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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124005
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】木製ストローおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 21/18 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
A47G21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021517
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】520483626
【氏名又は名称】池谷 明
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】池谷 明
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA02
3B115BA19
3B115DA15
3B115EA03
(57)【要約】
【課題】製造コストを低く抑えながら、接合部の強度を向上でき、さらに、飲料の滲み出しを防止できる、木製ストローおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】木製ストロー10は、飲料14が流れる流路Sを構成する周壁部16を有し、周壁部16の径方向における半分を構成する木製で雨樋状の第1半体18と、周壁部16の径方向における残りの半分を構成する木製で雨樋状の第2半体20とを備える。周壁部16を構成する木材としては、針葉樹が用いられる。また、木製ストロー10は、第1半体18の周方向の一方端面18fと第2半体20の周方向の一方端面20fとを接着する第1接着部22と、第1半体18の周方向の他方端面18gと第2半体20の周方向の他方端面20gとを接着する第2接着部24とを備える。木製ストロー10を製造するとき、ダブルソー74の2枚の丸鋸刃82a,82bで周壁部16の外面16bが形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が流れる流路を構成する周壁部を有する木製ストローであって、
前記周壁部の径方向における半分を構成する木製で雨樋状の第1半体と、
前記周壁部の径方向における残りの半分を構成する木製で雨樋状の第2半体と、
前記第1半体の周方向の一方端面と前記第2半体の周方向の一方端面とを接着する第1接着部と、
前記第1半体の周方向の他方端面と前記第2半体の周方向の他方端面とを接着する第2接着部とを備える、木製ストロー。
【請求項2】
前記周壁部の内面は、横断面形状が円形となるように形成されており、
前記第1半体の周方向両端部の厚さは、前記第1半体の周方向中央部の厚さよりも厚く定められており、
前記第2半体の周方向両端部の厚さは、前記第2半体の周方向中央部の厚さよりも厚く定められている、請求項1に記載の木製ストロー。
【請求項3】
前記周壁部の外面は、横断面形状が扁平円形となるように形成されている、請求項2に記載の木製ストロー。
【請求項4】
前記周壁部の外面は、横断面形状が正八角形となるように形成されている、請求項1に記載の木製ストロー。
【請求項5】
前記第1半体および前記第2半体のそれぞれの周方向の両端面は平坦面に形成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の木製ストロー。
【請求項6】
前記第1半体および前記第2半体を構成する木材は針葉樹である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の木製ストロー。
【請求項7】
前記第1半体および前記第2半体を構成する木材は前記周壁部の内面および外面に露出されている、請求項6に記載の木製ストロー。
【請求項8】
飲料が流れる流路の径方向の半分を構成する第1溝を有する木製で雨樋状の第1半基体と前記流路の径方向の残りの半分を構成する第2溝を有する木製で雨樋状の第2半基体とを接着剤で接合して筒状の基体を形成する工程(a)と、
前記基体における径方向の両端部を、前記径方向に間隔を隔てて平行に配置された2枚の丸鋸刃で同時に切除して前記流路を構成する周壁部の外面を形成する工程(b)とを備える、木製ストローの製造方法。
【請求項9】
前記工程(a)は、
複数の前記第1半基体が集合した板状の第1集合体と、複数の前記第2半基体が集合した板状の第2集合体とを形成する工程(a-1)と、
前記第1集合体と前記第2集合体とを互いに接着することによって、複数の前記基体が集合した集合基体を形成する工程(a-2)と、
前記集合基体を複数の前記基体ごとに分割する工程(a-3)とを含む、請求項8に記載の木製ストローの製造方法。
【請求項10】
前記工程(a)は、
前記第1半基体と前記第2半基体とを接着剤を介して互いに重ね合わせる工程(a-4)と、
前記第1半基体を少なくとも1つの第1ローラーで支持するとともに、前記第2半基体を少なくとも1つの第2ローラーで押さえる工程(a-5)と、
前記第1ローラーと前記第2ローラーとの間に構成された通路に前記基体を通過させる工程(a-6)とを含み、
前記第1ローラーの外周面における軸方向の一方端部および他方端部のそれぞれには、前記第1半基体の幅方向への移動を阻止するフランジ状の第1位置決め部が設けられており、
