(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124101
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】横葺き金属屋根材用野地面換気部材及び横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/16 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
E04D13/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021675
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】595133736
【氏名又は名称】株式会社トーコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
(57)【要約】
【課題】野地面から横葺き金属屋根材までの高さを有効に利用して開口面積を確保でき、防水性能に優れた横葺き金属屋根材用野地面換気部材、野地板への通気口の形成が容易で、施工性に優れる横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法を提供する。
【解決手段】野地板1との間に所定空間を形成する上面板材10、上面板材10の後端13から下方に延出させた後面板材30、上面板材10の両側端から下方に延出させた一対の側面板材40、後面板材30の下端31から後方に延出させて野地板1に当接させる後方当接板材50、一対の側面板材40の下端から側方に延出させて野地板1に当接させる一対の側方当接板材60を有し、上面板材10の前端12を水下側横葺き金属屋根材2xの水下側後端部2xcの上方に、後面板材30を通気口5の水上側に、一対の側面板材40を通気口5の両側方に配置し、上面板材10と水下側後端部2xcとの間を通気開口11とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の勾配屋根における横葺き金属屋根材と前記建造物の野地板との間に設置される横葺き金属屋根材用野地面換気部材であり、
前記横葺き金属屋根材が、
前記野地板に当接する尻部と、
前記尻部の水上側で立ち上げた水返し部と、
前記水返し部の水上側で前記野地板に固定される後端部と、
前記尻部より水下側に位置する頭見付部と、
前記尻部から前記頭見付部までの間に形成される上面材と
で構成され、
前記横葺き金属屋根材の前記頭見付部を、前記横葺き金属屋根材の水下側に配置される水下側横葺き金属屋根材の水下側水返し部に当接させ、
前記横葺き金属屋根材の前記水返し部には、前記横葺き金属屋根材の水上側に配置される水上側横葺き金属屋根材の水上側頭見付部が当接されることで、
前記横葺き金属屋根材、前記水下側横葺き金属屋根材、及び前記水上側横葺き金属屋根材が前記勾配屋根に配置され、
前記横葺き金属屋根材で覆われる前記野地板に通気口を形成し、
前記通気口を覆う位置に配置する横葺き金属屋根材用野地面換気部材であって、
前記野地板との間に所定空間を形成する上面板材と、
前記上面板材の後端から下方に延出させた後面板材と、
前記上面板材の両側端からそれぞれ下方に延出させた一対の側面板材と、
前記後面板材の下端から後方に延出させて前記野地板に当接させる後方当接板材と、
一対の前記側面板材の下端から側方に延出させて前記野地板に当接させる一対の側方当接板材と
を有し、
前記上面板材の前端を、前記水下側横葺き金属屋根材の水下側後端部の上方に配置し、
前記後面板材を前記通気口の水上側に配置し、
一対の前記側面板材を前記通気口の両側方に配置し、
前記上面板材と前記水下側後端部との間を通気開口とする
ことを特徴とする横葺き金属屋根材用野地面換気部材。
【請求項2】
一対の前記側面板材を、前記上面板材の側方後側に形成し、
前記上面板材の側方前側を側方通気開口とする
ことを特徴とする請求項1に記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材。
【請求項3】
前記後方当接板材には、前記通気口の幅と同一寸法の開口マーキングガイドを設けた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属屋根材用野地面換気部材。
【請求項4】
一対の前記側面板材の前下端を、前記水下側後端部に当接させることで前記通気口の形成位置決め基準として用いる
