(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124062
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 33/32 20060101AFI20220818BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20220818BHJP
B65G 33/26 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B65G33/32
B23Q11/00 R
B65G33/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021609
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】596080743
【氏名又は名称】有限会社大善工業
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100201684
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】大橋 善二朗
【テーマコード(参考)】
3C011
3F040
【Fターム(参考)】
3C011BB27
3F040BA06
3F040EA01
3F040EA03
3F040FA05
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、被搬送物を安定して搬送可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1は、水平方向に延在する水平部21と斜め方向に延在する第1の斜行部22及び第2の斜行部23とが屈曲部で接続されている樋部20と、樋部20の水平部21、第1の斜行部22及び第2の斜行部23に配され、中心軸体を有さない螺旋形状を有し、屈曲部で、接続角度が自在である第1の継手部14及び第2の継手部15で接続されている搬送部10と、搬送部10を樋部20の内で回転させる駆動部30と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延在する水平部と斜め方向に延在する斜行部とが屈曲部で接続されている樋部と、
前記樋部の前記水平部及び前記斜行部に配され、中心軸体を有さない螺旋形状を有し、前記屈曲部で屈曲角度が自在である継手部で接続されている搬送部と、
前記搬送部を前記樋部の内で回転させる駆動部と、
を有する搬送装置。
【請求項2】
前記樋部は、前記水平部に被搬送物を投入する投入口を有する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記樋部は、前記水平部又は前記斜行部に水抜き穴を有する、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記継手部は、ボールジョイントを有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記樋部は、複数の前記屈曲部を有し、それぞれの前記屈曲部の屈曲角度は30度未満である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等から排出される切削屑を廃棄するために、工作機械等の排出口から切削液と共に排出される切削屑を、廃棄用容器へ搬送する切削屑搬送装置が用いられている。一般的に、切削屑搬送装置は、排出口から排出された切削屑を水平方向に搬送する部分と、斜め上方向に搬送する部分とを有する。水平搬送する部分は、排出された切削屑を工作機械等の排出口付近から移動させ、斜め上方向に搬送する部分は、排出口よりも高い位置にある廃棄用容器の投入口へ切削屑を投棄する。
【0003】
この種の切削屑搬送装置として、例えば、特許文献1に開示されたチップコンベヤが用いられる。このチップコンベヤは、仕切り板の上に落下した切削屑を、掻き板を移動して掻き出し、搬送する。掻き板が固定されている駆動チェーンは、水平方向及び斜め上方向に連続的に移動するものであり、切削屑を水平方向及び斜め上方向へ搬送する。
