(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123985
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】自然免疫活性化シール、NK細胞活性化用シール、白血球数増加用シール、リンパ球数増加用シール
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20220818BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/61 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/14 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/54 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/32 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/534 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/898 20060101ALI20220818BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20220818BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220818BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61K36/185
A61P37/04
A61K36/61
A61K36/752
A61K36/14
A61K36/53
A61K36/54
A61K36/32
A61K36/534
A61K36/898
A61K36/48
A61K9/70
A61K9/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021486
(22)【出願日】2021-02-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)販売又は販売促進のための、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ、ダイレクトメール、サンプリング時配布物、同梱販売促進物、チラシ等による発表(公開行為1~74として別紙表1に記載) 公開日:公開行為1~74ごとに、令和2年9月30日~令和3年3月1日の間の日(別紙表1に、納品日、掲載日、折込日、局出し日として記載) (2)販売のため、インターネット上のショッピングモール、アンケート、広告、モニターレビューサイト等のWEBでの開示(公開行為101~151として別紙表2に記載) 公開日:公開行為101~151ごとに、令和2年9月29日~令和3年2月8日の間の日(別紙表2に、公開日として記載) (3)雑誌、新聞、業界紙、ポータルサイト、ニュース、情報サイト、通信社等によるWEBでの開示(公開行為501~536として別紙表3に記載) 公開日:令和2年10月12日に配信(リリース) (4)雑誌、新聞、業界紙、ポータルサイト、ニュース、情報サイト、通信社等によるWEBでの開示(公開行為601~703として別紙表4に記載) 公開日:令和2年11月18日に配信(リリース) (5)雑誌、新聞、業界紙、ポータルサイト、ニュース、情報サイト、通信社等によるWEBでの開示(公開行為801~840として別紙表5に記載) 公開日:令和3年1月18日に配信(リリース) (6)販売又は販売促進のための、商品説明(メール)、同梱販売促進資料、サンプル提供等による公開(公開行為901~906として別紙表6に記載) 公開日:公開行為901~906ごとに、令和2年8月24日~令和2年11月4日の間の日(別紙表6に、紹介日/配布日として記載)
(71)【出願人】
【識別番号】517202098
【氏名又は名称】桜サイエンスビューティー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591046892
【氏名又は名称】富士産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002136
【氏名又は名称】特許業務法人たかはし国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川人 紫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 篤典
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA71
4C076BB32
4C076CC07
4C076FF68
4C088AB12
4C088AB33
4C088AB38
4C088AB40
4C088AB57
4C088AB59
4C088AB62
4C088AB65
4C088AB89
4C088BA08
4C088MA63
4C088NA05
4C088ZB09
4C088ZB22
(57)【要約】
【課題】簡便に手軽に、呼吸器を通して摂取でき、科学的なエビデンスに裏打ちされた自然免疫を活性化させる手段を提供すること。
【解決手段】対象者が身に着けている貼付対象物に貼り付けておくことによって、該対象者の自然免疫を活性化させるシール10であって、
該シール10は、下から、該貼付対象物に貼り付けておくための粘着層12、及び、天然由来液体が含浸され保持されており、その上面が空間に向けて露出していて、該天然由来液体が空間に揮発徐放されるようになっている液体含浸保持層11を有することを特徴とする自然免疫活性化シール10、該自然免疫活性化シール10であるNK細胞活性化用シール、白血球数増加用シール、リンパ球数増加用シール。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が身に着けている貼付対象物に貼り付けておくことによって、該対象者の自然免疫を活性化させるシールであって、
該シールは、下から、該貼付対象物に貼り付けておくための粘着層、及び、天然由来液体が含浸され保持されており、その上面が空間に向けて露出していて、該天然由来液体が空間に揮発徐放されるようになっている液体含浸保持層を有することを特徴とする自然免疫活性化シール。
【請求項2】
前記天然由来液体が、植物から抽出された水性液体、油性液体、又は、それらの混合物である請求項1に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項3】
前記天然由来液体が、香りを有する液体である請求項1又は請求項2に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項4】
前記対象者のNK細胞を活性化させることによって、該対象者の自然免疫を活性化させる請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項5】
前記対象者の白血球数を増加させることによって、該対象者の自然免疫を活性化させる請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項6】
前記対象者のリンパ球数を増加させることによって、該対象者の自然免疫を活性化させる請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項7】
前記貼付対象物が、マスク、衣類、帽子、バッグ、カードケース、又は、ハンカチである請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項8】
前記液体含浸保持層を形成する保持基材が不織布である請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項9】
前記天然由来液体が、ゼラニウム、ティートリー、グレープフルーツ、マンダリンオレンジ、スイートオレンジ、ベルガモット、レモン、ヒノキ、及び、ユズからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物から抽出された液体を含有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項10】
