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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123990
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20220818BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20220818BHJP
【FI】
F24C3/12 K
F24C3/12 L
F24C3/12 X
F24C7/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021495
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
(72)【発明者】
【氏名】水野 達彦
(72)【発明者】
【氏名】土橋 洋樹
【テーマコード(参考)】
3L087
【Fターム(参考)】
3L087AA03
3L087BB19
3L087DA01
(57)【要約】
【課題】監視領域に加熱対象外物が侵入したかを監視することができる監視システムを提供する。
【解決手段】本発明の監視システム1は、吸排気口部12上に加熱対象外物の侵入の有無が監視される監視領域Rが設定され、監視制御部11Bは、監視領域R内に加熱対象外物が侵入したとき、吸排気口部12上に加熱対象外物が存在すると判断する。監視システム1は、加熱部19の上部に調理容器Pが載置されたことを検出する載置検出部14を備えている。加熱部19による加熱が行われ、載置検出部14によって調理容器Pの載置が検出されたとき、監視制御部11Bは、監視領域R内への加熱対象外物の侵入監視を中止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、
前記天板部に設けられ、上方に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部の上方に配設され、前記天板部の上面側を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記加熱部による加熱の対象外である加熱対象外物の前記天板部への侵入を監視する監視制御部と、を備え、
前記天板部には、加熱調理器内からの排気ガスの排気、又は前記加熱調理器内への空気の吸気を行うための吸排気口部が設けられ、
前記吸排気口部には、前記監視制御部によって前記加熱対象外物の侵入の有無が監視される監視領域が設定され、
前記監視制御部は、前記監視領域内に前記加熱対象外物が侵入したとき、前記吸排気口部の上部に前記加熱対象外物が存在すると判断する監視システムにおいて、
前記加熱部の上部に前記被加熱物が載置されたことを検出する載置検出部をさらに備え、
前記加熱部による加熱が行われ、前記載置検出部によって前記被加熱物の載置が検出されたとき、前記監視制御部は、前記監視領域内への前記加熱対象外物の侵入監視を中止する
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記監視領域は、複数の分割エリアから構成され、
前記載置検出部によって前記被加熱物の載置が検出されていないとき、前記監視制御部は、前記分割エリアの各々について前記加熱対象外物の侵入を監視する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視制御部は、前記撮像部が前記分割エリアの各々を撮像した現在画像と、前記分割エリアの各々を前記加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較し、その一致度が予め定めた閾値以下の分割エリアがあるとき、前記一致度が閾値以下の分割エリア内に前記加熱対象外物が侵入した認識する
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
天板部と、
前記天板部に設けられ、上方に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部の上方に配設され、前記天板部の上面側を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記加熱部による加熱の対象外である加熱対象外物の前記天板部への侵入を監視する監視制御部と、を備え、
前記天板部には、加熱調理器内からの排気ガスの排気、又は前記加熱調理器内への空気の吸気を行うための吸排気口部が設けられ、
前記吸排気口部には、前記監視制御部によって前記加熱対象外物の侵入の有無が監視される、複数の分割エリアから構成される監視領域が設定され、
前記監視制御部は、何れかの前記分割エリアに前記加熱対象外物が侵入したとき、前記吸排気口部の上部に前記加熱対象外物が存在すると判断する監視システムにおいて、
前記加熱部の上部に前記被加熱物が載置されたことを検出する載置検出部をさらに備え、
前記加熱部による加熱が行われ、前記載置検出部によって前記被加熱物の載置が検出されたと同時に、前記監視制御部によって前記吸排気口部の上部に前記加熱対象外物が存在すると判断されたとき、前記監視制御部は、前記加熱対象外物が存在する前記分割エリア内への前記加熱対象外物の侵入監視を中止する
ことを特徴とする監視システム。
【請求項5】
前記天板部に前記加熱部が複数設けられ、前記加熱部の各々に前記載置検出部を備え、
前記監視制御部は、前記被加熱物の載置が検出された前記加熱部に応じて、監視すべき分割エリアを変更することを特徴とする請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記監視制御部は、前記撮像部が前記分割エリアの各々を撮像した現在画像と、前記分割エリアの各々を前記加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較し、その一致度が予め定めた閾値以下であるとき、前記一致度が閾値以下の分割エリア内に前記加熱対象外物が侵入したと認識する
