(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124092
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】有機EL表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20220818BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220818BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220818BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220818BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220818BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220818BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/12 B
H05B33/12 E
H01L27/32
H05B33/10
G02B5/20 101
G09F9/30 365
G09F9/30 349B
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021661
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山内 淳
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H148BD21
2H148BF07
2H148BG06
2H148BH03
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC02
3K107CC04
3K107EE22
3K107EE23
3K107FF15
3K107GG28
5C094AA07
5C094BA27
5C094ED02
5G435AA03
5G435BB05
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】カラーフィルタ方式の有機EL表示装置において、カラーフィルタの色材から発せられる蛍光を輝度向上に役立てることが可能な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2と、赤色、緑色、青色画素を形成するカラーフィルタ3と、カラーフィルタに隣接して備えられた中間層4と、をこの順に備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、中間層は、カラーフィルタの製造工程中の加熱によって、カラーフィルタ中の色材が中間層側に移動可能な透明樹脂からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層と、赤色、緑色、青色画素を形成するカラーフィルタと、カラーフィルタの白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2とは反対側の面に接する位置に備えられた中間層と、をこの順に備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
前記中間層は前記カラーフィルタの少なくとも一つの画素に含まれる色材と同種の色材を含有し、
前記中間層の色材濃度が、前記カラーフィルタの色材濃度よりも低いことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
前記カラーフィルタと前記中間層が、同種のポリマーを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
前記中間層は、カラーフィルタの製造工程中の加熱によって、カラーフィルタ中の色材が中間層側に移動することで形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electoluminescence)表示装置の輝度向上を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置は、有機発光ダイオード(OLED;Organic Light-Emitting Diode)を使用した自発光型の表示装置であり、発光方式として2つの方式が知られている。1つは、RGB方式であり、もう1つはカラーフィルタ方式である。
【0003】
RGB方式は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光ダイオード素子からなる各サブピクセルによって1つの画素を形成する。カラーフィルタを使用していないため、発光効率が高く、色純度を高くすることも可能である。
【0004】
カラーフィルタ方式は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタと白色OLEDを組み合わせてカラー画像を形成する方式であり、各色に対応した白色OLED素子の発光強度を独立して制御可能であることから、暗部(黒色)の色純度を高くすることが可能であり、また高コントラストの表示が可能である。
【0005】
カラーフィルタ方式は、発光効率が低いデメリットがある反面、製造工程がシンプルで、且つ低コストであり、さらに微細化に有利であるというメリットを持っている。そのため、マイクロディスプレイや大型テレビなどの分野においては、カラーフィルタ方式を採用し、白色OLEDは真空蒸着で作製する、という方法が採用されている。