前記天然由来液体が、ローズマリー、カンファー、レモン、ヒノキ、及び、ミルラからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物から抽出された液体を含有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項11】
前記天然由来液体が、ペパーミント、マンダリンオレンジ、レモングラス、レモンユーカリ、グレープフルーツ、ティートリー、レモン、フェンネル、スイートオレンジ、及び、ミルラからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物から抽出された液体を含有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項12】
前記天然由来液体が、コーヒー、プチグレン、バニラ、ベルガモット、ゼラニウム・ブルボン、クローブ、フェンネル、及び、スイートオレンジからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物から抽出された液体を含有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項13】
前記天然由来液体が、ティートリー、ユーカリ、ラベンダー、ペパーミント、ゼラニウム・ブルボン、ベルガモット、スペアミント、及び、ミルラからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物から抽出された液体を含有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項14】
前記天然由来液体が、ローズアブソリュート、トンカビーンズ、及び、セージからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物から抽出された液体を含有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シール。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シールであって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者のNK細胞を活性化させるためのものであることを特徴とするNK細胞活性化用シール。
【請求項16】
請求項1ないし請求項14の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シールであって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者の白血球数を増加させるためのものであることを特徴とする白血球数増加用シール。
【請求項17】
請求項1ないし請求項14の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シールであって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者のリンパ球数を増加させるためのものであることを特徴とするリンパ球数増加用シール。
【請求項18】
下から、前記粘着層を保護し使用時には該粘着層から剥がすことができる離型シート、及び、請求項1ないし請求項14の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化シールを有することを特徴とする自然免疫活性化シールセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「人が身に着けている貼付対象物」に貼り付けておくことによって、自然免疫を活性化させる自然免疫活性化シールに関し、中でも、NK細胞活性化用シール、白血球数増加用シール、リンパ球数増加用シール等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物、キノコ、菌等からの抽出物に、免疫活性があることは知られている。
例えば、特許文献1には、特定の属の植物から単離した特定の化合物に免疫活性調節作用があることが記載されている。すなわち、免疫活性化剤を植物から抽出することが記載されている。
また、特許文献2には、キノコの菌糸体・子実体に由来する物質を含有する入浴剤を用いると、有効成分が皮膚から吸収されて免疫不全に効くことが記載されている。
【0003】
特許文献3には、サラシア属の植物からの抽出物を含む免疫活性化剤が記載され、これをマウスに、飼料に混ぜて投与することによって、免疫活性化作用が現出したことを、遺伝子発現解析によって確かめている。
【0004】
しかしながら、例えば上記したように、従来の「免疫活性を有する物質の摂取」は、経口、注射、皮膚からの吸収等であり、呼吸器からの摂取ではなかった。しかも、免疫活性成分を空間に揮発・放出することによって、人が日常生活を送る中で自然に摂取できるようなものではなかった。
【0005】
一方、シール状のものに精油を浸み込ませ、該シールをタオルや家具に貼り付けておくことによって、該精油が徐々に揮発して、アロマセラピー効果を発揮することも知られている。
特許文献4には、保持層と粘着層とを有し、該保持層にアロマセラピー用の精油を含浸させた精油含浸用シールが記載されている。特許文献4によると、アロマセラピーが安全かつ手軽にできて、該シールは見栄えも良いとされている。
しかしながら、特許文献4は、有効成分を空間に揮散させるシールではあるものの、薬効についての記載はなく、況や免疫活性については記載も示唆もない。
【0006】
一方、マスクに薬効成分を付与させたマスクが知られている。
特許文献5には、疾病を緩和、抑制、治療等するための薬を付与させた薬効マスクが記載されている。すなわち、特許文献5には、薬を呼吸器から摂取するためのマスクについて記載されている。
しかしながら、特許文献5発明はマスクの発明であり、手軽に使用できるシールに関する発明でないことに加え、免疫活性については記載も示唆もない。
【0007】
自然免疫の活性化は、病原菌又はウイルスに対する感染症の予防や治療に有効であり、更には、(多剤)耐性菌に対しても有効であり、また多くの種類が存在する日和見感染症に対する予防や治療に対して極めて有効である。
しかし、科学的(医学的、薬学的等)なエビデンスをもって上記効果があることを示したケースは殆どなく、優れた自然免疫活性化剤や、自然免疫を活性化することによる感染症の予防や治療の開発が望まれていた。
更には、簡便に又は楽しみながら自然免疫活性化が可能となる手段が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-206839号公報
【特許文献2】特開2004-250358号公報
【特許文献3】特開2010-235544号公報
【特許文献4】特開2017-105009号公報
【特許文献5】特開2004-089655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、簡便に手軽に、呼吸器を通して摂取でき、科学的なエビデンスに裏打ちされた自然免疫を活性化させる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、天然由来液体を空間に揮発させ、該揮発された有効成分を吸い込むことによって、NK細胞が活性化されたり、白血球数やリンパ球数が増加したりして、自然免疫が活性化することを見出して本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、対象者が身に着けている貼付対象物に貼り付けておくことによって、該対象者の自然免疫を活性化させるシールであって、
該シールは、下から、該貼付対象物に貼り付けておくための粘着層、及び、天然由来液体が含浸され保持されており、その上面が空間に向けて露出していて、該天然由来液体が空間に揮発徐放されるようになっている液体含浸保持層を有することを特徴とする自然免疫活性化シールを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、前記天然由来液体が、植物から抽出された水性液体、油性液体、又は、それらの混合物である前記の自然免疫活性化シールを提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記天然由来液体が、香りを有する液体である前記の自然免疫活性化シールを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記自然免疫活性化シールであって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者のNK細胞を活性化させるためのものであることを特徴とするNK細胞活性化用シールを提供するものである。