【0004】
また、特許文献2に開示されたスクリューコンベア装置は、スパイラルスクリューを回転させて、切削屑を搬送する。このスクリューコンベア装置は、中心軸がユニバーサルジョイントで接続された2つのスパイラルスクリューを備え、下流側のスパイラルスクリューを斜め上方に向けることにより、搬送方向を水平方向から斜め上方向に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-226943号公報
【特許文献2】特開昭60-183416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたチップコンベヤは、切削屑を水平方向から斜め上方向に安定的に搬送できるが、部品点数が多く、装置が大がかりとなり、コストが高い。
【0007】
特許文献2に開示されているスクリューコンベヤは、チップコンベヤに比べ、部品点数が少なく、低コストで製造できる。しかし、被搬送物の種類によっては、被搬送物が中心軸体に絡みつき、搬送が不安定になる場合がある。また、搬送方向を水平方向から斜め上方に変化させる屈曲部にユニバーサルジョイントが配置され、スパイラルスクリューを屈曲するとスパイラル同士が干渉するため、屈曲部にスパイラルスクリューを配置できない。このため、屈曲部で、被搬送物に移動する力を与えられず、被搬送物が停滞し、被搬送物を安定的に搬送できなくなるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、被搬送物を安定して搬送可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかる搬送装置は、水平方向に延在する水平部と斜め方向に延在する斜行部とが屈曲部で接続されている樋部と、前記樋部の前記水平部及び前記斜行部に配され、中心軸体を有さない螺旋形状を有し、前記屈曲部で屈曲角度が自在である継手部で接続されている搬送部と、前記搬送部を前記樋部の内で回転させる駆動部と、を有する。
【0010】
例えば、前記樋部は、前記水平部に被搬送物を投入する投入口を有する。
【0011】
例えば、前記樋部は、前記水平部又は前記斜行部に水抜き穴を有する。
【0012】
例えば、前記継手部は、ボールジョイントを有する。
【0013】
例えば、前記樋部は、複数の前記屈曲部を有し、それぞれの前記屈曲部の屈曲角度は30度未満である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の搬送部は、中心軸体を有さない螺旋形状であり、被搬送物が絡みにくい。また、樋部の屈曲部で、螺旋形状の搬送部が継手部で互いに接続されており、屈曲部にも搬送部が配置されている。このため、屈曲部でも被搬送物に移動する力を加えることができる。従って、簡単な構成で、被搬送物を安定して搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】実施の形態に係る搬送装置の(ア)部(
図3参照)拡大図
【
図7】実施の形態に係る搬送装置の継手部の位置関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態に係る搬送装置について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態に係る搬送装置1は、
図1の斜視図で示すように、樋部20と、樋部20内に配された搬送部10と、搬送部10を回転させる駆動部30とを有する。
【0017】
(樋部20の構造)
樋部20は、内部を被搬送物が搬送される部材であり、被搬送物を水平方向に搬送する水平部21と、水平部21に連接され被搬送物を斜め上方向に搬送する第1の斜行部22と、第1の斜行部に連接され被搬送物を斜め上方向にさらに搬送する第2の斜行部23と、水平部21に被搬送物を投入する投入口である投入部24とを有する。
【0018】
水平部21、第1の斜行部22、第2の斜行部23及び投入部24は、底板と底板の両側から起立する側壁板から形成され、全体として、上面が開放された樋状の形状を有する。樋部20は、金属、例えば鉄やステンレスの板材等から形成されている。
