移動が阻止される。
【0062】
尚、止水板本体21を押し下げることで、爪部25aも孔部15aの内部で降下する。これにより、爪部25aが孔部15aにより深く挿入され、爪部25a及び孔部15aが止水板構造体1の固定補助手段となって、取付部材11aに対する止水板本体21の奥行き方向(屋外側)への移動が阻止される。
【0063】
又、止水板本体21の止水材26は床面4と取付部材11aとに押し付けられることで、外部からの水の侵入を阻止する。
【0064】
図9は、図8の(3)で示したボルト型ストライカと回転ラッチとの係合状態を示す概略平面図である。
【0065】
図9を参照して、係合状態における回転ラッチ13aの凹部31aとロック機構32aとが形成する形状の径の大きさαは、ボルト型ストライカ23aの頭部36aの径の大きさβより小さく設計されており、ボルト型ストライカ23aが奥行き方向(屋外側)へ抜け落ちないようになっている。このように回転ラッチのロック機構32aは、ボルト型ストライカ23aの抜止め手段としても機能する。これによって、止水板本体21が取付部材11aから屋外側へ倒れる虞がなくなる。
【0066】
上述のような構成とすることで、止水体本体21の取付部材11aへの取付けに必要な作業量が低減する。又、ボルト型ストライカ23aを回転ラッチ13aに押し込むだけで止水板本体21を取付部材11aに取り付けることができる。更に、爪部25aと孔部15aとの接触部分30を止水板本体21と取付部材11aとの位置合わせの基準とすることができる。これらによって、止水板構造体1を迅速に取り付けることが可能となる。
【0067】
又、爪部25a及び孔部15aのような固定補助手段を設けることによって、止水板本体21の取付部材11aへの取付状態が更に安定するため、止水板構造体1の信頼性が向上する。
【0068】
更に、ロック機構32aのような抜止め手段を設けることによって、取付け後の止水体本体21の意図しない移動が阻止されるため、止水板構造体1を迅速に安定した状態で取り付けることが可能となる。
【0069】
更に、上述のような取付工程とすることで、止水板本体21を取付部材11aに取り付ける際に下方から上方に向かって順に取り付けることができるため、止水板本体21を取付部材11aに取り付ける際の位置合わせが容易となり、止水板構造体1を迅速に取り付けることが可能となる。
【0070】
更に、図7の(2)で示すような止水板本体21の取付部材11aへの取付状態において、爪部25aは孔部15aの内部で取付部材11aの壁面3側には接していないため、爪部25aは壁面3方向に対して可動域が存在することになる。又、図9に示すように、ボルト型ストライカ25aの円筒部分35aの径は、係合状態における回転ラッチ13aの凹部31aとロック機構32aとが形成する形状の径の大きさαより小さいため、ボルト型ストライカ23aは壁面3方向に対して可動域が存在することになる。これらにより、止水板構造体1の使用時には外部の水位の上昇に伴って図1で示す正面側から止水板本体21にかかる水圧により、止水材26が圧縮され、止水板本体21が強固に取付部材11aに押し付けられて止水性が増す。又、止水板本体21の中空構造の内部の空間27に水が導入されることで止水板本体21の重量が増し、止水材26が床面4により強く押し付けられる。これによって、外部からの水の侵入を確実に阻止することができる。
【0071】
図10は、この発明の第2の実施の形態による止水板構造体の止水板本体の背面側を示す概略図であって、図2に対応する図である。
【0072】
尚、この実施の形態による止水板構造体51及び止水板本体61の構成は、基本的には第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明は繰り返さず、その相違点を中心に説明する。
【0073】
図10を参照して、止水板構造体51の止水板本体61は、第1の実施の形態の止水板本体21と同様に2枚の略矩形状の板材62a、62bからなるものである。但し、この板材62a、62bはネジ及び板プレート等で接続されておらず、常に分離可能に構成されている。
【0074】
止水板本体61の背面側の上方部分(板材62aの背面側の上方部分)における幅方向の両側には、第1の実施の形態のボルト型ストライカ23a、23bと同様の構成のボルト型ストライカ63a、63bが設けられている。又、止水板本体61の背面側の下方部分(板材62bの背面側の下方部分)における幅方向の両側には、第1の実施の形態の爪部15a、15bと同様の構成の爪部65e、65fが設けられている。
【0075】
