(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124247
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】エアウェイアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/097 20060101AFI20220818BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20220818BHJP
A61M 16/04 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61B5/097
A61B5/08
A61M16/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021903
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 文彦
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕也
(72)【発明者】
【氏名】株本 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 敬之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038ST09
4C038SU17
4C038SU19
4C038SX02
(57)【要約】
【課題】換気量の小さい被検者に用いられうるエアウェイアダプタの利便性を高める。
【解決手段】エアウェイアダプタ10は、被検者に接続される呼吸回路の一部を形成する。第一筒状部11は、呼吸回路の別の一部を形成する雌型部材に嵌入される雄型端子を形成している。第二筒状部12は、呼吸回路の別の一部を形成する雄型部材が嵌入される嵌入部121を区画する雌型端子を形成している。通気路形成部13は、第一筒状部11により区画される内部空間111に配置されており、嵌入部121と連通する通気路131を形成している。第一封止部材15は、第一筒状部11の外周面11dに配置されており、第一筒状部11よりも高い柔軟性を有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に接続される呼吸回路の一部を形成するエアウェイアダプタであって、
前記呼吸回路の別の一部を形成する雌型部材に嵌入される雄型端子を形成している第一筒状部と、
前記呼吸回路の別の一部を形成する雄型部材が嵌入される嵌入部を区画する雌型端子を形成している第二筒状部と、
前記第一筒状部により区画される内部空間に配置されており、前記嵌入部と連通する通気路を形成している通気路形成部と、
前記第一筒状部の外周面に配置されており、前記第一筒状部よりも高い柔軟性を有している第一封止部材と、
を備えている、
エアウェイアダプタ。
【請求項2】
前記第一封止部材は、前記第一筒状部の周方向に延びる環形状を有している、
請求項1に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項3】
前記第一筒状部は、前記第二筒状部により近い第一基端部と前記第二筒状部からより遠い第一先端部とを有しており、
前記第一封止部材は、前記第一基端部よりも前記第一先端部に近い位置に配置されている、
請求項1または2に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項4】
前記第一筒状部は、前記第二筒状部により近い第一基端部と前記第二筒状部からより遠い第一先端部とを有しており、
前記第一封止部材は、前記第一先端部よりも前記第一基端部に近い位置に配置されている、
請求項1または2に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項5】
前記第一筒状部は、前記第二筒状部により近い第一基端部と前記第二筒状部からより遠い第一先端部とを有しており、
前記第一筒状部の径方向における寸法は、前記第一基端部における値よりも前記第一先端部における値の方が小さい、
請求項1から4のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項6】
前記第一封止部材は、前記雌型部材に嵌入される方向に沿って配列された複数の封止部材を含んでいる、
請求項1から5のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項7】