【0006】
カラーフィルタ方式を使用した有機EL表示装置においては、原理的に発光効率が低いという問題があるが、白色OLEDの出力を高めることで高い輝度を実現していることにより、消費電力が大きくなる問題がある。そのため、カラーフィルタ方式の有機EL表示装置においては、輝度を維持したまま、消費電力を低減させることが可能な技術が求められている。
【0007】
そのような技術を解決する先行技術としては、例えば、特許文献1に白色有機EL発光層の上にカラーフィルタを備えたカラーフィルタ方式の有機EL表示装置において、白色有機EL層の上にカラーフィルタを形成する際に、白色有機EL層にダメージを与えない低温硬化プロセスを可能とし、高い色再現性を可能とする薄い層からなる高い色材濃度のカラーフィルタを形成可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この技術においてはカラーフィルタが高い色材濃度で形成されているため、色材から発せされる蛍光がカラーフィルタの内部で吸収され、外部に取り出すことができない。そのため、その蛍光を有機EL表示装置の輝度向上に役立てることができなかった。
【0010】
上記の事情に鑑み、本発明は、カラーフィルタ方式の有機EL表示装置において、カラーフィルタの色材から発せられる蛍光を輝度向上に役立てることが可能な有機EL表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、少なくとも、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層と、赤色、緑色、青色画素を形成するカラーフィルタと、カラーフィルタの白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2とは反対側の面に接する位置に備えられた中間層と、をこの順に備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
前記中間層は前記カラーフィルタの少なくとも一つの画素に含まれる色材と同種の色材を含有し、
前記中間層の色材濃度が、前記カラーフィルタの色材濃度よりも低いことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【0012】
第2の態様は、前記カラーフィルタと前記中間層が、同種のポリマーを含んでいることを特徴とする第1の態様に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【0013】
第3の態様は、前記中間層は、カラーフィルタの製造工程中の加熱によって、カラーフィルタ中の色材が中間層側に移動することで形成されることを特徴とする第1または第2の態様に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置によれば、カラーフィルタに隣接して、製造工程中の加熱温度において、カラーフィルタ中の色材が中間層側に移動可能な透明樹脂からなる中間層を備えている。そのため、カラーフィルタの製造工程における乾燥工程などの加熱処理によって、カラーフィルタ中の色材の一部が中間層に移動する。このことによって、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層からの光によって中間層に移動した色材から蛍光が発せられ、その蛍光によって有機エレクトロルミネッセンス表示装置の輝度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の有機EL表示装置を例示する断面説明図。
【
図2】本発明の有機EL表示装置を例示する断面説明図。
【
図3】本発明の有機EL表示装置を例示する断面説明図。
【
図4】本発明の有機EL表示装置を例示する断面説明図。
【
図5】本発明の有機EL表示装置を例示する断面説明図。
【
図6】本発明の有機EL表示装置を例示する断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置について、
図1を用いて説明する。
【0017】
本発明の有機EL表示装置10は、少なくとも、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2(以下では白色有機EL発光層2とも呼称する)と、赤色、緑色、青色画素を形成するカラーフィルタ3と、カラーフィルタに隣接して備えられた中間層4と、をこの順に備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
本発明の有機EL表示装置10においては、中間層4が、カラーフィルタの製造工程中の加熱によって、カラーフィルタ3中の色材が中間層4側に移動可能な透明樹脂からなることが特徴である。加熱温度としては、例えば50℃~100℃が想定される。
【0018】
カラーフィルタ3の画素6は、赤色のサブピクセルRと、緑色のサブピクセルGと、青色のサブピクセルBと、を備えている。
【0019】
本発明の有機EL表示装置10においては、カラーフィルタ3の各サブピクセルR、G、Bは、従来と同様に高い色材濃度を備えた薄い層からなるが、カラーフィルタ3の白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2とは反対側の面に接する位置に中間層4を設けている。このことにより、各サブピクセルR、G、Bの輝度を高くすることが可能となる。これは、各サブピクセルR、G、Bの中の色材の一部が、それぞれ中間層4に移動することによると考えられる。中間層4に移動した色材に白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2からの光が照射されると蛍光が発せられる。中間層4における色材濃度はカラーフィルタ3における色材濃度より低いため、蛍光が色材によって吸収されることなく外部に出てくることができる。そのため、輝度向上に寄与することが可能となる。