【0019】
水平部21、第1の斜行部22及び第2の斜行部23の側壁板は、
図2に示すように、正面視で、樋部20の水平部21、第1の斜行部22及び第2の斜行部23の内部にそれぞれ配された、後述する第1~第3の螺旋部11、12、13の上端よりも高く形成されている。また、水平部21、第1の斜行部22および第2の斜行部23の側壁板の内側面の間隔、即ち、底板の幅は、
図3に平面視で示すように、第1~第3の螺旋部11、12、13の外径よりも広く形成されている。
【0020】
樋部20の水平部21と第1の斜行部22とは、
図2に示すように、底板同士が屈曲角度aで屈曲して接続されている。さらに第1の斜行部22と第2の斜行部23とは、底板同士が屈曲角度bで屈曲して接続されている。本実施の形態では、a=22.5度、b=22.5度である。従って、水平部21の底板と第2の斜行部23の底板とが成す角度は、a+b=45度である。なお、aとbは、同一である必要は無く、状況に応じて異なる角度としても良い。
【0021】
投入部24は、
図1に示すように、水平部21の一端部に隣接して且つ一体に形成されている。投入部24と水平部21との間の側壁板は除去されている。工作機械から排出された切削屑などの被搬送物は、この幅広の領域に落下する。投入部24の底板は、水平部21の底板に向けて傾斜して配置されている。これにより、投入部24に投入された被搬送物は自重により水平部21の方向へ移動する。
【0022】
なお、図示しないが、排出部25の下には、廃棄物が投入される容器が設置されている。また、図示しないが、水平部21、第1の斜行部22又は第2の斜行部23の底板に水抜き穴を形成し、当該穴の下に、当該穴から切削屑と共に排出される切削液を収容する容器を設置しても良い。
【0023】
(搬送部10の構造)
次に、被搬送物を移動させる搬送部10について説明する。搬送部10は、
図2に示すように、水平部21の内部に配される第1の螺旋部11と、第1の斜行部22の内部に配される第2の螺旋部12と、第2の斜行部23の内部に配される第3の螺旋部13と、第1の螺旋部11と第2の螺旋部12の端部同士を接続する第1の継手部14と、第2の螺旋部12と第3の螺旋部13の端部同士を接続する第2の継手部15と、第1の螺旋部11の、第2の螺旋部12とは接続されていない端部を、搬送部駆動軸に固定する固定部16とを有する。
【0024】
ここで、搬送部10のみを抜き出して、
図5に示す。図示するように、第1の螺旋部11、第2の螺旋部12及び第3の螺旋部13の、螺旋形状、すなわち、捻れ方向、捻れ間隔(ピッチ)、外径及び内径は同一に形成されている。そして、搬送部10の螺旋形状は、第1の継手部14及び第2の継手部15で接続されている箇所において、略連続している。
【0025】
第1の螺旋部11、第2の螺旋部12及び第3の螺旋部13は、矩形断面を有し、金属材料、例えば鉄やステンレスなどからなり、撓みにくい剛性を有している。第1の継手部14及び第2の継手部15は、金属材料、例えば鉄やステンレスなどからなる。第1の螺旋部11、第2の螺旋部12又は第3の螺旋部13の端部と、第1の継手部14又は第2の継手部15の端部とは、溶接によって接合されている。また、固定部16は、円筒の端部にフランジを有する構造であり、円筒部の外周に第1の螺旋部11の端部が巻き付けられるように溶接されている。固定部16の円筒部の中心軸と第1の螺旋部11の仮想回転中心軸とは略一致する。固定部16は、金属材料、例えば鉄やステンレスなどからなる。
【0026】
第1の継手部14及び第2の継手部15は、
図6に示すように、ボールジョイントを有する。ボールジョイントは、金属球に丸棒をつけたスタッドと、当該金属球と球面接触するソケットとを有する。ボールジョイントは、任意の方向に回転可能、すなわち回転3自由度を有するが、並進はできない、すなわち並進自由度が無い接続構造を有する。
【0027】
(駆動部30の構造)
最後に、搬送部10を回転駆動する駆動部30について説明する。駆動部30は、
図1~
