(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124057
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ケーキの演出方法及びケーキの演出用器具
(51)【国際特許分類】
B44C 5/00 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
B44C5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021602
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】521067810
【氏名又は名称】株式会社悟空のきもちTHE LABO
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(74)【代理人】
【識別番号】100177987
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 真緒
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勇太
(72)【発明者】
【氏名】永野 天実
(57)【要約】
【課題】本発明は、より演出効果の高い、ケーキを用いた演出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
演出用器具であって、棒状の燃焼部材と、風船と、前記燃焼部材と風船とを結合する糸とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の燃焼部材と、風船と、前記燃焼部材と風船とを結合する糸とを備える演出用器具。
【請求項2】
前記風船に結合する、前記糸とは異なる糸を備えることを特徴とする、請求項1に記載の演出用器具。
【請求項3】
前記糸とは異なる糸が、前記風船を囲うための糸であることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の演出用器具。
【請求項4】
前記燃焼部材は上端に着火部を有し、前記着火部より下端方向における、前記燃焼部材の少なくとも中段乃至下端のいずれかにおいて、前記燃焼部材と前記糸とは異なる糸とが近接されて配置されていることを特徴とする、請求項2または3いずれか1項に記載の演出用器具。
【請求項5】
前記燃焼部材は上端に着火部を有し、前記着火部より下端方向における、前記燃焼部材の少なくとも上端付近において、前記燃焼部材と前記糸とは異なる糸とが近接されて配置されていることを特徴とする、請求項2または3いずれか1項に記載の演出用器具。
【請求項6】
前記燃焼部材は菓子部材に対し略直立に差し込まれ、前記風船は前記菓子部材上に配置され、前記菓子部材とは異なる複数の片状の部材が前記風船を囲うように、前記糸とは異なる糸によって固定されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の演出用器具。
【請求項7】
菓子部材に対して棒状の燃焼部材を略直立に差し込み、
前記菓子部材に、前記燃焼部材に第1の糸で結合され、液体を充填した風船を、前記燃焼部材に近接するように載置し、
前記風船の周囲を囲うように、複数の片状の部材を、前記風船と結合した第2の糸で固定する、演出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキの演出方法及びケーキの演出用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誕生日等のお祝い事のためにケーキを用いた演出方法が複数考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に、ケーキとともに加熱手段を備え、加熱により予め印刷されたメッセージを表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献は、一定の演出効果を奏するものの、事前にメッセージのディスプレイ手段がケーキに設置される等、演出が予見できてしまう、という課題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、より演出効果の高い、ケーキを用いた演出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の実施形態は、ケーキを用いた演出用器具であって、棒状の燃焼部材と、風船と、前記燃焼部材と風船とを結合する糸とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より演出効果の高い、ケーキを用いた演出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態による、演出用器具を設置したケーキの外観図の一例である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による、演出後のケーキの外観図の一例である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による、ケーキを用いた演出用器具の外観図の一例である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による、ケーキを用いた演出方法の処理(演出器具の設置処理)を示すフローチャートの一例である。