【0020】
(白色有機EL発光層)
白色有機EL発光層2は、有機半導体発光層を含む複数の層が積層された積層体からなる。所謂、白色光を発光する有機発光ダイオード(OLED)からなる発光層である。
【0021】
(カラーフィルタ)
カラーフィルタ3は、少なくとも、赤色のサブピクセルRと緑色のサブピクセルGと青色のサブピクセルBから構成される画素6を構成単位として形成されている。
【0022】
カラーフィルタ3は、通常、感光性透明樹脂に黒色、赤色、緑色、青色の微細顔料からなる着色組成物を均一に分散させた黒色、赤色、緑色、青色の着色感光性組成物を作製し、それを基板上に塗布、乾燥させたのち、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることによって作製される。
【0023】
具体的には、まず基準パターンとなる黒色感光性組成物を用いて基板上にブラックマトリクス7(
図1参照)を形成する。ブラックマトリクス7によって、赤色、緑色、青色の各サブピクセルR、G、Bを形成するための区画領域が形成される。次に、順次、例えば赤色、緑色、青色の着色層が形成されることで、カラーフィルタ3が形成される。
【0024】
図1に示した有機EL表示装置10においては、上記の基板は、駆動回路基板1上に白色有機EL発光層2が形成されたものである。
【0025】
(駆動回路基板)
駆動回路基板1は、例えば、シリコンウェハをウェハ加工することによって、シリコンウェハの表面に、OLED用の駆動回路を形成した基板である。OLED用の駆動回路は、電流維持回路である。例えば、有機EL表示装置が表示する画像が、毎秒30フレームである場合、1つの画像を表示した後、1/30秒後に次の画像を表示する。すなわち、有機EL表示装置の発光素子であるOLEDは電流駆動型の発光素子であるため、1つの画像を1/30秒間、発光に必要な電流値を維持する必要がある。液晶表示装置で使用する液晶素子は電圧駆動型であるため、スイッチング素子としては、トランジスタは1個で良いが、有機EL表示装置では、1つのサブピクセルに最低2個のトランジスタが必要となる。
【0026】
(中間層)
中間層4は、カラーフィルタ3の組成から顔料や染料などの色材を除去した材料を好適に使用可能である。具体的には、カラーフィルタ3の製造工程における乾燥工程などにおける加熱温度、例えば50℃~100℃において、カラーフィルタ3中の色材が中間層4
側に移動可能な透明樹脂からなることが必要となる。同じ樹脂系であれば、カラーフィルタ3と中間層4が接合された界面において、色材濃度の階段的な濃度差が形成される。そのような濃度差があると、微粒子状の色材は熱拡散し易い状況にあるため、例えば50℃~100℃の加熱により、色材が存在しない中間層4側に色材の一部が移動可能となる。ある程度、色材が中間層側に移動し、色材濃度が高まった状態で、それ以上色材が移動しなくなるが、その中間層4のカラーフィルタ3との境界面に近い領域における色材濃度は、カラーフィルタ3における色材濃度と比べて低い。換言すると、中間層4の色材濃度はカラーフィルタ3の色材濃度よりも低い。そのため、色材から発せされた蛍光は色材によって吸収されずに、外部に出てくることが可能である。
【0027】
また、カラーフィルタ3において使用している着色組成物中の顔料との親和性が高い樹脂材料も使用することが可能である。
【0028】
中間層4は
図1に示したように、カラーフィルタ3の全面を覆うように形成されていることでカラーフィルタ全域の発光輝度を向上することができる。一方で、カラーフィルタ3に使用する顔料によっては他のサブピクセルよりも輝度が低下し、各色の発光強度のバランスが取れない場合がある。サブピクセルR、G、Bの少なくともいずれかの輝度向上を目的とする場合、該当するサブピクセル上のみに中間層4を形成することが好ましい。この場合、中間層4を単一色のサブピクセルのみに配置してもよいし、任意の複数色のサブピクセルに配置してもよい。
【0029】
例えば、
図2は、サブピクセルR上のみに中間層4-1を形成した有機EL表示装置10-1の例である。
図3は、サブピクセルG上のみに中間層4-2を形成した有機EL表示装置10-2の例である。
図4は、サブピクセルB上のみに中間層4-3を形成した有機EL表示装置10-3の例である。
図5は、サブピクセルRとG上に中間層4-4を形成した有機EL表示装置10-4の例である。
図6は、サブピクセルGとB上に中間層4-5を形成した有機EL表示装置10-5の例である。
図5、
図6のような隣接する複数のサブピクセル上に中間層4を形成する場合、
図5、
図6のように中間層4をそれぞれのサブピクセルと対応するように独立して形成してもよいし、中間層4をサブピクセル間で途切れることなく連続して形成してもよい。中間層4をそれぞれのサブピクセルと対応するように独立して形成することで、中間層4に入り込む色材濃度をサブピクセルごとに調整することができ、各色の発光強度のバランスを取りやすい。一方、中間層4をサブピクセル間で途切れることなく連続して形成する場合は製造時に中間層4の形成が容易となる。
【0030】
(オーバーコート層)
オーバーコート層5は、カラーフィルタ3を保護する役割と表面の平坦化を行う役割を担っている。
