(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124091
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】配線基板積層体
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220818BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220818BHJP
H05K 3/00 20060101ALN20220818BHJP
H05K 3/46 20060101ALN20220818BHJP
【FI】
H01L23/12 N
H05K1/02 J
H05K3/00 T
H05K3/46 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021660
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴志
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA04
5E316AA15
5E316AA35
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC18
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC38
5E316CC39
5E316CC40
5E316DD22
5E316DD32
5E316DD33
5E316FF01
5E316HH32
5E316HH33
5E338AA01
5E338AA02
5E338AA03
5E338BB19
5E338BB61
5E338CD25
5E338EE31
(57)【要約】
【課題】支持体上に形成された配線基板の高精度な電気検査が可能な配線基板積層体を提供する。
【解決手段】支持体104と、前記支持体の上面に設けられた第1の導電層101と、前記第1の導電層の上面に設けられた配線基板40とを備え、前記配線基板は、互いに電気的に絶縁した二つの配線を含み、そのうちの第1の配線41aは、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、第2の配線41bは、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に絶縁する第2の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、前記第1の配線と前記第2の配線は、前記第1の導電層に形成された間隙105によって電気的に絶縁されていることを特徴とする配線基板積層体1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体の上面に設けられた第1の導電層と、
前記第1の導電層の上面に設けられた配線基板と、
を備え、
前記配線基板は、互いに電気的に絶縁した二つの配線を含み、
そのうちの第1の配線は、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、
第2の配線は、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に絶縁する第2の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、
前記第1の配線と前記第2の配線は、前記第1の導電層に形成された間隙によって電気的に絶縁されている
ことを特徴とする配線基板積層体。
【請求項2】
支持体と、
前記支持体の上面に設けられた第2の導電層と、
前記第2の導電層の上面に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の上面に設けられた第1の導電層と、
前記第1の導電層の上面に設けられた配線基板と、
を備え、
前記配線基板は、互いに電気的に絶縁した二つの配線を含み、
そのうちの第1の配線は、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、
第2の配線は、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に絶縁する第2の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、
前記第1の配線と前記第2の配線は、前記第1の導電層に形成された間隙によって電気的に絶縁されている
ことを特徴とする配線基板積層体。
【請求項3】
前記第1の導電層に設けられた間隙の幅が10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基積層体。
【請求項4】
前記第1の配線と前記第2の配線間の抵抗値が10MΩ以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の配線基積層体。
【請求項5】
前記絶縁層の厚みが1000μm以下であることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の配線基積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は支持体上に配線基板を備えた配線基板積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージは、半導体部品を配線基板にはんだ等を介して電気的に接合し組み立てを行う。近年ではHBM(High Band Memory)など半導体部品の高機能化に伴い、半導体部品が高価となっている。このため、半導体部品を搭載する配線基板が良品であることが必須となり、品質を担保するための配線基板の電気検査方法が非常に重要となる。
【0003】
従来、配線基板の電気検査方法は以下の2つの方法が採用されており、夫々の方法は状況に応じて使い分けられる。
【0004】