ことを特徴とする請求項3に記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材。
【請求項5】
前記後方当接板材の両端部には、後方への延出寸法が長い一対の耳面を設け、
前記開口マーキングガイドを、一対の前記耳面の間に設けた
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材。
【請求項6】
一対の前記耳面の間に、位置決め突片を設け、
前記位置決め突片は、前記後方当接板材に重ねて設けられるとともに、一部を折り曲げ可能に形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材。
【請求項7】
請求項5記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法であって、
一対の前記側面板材の前記前下端を、前記水下側横葺き金属屋根材の前記水下側後端部に当接させた状態で、前記開口マーキングガイドを用いて前記通気口の位置情報をマーキングするマーキング工程と、
前記マーキング工程の後に、マーキングされた前記位置情報を基に前記通気口を形成する通気口形成工程と、
前記通気口形成工程の後に、前記通気口の上方に前記上面板材を位置させる位置決め工程と、
前記位置決め工程の後に、前記後方当接板材及び一対の前記側方当接板材を前記野地板に取り付ける取付工程と
を有する
ことを特徴とする横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法。
【請求項8】
請求項6記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法であって、
一対の前記側面板材の前記前下端を、前記水下側横葺き金属屋根材の前記水下側後端部に当接させた状態で、前記開口マーキングガイドを用いて前記通気口の位置情報をマーキングするマーキング工程と、
前記マーキング工程の後に、マーキングされた前記位置情報を基に前記通気口を形成する通気口形成工程と、
前記マーキング工程の後に、前記位置決め突片を折り曲げる位置決め突片準備工程と、
前記通気口形成工程の後に、折り曲げられた前記位置決め突片を前記通気口に位置させ、前記通気口の上方に前記上面板材を位置させる位置決め工程と、
前記ユニット位置決め工程の後に、前記後方当接板材及び一対の前記側方当接板材を前記野地板に取り付ける取付工程と
を有する
ことを特徴とする横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法。
【請求項9】
建造物の勾配屋根における横葺き金属屋根材と前記建造物の野地板との間に設置される横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法であり、
前記横葺き金属屋根材が、
前記野地板に当接する尻部と、
前記尻部の水上側で立ち上げた水返し部と、
前記水返し部の水上側で前記野地板に当接する後端部と、
前記尻部より水下側に位置する頭見付部と、
前記尻部から前記頭見付部までの間に形成される上面材と
で構成され、
前記横葺き金属屋根材の前記頭見付部を、前記横葺き金属屋根材の水下側に配置される水下側横葺き金属屋根材の水下側水返し部に当接させ、
前記横葺き金属屋根材の前記水返し部には、前記横葺き金属屋根材の水上側に配置される水上側横葺き金属屋根材の水上側頭見付部が当接されることで、
前記横葺き金属屋根材、前記水下側横葺き金属屋根材、及び前記水上側横葺き金属屋根材が前記勾配屋根に配置され、
前記横葺き金属屋根材で覆われる前記野地板に通気口を形成し、
前記通気口を覆う位置に配置する横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法であって、
前記横葺き金属屋根材用野地面換気部材が、
前記野地板との間に所定空間を形成する上面板材と、
前記上面板材の後端から下方に延出させた後面板材と、
前記上面板材の両側端からそれぞれ下方に延出させた一対の側面板材と、
前記後面板材の下端から後方に延出させて前記野地板に当接させる後方当接板材と、
一対の前記側面板材の下端から側方に延出させて前記野地板に当接させる一対の側方当接板材と
を有し、
前記勾配屋根の垂木の位置を検出する垂木位置検出工程と、
前記垂木位置検出工程で検出した一対の前記垂木の間の中心位置をマーキングする通気口位置仮決め工程と、