【0015】
また、本発明は、前記自然免疫活性化シールであって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者の白血球数を増加させるためのものであることを特徴とする白血球数増加用シールを提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記自然免疫活性化シールであって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者のリンパ球数を増加させるためのものであることを特徴とするリンパ球数増加用シールを提供するものである。
【0017】
また、本発明は、下から、前記粘着層を保護し使用時には該粘着層から剥がすことができる離型紙、及び、前記の自然免疫活性化シールを有することを特徴とする自然免疫活性化シールセットを提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡便・手軽に、また趣向的に、呼吸器を通して有効成分を摂取でき、科学的(医学・薬学的)なエビデンスに裏打ちされた自然免疫を活性化させる手段・方法を提供することができる。
【0019】
「自然免疫活性」については、一般に評価が難しく、「自然免疫活性剤の発明」と銘打った発明はあるが、その中には、単なる願望による(願望が含まれた)もの、エビデンスに欠けるもの等が存在する。
そのような発明の中には、摂取する有効成分として「天然物」が挙げられている可能性もある。しかしながら、単に願望に過ぎない先行文献に記載の発明は、もしあったとしても、それらは、「エビデンスのある本発明」をする際には全く役に立たない。
本発明は、実際にヒトによる試験に基いてなされたものである。
【0020】
NK細胞(natural killer cell)は、T細胞やB細胞に属さないリンパ球で、ウイルス感染や細菌・真菌感染の初期にすばやく働いて生体を防御しており、重要な免疫細胞の一種である。
本発明は、「植物から抽出された水性液体、油性液体又はそれらの混合物」と言った天然由来液体が含浸されたシールが貼り付けてあるマスクを装着したシール群(8人)と、該シールが貼り付けてないマスクを装着した対照群(10人)との間に、NK細胞活性に差が見られたことによりなされた。
【0021】
すなわち、本発明のシールによれば(使用すれば)、ヒトのNK細胞活性が、実際の人による試験で高くなることが確かめられている。
本発明によれば、NK細胞を活性化させることによって、ヒトの免疫活性を上昇させることができる。
本発明は「NK細胞活性化用シール」でもあるが、該発明は、新たな属性を科学的(医学・薬学的)なエビデンスをもって見出し、かつ「物」としての上記新たな用途を見出してなされたものである。
【0022】
白血球は重要な免疫細胞の一種である。
本発明は、本発明のシールが貼り付けてあるマスクを装着したシール群(8人)と、該シールが貼り付けてないマスクを装着した対照群(10人)との間に、白血球数(の増加)に差が見られたことによりなされた。
【0023】
すなわち、本発明のシールによれば(シールを使用すれば)、ヒトの白血球数が、実際の人による試験で高くなることが確かめられている。
本発明によれば、白血球数を増加させることによって、ヒトの免疫活性を上昇させることができる。
本発明は「白血球数増加用シール」でもあるが、該発明は、新たな属性を科学的(医学・薬学的)なエビデンスをもって見出し、かつ「物」としての上記新たな用途を見出してなされたものである。
【0024】
リンパ球は免疫系における白血球の一種であり、NK細胞、T細胞、B細胞がある。これらはリンパ中で見られる主要な細胞種であり、そこからリンパ球と呼ばれ、重要な免疫細胞の一種である。
本発明は、本発明のシールが貼り付けてあるマスクを装着したシール群(8人)と、該シールが貼り付けてないマスクを装着した対照群(10人)との間に、リンパ球数(の増加)に差が見られたことによりなされた。
【0025】
すなわち、本発明のシールによれば(シールを使用すれば)、ヒトのリンパ球数が、実際の人による試験で高くなることが確かめられている。
本発明によれば、リンパ球数を増加させることによって、ヒトの免疫活性を上昇させることができる。
本発明は「リンパ球数増加用シール」でもあるが、該発明は、新たな属性を科学的(医学・薬学的)なエビデンスをもって見出し、かつ「物」としての上記新たな用途を見出してなされたものである。
【0026】
天然由来液体に含有される単一の化合物(群)の中には、その化合物の蒸気(気体)が呼吸器から体内に入り、直接ヒトの受容体に作用するものが存在する可能性がある。
ただ、それだけではなく、本発明における天然由来液体として、「香りを有する液体」を用いれば、該香りが大脳の特定の場所に作用して、その大脳からの直接の指令によって、自然免疫を活性化させている可能性がある(その可能性が高い)。
また、該香りが大脳の特定の場所に作用して、人の過去の記憶を呼び戻したり、気持ちが良くなったりして、そのことによって、間接的に自然免疫を活性化させている可能性も高い。
更に、香りを有する天然由来液体は、全て自律神経を調整する作用を有することが既に分かっている。
【0027】
すなわち、上記した作用機序は、香りを有する天然由来液体全般に対して共通して言えることであるので、限られた種類の天然由来液体の混合物でしか、NK細胞活性化、白血球数増加、又は、リンパ球数増加による自然免疫活性化作用が確認されていなかったとしても、該作用・効果は、香りを有する天然由来液体全体に対して言えることである。ただし、特に好ましい香りを有する天然由来液体(植物抽出物)は後記するものである。
【0028】
すなわち、本発明では、自然免疫を活性化させる生体的機構が具体的に分かっている(推定されている)特定の(単一)化学物質の体内への摂取(取り込み)にのみ依存するのではなく、ヒトの持つ大脳の働きに依存して、又は、精神的な側面から、ヒトの自然免疫を活性化させている場合もあるので、むしろ効果を奏する確実性が高い。
【0029】
本発明において、シールの液体含浸保持層に、天然由来液体として「香りを有する液体」を含浸させて用いれば、上記効果を有するのみならず、香りを楽しむこともできる。すなわち、本発明の自然免疫活性化シールは、趣向的なものとして楽しむことができる。
【0030】
また、本発明の自然免疫活性化シールは、アロマセラピーとして、好適に使用できる。
近年、アロマセラピーは、香りを楽しむというだけに留まらず、医療・介護分野等においても活用しようとする動きがある。本発明は、このような医療・介護分野等におけるアロマセラピーにも利用できる。
また、アロマセラピーを趣味とする人には勿論のこと、アロマセラピーに興味のない一般の老人・成人・年少者等にも活用可能である。
【0031】
精油等の「香りを有する液体」がビンに入ったものは、一般に販売されていて、家庭内にも置かれている。しかし、ビン入りの場合は、内部の液体を利用し難い上に、目薬や薬剤と誤って使用してしまう場合がある。
また、アロマポッド等の機器も知られているが、加熱するためのヒーター等、取り扱いに注意を要するものや、取り扱いが面倒なものが多い。
また、ディフューザーも、棚等において場所を取り、使い難いと感じる人も多い。更に、ティッシュペーパー、不織布等に滴下して浸み込ませて使用する方法では、使い難く、見栄えも悪いという問題がある。
【0032】
本発明によれば、小さくて薄いシールを用いるので、取り扱い易く、場所を取らず、手頃であり、付属装置も必要なく、見栄えも良く、ファッション性も備えている。
更に、シール構成する「不織布等の液体含浸保持層」には、液体を徐放する機能もあり、それを調整することのできるので、比較的長期に亘って、程良い安定した効果を享受することができる。
効果がなくなったら、又は、天然由来液体が香りを有する液体の場合は、該香りが薄れてきたら若しくは該香りを変更したくなったときは、本発明のシールを貼り換えればよいので簡便である。
