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  • 特開-測定データ送信システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124141
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】測定データ送信システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220818BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20220818BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20220818BHJP
   G01K 1/024 20210101ALI20220818BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G08C15/00 E
G08C15/06 F
G01K1/024
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021734
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
2F056
2F073
2G024
【Fターム(参考)】
2F056AE01
2F056AE05
2F056AE07
2F056CA15
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA12
2F073AB01
2F073AB05
2F073BB01
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CD11
2F073DD05
2F073DD07
2F073EE11
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG08
2G024AD12
2G024AD33
2G024BA12
2G024BA27
2G024CA13
2G024CA26
2G024EA11
2G024EA13
2G024FA01
2G024FA11
(57)【要約】
【課題】複数のスチームトラップそれぞれの作動状態を示す測定データをサーバに送信することができる安価な構成の測定データ送信システムを提供する。
【解決手段】測定データ送信システムは、複数のスチームトラップのそれぞれに設置された複数の測定装置とサーバとを備え、各測定装置は、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信部と、設置先のスチームトラップの作動状態を測定する測定処理を行う測定部と、前記測定部に前記測定処理を行わせ、当該測定処理で測定された前記作動状態を示す測定データを前記リレー機能を用いて前記サーバに送信する測定送信処理を行う処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスチームトラップのそれぞれに設置された複数の測定装置とサーバとを備え、
各測定装置は、
フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信部と、
設置先のスチームトラップの作動状態を測定する測定処理を行う測定部と、
前記測定部に前記測定処理を行わせ、当該測定処理で測定された前記作動状態を示す測定データを前記リレー機能を用いて前記サーバに送信する測定送信処理を行う処理部と、
を備える測定データ送信システム。
【請求項2】
前記処理部は、所定時刻に前記測定送信処理を開始し、前記測定送信処理の開始時点から所定時間経過した後に、前記各測定装置をスリープ状態にする、
請求項1に記載の測定データ送信システム。
【請求項3】
前記測定部は、前記測定処理において、前記設置先のスチームトラップの温度及び振動を前記作動状態として測定する、
請求項1又は2に記載の測定データ送信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームトラップの作動状態の測定データを送信する測定データ送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となる。このため、一般には、配管系の適所にスチームトラップを設置し、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
【0003】
経年劣化又は作動不良等によってスチームトラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気がスチームトラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。このため、定期的に、下記特許文献1等に開示のような検査器を用いて、スチームトラップの温度及び振動を測定し、これらの測定データと、閾値等の必要情報とに基づいて、各スチームトラップの作動状態を診断する作業が行われる。
【0004】