前記通気口位置仮決め工程で決定した前記中心位置を基準に、前記水下側横葺き金属屋根材の前記水下側後端部を、潰して前記野地板に当接させるとともに屋根材留め付けビスで留め付ける屋根材後端部処理工程と、
一対の前記側面板材の前下端を、前記水下側横葺き金属屋根材の前記水下側後端部に当接させた状態で、開口マーキングガイドを用いて前記通気口の位置情報をマーキングするマーキング工程と、
前記マーキング工程の後に、マーキングされた前記位置情報を基に前記通気口を形成する通気口形成工程と、
前記通気口形成工程の後に、前記通気口の上方に前記上面板材を位置させる位置決め工程と、
前記位置決め工程の後に、前記後方当接板材及び一対の前記側方当接板材を前記野地板に取り付ける取付工程と
を有する
ことを特徴とする横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の勾配屋根における横葺き金属屋根材と建造物の野地板との間に設置される横葺き金属屋根材用野地面換気部材及び横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、野地板との間に所定空間を形成する上面板材と、上面板材の前端から下方に延出させた前面板材と、上面板材の後端から下方に延出させた後面板材と、上面板材の両側端からそれぞれ下方に延出させた一対の側面板材と、後面板材の下端から後方に延出させて野地板に当接させる後方当接板材と、一対の側面板材の下端から側方に延出させて野地板に当接させる一対の側方当接板材とを有し、上面板材の前端側の上前面に、切り起こしによる切り起こし上面開口を形成し、上面板材の後端側の上後面を、切り起こし上面開口を形成しない覆い面とし、覆い面の下方に通気口配置する瓦用野地面換気ユニットを開示している。
特許文献1で開示している瓦用野地面換気ユニットは、建造物の屋根の野地板に、瓦を係止する複数の桟木が取り付けられ、通気口より高い位置にある桟木と、通気口より低い位置にある桟木との間で、瓦と野地板との間に配設されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示している瓦用野地面換気ユニットは、桟木を用いた瓦屋根の野地面換気部材なので、野地板と屋根材裏面の空間高さが桟木の厚み分だけかさ上げされているため換気部材が設置しやすいが、横葺き金属屋根材を用いる場合には、桟木がないため、横葺き金属屋根材と野地板との間には十分な高さがない。
【0005】
そこで本発明は、野地面から横葺き金属屋根材までの限られた高さを有効に利用して開口面積を確保できるとともに防水性能にも優れた横葺き金属屋根材用野地面換気部材を提供することを目的とする。
また本発明は、野地板への通気口の形成が容易であり施工性に優れる横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の横葺き金属屋根材用野地面換気部材100は、建造物の勾配屋根における横葺き金属屋根材2と前記建造物の野地板1との間に設置される横葺き金属屋根材用野地面換気部材100であり、前記横葺き金属屋根材2が、前記野地板1に当接する尻部2aと、前記尻部2aの水上側で立ち上げた水返し部2bと、前記水返し部2bの水上側で前記野地板1に固定される後端部2cと、前記尻部2aより水下側に位置する頭見付部2dと、前記尻部2aから前記頭見付部2dまでの間に形成される上面材2eとで構成され、前記横葺き金属屋根材2の前記頭見付部2dを、前記横葺き金属屋根材2の水下側に配置される水下側横葺き金属屋根材2xの水下側水返し部2xbに当接させ、前記横葺き金属屋根材2の前記水返し部2bには、前記横葺き金属屋根材2の水上側に配置される水上側横葺き金属屋根材2yの水上側頭見付部2ydが当接されることで、前記横葺き金属屋根材2、前記水下側横葺き金属屋根材2x、及び前記水上側横葺き金属屋根材2yが前記勾配屋根に配置され、前記横葺き金属屋根材2で覆われる前記野地板1に通気口5を形成し、前記通気口5を覆う位置に配置する横葺き金属屋根材用野地面換気部材100であって、前記野地板1との間に所定空間を形成する上面板材10と、前記上面板材10の後端13から下方に延出させた後面板材30と、前記上面板材10の両側端14からそれぞれ下方に延出させた一対の側面板材40と、前記後面板材30の下端31から後方に延出させて前記野地板1に当接させる後方当接板材50と、一対の前記側面板材40の下端から側方に延出させて前記野地板1に当接させる一対の側方当接板材60とを有し、前記上面板材10の前端12を、前記水下側横葺き金属屋根材2xの水下側後端部2xcの上方に配置し、前記後面板材30を前記通気口5の水