ことを特徴とする請求項4に記載の監視システム。
【請求項7】
前記監視制御部は、前記被加熱物の載置が検出された前記加熱部に応じて、前記分割エリアの各々の前記閾値を変更することを特徴とする請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
天板部と、
前記天板部に設けられ、上方に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部の上方に配設され、前記天板部の上面側を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記加熱部による加熱の対象外である加熱対象外物の前記天板部への侵入を監視する監視制御部と、を備え、
前記天板部には、加熱調理器内からの排気ガスの排気、又は前記加熱調理器内への空気の吸気を行うための吸排気口部が設けられ、
前記吸排気口部には、前記監視制御部によって前記加熱対象外物の侵入の有無が監視される監視領域が設定され、
前記監視制御部は、前記監視領域内に前記加熱対象外物が侵入したとき、前記吸排気口部の上部に前記加熱対象外物が存在すると判断する監視システムにおいて、
前記監視制御部は、前記撮像部が前記監視領域を撮像した現在画像と、前記監視領域を前記加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とを比較し、その一致度が予め定めた第1閾値以下であるとき、前記監視領域内に前記加熱対象外物が侵入したと認識する
ことを特徴とする監視システム。
【請求項9】
前記監視領域は、複数の分割エリアから構成され、
前記監視制御部は、前記撮像部が前記分割エリアの各々を撮像した現在画像と、前記分割エリアの各々を前記加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較し、その一致度が前記第1閾値以下の前記分割エリアがあるとき、前記分割エリア内に前記加熱対象外物が侵入したと認識する
ことを特徴とする請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
前記監視制御部は、前記一致度が前記第1閾値以下の前記分割エリアの閾値を、前記第1閾値よりも小さい第2閾値に設定する
ことを特徴とする請求項9に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域に加熱対象外物が侵入したかを監視することができる監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器の吸排気口部に異物等が載置されていないかを検出するため、加熱調理器の上方に撮像手段を設け、吸排気口部を含む周辺領域を監視するシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の加熱調理器は、透過窓の下方にカメラが配置されている。当該カメラは、加熱調理器の上方、特にコンロバーナの周囲を撮像範囲に入れた状態で、天板の上方を継続的に撮像することができる(特許文献1/段落0025、図1-2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-2575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この加熱調理器は、吸排気口部のすぐ手前側にコンロバーナが配置されているため、コンロバーナ上に調理容器を載せたとき、調理容器の一部(例えば、調理容器本体の一部)が吸排気口部の上方に位置することになる。すなわち、撮像範囲内の吸排気口部上に異物が存在するとみなされるため、警告の対象となる。
【0006】
しかしながら、このような警告の必要がない誤認識は、調理の妨げとなることがある。そのため、極力誤認識なく侵入監視を行うことができる監視システムが求められていた。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、監視領域に加熱対象外物が侵入したかを確実に監視することができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明は、
天板部と、
前記天板部に設けられ、上方に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部の上方に配設され、前記天板部の上面側を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記加熱部による加熱の対象外である加熱対象外物の前記天板部への侵入を監視する監視制御部と、を備え、
前記天板部には、加熱調理器内からの排気ガスの排気、又は前記加熱調理器内への空気の吸気を行うための吸排気口部が設けられ、
前記吸排気口部には、前記監視制御部によって前記加熱対象外物の侵入の有無が監視される監視領域が設定され、
前記監視制御部は、前記監視領域内に前記加熱対象外物が侵入したとき、前記吸排気口部の上部に前記加熱対象外物が存在すると判断する監視システムにおいて、
前記加熱部の上部に前記被加熱物が載置されたことを検出する載置検出部をさらに備え、
前記加熱部による加熱が行われ、前記載置検出部によって前記被加熱物の載置が検出されたとき、前記監視制御部は、前記監視領域内への前記加熱対象外物の侵入監視を中止することを特徴とする。
【0009】
第1の発明の監視システムにおいて、監視制御部は、撮像部が撮像した画像に基づいて吸排気口部上の監視領域内に加熱対象外物(異物)が侵入したとき、吸排気口部の上部に加熱対象外物が存在すると判断する。例えば、この判断に応じて警告等がなされれば、ユーザは加熱対象外物の存在に気づくようになるため、調理時の安全が確保される。
