(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124174
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
F16T 1/48 20060101AFI20220818BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20220818BHJP
【FI】
F16T1/48 C
F16T1/48 D
G01R31/52
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021782
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA03
2G014AB29
2G014AC17
(57)【要約】
【課題】電気回路のパーシャルショートが発生した場合であっても、電気回路からの発煙を抑制又は回避することが可能な計測装置を得る。
【解決手段】電源回路2は、電池61と、電池61と電気回路3との間に接続された電源IC64と、電池61から電源IC64に流れる電流の電流値を検出する検出回路と、制御回路と、を有する。電源IC64は、第1電流値I1以上の電流が電気回路3に流れた際に電源IC64の動作を停止させる保護回路71を含む。制御回路は、検出回路が検出した電流値が、第1電流値I1より小さい第2電流値I2以上である場合に、電源IC64の動作を停止させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチームトラップの温度及び振動を計測する計測装置であって、
前記スチームトラップに当接されるプローブと、
前記プローブから伝達される前記スチームトラップの前記温度及び前記振動に対して、電気信号への変換を含む電気的な処理を施すことにより、前記スチームトラップの温度データ及び振動データを出力する電気回路と、
前記電気回路に駆動用電力を供給する電源回路と、
を備え、
前記電源回路は、
電池と、
前記電池と前記電気回路との間に接続された電源ICと、
前記電池から前記電源ICに流れる電流の電流値を検出する検出回路と、
制御回路と、
を有し、
前記電源ICは、第1電流値以上の電流が前記電気回路に流れた際に前記電源ICの動作を停止させる保護回路を含み、
前記制御回路は、前記検出回路が検出した電流値が、前記第1電流値より小さい第2電流値以上である場合に、前記電源ICの動作を停止させる、計測装置。
【請求項2】
前記第2電流値は、前記電気回路の発煙開始電流値である、請求項1に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関し、特に、スチームトラップの温度及び振動を計測する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となるため、一般には、配管系の適所にスチームトラップを設置し、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
【0003】
経年劣化又は作動不良等によってスチームトラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気がスチームトラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。そのため、1年に1回等の定期的に、スチームトラップの状態を点検する作業が行われる。
【0004】
下記特許文献1には、スチームトラップの状態を診断するための計測装置及び診断装置が開示されている。計測装置は可搬型の計測装置であり、診断装置はタブレット端末又はノートパソコン等であり、計測装置と診断装置とは相互に無線通信が可能である。計測装置は、各スチームトラップの表面温度を計測する温度センサと、各スチームトラップの振動強度を計測する振動センサと、温度センサ及び振動センサから出力された計測データを記憶する記憶部と、当該計測データを診断装置に送信する通信部と、表示部とを備えている。診断装置は、計測装置から受信した計測データに基づいて各スチームトラップの状態(正常又は異常)を診断し、その診断の結果を示す診断データを計測装置に送信する。計測装置は、診断装置から受信した診断データに基づいて、各スチームトラップに関する診断の結果を表示部に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
計測装置は、電気回路が形成された回路基板を内蔵しており、当該電気回路には、電源回路から駆動用電力が供給される。
【0007】
図4は、計測装置が備える電源回路100の構成を示す図である。電源回路100は、電池161、ヒューズ素子162、及び、電源IC164を備えている。電源回路100は、電池161から電気回路103に駆動用電力を供給する。
【0008】
電源IC164は、保護回路171を有している。保護回路171は、通常動作時の電流値より大きい第1電流値以上の電流が電気回路103に流れた場合に、電源IC164の動作を停止させる。これによって、第1電流値以上の過電流から電気回路103を保護する。
【0009】
ヒューズ素子162は、上記第1電流値より大きい第2電流値(例えば数アンペア)以上の電流が流れた場合に、電池161と電源IC164との接続を遮断する。これよって、第2電流値以上の過電流から電源IC164及び電気回路103を保護する。