上側に配置し、一対の前記側面板材40を前記通気口5の両側方に配置し、前記上面板材10と前記水下側後端部2xcとの間を通気開口11とすることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材100において、一対の前記側面板材40を、前記上面板材10の側方後側に形成し、前記上面板材10の側方前側を側方通気開口15とすることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の金属屋根材用野地面換気部材100において、前記後方当接板材50には、前記通気口5の幅と同一寸法の開口マーキングガイド52を設けたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材100において、一対の前記側面板材40の前下端41を、前記水下側後端部2xcに当接させることで前記通気口5の形成位置決め基準として用いることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項3又は請求項4に記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材100において、前記後方当接板材50の両端部には、後方への延出寸法が長い一対の耳面51を設け、前記開口マーキングガイド52を、一対の前記耳面51の間に設けたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材100において、一対の前記耳面51の間に、位置決め突片70を設け、前記位置決め突片70は、前記後方当接板材50に重ねて設けられるとともに、一部を折り曲げ可能に形成されていることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項5記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の施工方法であって、一対の前記側面板材40の前記前下端41を、前記水下側横葺き金属屋根材2xの前記水下側後端部2xcに当接させた状態で、前記開口マーキングガイド52を用いて前記通気口5の位置情報85をマーキングするマーキング工程と、前記マーキング工程の後に、マーキングされた前記位置情報85を基に前記通気口5を形成する通気口形成工程と、前記通気口形成工程の後に、前記通気口5の上方に前記上面板材10を位置させる位置決め工程と、前記位置決め工程の後に、前記後方当接板材50及び一対の前記側方当接板材60を前記野地板1に取り付ける取付工程とを有することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項6記載の横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の施工方法であって、一対の前記側面板材40の前記前下端41を、前記水下側横葺き金属屋根材2xの前記水下側後端部2xcに当接させた状態で、前記開口マーキングガイド52を用いて前記通気口5の位置情報85をマーキングするマーキング工程と、前記マーキング工程の後に、マーキングされた前記位置情報85を基に前記通気口5を形成する通気口形成工程と、前記マーキング工程の後に、前記位置決め突片70を折り曲げる位置決め突片準備工程と、前記通気口形成工程の後に、折り曲げられた前記位置決め突片70を前記通気口5に位置させ、前記通気口5の上方に前記上面板材10を位置させる位置決め工程と、前記ユニット位置決め工程の後に、前記後方当接板材50及び一対の前記側方当接板材60を前記野地板1に取り付ける取付工程とを有することを特徴とする。
請求項9記載の本発明の横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の施工方法は、建造物の勾配屋根における横葺き金属屋根材2と前記建造物の野地板1との間に設置される横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の施工方法であり、前記横葺き金属屋根材2が、前記野地板1に当接する尻部2aと、前記尻部2aの水上側で立ち上げた水返し部2bと、前記水返し部2bの水上側で前記野地板1に当接する後端部2cと、前記尻部2aより水下側に位置する頭見付部2dと、前記尻部2aから前記頭見付部2dまでの間に形成される上面材2eとで構成され、前記横葺き金属屋根材2の前記頭見付部2dを、前記横葺き金属屋根材2の水下側に配置される水下側横葺き金属屋根材2