前記第2ローラーの外周面における軸方向の一方端部および他方端部のそれぞれには、前記第2半基体の幅方向への移動を阻止するフランジ状の第2位置決め部が設けられている、請求項8または9に記載の木製ストローの製造方法
【請求項11】
前記第1半基体の周方向の一方端面と前記第2半基体の周方向の一方端面とを接着する第1接着部の外側の端部を第1端部とし、前記第1半基体の周方向の他方端面と前記第2半基体の周方向の他方端面とを接着する第2接着部の外側の端部を第2端部としたとき、
前記工程(b)は、前記第1端部と前記第2端部とを2枚の前記丸鋸刃で同時に切除する工程(b-1)を含む、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の木製ストローの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料が流れる流路を構成する周壁部を有する木製ストローおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の木製ストローの一例が下記特許文献1に開示されている。特許文献1の木製ストローは、2つの雨樋状の空芯縦割形状部材を備えている。一方の空芯縦割形状部材における周方向の一方端面および他方端面には、第1篏合部(凸部等)が形成されており、他方の空芯縦割形状部材における周方向の一方端面および他方端面には、第2篏合部(凹部等)が形成されている。そして、第1篏合部と第2篏合部とが篏合されることによって、一方の空芯縦割形状部材と他方の空芯縦割形状部材とが互いに接合されている。したがって、2つの空芯縦割形状部材を分割して、それらの内面を露出させることができ、洗浄時には、当該内面にスポンジ等を押し当てて効率よく洗浄できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-155524号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された木製ストローでは、第1篏合部および第2篏合部の形状が複雑なため、製造コストが高くなるという問題があった。また、第1篏合部および第2篏合部において肉厚が薄くなる部分が生じるため、接合部の強度が低くなるという問題があった。さらに、篏合構造の液密性を高めることが困難なため、流路を流れる飲料が外部へ滲み出てくるという問題があった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、製造コストを低く抑えながら、接合部の強度を向上でき、さらに、飲料の滲み出しを防止できる、木製ストローおよびその製造方法を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る木製ストローの特徴は、飲料が流れる流路を構成する周壁部を有する木製ストローであって、前記周壁部の径方向における半分を構成する木製で雨樋状の第1半体と、前記周壁部の径方向における残りの半分を構成する木製で雨樋状の第2半体と、前記第1半体の周方向の一方端面と前記第2半体の周方向の一方端面とを接着する第1接着部と、前記第1半体の周方向の他方端面と前記第2半体の周方向の他方端面とを接着する第2接着部とを備えることにある。
【0007】
この構成では、第1半体における周方向の一方端面および他方端面と第2半体における周方向の一方端面および他方端面とを、第1接着部および第2接着部で接着しているので、複雑な篏合構造は不要であり、安価に製造できる。また、互いに接着される2つの接着面の間に隙間が生じないので、飲料の滲み出しを防止できる。さらに、互いに篏合するための凹部および凸部、すなわち、肉厚が薄くなる部分を無くすことができるので、接合部の強度を高めることができる。
【0008】
本発明に係る木製ストローの他の特徴は、前記周壁部の内面は、横断面形状が円形となるように形成されており、前記第1半体の周方向両端部の厚さは、前記第1半体の周方向中央部の厚さよりも厚く定められており、前記第2半体の周方向両端部の厚さは、前記第2半体の周方向中央部の厚さよりも厚く定められていることにある。
【0009】
この構成では、周壁部の内面は、横断面形状が円形となるように形成されているので、流路を流れる飲料の圧力損失を抑制でき、使用者は飲料を吸引し易い。また、第1半体および第2半体のそれぞれの周方向両端部の厚さは、周方向中央部の厚さよりも厚く定められているので、第1接着部および第2接着部の接着面積を広くでき、接着強度を向上できる。さらに、周壁部の外面の横断面形状が扁平形状となるため、周壁部を口で咥え易い。
【0010】
本発明に係る木製ストローの他の特徴は、前記周壁部の外面は、横断面形状が扁平円形となるように形成されていることにある。
【0011】
この構成では、周壁部を口で咥えたときの口当たりがよい。
【0012】
本発明に係る木製ストローの他の特徴は、前記周壁部の外面は、横断面形状が正八角形となるように形成されていることにある。
【0013】
この構成では、周壁部の外面は、横断面形状が正八角形となるように形成されているので、周壁部を手で持ち易い。また、周壁部を口で咥えたときには、上唇および下唇のそれぞれに平坦面が当たるので、安定したフィット感が得られる。
【0014】
本発明に係る木製ストローの他の特徴は、前記第1半体および前記第2半体のそれぞれの周方向の両端面は平坦面に形成されていることにある。
【0015】