前記複数の第一封止部材は、前記外周面からの突出高さが相違する少なくとも二つの第一封止部材を含んでおり、
前記第一筒状部が前記雌型部材に嵌入されたときに当該雌型部材の内周面と前記外周面の間隔がより大きい位置に、より大きい突出高さを有する前記第一封止部材が配置されている、
請求項6に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項8】
前記第一封止部材は、前記第一筒状部の外周面から前記第一筒状部の径方向に突出しており、かつ前記雌型部材に嵌入される方向に沿って傾斜した面を有している、
請求項1から7のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項9】
前記嵌入部における前記第二筒状部の内周面に配置されており、前記第二筒状部よりも高い柔軟性を有している第二封止部材を備えている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項10】
前記第二封止部材は、前記第二筒状部の周方向に延びる環形状を有している、
請求項9に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項11】
前記嵌入部は、前記第一筒状部により近い第二基端部と前記第一筒状部からより遠い第二先端部とを有しており、
前記第二封止部材は、前記第二基端部よりも前記第二先端部に近い位置に配置されている、
請求項9または10に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項12】
前記嵌入部は、前記第一筒状部により近い第二基端部と前記第一筒状部からより遠い第二先端部とを有しており、
前記第二封止部材は、前記第二先端部よりも前記第二基端部に近い位置に配置されている、
請求項9または10に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項13】
前記第二筒状部は、前記第一筒状部により近い第二基端部と前記第一筒状部からより遠い第二先端部とを有しており、
前記嵌入部の前記第二筒状部の径方向における寸法は、前記第二先端部における値よりも前記第二基端部における値の方が小さい、
請求項9から12のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項14】
前記第二封止部材は、前記雄型部材が嵌入される方向に沿って配列された複数の封止部材を含んでいる、
請求項9から13のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項15】
前記複数の第二封止部材は、前記内周面からの突出高さが相違する少なくとも二つの第二封止部材を含んでおり、
前記雄型部材が前記嵌入部に嵌入されたときに当該雄型部材の外周面と前記内周面の間隔がより大きい位置に、より大きい突出高さを有する前記第二封止部材が配置されている、
請求項14に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項16】
前記第二封止部材は、前記第二筒状部の内周面から前記第一筒状部の径方向に突出しており、かつ前記雄型部材が嵌入される方向に沿って傾斜した面を有している、
請求項9から15のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項17】
前記第一筒状部と前記第二筒状部の間に配置されており、前記通気路内のガスを検出するセンサが装着される支持部を備えている、
請求項1から16のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者に接続される呼吸回路の一部を形成するエアウェイアダプタに関連している。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被検者に接続される呼吸回路の一部を形成するエアウェイアダプタを開示している。当該エアウェイアダプタは、第一筒状部と第二筒状部を備えている。第一筒状部は、当該呼吸回路の一部を形成する第一部材に嵌入される雄型端子を形成している。第二筒状部は、当該呼吸回路の一部を形成する第二部材が嵌入される嵌合部を区画する雌型端子を形成している。当該エアウェイアダプタは、第一筒状部により区画される空間と当該嵌合部を連通する通気路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002/085207号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、換気量の小さい被検者に用いられうるエアウェイアダプタの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、被検者に装着される被検者に接続される呼吸回路の一部を形成するエアウェイアダプタであって、