【0010】
ところで、計測装置においては、気温又は湿度等の環境の変化に起因して電池161から電解液が漏出した場合に、その電解液が回路基板上に流れ込み、電気回路103の部分的なショート(パーシャルショート)が発生することがある。パーシャルショートは、電池からの電解液の漏出のみならず、結露等によっても発生する場合がある。
【0011】
パーシャルショートは0オームショートではなく数オームショートであるため、パーシャルショートが発生した場合、電気回路103には、通常動作時の電流値よりは大きいが、上記第1電流値よりは小さい電流が流れる。従って、パーシャルショートに起因して電気回路103に電流が流れても、保護回路171及びヒューズ素子162は保護動作を行わない。その結果、通常動作時の電流値より大きい電流が電気回路103に流れ続けることによって熱暴走を誘発し、電気回路103を構成する半導体素子等が発煙する可能性がある。
【0012】
スチームトラップが設置されているプラントには、石油コンビナート等の防爆規格が厳しい施設も存在する。発煙の可能性のある電気回路103を備える計測装置は、そのような施設内に持ち込むことができないため、パーシャルショート発生時の発煙対策は計測装置にとって重要な課題である。
【0013】
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、電気回路のパーシャルショートが発生した場合であっても、電気回路からの発煙を抑制又は回避することが可能な計測装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る計測装置は、スチームトラップの温度及び振動を計測する計測装置であって、前記スチームトラップに当接されるプローブと、前記プローブから伝達される前記スチームトラップの前記温度及び前記振動に対して、電気信号への変換を含む電気的な処理を施すことにより、前記スチームトラップの温度データ及び振動データを出力する電気回路と、前記電気回路に駆動用電力を供給する電源回路と、を備え、前記電源回路は、電池と、前記電池と前記電気回路との間に接続された電源ICと、前記電池から前記電源ICに流れる電流の電流値を検出する検出回路と、制御回路と、を有し、前記電源ICは、第1電流値以上の電流が前記電気回路に流れた際に前記電源ICの動作を停止させる保護回路を含み、前記制御回路は、前記検出回路が検出した電流値が、前記第1電流値より小さい第2電流値以上である場合に、前記電源ICの動作を停止させる。
【0015】
この態様によれば、検出回路は、電池から電源ICに流れる電流の電流値を検出し、制御回路は、検出回路が検出した電流値が、第1電流値より小さい第2電流値以上である場合に、電源ICの動作を停止させる。その結果、パーシャルショート発生時に第2電流値以上の電流が電気回路に流れた場合には、制御回路が電源ICの動作を停止させることにより、電気回路からの発煙を抑制又は回避することが可能となる。
【0016】
上記態様において、前記第2電流値は、前記電気回路の発煙開始電流値である。
【0017】
この態様によれば、制御回路は、電気回路の発煙開始電流値である第2電流値以上の電流が電気回路に流れた場合に、電源ICの動作を停止させる。これにより、パーシャルショートに起因する電気回路からの発煙を効果的に回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電気回路のパーシャルショートが発生した場合であっても、電気回路からの発煙を抑制又は回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る可搬型の計測装置の構成を簡略化して示す図である。
【
図2】本発明の前提技術に係る電源回路の構成を簡略化して示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る電源回路の構成を簡略化して示す図である。
【
図4】背景技術に係る計測装置が備える電源回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る可搬型の計測装置1の構成を簡略化して示す図である。計測装置1は、スチームトラップの温度及び振動を計測する機能と、その計測結果に基づいてスチームトラップの状態を診断する機能とを備えている。但し、診断機能は、計測装置1の外部装置(診断装置又はサーバ装置等)が備えても良い。また、可搬型に限らず設置型の計測装置であっても良い。
【0022】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、配管系内に生じた復水(ドレン)を配管系の外部に排出するために、配管系の適所に複数のスチームトラップが設置されている。スチームトラップは、1年に1回等の定期点検によって、その状態が点検される。定期点検の作業者は、可搬型の計測装置1を携帯してプラント内を移動することにより、計測装置1によって各スチームトラップを順に点検する。なお、スチームトラップの点検は、定期点検に限らず、不定期な点検であっても良い。
【0023】
計測装置1は、プローブ(温度プローブP1及び振動プローブP2)と、電源回路2と、電気回路3とを備えている。電気回路3は、計測装置1が内蔵する回路基板上に形成されており、温度センサ11、増幅回路12、AD変換回路13、振動センサ21、フィルタ回路22、増幅回路23、AD変換回路24、制御部31、操作部41、表示部42、記憶部43、及び通信部44を有している。