【
図5】本発明の第1の実施形態による、ケーキを用いた演出方法の処理(着火後の処理)を示すフローチャートの一例である。
【
図6】本発明の第2の実施形態による、演出用器具を設置したケーキの外観図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による演出用器具及び演出方法は以下のとおりである。
[項目1]
棒状の燃焼部材と、風船と、前記燃焼部材と風船とを結合する糸とを備える演出用器具。
[項目2]
前記風船に結合する、前記糸とは異なる糸を備えることを特徴とする、項目1に記載の演出用器具。
[項目3]
前記糸とは異なる糸が、前記風船を囲うための糸であることを特徴とする、項目1または2のいずれか1項に記載の演出用器具。
[項目4]
前記燃焼部材は上端に着火部を有し、着火部より下端方向における、前記燃焼部材の少なくとも中段乃至下端のいずれかにおいて、前記糸とは異なる糸が近接されて配置されていることを特徴とする、項目2または3いずれか1項に記載の演出用器具。
[項目5]
前記燃焼部材は上端に着火部を有し、前記着火部より下端方向における、前記燃焼部材の少なくとも上端付近において、前記燃焼部材と前記糸とは異なる糸とが近接されて配置されていることを特徴とする、項目2または3いずれか1項に記載の演出用器具。
[項目6]
前記燃焼部材は菓子部材に対し略直立に差し込まれ、前記風船は前記菓子部材上に配置され、前記菓子部材とは異なる複数の片状の部材が前記風船を囲うように、前記糸とは異なる糸によって固定されていることを特徴とする、項目1~4のいずれか1項に記載の演出用器具。
[項目7]
菓子部材に対して棒状の燃焼部材を略直立に差し込み、
前記菓子部材に、前記燃焼部材に第1の糸で結合され、液体を充填した風船を、前記燃焼部材に近接するように載置し、
前記風船の周囲を囲うように、複数の片状の部材を、前記風船と結合した第2の糸で固定する、演出方法。
【0011】
以下、図面を用いて本発明の第1の実施形態による演出用器具及び演出方法について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態による、演出用器具を設置したケーキの外観図の一例である。
【0013】
まず、
図1において、まず、ベース部材4が皿等の下敷きに載置される。ベース部材4は、その上部に風船が安定的に載置されるような構造を有していればよく、例えば、ドーム状や半球状であって、その上部に平坦部を有するように成型された、スポンジ生地の菓子等が挙げられる。
【0014】
棒状の燃焼部材1は、ベース部材4の上部に、エース部材4に対して略直立に差し込まれる。燃焼部材1として、例えば、棒状の花火等が挙げられるが、これに限らず、ろうそく等の棒状で燃焼するものであればよい。
【0015】
また、ベース部材4の上部に、燃焼部材1に近接するように(図示しない)風船が載置され、その風船の周囲を覆い囲むように、花びらの片状の複数の部材6が配置される。風船は、ゴム製のものが挙げられるが、ジャム等の液体を充填可能な強度を有することが望ましく、本実施形態においては、ジャム等の液体が内部に充填された状態で空気により膨張されたものが使用される。
【0016】
片状部材6として、花びら状に成型された菓子(例えば、クッキー生地の菓子等)が挙げられる。複数の片状部材6は、糸3によって風船の周囲に配置されるよう固定される。また、複数の片状部材6はベース部材4付近の底部において一つに結合され、片状部材6の底部と風船とは、マシュマロ等の菓子からなる接着部材によって固定される。
【0017】
ここで、糸3は、風船の空気注入口の結び目周辺に結合されており、
図1に示すように、片状部材6の周囲を囲うように配置される。糸3は、燃焼部材1と、片状部材6に囲まれた風船との接点において、燃焼部材1と接するように配置される。糸3と燃焼部材1の接触位置は、燃焼部材1の上端近傍における着火部7から下端方向における、燃焼部材1の少なくとも中段から下端の位置であることが望ましく、少なくとも、