この構成では、平坦面の形成が容易であることから安価に製造できる。また、第1半体と第2半体とを平坦面で接着できるので、第1接着部および第2接着部の接着品質を安定させることができる。
【0016】
本発明に係る木製ストローの他の特徴は、前記第1半体および前記第2半体を構成する木材は針葉樹であることにある。
【0017】
エゾマツ、杉、ヒノキといった針葉樹は、低密度で多くの空気を含んでいる。上記構成では、第1半体および第2半体の木材として針葉樹が用いられるので、流路を流れる飲料の保温性がよく、また、周壁部を口で咥えたときに暖かさを感じることができる。
【0018】
本発明に係る木製ストローの他の特徴は、前記第1半体および前記第2半体を構成する木材は前記周壁部の内面および外面に露出されていることにある。
【0019】
この構成では、針葉樹の吸水性によって使用済みか否かを判別し易い。つまり、周壁部の外面に水分が付着しているとき、使用済みと判断できる。また、針葉樹で構成された周壁部は、その内面に付着した水分を吸収して、その外面から発散させることができるので、周壁部の内面にカビが発生することを抑制できる。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明に係る木製ストローの製造方法の特徴は、飲料が流れる流路の径方向の半分を構成する第1溝を有する木製で雨樋状の第1半基体と前記流路の径方向の残りの半分を構成する第2溝を有する木製で雨樋状の第2半基体とを接着剤で接合して筒状の基体を形成する工程(a)と、前記基体における径方向の両端部を、前記径方向に間隔を隔てて平行に配置された2枚の丸鋸刃で同時に切除して前記流路を構成する周壁部の外面を形成する工程(b)とを備えることにある。
【0021】
この構成では、基体における径方向の両端部を互いに平行に配置された2枚の丸鋸刃で同時に切除するので、周壁部の外面の2つの面を一定間隔で正確かつ迅速に形成できる。
【0022】
本発明に係る木製ストローの製造方法の他の特徴は、前記工程(a)は、複数の前記第1半基体が集合した板状の第1集合体と、複数の前記第2半基体が集合した板状の第2集合体とを形成する工程(a-1)と、前記第1集合体と前記第2集合体とを互いに接着することによって、複数の前記基体が集合した集合基体を形成する工程(a-2)と、前記集合基体を複数の前記基体ごとに分割する工程(a-3)とを含むことにある。
【0023】
この構成では、複数の基体を同時に製造できるので、製造時間を短縮できるとともに、製造コストを低く抑えることができる。
【0024】
本発明に係る木製ストローの製造方法の他の特徴は、前記工程(a)は、前記第1半基体と前記第2半基体とを接着剤を介して互いに重ね合わせる工程(a-4)と、前記第1半基体を少なくとも1つの第1ローラーで支持するとともに、前記第2半基体を少なくとも1つの第2ローラーで押さえる工程(a-5)と、前記第1ローラーと前記第2ローラーとの間に構成された通路に前記基体を通過させる工程(a-6)とを含み、前記第1ローラーの外周面における軸方向の一方端部および他方端部のそれぞれには、前記第1半基体の幅方向への移動を阻止するフランジ状の第1位置決め部が設けられており、前記第2ローラーの外周面における軸方向の一方端部および他方端部のそれぞれには、前記第2半基体の幅方向への移動を阻止するフランジ状の第2位置決め部が設けられていることにある。
【0025】
この構成では、基体を通路に通す際には、第1位置決め部および第2位置決め部によって第1半基体と第2半基体とを幅方向においてセンタリングして互いに正確に位置決めすることができ、第1溝の内面と第2溝の内面との位置ズレによる段差を生じさせることなく連続させた状態で第1半基体と第2半基体とを一体化することができる。すなわち、木製ストローを効率的に製造することができる。また、第1半基体と第2半基体との接続部分から接着剤が外部にはみ出した場合においても第1ローラーおよび第2ローラーに付着して汚損することを防止することができる。
【0026】
本発明に係る木製ストローの製造方法の他の特徴は、前記第1半基体の周方向の一方端面と前記第2半基体の周方向の一方端面とを接着する第1接着部の外側の端部を第1端部とし、前記第1半基体の周方向の他方端面と前記第2半基体の周方向の他方端面とを接着する第2接着部の外側の端部を第2端部としたとき、前記工程(b)は、前記第1端部と前記第2端部とを2枚の前記丸鋸刃で同時に切除する工程(b-1)を含むことにある。
【0027】
この構成では、第1端部および第2端部のそれぞれからはみ出した接着剤を、第1端部および第2端部と一緒に除去することが可能であり、周壁部の外面を迅速、かつ、美しく形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る木製ストローの構成および使用方法を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る木製ストローの構成を示す平面図である。
図3】第1実施形態に係る木製ストローの製造方法を示す図であり、(A)は、板材の端面に溝を形成する工程を示す図、(B)は、板材から第1半基体および第2半基体を分割する工程を示す図である。
図4】第1実施形態に係る木製ストローの製造方法を示す図であり、(C)は、第1半基体と第2半基体とを接着する工程を示す図、(D)は、接着面どうしを圧着させる工程を示す図である。
図5】ローラープレス機の構成を示す正面図である。
図6】(E)は、周壁部の外面を形成する工程を示す図である。
図7】第1実施形態に係る木製ストローの他の製造方法を示す図であり、(A)は、板材の端面に複数の溝を形成する工程を示す図、(B)は、板材から第1集合体および第2集合体を分割する工程を示す図である。