【0033】
本発明の自然免疫活性化シールの表面には、柄、文字、絵、記号、商標等の画像があってもなくてもよいが、画像を描けばファッション性を更に上げることもできる。
また、自然免疫活性化シールは、逆に、他人から見えない部分に貼り付けて使用することもできる。
【0034】
また、本発明の自然免疫活性化シールは、マスク、衣類、帽子、バッグ、カードケース、ハンカチ等、人が身に着けているものに貼り付けて使用できるので、すなわち、有効成分を含有する天然由来液体が近いところにあるので、室内の離れた場所にあって部屋中に漂わせる場合に比べ、無駄にならず効果的である。
また、身に着けているものに貼り付けて使用すれば、室内のような限定された空間でのみならず、外出時等のオープンな空間でも、常に本発明の自然免疫活性化効果を受けることができる。
本発明のシールは、貼り付けておくだけで、簡便に、楽しみながら、ファッション性もあり、日常的に、持続して、自然免疫活性化が可能となる。
【0035】
また、天然由来液体を複数種類用意し、それらがそれぞれ含浸された複数種類のシールを所有していれば、そのときの気分・症状・感情・目的等によって、気に入った又は相応しい種類のシールを採用して使用することができる。その点も、楽しみであり、趣向性を上げている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施例1の試験のスケジュールを示す図である。
【
図2】実施例1におけるシール群8名の、試験前と試験後のNK細胞活性(%)を示すグラフである。
【
図3】実施例1における対照群10名の、試験前と試験後のNK細胞活性(%)を示すグラフである。
【
図4】実施例1における対照群とシール群の、NK細胞活性(%)の変化量(%ポイント)を示すグラフである。
【
図5】実施例1におけるシール群8名の、試験前と試験後の白血球数(/μL)を示すグラフである。
【
図6】実施例1における対照群10名の、試験前と試験後の白血球数(/μL)を示すグラフである。
【
図7】実施例1における対照群とシール群の、白血球数(/μL)の変化量(/μL)を示すグラフである。
【
図8】実施例1におけるシール群8名の、試験前と試験後のリンパ球数(/μL)を示すグラフである。
【
図9】実施例1における対照群10名の、試験前と試験後のリンパ球数(/μL)を示すグラフである。
【
図10】実施例1における対照群とシール群の、リンパ球数(/μL)の変化量(/μL)を示すグラフである。
【
図11】本発明の自然免疫活性化シールを貼り付けたマスクの一例を示す図である。 (a)マスクの外側(シールの上)から見た概略平面図 (b)マスクの外側(シールの上)からの写真
【
図12】本発明の自然免疫活性化シールの構成を示す概略図である。 (a)自然免疫活性化シールの下に離型シートがある場合の概略断面図 (b)自然免疫活性化シールの下に離型シートがあり、上にカバーフィルムがある場合の概略断面図 (c)複数個の自然免疫活性化シールが離型シートの上に並列して存在する場合の概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0038】
本発明の自然免疫活性化シールは、対象者が身に着けている貼付対象物に貼り付けておくことによって、該対象者の自然免疫を活性化させるシールであって、
該シールは、下から、該貼付対象物に貼り付けておくための粘着層、及び、天然由来液体が含浸され保持されており、その上面が空間に向けて露出していて、該天然由来液体が空間に揮発徐放されるようになっている液体含浸保持層を有することを特徴とする。
以下、本発明の自然免疫活性化シールを、単に「シール」又は「本発明のシール」と略記することがある。
【0039】
<自然免疫活性化シール>
本発明の自然免疫活性化シール10の概略断面図を
図12(a)及び
図12(b)に示す。
本発明のシール10は、下から、粘着層12、液体含浸保持層11を、この順に有する。該粘着層12の下には離型シート13があることが好ましく、特に限定はされないが、該液体含浸保持層11の上にはカバーフィルム14があってもよい(
図12(b))。
【0040】
シール10の形状は、特に限定はなく、正円、楕円、正多角形、長方形等、如何なる形状でもよいが、正円又は楕円が、剥がし易く貼り付け易い、角がないのでそこから捲れ難い等の点から好ましい。
シール10の面積は、使用できれば特に限定はないが、正円の直径に換算して、0.5cm以上10cm以下が好ましく、0.8cm以上5cm以下がより好ましく、1.0cm以上4cm以下が特に好ましい。
【0041】
<<粘着層>>
上記粘着層12は、本発明のシール10を貼付対象物に貼り付けるためのものである(
図12(a)(b)参照)。
該粘着層12の厚さは、シールが添付対象物に貼り付けば、特に限定はないが、1μm以上800μm以下が好ましく、5μm以上400μm以下がより好ましく、10μm以上200μm以下が特に好ましい。
上記粘着層12の材質は、特に限定はなく、公知のものが使用可能である。例えば、(メタ)アクリル系粘着剤、(ポリ)ウレタン系粘着剤、シリコーン(ポリシロキサン)系粘着剤等が挙げられる。
【0042】
<<液体含浸保持層>>
上記液体含浸保持層11は、天然由来液体が含浸され保持されており、その上面が空間に向けて露出していて、該天然由来液体が空間に揮発徐放されるようになっている(
図12(a)(b)参照)。
図12(a)(b)では、上側が天然由来液体が揮発徐放される空間側であり、下側が粘着層12を介して貼付対象物に貼り付けられる側である。
【0043】
該液体含浸保持層11の厚さは、天然由来液体が好適に含浸され保持されれば、特に限定はないが、0.02mm以上5mm以下が好ましく、0.05mm以上2mm以下がより好ましく、0.1mm以上1.0mm以下が特に好ましい。
【0044】
上記液体含浸保持層11の材料は、特に限定はなく、公知のものが使用可能である。具体的には、例えば、不織布、織布、ゼオライトシート、ポリウレタンフォーム、フエルト等が挙げられる。
好適に天然由来液体を含浸させられる、軽量である、安価で使用し易い、(厚く)成型し易い等の点から、不織布が特に好ましい。
不織布の材質(繊維)は、特に限定はなく、公知のものが使用可能である。天然繊維、化学(合成)繊維、半合成繊維等が使用可能であり、具体的には、例えば、アラミド、ガラス、セルロース、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリオレフィン、レーヨン等の繊維が挙げられる。
【0045】
<<天然由来液体>>
本発明のシール10では、上記液体含浸保持層11に天然由来液体が含浸され保持されている。
該天然由来液体は、液体含浸保持層11に予め含浸させておいて商品としてもよいし、該天然由来液体を、使用者が、別途、該液体含浸保持層11に含浸させて使用してもよい。
後者の場合、天然由来液体のみを、別売り又はレフィル(補充品)とすることができるし、前者(液体含浸保持層11に天然由来液体が予め含浸されている商品)を使用後に、天然由来液体が揮発し終わったときに、補充用とすることもできる。
使用の簡便さの点から、天然由来液体が液体含浸保持層11に予め含浸されている態様・商品、又は、シールの使い捨てタイプが好ましい。
【0046】
本発明における蒸気天然由来液体は、植物から抽出された水性液体、油性液体、又は、それらの混合物であることが、本発明のシール10から揮発されて、呼吸器を経由して、NK細胞活性化、白血球数増加、又は、リンパ球数増加によって、自然免疫を活性化し易いために好ましい。
本発明において、上記「植物」とは、陸生植物の他に、緑藻(植物)や紅藻(植物)をも含めたアーケプラスチダを意味する。
【0047】
植物から抽出された水性液体としては、植物の細胞水(植物の細胞内に存在する水溶液)、植物から抽出した際に2層に分かれたとするとその水溶液側(水相)等が挙げられる。
また、植物から抽出された、油性液体、又は、水性液体と油性液体の混合物としては、精油;アロマオイル;植物から抽出した際に2層に分かれたとするとその油性溶液側(油相);等が挙げられる。
【0048】
本発明における天然由来液体は、生の植物からの抽出物、植物の乾燥物からの湯煎等による抽出物、発酵物等が挙げられる。特に限定はされないが、生の植物からの抽出物が、植物に含有される成分が全て含まれる、過度の熱がかかっていない、新鮮で分解物がない、等の点から特に好ましい。