xの水下側水返し部2xbに当接させ、前記横葺き金属屋根材2の前記水返し部2bには、前記横葺き金属屋根材2の水上側に配置される水上側横葺き金属屋根材2yの水上側頭見付部2ydが当接されることで、前記横葺き金属屋根材2、前記水下側横葺き金属屋根材2x、及び前記水上側横葺き金属屋根材2yが前記勾配屋根に配置され、前記横葺き金属屋根材2で覆われる前記野地板1に通気口5を形成し、前記通気口5を覆う位置に配置する横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の施工方法であって、前記横葺き金属屋根材用野地面換気部材100が、前記野地板1との間に所定空間を形成する上面板材10と、前記上面板材10の後端13から下方に延出させた後面板材30と、前記上面板材10の両側端14からそれぞれ下方に延出させた一対の側面板材40と、前記後面板材30の下端31から後方に延出させて前記野地板1に当接させる後方当接板材50と、一対の前記側面板材40の下端から側方に延出させて前記野地板1に当接させる一対の側方当接板材60とを有し、前記勾配屋根の垂木3の位置を検出する垂木位置検出工程と、前記垂木位置検出工程で検出した一対の前記垂木3の間の中心位置83をマーキングする通気口位置仮決め工程と、前記通気口位置仮決め工程で決定した前記中心位置83を基準に、前記水下側横葺き金属屋根材2xの前記水下側後端部2xcを、潰して前記野地板1に当接させるとともに屋根材留め付けビス6で留め付ける屋根材後端部処理工程と、一対の前記側面板材40の前下端41を、前記水下側横葺き金属屋根材2xの前記水下側後端部2xcに当接させた状態で、開口マーキングガイド52を用いて前記通気口5の位置情報85をマーキングするマーキング工程と、前記マーキング工程の後に、マーキングされた前記位置情報85を基に前記通気口5を形成する通気口形成工程と、前記通気口形成工程の後に、前記通気口5の上方に前記上面板材10を位置させる位置決め工程と、前記位置決め工程の後に、前記後方当接板材50及び一対の前記側方当接板材60を前記野地板1に取り付ける取付工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の横葺き金属屋根材用野地面換気部材によれば、上面板材の前端を、水下側横葺き金属屋根材の水下側後端部の上方に配置し、上面板材と水下側後端部との間を通気開口とすることで、野地面から横葺き金属屋根材までの限られた高さを有効に利用して開口面積を確保できるとともに、通気口から雨水が浸入することがなく防水性能にも優れている。
また本発明の横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法によれば、野地板への通気口の形成が容易であり施工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による横葺き金属屋根材用野地面換気部材及び横葺き金属屋根材を示す側断面図
【
図2】同横葺き金属屋根材用野地面換気部材を示す斜視図
【
図3】同横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法における垂木位置検出工程及び通気口位置仮決め工程を示す説明図
【
図4】同施工方法における屋根材後端部処理工程を示す説明図
【
図5】同施工方法におけるマーキング工程を示す説明図
【
図6】同施工方法における通気口形成工程を示す説明図
【
図7】同施工方法における位置決め突片準備工程、位置決め工程、及び取付工程を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材は、野地板との間に所定空間を形成する上面板材と、上面板材の後端から下方に延出させた後面板材と、上面板材の両側端からそれぞれ下方に延出させた一対の側面板材と、後面板材の下端から後方に延出させて野地板に当接させる後方当接板材と、一対の側面板材の下端から側方に延出させて野地板に当接させる一対の側方当接板材とを有し、上面板材の前端を、水下側横葺き金属屋根材の水下側後端部の上方に配置し、後面板材を通気口の水上側に配置し、一対の側面板材を通気口の両側方に配置し、上面板材と水下側後端部との間を通気開口とするものである。本実施の形態によれば、上面板材の前端を、水下側横葺き金属屋根材の水下側後端部の上方に配置し、上面板材と水下側後端部との間を通気開口とすることで、野地板から横葺き金属屋根材までの限られた高さを有効に利用して開口面積を確保できるとともに、通気口から雨水が浸入することがなく防水性能にも優れている。