図8】第1実施形態に係る木製ストローの他の製造方法を示す図であり、(C)は、第1集合体と第2集合体とを接着して集合基体を形成する工程を示す図、(D)は、集合基体を複数の基体ごとに分割する工程を示す図である。
図9】第1実施形態に係る木製ストローのさらに他の製造方法を示す図であり、(A)は、板材の表面に複数の溝を形成する工程を示す図、(B)は、板材から第1半基体および第2半基体を分割する工程を示す図である。
図10】(A)は、第2実施形態に係る木製ストローの構成を示す平面図であり、(B)は、第3実施形態に係る木製ストローの構成を示す平面図である。
図11】第3実施形態に係る木製ストローの製造方法を示す図であり、(A)は、第1端部と第2端部とを同時に切除する工程を示す図、(B)は、基体の角部を切除する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る木製ストローおよびその製造方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
(第1実施形態に係る木製ストローの構成)
図1は、第1実施形態に係る木製ストロー10の構成および使用方法を示す斜視図である。図2は、木製ストロー10の構成を示す平面図である。なお、本実施形態において、木製ストロー10の太さは、長さ方向の全長にわたって均一であり、木製ストロー10の横断面形状は平面形状と一致する。
【0031】
図1に示すように、木製ストロー10は、飲料容器12に収容された飲料14を吸引して飲むときに用いられる筒状の器具であり、飲料14の流路Sを構成する周壁部16を有している。より具体的に説明すると、木製ストロー10は、周壁部16の径方向における半分を構成する木製で雨樋状の第1半体18と、周壁部16の径方向における残りの半分を構成する木製で雨樋状の第2半体20とを備えている。
【0032】
第1半体18および第2半体20に用いられる木材の種類、すなわち、周壁部16を構成する木材の種類は、特に限定されるものではないが、吸水性および保温性を有することから針葉樹(例えば、杉、ヒノキ、エゾマツ、アカマツ、カラマツなど)が望ましい。本実施形態では、周壁部16を構成する木材として、針葉樹の一種であるエゾマツが用いられており、当該木材は、周壁部16の内面16aおよび外面16b(図2)に露出されている。
【0033】
図2の平面図に基づいて、木製ストロー10の横断面形状を説明する。図2に示すように、第1半体18の内面18aは、横断面形状が半円形となるように形成されており、第1半体18の周方向の一方端部18cの厚さM1および他方端部18dの厚さM2は、第1半体18の周方向中央部18eの厚さN1よりも厚く定められている(M1,M2>N1)。本実施形態では、第1半体18の厚さが、周方向中央部18eから周方向両端部18c,18dに向けて徐々に厚くされており、これにより、第1半体18の外面18bの横断面形状は、半アーモンド形(半楕円形)となっている。
【0034】
一方、第2半体20の内面20aは、横断面形状が半円形となるように形成されており、第2半体20の周方向の一方端部20cの厚さM1および他方端部20dの厚さM2は、第2半体20の周方向中央部20eの厚さN2よりも厚く定められている(M1,M2>N2)。本実施形態では、第2半体20の厚さが、周方向中央部20eから周方向両端部20c,20dに向けて徐々に厚くされており、これにより、第2半体20の外面20bの横断面形状は、半アーモンド形(半楕円形)となっている。
【0035】
また、図2に示すように、木製ストロー10は、第1半体18の周方向の一方端面18fと第2半体20の周方向の一方端面20fとを接着する第1接着部22と、第1半体18の周方向の他方端面18gと第2半体20の周方向の他方端面20gとを接着する第2接着部24とを備えている。本実施形態では、第1半体18の周方向両端面18f,18gおよび第2半体20の周方向両端面20f,20gが平坦面に形成されており、これらの平坦面どうしが木材用の瞬間接着剤42(図4(C))で接合されている。第1接着部22および第2接着部24は、瞬間接着剤42が固化した部分である。
【0036】
第1半体18と第2半体20とは、これらの内面18a,20aどうしが段差無く連続し、かつ、これらの外面18b,20bどうしが段差無く連続するように、第1接着部22および第2接着部24を介して互いに接合されている。これにより、周壁部16の内面16aの横断面形状は円形となっており、周壁部16の外面16bの横断面形状はアーモンド形(楕円形)となっている。つまり、本実施形態では、周壁部16の内面16aは、横断面形状が円形となるように形成されており、周壁部16の外面16bは、横断面形状が扁平円形となるように形成されている。
【0037】
図2に示すように、周壁部16の横断面に着目したとき、第1接着部22の幅は、第1半体18および第2半体20のそれぞれの周方向の一方端部18c,20cの厚さM1と一致し、第2接着部24の幅は、第1半体18および第2半体20のそれぞれの周方向の他方端部18d,20dの厚さM2と一致する。したがって、周壁部16の横断面形状(扁平円形)の長手方向の長さMは、流路Sの直径Dと、第1接着部22の幅M1と、第2接着部24の幅M2とを合計した長さとなる(M=D+M1+M2)。なお、これらの各サイズは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、M=9mm、D=5mm、M1=2mm、M2=2mmに定められている。周壁部16の長さL(図示省略)は、L=210mmに定められている。
