IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電源装置および照明器具 図1
  • 特開-電源装置および照明器具 図2
  • 特開-電源装置および照明器具 図3
  • 特開-電源装置および照明器具 図4
  • 特開-電源装置および照明器具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012425
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電源装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220107BHJP
   H05B 47/10 20200101ALI20220107BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H05B47/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114247
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】阿野 康則
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
【テーマコード(参考)】
3K273
5H730
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA23
3K273EA06
3K273EA24
3K273EA35
3K273FA06
3K273FA28
3K273FA41
3K273GA03
3K273GA12
3K273GA14
3K273GA15
3K273GA25
5H730AA18
5H730AS01
5H730AS11
5H730BB43
5H730CC01
5H730DD04
5H730DD41
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE57
5H730EE58
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD51
5H730FF06
5H730FF09
5H730FF19
(57)【要約】
【課題】スイッチング回路への入力電圧の変動に対して、スイッチング回路の出力電圧の変動を抑制できる電源装置および照明器具を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る電源装置は、スイッチング素子のオンオフにより、負荷に電力を供給するスイッチング回路と、該スイッチング回路の出力電圧が予め定められた目標値と一致するように、該スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、を備え、該制御回路は、該スイッチング回路の出力電圧と該目標値との差分に対応する電圧と、バイアス電圧と、を加算または乗算してフィードバック電圧を算出し、該フィードバック電圧と、該スイッチング素子に流れる電流に対応する電圧と、の比較結果に応じて該スイッチング素子のオンオフを制御し、該バイアス電圧は、定常状態での該スイッチング回路への入力電圧波形に対応して変動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子のオンオフにより、負荷に電力を供給するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路の出力電圧が予め定められた目標値と一致するように、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記スイッチング回路の出力電圧と前記目標値との差分に対応する電圧と、バイアス電圧と、を加算または乗算してフィードバック電圧を算出し、前記フィードバック電圧と、前記スイッチング素子に流れる電流に対応する電圧と、の比較結果に応じて前記スイッチング素子のオンオフを制御し、
前記バイアス電圧は、定常状態での前記スイッチング回路への入力電圧波形に対応して変動することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記スイッチング回路への入力電圧と前記バイアス電圧とを対応させるテーブルを記憶し、前記スイッチング回路への入力電圧に応じて前記テーブルを参照し、前記バイアス電圧を決定することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記スイッチング回路には、交流電圧を整流した電圧が入力され、
前記バイアス電圧は、定常状態での前記交流電圧を整流した電圧に対応する電圧であることを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記バイアス電圧の波形は、前記スイッチング回路への入力電圧の周期を有する正弦波から形成されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記スイッチング回路への入力電圧波形は山部分と谷部分を有し、
前記バイアス電圧は、前記山部分では前記谷部分よりも前記スイッチング素子のオン時間が長くなるように設定されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記スイッチング回路の出力電圧を検出する出力電圧検出回路と、