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材において、一対の側面板材を、上面板材の側方後側に形成し、上面板材の側方前側を側方通気開口とするものである。本実施の形態によれば、上面板材の側方前側を側方通気開口とすることで、仮に上面板材の前面側の通気開口の一部が閉塞されることで開口面積が十分でない状況になっても、換気性能を低下させることがない。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材において、後方当接板材には、通気口の幅と同一寸法の開口マーキングガイドを設けたものである。本実施の形態によれば、幅寸法を間違えることなく通気口を形成することができ、施工性に優れている。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材において、一対の側面板材の前下端を、水下側後端部に当接させることで通気口の形成位置決め基準として用いるものである。本実施の形態によれば、一対の側面板材の前下端を、通気口の形成位置決め基準として用いることができ、施工性が高まる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第3又は第4の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材において、後方当接板材の両端部には、後方への延出寸法が長い一対の耳面を設け、開口マーキングガイドを、一対の耳面の間に設けたものである。本実施の形態によれば、一対の耳面の間に開口マーキングガイドを設けることで、幅方向の寸法のマーキング間違いをなくすことができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材において、一対の耳面の間に、位置決め突片を設け、位置決め突片は、後方当接板材に重ねて設けられるとともに、一部を折り曲げ可能に形成されているものである。本実施の形態によれば、位置決め突片によって通気口への位置決めを正確に行え、施工性に優れている。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第5の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法において、一対の側面板材の前下端を、水下側横葺き金属屋根材の水下側後端部に当接させた状態で、開口マーキングガイドを用いて通気口の位置情報をマーキングするマーキング工程と、マーキング工程の後に、マーキングされた位置情報を基に通気口を形成する通気口形成工程と、通気口形成工程の後に、通気口の上方に上面板材を位置させる位置決め工程と、位置決め工程の後に、後方当接板材及び一対の側方当接板材を野地板に取り付ける取付工程とを有するものである。本実施の形態によれば、通気口の形成が容易であり施工性に優れている。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第6の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法において、一対の側面板材の前下端を、水下側横葺き金属屋根材の水下側後端部に当接させた状態で、開口マーキングガイドを用いて通気口の位置情報をマーキングするマーキング工程と、マーキング工程の後に、マーキングされた位置情報を基に通気口を形成する通気口形成工程と、マーキング工程の後に、位置決め突片を折り曲げる位置決め突片準備工程と、通気口形成工程の後に、折り曲げられた位置決め突片を通気口に位置させ、通気口の上方に上面板材を位置させる位置決め工程と、ユニット位置決め工程の後に、後方当接板材及び一対の側方当接板材を野地板に取り付ける取付工程とを有するものである。本実施の形態によれば、通気口の形成及び位置決めが容易であり、施工性に優れている。
【0017】
本発明の第9の実施の形態による横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法は、勾配屋根の垂木の位置を検出する垂木位置検出工程と、垂木位置検出工程で検出した一対の垂木の間の中心位置をマーキングする通気口位置仮決め工程と、通気口位置仮決め工程で決定した中心位置を基準に、水下側横葺き金属屋根材の水下側後端部を、潰して野地板に当接させるとともに屋根材留め付けビスで留め付ける屋根材後端部処理工程と、一対の側面板材の前下端を、水下側横葺き金属屋根材の水下側後端部に当接させた状態で、開口マーキングガイドを用いて通気口の位置情報をマーキングするマーキング工程と、マーキング工程の後に、マーキングされた位置情報を基に通気口を形成する通気口形成工程と、通気口形成工程の後に、通気口の上方に上面板材を位置させる位置決め工程と、位置決め工程の後に、後方当接板材及び一対の側方当接板材を野地板に取り付ける取付工程とを有するものである。本実施の形態によれば、通気口の形成及び位置決めが容易であり、施工性に優れている。