【0038】
また、周壁部16の横断面に着目したとき、周壁部16の横断面形状(扁平円形)の短手方向の長さNは、流路Sの直径Dと、第1半体18の最小厚さN1と、第2半体20の最小厚さN2とを合計した長さとなる(N=D+N1+N2)。なお、これらの各サイズは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、N=7mm、D=5mm、N1=0.5~1mm、N2=0.5~1mmに定められている。ただし、木材の多孔質組織による吸湿機能および水分発散機能を発揮させるためには、N1,N2が1mm以下であることが望ましい。
【0039】
本実施形態では、上記の各サイズを採用した結果、木製ストロー10の重量が3g程度になっており、周壁部16の横断面形状がアーモンド形(楕円形)すなわち扁平円形であることと相俟って、木製ストロー10を手で持ったときに「重く大きい」といった感じはしない。
【0040】
(第1実施形態に係る木製ストローの製造方法)
次に、木製ストロー10の製造方法について説明する。図3は、木製ストロー10の製造方法を示す図であり、(A)は、板材40の端面40aに第1溝32を形成する工程を示す図、(B)は、板材40から第1半基体34および第2半基体38を分割する工程を示す図である。図4は、木製ストロー10の製造方法を示す図であり、(C)は、第1半基体34と第2半基体38とを接着する工程を示す図、(D)は、接着面どうしを圧着させる工程を示す図である。図5は、ローラープレス機44の構成を示す正面図である。図6(E)は、周壁部16の外面16bを形成する工程を示す図である。
【0041】
図1に示す木製ストロー10を製造するとき、作業者は、筒状の基体30(図4(C))を形成する基体形成工程(a)を実行し、その後、基体30を加工して周壁部16の外面16b(図2)を形成する外面形成工程(b)を実行する。
【0042】
基体形成工程(a)では、まず、図3(A),(B)に示すように、流路S(図2)の径方向の半分を構成する第1溝32を有する木製で雨樋状の第1半基体34と、流路S(図2)の径方向の残りの半分を構成する第2溝36を有する木製で雨樋状の第2半基体38とを形成する。続いて、図4(C),(D)に示すように、第1半基体34と第2半基体38とを接着剤で接合して基体30を形成する。
【0043】
図3(A),(B)に示す第1半基体34および第2半基体38を形成する工程では、まず、図3(A)に示すように、クランプ(図示省略)を用いて板材40を基台(図示省略)に固定し、ルーター等の切削装置を用いて板材40の端面40aに第1溝32を形成する。続いて、図3(B)に示すように、丸鋸等の切断装置を用いて板材40から第1溝32が形成された部分を分割する。この分割された部分が第1半基体34となる。本実施形態では、第1半基体34と第2半基体38とが同一形状に形成されるため、作業者は、上記手順を繰り返すことによって第2半基体38を得ることができる。なお、図3(B)では、未だ形成されていない第2半基体38を一点鎖線で示している。
【0044】
図4(C),(D)に示す第1半基体34と第2半基体38とを接合する工程では、まず、図4(C)に示すように、第1半基体34の周方向両端面(上面)34a,34bと第2半基体38の周方向両端面(下面)38a,38bとを木材用の瞬間接着剤42を介して上下に重ね合わせる工程、すなわち、下側の第1半基体34と上側の第2半基体38とを瞬間接着剤42を介して上下に重ね合わせる工程(a-4)を実行する。続いて、図4(D)に示すように、ローラープレス機44を用いて、周方向両端面34a,34bと周方向両端面38a,38bとを上下方向から圧着させる工程を実行する。つまり、互いに接着される接着面どうしを圧着させる「圧着工程」を実行する。
【0045】
図4(D)および図5に示すように、ローラープレス機44は、水平方向に並べて配置され、第1半基体34を下方から支持する複数(本実施形態では10個)の第1ローラー46と、複数の第1ローラー46に対して上方から対向して配置され、第2半基体38を上方から押さえる複数(本実施形態では10個)の第2ローラー48とを有している。第1ローラー46と第2ローラー48との間には、基体30(第1半基体34および第2半基体38)を通す通路Rが構成されている。第2ローラー48は、回動アーム50の下端部に取り付けられており、回動アーム50の上端部には、コイルバネ52が接続されている。回動アーム50の上端部は、コイルバネ52の弾性力によって上方へ引かれており、回動アーム50は、回動軸50aを中心として反時計方向に付勢されている。これにより、第2ローラー48は、下方へ向けて付勢されており、通路Rを通る基体30に上方から押し当てられる。
【0046】
つまり、上記の「圧着工程」は、第1半基体34を複数の第1ローラー46で下方から支持するとともに、第2半基体38を複数の第2ローラー48で上方から押さえる工程(a-5)と、第1ローラー46と第2ローラー48との間に構成された通路Rに前記基体を通過させる工程(a-6)とを含む。
【0047】