前記呼吸回路の別の一部を形成する雌型部材に嵌入される雄型端子を形成している第一筒状部と、
前記呼吸回路の別の一部を形成する雄型部材が嵌入される嵌入部を区画する雌型端子を形成している第二筒状部と、
前記第一筒状部により区画される内部空間に配置されており、前記嵌入部と連通する通気路を形成している通気路形成部と、
前記第一筒状部の外周面に配置されており、前記第一筒状部よりも高い柔軟性を有している第一封止部材と、
を備えている。
【0006】
上記のような構成によれば、第一筒状部の外周面に第一筒状部よりも高い柔軟性を有する第一封止部材が設けられているので、第一筒状部が雌型部材に嵌入される際に両者の間に生じる応力が第一封止部材の変形により吸収されうる。これにより、第一筒状部の雌型部材への嵌入時に生じる抵抗を抑制しつつ両者の間で気密性および水密性を確保できる。また、嵌入時に生じる抵抗を抑制できるので、第一筒状部の雌型部材への嵌入深さを大きく確保しやすい。これにより、エアウェイアダプタを使用することによって呼吸回路に生じうる死腔の量を低減できる。この事実は、死腔の影響が相対的に大きくなる換気量の小さい被検者にとって有利である。したがって、特に換気量の小さい被検者に用いられうるエアウェイアダプタの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るエアウェイアダプタを右前上方から見た外観を例示している。
【
図2】
図1のエアウェイアダプタを左後上方から見た外観を例示している。
【
図3】
図1のエアウェイアダプタを前方から見た外観を例示している。
【
図4】
図1のエアウェイアダプタを後方から見た外観を例示している。
【
図5】
図1のエアウェイアダプタを左方から見た外観を例示している。
【
図6】
図1のエアウェイアダプタを上方から見た外観を例示している。
【
図7】
図3における線VII-VIIに沿って矢印方向から見た断面を例示している。
【
図8】
図1のエアウェイアダプタの第一封止部材の外観を例示している。
【
図9】第一封止部材の形状を説明するための比較例を示している。
【
図14】
図1のエアウェイアダプタの第一筒状部の形状の別例を示している。
【
図16】第一筒状部が嵌入される雌型部材の形状の別例を示している。
【
図18】
図1のエアウェイアダプタの第二筒状部の形状の別例を示している。
【
図20】第二筒状部へ嵌入される雄型部材の形状の別例を示している。
【
図22】
図1のエアウェイアダプタに装着される光センサを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。これらの方向は、説明の便宜のために表示されており、図示された構造の実使用時における姿勢を限定する意図はない。
【0009】
図1から
図6は、一実施形態に係るエアウェイアダプタ10の外観を例示している。エアウェイアダプタ10は、被検者に接続される呼吸回路の一部を形成するための医療器具である。エアウェイアダプタ10は、第一筒状部11と第二筒状部12を備えている。
【0010】
図1と
図3に例示されるように、第一筒状部11は、その径方向内側に有底の内部空間111を区画している。第一筒状部11は、第一基端部11aと第一先端部11bを有している。第一基端部11aは、第二筒状部12のより近くに位置する端部である。第一先端部11bは、第二筒状部12からより遠くに位置する端部である。内部空間111は、第一先端部11bにおいて開口している。
【0011】
図2と
図4に例示されるように、第二筒状部12は、その径方向内側に嵌入部121を区画している。第二筒状部12は、第二基端部12aと第二先端部12bを有している。第二基端部12aは、第一筒状部11のより近くに位置する端部である。第二先端部12bは、第一筒状部11からより遠くに位置する端部である。嵌入部121は、有底の内部空間であり、第二先端部12bにおいて開口している。
【0012】
図5に例示されるように、第一筒状部11は、呼吸回路の別の一部を形成する雌型部材20に嵌入される雄型端子を形成している。第二筒状部12は、呼吸回路の別の一部を形成する雄型部材30が嵌入部121に嵌入されるように雌型端子を形成している。
【0013】
図1と