前記スイッチング回路への入力電圧を検出する入力電圧検出回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記スイッチング回路の出力電圧と前記目標値との前記差分に対応する電圧を出力する誤差増幅器と、
前記差分に対応する電圧と、前記バイアス電圧と、を加算または乗算して前記フィードバック電圧を算出する演算器と、
前記フィードバック電圧と、前記スイッチング素子に流れる電流に対応する電圧と、を比較するコンパレータと、
前記コンパレータの前記比較結果に応じて、前記スイッチング回路の出力電圧と前記目標値とが一致するように前記スイッチング素子のオンオフを制御する駆動回路と、
を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記バイアス電圧は、前記スイッチング回路への入力電圧の周期より長い周期で更新されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記スイッチング回路は、絶縁形フライバックコンバータ回路であり、一次側と二次側が分離されていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項9】
前記制御回路は、マイクロコンピュータを含むことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の電源装置と、
前記負荷と、
を備え、
前記負荷は光源を有し、
前記電源装置は前記光源を点灯させることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スイッチング素子のスイッチングにより商用交流電源からの入力の力率を改善する昇圧チョッパ回路を備えた電源装置が開示されている。この電源装置は、昇圧チョッパ回路の入力電圧を検出する入力電圧検出部と、昇圧チョッパ回路の出力電圧を検出する出力電圧検出部を備える。また、電源装置は、誤差増幅器、乗算器、コンパレータおよびドライバ回路を備える。誤差増幅器は、出力電圧検出部により検出した電圧に対応する電圧と基準電圧との差分を増幅する。乗算器は、誤差増幅器からの出力電圧と入力電圧検出部により検出した電圧とを乗算する。コンパレータは、乗算器の出力信号と、スイッチング素子のドレイン電流に対応する電圧とを比較する。ドライバ回路は、コンパレータからの出力信号に基づき、スイッチング素子のゲート信号を生成する。この結果、力率を改善しながら、昇圧チョッパ回路の出力電圧が設定電圧に近づくようにフィードバック制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6557460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような電源装置では、入力電圧が一時的にサグなどで変動した場合、乗算器の出力も変動する。このため、スイッチング回路の出力電圧にオーバーシュートまたはアンダーシュートが発生し易い可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、スイッチング回路への入力電圧の変動に対して、スイッチング回路の出力電圧の変動を抑制できる電源装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電源装置は、スイッチング素子のオンオフにより、負荷に電力を供給するスイッチング回路と、該スイッチング回路の出力電圧が予め定められた目標値と一致するように、該スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、を備え、該制御回路は、該スイッチング回路の出力電圧と該目標値との差分に対応する電圧と、バイアス電圧と、を加算または乗算してフィードバック電圧を算出し、該フィードバック電圧と、該スイッチング素子に流れる電流に対応する電圧と、の比較結果に応じて該スイッチング素子のオンオフを制御し、該バイアス電圧は、定常状態での該スイッチング回路への入力電圧波形に対応して変動する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電源装置では、スイッチング回路の出力電圧と予め定められた目標値との差分に対応する電圧と、バイアス電圧と、を加算または乗算してフィードバック電圧が算出される。また、フィードバック電圧とスイッチング素子に流れる電流に対応する電圧との比較結果に応じて、スイッチング回路の出力電圧が目標値と一致するように、スイッチング素子のオンオフが制御される。バイアス電圧は、定常状態でのスイッチング回路への入力電圧波形に対応して変動する電圧である。このため、フィードバック電圧にスイッチング回路への入力電圧の変動が反映されることを抑制できる。従って、スイッチング回路への入力電圧の変動に対して、スイッチング回路の出力電圧の変動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る制御回路の機能を説明する図である。
図3】実施の形態1に係る電源装置の各部の波形を示す図である。
図4】比較例に係る電源装置の波形を説明する図である。
図5】実施の形態1に係る電源装置の波形を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態に係る電源装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は、電源装置10と負荷80を備える。負荷80は例えば光源を有する。電源装置10は光源を点灯させる。負荷80は光源に限らず、電源装置10から電力を供給されて機能するものであれば良い。