図5に示すように、第1ローラー46の外周面における軸方向の一方端部および他方端部のそれぞれには、第1半基体34の幅方向への移動を阻止するフランジ状の第1位置決め部46aが設けられている。2つの第1位置決め部46aのそれぞれの内側面は、軸方向の内側へ向かうにつれて高さが徐々に低くなるように傾斜したテーパー状に形成されており、2つの第1位置決め部46aの間隔は、第1半基体34の幅とほぼ同じに定められている。一方、第2ローラー48の外周面における軸方向の一方端部および他方端部のそれぞれには、第2半基体38の幅方向への移動を阻止するフランジ状の第2位置決め部48aが設けられている。2つの第2位置決め部48aのそれぞれの内側面は、軸方向の内側へ向かうにつれて高さが徐々に低くなるように傾斜したテーパー状に形成されており、2つの第2位置決め部48aの間隔は、第2半基体38の幅とほぼ同じに定められている。
【0048】
したがって、基体30を通路Rに通す際には、左右一対の第1位置決め部46aおよび左右一対の第2位置決め部48aによって第1半基体34および第2半基体38をそれぞれ通路Rの幅方向中央部にセンタリングさせることができる。これにより、第1半基体34および第2半基体38は、通路R内において正確に位置決めされるため、第1溝32の内面と第2溝36の内面との位置ズレによる段差を生じさせることなく連続させた状態で第1半基体34と第2半基体38とを一体化することができる。すなわち、木製ストロー10を効率的に製造することができる。また、第1半基体34と第2半基体38との接続部分から瞬間接着剤42が外部にはみ出した場合においても第1ローラー46および第2ローラー48に付着して汚損することを防止することができ、製造作業の中断を防止できるとともに清掃の手間を軽減できる。
【0049】
外面形成工程(b)では、図6(E)に示すように、基体形成工程(a)で形成された基体30をモルダー装置54の基台(図示省略)に固定し、モルダー刃56を回転させて、周壁部16の外面16b(図2)を形成する。本実施形態のモルダー装置54は、基体30の外面30bのうち上側に配置された一方面だけを切削加工する片面成形機である。そのため、一方面の切削加工が終わると、基体30の上下を反対にして他方面の切削加工を行う。そして、一方面および他方面の切削加工が終わると、基体30を真空吸引により固定して、仕上げ加工を行う。なお、基体30の内面30aは、そのまま周壁部16の内面16a(図2)となる。本実施形態では、基体30の外面30bは、横断面形状が正方形となるように形成されており、当該正方形の一辺の長さは10mmに定められている。
【0050】
(第1実施形態に係る木製ストローおよびその製造方法の効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、図2に示すように、第1半体18における周方向の一方端面18fおよび他方端面18gと第2半体20における周方向の一方端面20fおよび他方端面20gとを、第1接着部22および第2接着部24で接着しているので、複雑な篏合構造は不要であり、安価に製造できる。また、互いに接着される2つの接着面の間に隙間が生じないので、飲料14の滲み出しを防止できる。さらに、互いに篏合するための凹部および凸部、すなわち、肉厚が薄くなる部分を無くすことができるので、第1半体18と第2半体20との接合部の強度を高めることができる。
【0051】
図2に示すように、周壁部16の内面16aは、横断面形状が円形となるように形成されているので、流路Sを流れる飲料14の圧力損失を抑制でき、使用者は飲料14を吸引し易い。また、第1半体18および第2半体20のそれぞれの周方向両端部18c,18d,20c,20dの厚さM1,M2は、周方向中央部18e,20eの厚さN1,N2よりも厚く定められているので、第1接着部22および第2接着部24の接着面積を広くでき、接着強度を向上できる。さらに、周壁部16の外面16bは、横断面形状が扁平円形となるように形成されているので、使用者は周壁部16を口で咥え易く、また、周壁部16を咥えたときの口当たりがよい。
【0052】
図2に示すように、第1半体18および第2半体20のそれぞれの周方向の両端面18f,18g,20f,20gは、形成が容易な平坦面に形成されているので、安価に製造できる。また、第1半体18と第2半体20とをこれらの平坦面で接着できるので、第1接着部22および第2接着部24の接着品質を安定させることができる。
【0053】
図2に示す第1半体18および第2半体20の木材として針葉樹が用いられているので、流路Sを流れる飲料14の保温性がよく、また、周壁部16を口で咥えた際に暖かさを感じることができる。第1半体18および第2半体20を構成する針葉樹は、周壁部16の内面16aおよび外面16bに露出されているので、針葉樹の吸水性によって使用済みか否かを判別し易い。つまり、周壁部16の外面16bに水分が付着しているとき、使用済みと判断できる。また、針葉樹で構成された周壁部16は、その内面16aに付着した水分を吸収して、その外面16bから発散させることができるので、周壁部16の内面16aにカビが発生することを抑制できる。
【0054】
図3(A),(B)に示すように、第1半基体34および第2半基体38を形成する工程では、板材40の端面40aに溝32,36を形成しているので、クランプ(図示省略)を用いて板材40を基台(図示省略)に固定し易い。
【0055】
(変形例)
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態の木製ストロー10では、図2に示す周壁部16を構成する木材が周壁部16の内面16aおよび外面16bに露出されているが、当該木材は、ウレタン系塗料等でコーディングされていてもよい。この場合には、汚れの付着を防止できるとともに、木製ストロー10の寿命を延ばすことができる。
【0056】