【0010】
また、本監視システムは、加熱部の上部に被加熱物(例えば、鍋等の調理容器)が載置されたことを検出する載置検出部を備えている。加熱部による加熱が行われた後、載置検出部によって被加熱物の載置が検出されたときは、当該被加熱物(例えば、鍋本体の一部)が監視領域に侵入しているか、この後侵入する可能性がある。そのため、監視制御部は、監視領域の侵入監視を中止する。これにより、本監視システムは、誤認識を防止しつつ、監視領域に加熱対象外物が侵入したかを監視することができる。
【0011】
第1の発明の監視システムにおいて、
前記監視領域は、複数の分割エリアから構成され、
前記載置検出部によって前記被加熱物の載置が検出されていないとき、前記監視制御部は、前記分割エリアの各々について前記加熱対象外物の侵入を監視することが好ましい。
【0012】
監視制御部は、被加熱物の載置が検出されていないとき、監視領域内に加熱対象外物が侵入したか否かを監視する。特に、監視領域は複数の分割エリアから構成されているため、監視制御部は、監視領域のどの辺りに加熱対象外物が存在するかを認識することができる。
【0013】
また、本発明の監視システムにおいて、
前記監視制御部は、前記撮像部が前記分割エリアの各々を撮像した現在画像と、前記分割エリアの各々を前記加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較し、その一致度が予め定めた閾値以下の分割エリアがあるとき、前記一致度が閾値以下の分割エリア内に前記加熱対象外物が侵入した認識することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、監視制御部は、分割エリアの各々を撮像した現在画像と、加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較して、その一致度を検証する。そして、その一致度が予め定めた閾値以下の分割エリアがあるとき、当該分割エリア内に加熱対象外物が侵入したと認識する。従って、どの分割エリアに加熱対象外物が存在するかについて認識することができる。
【0015】
上記目的を達成するため、第2の発明は、
天板部と、
前記天板部に設けられ、上方に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部の上方に配設され、前記天板部の上面側を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記加熱部による加熱の対象外である加熱対象外物の前記天板部への侵入を監視する監視制御部と、を備え、
前記天板部には、加熱調理器内からの排気ガスの排気、又は前記加熱調理器内への空気の吸気を行うための吸排気口部が設けられ、
前記吸排気口部には、前記監視制御部によって前記加熱対象外物の侵入の有無が監視される、複数の分割エリアから構成される監視領域が設定され、
前記監視制御部は、何れかの前記分割エリアに前記加熱対象外物が侵入したとき、前記吸排気口部の上部に前記加熱対象外物が存在すると判断する監視システムにおいて、
前記加熱部の上部に前記被加熱物が載置されたことを検出する載置検出部をさらに備え、
前記加熱部による加熱が行われ、前記載置検出部によって前記被加熱物の載置が検出されたと同時に、前記監視制御部によって前記吸排気口部の上部に前記加熱対象外物が存在すると判断されたとき、前記監視制御部は、前記加熱対象外物が存在する前記分割エリア内への前記加熱対象外物の侵入監視を中止することを特徴とする。
【0016】
第2の発明の監視システムは、加熱部の上部に被加熱物が載置されたことを検出する載置検出部を備えている。加熱部による加熱が行われた後、載置検出部によって被加熱物の載置が検出されたと同時に吸排気口部の上部に加熱対象外物が存在すると判断したときは、当該被加熱物(例えば、鍋本体の一部)が分割エリアに侵入している可能性が高い。そのため、監視制御部は、当該分割エリアについての侵入監視を中止する。これにより、本監視システムは、誤認識を防止しつつ、監視領域に加熱対象外物が侵入したことを監視することができる。
【0017】
第2の発明の監視システムにおいて、
前記天板部に前記加熱部が複数設けられ、前記加熱部の各々に前記載置検出部を備え、
前記監視制御部は、前記被加熱物の載置が検出された前記加熱部に応じて、監視すべき分割エリアを変更することが好ましい。
【0018】
加熱部は天板部に複数設けられ、各加熱部が載置検出部を備えている。そのため、監視制御部は、どの加熱部に被加熱物が載置されたかを判断することができる。そして、監視制御部は、被加熱物の載置が検出された加熱部に応じて、監視すべき分割エリアを変更するため、監視の必要性が高い分割エリアに注力して監視することが可能となる。
【0019】
また、第2の発明の監視システムにおいて、
前記監視制御部は、前記撮像部が前記分割エリアの各々を撮像した現在画像と、前記分割エリアの各々を前記加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較し、その一致度が予め定めた閾値以下であるとき、前記一致度が閾値以下の分割エリア内に前記加熱対象外物が侵入したと認識することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、監視制御部は、分割エリアの各々を撮像した現在画像と、加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較して、その一致度を検証する。そして、その一致度が予め定めた閾値以下の分割エリアがあるとき、当該分割エリア内に加熱対象外物が侵入したと認識する。従って、どの分割エリアに加熱対象外物が存在するかについて認識することができる。
【0021】
また、第2の発明の監視システムにおいて、