図4に示すように、水平部21と第1の斜行部22との接続部付近で、樋部20に固定されているブラケット37と、水平部21の他端部で、水平部21と投入部24の端部を塞ぐブラケット38を有する。モータ31は、ブラケット37に固定されている。モータ31の出力軸にスプロケット33が固定されている。スプロケット33は、伝達軸32の一端に固定されているスプロケット34とチェーンで接続されている。伝達軸32は、ブラケット37とブラケット38との間に回転自在に固定されている。伝達軸32の他方の端にスプロケット35が固定されている。スプロケット35は、スプロケット36にチェーンで接続されている。スプロケット36は、ブラケット38に回転自在に固定されている搬送部駆動軸に固定されている。スプロケット36が固定されている搬送部駆動軸は、第1の螺旋部11の端部に設けられた固定部16に固定されている。
【0028】
モータ31の出力軸が、モータ31の出力軸方向から見て時計回りに回転すると、第1の螺旋部11も時計回りに回転する。第1の螺旋部11が時計回りに回転すると、第1の螺旋部11の端部と第1の継手部14で接続された第2の螺旋部12も、時計回りに、第1の斜行部22の内部で回転する。第2の螺旋部12が、時計回りに回転すると、第3の螺旋部13も、時計回りに、第2の斜行部23の内部で回転する。
【0029】
(屈曲部構造の理由)
ここで、樋部20に屈曲箇所が2つある理由について説明する。
被搬送物を斜め上に搬送する角度は、工作機械が設置されている環境においては、略45度が効率的であるとされている。従って、搬送装置を単純な構造にするには屈曲部を1つにして、屈曲する角度は45度にするのが良い。しかし、搬送部10の屈曲角度を45度にすると、継手部の屈曲角度が大きくなり、継手を乗り越える被搬送物にかかる抵抗が大きくなってしまって、安定的に搬送できなくなるおそれがある。実験においては、屈曲角度が30度を超えると、安定的に搬送できなくなるという結果を得ている。そのため本実施の形態では、
図2に示すように、樋部20の屈曲箇所を2つにして、それぞれの屈曲する角度a、bを30度未満の22.5度とし、合計の屈曲角度a+bを45度としている。
なお、被搬送物を斜め上に搬送する角度が30度未満であれば、屈曲部を1つにしても良い。
【0030】
(継手部構造の理由)
また、搬送部10の、第1の継手部14及び第2の継手部15として、ボールジョイントを採用する理由について説明する。
特許文献2に開示されている、中心軸体にスパイラルを巻き付けたスパイラルスクリューを屈曲する場合は、中心軸体を屈曲させる。そこで、特許文献2では、中心軸体を屈曲箇所で分割し、両中心軸体同士を、ユニバーサルジョイントで接続している。ユニバーサルジョイントは、回転2自由度を有し、並進自由度が無い構造であって、軸の回転を屈曲して伝達できる。しかし、前述のように、ユニバーサルジョイントが配置されている屈曲箇所にスパイラルを配置できない。
【0031】
これに対し、搬送装置1では、搬送部10が中心軸体を有さないため、回転の中心同士を継手で接続することはできない。本実施の形態のように、螺旋部の端部同士を接続するということは、回転の外周部で回転移動する駆動側継手が、異なる方向(回転軸)で回転する従動側継手を、回転させることになる。このとき、継手部分には捻れが生じる。
【0032】
回転の外周部で、異なる方向(回転軸)で回転する従動側継手を回転させるときに、継手に生じる捻れを、
図7を用いて説明する。
図7は、継手部の駆動側と従動側の継手を模擬的に、半円柱として表示したものである。
図7において、駆動側継手50(A)~(H)は、第1の継手部14の、第1の螺旋部11に接続されている部分の回転に伴い変化する姿勢を45度ごとに示したものである。また、従動側継手60(A)~(H)は、第1の継手部14の、第2の螺旋部12に接続されている部分の回転に伴い変化する姿勢を45度ごとに示したものである。図示するように、駆動側継手50の回転軸と、従動側継手60の回転軸とは、同一でも平行でもなく、交わりの関係にある。このように、第1の螺旋部11と第2の螺旋部12は、第1の継手部14で屈曲して接続されている。
【0033】