図4(C)に示すように、上記実施形態の木製ストロー10の製造方法では、第1半基体34と第2半基体38とが木材用の瞬間接着剤42で接合されるが、接着剤の種類は、特に限定されるものではなく、汎用の木工ボンド等が用いられてもよい。
【0057】
図3(A),(B)に示すように、上記実施形態の木製ストロー10の製造方法では、板材40の端面40aに溝32,36を形成する工程の後に、溝32,36が形成された部分を板材40から分割する工程を実行しているが、これらの工程は、同時に行われてもよい。この場合には、第1半基体34および第2半基体38を形成する時間を短縮できる。また、切削装置の部品(定規等)と切断装置の部品(定規等)とを共通化できるので製造設備を簡素化できる。
【0058】
図3(B)に示すように、上記実施形態の木製ストロー10の製造方法では、溝32,36が形成された部分を板材40から分割しているが、第1半基体34および第2半基体38の大きさに応じた板材を予め準備し、この板材に溝32,36を形成してもよい。
【0059】
図4(D)および図5に示すように、上記実施形態の木製ストロー10の製造方法で用いられるローラープレス機44では、複数の第1ローラー46および複数の第2ローラー48が水平方向に並べて配置されているが、これらは、水平方向に対して傾斜する方向に並べて配置されてもよい。また、第1ローラー46および第2ローラー48は、上下方向に代えて左右方向に対向するように配置してもよい。また、第1ローラー46および第2ローラー48の数は、複数であることが望ましいが1つでもよい。これらの数が1つだけの場合でも、第1半基体34と第2半基体38とを幅方向において互いに正確に位置決めすることができる。ただし、この場合には、第1ローラー46および第2ローラー48の下流側において第1半基体34と第2半基体38との位置ずれを防止するガイド部材を設けることが望ましい。
【0060】
図4(D)に示すように、上記実施形態の木製ストロー10の製造方法では、接着工程において、ローラープレス機44を用いているが、これに代えて、ベルトプレス機等の他のプレス機が用いられてもよい。
【0061】
図7は、木製ストロー10の他の製造方法を示す図であり、(A)は、板材66の端面66aに複数の第1溝32を形成する工程を示す図、(B)は、板材66から第1集合体60および第2集合体62を分割する工程を示す図である。図8は、木製ストロー10の他の製造方法を示す図であり、(C)は、第1集合体60と第2集合体62とを接着して集合基体64を形成する工程を示す図、(D)は、集合基体64を複数の基体30ごとに分割する工程を示す図である。
【0062】
図7および図8に示す他の製造方法を用いて木製ストロー10を製造するとき、作業者は、筒状の基体30(図8(D))を形成する基体形成工程(a)を実行し、その後、基体30を加工して周壁部16の外面16b(図2)を形成する外面形成工程(b)を実行する。
【0063】
基体形成工程(a)では、まず、図7(A),(B)に示すように、第1溝32を有する木製で雨樋状の複数(本実施形態では2つ)の第1半基体34が集合した板状の第1集合体60と、第2溝36を有する木製で雨樋状の複数(本実施形態では2つ)の第2半基体38が集合した板状の第2集合体62とを形成する工程(a-1)を実行する。続いて、図8(C)に示すように、第1集合体60と第2集合体62とを互いに接着することによって、複数の基体30が集合した集合基体64を形成する工程(a-2)を実行する。その後、図8(D)に示すように、集合基体64を複数の基体30ごとに分割する工程(a-3)を実行する。
【0064】
図7(A),(B)に示す第1集合体60および第2集合体62を形成する工程(a-1)では、まず、図7(A)に示すように、クランプ(図示省略)を用いて板材66を基台(図示省略)に固定し、ルーター等の切削装置を用いて板材66の端面66aに複数(本実施形態では2つ)の第1溝32を形成する。続いて、図7(B)に示すように、丸鋸等の切断装置を用いて板材66から複数の第1溝32が形成された部分を分割する。この分割された部分が第1集合体60となる。本実施形態では、第1半基体34と第2半基体38とが同一形状に形成されるため、作業者は、上記手順を繰り返すことによって第2集合体62を得ることができる。なお、図7(B)では、未だ形成されていない第2集合体62を一点鎖線で示している。
【0065】
図8(C)に示す集合基体64を形成する工程(a-2)では、まず、第1集合体60と第2集合体62とを木材用の瞬間接着剤(図示省略)を介して上下に重ね合わせる。続いて、ローラープレス機44(図4(D))を用いて、これらの互いに接着される接着面どうしを圧着させる。図8(D)に示す集合基体64を分割する工程(a-3)では、丸鋸等の切断装置を用いて集合基体64を複数の基体30ごとに分割する。
【0066】
工程(a-2)では、第1集合体60を構成する2つの第1半基体34が第1ローラー46で下方から支持されるとともに、第2集合体62を構成する2つの第2半基体38が第2ローラー48で上方から押さえられる。そのため、第1ローラー46の2つの第1位置決め部46aの間隔は、2つの第1半基体34を合わせた幅とほぼ同じに定められ、第2ローラー48の2つの第2位置決め部48aの間隔は、2つの第2半基体38を合わせた幅とほぼ同じに定められる。
【0067】
外面形成工程(b)は、図6(E)に示す上記実施形態の外面形成工程(b)と同じであるため、その説明を省略する。この製造方法では、複数の基体30を同時に製造できるので、製造時間を短縮できるとともに、製造コストを低く抑えることができる。