【実施例0018】
以下本発明の一実施例による横葺き金属屋根材用野地面換気部材について説明する。
図1は本実施例による横葺き金属屋根材用野地面換気部材及び横葺き金属屋根材を示す側断面図であり、
図1(a)は同横葺き金属屋根材用野地面換気部材を施工した状態、
図1(b)は同横葺き金属屋根材用野地面換気部材が施工されていない状態、
図1(c)は施工状態での1つの横葺き金属屋根材、
図1(d)は施工前の状態での1つの横葺き金属屋根材を示している。
【0019】
図1(a)に示すように、本実施例による横葺き金属屋根材用野地面換気部材100は、建造物の勾配屋根における野地板1と横葺き金属屋根材2との間に設置される。横葺き金属屋根材2で覆われる野地板1には通気口5が形成され、横葺き金属屋根材用野地面換気部材100は、通気口5を覆う位置に配置する。
横葺き金属屋根材用野地面換気部材100は、野地板1との間に所定空間を形成する上面板材10と、上面板材10の後端13から下方に延出させた後面板材30と、後面板材30の下端31から後方に延出させて野地板1に当接させる後方当接板材50とを有している。
【0020】
図1(b)に示すように、横葺き金属屋根材2、横葺き金属屋根材2の水下側に配置される水下側横葺き金属屋根材2x、及び横葺き金属屋根材2の水上側に配置される水上側横葺き金属屋根材2yが勾配屋根に配置される。
図1(c)及び
図1(d)に示すように、横葺き金属屋根材2は、野地板1に当接する尻部2aと、尻部2aの水上側で立ち上げた水返し部2bと、水返し部2bの水上側で野地板1に固定される後端部2cと、尻部2aより水下側に位置する頭見付部2dと、尻部2aから頭見付部2dまでの間に形成される上面材2eとで構成されている。
横葺き金属屋根材2は、頭見付部2dの高さをH、上面材2eの働き長さをLaとすると、La×0.06<H<La×0.04であり、
図1(c)及び
図1(d)では、H=La×0.04の横葺き金属屋根材2を示している。すなわち、Lが370mmであれば、Hは15mmである。
また、頭見付部2dから通気口5の水上側端部までの長さをLb、通気口5の水下側端部から水上側端部までの長さをWとすると、La×0.15<Lb<La×0.27であり、
図1(a)ではLb=La×0.24の横葺き金属屋根材2と横葺き金属屋根材用野地面換気部材100と通気口5との位置関係を示している。すなわち、Lが370mmであれば、Lbは89mmである。
【0021】
水下側横葺き金属屋根材2x及び水上側横葺き金属屋根材2yについても横葺き金属屋根材2と同一構成であり、以下の説明では、例えば、水下側横葺き金属屋根材2xの水下側水返し部2xbは、横葺き金属屋根材2の水返し部2bに対応し、水返し部2bと同一構成である。
図1(b)に示すように、横葺き金属屋根材2の頭見付部2dを、水下側横葺き金属屋根材2xの水下側水返し部2xbに当接させ、横葺き金属屋根材2の水返し部2bには、水上側横葺き金属屋根材2yの水上側頭見付部2ydが当接される。
図1(a)に示すように、水下側横葺き金属屋根材2xの水下側後端部2xcは、屋根材留め付けビス6によって野地板1に留め付けられる。また、横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の後方当接板材50は、換気部材留め付けビス7によって野地板1に留め付けられる。また、横葺き金属屋根材2の頭見付部2dと水下側横葺き金属屋根材2xの水下側水返し部2xbとは、屋根材連結留め付けビス8によって留め付けられる。
横葺き金属屋根材用野地面換気部材100は、上面板材10の前端12が水下側横葺き金属屋根材2xの水下側後端部2xcの上方に配置し、後面板材30を通気口5の水上側に配置し、上面板材10と水下側後端部2xcとの間を通気開口11としている。
【0022】
図2は同横葺き金属屋根材用野地面換気部材を示す斜視図である。