しかし、大規模なプラントでは数千個から数万個のスチームトラップが設置されている場合がある。この場合、作業者による手作業での各スチームトラップの作動状態の診断には多大な時間を要する。このため、各スチームトラップに当該スチームトラップの作動状態を測定する測定装置を常設し、当該測定装置から定期的にサーバに測定データを無線送信し、サーバにおいて、各スチームトラップの作動状態を診断するシステムを採用するプラントも存在する。
【0005】
上記システムを構築するに当たり、各測定装置の設置環境やコストを考慮すると、遠距離無線通信可能な通信回路を各測定装置に搭載することは困難である。このため、上記システムは、一般的に、所謂ルーティッド型メッシュネットワークの構成が採用されている。具体的には、近距離間に設置されている複数の測定装置をグループ化し、グループ毎に遠距離無線通信可能な中継装置を設ける。そして、各中継装置が、各グループに属する複数の測定装置から測定データを受信し、当該受信した測定データを集約し、一以上の他のグループの中継装置を介して又は介さずに、サーバに転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2954183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のシステム構成では、各中継装置は、各グループ内の複数の測定装置から送信されてくる測定データを逐次受信する必要があり、常時稼働するために多大な電力を要する。このため、各中継装置に電力を供給する太陽光発電機や大容量のバッテリー等の高価な電力供給設備を設けるためのコストが必要になる。更には、複数の測定装置だけでなく、中継装置及び電力供給設備等の別の装置の管理や運用にもコストが必要となる。その結果、作業者が手作業で診断を行う場合と比較してコスト面で採算が合わない虞があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、複数のスチームトラップそれぞれの作動状態を示す測定データをサーバに送信することができる安価な構成の測定データ送信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る測定データ送信システムは、複数のスチームトラップのそれぞれに設置された複数の測定装置とサーバとを備え、各測定装置は、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信部と、設置先のスチームトラップの作動状態を測定する測定処理を行う測定部と、前記測定部に前記測定処理を行わせ、当該測定処理で測定された前記作動状態を示す測定データを前記リレー機能を用いて前記サーバに送信する測定送信処理を行う処理部と、を備える。
【0010】
この態様によれば、各測定装置の通信部が有するフラッド型メッシュネットワークのリレー機能によって、各測定装置の設置先のスチームトラップの作動状態を示す測定データを他の測定装置に転送することを繰り返すことができる。これにより、各測定装置の設置先のスチームトラップの作動状態を示す測定データを、一以上の測定装置の通信部を介して又は介さずに、サーバに送信することができる。
【0011】
このため、本態様は、従来の所謂ルーティッド型メッシュネットワークの構成が採用されたシステムでは必要であった、中継装置や電力供給設備等の測定装置とは別の装置を設けるためのコストを削減できる。更には、当該別の装置の管理及び運用に要するコストも削減できる。このように、本態様は、従来よりも安価な構成で、複数のスチームトラップそれぞれの作動状態を示す測定データをサーバに送信することができる。
【0012】
上記態様において、前記処理部は、所定時刻に前記測定送信処理を開始し、前記測定送信処理の開始時点から所定時間経過した後に、前記各測定装置をスリープ状態にする。
【0013】
この態様によれば、各測定装置は、所定時刻から所定時間の間だけ測定送信処理を行い、当該所定時間を除く時間はスリープ状態となる。このため、各測定装置の通信部がリレー機能において、他の測定装置から転送される測定データを受信し、転送するために必要な電力を、所定時間の間だけに制限することができる。
【0014】
上記態様において、前記測定部は、前記測定処理において、前記設置先のスチームトラップの温度及び振動を前記作動状態として測定する。
【0015】
この態様によれば、各測定装置によって測定された設置先の各スチームトラップの温度及び振動を示すデータが、当該スチームトラップの作動状態を示す測定データとして、サーバに送信される。これにより、サーバでは、例えば、複数の測定装置から受信した測定データが示す、当該複数の測定装置の設置先の複数のスチームトラップの温度及び振動に基づき、当該複数のスチームトラップの作動状態を診断することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のスチームトラップそれぞれの作動状態を示す測定データをサーバに送信することができる安価な構成の測定データ送信システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】測定データ送信システムの全体構成を示す図である。
図2】測定装置及びサーバの構成を示すブロック図である。
