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特開2022-123978接続チューブおよび医療デバイスのプライミング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123978
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】接続チューブおよび医療デバイスのプライミング方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
A61M39/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021473
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】松崎 亮太
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066CC01
4C066JJ02
4C066JJ05
(57)【要約】
【課題】複数のデバイスを同時にプライミングできる接続チューブおよび医療デバイスのプライミング方法を提供する。
【解決手段】第1内腔24を有する第1デバイス11と、第2内腔34を有する第2デバイス12と、第3内腔44と第4内腔45とを有する第3デバイス13と、を備えた医療デバイス10に液体を注入する接続チューブ50であって、先端部が第3内腔44を介して第1内腔24に位置し、基端部が第3デバイス13の外部に位置するチューブ本体51を備え、チューブ本体51は、第2シャフト部30を挿入できる基端開口部52と、第1内腔24と連通する先端開口部53と、第3デバイス13の外部に位置し流体供給部を接続できる流体入口部54と、第3内腔44に位置し第4内腔45と連通する流体出口部55と、基端部からチューブ本体51を周方向に分割するための分割開始部56と、を有する接続チューブ50である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の第1シャフト部と、該第1シャフト部の基端部に設けられる第1ハブと、を備え、前記第1シャフト部から前記第1ハブに渡る第1内腔を有する第1デバイスと、
管状で前記第1内腔に挿入できる第2シャフト部と、該第2シャフト部の基端部に設けられる第2ハブと、を備え、前記第2シャフト部から前記第2ハブに渡る第2内腔を有する第2デバイスと、
前記第1ハブに取付けられる取付部を備え、一方が前記第1内腔と連通し他方が開口する第3内腔と、該第3内腔から径方向に分岐する第4内腔と、を有する第3デバイスと、
を備えた医療デバイスに液体を注入する接続チューブであって、
前記第3デバイスから挿入され、先端部が前記第3内腔を介して前記第1内腔に位置し、基端部が前記第3デバイスの外部に位置するチューブ本体を備え、
前記チューブ本体は、前記第2シャフト部を挿入できる基端開口部と、該基端開口部より小さい内径を有し前記第1内腔と連通する先端開口部と、前記第3デバイスの外部に位置し流体供給部を接続できる流体入口部と、前記第3内腔に位置し前記第4内腔と連通する流体出口部と、前記基端部から前記チューブ本体を周方向に分割するための分割開始部と、を有する接続チューブ。
【請求項2】
前記流体入口部には、流体が充填された注入容器が接続されている請求項1に記載の接続チューブ。
【請求項3】
前記流体入口部には、流体供給部を接続するポート部が形成されている請求項1に記載の接続チューブ。
【請求項4】
前記分割開始部は、前記流体入口部と異なる周方向位置に形成されている請求項1~3のいずれか1項に記載の接続チューブ。
【請求項5】
前記先端開口部は、前記第2内腔の内径以下の内径を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の接続チューブ。
【請求項6】
管状の第1シャフト部と、該第1シャフト部の基端部に設けられる第1ハブと、を備え、前記第1シャフト部から前記第1ハブに渡る第1内腔を有する第1デバイスと、
管状で前記第1内腔に挿入できる第2シャフト部と、該第2シャフト部の基端部に設けられる第2ハブと、を備え、前記第2シャフト部から前記第2ハブに渡る第2内腔を有する第2デバイスと、
前記第1ハブに取付けられる取付部を備え、一方が前記第1内腔と連通し他方が開口する第3内腔と、該第3内腔から径方向に分岐する第4内腔と、を有する第3デバイスと、
を備えた医療デバイスに液体を注入するプライミング方法であって、
チューブ本体を備え、該チューブ本体は、基端開口部と、該基端開口部より小さい内径を有する先端開口部と、流体入口部と、該流体入口部より基端側に位置する流体出口部と、基端部に位置する分割開始部と、を有する接続チューブを用意するステップと、