【0024】
温度プローブP1及び振動プローブP2は、例えばステンレス製の円筒状パイプの外観形状を有している。温度プローブP1は、振動プローブP2の内側の空間において、振動プローブP2の内周面に対して非接触に、同心の位置関係で配置されている。温度プローブP1及び振動プローブP2は、計測対象であるスチームトラップに当接されることによって、当該スチームトラップの温度及び振動を温度センサ11及び振動センサ21に伝達する。
【0025】
温度センサ11は、例えば一対の熱電対素線と温度計測回路とを備えて構成されており、温度プローブP1から伝達された温度を電気信号に変換して出力する。温度センサ11から出力された電気信号は、増幅回路12に入力される。増幅回路12は、入力された電気信号を増幅して出力する。増幅回路12から出力された電気信号は、AD変換回路13に入力される。AD変換回路13は、入力されたアナログの電気信号をディジタルデータに変換して出力する。AD変換回路13から出力された、温度計測値を示すディジタルデータ(温度データ)は、制御部31に入力される。
【0026】
振動センサ21は、例えば圧電型加速度センサを備えて構成されており、振動プローブP2から伝達された振動を電気信号に変換して出力する。振動センサ21から出力された電気信号は、フィルタ回路22に入力される。フィルタ回路22は、入力された電気信号のうち所定の周波数帯域の電気信号を通過して出力する。フィルタ回路22から出力された電気信号は、増幅回路23に入力される。増幅回路23は、入力された電気信号を増幅して出力する。増幅回路23から出力された電気信号は、AD変換回路24に入力される。AD変換回路24は、入力されたアナログの電気信号をディジタルデータに変換して出力する。AD変換回路24から出力された、振動計測値を示すディジタルデータ(振動データ)は、制御部31に入力される。
【0027】
操作部41は、作業者が各種の情報を入力するための操作スイッチ等によって構成されている。表示部42は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部41と表示部42とが一体として構成されても良い。記憶部43は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリ等を用いて構成されている。通信部44は、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式に対応した通信モジュールを備えて構成されている。
【0028】
制御部31は、CPU等を備えて構成されている。制御部31は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、診断部51を有している。診断部51は、AD変換回路13,24から入力された測定データ(温度データ及び振動データ)に基づいてスチームトラップの状態を診断し、その診断の結果を示す診断データを出力する。例えば、診断部51は、入力された温度データと予め設定された所定の温度しきい値とを比較し、また、入力された振動データと予め設定された所定の振動しきい値とを比較する。診断部51は、これら二つの比較結果の組合せに応じて、スチームトラップが正常であるか異常(蒸気漏出、ドレン排出不良、又は閉塞)であるかを診断する。制御部31は、スチームトラップの診断データを含めて診断結果情報(点検日及び診断結果等)を作成し、当該診断結果情報を記憶部43に記憶する。また、制御部31は、診断データを表示部42に入力する。これにより、スチームトラップの診断結果が表示部42に表示される。さらに、制御部31は、スチームトラップの診断結果情報を通信部44に入力する。通信部44は、入力された診断結果情報を、計測装置1の外部のデータ処理装置に送信する。
【0029】
電源回路2は、電気回路3が備える複数の要素(素子、回路、及び装置等)の各々を駆動するための電力を、電気回路3に供給する。
【0030】
図2は、本発明の前提技術に係る電源回路2の構成を簡略化して示す図である。電源回路2は、電池61、ヒューズ素子62、抵抗素子63、及び、電源IC64を備えている。電池61の後段にヒューズ素子62が接続されており、ヒューズ素子62の後段に抵抗素子63が接続されており、抵抗素子63の後段に電源IC64が接続されており、電源IC64の後段に、負荷回路である電気回路3が接続されている。電池61は、例えばアルカリ乾電池である。電源IC64は、例えばスイッチングレギュレータを備えて構成されている。電源回路2は、電池61から電気回路3に駆動用電力を供給する。
【0031】
電源IC64は、保護回路71を有している。保護回路71は、通常動作時の電流値より大きい第1電流値I1以上の電流が電気回路3に流れた場合に、電源IC64の動作を停止させる。これによって、第1電流値I1以上の過電流から電気回路3を保護する。
【0032】
計測装置1においては、気温又は湿度等の環境の変化に起因して電池61から電解液が漏出した場合に、その電解液が回路基板上に流れ込み、電気回路3の部分的なショート(パーシャルショート)が発生することがある。パーシャルショートは、電池61からの電解液の漏出のみならず、結露等によっても発生する場合がある。
【0033】