【0049】
抽出方法については、特に限定はなく、あらゆる方法が用いられ得る。
具体的には、例えば、水蒸気蒸留法;水に浸漬させて(好ましくは加熱して)抽出する直接抽出法;有機溶媒を用いて抽出する溶媒抽出法;(好ましくは溶媒を加えて)圧搾することにより抽出する圧搾法;超臨界流体を用いて抽出する超臨界抽出法;有機溶媒、水、水蒸気等の抽出溶媒を使用せず、40℃以下の低温で減圧して直接抽出する低温真空抽出法;等が挙げられる。
中でも、低温真空抽出法は、細胞水が得られる、熱分解が少ない、得られるものが天然物に近い組成となる、等の点から特に好ましい。
【0050】
上記天然由来液体が、植物から抽出された水性液体、油性液体、又は、それらの混合物であるときに、抽出対象となる植物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、アイリス、アカヤジオウ、アカマツ、アカメガシワ、アキカラマツ、アケビ、アサ、アサガオ、アジョワン、アズキ、アニス、アマチャ、アミガサユリ、アルバローズ、アンジェリカ、アンズ、アンバー、アンブレット、イカリソウ、イグサ、イチョウ、イニュラ、イヌサフラン、イネ、イモーテル、イランイラン、インドジャボク、ウインターグリーン、ウスバサイシン、ウコン、ウド、ウメ、ウツボグサ、ウラルカンゾウ、ウンシュウミカン、エゾウコギ、エビスグサ、エレミ、エンゴサク、エンジュ、オオツヅラフジ、オオバコ、オークモス、オケラ、オタネニンジン、オニオン、オニノヤガラ、オポポナックス、オリーブ、オレガノ、スイートオレンジ、オレンジビター、オレンジジャスミン、オールスパイス、カカオ、カキ、カギカズラ、ガジュツ、カナンガ、カノコソウ、カモミール、カユプテ、カラスビシャク、カラムス、ガランガル、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、カワラヨモギ、カンファー(クスノキ)、キカラスウリ、キキョウ、キササゲ、キハダ、キバナオウギ、キャベッジローズ、キャラウェイ、キャロットシード、キュベブ、キーワ、クコ、クサスギカズラ、クズ、クチナシ、クマコケモモ、クミン、クララ、クラリセージ、グレープフルーツ、クレメンタイン、クローブ、クロモジ、ケシ、ゲットウ、ゲンチアナ、ゲンノショウコ、コウホネ、コガネバナ、コカノキ、ゴシュユ、コブシ、ゴボウ、コーヒー、コリアンダー、ゴマ、サイプレス、サイペルス、サクラ、ザクロ、サジオモダカ、サフラン、サネブトナツメ、サラシナショウマ、サンシュシュ、サンショウ、サンダルウッド、ジギタリス、シクンシ、シソ、シダーウッド、シトロネラ、シナニッケイ、シナマオウ、シナモン、シナレンギョウ、シャクヤク、ジャスミン、ジャノヒゲ、ジュニパーベリー、ショウヨウダイオウ、ジンジャー(ショウガ)、スイカズラ、スギ、スターアニス、ステビア、スパイクナード、セイボリー、セイヨウカラシナ、セージ、ゼラニウム・ブルボン(ローズゼラニウム)、ゼラニウム・エジプト、ゼラニウム、セリバオウレン、センキュウ、セロリ、セントジョンズワート、センブリ、ダイウイキョウ、タイム、ダイダイ、タジェット、タチバナ、タバコ、ターメリック、タラゴン、タンジー、タンジェリン、チガヤ、チェストツリー、チャノキ、チューブローズ、チョウジノキ、チョウセンゴミシ、チョレイマイタケ、チンネベリーセンナ、ティートリー、ティーローズ、ディル、テンダイウヤク、トウガラシ、トウガン、トウキ、トウゴマ、トウモロコシ、ドクダミ、トチバニンジン、トチュウ、トンカビーンズ、ナツメ、ナツメグ、ナルシス、ナンテン、ニアウリ、ニガキ、ニチニチソウ、ヌルデ、ネロリ、ノイバラ、バイオレット、パイン、バジル、パセリ、ハシリドコロ、バーチ、ハチミツ、パチュリ、ハッカ、バッカクキン、ハトムギ、ハマゴウ、ハマボウフウ、ハナスゲ、ハマビシ、ハマナス、ハニーサックル、バニラ、バルサム、パルマローザ、バレリアン、ヒキオコシ、ヒソップ、ヒナタイノコズチ、ヒノキ、ヒヨス、ヒロハセネガ、ビワ、ビンロウ、ファー(モミ)、フェンネル(ウイキョウ)、プチグレン、ブラックスプルース、ブラックペッパー(コショウ)、フランキンス、ベイ、ベチバー、ベラドンナ、ペニーロイヤル、ベニバナ、ベルガモット、ベンゾイン(アンソクコウ)、ホウノキ、ボタン、ホップ、ホーリーバジル、マクサ(テングサ)、マグワ、マジョラム、マツホド、マートル、マヌカ、マンダリンオレンジ、ミシマサイコ、ミモザ、ミルラ、ミント・コーン、ミント・スペア、ミント・ペパー・ミント・ベルガモット、ミント・パイン、ムクゲ、ムラサキ、メイチャン、メドウスイート、メハジキ、メリッサ(レモンバーム)、モッコウ、モモ、ヤマトリカブト、ヤマノイモ、ヤマモモ、ヤマユリ、ヤロウ、ユーカリ、ユズ、ヨウシュチョウセンアサガオ、ヨモギ、ライム、ラッカセイ、ラーチ(ヨーロッパカラマツ)、ラバンジン、ラブダナム、ラブラドルティ、ラベンサラ、ラベンダー、リナロエウッド、リュウガン、リンデン、リンドウ、レモン、レモングラス、レモンバーベナ、ロウバイ、ローズ、ローズウッド、ローズマリー、ロータス(ハス)、ロベージ、ローレル、ワサビ、ローズアブソリュート、及び、ワタよりなる群から選択された1種以上の植物が挙げられる。これらの植物は、1種でも、2種以上を混合して使用してもよい。
【0051】
より好ましい植物としては、アカマツ、アンジェリカ、イグサ、イランイラン、ウインターグリーン、ウコン、ウメ、オレガノ、スイートオレンジ、カモミール、カンファー(クスノキ)、クチナシ、クラリセージ、グレープフルーツ、クロモジ、ゲットウ、コーヒー、サイプレス、サクラ、サンダルウッド、シソ、シダーウッド、シトロネラ、ジャスミン、ジュニパーベリー、ジンジャー(ショウガ)、スギ、セージ、ゼラニウム・ブルボン(ローズゼラニウム)、ゼラニウム・エジプト、ゼラニウム、タイム、ダイダイ、タラゴン、ティートリー、トウキ、トンカビーンズ、ニアウリ、ネロリ、パイン、バジル、パチュリ、ハッカ、ハマナス、バニラ、パルマローザ、ヒノキ、ファー(モミ)、フェンネル(ウイキョウ)、プチグレン、ブラックスプルース、ブラックペッパー(コショウ)、フランキンセンス、ベチバー、ベルガモット、ベンゾイン(アンソクコウ)、ホーリーバジル、マジョラム、マートル、マヌカ、マンダリンオレンジ、ミルラ、ミント・スペア、ミント・ペパー、ミント・ベルガモット、メリッサ(レモンバーム)、ユーカリ、ユズ、ヨモギ、ライム、ラベンサラ、ラベンダー、レモン、レモングラス、レモンバーベナ、ローズ、ローズウッド、ローズマリー、ロータス(ハス)、ローズアブソリュート、及び、ワサビよりなる群から選択された1種以上の植物が挙げられる。
これらの植物からの抽出物は、好ましい香りを有する、大脳に作用し易い、一般的に馴染みがある等の点からより好ましい。
【0052】
特に好ましい植物としては、イグサ、イランイラン、ウコン、ウメ、オレガノ、スイートオレンジ、カモミール、クチナシ、クロモジ、ゲットウ、コーヒー、サクラ、サンダルウッド、ジャスミン、スギ、ゼラニウム・ブルボン(ローズゼラニウム)、ゼラニウム・エジプト、ゼラニウム、タイム、ティートリー、トンカビーンズ、ネロリ、ハッカ、ハマナス、バニラ、ヒノキ、ファー(モミ)、プチグレン、グレープフルーツ、フランキンセンス、ベルガモット、ホーリーバジル、マジョラム、マンダリンオレンジ、スイートオレンジ、レモン、ミント・スペア、ミント・ペパー、ミント・ベルガモット、メリッサ(レモンバーム)、ユーカリ、ユズ、ラベンサラ、ラベンダー、ローズ、ローズウッド、ローズマリー、ロータス(ハス)、ローズアブソリュート、及び、ワサビよりなる群から選択された1種以上の植物が挙げられる。
これらの植物由来物は、前記した点から特に好ましい。
【0053】
前記した通り、特に香りを有する天然由来液体は全て大脳を刺激し、また全て自律神経を調整する作用を有することが分かっている。
従って、本発明の自然免疫活性化に関する作用機序は、香りを有する天然由来液体全体に対して言えることである。
しかしながら、特に好ましい植物由来物、及び、それらの組み合わせについて検討した結果、限定される訳ではないが、特に、以下の植物(由来物)の組み合わせや、以下の群から選ばれた1種又は複数の混合物が、最も本発明の効果を有することが分かった。
【0054】