前記第1デバイスの前記第1ハブに前記第3デバイスを取付けた状態で、前記チューブ本体の先端部を前記第3デバイスから挿入し、先端を前記第1デバイスの前記第1内腔に位置させると共に、前記流体出口部が前記第4内腔に対向するように位置させるステップと、
前記第2デバイスを前記基端開口部から前記チューブ本体内に挿入し、先端を前記流体入口部より基端側に位置させるステップと、
前記流体入口部から流体を注入し、前記チューブ本体の前記先端開口部から前記第1デバイスの前記第1内腔に、前記チューブ本体の前記基端開口部から前記第2デバイスの前記第2内腔に、前記チューブ本体の前記流体出口部から前記第3デバイスの第4内腔に、それぞれ流体を注入するステップと、
前記第2デバイスを前記チューブ本体の先端部に先端が位置するように前進させるステップと、
前記分割開始部から前記チューブ本体を裂いて分割し、前記チューブ本体を除去するステップと、
を有する医療デバイスのプライミング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の複数のデバイスを接続し、各デバイスが有する内腔に流体を注入できる接続チューブおよび医療デバイスのプライミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療デバイスにおいて、複数のデバイスを組み合わせて使用するものがある。例えば、下肢用のガイディングカテーテルは、血管内でのカテーテル通過をサポートするため、ガイディングカテーテルの内腔に挿入するダイレータと、止血弁を有するYコネクタとを組み合わせて使用する。ガイディングカテーテルとダイレータおよびYコネクタは、同一の袋に包装されている。
【0003】
医療デバイスを使用する際には、血液の逆流や凝固を防止するため、プライミングが実施される。特許文献1には、プライミングの際の操作性向上のためにバルブを設けたYコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-334047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のデバイスを組み合わせて使用する医療デバイスは、各デバイスをプライミングする必要があるため、準備に時間を要していた。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、複数のデバイスを同時にプライミングできる接続チューブおよび医療デバイスのプライミング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る接続チューブは、管状の第1シャフト部と、該第1シャフト部の基端部に設けられる第1ハブと、を備え、前記第1シャフト部から前記第1ハブに渡る第1内腔を有する第1デバイスと、管状で前記第1内腔に挿入できる第2シャフト部と、該第2シャフト部の基端部に設けられる第2ハブと、を備え、前記第2シャフト部から前記第2ハブに渡る第2内腔を有する第2デバイスと、前記第1ハブに取付けられる取付部を備え、一方が前記第1内腔と連通し他方が開口する第3内腔と、該第3内腔から径方向に分岐する第4内腔と、を有する第3デバイスと、を備えた医療デバイスに液体を注入する接続チューブであって、前記第3デバイスから挿入され、先端部が前記第3内腔を介して前記第1内腔に位置し、基端部が前記第3デバイスの外部に位置するチューブ本体を備え、前記チューブ本体は、前記第2シャフト部を挿入できる基端開口部と、該基端開口部より小さい内径を有し前記第1内腔と連通する先端開口部と、前記第3デバイスの外部に位置し流体供給部を接続できる流体入口部と、前記第3内腔に位置し前記第4内腔と連通する流体出口部と、前記基端部から前記チューブ本体を周方向に分割するための分割開始部と、を有する。
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスのプライミング方法は、管状の第1シャフト部と、該第1シャフト部の基端部に設けられる第1ハブと、を備え、前記第1シャフト部から前記第1ハブに渡る第1内腔を有する第1デバイスと、管状で前記第1内腔に挿入できる第2シャフト部と、該第2シャフト部の基端部に設けられる第2ハブと、を備え、前記第2シャフト部から前記第2ハブに渡る第2内腔を有する第2デバイスと、前記第1ハブに取付けられる取付部を備え、一方が前記第1内腔と連通し他方が開口する第3内腔と、該第3内腔から径方向に分岐する第4内腔と、を有する第3デバイスと、を備えた医療デバイスに液体を注入するプライミング方法であって、チューブ本体