オーバーコート層5は、一般に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂など熱硬化性や光硬化性の樹脂組成物を用いて形成されるが、本発明においては、オーバーコート層5として平滑性に優れた熱硬化性樹脂を使用する。このオーバーコート層5には、平滑で強靭であること、透明性を有すること、耐熱性及び耐光性が高く長期間にわたって黄変、白化等の変質を起こさないこと、耐水性、耐溶剤性、耐酸性及び耐アルカリ性に優れている樹脂材料を好適に使用することができる。
【実施例0031】
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
(有機EL発光層の形成)
有機EL素子の駆動回路を形成したシリコンウェハを使用して、シリコンウェハの駆動
回路形成面側に、蒸着方式による白色有機EL素子を形成し、最後に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、窒化シリコンによるパッシベーション層を形成して封止することにより有機EL発光層を形成した基板を作製した。
【0032】
(カラーフィルタ形成用材料の作製)
次に、有機EL発光層を形成した基板の上に形成するカラーフィルタ用の材料を作製した。
【0033】
(1)黒色樹脂組成物
・黒色着色組成物の顔料
着色樹脂組成物に使用する着色剤(顔料)は以下のものを使用した。
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
(トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE ES」
紫色用顔料:C.I.Pigment violet 23
(トーヨーカラー社製「LIONOGEN VIOLET RL」
黄色用顔:C.I.Pigment Yellow 139
(BASF社青「Paliotol Yellow 2146HD」
【0034】
・黒色着色組成物の作製
それぞれの顔料を用いて黒色の着色樹脂組成物を作製した。
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時問分散した後、5μmのフィルタで濾過して黒色顔料の分散体を作製した。
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6 11重量部
紫色用顔料:C.I.Pigment violet 23 11重量部
黄色用顔:C.I.Pigment Yellow 139 6重量部
アクリルワニス(固形分20%) 170重量部
【0035】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して黒色着色材料(BLK-1)を得た。
【0036】
前述の着色材料を用いて、表1に記載の配合となるように黒色の感光性着色組成物(黒色感光性樹脂組成物)を作製した(BLK-1)。
【0037】
(2)赤色着色組成物
・赤色着色組成物の顔料
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254
(BASF社製「イルガーフォーレッド B-CF」)
黄色用顔料:C.I.Yellow 139
(BASF社製「PALIOTOL YELLOW L 2146HD」)
【0038】
・赤色着色組成物の作製
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
赤色顔料:C.I.Pigment Red 254 78重量部
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 139 22重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物(R-1)を得た。
前述の着色材料を用いて、表1に記載の配合となるように青色の感光性着色組成物を作
製した(RR-1)。
【0039】
(3)緑色着色組成物
・緑色着色組成物の顔料
緑色用顔料:C.I.Pigment Green 58
(DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」
黄色用顔料:C.I.Pigment Yellow 185
(BASF社製「Paliotol Yellow L 1155」
【0040】
・緑色着色組成物の作製
それぞれの顔料を用いて緑色の着色樹脂組成物を作製した。
緑色顔料:C.I.Pigment Green 58 65重量部
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 185 35重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して緑色着色組成物(G-1)を得た。
前述の着色組成物を用いて、表1に記載の配合となるように青色の感光性着色組成物を作製した(GR-1)。
【0041】
(4)青色着色組成物
・青色着色組成物の顔料
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
(トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE ES」)
紫色用顔料:C.I.Pigment Violet 23
(トーヨーカラー株式会社製「LIONOGEN VIOLET RL」)
【0042】
・青色着色組成物の作製
それぞれの顔料を用いて青色の着色樹脂組成物を作製した。
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6 63重量部
紫色用顔料:C.I.Pigment Violet 23 37重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して青色着色組成物(B-1)を得た。