更に、止水板本体61の板材62aの背面側の下方部分における幅方向両側には、一対の爪部65a、65bが設けられている。更に、板材62bの背面側の上方部分における幅方向の両側には、一対の爪部65c、65dが設けられている。この爪部65a~65dの形状や取付状態は、爪部65e、65fと同様である。
【0076】
更に、止水板本体61には、第1の実施の形態の止水材26が設けられている箇所に相当する部分に、止水材26と同様の構成の止水材66a、66bが連続的に設けられている。尚、図示していないが、止水板本体61の止水性向上のために、板材62a及び板材62bの接続面にも止水材を更に設けるようにしてもよい。止水板本体61をこれらのように構成した効果については後述する。
【0077】
図11は、この発明の第2の実施の形態による止水板構造体の取付部材を示す概略図であって、図5に対応する図であり、(A)は正面側を、(B)は右側面側を示す図であり、(C)は(A)のC-C拡大図である。
【0078】
尚、この実施の形態における取付部材71aの構成は、基本的には第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明は繰り返さず、その相違点を中心に説明する。又、この実施の形態における取付部材は第1の実施の形態と同様に一対のものであるが、互いに同様の構成を有するため、ここでは一方の取付部材71a側を中心に説明し、他方側の説明は省略する。
【0079】
図10に加えて図11の(A)及び(B)を参照して、止水板構造体51の取付部材71aの壁面3側の上方部分には、第1の実施の形態の回転ラッチ13aに相当する回転ラッチ73aが設けられている。回転ラッチ73aの構造及び取付状態は、第1の実施の形態の回転ラッチ13aと同様であり、図11の(C)に示すようなロック機構82aを備えている。又、取付部材71aの止水板本体61と対向する部分における下方部分には、第1の実施の形態の孔部15aと同様の構成の孔部75eが設けられている。
【0080】
更に、取付部材71aの止水板本体61と対向する部分における中央付近には、止水板本体61の爪部65a、65cを挿入可能な孔部75a、75cが設けられている。孔部75a、75cの各々の構造は、孔部75eと同様である。取付部材71aをこれらのように構成した効果については後述する。
【0081】
次に、取付部材71aに止水板本体61を取り付ける際の具体的な方法について説明する。ここでも一方の取付部材71a側を中心に説明し、同様の構成となる他方側の説明は省略する。
【0082】
図12は、図10で示した止水板本体の下側に位置する板材を図11で示した取付部材へ取り付ける際の取付工程を示す概略右側面図であり、(1)は板材を準備する工程を示す図であり、(2)は板材の爪部を取付部材の孔部に挿入する工程を示す図であり、(3)は板材を上方から下方に向かって押し下げる工程を示す図である。
【0083】
まず、図12の(1)を参照して、止水板本体61の板材62bを保管場所等から予め壁面3に取り付けておいた取付部材71aの近くまで運搬する。
【0084】
次に、図12の(2)を参照して、板材62bを上方に持ち上げて、爪部65c、65eを取付部材71aの孔部75c、75eに斜め下方に軽く差し込む。その際、第1の実施の形態で説明した爪部25a、孔部15a及び止水材26の関係と同様の関係から、爪部65c、65eの先端部分68c、68eの板材62b側の部分69c、69eを、孔部75c、75eの開口付近79c、79eにひっかけることができ、爪部65c、65eと孔部75c、75eとの間に遊びが生まれる。それにより、止水材66bの取付部材71aへの過剰な押付けに起因して止水材66bが塑性変形して破損してしまうことを防止できる。
【0085】
更に、図12の(3)を参照して、図12の(2)の状態から板材62bを垂直下方に押し下げると、爪部65c、65eが孔部75c、75eの内部で降下する。これにより、爪部65c、65eが孔部75c、75eにより深く挿入され、爪部65c、65e及び孔部75c、75eが止水板構造体51の固定補助手段となって、取付部材71aに対する板材62b(止水板本体61の下側の部分)の奥行き方向(屋外側)への移動が阻止される。
【0086】
図13は、図10で示した止水板本体の上側に位置する板材を図11で示した取付部材へ取り付ける際の取付工程を示す概略右側面図であり、(1)は板材を引き起こす工程を示す図であり、(2)は板材を直立状態まで引き起こす工程を示す図であり、(3)は板材を上方から下方に向かって押し下げる工程を示す図である。
【0087】