を備え、該チューブ本体は、基端開口部と、該基端開口部より小さい内径を有する先端開口部と、流体入口部と、該流体入口部より基端側に位置する流体出口部と、基端部に位置する分割開始部と、を有する接続チューブを用意するステップと、前記第1デバイスの前記第1ハブに前記第3デバイスを取付けた状態で、前記チューブ本体の先端部を前記第3デバイスから挿入し、先端を前記第1デバイスの前記第1内腔に位置させると共に、前記流体出口部が前記第4内腔に対向するように位置させるステップと、前記第2デバイスを前記基端開口部から前記チューブ本体内に挿入し、先端を前記流体入口部より基端側に位置させるステップと、前記流体入口部から流体を注入し、前記チューブ本体の前記先端開口部から前記第1デバイスの前記第1内腔に、前記チューブ本体の前記基端開口部から前記第2デバイスの前記第2内腔に、前記チューブ本体の前記流体出口部から前記第3デバイスの第4内腔に、それぞれ流体を注入するステップと、前記第2デバイスを前記チューブ本体の先端部に先端が位置するように前進させるステップと、前記分割開始部から前記チューブ本体を裂いて分割し、前記チューブ本体を除去するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した接続チューブは、流体入口部から流体を注入することで、第1内腔、第2内腔、第3内腔および第4内腔を同時にプライミングでき、医療デバイスを用いる手技の準備に要する時間を短縮できる。また、先端開口部は基端開口部より内径が小さいので、第1内腔と、第1内腔より内径の小さい第2内腔の両方について、流体入口部からの流体の線速度を同等にして、両者を確実かつ同じタイミングでプライミングできる。また、チューブ本体が分割開始部を有することで、プライミング後にはチューブ本体を裂いて周方向に分割して簡単に除去し、第2デバイスであるダイレータをそのまま第1デバイスであるガイディングカテーテルに挿入嵌合して、カテーテル治療に使用できる。
【0010】
前記流体入口部には、流体が充填された注入容器が接続されているようにしてもよい。これにより、接続チューブに注入容器を接続する手間を要しないので、プライミングにかかる時間をより短縮できる。
【0011】
前記流体入口部には、流体供給部を接続するポート部が形成されているようにしてもよい。これにより、接続チューブに注入容器を容易に接続でき、プライミングの作業を容易化できる。
【0012】
前記分割開始部は、前記流体入口部と異なる周方向位置に形成されているようにしてもよい。これにより、チューブ本体を周方向に分割する際に、流体入口部が分割を阻害しないようにすることができる。
【0013】
前記先端開口部は、前記第2内腔の内径以下の内径を有するようにしてもよい。これにより、第1内腔に流入する流体の線速度が大きくなりすぎることを抑え、第1デバイスと第2デバイスについて両方ほぼ同時にプライミングを完了できる。
【0014】
上記のように構成した医療デバイスのプライミング方法は、医療デバイスを構成する第1デバイスと第2デバイスおよび第3デバイスを同時にプライミングでき、医療デバイスによる手技の準備に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】接続チューブの正面図であって、チューブ本体を断面で表した図である。
図2】医療デバイスを構成する第1デバイスと第2デバイスおよび第3デバイスの正面図である。
図3】第3デバイスを第1デバイスに取付けた状態で接続チューブを挿入し、接続チューブに第2デバイスを挿入した状態の正面図であって、チューブ本体を断面で表した図である。
図4図3の状態から接続チューブ内に流体を注入した状態の正面図であって、チューブ本体を断面で表した図である。
図5図4の状態から第2デバイスを前進させた状態の正面図であって、チューブ本体を断面で表した図である。
図6図5の状態から接続チューブを周方向に分割する途中の状態の正面図であって、チューブ本体を断面で表した図である。
図7図6の状態から第2デバイスをさらに前進させた状態の正面図である。
図8】変形例に係る接続チューブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
【0017】
本発明の実施形態に係る接続チューブ50は、複数のデバイスを組み合わせて使用する医療デバイス10について、各デバイスを接続して同時にプライミングすることを可能とするものである。なお、本明細書では、医療デバイス10の生体管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、医療デバイス10の操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