図1において略直立状態に配置された燃焼部材1の、風船の上端に対応する位置の高さより低い位置であることが望ましい。これは、後に説明するように、まず、燃焼部材1の燃焼によって、燃焼部材1の上端付近に近接する風船が破裂することで風船内部の液体が噴出する演出が発揮され、その後、燃焼が燃焼部材1の下端方向において糸3の位置に達したときに、片状部材6を束ねて固定する糸3が破断し、片状部材6が花開く演出が発揮されるためである。
【0018】
図2は、本発明の第1の実施形態による、演出後のケーキの外観図の一例である。
【0019】
燃焼部材1上端の着火部7において着火されると、火による燃焼位置が燃焼部材1の上端から下端方向に向かって移動する。燃焼位置が燃焼部材1の風船の上端付近に到達すると、火が風船に接触することで風船が破裂する。または、燃焼の熱により風船が破裂されてもよく、その他、燃焼による熱によって風船内の空気が膨張することで風船が破裂することも起こり得る。風船が破裂することで、風船内のジャム等の液体がベース部材4をなす菓子を覆うように噴出する。
【0020】
続いて、燃焼位置が燃焼部材1のさらに下端方向における片状部材6及び糸3との接触位置まで到達すると、火が糸3と接触することで糸3破断する。糸3が破断すると、片状部材6の固定が解かれ、片状部材6が、花びらが開くようにベース部材4に向けて外側に広がるように動く。
【0021】
このように、本実施形態における演出用器具を用いた演出方法により、誕生日等のイベントにおいて、ケーキが花開く、とういう予見のできない演出効果の高い演出を奏することができる。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施形態による、ケーキを用いた演出用器具の外観図の一例である。
【0023】
上述の通り、本実施形態における演出用器具は、花火等の棒状の燃焼部材1と風船2とを備え、風船2には、演出効果を考慮し、また、無害で食用として利用することが可能な粘度の高いジャム等の液体8を充填することが可能である。液体8の風船への注入方法として、まず、口金を付けた袋に液体8を充填し、風船の空気注入口から口金を介して液体を注入しながら空気を入れることで風船内に液体を充填し、風船を膨張させることが挙げられるが、これに限らない。
【0024】
風船2の空気注入口付近に風船の周囲に片状部材6を固定するための糸3が結合される。
図3においては、糸3の一部が、複数の片状部材6を風船2の周囲に固定するために輪を形成しているが、これに限らず、予め輪を形成せずに片状部材6の固定時に輪を形成するようにしてもよい。
【0025】
さらに、燃焼部材1と風船2とは、糸5で結合される。この糸5を備えることで、一連の演出後に、燃焼部材1をケーキから取り出すことで、燃焼部材1に糸を介して結合された、破裂後の風船2(さらに、風船2に結合された糸3)も同時に取り出すことができる。
【0026】
図4は、本発明の第1の実施形態による、ケーキを用いた演出方法の処理(演出器具の設置処理)を示すフローチャートの一例である。
【0027】
なお、
図1を参照しながら、本フローチャートを用いて、演出器具の設置方法を一例として説明するが、設置順序は下記一例に拘束されず、例えば、下記において、先に風船を設置してから燃焼部材を設置することとしてもよく、片状部材を設置してから風船を設置してもよい。
【0028】
まず、設置処理の前処理として、スポンジ菓子等のベース部材4を、皿等の下敷きの上に設置し、
図3に示す演出用器具を準備する。そして、ステップST101として、ベース部材4の上部に、ベース部材4に対して略直立となるよう、棒状の花火等の燃焼部材1を差し込むように設置する。ここで、ベース部材4がスポンジ菓子の場合は、燃焼部材1を差し込むことが可能であるし、差し込むことが困難である場合は、生クリームやマシュマロ等その他中間部材を使用して燃焼部材1をベース部材4の上部に設置させることもできる。
【0029】
次に、ステップST102として、ベース部材4の上部に設置された燃焼部材1に近接するように、風船2を設置する。風船2には予めジャム等の液体8が充填されており、風船2を設置することで、燃焼部材1が風船2に対してもたれかかるように配置され、燃焼部材1と風船2が接点を通じて接触する。
【0030】
次に、ステップST103として、複数の片状部材6を設置する。前述の通り、片状部材6として、花びら状に成型された菓子(例えば、クッキー生地の菓子等)が用いられ、まず、複数の片状部材6を、ベース部材4の上部において、風船を支えるように設置し、各々片状部材6の一端を、生クリームやマシュマロ等その他中間部材を使用して、一つに結合し、また、結合された片状部材6の上に風船2を略固定する。そして、複数の片状部材6の各々の他端を、風船2を覆うように配置し、片状部材6によって風船2を覆うと、糸3によって、複数の片状部材6を束ねるように固定する。片状部材6を束ねた糸3は、上記のように、燃焼部材1と風船2との接点の位置において接触する。
【0031】
以上により、演出開始前の、演出用器具のケーキへ設置処理が完了する。