図13の(1)を参照して、止水板本体61の板材62aを保管場所等から板材62bを設置した取付部材71aの近くまで運搬する。次に、板材62aをその上方側が屋外方向に向かって傾斜するように持ち上げてから、爪部65aを取付部材71aの孔部75aに差し込む。その際、第1の実施の形態で説明した爪部25a、孔部15a及び止水材26の関係と同様の関係から、爪部65aを孔部75aに斜め下方に軽く差し込むだけで、爪部65aの先端部分68aの板材62a側の部分69aを孔部75aの開口付近79aにひっかけることができ、爪部65aと孔部75aとの間に遊びが生まれる。それにより、止水材66aの取付部材71aへの過剰な押付けに起因して止水材66aが塑性変形して破損してしまうことを防止できる。
【0088】
次に、第1の実施の形態で説明したように、板材62aの爪部65aと取付部材71aの孔部75aとの接触部分80を位置合わせの基準にして、屋外側に向かって上方に傾斜した板材62aを矢印で示すような軌道で取付部材71a側に向かって引き起こしていく。
【0089】
更に、図13の(2)を参照して、板材62aの爪部65aと取付部材71aとの接触状態を維持したまま、板材62aが直立状態となるまで板材62aを取付部材71a側に向かって更に引き起こす。すると、板材62aの止水材66aが取付部材71aに押し付けられ、板材62aのボルト型ストライカ63aが、取付部材71a及び回転ラッチ73aの上方に位置する。
【0090】
次に、図13の(3)を参照して、図13の(2)の状態から板材62aを垂直下方に押し下げると、板材62aのボルト型ストライカ63aが降下し、回転ラッチ73aが第1の実施の形態の回転ラッチ13aと同様に作動する。これにより、ボルト型ストライカ63aの円筒部分85aの上部の一部が回転ラッチ73aのロック機構82aによってラッチされる。これにより、止水板本体61の上方への移動及び屋外側への転倒が阻止される。
【0091】
又、板材62aを押し下げることで、爪部65aも孔部75aの内部で降下する。これにより、爪部65aが孔部75aにより深く挿入され、爪部65a及び孔部75aが止水板構造体51の固定補助手段となって、取付部材71aに対する板材62a(止水板本体61)の奥行き方向(屋外側)への移動が阻止される。
【0092】
上述のような構成とすることで、止水板本体61を構成する板材62a、62bの各々毎に取付け及び取外しを行うことが可能となる。又、止水体本体61を板材62a、62b毎に容易に分割できるため、止水板本体61を不使用時にはコンパクトに収納することができると共に運搬が容易となる。
【0093】
更に、固定補助手段が合計三対の爪部65a~65fと孔部75a、75c、75e及び不図示とからなるため、止水板構造体51の設置状態がより安定する。
【0094】
尚、上記の各実施の形態では、止水板本体は略矩形状のものであったが、これに限らず、台形等の他の形状からなるものであってもよい。
【0095】
又、上記の各実施の形態では、止水板本体は樹脂からなるものであったが、これに限らず、水密性を有していれば金属やゴム等他の素材からなるものであってもよい。
【0096】
更に、上記の各実施の形態では、止水板本体は両側面が開放された中空構造を有するものであったが、これに限らず、両側面が開放されていない中空構造を有するものや、中実構造を有するものを採用してもよい。
【0097】
更に、上記の各実施の形態では、止水板本体は2枚の板材からなるものであったが、これに限らない。3枚以上の板材を組み合わせたものであってもよいし、1枚の板材からなるものであってもよい。1枚の板材から構成すれば、複数枚の板材からなるものに比べて止水性が高まる。
【0098】
更に、上記の第1の実施の形態では、止水板本体は2枚の板材をネジと板プレートとによって連結するものであったが、これに限らず、板材の接続面に孔と突起とを設けてそれらが互いに嵌合するような単なる連結構造であってもよいし、板材の背面同士を1枚の平プレートで接続する等といった他の手段によって接続するものであってもよい。
【0099】
更に、上記の各実施の形態では、取付部材は略矩形状のものであったが、これに限らず、台形等の他の形状からなるものであってもよい。
【0100】
更に、上記の各実施の形態では、取付部材はゴム製材料等からなるパッキンを介して壁面に取り付けられるものであったが、これに限らず、水密状態に取り付けられるものであれば、他の手段を介して取り付けられるものであってもよいし、直接壁面に取り付けられるものであってもよい。
【0101】
更に、上記の各実施の形態では、取付部材はステンレスからなるものであったが、これに限らず、水密性を有していれば他の金属や樹脂、木材等他の素材からなるものであってもよい。