図3】測定装置における測定データの送信処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。尚、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0019】
<システムの構成>
図1は、測定データ送信システム100の全体構成を示す図である。測定データ送信システム100は、複数の測定装置1と、サーバ2と、を備えている。
【0020】
複数の測定装置1及びサーバ2は、Bluetooth(登録商標) Mesh等の近距離無線通信を行う機能を備え、所謂フラッド型ネットワークを構成している。
【0021】
複数の測定装置1は、蒸気配管系を備えたプラント等の配管系の適所に設置された複数のスチームトラップのそれぞれに常設(設置)されている。各測定装置1は、設置先のスチームトラップの作動状態を測定し、当該測定した作動状態を示す測定データと当該測定データの送信先であるサーバ2を示す宛先情報等を含むパケットを、フラッド型ネットワークのリレー機能を用いて、一以上の測定装置1を介して又は介さずに、サーバ2まで転送する。
【0022】
フラッド型メッシュネットワークとは、洪水型メッシュネットワークとも呼ばれ、メッシュ状に配置された各装置(以降、ノード)が、洪水のようにデータを逐次他のノードに伝達するネットワークである。具体的には、フラッド型メッシュネットワークに属する各ノードは、リレー機能を有している。リレー機能とは、送信対象のデータと当該データの送信先の宛先情報とを含むパケットをブロードキャストし、更に、他のノードがブロードキャストしたパケットを受信し、当該受信したパケットを更にブロードキャスト(転送)する機能である。
【0023】
尚、キャッチボールのように、特定の複数のノード間でパケットの送受信が繰り返されると、パケットが宛先まで到達しない。これを回避するため、リレー機能では、一度受信したパケットは一時的に記憶(キャッシュ)される。また、リレー機能では、当該記憶されているパケットと同じパケットが受信された場合、その受信されたパケットは、ブロードキャストされずに破棄される。
【0024】
例えば、図1は、左下端の測定装置1が、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を用いて、サーバ2宛にデータを送信する例を示している。図1の白矢印部に示すように、左下端の測定装置1から送信されたパケットは、複数のノードでブロードキャストされ、サーバ2まで伝達される。
【0025】
サーバ2は、複数の測定装置1のそれぞれから受信したパケットに含まれる測定データ等に基づき、各測定装置1の設置先のスチームトラップの作動状態を診断する。また、サーバ2は、各測定装置1の設置先のスチームトラップの識別情報と、当該診断の結果を示す診断データと、当該診断に用いられた測定データと、を対応付けて記憶することで、複数のスチームトラップの作動状態を管理する。
【0026】
次に、測定装置1及びサーバ2の構成について詳述する。図2は、測定装置及びサーバの構成を示すブロック図である。
【0027】
測定装置1は、温度センサ11、振動センサ12、電源部13、通信部14及び制御部15を備えている。
【0028】
温度センサ11は、熱電対、増幅回路及びAD変換回路等を用いて構成されている。温度センサ11は、設置先のスチームトラップ(以降、対象スチームトラップ)の入口部(一次側)等に設置され、対象スチームトラップの温度を測定し、その測定結果を示す温度データを制御部15に出力する。
【0029】
振動センサ12は、圧電素子、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。振動センサ12は、対象スチームトラップの排出部(二次側)等に設置され、対象スチームトラップの振動を測定し、その測定結果を示す振動データを制御部15に出力する。
【0030】
電源部13は、リチウムイオン等の二次電池によって構成されている。電源部13は、測定装置1内の各部に電力を供給する。
【0031】
通信部14は、Bluetooth(登録商標) Mesh ネットワーク等のフラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信回路を用いて構成されている。通信部14は、制御部15による制御の下、リレー機能を用いて、指示された送信データを指示された宛先に送信する。
【0032】
具体的には、通信部14が有するリレー機能では、図1を用いて上述したように、制御部15から指示された送信データと、例えばIPアドレス等の制御部15から指示された当該送信データの宛先を示す情報(以降、宛先情報)と、を含むデータパケットをブロードキャストする。また、リレー機能では、他の測定装置1の通信部14がブロードキャストしたパケットを受信し、当該受信したパケットを更にブロードキャストする。また、リレー機能は、一度受信したパケットを通信部14に内蔵された不図示のメモリ等に一時的に記憶(キャッシュ)し、当該記憶されたパケットと同じパケットを受信した場合、そのパケットをブロードキャストしないように構成されている。
【0033】
制御部15は、CPU等を用いて構成されている。制御部15は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、測定部151及び処理部152を有している。
【0034】