1つ目の方法は、
図4に示す様に、ある一定の直流電圧が印加された1対の電気検査用プローブ201a及び201bの内、一方の電気検査用プローブ201aを配線基板40に形成された第1の配線41aに接触させるとともに、他方のプローブ201bを第2の配線41bに接触させ、この時、電気検査用プローブ201a及び201b間の電圧と電流の比によって配線41の導通状態を判断するI-V法がある。
【0005】
2つ目の方法は、
図5に示す様に、交流電圧が印加された1対の電気検査用プローブ201a及び201bの内、一方の電気検査用プローブ201aを配線基板40に形成された配線41aに接触させるとともに、他方の電気検査用プローブ201bを配線基板外に設けた外部電極300に接触させ、この時、配線41a及び外部電極300の間に発生する静電容量により配線41の導通状態を判断する静電容量法がある。
【0006】
静電容量法では、測定対象の配線の断線、及び配線と隣接する配線との短絡を一度に行うことができるため、I-V法に比べ検査時間を大幅に短くできるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高価な半導体部品を用いるハイエンド半導体パッケージでは、再配線層(Re Distribution Layer:RDL)の厚みが従来に比べ薄くハンドリングが難しい。このため再配線層のビルドアッププロセスでは、剛性を持った支持体上に配線基板を形成することでこの問題を解決する。一方、配線基板の電気検査を静電容量法で行う場合、配線基板の片面に検査プローブを当て、続いて反対面に検査プローブを当て、それぞれ得られた静電容量値より配線の良否を判断する。すなわち、配線基板の両面が露出している必要があり、支持体上に形成された配線基板では電気検査を行うことが困難といった問題点がある。
【0009】
上記問題点に関連する先行技術として特許文献1には、支持体と支持体の上面に備えられる第1の導電膜と、第1の導電膜上に備えられる絶縁膜と、絶縁膜の上面に備えられる第2の導電膜と、を備える積層シートであって、第2の導電膜が再配線層の形成に用いられ、前記第1の導電膜と第2の導電膜と絶縁膜が前記再配線層の電気検査を行うためのキ
ャパシタとして機能する積層シートを持たせることで、支持体の上面に形成された再配線層の電気検査を可能とする技術が開示されている。
【0010】
この技術では、再配線層内に備えられる配線と第1の導電膜との間に電圧を印加し、静電容量を測定することで電気検査を実現している。ここで、電気検査を行う場合、2本のプローブを配線にコンタクトさせ静電容量を測定する必要がある。しかしながら、上記積層シートの構造では第1の導電膜の端部が積層シートの側面に露出した構造となっているため、第2の導電膜に対しプローブをコンタクトさせることは困難である。
【0011】
また、再配線層の形成工程の一例では、第2の導電膜上に配線パターンを形成後、第2の導電膜上の配線パターンに覆われていない部分を除去する工程が例示されている。この場合、第2の導電膜の面積が減ることととなり、第1の導電膜と第2の導電膜と絶縁膜により得られる静電容量が小さくなる。静電容量により配線の電気検査では正常時との比較により配線の良否を判断するため、得られる静電容量のばらつきの影響が小さいことが望ましいが、上記の構成では得られる静電容量が小さくなるためばらつきの影響が大きくなり、電気検査の精度が低下する。
【0012】
本発明は、上記のような問題点に鑑み成されたもので、支持体上に形成された配線基板の高精度な電気検査が可能な配線基板積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する手段として、本発明の請求項1に係る配線基板積層体は、支持体と、
前記支持体の上面に設けられた第1の導電層と、
前記第1の導電層の上面に設けられた配線基板と、
を備え、
前記配線基板は、互いに電気的に絶縁した二つの配線を含み、
そのうちの第1の配線は、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、
第2の配線は、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に絶縁する第2の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、
前記第1の配線と前記第2の配線は、前記第1の導電層に形成された間隙によって電気的に絶縁されている
ことを特徴とする配線基板積である。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る配線基板積層体は、支持体と、
前記支持体の上面に設けられた第2の導電層と、
前記第2の導電層の上面に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の上面に設けられた第1の導電層と、
前記第1の導電層の上面に設けられた配線基板と、
を備え、
前記配線基板は、互いに電気的に絶縁した二つの配線を含み、
そのうちの第1の配線は、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、
第2の配線は、前記第1の導電層の第1の部分と電気的に絶縁する第2の部分と電気的に接続し、かつ前記配線基板の前記導電層と反対側の面からその一部が露出し、
前記第1の配線と前記第2の配線は、前記第1の導電層に形成された間隙によって電気的に絶縁されている
ことを特徴とする配線基板積層体である。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る配線基板積層体は、前記第1の導電層に設けられた間隙の幅が10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基積層体である。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る配線基板積層体は、前記第1の配線と前記第2の配線間の抵抗値が10MΩ以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の配線基積層体である。