最も好ましい植物としては、ゼラニウム、ティートリー、グレープフルーツ、マンダリンオレンジ、スイートオレンジ、ベルガモット、レモン、ヒノキ、及び、ユズからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物であり、本発明における天然由来液体としては、これらから抽出された液体(の混合)を含有するものが最も好ましい。
ここで、「2種以上の植物」とは、2種以上の混合であれば何種以上の混合でもよく、例えば、3種以上、5種以上、7種以上等でもよく、上記群の中の9種全部の混合であってもよい(更に全部の混合であることが望ましい)。
これらの植物からの抽出物又は混合抽出物は、シールに相応しい好ましい香りを有する、大脳に作用し易い、自律神経を調整する、一般的に馴染みがある香りを有する等の点からより好ましい。
【0055】
最も好ましい植物としては、ローズマリー、カンファー、レモン、ヒノキ、及び、ミルラからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物であり、本発明における天然由来液体としては、これらから抽出された液体(の混合)を含有するものが最も好ましい。
ここで、「2種以上の植物」とは、2種以上の混合であれば何種以上の混合でもよく、例えば、3種以上でもよく、上記群の中の5種全部の混合であってもよい(更に全部の混合であることが望ましい)。
これらの植物からの抽出物又は混合抽出物は、シールに相応しい好ましい香りを有する、大脳に作用し易い、自律神経を調整する、一般的に馴染みがある香りを有する等の点からより好ましい。
【0056】
最も好ましい植物としては、ペパーミント、マンダリンオレンジ、レモングラス、レモンユーカリ、グレープフルーツ、ティートリー、レモン、フェンネル、スイートオレンジ、及び、ミルラからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物であり、本発明における天然由来液体としては、これらから抽出された液体(の混合)を含有するものが最も好ましい。
ここで、「2種以上の植物」とは、2種以上の混合であれば何種以上の混合でもよく、例えば、3種以上、5種以上、7種以上等でもよく、上記群の中の10種全部の混合であってもよい(更に全部の混合であることが望ましい)。
これらの植物からの抽出物又は混合抽出物は、シールに相応しい好ましい香りを有する、大脳に作用し易い、自律神経を調整する、一般的に馴染みがある香りを有する等の点からより好ましい。
【0057】
最も好ましい植物としては、コーヒー、プチグレン、バニラ、ベルガモット、ゼラニウム・ブルボン、クローブ、フェンネル、及び、スイートオレンジからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物であり、本発明における天然由来液体としては、これらから抽出された液体(の混合)を含有するものが最も好ましい。
ここで、「2種以上の植物」とは、2種以上の混合であれば何種以上の混合でもよく、例えば、3種以上、5種以上、7種以上等でもよく、上記群の中の8種全部の混合であってもよい(更に全部の混合であることが望ましい)。
これらの植物からの抽出物又は混合抽出物は、シールに相応しい好ましい香りを有する、大脳に作用し易い、自律神経を調整する、一般的に馴染みがある香りを有する等の点からより好ましい。
【0058】
最も好ましい植物としては、ティートリー、ユーカリ、ラベンダー、ペパーミント、ゼラニウム・ブルボン、ベルガモット、スペアミント、及び、ミルラからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物であり、本発明における天然由来液体としては、これらから抽出された液体(の混合)を含有するものが最も好ましい。
ここで、「2種以上の植物」とは、2種以上の混合であれば何種以上の混合でもよく、例えば、3種以上、5種以上、7種以上等でもよく、上記群の中の8種全部の混合であってもよい(更に全部の混合であることが望ましい)。
これらの植物からの抽出物又は混合抽出物は、シールに相応しい好ましい香りを有する、大脳に作用し易い、自律神経を調整する、一般的に馴染みがある香りを有する等の点からより好ましい。
【0059】
最も好ましい植物としては、ローズアブソリュート、トンカビーンズ、及び、セージからなる群から選ばれた1種又は2種以上の植物であり、本発明における天然由来液体としては、これらから抽出された液体(の混合)を含有するものが最も好ましい。
ここで、「2種以上の植物」とは、2種以上の混合であれば何種以上の混合でもよく、上記群の中の3種全部の混合であってもよい(更に全部の混合であることが望ましい)。
これらの植物からの抽出物又は混合抽出物は、シールに相応しい好ましい香りを有する、大脳に作用し易い、自律神経を調整する、一般的に馴染みがある香りを有する等の点からより好ましい。
【0060】
これらの好ましい植物から抽出された前記天然由来液体が、香りを有する液体であれば、前記した大脳への作用も期待され、自律神経の調整に関する良効果も期待され、また良い香りを有するので、特に好ましい。
【0061】
<<含浸される他の物質>>
本発明のシール10を構成する液体含浸保持層11に含浸される天然由来液体には、前記したものに加えて、更に、香りを有する単一物質、希釈溶媒、安定剤、防腐剤、着色剤等の「他の物質」を含有させることができる。
天然由来液体は、希釈せずにそのまま液体含浸保持層11に含浸させてもよいし、希釈溶媒で希釈して含浸させてもよい。
【0062】
上記「香りを有する単一物質」としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ベンジルアルコール、エチルマルトール、フラネオール、1-ヘキサノール、3-ヘキセン-1-オール、メントール、フェニルエチルアルコール等のアルコール;アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヘキサナール、シンナムアルデヒド、シトラール、3-ヘキセナール、フルフラール、ネラール、バニリン、シトロネアール等のアルデヒド;インドール、2-エトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-メトキシ-3-sec-ブチルピラジン、2-メトキシ-3-メチルピラジン、アルキルピラジン、メトキシピラジン、トリメチルアミン等のアミン;蟻酸イソブチル、酢酸エチル、酪酸エチル、カプリン酸エチル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、酢酸ヘキシル、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、酪酸メチル、サリチル酸メチル、酪酸ペンチル、吉草酸ペンチル、ソトロン、メチルフェニルグリシド酸エチル、フルクトン等のエステル;アネトール、アニソール、オイゲノール、2,4,6-トリクロロアニソール等のエーテル;ジヒドロジャスモン、1-オクテン-3-オン、2-アセチル-1-ピロリン、6-アセチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリジン等のケトン;γ-デカラクトン、γ-ノナラクトン、δ-オクタラクトン、ジャスミンラクトン、マソイアラクトン、ワインラクトン等のラクトン;カンファー(樟脳)、シトロネロール、リナロール、ネロール、ネロリドール、テルピネオール、リモネン、シネオール、ツジョン、チモール、ピネン、チオテルピネオール、ミルセン、オシメン、コスメン、ゲラニオール、ミルセノール、ラバンジュロール、イプスジエノール、ジンゲロール、パラシメン、カマズレン、β-カリオフィレン、ビサボレン、セドレン、セドロール、サンタロール、スクラレオール等の「モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペン等のテルペン、テルペノイド、テルペンアルコール」;エタンチオール、チオテルピネオール、メタンチオール等のチオール;メチルホスフィン;ジメチルホスフィン;ネロリン;テトラヒドロチオフェン;等が挙げられる。これらは、1種で使用又は2種以上が併用される。これらは、植物等の天然物由来品(植物からの抽出物)であることが特に好ましい。
【0063】
上記「希釈溶媒」としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、アセトン、エチルメチルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、食用油脂、ペンタン、ヘキサン等が挙げられる。中でも、水又はエタノールが好ましく、水が特に好ましい。