測定部151は、対象スチームトラップの作動状態として、対象スチームトラップの温度及び振動を測定する測定処理を行う。
【0035】
具体的には、測定部151は、測定処理において、対象スチームトラップの温度を温度センサ11に測定させ、温度センサ11が出力した対象スチームトラップの温度を示す温度データを取得する。また、測定部151は、測定処理において、対象スチームトラップの振動を振動センサ12に測定させ、振動センサ12が出力した対象スチームトラップの振動を示す振動データを取得する。尚、測定部151は、これに限らず、測定処理において、対象スチームトラップの温度及び振動のうちの一方だけを、対象スチームトラップの作動状態として測定するようにしてもよい。
【0036】
処理部152は、測定部151に測定処理を行わせ、当該測定処理で測定された対象スチームトラップの作動状態を示す測定データを、通信部14のリレー機能を用いて、サーバ2に送信する測定送信処理を行う。
【0037】
具体的には、測定送信処理において、処理部152は、測定処理で対象スチームトラップの作動状態として測定された対象スチームトラップの温度及び湿度を示す温度データ及び振動データを取得する。そして、処理部152は、当該取得した温度データ及び振動データを対象スチームトラップの作動状態を示す測定データとし、当該測定データと、対象スチームトラップの識別情報と、測定処理を実行した日時を示すデータと、サーバ2を示す宛先情報と、を含むパケットを、通信部14のリレー機能によってブロードキャストさせる。尚、測定処理を実行した日時とは、測定処理を開始した日時であってもよいし、温度データ及び振動データを共に取得し終えた時点の日時であってもよい。
【0038】
処理部152は、所定の起動時刻(所定時刻)(例えば、13時)に測定送信処理を開始し、測定送信処理の開始時点から所定時間(例えば、10秒)経過した後に、測定装置1をスリープ状態にする。スリープ状態とは、電源部13から温度センサ11、振動センサ12及び通信部14への電力供給が遮断された状態を示す。
【0039】
サーバ2は、操作部21、表示部22、通信部23、記憶部24及び制御部25を備えている。
【0040】
操作部21は、作業者が各種の情報を入力するためのキーボード又はマウス等によって構成されている。表示部22は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部21と表示部22とが一体的に構成されてもよい。尚、サーバ2は、操作部21及び表示部22を備えない簡素化した構成であってもよい。
【0041】
通信部23は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信に対応した通信回路を用いて構成されている。通信部23は、測定データ送信システム100が備える複数の測定装置1のそれぞれが通信部14のリレー機能を用いてブロードキャストしたパケットを、一以上の他の測定装置1の通信部14を介して受信する。また、通信部23は、サーバ2の近傍に存在する何れかの測定装置1の通信部14がブロードキャストしたパケットを、当該測定装置1とは他の測定装置1を介さずに、直接的に受信する。
【0042】
通信部23は、受信したパケットに含まれる測定データ、対象スチームトラップの識別情報及び測定処理が実行された日時を示すデータを制御部25に出力する。尚、通信部23は、更に、インターネット、LAN、携帯電話網等のネットワークを介して遠距離通信を行う通信回路を有していてもよい。
【0043】
記憶部24は、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。
【0044】
制御部25は、CPU等を用いて構成されている。制御部25は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって、通信部23が複数の測定装置1のそれぞれから受信したパケットに含まれる測定データ等に基づき、当該パケットに含まれる識別情報が示す対象スチームトラップの作動状態を診断する。以降、通信部23が複数の測定装置1のそれぞれから受信したパケットに含まれる識別情報が示す対象スチームトラップを、測定データに対応する対象スチームトラップと記載する。
【0045】
例えば、制御部25は、測定データに含まれる温度データと所定の温度閾値とを比較し、測定データに含まれる振動データと所定の振動閾値とを比較する。制御部25は、これら二つの比較結果の組合せに応じて、測定データに対応する対象スチームトラップが正常であるか異常(蒸気漏出、ドレン排出不良、又は閉塞)であるかを診断する。
【0046】
尚、温度閾値は、測定データに対応する対象スチームトラップの温度が高温であるか低温であるかを診断するために用いられる閾値であり、記憶部24に予め記憶されている。振動閾値は、高温又は低温であると診断された対象スチームトラップが、正常状態、蒸気漏出状態、ドレン排出不良状態及び閉塞状態のうちの何れの状態であるかを診断するために用いられる閾値であり、記憶部24に予め記憶されている。
【0047】