横葺き金属屋根材用野地面換気部材100は、上面板材10と、後面板材30と、上面板材10の両側端14からそれぞれ下方に延出させた一対の側面板材40と、後面板材30の下端から後方に延出させて野地板1に当接させる後方当接板材50と、一対の側面板材40の下端から側方に延出させて野地板1に当接させる一対の側方当接板材60とを有している。
【0023】
一対の側面板材40は、通気口5の両側方に配置される。一対の側面板材40は、上面板材10の側方後側に形成し、上面板材10の側方前側を側方通気開口15としている。このように、上面板材10の側方前側を側方通気開口15とすることで、仮に上面板材10の前面側の通気開口11の一部が閉塞されることで開口面積が十分でない状況になっても、換気性能を低下させることがない。
一対の側面板材40の前下端41は、後述するように、水下側後端部2xcに当接させることで通気口5の形成位置決め基準として用いる。
後方当接板材50の両端部には、後方への延出寸法が長い一対の耳面51を設けている。一対の耳面51の間には、通気口5の幅と同一寸法の開口マーキングガイド52を設けている。一対の耳面51の間には、位置決め突片70を設けている。位置決め突片70は、後方当接板材50に重ねて設けている。位置決め突片70は、施工時には通気口5の方向に折り曲げ、折り曲げた部分を通気口5に位置させて使用する。
本実施例によれば、上面板材10の前端12を、水下側横葺き金属屋根材2xの水下側後端部2xcの上方に配置し、上面板材10と水下側後端部2xcとの間を通気開口11とすることで、野地板1から横葺き金属屋根材2までの限られた高さを有効に利用して開口面積を確保できるとともに、通気口5から雨水が浸入することがなく防水性能にも優れている。
【0024】
図3から
図7は同横葺き金属屋根材用野地面換気部材の施工方法を示す図である。
図3は垂木位置検出工程及び通気口位置仮決め工程を示す説明図である。
図3(a)に示すように、勾配屋根の野地板1に沿って垂木センサー81を移動させ、垂木3の位置を検出する。垂木3の位置を検出すると、
図3(b)に示すように、垂木3の位置に目印82を付ける(垂木位置検出工程)。
図3(c)は、通気口位置仮決め工程を示しており、垂木位置検出工程で検出した一対の垂木3の間の中心位置83をマーキングする。
【0025】
図4は屋根材後端部処理工程を示す説明図である。
図4(a)に示すように、通気口位置仮決め工程で決定した中心位置83を基準に、水下側横葺き金属屋根材2xの水下側後端部2xcを、ハンマー84を用いて潰して野地板1に当接させる。水下側後端部2xcの潰す範囲Sは、横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の幅程度である。
そして
図4(b)に示すように、潰して野地板1に当接させた水下側後端部2xcを、野地板1に屋根材留め付けビス6で留め付ける。
【0026】
図5はマーキング工程を示す説明図である。
図5(a)に示すように、横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の一対の側面板材40の前下端41を、水下側横葺き金属屋根材2xの水下側後端部2xcに当接させる。この状態で、開口マーキングガイド52を用いて通気口5の位置情報85をマーキングする。
そして
図5(b)に示すように、横葺き金属屋根材用野地面換気部材100を、水下側横葺き金属屋根材2xにずらし、位置情報85を基に、開口マーキングガイド52を用いて通気口5の開口形状86をマーキングする。
開口マーキングガイド52は、一対の耳面51の間に設けているので、位置情報85をマーキングするにあたって、幅方向の寸法のマーキング間違いをなくすことができる。
【0027】
図6は通気口形成工程を示す説明図である。
開口形状86をマーキングした後に、横葺き金属屋根材用野地面換気部材100を野地板1から取り除き、
図6に示すように、位置情報85や開口形状86を基に通気口5を形成する。
【0028】
図7は位置決め突片準備工程、位置決め工程、及び取付工程を示す説明図である。
マーキング工程の後に、
図7(a)に示すように、位置決め突片70を折り曲げる。
通気口形成工程及び位置決め突片準備工程の後に、折り曲げられた位置決め突片70を通気口5に位置させ、通気口5の上方に上面板材10を位置させる(位置決め工程)。
そして、位置決め工程の後に、後方当接板材50及び一対の側方当接板材60を、換気部材留め付けビス7を用いて野地板1に取り付ける(取付工程)。
【0029】
このように、本実施例の施工方法によれば、通気口5の形成及び通気口5に対する横葺き金属屋根材用野地面換気部材100の位置決めが容易であり、施工性に優れている。