図3に例示されるように、エアウェイアダプタ10は、通気路形成部13を備えている。通気路形成部13は、第一筒状部11により区画された内部空間111に配置されている。
【0014】
図7は、
図3における線VII-VIIに沿って矢印方向から見たエアウェイアダプタ10の断面を例示している。通気路形成部13は、内部空間111の底部111aより開口側へ向かって第一筒状部11が雌型部材20に嵌入される方向に沿って延びている。通気路形成部13は、通気路131を形成している。
【0015】
図4と
図7に例示されるように、通気路131は、第二筒状部12により区画された嵌入部121の底部121aにおいて開口している。これにより、通気路131は、内部空間111と嵌入部121を連通している。
【0016】
図1、
図3、および
図5から
図7に例示されるように、エアウェイアダプタ10は、第一封止部材15を備えている。第一封止部材15は、第一筒状部11の外周面11dに配置されている。第一封止部材15は、第一筒状部11よりも高い柔軟性を有している。例えば、第一筒状部11は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂により成形されうる。他方、第一封止部材15は、ウレタン系のエラストマ、シリコンなどにより成形されうる。
【0017】
図5に例示されるように、第一筒状部11が雌型部材20に嵌入されると、第一封止部材15は、雌型部材20の内周面に当接する。これにより、第一筒状部11と雌型部材20の間で気密性および水密性が確保される。
【0018】
本実施形態に係る構成によれば、第一筒状部11の外周面11dに第一筒状部11よりも高い柔軟性を有する第一封止部材15が設けられているので、第一筒状部11が雌型部材20に嵌入される際に両者の間に生じる応力が第一封止部材15の変形により吸収されうる。これにより、第一筒状部11の雌型部材20への嵌入時に生じる抵抗を抑制しつつ、両者の間で気密性および水密性を確保できる。また、嵌入時に生じる抵抗を抑制できるので、第一筒状部11の雌型部材20への嵌入深さを大きく確保しやすい。これにより、エアウェイアダプタ10を使用することによって呼吸回路に生じうる死腔の量を低減できる。この事実は、死腔の影響が相対的に大きくなる換気量の小さい被検者にとって有利である。したがって、特に換気量の小さい被検者に用いられうるエアウェイアダプタ10の利便性を高めることができる
【0019】
図1に例示されるように、第一封止部材15は、第一筒状部11の第一基端部11aよりも第一先端部11bに近い位置に配置されている。
【0020】
このような構成によれば、第一封止部材15により確保される気密性および水密性の第一筒状部11と雌型部材20の嵌入深さへの依存性を低減できる。
【0021】
図示を省略するが、第一封止部材15は、第一筒状部11の第一先端部11bよりも第一基端部11aに近い位置に配置されてもよい。この場合、第一筒状部11の雌型部材20への嵌入時に生じる抵抗を低減できる。
【0022】
本実施形態においては、二つの第一封止部材15が、第一筒状部11が雌型部材20に嵌入される方向に沿って配列されている。このような構成によれば、確保される気密性および水密性の強度と耐久性を高めることができる。
【0023】
第一封止部材15の数は、求められる気密性および水密性や嵌入抵抗に応じて適宜に定められうる。単一の第一封止部材15が設けられてもよいし、三つ以上の第一封止部材15が設けられてもよい。
【0024】
本実施形態においては、第一封止部材15は、第一筒状部11の周方向に沿って延びる環形状を有している。すなわち、第一封止部材15は、第一筒状部11の周方向に沿って途切れることなく連続的に延びている。このような構成によっても、確保される気密性および水密性の強度と耐久性を高めることができる。
【0025】
図8に例示されるように、第一封止部材15は、第一筒状部11の外周面11dから第一筒状部11の径方向に突出している。加えて、第一封止部材15は、第一筒状部11が雌型部材20に嵌入される方向に沿って傾斜した傾斜面15aを有している。このような構成によっても、第一筒状部11の雌型部材20への嵌入時に生じる抵抗を低減できる。
【0026】
本例においては、エアウェイアダプタ10の左右方向から見て第一封止部材15が三角形状を呈するように傾斜面15aが形成されている。
図9に例示されるように第一筒状部11が雌型部材20に対して挿抜される方向において第一封止部材15の両端部ともに底部と頂部が垂壁によって接続されているのでなければ、傾斜面15aの形状は適宜に定められうる。
図10から