前記監視制御部は、前記被加熱物の載置が検出された前記加熱部に応じて、前記分割エリアの各々の前記閾値を変更することが好ましい。
【0022】
被加熱物の載置が検出された加熱部に応じて、加熱対象外物が侵入する可能性が高い分割エリア、侵入の可能性が低い分割エリアが生じる。このため、監視制御部は、各分割エリアの閾値を当該侵入の可能性に応じて変更することで、監視の必要性が高い分割エリアに注力して監視することが可能となる。
【0023】
上記目的を達成するため、第3の発明は、
天板部と、
前記天板部に設けられ、上方に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部の上方に配設され、前記天板部の上面側を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記加熱部による加熱の対象外である加熱対象外物の前記天板部への侵入を監視する監視制御部と、を備え、
前記天板部には、加熱調理器内からの排気ガスの排気、又は前記加熱調理器内への空気の吸気を行うための吸排気口部が設けられ、
前記吸排気口部には、前記監視制御部によって前記加熱対象外物の侵入の有無が監視される監視領域が設定され、
前記監視制御部は、前記監視領域内に前記加熱対象外物が侵入したとき、前記吸排気口部の上部に前記加熱対象外物が存在すると判断する監視システムにおいて、
前記監視制御部は、前記撮像部が前記監視領域を撮像した現在画像と、前記監視領域を前記加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とを比較し、その一致度が予め定めた第1閾値以下であるとき、前記監視領域内に前記加熱対象外物が侵入したと認識することを特徴とする。
【0024】
第3の発明の監視制御部は、監視領域を撮像した現在画像と、加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とを比較して、その一致度を検証する。そして、その一致度が予め定めた第1閾値(例えば、70%)以下であるとき、監視領域内に加熱対象外物が侵入したと認識する。従って、監視領域にどのような形状、大きさの加熱対象外物が存在するかについて認識することができる。
【0025】
第3の発明の監視システムにおいて、
前記監視領域は、複数の分割エリアから構成され、
前記監視制御部は、前記撮像部が前記分割エリアの各々を撮像した現在画像と、前記分割エリアの各々を前記加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較し、その一致度が前記第1閾値以下の前記分割エリアがあるとき、前記分割エリア内に前記加熱対象外物が侵入したと認識することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、監視制御部は、撮像部が分割エリアの各々を撮像した現在画像と、加熱対象外物がない状態で撮像した基準画像とをそれぞれ比較して、その一致度を検証する。従って、どの分割エリアにどのような形状、大きさの加熱対象外物が存在するかについて認識することができる。
【0027】
また、第3の発明の監視システムにおいて、
前記監視制御部は、前記一致度が前記第1閾値以下の前記分割エリアの閾値を、前記第1閾値よりも小さい第2閾値に設定することが好ましい。
【0028】
監視制御部は、一致度が第1閾値以下である分割エリアの閾値については、第1閾値よりも小さい第2閾値(例えば、35%)に設定する。閾値を引き下げると一致し易くなり、加熱対象外物の侵入を認識し難くなるため、被加熱物の一部分等については、監視レベルを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態に係る監視システムの概略図。
図2】監視システムの内部構成を説明する図。
図3A】加熱調理器の天板部を上方から見たときの平面図。
図3B】カメラによる監視領域(分割エリア)を説明する図。
図4】第1実施形態に係る監視システムの監視処理を示すフローチャート。
図5】第2実施形態に係る監視システムの監視処理を示すフローチャート。
図6図5の閾値変更処理を示すフローチャート。
図7】第3実施形態に係る監視システムの監視処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。
【0031】
[第1実施形態]
初めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る監視システム1を説明する。監視システム1は、主に加熱調理器10とカメラ20とを備え、カメラ20は、加熱調理器10の天板部4の上面側を撮像できるシステムとなっている。
【0032】
まず、加熱調理器10について説明する。加熱調理器10は、その前面側の中央部にグリル2が設けられている。グリル2は、加熱調理器10の内部に設けられたグリル庫2aに被加熱物を出し入れする際に、グリル庫2aの前面開口部を開閉する。
【0033】
加熱調理器10は、システムキッチンのカウンタトップWに組み込むビルトイン式であり、上面を開放面とする箱形のコンロ本体3を備えている。コンロ本体3の上部には天板部4が設けられ、天板部4からはコンロ本体3に支持されたコンロバーナ5,6,7が上方に露出している。なお、図1においては、右側のコンロバーナ7上に調理容器Pが置かれている。
【0034】
天板部4の中央のコンロバーナ6の奥側(壁側)には、加熱調理器10の排気ガスの排気、又は加熱調理器10内への空気の吸気を行うための吸排気口部12が設けられている。
【0035】
また、加熱調理器10の前面側におけるグリル2の両側には、各コンロバーナ5,6,7、及びグリル庫2a内のグリルバーナ8の点消火ボタン13a~13dと、電源スイッチ13eが設けられている。
【0036】