前述の着色材料を用いて、表1に記載の配合となるように青色の感光性着色組成物を作製した(BR-1)。
【0043】
【0044】
(5)透明樹脂組成物
・透明樹脂組成物の作製
表2に記載の配合となるように透明樹脂組成物を作製した。
【0045】
【0046】
(カラーフィルタおよび有機EL表示装置の作製)
まず、前記有機EL発光層の上に平坦化膜用の透明樹脂組成物を硬化仕上がりの膜厚が0.1μmになるようにスピンナーで塗布した。その後、加熱オーブンを用いて100℃、10分間加熱して硬化し、平坦化膜の形成を完了した。
【0047】
次に、平坦化膜上に、黒色感光性樹脂組成物を硬化仕上がりの膜厚が1.0μmになる
ようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、画素サイズが2.4μm×2.4μmとなるカラーフィルタのブラックマトリクスを仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、ブラックマトリクスの形成を完了した。
【0048】
次に、ブラックマトリクスを形成した基板上に、緑色感光性樹脂組成物を硬化仕上がりの膜厚が1.0μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、画素サイズが2.4μm×2.4μmとなるカラーフィルタの緑色層(G)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、カラーフィルタの緑色層(G)の形成を完了した。
【0049】
次に、上述のカラーフィルタの緑色層(G)の形成方法と同様にして、赤色感光性樹脂組成物を、硬化仕上がりの膜厚が1.0μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、画素サイズが2.4μm×2.4μmとなるカラーフィルタの赤色層(R)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、カラーフィルタの赤色層(R)の形成を完了した。
【0050】
さらに、上述のカラーフィルタの緑色層(G)形成方法と同様にして、青色感光性樹脂組成物を、硬化仕上がりの膜厚が1.0μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、画素サイズが2.4μm×2.4μmとなるカラーフィルタの青色層(B)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、カラーフィルタの青色層(B)の形成を完了してカラーフィルタを作製した。
【0051】
カラーフィルタを形成後、透明樹脂組成物OC-1を仕上がり膜厚が1μmとなるようにスピンナーで塗布し、赤色画素上を紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、赤色画素上にオーバーコート層1を形成した。その後、透明樹脂組成物OC-2を仕上がり膜厚が1μmとなるようにスピンナーで塗布し、緑色・青色画素上を紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、オーバーコート層2を緑色、青色画素上に形成した。
【0052】
オーバーコート層2を形成後、封止剤ストラクトボンドXMF-T107(三井化学社製)を用いてカバーガラスと貼り合せ、有機EL表示装置を作製した。
なお、オーバーコート層1とオーバーコート層2は、
図1において、それぞれ、中間層4とオーバーコート層5に対応する層である。
【0053】
<実施例2>
実施例1と同様に、カラーフィルタおよびオーバーコート層1、2を形成後、マイクロレンズ材料を硬化仕上がりの膜厚が2.4μmとなるようにスピンナーで塗布し、塗膜全体に紫外線露光し、その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、マイクロレンズ層を形成し、その後、エッチバック方式により平坦化膜の膜厚が1.2μm、レンズ高さが1.2μmとなるレンズを前述の赤色、緑色および青色画素上に形成した。
【0054】
マイクロレンズを形成後、封止剤ストラクトボンドXMF-T107(三井化学社製)を用いてカバーガラスと貼り合せ、有機EL表示装置を作製した。
【0055】
<実施例3>
オーバーコート層1を青色画素上に、オーバーコート層2を赤色、緑色画素上に形成したことを除き、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
【0056】
<比較例1>
オーバーコート層1を用いずに、オーバーコート層2を赤色、青色、緑色画素の上に形成したことを除き、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
【0057】
<比較例2>
比較例1と同様にオーバーコート層2のみを形成し、その後実施例2と同様にしてマイクロレンズを形成し、有機EL表示装置を作製した。
【0058】
<輝度評価>
実施例1~3および比較例1~2で作製した有機EL表示装置を点灯させ、それぞれの輝度の相対比較を行った。
輝度の測定は、コニカミノルタ社製 CS-1000Aを使用して行った。
【0059】
輝度の測定結果から算出した相対輝度を表3および表4に示した。表3および表4においては、それぞれ、比較例1および比較例2の輝度を100%とした。その結果から、マイクロレンズを形成していない実施例1~2は、中間層を形成していない比較例1と比較し、相対的に輝度が向上していることが分かった。マイクロレンズを備えた実施例3および比較例2を比較しても同様に、中間層を形成した場合の方が相対的に輝度向上していることが分かった。
【0060】