制御部25は、測定データに対応する対象スチームトラップの識別情報と、上記の診断に用いた測定データと、上記の診断の結果を示す診断データと、を対応付けて記憶部24に記憶する。診断データには、制御部25が診断を行った日時を示すデータ、測定データに対応する対象スチームトラップの温度が高温であるか低温であるかを示すデータ、測定データに対応する対象スチームトラップが、正常状態、蒸気漏出状態、ドレン排出不良状態又は閉塞状態であることを示すデータが含まれる。
【0048】
尚、制御部25は、作業者が操作部21を用いて所定の操作を行った場合に、記憶部24に記憶されている、当該操作によって指示されたスチームトラップの識別情報と、これに対応付けられた計測データ及び診断データのうちの少なくとも一方と、を表示部22に表示するように構成してもよい。
【0049】
また、通信部23が、インターネット、LAN、携帯電話網等のネットワークを介して遠距離通信を行う通信回路を有している場合、制御部25は、通信部23を介して外部装置から要求されたスチームトラップの測定データ及び診断データのうちの少なくとも一方を記憶部24から取得して、当該外部装置に返信するようにしてもよい。
【0050】
次に、測定装置1における測定データの送信処理の流れについて説明する。図3は、測定装置1における測定データの送信処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
処理部152は、所定の起動時刻(例えば、13時)になると(ステップS101でYES)、電源部13を制御して、測定装置1のスリープ状態を解除する(ステップS102)。具体的には、ステップS102において、処理部152は、電源部13から、温度センサ11、振動センサ12、通信部14に対して電力の供給を開始させることにより、測定装置1のスリープ状態を解除する。これにより、通信部14は、リレー機能を使用可能となり、他の測定装置1の通信部14のリレー機能によってブロードキャストされたパケットを受信可能な状態となる。
【0052】
次に、処理部152は、ステップS103及びステップS104から成る測定送信処理を実行する。具体的には、ステップS103では、処理部152は、測定部151に測定処理を実行させる(ステップS103)。次に、処理部152は、ステップS103の測定処理で測定された対象スチームトラップの温度及び振動を示す測定データを通信部14のリレー機能を用いてサーバ2に送信する(ステップS104)。
【0053】
これにより、複数の測定装置1のそれぞれにおいて、略同時刻に通信部14のリレー機能によって、ステップS103の測定処理で測定された対象スチームトラップの温度及び振動を示す測定データとサーバ2を示す宛先情報とを含むパケットがブロードキャストされる。また、他の測定装置1からパケットが受信され、当該受信されたパケットがブロードキャストされる。その結果、複数の測定装置1のそれぞれからブロードキャストされたパケットに含まれる測定データが、一以上の他の測定装置1を介して又は介さずにサーバ2に送信される。
【0054】
その後、処理部152は、測定送信処理を開始した時点から所定時間(例えば、10秒)が経過していない間(ステップS105でNO)、ステップS103及びステップS104から成る測定送信処理を実行する。尚、測定送信処理を開始した時点とは、ステップS103の測定処理を開始した時点を示す。一方、処理部152は、測定送信処理を開始した時点から所定時間が経過すると(ステップS105でYES)、測定装置1をスリープ状態にする(ステップS106)。
【0055】
これにより、複数の測定装置1のそれぞれにおいて、通信部14のリレー機能が使用されなくなり、測定データとサーバ2を示す宛先情報とを含むパケットのブロードキャストが行われなくなる。また、他の測定装置1でブロードキャストされたパケットが受信されなくなる。その結果、各測定装置1の通信部14がリレー機能において、他の測定装置1から転送される測定データを受信し、ブロードキャストするために必要な電力を所定時間の間だけに制限することができ、通信部14による消費電力を低減できる。このため、電源部13を安価な構成にすることができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、各測定装置1の通信部14が有するフラッド型メッシュネットワークのリレー機能によって、対象スチームトラップの作動状態を示す測定データを他の測定装置1に転送することを繰り返すことができる。これにより、各測定装置1の設置先のスチームトラップの作動状態を示す測定データを、一以上の測定装置1の通信部14を介して又は介さずに、サーバ2に送信することができる。
【0057】
このため、本実施の形態によれば、従来の所謂ルーティッド型メッシュネットワークの構成が採用されたシステムでは必要であった、中継装置や電力供給設備等の測定装置1とは別の装置を設けるためのコストを削減できる。更には、当該別の装置の管理及び運用に要するコストも削減できる。このように、本実施の形態によれば、従来よりも安価な構成で、複数のスチームトラップそれぞれの作動状態を示す測定データをサーバ2に送信することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 :測定装置
11 :温度センサ
12 :振動センサ
13 :電源部
14 :通信部
15 :制御部
151 :測定部
152 :処理部
100 :測定データ送信システム
2 :サーバ
図1
図2
図3