【0017】
また、本発明の請求項5に係る配線基板積層体は、前記絶縁層の厚みが1000μm以下であることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の配線基積層体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に掛かる配線基板積層体によれば、支持体を持った配線基板の静電容量を大きくとることが可能となる構成であるため、静電容量の測定値のばらつきの割合を小さくすることが可能となる。そのため、半導体チップを実装する前に、支持体上に形成された配線基板の静電容量法による高精度な電気検査が可能な配線基板積層体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態に係る配線基板積層体、及び配線基板の検査方法の一例を示す断面説明図である。
【
図2】第1の実施形態に係る配線基板の検査方法の変形例を示す断面説明図である。
【
図3】第2の実施形態に係る配線基板積層体の一例を示す断面説明図である。
【
図4】I-V法を用いた配線基板の電気検査方法を例示する断面説明図である。
【
図5】静電容量法を用いた配線基板の電気検査方法を例示する断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
<第1の実施形態>
(第1の実施形態に係る配線基板積層体の構造)
まず、第1の実施形態に係る配線基板積層体の構造について説明する。
図1は、本実施形態の配線基板積層体1を説明する図である。
図1に示されるように、配線基板積層体1は、配線基板40と、支持体104と、第1の導電層101と、を備えている。なお、配線基板40は、第1の配線41aと、第1の配線41aと電気的に絶縁される第2の配線41bと、少なくとも1層以上の絶縁樹脂層43と、を備える。また、第1の配線41aと第2の配線41bを含め、絶縁樹脂層43上に形成された導体からなる配線パターンを配線41と称することにする。
【0022】
絶縁樹脂層43は、例えば、エポキシ系樹脂又はポリイミド系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等により形成されている。又、絶縁性樹脂として、例えば、熱硬化性の絶縁性樹脂又は感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁樹脂層43の厚さは、例えば、3~35μm程度とすることができる。絶縁樹脂層43は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。そして、絶縁樹脂層43において、全層が熱硬化性の絶縁性樹脂又は感光性の絶縁性樹脂からなるビルドアップ層で構成されていても良いし、熱硬化性の絶縁性樹脂又は感光性の絶縁性樹脂の双方が存在してビルドアップ層が構成されていても良い。
【0023】
なお、ビルドアップ層とは、ビルドアップ工法を用いて、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層の上に形成した配線と、を交互に積層した配線層である。絶縁樹脂層を介して上下に配置された配線は、絶縁樹脂層に形成された貫通孔であるビアによって形成された貫通電極により導通がとられている。
【0024】
図1において配線41aと配線41bで示した配線41は、各絶縁樹脂層43の上層に形成された配線と、絶縁樹脂層43内に形成された貫通電極44と、配線基板40の最外層に位置する絶縁樹脂層43に形成された電極42で構成されている。
【0025】
配線41の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。絶縁樹脂層43の上層に形成された配線41の厚さは、例えば、1~15μm程度とすることができる。
【0026】
配線基板40の最外層に位置する絶縁樹脂層43には第1の配線43a、及び第2の配線43bの端子の一方が電極42として露出しており、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続することができる。電極42は配線基板40の上面に対し、突起する形状でも良く、平坦でも良く、凹んだ形状でも良い。
【0027】
電極42の材料としては、例えば、銅(Cu)を用いることができる。また、電極42の形成には、例えば、周知のセミアディティブ法を用いることができ、周知のサブトラクティブ法を用いてもよい。
【0028】
また、電極42の表面には、例えばAu、Ag、Cu、Al等の金属もしくはこれらの合金、CuにAuめっき等を施した金属複合体、又は、Sn、Sn-Pb、Sn-Ag、Sn-Cu、Sn-Ag-Cu、Sn-BiもしくはAu系等のはんだを形成しても良い。
【0029】
また、第1の配線41a、及び第2の配線41bの端子の電極42とは反対側の端子は、第1の導電層101と電気的に接続した構造となっている。
また、第1の導電層101には、第1の配線41aと第2の配線41bが電気的に絶縁するように間隙105が設けられる。
【0030】
上記構成の配線基板積層体1の、第1の配線41aと第2の配線41bの間には静電容量が発生する。第1の配線41aと第2の配線41bをそれぞれコンデンサの電極とみなすことができるため、この静電容量は第1の配線41aと第2の配線41b間で短絡・断線が発生すると値が変化する。
【0031】
静電容量法の電気検査では、この静電容量を正常時と比較し、その変化で配線41の良否を判断する方法となる。このため、導電層101を持たない配線基板では、例えば配線41の末端で断線が発生した場合、静電容量の変化が極めて小さくなり配線41の良否判別が困難となる。
【0032】
第1の導電層101を設けることでコンデンサの電極としての配線41を延長できるため、例えば配線41の末端で断線が発生しても静電容量が正常時に比べ大きく変化することとなり断線の検出が容易になる。
【0033】