【0018】
図1に示すように、接続チューブ50は、管状のチューブ本体51を有している。チューブ本体51は、基端開口部52と先端開口部53とがそれぞれ開口して連通している。先端開口部53は、基端開口部52より小さい内径を有している。接続チューブ50は、先端開口部53より基端側に、内部と連通する流体出口部55を有している。また、接続チューブ50は、流体出口部55より基端側に、内部と連通する流体入口部54を有している。流体入口部54には、シリンジからなる流体供給部である注入容器60が接続されている。注入容器60の内部には、流体が充填されており、注入操作部61を押し込むことにより、内部の流体を接続チューブ50の内部に注入することができる。本実施形態において流体は生理食塩水である。流体はこれ以外にも、ヘパリン加生理食塩水などであってもよく、生理食塩水に限定されない。
【0019】
接続チューブ50は、基端部からチューブ本体51を周方向に分割するための分割開始部56を有している。分割開始部56は、周方向2箇所に配置され、それぞれチューブ本体51の長さ方向に沿うスリット状に形成されている。チューブ本体51は、フッ素樹脂で形成される。チューブ本体51の材質はこれに限られず、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂やシリコーン樹脂などの樹脂材料であってもよい。また、チューブ本体51は、長さ方向に沿って一方向に配向する分子構造を有している。このようなチューブ本体51は、例えば樹脂材料を押し出し成形することによって形成できる。このため、チューブ本体51を分割開始部56から長さ方向に沿って、容易に手で裂くことができる。分割開始部56は、流体入口部54とは異なる周方向位置に形成される。また、分割開始部56は、スリット状に限らず、溝状あるいは切欠き状であってもよい。
【0020】
図2に示すように、医療デバイス10は、下肢用のガイディングカテーテルである第1デバイス11と、第1デバイス11に挿入されるダイレータである第2デバイス12と、第1デバイス11に接続されるYコネクタである第3デバイス13と、を備えている。
【0021】
第1デバイス11は、管状の第1シャフト部20と、第1シャフト部20の基端部に設けられる第1ハブ22とを備えている。第1デバイス11は、第1シャフト部20から第1ハブ22に渡る第1内腔24を有している。
【0022】
第2デバイス12は、管状の第2シャフト部30と、第2シャフト部30の基端部に設けられる第2ハブ32とを備えている。第2シャフト部30は、第1デバイス11の第1内腔24に挿入できる外径を有している。第2デバイス12は、第2シャフト部30から第2ハブ32に渡る第2内腔34を有している。
【0023】
第3デバイス13は、本体部40の一方に第1ハブ22に取付けられる取付部41を有し、本体部40の他方に開口部42を有している。第3デバイス13は、本体部40から取付部41に渡って連続する第3内腔44を有している。第3内腔44には、第2デバイス12の第2シャフト部30を挿通することができる。第3内腔44の基端部には、止血弁46が設けられる。
【0024】
第3デバイス13は、第3内腔44の径方向に向かって延びる分岐部43を有している。分岐部43は、第3内腔44から径方向に分岐して連通する第4内腔45を有している。分岐部43の先端部には、三方活栓47が設けられている。
【0025】
次に、接続チューブ50を使用して医療デバイス10のプライミングを実施する方法について説明する。術者は、予め、第1デバイス11の第1ハブ22に第3デバイス13の取付部41を取付け、第1内腔24と第3内腔44とを連通した状態としておく。術者は、図3に示すように、接続チューブ50のチューブ本体51を、第3デバイス13の開口部42から先端側に向かって挿入する。術者は、チューブ本体51が第3デバイス13の止血弁46を貫通し、チューブ本体51の先端が第1デバイス11の第1内腔24に位置するまで、チューブ本体51を挿入する。この状態において、チューブ本体51の先端開口部53は第1内腔24に位置し、チューブ本体51の流体出口部55は第4内腔45と対向し、チューブ本体51の流体入口部54と基端開口部52は第3デバイス13の外部に位置する。
【0026】
術者は、接続チューブ50の基端開口部52から第2デバイス12の第2シャフト部30を先端側に挿入する。第2シャフト部30は、先端30aがチューブ本体51の流体入口部54より基端側に位置するように挿入される。
【0027】