各点消火ボタン13a~13dはプッシュ式であって、前面パネルに没入した図1に示す消火位置から一旦押し込んで押込み解除することにより前面パネルの前方の燃焼位置に突出し、この状態で火力調節のために回動操作することができるようになっている。
【0037】
電源スイッチ13e、各バーナ5~8の点消火ボタン13a~13dの操作検知スイッチ(図示省略)からの信号は、各バーナ5~8の火炎検知素子からの信号と共にマイクロコンピュータからなる、後述する制御部11に入力される。そして、制御部11によりイグナイタ、元弁及び各ガス弁装置が制御される。
【0038】
次に、カメラ20について説明する。カメラ20は加熱調理器10の上方位置であって、換気扇用フードの下端枠30に取り付けられている。詳細は後述するが、カメラ20は、天板部4の上面側のコンロバーナ5~7が含まれる領域及び吸排気口部12の領域を撮像することができる。
【0039】
カメラ20は、無線通信(Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等)により加熱調理器10と通信することができる。加熱調理器10は、吸排気口部12の上側に、布巾や調味料等の異物(加熱対象外物)が存在しているかを監視する機能を有するため、カメラ20の撮像画像を取得する。
【0040】
なお、カメラ20は、静止画を撮像可能な撮像手段に限られるものではなく、ビデオで撮像した動画を判断に用いるようにしてもよい。また、カメラ20(ビデオ)と加熱調理器10との通信は、無線通信に限られず、有線で行ってもよい。
【0041】
次に、図2を参照して、監視システム1を構成する加熱調理器10及びカメラ20の内部構成を説明する。
【0042】
まず、加熱調理器10は、制御部11と、操作部13と、載置検出部14と、記憶部15と、液晶表示部16と、通信部17と、加熱部19とを備えている。
【0043】
制御部11には、火力制御部11Aと監視制御部11Bとが含まれる。火力制御部11Aは、コンロバーナ5~7及びグリルバーナ8の火力制御を行う。火力制御部11Aは、点消火ボタン13a~13d等からなる操作部13の操作指令を受けて加熱部19を制御し、各コンロバーナのオン、オフ等の制御を行う。
【0044】
監視制御部11Bは、通信部17を介してカメラ20から送信された撮像画像を受信し、天板部4上の監視領域(詳細は後述する)に加熱対象外物が侵入したかを判断する。
【0045】
監視制御部11Bの判断は、画像比較(パターンマッチング)により行われる。記憶部15には、当該監視領域に加熱対象外物が存在していない設置時の画像(基準画像)が記憶されている。監視制御部11Bは、カメラ20から送信された撮像画像(現在画像)と当該基準画像とを比較して一致度を解析し、その一致度が予め定めた閾値(例えば、70%)以下のとき、当該監視領域に加熱対象外物が存在すると判断する。なお、監視制御部11Bは、状況に応じて当該閾値を変更することができる。
【0046】
載置検出部14は、コンロバーナ5~7(加熱部19)の各々に設けられた感圧センサであり、コンロバーナ5~7上に鍋や無水調理器等の調理容器P(被加熱物)が載置されたことを検出する。
【0047】
また、液晶表示部16は、コンロバーナ5~7(加熱部19)の火力状態の表示の他、加熱調理器10で生じたエラーや警告について、文字、図形等で報知する機能を有している。
【0048】
カメラ20は、撮像部21と、通信部22とを備えている。撮像部21は、天板部4の上面側の撮像領域を撮像し、撮像画像を取得する。当該撮像画像は、カメラ20の通信部22から加熱調理器10の通信部17に向けて送信され、制御部11(監視制御部11B)で解析される。
【0049】
次に、図3A図3Bを参照して、カメラ20の監視領域を説明する。
【0050】
図3Aは、天板部4を上方から見たときの平面図であり、カメラ20(撮像部21)の撮像範囲でもある。本実施形態の監視システム1では、吸排気口部12の上部に加熱対象外物が存在するか、又は加熱対象外物が侵入したかを監視するため、吸排気口部12を覆う監視領域Rが定められている。
【0051】
図示するように、中央のコンロバーナ6の上部には直径が比較的大きい調理容器Pが載置されている。また、調理容器Pは、円形鍋本体P1及び取っ手P2で構成されている。そして、円形鍋本体P1の一部が監視領域Rに掛かっているため、加熱調理器10の制御部11(監視制御部11B)は、監視領域Rに加熱対象外物が存在すると判断する。
【0052】
図3Bに示すように、実際は、監視領域Rは6つの分割エリアA1~A6から構成され、制御部11(監視制御部11B)は、分割エリアA1~A6の各々について加熱対象外物の侵入を監視する。なお、監視領域Rの分割数は6つに限られるものではなく、2つ又は3つでもよいし、6つ以上あってもよい。
【0053】
具体的には、制御部11(監視制御部11B)は、撮像部21が分割エリアA1~A6の各々を撮像した撮像画像(現在画像)と、分割エリアA1~A6の各々を加熱対象外物がない状態で撮像した撮像画像(基準画像)とをそれぞれ比較し、一致度を検証する。そして、制御部11は、当該一致度が予め定めた閾値(例えば、70%)以下の分割エリアが存在するとき、当該分割エリア内に加熱対象外物が存在する判断する
【0054】
図3Aの例では、図3Bの分割エリアA3,A4に調理容器Pの円形鍋本体P1の一部が含まれることになるため、画像比較の一致度が閾値を下回る。従って、円形鍋本体P1の一部は監視領域R(分割エリアA3,A4)に侵入した加熱対象外物と判断され、加熱調理器10の液晶表示部16等でエラーの報知又は警告が行われる。音声、ブザー等で、そのような報知を行ってもよい。なお、当該報知は、グリル2が使用されている場合のみ行ってもよい。
【0055】