さらに、第1の導電層101に、第1の配線41aと第2の配線41bの間が絶縁されるように間隙105を設けることで、第1の配線41aと第2の配線41bの間が短絡した場合、静電容量が正常時に比べ大きく変化することとなり、短絡の検出が容易になる。
【0034】
第1の導電層101に設けられる間隙105の幅は特に限定されるわけではないが、狭
ギャップであるほど好ましく、特に10μm以下であることが望ましい。
【0035】
第1の配線41aと第2の配線41bの間で導通すると所望の静電容量が得られない。このため、第1の配線41aと第2の配線41bの間の、第1の導電層101に設けられる間隙105を介して得られる絶縁抵抗値は大きいほど好ましく、特に限定されるわけではないが、抵抗値が10MΩ以上であることが望ましい。
【0036】
次に、第1の実施の形態の配線基板積層体1に対し、公知の手法に基づき電気検査を行う方法について説明する。具体的には
図1に示すように、第1の配線41aに第1の電気検査用プローブ201aをコンタクトさせ、第2の配線41bに第2の電気検査用プローブ201bをコンタクトさせ、第1の配線41aと第2の配線41bの間に交流電圧を印加し静電容量の測定を行う。得られた静電容量の値を正常値と比較することで配線の良否判断を行うことができる。
図1では2つの配線を示しているが、配線を複数持つ場合は任意の2つの配線を選択し検査を行うことができる。なお、第1の電気検査用プローブ201aと第2の電気検査用プローブ201bは、静電容量を測定するLCRメータやキャパシタンスメータの測定端子に接続されていることで、静電容量の測定を行うことができる。
【0037】
(第1の実施形態の変形例)
本構造の配線基板積層体1に対して、
図2に示すように第1の配線41aに第1の電気検査用プローブ201aを、第2の電気検査用プローブ201bは外部電極300にコンタクトさせ、配線41及び第1の導電層101と外部電極300の間の静電容量を測定し、得られた静電容量の値を正常値と比較することで配線の良否判断を行うこともできる。この場合、任意の1つの配線を選択すれば良く、配線の数が多い配線基板積層体では検査点数を抑えることができるため、電気検査のタクトを短縮が可能となる。
【0038】
<第2の実施形態>
(第2の実施形態に係る配線基板積層体の構造)
静電容量法の電気検査は、正常値との比較で良否を判断するため、静電容量のばらつきが大きいと電気検査の精度が低下する。例えば、
図3における、支持体104と、第2の導電層102と、絶縁層103と、配線基板40から構成される配線基板積層体2では、配線基板40と、第2の導電層102とを、絶縁層103を介して形成することで、配線基板40内に設けられた、配線41と、第2の導電層102と、絶縁層103をコンデンサとしてみなすことができる。配線41と第2の導電層102間に発生する静電容量は、配線41と第2の導電層102間の距離、すなわち絶縁層103の厚みに反比例する。このためできるだけ大きい静電容量を得るためには、絶縁層103を薄くすることが有効となるが、同時に絶縁層103が薄くなるほど膜厚に対するばらつきの割合が大きくなり、静電容量のばらつきへの影響が大きくなる。よって、検査精度を向上させるには静電容量のばらつきの割合を低減させる必要がある。
【0039】
次に、静電容量のばらつきの割合を低減させる第2の実施形態に係る配線基板積層体2の構造について説明する。
図3は、本実施形態の配線基板積層体2を説明する図である。
図3に示されるように、配線基板積層体2は、配線基板40と、第1の導電層101と、絶縁層103と、第2の導電層102と、支持体104と、をこの順に備えている。なお、配線基板40は互いに電気的に絶縁される第1の配線41aと、第2の配線41bと、少なくとも1層以上の絶縁樹脂層43とを備える。
【0040】
第1の配線41a、及び第2の配線41bの端子の一方は、配線基板40の表面側に露出した電極42となっている。また、第1の配線41a、及び第2の配線41bの端子の
もう一方の端子は、第1の導電層101と電気的に接続した構造となっている。第1の導電層101には、第1の配線41a、及び第2の配線41bが、電気的に絶縁するように、間隙105が設けられる。
【0041】
本構造では、第1の導電層101と第2の導電層102が絶縁層103を介して対向した構造となり、さらに対向する面積が広くなる。このため得られる静電容量を大きくでき、静電容量のばらつきの割合を低減することが可能となる。そのため、静電容量の測定を精度良く行うことができるようになり、高精度の電気検査を実現することができる。
【0042】
静電容量を大きく得るための方法は、これに限定されないが、第1の導電層101と第2の導電層102間の距離が近いことが好ましく、すなわち絶縁層103が薄いことが好ましく、特に1000μm以下であることが望ましい。
【0043】
次に、第2の実施の形態の配線基板積層体2に対し、公知の手法に基づき電気検査を行う方法を説明する。具体的には
図1に示すように、まず、第1の配線41aに第1の電気検査用プローブ201aをコンタクトさせ、第2の配線41bに第2の電気検査用プローブ201bをコンタクトさせ、第1の配線41aと第2の配線41bの間に交流電圧を印加し静電容量の測定を行う。次に、得られた静電容量の値を正常値と比較することで配線の良否判断を行う。
図1では2つの配線を用いた例を示しているが、配線を複数持つ場合は任意の2つの配線を選択し、検査を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、半導体装置の製造に用いる配線基板積層体に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1、2 配線基板積層体
40 配線基板
41a 第1の配線
41b 第2の配線
42 電極
43 絶縁樹脂層
44 貫通電極
101 第1の導電層
102 第2の導電層
103 絶縁層
104 支持体
105 間隙
201a 第1の電気検査用プローブ
201b 第2の電気検査用プローブ
300 外部電極