【0068】
図9は、木製ストロー10のさらに他の製造方法を示す図であり、(A)は、板材68の表面68aに複数の溝32,36を形成する工程を示す図、(B)は、板材68から第1半基体34および第2半基体38を分割する工程を示す図である。上記の各実施形態では、板材40,66の端面40a,66aに溝32,36を形成しているが、図9(A)に示すように、板材68の表面68aに溝32,36を形成してもよい。図9(B)に示すように、この場合でも、溝32,36ごとに板材68を分割することによって、第1半基体34および第2半基体38を得ることができる。
【0069】
(他の実施形態に係る木製ストローの構成)
図10(A)は、第2実施形態に係る木製ストロー70の構成を示す平面図である。図10(B)は、第3実施形態に係る木製ストロー72の構成を示す平面図である。図11は、第3実施形態に係る木製ストロー72の製造方法を示す図であり、(A)は、第1端部84aと第2端部86aとを同時に切除する工程を示す図、(B)は、基体30の角部を切除する工程を示す図である。
【0070】
上記実施形態の木製ストロー10では、周壁部16の外面16bが、横断面形状がアーモンド形(楕円形)となるように形成されているが、図10(A)に示す木製ストロー70のように、アーモンド形(楕円形)の長さ方向両端部に対応する部分は切除されてもよい。また、図10(B)に示す木製ストロー72のように、周壁部16の外面16bは、横断面形状が正八角形となるように形成されてもよい。
【0071】
これらの木製ストロー70,72を製造するとき、横断面形状が四角形である基体30の外周部がダブルソー74で切除される。図11(A),(B)に示すように、ダブルソー74は、ベッド76と、基体30が載置される載置台78と、載置台78に載置された基体30をその長さ方向から挟持する固定コラム80aおよび可動コラム80bと、互いに平行に配置された2枚の丸鋸刃82a,82bとを有している。また、ダブルソー74は、2枚の丸鋸刃82a,82bを基体30の長さ方向へ同時に移動させるための送り装置(図示省略)と、2枚の丸鋸刃82a,82bの間隔を調整する間隔調整機構(図示省略)とを有している。
【0072】
図10(A)に示す木製ストロー70を製造するとき、図2に示す木製ストロー10における周壁部16の径方向両端部が、ダブルソー74で切除される。すなわち、図4(C)に示すように、第1半基体34の周方向の一方端面34aと第2半基体38の周方向の一方端面38aとを接着する第1接着部84の外側の端部を第1端部84aとし、第1半基体34の周方向の他方端面34bと第2半基体38の周方向の他方端面38bとを接着する第2接着部86の外側の端部を第2端部86aとしたとき、周壁部16の外面16bを形成する外面形成工程(b)では、第1端部84aと第2端部86aとをダブルソー74の2枚の丸鋸刃82a,82bで同時に切除する工程(b-1)が実行される。
【0073】
図10(B)に示す木製ストロー72を製造するとき、周壁部16の外面16bの横断面形状が正八角形となるように、基体30の外周部がダブルソー74で切除される。第1端部84aおよび第2端部86aを上記の通りに定義したとき、周壁部16の外面16bを形成する外面形成工程(b)では、第1端部84aと第2端部86aとをダブルソー74の2枚の丸鋸刃82a,82bで同時に切除する工程(b-1)が実行される。また、基体30の外周部30bの互いに反対側を向いた2つの面をダブルソー74の2枚の丸鋸刃82a,82bで同時に形成する工程(b-2)が実行される。
【0074】
図11(A)に示す載置台78は、その上面が平坦に形成されているので、この載置台78に基体30を載置することによって、第1端部84aと第2端部86aとを切除する上記工程(b-1)を実行できる。一方、図11(B)に示す載置台78は、基体30の角部を受けるV字状の溝78aを有しており、基体30を45度傾斜した状態で支持できる。したがって、上記工程(b-2)では、この載置台78に基体30を載置することによって、横断面形状が正方形である基体30の角部を正八角形に対応する傾斜面で切除できる。
【0075】
第2実施形態に係る木製ストロー70の製造方法および第3実施形態に係る木製ストロー72の製造方法によれば、第1端部84aおよび第2端部86aのそれぞれからはみ出した接着剤42(図4(C))を確実に除去することが可能であり、周壁部16の外面16bを迅速、かつ、美しく形成できる。また、基体30における径方向の両端部を互いに平行に配置された2枚の丸鋸刃82a,82bで同時に切除するので、周壁部16の外面16bの2つの面を一定間隔で正確かつ迅速に形成できる。
【0076】
図10(B)に示す第3実施形態に係る木製ストロー72によれば、周壁部16の外面16bが、横断面形状が正八角形となるように形成されているので、周壁部16を手で持ち易い。また、周壁部16を口で咥えたときには、上唇および下唇のそれぞれに平坦面が当たるので、安定したフィット感が得られる。
【符号の説明】
【0077】
10…木製ストロー、12…飲料容器、14…飲料、16…周壁部、16a…内面、16b…外面、18…第1半体、20…第2半体、22…第1接着部、24…第2接着部、30…基体、32…第1溝、34…第1半基体、36…第2溝、38…第2半基体、40…板材、42…接着剤、60…第1集合体、62…第2集合体、64…集合基体、70,72…木製ストロー、82a,82b…丸鋸刃。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11