加熱対象外物が布巾やキッチンペーパー等である場合、吸排気口部12(図1参照)から排出されたグリル2からの排気ガスによって焼損したり、引火したりする可能性があるため、エラー又は警告の報知が必要である。しかしながら、上述の円形鍋本体P1は調理容器Pの一部であって、監視領域Rへの侵入が避けられない。このため、本実施形態の加熱調理器10は、コンロバーナ5~7の上部の載置検出部14が調理容器Pの載置を検出したときは、監視領域Rへの加熱対象外物の侵入監視を中止する。
【0056】
また、布巾やキッチンペーパー等によって吸排気口部12が閉塞された場合、吸排気口部12からの加熱調理器10内への空気の吸気を阻害する可能性がある。従って、同様にこれを防止するために、エラー又は警告の報知が必要である。
【0057】
図3Aのケースでは、中央のコンロバーナ6上に調理容器Pの載置が検出された時点で監視領域Rの侵入監視を中止されるため、エラーの報知又は警告が行われない。一方で、コンロバーナ5~7上に調理容器Pの載置が検出されていないときは、監視領域Rの侵入監視が継続して行われる。これにより、監視システム1は、誤認識を防止しつつ、監視領域Rに加熱対象外物が侵入したかを監視することができる。なお、調理容器Pの取っ手P2が監視領域Rに侵入することもあるため、上述したように直ちに侵入監視を中止するのではなく、エラーの報知又は警告を行った後、中止するようにしてもよい。
【0058】
円形鍋本体P1が含まれる分割エリアA3,A4のみ侵入監視を中止し、その他の分割エリアA1,A2,A5,A6については、侵入監視を継続してもよい。このような制御により、例えば、調理中に分割エリアA6に調味料の容器が置かれたとき、加熱対象外物が侵入したと判断して、エラーの報知又は警告を行うことができる。
【0059】
また、左側のコンロバーナ5で調理容器Pの載置が検出されたとき、その取っ手P2が侵入する可能性のある分割エリアA1,A2のみ侵入監視を中止するようにしてもよい。同様に、中央のコンロバーナ6で調理容器Pの載置が検出されたとき分割エリアA3,A4のみ侵入監視を中止し、右側のコンロバーナ7で調理容器Pの載置が検出されたとき分割エリアA5,A6のみ侵入監視を中止することができる。
【0060】
次に、図4を参照して、監視システム1の監視処理のフローチャートを説明する。
【0061】
本監視処理では、まず、カメラがONされる(STEP01)。これにより、カメラ20の撮像部21による監視領域Rの撮像が開始する。次に、グリル、バーナの点火中か否かが判定される(STEP02)。現在、グリル2又はコンロバーナ5~7の点火中である場合にはSTEP03に進み、点火中でない場合には点火まで待機する。
【0062】
グリル、バーナの点火中である場合(STEP02で「YES」)、加熱調理器10は、監視領域の侵入監視を開始する(STEP03)。具体的には、加熱調理器10の制御部11(監視制御部11B)がカメラ20から監視領域Rの撮像画像(現在画像)を取得し、当該撮像画像の解析を開始する。
【0063】
次に、制御部11は、各分割エリアの一致度を判定する(STEP04)。上述したように監視領域Rは、分割エリアA1~A6に分割され(図3B参照)、分割エリアA1~A6の各々で画像比較による一致度の検証が行われる。そして、制御部11は、一致度が閾値よりも低いとき、その分割エリアに加熱対象外物が存在すると判断する。
【0064】
次に、加熱調理器10は、バーナ上に調理容器が載置されているか否かを判定する(STEP05)。具体的には、制御部11が載置検出部14の検出信号を利用して本判定を行う。コンロバーナ5~7の何れか1つに調理容器Pが載置されている場合にはSTEP06に進み、何れにも載置されていない場合にはSTEP07に進む。
【0065】
まず、バーナ上に調理容器が載置されている場合(STEP05で「YES」)を説明する。この場合、加熱調理器10は、監視領域の侵入監視を中止する(STEP06)。これは、例えば、中央のコンロバーナ6に調理容器Pが載置されたとき、監視領域R(分割エリアA1~A6)に円形鍋本体P1が掛かっている、又はこの先掛かる(侵入する)ことがあるが(図3A参照)、このようなケースをエラー、警告の対象としないためである。その後、監視処理を終了する。
【0066】
次に、バーナ上に調理容器が載置されていない場合(STEP05で「NO」)を説明する。この場合、制御部11(監視制御部11B)は、一致度が閾値以下の分割エリアがあるか否かを判定する(STEP07)。一致度が閾値以下の分割エリアがある場合にはSTEP08に進み、一致度が閾値以下の分割エリアがない場合には加熱対象外物の侵入はないとして、STEP02に戻る。
【0067】
最後に、一致度が閾値以下の分割エリアがある場合(STEP07で「YES」)、エラー、警告を出力すると共に、グリル、バーナを消火する(STEP08)。これは、その分割エリアに加熱対象外物が存在するため、液晶表示部16等によりエラー等を報知し、加熱対象外物に引火しないようにグリル2及びコンロバーナ5~7を消火する処理である。その後、監視処理を終了する。
【0068】
このように、第1実施形態の監視システム1は、コンロバーナ5~7に調理容器Pが載置された場合には、監視領域R(分割エリアA1~A6)への侵入監視を中止することで誤認識を防止する。
【0069】
なお、監視システム1では、各画像エリアで一致度の検証のため画像比較を行うことから、どの画像エリアにどのような形状、大きさの加熱対象外物が存在するかについても認識することができる。また、コンロバーナ5~7に調理容器Pが載置されていないという条件の下、監視領域Rに加熱対象外物が侵入したかを監視することができる。
【0070】
[第2実施形態]
以下では、第2実施形態の監視システム50について説明する。上述の第1実施形態においては、加熱調理器10が載置検出部14を備える例を説明したが、載置検出部14によって調理容器Pが載置されたと同時に、監視領域Rに加熱対象外物が存在すると判断されたとき、侵入監視を中止することもできる。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