図13に例示されるように、エアウェイアダプタ10の左右方向から見て第一封止部材15が台形状や半円形状を呈するように傾斜面15aの形状が定められてもよい。
【0027】
図14に例示されるように、第一筒状部11の径方向における寸法は、第一基端部11aにおける値D1aよりも第一先端部11bにおける値D1bの方が小さくなるように構成されうる。
【0028】
このような構成によれば、第一筒状部11の雌型部材20への嵌入深さを大きく確保することがさらに容易になる。結果として雌型部材20の内周面20aと第一筒状部11の外周面11dの間に隙間が生じやすくなるが、当該隙間は第一封止部材15によって封止されるので、気密性および水密性の低下が抑制されうる。したがって、第一筒状部11と雌型部材20の間の気密性および水密性の低下を抑制しつつも、エアウェイアダプタ10を使用することによって呼吸回路に生じうる死腔の量を低減できる。
【0029】
図15に例示されるように、二つの第一封止部材15は、第一筒状部11の外周面11dからの突出高さが相違している。具体的には、第一筒状部11の第一基端部11aよりも第一先端部11bに近い位置に設けられている第一封止部材15の突出高さがより高くなるように構成されている。
図14との比較からわかるように、第一筒状部11が雌型部材20に嵌入されたときに雌型部材20の内周面20aと第一筒状部11の外周面11dの間隔がより大きい位置に、より大きい突出高さを有する第一封止部材15が配置されている。
【0030】
このような構成によれば、第一筒状部11の雌型部材20への嵌入深さを大きく確保することを容易にしつつ、第一筒状部11と雌型部材20の間の気密性および水密性の低下をさらに抑制できる。
【0031】
なお、
図16に例示されるように、内径が徐々に小さくなる雌型部材20に外径が一定である第一筒状部11が嵌入される構成によっても、第一筒状部11の雌型部材20への嵌入深さを大きく確保することを容易にできる。
【0032】
この場合、
図17に例示されるように、第一筒状部11の第一先端部11bよりも第一基端部11aに近い位置に設けられている第一封止部材15の突出高さがより高くなるように構成されうる。
図16との比較からわかるように、第一筒状部11が雌型部材20に嵌入されたときに雌型部材20の内周面20aと第一筒状部11の外周面11dの間隔がより大きい位置に、より大きい突出高さを有する第一封止部材15が配置されている。
【0033】
このような構成によっても、第一筒状部11の雌型部材20への嵌入深さを大きく確保することを容易にしつつ、第一筒状部11と雌型部材20の間の気密性および水密性の低下をさらに抑制できる。
【0034】
なお、第一先端部11bに向かって外径が徐々に小さくなる第一筒状部11と先端から内径が徐々に小さくなる雌型部材20の第一筒状部11の雌型部材20への嵌入深さを大きく確保することを容易にできる。
【0035】
図2、
図4、および
図7に例示されるように、エアウェイアダプタ10は、第二封止部材16を備えうる。第二封止部材16は、第二筒状部12により区画された嵌入部121に配置されている。第二封止部材16は、第二筒状部12よりも高い柔軟性を有している。例えば、第二筒状部12は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂により成形されうる。他方、第二封止部材16は、ウレタン系のエラストマやシリコンなどにより成形されうる。
【0036】
図示を省略するが、
図5に例示されるように雄型部材30が嵌入部121に嵌入されると、第二封止部材16は、雄型部材30の外周面に当接する。第二封止部材16は第二筒状部12よりも高い柔軟性を有しているので、雄型部材30が嵌入部121に嵌入される際に両者の間に生じる応力が第二封止部材16の変形により吸収されうる。これにより、雄型部材30の嵌入部121への嵌入時に生じる抵抗を抑制しつつ、第二筒状部12と雄型部材30の間でも気密性および水密性を確保できる。また、嵌入時に生じる抵抗を抑制できるので、雄型部材30の嵌入部121への嵌入深さを大きく確保しやすい。これにより、エアウェイアダプタ10を使用することによって呼吸回路に生じうる死腔の量を低減できる。この事実は、死腔の影響が相対的に大きくなる換気量の小さい被検者にとって有利である。
【0037】
図7に例示されるように、第二封止部材16は、第二筒状部12の第二基端部12aよりも第二先端部12bに近い位置に配置されている。
【0038】
このような構成によれば、第二封止部材16により確保される気密性および水密性の第二筒状部12と雄型部材30の嵌合深さへの依存性を低減できる。