パーシャルショートは0オームショートではなく数オームショートであるため、パーシャルショートが発生した場合、電気回路3には、通常動作時の電流値I0よりは大きいが、上記第1電流値I1よりは小さい電流が流れる。従って、パーシャルショートに起因して電気回路3に電流が流れても、保護回路71は保護動作を行わない。
【0034】
抵抗素子63は、パーシャルショート発生時に電気回路3に流れる電流の電流値を、第1電流値I1より小さい第2電流値I2未満に制限可能な抵抗値を有する。第2電流値I2は、熱暴走等に起因して電気回路3が発煙を開始する電流値であり、電流値I0より大きく、第1電流値I1より小さい。電池61の出力電圧値、ヒューズ素子62での降下電圧値、電源IC64での降下電圧値、電気回路3での降下電圧値、及び第2電流値I2は、いずれも既知である。そのため、抵抗素子63の抵抗値を、パーシャルショート発生時に電気回路3に流れる電流の電流値が第2電流値I2未満となるように、適切な値に設定することが可能である。
【0035】
ヒューズ素子62は、第1電流値I1より大きい第3電流値I3(例えば数アンペア)以上の電流が流れた場合に、電池61と抵抗素子63との接続を遮断する。これよって、第3電流値I3以上の過電流から電源IC64及び電気回路3を保護する。
【0036】
ところで、
図2に示した前提技術に係る電源回路2では、大きな抵抗値(例えば数オーム以上)を有する抵抗素子63の追加に伴って、電源回路2の内部インピーダンスが大きくなるため、電源回路2の負荷特性が不安定になる場合がある。これを改善すべく、以下に述べる本発明の実施の形態に係る電源回路2の構成を提案する。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態に係る電源回路2の構成を簡略化して示す図である。電源回路2は、電池61、ヒューズ素子62、電源IC64、検出回路、及び制御回路を備えている。検出回路は、抵抗素子66及びオペアンプ81を含んで構成されている。制御回路は、抵抗素子91~93、コンパレータ82、及びコンデンサ83を含んで構成されている。
【0038】
オペアンプ81には、電池61から抵抗素子66を介して電源IC64に流れる電流の電流値が、抵抗素子66の両端電圧値として入力される。オペアンプ81は、入力された両端電圧値に応じた電圧値を出力する。オペアンプ81から出力された電圧値は、抵抗素子91及びコンデンサ83から成る時定数回路を介して、コンパレータ82の第1入力端子に入力される。時定数は、瞬間的なノイズに起因する誤動作を防止するために、数秒程度に設定されている。
【0039】
コンパレータ82の第2入力端子には、抵抗素子92,93の抵抗値の比に応じた参照電圧値が入力される。コンパレータ82は、第1入力端子の電圧値が第2入力端子の電圧値未満である場合(つまり抵抗素子66を流れる電流の電流値が第2電流値I2未満である場合)には、比較的高い電圧値(ハイレベル信号)を出力する。また、コンパレータ82は、第1入力端子の電圧値が第2入力端子の電圧値以上である場合(つまり抵抗素子66を流れる電流の電流値が第2電流値I2以上である場合)には、比較的低い電圧値(ローレベル信号)を出力する。
【0040】
コンパレータ82から出力された電圧値は、電源IC64が有するアクティブハイのイネーブル端子65に入力される。電源IC64は、イネーブル端子65にハイレベル信号が入力されていることにより動作を実行し、イネーブル端子65にローレベル信号が入力されていることにより動作を停止する。これにより、抵抗素子66を流れる電流の電流値が第2電流値I2未満である場合には、電源IC64は動作を実行する。一方、抵抗素子66を流れる電流の電流値が第2電流値I2以上である場合には、電源IC64は動作を停止する。電源IC64が動作を停止した場合には、電気回路3への駆動電力の供給が停止されるため、計測装置1は動作を停止する。
【0041】
本実施の形態に係る計測装置1によれば、検出回路は、電池61から電源IC64に流れる電流の電流値を検出し、制御回路は、検出回路が検出した電流値が、第1電流値I1より小さい第2電流値I2以上である場合に、電源IC64の動作を停止させる。その結果、パーシャルショート発生時に第2電流値I2以上の電流が電気回路3に流れた場合には、制御回路が電源IC64の動作を停止させることにより、電気回路3からの発煙を抑制又は回避することが可能となる。
【0042】
しかも、抵抗素子66の抵抗値は例えば100ミリオーム程度であり、
図2に示した抵抗素子63の抵抗値(例えば数オーム以上)よりも十分に小さい。その結果、
図2に示した構成と比較して、電源回路2の内部インピーダンスが小さくなるため、電源回路2の負荷特性を安定化することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態に係る計測装置1によれば、制御回路は、電気回路3の発煙開始電流値である第2電流値I2以上の電流が電気回路3に流れた場合に、電源IC64の動作を停止させる。これにより、パーシャルショートに起因する電気回路3からの発煙を効果的に回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 計測装置
2 電源回路
3 電気回路
61 電池
64 電源IC
66 抵抗素子
71 保護回路
81 オペアンプ
82 コンパレータ
P1 温度プローブ
P2 振動プローブ