【0064】
安定剤、防腐剤、着色剤等は、本発明の効果を減じない限り、公知のものが使用可能である。
ただし、本発明のシール10が天然由来物だけのシールであることを維持するためには、上記した別途加える香りを有する単一物質、上記した希釈溶媒、安定剤、防腐剤、着色剤等は含有しない(含浸させない)ことが好ましい。
【0065】
<離型シート、保護層>
本発明のシール10は、下から、「該貼付対象物に貼り付けておくための粘着層12」、及び、「天然由来液体が含浸され保持されており、その上面が空間に向けて露出していて、該天然由来液体が空間に揮発徐放されるようになっている液体含浸保持層11」を少なくとも有するが、更に、離型シート13、カバーフィルム14、バリア層(図示せず)を有することが好ましい(
図12参照)。
【0066】
すなわち、本発明のシール10は、下から、「前記粘着層12を保護し使用時には該粘着層12から剥がすことができる離型シート13」;「粘着層12、液体含浸保持層11」(すなわち前記したシール10)を有することが好ましい(
図12(a)(b)(c)参照)。粘着層12と液体含浸保持層11の間には、「バリア層」があることが好ましい。
【0067】
シールの使用時には、シール10を離型シート13から剥離し、カバーフィルム14があるときはそれを取り除き、衣類、帽子、鞄等の「身に着けるもの」に貼り付ける。
【0068】
離型シート13、カバーフィルム14、バリア層は、公知のものが使用され得る。
該離型シート13は、離型フィルムであっても、離型紙であってもよい。具体的には、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂;紙等の表面を離型処理したものが好適に使用できる。
離型シート13に貼り付けてあれば、販売、譲渡、保管、携帯、使用等に際して便利である。
【0069】
カバーフィルム14としては、限定はされないが、化学的に不活性な点から、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が好ましい。
【0070】
<NK細胞活性化、NK細胞活性化用シール>
本発明のシール10は、対象者のNK細胞を活性化させることによる「該対象者の自然免疫を活性化させる物(シール)」である。
本発明の自然免疫活性化シール10は、該シール(物)が「NK細胞を活性化させる物(シール)」に限定されているとも言える。
従って、本発明は、前記自然免疫活性化シール10であって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者のNK細胞を活性化させるためのものであることを特徴とするNK細胞活性化用シールでもある。
【0071】
NK細胞の活性化は、本明細書の実施例に記載の方法で測定・確認可能であるが、測定方法は特に限定されるものではない。
実施例に記載の方法で測定したとき、本発明のシール10には、ヒトのNK細胞の活性化をもたらす(効果がある)ことが実際に確認された。なお、NK細胞が活性化されれば、自然免疫が活性化され得ることは常識である。
【0072】
<白血球数増加、白血球数増加用シール>
本発明のシール10は、対象者の白血球数を増加させることによる「該対象者の自然免疫を活性化させる物(シール)」である。
本発明の自然免疫活性化シール10は、該シール(物)が「白血球数を増加させる物(シール)」に限定されているとも言える。
従って、本発明は、前記自然免疫活性化シール10であって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者の白血球数を増加させるためのものであることを特徴とする白血球数増加用シールでもある。
【0073】
白血球数の増加は、本明細書の実施例に記載の方法で測定・確認できるが、測定方法は特に限定されるものではない。
実施例に記載の方法で測定したとき、本発明のシール10には、白血球数の増加をもたらす(効果がある)ことが実際に確認された。なお、白血球数が増加すれば、自然免疫が活性化され得ることは常識である。
【0074】
<リンパ球数増加、リンパ球数増加用シール>
本発明のシール10は、対象者のリンパ球数を増加させることによる「該対象者の自然免疫を活性化させる物(シール)」である。
本発明の自然免疫活性化シール10は、該シール(物)が「リンパ球数を増加させる物(シール)」に限定されているとも言える。
従って、本発明は、前記自然免疫活性化シール10であって、そこから揮発徐放される天然由来液体を対象者が吸い込むことによって、該対象者のリンパ球数を増加させるためのものであることを特徴とするリンパ球数増加用シールでもある。
【0075】
リンパ球数の増加は、本明細書の実施例に記載の方法で測定・確認できるが、測定方法は特に限定されるものではない。
実施例に記載の方法で測定したとき、本発明のシール10には、リンパ球数の増加をもたらす(効果がある)ことが実際に確認された。なお、リンパ球数が増加すれば、自然免疫が活性化され得ることは常識である。
【0076】
<自然免疫活性化シールセット>
本発明のシール10は、1種の「天然由来液体(の混合物)」が含浸されたもの単独で販売・使用されてもよく、2種以上の「天然由来液体(の混合物)」が含浸されたものが、セットで販売・使用されてもよい。
また、本発明のシール10は、1枚で販売・使用されてもよく、複数枚で販売・使用されてもよい(
図12(c)参照)。
図12(c)に示す例では、10枚のシールが一枚の離型シート13の上に配置されている。
【0077】
すなわち、本発明は、下から順に、離型シート13、粘着層12、液体含浸保持層11を有することを特徴とする自然免疫活性化シールセットでもある(
図12参照)。最上面には、限定はされないが、カバーフィルム14を有することも好ましい。また、粘着層12と液体含浸保持層11の間に、バリア層(図示せず)を有することが特に好ましい。
【0078】
本発明のシールやシールセットは、限定はされないが、包装袋に収容することが好ましい。該包装袋に収容すれば、該包装袋に、シールの効能、使用方法、商標等を記載することができ、天然由来液体やそこに含まれる有効成分の、不使用時の揮発や劣化を抑制できる。
【0079】
<貼付対象物>
本発明のシール10は、下から、「該貼付対象物に貼り付けておくための粘着層12」、及び、「天然由来液体が含浸され保持されており、その上面が空間に向けて露出していて、該天然由来液体が空間に揮発徐放されるようになっている液体含浸保持層11」を少なくとも有する(
図12参照)。
対象者が身に着けているものに本発明のシール10を貼り付けることによって、同じ摂取量で比較した場合(同効果を得る場合)、対象者から離れた場所に揮発させてしまう「天然由来液体の有効成分の量」を減らせて効率的である(無駄がない)。また、ファッション性も期待できる。
【0080】
ここで、該貼付対象物は、自然免疫を活性化させたい人(対象者)が身に着けるものならば、特に限定はないが、マスク、衣類、帽子、バッグ、カードケース、ハンカチ、寝具等が挙げられる。
【0081】
液体含浸保持層11の上面は、貼付対象物とは反対側に広がる空間に向けて露出している。
マスクに貼り付ける場合は、該マスクの外面でもよいし内面でもよい。内面に貼り付けた場合は、該「空間」は、顔とマスクの間の隙間である。
バッグ、カードケース等に貼り付ける場合は、それらの外面・側面でもよいし、それらの内部でもよい。内部に貼り付けた場合は、該「空間」は、バッグやカードケースの内部空間である。
【0082】
該貼付対象物はマスクであることが、対象者の鼻や口に近いため呼吸器から摂取するのに効率が良い(無駄にならない);同効果を得る場合、周囲に揮発させてしまう無駄な量を減らせる;等の点から好ましい。
本発明のシール10を、マスクの外面に貼り付ければ、ファッション性も上がる(
図11(a)(b))。
【実施例0083】
以下、実施例等に基づき、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等の具体的範囲のみに限定されるものではない。
【0084】
実施例1
<対象者>