まず、駆動側継手50及び従動側継手60が、初期位置(駆動側継手50(A)、従動側継手60(A))にあるとする。第1の螺旋部11の回転に伴って、第1の継手14が時計回りに回転すると、駆動側継手50及び従動側継手60の姿勢は、それぞれ(A)~(H)~(G)…と変化する。そして、初期位置から180度回転したとき、すなわち駆動側継手50(E)及び従動側継手60(E)の位置になったときに、駆動側継手50と従動側継手60との間の捻れ角度が最大になる。第1の継手14がさらに回転すると、駆動側継手50及び従動側継手60の姿勢は、それぞれ(E)~(D)~…と変化し、初期位置に戻るにつれて、駆動側継手50と従動側継手60との間の捻れ角度は減少する。
なお、第2の継手部15の動きも同様である。
【0034】
このように、本実施形態では、継手部14,15の駆動側と従動側との間に大きな捻れが発生する。この捻れが発生する箇所に、捻れを許容しない構造であるユニバーサルジョイントは採用できない。従って、駆動側と従動側との間の捻れも許容する、すなわち回転3自由度を有するボールジョイントを採用する。
【0035】
このように、螺旋部11と12との接続、及び螺旋部12と13との接続は、ボールジョイントによる接続のみで達成される。なお、ボールジョイントは回転3自由度を有しているので、
図5に示すような、搬送部10のみの状態では、螺旋部同士の角度及び位置は不定となる。しかし、搬送部10は樋部20の内部に配置されているため、樋部20の底板及び側壁板によって、搬送部10の第1の螺旋部11、第2の螺旋部12及び第3の螺旋部13の外周位置が規制される。従って、螺旋部同士の角度及び位置は定まる。これにより、螺旋部の端部同士をボールジョイントで接合することで、回転を伝達することができる。
【0036】
(駆動部配置の理由)
ここで、モータ31が
図1~
図4に示す位置にある理由について説明する。搬送装置1は、図示しない工作機械から排出される切削屑を搬送するものであるが、工作機械の切削屑排出口は工作機械の下部に設けられており、周囲に設備を設置する余裕は少ない。従ってモータ31は、工作機械及び周囲の設備に干渉しない、工作機械の切削屑排出口から離れた場所に配置される。工作機械の仕様、周囲の設備等の設置環境に応じて、他の位置にモータ31を配置しても良い。
【0037】
(被搬送物を搬送する方法)
次に、搬送装置1が、切削屑などの被搬送物を搬送する方法について説明する。
搬送装置1は、図示しない工作機械の、切削屑排出口から排出される切削屑が、投入部24に投下されるように設置されている。
【0038】
切削屑は、細かい金属片や長い糸状の屑などと、切削時に使用された切削液を含む。投入部24に投下された切削屑は、自重によって投入部24の底板の斜面を落下し、水平部21に入り、モータ31によって回転している第1の螺旋部11に投入される。第1の螺旋部11は、回転することにより、投入された被搬送物に、回転軸に沿って移動する力を加える。このため、被搬送物は、水平部21の側壁板及び底板に案内され、第1の斜行部22の方向へ水平方向に搬送される。第1の螺旋部11から移動する力を直接受けない切削屑等も、水平移動する切削屑と絡まっている場合には、従動的に、水平移動する。このとき、切削液が、水平部21の底に開けられた水抜き穴から、水平部21の下に配置された図示しない容器に移動する。
【0039】
水平部21と第1の斜行部22との境界の屈曲部では、第1の螺旋部11の端部と第1の継手部14と第2の螺旋部12の端部とが、被搬送物に継続的に力を加える。また、屈曲角aも30度未満で大きくない。このため、被搬送物は、屈曲部を通過して、第1の斜行部22に移動する。移動する切削屑に絡まっている切削屑も同様に第1の斜行部22に移動する。
【0040】
第1の斜行部22では、第2の螺旋部12が、その回転により、被搬送物に力を加える。このため、被搬送物は、第1の斜行部22の側壁板及び底板に案内されて搬送される。
【0041】
第1の斜行部22と第2の斜行部23との境界の屈曲部では、第2の螺旋部12の端部と第2の継手部15と第3の螺旋部13の端部とが、被搬送物に継続的に力を加える。また、屈曲角bも30度未満で大きくない。このため、第1の斜行部22を搬送されて、屈曲部に到達した被搬送物は、屈曲部を通過して、第2の斜行部23に移動する。移動する切削屑に絡まっている切削屑も同様に第2の斜行部23に移動する。