術者が注入容器60の注入操作部61を押圧操作することで、注入容器60内に充填された流体がチューブ本体51内に注入される。チューブ本体51に注入された流体は、チューブ本体51の先端側と基端側にそれぞれ流動する。図4に示すように、チューブ本体51の基端側に流動した流体F1は、チューブ本体51の基端側と連通する第2デバイス12の第2内腔34に進入する。チューブ本体51の先端側に流動した流体F2のうち、一部の流体F3は、流体出口部55から第3デバイス13の第3内腔44および第4内腔45に進入する。また、流体F2のうち、一部の流体F4は、先端開口部53から第1デバイス11の第1内腔24に進入する。
【0028】
チューブ本体51の先端開口部53は、基端開口部52より小さい内径を有していることから、第1内腔24に進入する流体F4の線速度を適切に調節することができる。先端開口部53は、第2デバイス12の第2内腔34の内径と同等あるいは内径以下であることが望ましい。これによって、第1内腔24に進入する流体F4と第2内腔34に進入する流体F1の線速度を同等として、第1内腔24と第2内腔34の両者を同時かつ確実にプライミングすることができる。
【0029】
このように、接続チューブ50により、注入容器60から接続チューブ50に流体を注入するだけで、第1デバイス11と第2デバイス12および第3デバイス13のプライミングを実施することができる。
【0030】
プライミングを行ったら、図5に示すように、術者は、第2デバイス12を前進させて、第2シャフト部30の先端30aをチューブ本体51の先端部に位置させる。このとき、第2シャフト部30の先端30aは第3内腔44内に位置している。その上で、図6に示すように、術者は、接続チューブ50を分割開始部56から手で裂いて周方向に分割する。分割開始部56は、流体入口部54とは異なる周方向位置に配置されているので、チューブ本体51を周方向に分割する際に、流体入口部54によって分割が阻害されないようにすることができる。チューブ本体51の第3内腔44および第1内腔24内に配置されている先端部についても、第3デバイス13の外部に引っ張り出しながら分割することができる。
【0031】
なお、チューブ本体51の先端部は、先端開口部53の内径を小さくするため、先端側に向かって細くなっている。この部分が、チューブ本体51が第3デバイス13の外部に引っ張り出されるのに伴い、第2シャフト部30の先端30aから径方向に押圧され、より分割されやすくなっていてもよい。
【0032】
チューブ本体51を分割して除去したら、術者は、図7に示すように、第2ハブ32が第3デバイス13の本体部40に当接する位置まで第2デバイス12をさらに前進させて、医療デバイス10による手技を実施する。
【0033】
このように、プライミングを行ったら、接続チューブ50を手で裂いて除去できるので、術者は医療デバイス10がプライミングされた状態でそのまま手技に移ることができ、手技の準備にかかる時間を短縮することができる。
【0034】
図8に示すように、変形例に係る接続チューブ70は、流体入口部54として注入容器60を接続できるポート部71を有している。前述のように、接続チューブ50に予め注入容器60が接続されていてもよいし、図8のように、接続チューブ70に対して注入容器60を後から取付けるようにしてもよい。この場合に、流体入口部54はポート部70を有していてもよいし、注入容器60の先端を挿入できる貫通孔を有していてもよい。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る接続チューブ50は、管状の第1シャフト部20と、第1シャフト部20の基端部に設けられる第1ハブ22と、を備え、第1シャフト部20から第1ハブ22に渡る第1内腔24を有する第1デバイス11と、管状で第1内腔24に挿入できる第2シャフト部30と、該第2シャフト部30の基端部に設けられる第2ハブ32と、を備え、第2シャフト部30から第2ハブ32に渡る第2内腔34を有する第2デバイス12と、第1ハブ22に取付けられる取付部41を備え、一方が第1内腔24と連通し他方が開口する第3内腔44と、該第3内腔44から径方向に分岐する第4内腔45と、を有する第3デバイス13と、を備えた医療デバイス10に液体を注入する接続チューブ50であって、第3デバイス13から挿入され、先端部が第3内腔44を介して第1内腔24に位置し、基端部が第3デバイス13の外部に位置するチューブ本体51を備え、チューブ本体51は、第2シャフト部30を挿入できる基端開口部52と、該基端開口部52より小さい内径を有し第1内腔24と連通する先端開口部53と、第3デバイス13の外部に位置し流体供給部を接続できる流体入口部54と、第3内腔44に位置し第4内腔45と連通する流体出口部55と、基端部からチューブ本体51を周方向に分割するための分割開始部56と、を有する。このように構成した接続チューブ50は、流体入口部54から流体を注入することで、第1内腔24と第2内腔34および第4内腔45を同時にプライミングでき、医療デバイス10を用いる手技の準備に要する時間を短縮できる。また、先端開口部53は基端開口部52より内径が小さいので、第1内腔24と、第1内腔24より内径の小さい第2内腔34の両方について、流体入口部54からの流体の線速度を同等にして、両者をほぼ同時にかつ確実にプライミングできる。また、チューブ本体51が分割開始部56を有することで、プライミング後にはチューブ本体51を裂いて周方向に分割し、簡単に除去することができる。