【0102】
更に、上記の各実施の形態では、係合体及び被係合体はボルト型ストライカと回転ラッチとからなるものであったが、これに限らない。例えば、係合体として棒状の貫抜を、被係合体として貫抜を通す穴部を設けた受け金具を採用して、棒状体を受け金具の穴部に対して上方から差し込むもの等を適用してもよい。
【0103】
更に、上記の各実施の形態では、係合体は特定形状のボルト型ストライカであったが、これに限らない。例えば、頭部に相当する部分が球形状等の他の形状を有するものであってもよいし、円筒部分に相当する部分が四角柱形状や三角柱形状等の他の形状を有するものであってもよい。
【0104】
更に、上記の各実施の形態では、係合体及び被係合体はボルト型ストライカと回転ラッチからなり、特定位置に取り付けられるものであったが、これに限らない。止水板本体及び取付部材の高さ方向の半分より上方であれば上方部分に含まれる。又、係合体が被係合体に対して上方から挿入可能であるならば、係合体と被係合体として採用するものに応じて、止水板本体及び取付部材の任意の場所に設けられるものであってもよい。例えば、前述の棒状の貫抜と受け金具とを採用した場合は、受け金具を取付部材の正面側に設けておき、それに対応する止水板本体の位置に貫抜を設けておくこともできる。
【0105】
更に、上記の第1の実施の形態では、固定補助手段が設けられるものであったが、固定補助手段はなくてもよい。
【0106】
更に、上記の第2の実施の形態では、合計三対の固定補助手段が設けられるものであったが、少なくとも下側に位置する板材に一対設けられる構成であればよい。
【0107】
更に、上記の各実施の形態では、固定補助手段は爪部と孔部とからなるものであったが、これに限らない。例えば、止水板本体と取付部材の各々に設けた爪状のものを互いに引っ掛け合うようなものを採用してもよい。
【0108】
更に、上記の各実施の形態では、固定補助手段は爪部と孔部とからなり、特定位置に設けられるものであったが、これに限らない。止水板本体及び取付部材の高さ方向の半分より下方であれば下方部分に含まれる。又、固定補助手段として採用するものに応じて止水板本体及び取付部材の任意の位置に設けられるものであってもよい。
【0109】
更に、上記の各実施の形態では、爪部と孔部とはそれぞれ特定形状を有するものであったが、他の形状からなるものであってもよい。
【0110】
更に、上記の各実施の形態では、止水材を止水板本体の特定の範囲に連続的に設けるものであったが、これに限らず、止水板本体の背面側及び底面側に全面的に設けるものであってもよい。又、止水が確実にできるのであれば、止水材はなくてもよい。
【0111】
更に、上記の各実施の形態では、止水板本体を取付部材に対して下方から上方に向かって順に取り付けるものであったが、これに限らず、単に止水板本体を上方から取り付けるようにしてもよい。
【0112】
更に、上記の各実施の形態では、抜止め手段は回転ラッチのロック機構を適用するものであったが、これに限らない。係合体及び被係合体として採用するものに応じて、適宜選択可能である。
【0113】
更に、上記の第1の実施の形態では、逆U字形状の把持部を有する取手を2つ設ける構成であったが、これに限らず、他の形状の取手を採用してもよい。又、取手の数はいくつ設けてよい。更に、取手がない構造としてしてもよい。
【0114】
更に、第2の実施の形態では取手は設けていない構成であったが、第1の実施の形態のように取手を設ける構成としてもよい。又、取手は上側に位置する板材と下側に位置する板材の双方に設けてもよいし、どちらか一方に設けるようにしてもよい。更に、取手の形状や数は特に限定するものでない。
【符号の説明】
【0115】
1、51…止水板構造体
2…間口
3…壁面(構造物)
4…床面
11a、11b、71a…取付部材
13a、13b、73a…回転ラッチ(被係合体)
15a、15b、75a、75c、75e…孔部(固定補助手段)
19a、79a、79c、79e…孔部の開口付近
21、61…止水板本体
22a、22b、62a、62b…板材
23a、23b、63a、63b…ボルト型ストライカ(係合体)
25a、25b、65a、65b、65c、65d、65e、65f…爪部(固定補助手段)
26、66a、66b…止水材
27、27a、27b…中空構造の内部の空間
28a、68a、68c、68e…爪部の先端部分
29a、69a、69c、69e…爪部の先端部分の止水板本体側の部分
30、80…爪部と孔部との接触部分
32a、82a…ロック機構(抜止め手段)
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13