【0042】
第2の斜行部23では、第3の螺旋部13が、その回転により、被搬送物に力を加える。このため、被搬送物は、第2の斜行部23の側壁板及び底板に案内されて搬送される。第2の斜行部23を搬送された被搬送物は、排出部25から搬送装置1の外部へ排出される。
【0043】
第1の螺旋部11、第2の螺旋部12及び第3の螺旋部13は、撓みにくい程度の剛性を有しているため、第2の斜行部23で、被搬送物の重みが第3の螺旋部13を撓ませようとする方向に働いたとしても、螺旋のピッチはあまり変化せず、被搬送物を排出部25から排出できる。
【0044】
排出部25の下には、図示しない廃棄用容器が設置されている。廃棄用容器に投棄された切削屑は、廃棄場へと移動される。
【0045】
上述したように、搬送装置1は、被搬送物が絡みやすい回転軸体を有さず、撓みにくい程度の剛性を有する螺旋部を回転させて、被搬送物に力を加える。螺旋部は、屈曲部でも途切れること無く連続している。従って、搬送装置1は、水平方向から斜め上方向に、被搬送物を安定して搬送できる。
【0046】
その他、本発明は上記実施の形態に限定されず種々の変形及び応用が可能である。
例えば、本実施の形態ではボールジョイントを有する継手部を使用していたが、継手部は回転3自由度を有し、並進自由度を有さないものであれば、他の形式の継手部も使用できる。例えば、第1及び第2の継手部として、コイルバネ継手を使用できる。この場合、継手部に生じる捻れの最大角度を求め、この最大捻れ角度を許容するコイルバネを採用する。ただし、単なるコイルバネ継手では、並進自由度があるので、並進自由度を規制する構造を備えることが望ましい。また、コイルバネ継手部に、切削屑が引っかかるおそれがあるため、必要に応じて、柔軟性を有するカバー等でコイルバネ継手部を覆って、引っかかりを防止することが望ましい。
【0047】
また、上面を開放した形状の樋部20を例示したが、上面が開放していない、筒状でもよい。さらに、樋部20の断面は上に開放したコの字形状であるが、曲面からなるU字形状や半円形状であっても良い。
【0048】
また、搬送部10の捻れの間隔(ピッチ)を、切削屑が移動するに従って狭くすることで、切削屑を圧縮するようにしても良い。例えば、
図5に示す搬送部10の第1の螺旋部11のピッチをP11,第2の螺旋部12のピッチをP12,第3の螺旋部13のピッチをP13としたときに、P11>P12>P13と設定してもよい。この際、各螺旋部11,12,13内では、ピッチを一定にしてもよい。さらに、各螺旋部11,12,13内で、投入部24から離れるに従って小さくなるようにピッチを変化させてもよい。
他に、捻れ間隔(ピッチ)を、切削屑が移動するに従って広げることで、切削屑をほぐすようにしても良い。
【0049】
上記実施の継体では、樋部20が、水平部21と第1の斜行部22と第2の斜行部23を備える構成について説明した。ここで、水平部21は、完全な水平である必要はない。第1の傾斜部22及び第2の傾斜部23の傾斜角a、a+bに比して、相対的に傾斜角が小さければよい。周辺の機器の構造及び配置に応じて、±15度程度の傾斜することを含む概念である。また、樋部20の屈曲部の数は2に限定されない。
また、樋部20は、ほぼ水平に延在する水平部21と斜め方向に延在する斜行部とが屈曲部で接続されている構造を有していればよい。ただし、屈曲部の屈曲角度は30度未満が望ましく、この条件が満たされるならば、屈曲部の数は1つでも3つ以上でもよい。
また、搬送部10を樋部20内に配置する例を示したが、「内」とは搬送部10が樋部20内に完全に納まる構成に限定されず、被搬送物を搬送できる程度に一部が樋部20に収容される場合を含む。
【符号の説明】
【0050】
1 搬送装置
10 搬送部
11 第1の螺旋部
12 第2の螺旋部
13 第3の螺旋部
14 第1の継手部
15 第2の継手部
16 固定部
20 樋部
21 水平部
22 第1の斜行部
23 第2の斜行部
24 投入部
25 排出部
30 駆動部
31 モータ
32 伝達軸
33、34、35、36 スプロケット
37、38 ブラケット
50 駆動側継手
60 従動側継手