【0032】
図5は、本発明の第1の実施形態による、ケーキを用いた演出方法の処理(着火後の処理)を示すフローチャートの一例である。
【0033】
図4において説明した通り、演出用器具の設置が完了し、実際の演出の場面になったときに、以下のフローが開始する。
【0034】
まず、ステップST201において、
図1に示す、棒状の花火等の燃焼部材1の着火部7において着火を行う。着火はライターやマッチ等の任意の着火手段によって行うことができる。
【0035】
続いて、ステップST202において、着火された燃焼部材1の燃焼位置が風船2に近接したときに、風船2が破裂する。具体的には、着火された燃焼部材1の燃焼位置が、燃焼部材1の上端から下端方向に移動し、やがて風船2に近接した位置に到達すると、風船2が燃焼熱によって破裂する。風船2が破裂すると、風船内部に充填されたジャム等の液体8が漏れ出し、スポンジ菓子等のベース部材4が液体で徐々に覆われるような演出が行われる。
【0036】
続いて、ステップST203において、着火された燃焼部材1の燃焼位置が、片状部材6の周囲を固定する糸3に近接したときに、糸3が破断する。具体的には、着火された燃焼部材1の燃焼位置が、さらに、燃焼部材の下端方向に移動し、糸3に近接する位置に到達すると、燃焼部材の燃焼熱によって糸3が破断する。糸3が破断すると、片状部材6の固定が解かれ、片状部材6の各々の自重によりベース部材4のほうに向かって花開くように動くような演出が行われる。最終的には
図2に示すように、片状部材6が花開いたような形態に変化する。
【0037】
演出が終了した後は、ケーキを食用として楽しむために、棒状の燃焼部材1をケーキから取り出すことで、燃焼部材1に結合した糸5により破裂した風船2及び風船2に結合した糸3が同時に取り出されるので、速やかで簡易な方法によって後処理を完結させることができる。
【0038】
以上のように、本実施形態における演出用器具を用いた演出方法により、本来は静止して食用として提供されるケーキが動くような演出が行われ、見る者にとって予見することが困難な、あっと驚くような演出効果を提供することができる。
【0039】
図6は、本発明の第2の実施形態による、演出用器具を設置したケーキの外観図の一例である。
【0040】
図6に示すように、本実施形態において、片状部材6を囲い束ねる糸3が、燃焼部材1上端の着火部7に対し、着火部7より燃焼部材1の下端方向における、燃焼部材1の少なくとも上端付近において近接されて配置されている。すなわち、糸3が、片状部材6に囲われた(図示しない)風船より上部において片状部材6を束ねるように、燃焼部材1に対して近接する構成を有する点で第1実施形態に示す構成とは異なり、他の構成は基本的に同等である。
【0041】
このように、糸3と燃焼部材1との接触位置が、燃焼部材1の上端近傍であって、風船の上端に対応する位置の高さより高い位置であることで、まず、燃焼部材1の燃焼によって、片状部材6を束ねて固定する糸3が破断し、片状部材6が外側に変位し、花開く演出がなされ、その後、燃焼部材1の燃焼位置が、燃焼部材1の下端方向において風船の上端位置近傍に達したときに、風船が破裂することで風船内部の液体が噴出する演出が発揮されることとなる。
【0042】
このように、本実施形態における演出用器具を用いた演出方法により、第1実施形態とは異なる形態で、予見のできない演出効果の高い演出を奏することができる。
【0043】
以下、本発明の第3の実施形態による、演出用器具を設置したケーキ及びその演出方法について説明する。
【0044】
第3の実施形態として、上記第1実施形態及び第2実施形態の糸3を使用しない演出器具とすることもできる。すなわち、ベース部材4の上に燃焼部材1及び風船2を載置し、風船2の周囲を片状部材6によって覆うことができる。本実施形態においては、上記実施形態において使用した糸3を用いないことを特徴とし、糸を用いない代わりにマシュマロ等の中間部材により風船2と片状部材6とを接着させる。このように、演出器具に用いる部品点数を減らしながら一定の演出効果を発揮することができる。
【0045】
本実施形態において、まず燃焼部材1の着火部7に着火を行うことで、燃焼部材1の燃焼位置が燃焼部材1の上端方向から下端方向に向けて移動し、風船2の上端位置に達したときに、風船2が破裂し、風船内部の液体8が噴出する。風船2の破裂することにより、風船2による破裂の衝撃及び/または風船2を覆い囲む片状部材6が自重により外側に向けて花開くように変位する。このように糸3を用いなくても、第1実施形態及び第2実施形態において記載したような演出と同様の演出を発揮することができる。
【0046】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 燃焼部材
2 風船
3 糸
4 ベース部材
5 糸
6 片状部材
7 着火部
8 液体