【0036】
流体入口部54には、流体が充填された注入容器が接続されているようにしてもよい。これにより、接続チューブ50に流体供給部を接続する手間を要しないので、プライミングにかかる時間をより短縮できる。
【0037】
流体入口部54には、流体供給部を接続するポート部71が形成されているようにしてもよい。これにより、接続チューブ70に注入容器60を容易に接続でき、プライミングの作業を容易化できる。
【0038】
分割開始部56は、流体入口部54と異なる周方向位置に形成されているようにしてもよい。これにより、チューブ本体51を周方向に分割する際に、流体入口部54が分割を阻害しないようにすることができる。
【0039】
先端開口部53は、第2内腔34の内径以下の内径を有するようにしてもよい。これにより、第1内腔24に流入する流体の線速度が大きくなりすぎることを抑え、第1デバイス11と第2デバイス12について両方ほぼ同時にプライミングを完了できる。
【0040】
本実施形態に係る医療デバイス10のプライミング方法は、管状の第1シャフト部20と、該第1シャフト部20の基端部に設けられる第1ハブ22と、を備え、第1シャフト部20から第1ハブ22に渡る第1内腔24を有する第1デバイス11と、管状で第1内腔24に挿入できる第2シャフト部30と、該第2シャフト部30の基端部に設けられる第2ハブ32と、を備え、第2シャフト部30から第2ハブ32に渡る第2内腔34を有する第2デバイス12と、第1ハブ22に取付けられる取付部41を備え、一方が第1内腔24と連通し他方が開口する第3内腔44と、該第3内腔44から径方向に分岐する第4内腔45と、を有する第3デバイス13と、を備えた医療デバイス10に液体を注入するプライミング方法であって、チューブ本体51を備え、該チューブ本体51は、基端開口部52と、該基端開口部52より小さい内径を有する先端開口部53と、流体入口部54と、該流体入口部54より基端側に位置する流体出口部55と、基端部に位置する分割開始部56と、を有する接続チューブ50を用意するステップと、第1デバイス11の第1ハブ22に第3デバイス13を取付けた状態で、チューブ本体51の先端部を第3デバイス13から挿入し、先端を第1デバイス11の第1内腔24に位置させると共に、流体出口部55が第4内腔45に対向するように位置させるステップと、第2デバイス12を基端開口部52からチューブ本体51内に挿入し、先端を流体入口部54より基端側に位置させるステップと、流体入口部54から流体を注入し、チューブ本体51の先端開口部53から第1デバイス11の第1内腔24に、チューブ本体51の基端開口部52から第2デバイス12の第2内腔34に、チューブ本体51の流体出口部55から第3デバイス13の第4内腔45に、それぞれ流体を注入するステップと、第2デバイス12をチューブ本体51の先端部に先端が位置するように前進させるステップと、分割開始部56からチューブ本体51を裂いて分割し、チューブ本体51を除去するステップと、を有する。このように構成した医療デバイス10のプライミング方法は、医療デバイス10を構成する第1デバイス11と第2デバイス12および第3デバイス13を同時にプライミングでき、医療デバイス10による手技の準備に要する時間を短縮できる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 医療デバイス
11 第1デバイス
12 第2デバイス
13 第3デバイス
15 注入容器
20 第1シャフト部
22 第1ハブ
24 第1内腔
30 第2シャフト部
30a 先端
32 第2ハブ
34 第2内腔
40 本体部
41 取付部
42 開口部
43 分岐部
44 第3内腔
45 第4内腔
46 止血弁
47 三方活栓
50 接続チューブ
51 チューブ本体
52 基端開口部
53 先端開口部
54 流体入口部
55 流体出口部
56 分割開始部
60 注入容器
61 注入操作部
図1
図2
図3
図4
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図8