図5図6を参照して、第2実施形態の監視システム50の監視処理のフローチャートを説明する。
【0072】
本監視処理では、まず、カメラがONされる(STEP11)。これにより、カメラ20の撮像部21による監視領域Rの撮像が開始する。次に、グリル、バーナの点火中か否かが判定される(STEP12)。現在、グリル2又はコンロバーナ5~7の点火中である場合にはSTEP13に進み、点火中でない場合には点火まで待機する。
【0073】
グリル、バーナの点火中である場合(STEP12で「YES」)、加熱調理器10は、監視領域の侵入監視を開始する(STEP13)。具体的には、加熱調理器10の制御部11(監視制御部11B)がカメラ20から監視領域Rの撮像画像(現在画像)を取得し、当該撮像画像の解析を開始する。
【0074】
次に、制御部11は、各分割エリアの一致度を判定する(STEP14)。制御部11は、一致度が閾値よりも低いとき、その分割エリアに加熱対象外物が存在すると判断する。
【0075】
次に、加熱調理器10は、バーナ上に調理容器が載置されているか否かを判定する(STEP15)。具体的には、制御部11が載置検出部14の検出信号を利用して本判定を行う。コンロバーナ5~7の何れか1つに調理容器Pが載置されている場合にはSTEP16に進み、何れにも載置されていない場合にはSTEP17に進む。
【0076】
バーナ上に調理容器が載置されていない場合(STEP15で「NO」)、制御部11(監視制御部11B)は、一致度が閾値以下の分割エリアがあるか否かを判定する(STEP17)。一致度が閾値以下の分割エリアがある場合にはSTEP21に進み、一致度が閾値以下の分割エリアがない場合には加熱対象外物の侵入はないとして、STEP12に戻る。
【0077】
一方、バーナ上に調理容器が載置されている場合(STEP15で「YES」)、制御部11(監視制御部11B)は、一致度が閾値以下の分割エリアがあるか否かを判定する(STEP16)。一致度が閾値以下の分割エリアがある場合にはSTEP18に進み、一致度が閾値以下の分割エリアがない場合にはSTEP19に進む。
【0078】
まず、一致度が閾値以下の分割エリアがある場合(STEP16で「YES」)を説明する。この場合、加熱調理器10は、一致度が閾値以下のみ侵入監視を中止する(STEP18)。これは、例えば、中央のコンロバーナ6に調理容器Pが載置され、分割エリアA3,A4に円形鍋本体P1が掛かっている場合(図3A参照)をエラー、警告の対象としないためである。
【0079】
次に、一致度が閾値以下の分割エリアがない場合(STEP16で「NO」)を説明する。この場合、閾値変更処理が行われる(STEP19)。以下では、図6を参照して、閾値変更処理のフローチャートを説明する。
【0080】
本閾値変更処理では、加熱調理器10が、左側のバーナに調理容器が載置されているか否かを判定する(STEP31)。具体的には、制御部11が載置検出部14の検出信号を利用して、本判定を行う。左側のコンロバーナ5に調理容器Pが載置されている場合にはSTEP32に進み、コンロバーナ5には調理容器Pが載置されていない場合にはSTEP33に進む。
【0081】
コンロバーナ5に調理容器Pが載置されている場合(STEP31で「YES」)、制御部11(監視制御部11B)は、分割エリアA1,A2のみ閾値の引き下げを行う(STEP32)。コンロバーナ5に調理容器Pが載置された場合は、この後、取っ手P2等が分割エリアA1,A2に侵入する可能性があるため、閾値を引き下げることで一致し易くし、誤認識を防止する。その後、閾値変更処理を終了し、図5のSTEP20に進む。
【0082】
一方、コンロバーナ5に調理容器Pが載置されていない場合(STEP31で「NO」)、加熱調理器10が、中央のバーナに調理容器が載置されているか否かを判定する(STEP33)。中央のコンロバーナ6に調理容器Pが載置されている場合にはSTEP34に進み、コンロバーナ6には調理容器Pが載置されていない場合にはSTEP35に進む。
【0083】
コンロバーナ6に調理容器Pが載置されている場合(STEP33で「YES」)、制御部11(監視制御部11B)は、分割エリアA3,A4のみ閾値の引き下げを行う(STEP34)。コンロバーナ6に調理容器Pが載置された場合は、この後、円形鍋本体P1等が分割エリアA3,A4に侵入する可能性があるため、閾値を引き下げることで一致し易くし、誤認識を防止する。その後、閾値変更処理を終了し、図5のSTEP20に進む。
【0084】
一方、コンロバーナ6に調理容器Pが載置されていない場合(STEP33で「NO」)、制御部11(監視制御部11B)は、分割エリアA5,A6のみ閾値の引き下げを行う(STEP35)。これは、右側のコンロバーナ7に調理容器Pが載置されている場合であるので、この後、取っ手P2等が分割エリアA5,A6に侵入する可能性がある。そのため、閾値を引き下げることで一致し易くし、誤認識を防止する。その後、閾値変更処理を終了し、図5のSTEP20に進む。
【0085】
図5に戻り、制御部11(監視制御部11B)は、再度、一致度が閾値以下の分割エリアがあるか否かを判定する(STEP20)。一致度が閾値以下の分割エリアがある場合にはSTEP21に進み、一致度が閾値以下の分割エリアがない場合には加熱対象外物の侵入はないとして、STEP12に戻る。
【0086】
一致度が閾値以下の分割エリアがある場合(STEP20で「YES」)、エラー、警告を出力し、グリル、バーナを消火する(STEP21)。これは、一部の分割エリアの侵入監視を中止したり、一部の分割エリアの閾値を変更したりしても、他の分割エリアに加熱対象外物が存在する場合である。このため、液晶表示部16等によりエラー等を報知し、加熱対象外物に引火しないようにグリル2及びコンロバーナ5~7を消火する。その後、監視処理を終了する。
【0087】