基礎疾患がなく、比較的体調を崩し易い20歳以上60歳以下の男女を対象者(被験者)とした。対象者(被験者)は、本試験の内容について十分な説明を受け、試験参加に同意した10名である。除外基準は、アレルギー体質の者、重篤な疾患を有している者、試験責任医師が試験中に除外が妥当と判断した者とする。
【0085】
<シール>
試験に用いたシール10は、直径29mmの正円であり、液体含浸保持層11の厚さ(シール10の厚さに等しい)は、0.28mmであった。粘着層12の平均厚さは、25μmであった。
【0086】
9種類の100%天然精油(ゼラニウム、ティートリー、マンダリンオレンジ、グレープフルーツ、スイートオレンジ、ベルガモット、レモン、ヒノキ、ユズ)を、同質量ずつ混合(ブレンド)して天然由来液体を調製した。なお、希釈溶媒、安定剤等の「他の物質」は使用しなかった。
【0087】
得られた天然由来液体35μLを、シール10の液体含浸保持層11に滴下して浸み込ませ、該シール10を、粘着層12を使って、
図11(a)(b)に示したように汎用のマスクの外面に貼り付けた。
【0088】
<試験方法>
上記シール10を、
図11(a)(b)に示したように、マスクの外面の下の隅(右下又は左下)に貼り付け、該マスクを装着した「シール群」と、上記シール10を貼り付けていないマスクを装着した「対照群」とを比較した。
試験期間は17日間とした。試験スケジュールは、初めに対照群として、シールなしのマスクを着用し7日間過ごした。次に、シール群として、シールを貼り付けたマスクを着用して7日間過ごした。
【0089】
マスクの着用時間は、何れの場合も、午前9時から午後5時までの8時間とした。
対照群とシール群の被験者は同一の者であり、また、以下に述べる評価項目の測定日は、シールなしのマスクを装着する前日(第1回)、シールなしマスクを7日間装着した翌日(第2回)、更にその翌日からシールありマスクを7日間装着した翌日(第3回)とした。
すなわち、上記した「試験期間17日」は、1日(第1回目測定)+7日(シールなしマスク装着)+1日(第2回目測定)+7日(シールありマスク装着)+1日(第3回目測定)=17日である(
図1参照)。
採血時刻は、午前9時から午前10時までとし、1回の採血量は12mLとした。
【0090】
試験期間中は、生活習慣を大きく変えず、過度な運動や過食、アルコールの多飲、睡眠不足を避けるように指導した。
本試験は、「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則、「人を対象とする医学系研究に関する倫理的指針(文部科学省、厚生労働省告示)」を遵守した。
【0091】
<評価項目>
評価項目は、末梢血中のNK細胞活性、末梢血中の白血球数及びリンパ球数とした。
採血は医療法人社団健翔会堀口医院で行い、NK細胞活性の測定は、株式会社四国中検を介して株式会社SRLで行った。
測定における標的細胞:エフェクター細胞比は、1:20とした。
白血球数及びリンパ球数の計測に使用した測定機材は、「多項目自動血球分析装置(XS-800i、シスメックス株式会社製)」とした。
【0092】
NK細胞活性は、Cr遊離法で測定し、白血球数、リンパ球数の測定機材は、電気抵抗検出法(シースフローDC検出法)、半導体レーザーを用いたフローサイトメトリ法による分析装置である。
【0093】
<統計解析>
測定値は、8名又は10名の「[平均値]±[標準誤差]」で示した。
シール群と対照群の群内比較、シール群の変化量と対照群の変化量の群間比較は、NK細胞活性(%)、白血球数(/μL)、リンパ球数(/μL)について、それぞれ対応のあるt検定で解析した。有意水準は、両側検定で5%とした。
統計解析ソフトは、Stat Mate Ver.5(株式会社アトムス製)を用いた。
【0094】
<試験結果>
<<解析対象者>>
シール群において、試験途中で嘔吐や下痢等の重い感染性胃腸炎を発症した者1名、及び、胃内視鏡検査を受けた者1名は、評価項目の測定結果に影響を与えると考えられるので除外した。よって、解析対象者は、対照群10名、シール群8名である。
【0095】
<<NK細胞活性(%)>>
シール群の被験者8名において、1週間の試験終了後に、8名中8名でNK細胞活性が上昇した(
図2)。すなわち、全例で上昇した。
試験前の平均値は、25.25±4.27、試験終了後の平均値は、33.50±5.97であった。その平均変化量は、+8.25%であった。
【0096】
対照群の被験者10名においては、1週間の試験終了後に、10名中5名でNK細胞活性が上昇し、3名が不変、2名が低下した(
図3)。
試験前の平均値は、30.9±4.15、試験終了後の平均値は、27.3±3.64であった。その平均変化量は、-3.6%であった。
【0097】
シール群(n=8)の変化量(平均変化量=+8.25%)と、対照群(n=10)の変化量(平均変化量=-3.6%)との比較を
図4に示す。
【0098】
<<白血球数(/μL)>>
シール群の被験者8名においては、1週間の試験終了後に、8名中5名で白血球数が増加し、3名が減少した(
図5)。
試験前の平均値は、5623.7±496.32、試験終了後の平均値は、5976.2±515.40であった。その平均変化量は、+352.5/μLであった。
【0099】
対照群の被験者10名においては、1週間の試験終了後に、10名中4名で白血球が増加し、6名が減少した(
図6)。
試験前の平均値は、5558±482.7、試験終了後の平均値は、5213±478.8であった。その平均変化量は、-345/μLであった。
【0100】
シール群(n=8)の変化量(平均変化量=+352.5)と、対照群(n=10)の変化量(平均変化量=-345)との比較を
図7に示す。
【0101】
<<リンパ球数(/μL)>>
シール群の被験者8名においては、1週間の試験終了後に、8名中7名でリンパ球数が増加し、1名が減少した(
図8)。
試験前の平均値は、1663.2±154.59、試験終了後の平均値は、1873.25±187.91であった。その平均変化量は、+210/μLであった。
【0102】
対照群の被験者10名においては、1週間の試験終了後に10名中2名でリンパ球数が増加し、8名が減少した(
図9)。
試験前の平均値は、1764.2±164.03、試験終了後の平均値は、1553.7±144.24、であった。平均変化量は、-210.5であった。
【0103】
シール群(n=8)の変化量(平均変化量=+210)と、対照群(n=10)の変化量(平均変化量=-210.5)との比較を
図10に示す。
【0104】
<結果のまとめ>
被験者10名の試験開始時(対照群の試験前)のNK細胞活性(%)は、最小値が18%、最大値が50%で、平均値は30.9%であった。
NK細胞活性の正常値は、標的細胞:エフェクター細胞比と反応時間によって異なる。また、NK細胞活性には性差が認められており、女性ではエストロゲンの関与によってNK細胞活性が低下する。本試験でのNK細胞活性の正常値は、18%~40%であった。
試験開始時に全ての被験者が正常範囲内にあったものの、10名中6名のNK細胞活性が25%以下と低値であり、それは被験者に女性が多かったことに起因している。
【0105】
シール群の8名全てにおいて、NK細胞活性の上昇が認められた。
また、リンパ球数でも、ほぼ有意な増加を認め、対照群との変化量比較でも有意な増加を認めた。
リンパ球は、T細胞、B細胞と共にNK細胞を含んでおり、リンパ球数の増加は、NK細胞数の増加、又は、T細胞やB細胞を介した免疫系の活性化が示唆された。
【0106】
NK細胞活性の上昇が認められたことは、臨床的意義が極めて大きい。NK細胞は、ウイルス感染や癌化のごく初期に、すばやく働いて生体を防御している。抗原の感作なしに自然のままの状態で標的を識別し殺傷する。それゆえ、NK細胞活性が十分に高いと、ウイルス感染症や癌に罹り難いと言える。
【0107】
一般に、NK細胞活性が上昇する機序として、自律神経作用によるもの、エネルギー源であるグルタミンの取り込みによるもの、ある種の漢方薬のようにミトコンドリア膜電位を上げるもの、サイトカインの刺激をうけた場合、パン酵母やキノコ類のβ-グルカンの刺激をうけた場合、等がある。
【0108】
本試験で用いた天然由来液体が、どのような作用機序でNK細胞活性を高めたかは明らかになっていない。
しかし、NK細胞がウイルス感染や癌化の初期に、最前線で働くことを考えると、日常的に本発明のシールを使用していることで、ウイルス感染や癌化を抑制できる可能性があり、このことは臨床的意義が極めて大きいと言える。