【0039】
図示を省略するが、第二封止部材16は、第二筒状部12の第二先端部12bよりも第二基端部12aに近い位置に配置されてもよい。この場合、雄型部材30の嵌入部121への嵌入時に生じる抵抗を低減できる。
【0040】
本実施形態においては、二つの第二封止部材16が、雄型部材30が嵌入部121に嵌入される方向に沿って配列されている。このような構成によれば、確保される気密性および水密性の強度と耐久性を高めることができる。
【0041】
第二封止部材16の数は、求められる気密性および水密性や嵌入抵抗に応じて適宜に定められうる。単一の第二封止部材16が設けられてもよいし、三つ以上の第二封止部材16が設けられてもよい。
【0042】
本実施形態においては、第二封止部材16は、第二筒状部12の周方向に沿って延びる環形状を有している。すなわち、第二封止部材16は、第二筒状部12の周方向に沿って途切れることなく連続的に延びている。このような構成によっても、確保される気密性および水密性の強度と耐久性を高めることができる。
【0043】
図7に例示されるように、第二封止部材16は、第二筒状部12の内周面12cから第二筒状部12の径方向に突出している。加えて、第二封止部材16は、第二筒状部12が雌型部材20に嵌入される方向に沿って傾斜した傾斜面16aを有している。このような構成によっても、雄型部材30の嵌入部121への嵌入時に生じる抵抗を低減できる。
【0044】
本例においては、エアウェイアダプタ10の左右方向から見て第二封止部材16が三角形状を呈するように傾斜面16aが形成されている。
図9を参照して第一封止部材15について説明したように、雄型部材30が嵌入部121に対して挿抜される方向において第二封止部材16の底部と頂部が垂壁によって接続されているのでなければ、
図10から
図13を参照して第一封止部材15について説明したように、傾斜面16aの形状は適宜に定められうる。例えば、エアウェイアダプタ10の左右方向から見て第二封止部材16が台形状や半円形状を呈するように傾斜面16aの形状が定められてもよい。
【0045】
図18に例示されるように、第二筒状部12により区画される嵌入部121の径方向における寸法は、第二先端部12bにおける値D2bよりも第二基端部12aにおける値D2aの方が小さくなるように構成されうる。
【0046】
このような構成によれば、雄型部材30の嵌入部121への嵌入深さを大きく確保することがさらに容易になる。結果として第二筒状部12の内周面12cと雄型部材30の外周面30aの間に隙間が生じやすくなるが、当該隙間は第二封止部材16によって封止されるので、気密性および水密性の低下が抑制されうる。したがって、第二筒状部12と雄型部材30の間の気密性および水密性の低下を抑制しつつも、エアウェイアダプタ10を使用することによって呼吸回路に生じうる死腔の量を低減できる。
【0047】
図19に例示されるように、二つの第二封止部材16は、第二筒状部12の内周面12cからの突出高さが相違している。具体的には、第二筒状部12の第二基端部12aよりも第二先端部12bに近い位置に設けられている第二封止部材16の突出高さがより高くなるように構成されている。
図18との比較からわかるように、雄型部材30が嵌入部121に嵌入されたときに雄型部材30の外周面30aと第二筒状部12の内周面12cの間隔がより大きい位置に、より大きい突出高さを有する第二封止部材16が配置されている。
【0048】
このような構成によれば、雄型部材30の嵌入部121への嵌入深さを大きく確保することを容易にしつつ、第二筒状部12と雄型部材30の間の気密性および水密性の低下をさらに抑制できる。
【0049】
なお、
図20に例示されるように、先端に向かって外径が徐々に小さくなる雄型部材30が嵌入部121の内径が一定である第二筒状部12に嵌入される構成によっても、雄型部材30の嵌入部121への嵌入深さを大きく確保することを容易にできる。
【0050】
この場合、
図21に例示されるように、第二筒状部12の第二先端部12bよりも第二基端部12aに近い位置に設けられている第二封止部材16の突出高さがより高くなるように構成されうる。
図20との比較からわかるように、雄型部材30が嵌入部121に嵌入されたときに雄型部材30の外周面30aと第二筒状部12の内周面12cの間隔がより大きい位置に、より大きい突出高さを有する第二封止部材16が配置されている。
【0051】
このような構成によっても、雄型部材30の嵌入部121への嵌入深さを大きく確保することを容易にしつつ、第二筒状部12と雄型部材30の間の気密性および水密性の低下をさらに抑制できる。