このように、第2実施形態の監視システム50は、コンロバーナ5~7に調理容器Pが載置されたと同時に、監視領域R(分割エリアA1~A6)に加熱対象外物が存在すると判断されたとき、一部の分割エリアの侵入監視を中止する、又は一部の分割エリアの一致度の閾値の引き下げを行う。これにより、監視の必要性が高い分割エリアに注力して侵入監視を継続することができる。
【0088】
[第3実施形態]
以下では、第3実施形態の監視システム100について説明する。上述の第1実施形態及び第2実施形態においては、加熱調理器10が載置検出部14を備える例を説明したが、載置検出部14を備えておらず、画像比較だけで加熱対象外物の監視領域Rへの侵入を検出することもできる。なお、第1実施形態、第2実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
図7を参照して、第3実施形態の監視システム100の監視処理のフローチャートを説明する。
【0090】
本監視処理では、まず、カメラがONされる(STEP41)。これにより、カメラ20の撮像部21による監視領域Rの撮像が開始する。次に、グリル、バーナの点火中か否かが判定される(STEP42)。現在、グリル2又はコンロバーナ5~7の点火中である場合にはSTEP43に進み、点火中でない場合には点火まで待機する。
【0091】
グリル、バーナの点火中である場合(STEP42で「YES」)、加熱調理器10は、監視領域の侵入監視を開始する(STEP43)。具体的には、加熱調理器10の制御部11(監視制御部11B)がカメラ20から監視領域Rの撮像画像(現在画像)を取得し、当該撮像画像の解析を開始する。
【0092】
次に、制御部11は、各分割エリアの一致度を判定する(STEP44)。制御部11は、一致度が閾値(第1閾値)よりも低いとき、その分割エリアに加熱対象外物が存在すると判断する。
【0093】
次に、制御部11(監視制御部11B)は、一致度が閾値以下の分割エリアがあるか否かを判定する(STEP45)。一致度が閾値以下の分割エリアがある場合にはSTEP46に進み、一致度が閾値以下の分割エリアがない場合には加熱対象外物の侵入はないとして、STEP42に戻る。
【0094】
一致度が閾値以下の分割エリアがある場合(STEP45で「YES」)、エラー、警告を出力する(STEP46)。これは、その分割エリアに加熱対象外物が存在するため、液晶表示部16等によりエラー等を報知する処理である。
【0095】
最後に、制御部11(監視制御部11B)は、一致度が第1閾値以下の分割エリアのみ閾値の引き下げを行う(STEP47)。例えば、図3A図3Bの例の初期状態において、分割エリアA1~A6の第1閾値を70%と定めていたとする。一致度の判定(STEP44)の結果、分割エリアA3,A4のみ一致度が50%となってエラー、警告が出力されれば(STEP45)、次回実行される監視処理で改めてエラー等を出力する必要はない。このため、閾値を引き下げ、例えば、分割エリアA3,A4の閾値を35%(第2閾値)に設定する。なお、第2閾値の値は任意であるが、全てにおいて侵入監視を行わない閾値0%(一致度0)も含まれる。その後、監視処理を終了する。
【0096】
このように、第3実施形態の監視システム100は、基本的に画像比較で加熱対象外物の侵入を監視するため、加熱対象外物の位置のみならず、その形状や大きさについて認識することができる。
【0097】
また、最初の監視処理で加熱対象外物が存在すると判断されたとき、閾値の引き下げを行うことで、次回の監視処理にて一致度が第1閾値(分割エリアA3,A4のみ第2閾値)以下の分割エリアがなくなる。そのため、調理容器Pの円形鍋本体P1のような部分については、監視を無視することができる。すなわち、何度も同じ分割エリアに対するエラーが出力される煩わしさを回避することができる。
【0098】
載置検出部14は、上記各実施形態のような感圧センサに限られるものではない。画像比較のみで侵入監視を行う監視システム100の載置検出部の変更形態として、コンロバーナ5~7をカメラ20(撮像部21)によって監視(現在画像を取得)し、コンロバーナ5~7の基準画像との一致度によって調理容器Pの載置を判断してもよい。
【0099】
上記各実施形態では、カメラ20が換気扇用フードの下端枠30に取り付けられていたが、換気扇用フードの下端枠30ではなく、加熱調理器10の後方の壁面等に取り付けられていてもよい。
【0100】
また、どのような形状、大きさの加熱対象外物(調理容器P)が存在するかについて認識可能であることを利用して、取っ手P2(例えば、形状の異形部(凸部))を認識させておく。そして、取っ手P2の監視領域Rへの侵入を検出した場合は、取っ手P2の、グリル2からの排気ガスによる加熱を抑制するために、監視領域Rの侵入監視の中止を行わないようにしてもよい。また、その際、報知の内容を他の侵入とは異なる態様で報知してもよい。
【0101】
上記各実施形態では、加熱調理器10がコンロバーナ5~7を搭載したガス加熱調理器であったが、誘導加熱コイル等を搭載した電気式加熱調理器であってもよい。また、グリル2を搭載しておらず、吸排気口を吸気口としてのみの機能を有する加熱調理器も含まれる。
【0102】
以上、本発明は上記各実施形態及び変更形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 監視システム
2 グリル
3 コンロ本体
4 天板部
5~7 コンロバーナ
8 グリルバーナ
10 加熱調理器
11 制御部
11A 火力制御部
11B 監視制御部
12 吸排気口部
13 操作部
14 載置検出部
15 記憶部
16 液晶表示部
17 通信部(加熱調理器側)
19 加熱部
20 カメラ
21 撮像部
22 通信部(カメラ側)
30 下端枠(換気扇用フード)
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7