【0052】
なお、第二基端部12aに向かって内径が徐々に小さくなる嵌入部121と先端に向かって外径が徐々に小さくなる雄型部材30の組合せによっても、雄型部材30の嵌入部121への嵌入深さを大きく確保することを容易にできる。
【0053】
図1、
図2、
図5、および
図6に例示されるように、エアウェイアダプタ10は、センサ支持部17を備えている。センサ支持部17は、第一筒状部11と第二筒状部12の間に配置されている。センサ支持部17は、一対の窓17aが形成された凸部17bを備えている。
図5と
図7から明らかなように、一対の窓17aは、通気路131を挟んで対向している。
【0054】
図22に例示される光センサ40が、センサ支持部17に装着されうる。光センサ40は、筐体41を備えている。筐体41は、凹部41aを有している。筐体41は、発光素子42と受光素子43を収容している。発光素子42と受光素子43は、凹部41aを挟んで対向するように配置されている。
【0055】
光センサ40は、リード線44を備えている。リード線44は、不図示の測定装置からの駆動信号を発光素子42へ伝達する信号線を含んでいる。当該駆動信号に基づいて発光素子42から出射された光は、凹部41aを通過して受光素子43に入射する。受光素子43は、入射光強度に応じた検出信号を出力する。リード線44は、検出信号を当該測定装置へ伝達する信号線も含んでいる。
【0056】
光センサ40がセンサ支持部17に装着されると、凸部17bが凹部41aに嵌入される。これにより、光センサ40は、センサ支持部17に支持される。このとき、発光素子42から出射された光は、凸部17bに設けられた一対の窓17aの一方を通じて通気路131に進入する。通気路131を通過した光は、一対の窓17aの他方を通じて受光素子43に入射する。
【0057】
光センサ40は、被検者の呼気に含まれる特定のガス成分の濃度を特定するために用いられる。発光素子42から出射される光の波長は、当該特定のガス成分により有意な吸収を受ける波長として定められる。特定のガス成分の例としては、二酸化炭素や麻酔ガスなどが挙げられる。
【0058】
被検者からの呼気は、呼吸回路を通じて通気路131に導かれる。被検者の呼吸に応じて、光センサ40の発光素子42と受光素子43の間に位置する通気路131における特定のガス成分の濃度が変化するので、受光素子43における受光強度が変化する。これにより、被検者の呼吸気中における当該ガス成分濃度の経時変化を測定できる。
【0059】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0060】
第一筒状部11は、必ずしも円筒形状であることを要しない。内部空間111を区画できるのであれば、角筒形状などを有する第一筒状部11もまた採用されうる。その場合、上記の説明における「第一筒状部11の径方向」は、第一筒状部11が雌型部材20に嵌入される方向と直交する方向として定義されうる。
【0061】
同様に、第二筒状部12は、必ずしも円筒形状であることを要しない。嵌入部121を区画できるのであれば、角筒形状などを有する第二筒状部12もまた採用されうる。その場合、上記の説明における「第二筒状部12の径方向」は、雄型部材30が嵌入部121に嵌入される方向と直交する方向として定義されうる。
【0062】
上記の実施形態においては、第一筒状部11が雄型端子を形成しており、第二筒状部12が雌型端子を形成している。しかしながら、第二筒状部12は、第一筒状部11と同じ構造を有する雄型端子として形成されてもよい。あるいは、第一筒状部11は、第二筒状部12と同じ構造を有する雌型端子として形成されてもよい。
【0063】
第二封止部材16とセンサ支持部17の少なくとも一方は、必要に応じて省略されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10:エアウェイアダプタ、11:第一筒状部、11a:第一基端部、11b:第一先端部、11d:外周面、111:内部空間、12:第二筒状部、12a:第二基端部、12b:第二先端部、12c:内周面、121:嵌入部、13:通気路形成部、131:通気路、15:第一封止部材、15a:傾斜面、16:第二封止部材、16a:傾斜面、17:センサ支持部、20:雌型部材、20a:内周面、30:雄型部材、30a:外周面、40:光センサ、D1a:第一基端部における第一筒状部の径方向の寸法、D1b:第一先端部における第一筒状部の径方向の寸法、D2a:第二基端部における第二筒状部の径方向の寸法、D2b:第二先端部における第二筒状部の径方向の寸法