【0011】
電源装置10の入力端71には交流電源ACが接続される。電源装置10の出力端72には負荷80が接続される。電源装置10は、入力フィルタ回路1と、入力電圧検出回路2と、スイッチング回路3と、出力電圧検出回路5と、制御部6を備える。
【0012】
入力フィルタ回路1は、ヒューズ11と、交流用のコンデンサ12と、ダイオードブリッジ13を備える。ヒューズ11は、過電流を保護するために設けられる。ダイオードブリッジ13は、交流を直流に変換するために設けられる。ダイオードブリッジ13の出力はスイッチング回路3に接続される。ダイオードブリッジ13の出力の低電位側は接地用端子に接続される。
【0013】
スイッチング回路3は絶縁形フライバックコンバータ回路から構成される。スイッチング回路3の一次側と二次側は分離されている。スイッチング回路3はスイッチング素子のスイッチングにより交流電源ACからの入力の力率を改善する。スイッチング回路3には、交流電圧を整流した電圧が入力される。スイッチング回路3は、商用電源である交流電源ACから共有された電力を、負荷80に適した電力に変換する。制御部30はスイッチング回路3を制御する。
【0014】
スイッチング回路3において、ダイオードブリッジ13の出力と並列にコンデンサ31が接続される。コンデンサ31の正極には、コンデンサ38の正極、抵抗37の一端およびトランス33の一次側の一端が接続される。コンデンサ38の負極と抵抗37の他端には、ダイオード39のカソードが接続される。ダイオード39のアノードは、トランス33の一次側の他端に接続される。コンデンサ38、抵抗37およびダイオード39は、スイッチングに伴う過渡的な高電位を吸収するスナバ回路を形成する。
【0015】
トランス33の一次側の他端には、スイッチング素子35の第1端子が直列に接続される。スイッチング素子35の第2端子は、抵抗36を介してコンデンサ31の負極に接続される。スイッチング素子35の制御端子には、制御部30に接続される。制御端子は、第1、第2端子間をスイッチングするための端子である。
【0016】
スイッチング素子35は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子35がMOSFETの場合、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。スイッチング素子35において第1端子がトランス33、第2端子が接地用端子、制御端子が制御部30に電気的に接続される。
【0017】
制御部30はスイッチング制御用のドライバを有する。制御部30はスイッチング素子35を駆動させる。コンデンサ31の正極には抵抗41が接続される。制御部30は、コンデンサ31から抵抗41を介して電源を供給される。
【0018】
制御部30にはフォトカプラ65が接続される。フォトカプラ65は、トランス33の二次側の情報を制御部30に入力するために設けられる。
【0019】
抵抗36は、スイッチング素子35のドレイン電流を検出するために設けられる。抵抗36は、スイッチング素子35のソース端子と接地用端子との間に接続される。抵抗36の一端は制御部30に接続される。これにより、スイッチング素子35のソース電圧が制御部30に入力され、制御部30はドレイン電流を検出できる。
【0020】
トランス33の二次側のフライバック巻き線の一端には、ダイオード34のアノードが接続される。ダイオード34は、トランス33の二次側に直列接続され、出力側に安定した電圧を伝達するために設けられる。ダイオード34のカソードには、電解コンデンサ32の正極が接続される。電解コンデンサ32の負極は接地用端子に接続される。
【0021】
スイッチング回路3の接地用の経路において、トランス33の一次側と二次側はコンデンサ40によって、絶縁されている。
【0022】
制御部6は、マイクロコンピュータ62とレギュレータ61を備える。レギュレータ61は、電圧を安定させるために設けられる。レギュレータ61は、電解コンデンサ32の電圧から電圧Vccを生成する。電圧Vccはマイクロコンピュータ62に電源として供給される。
【0023】
マイクロコンピュータ62のFB端子と接地用端子との間には、抵抗63とコンデンサ64の直列回路が接続される。コンデンサ64と並列に、フォトカプラ65が接続される。マイクロコンピュータ62のFB端子から出力された電圧は、抵抗63とコンデンサ64によってフィルタリングされ、フォトカプラ65を介して一次側に伝達される。フォトカプラ65の一次側は、制御部30に接続される。制御部30は、フォトカプラ65を介してマイクロコンピュータ62から後述するフィードバック電圧を受信する。
【0024】
入力電圧検出回路2は、スイッチング回路3への入力電圧を検出する。入力電圧検出回路2は、直列に接続された抵抗21、22と、抵抗22と並列に接続されたフォトカプラ23から構成される。入力電圧検出回路2はコンデンサ31と並列に接続される。フォトカプラ23の出力は、マイクロコンピュータ62に伝達される。これにより、マイクロコンピュータ62はスイッチング回路3への入力電圧Vinを検出する。
【0025】
出力電圧検出回路5は、スイッチング回路3の出力電圧を検出する。出力電圧検出回路5は、直列に接続された抵抗51、52から構成される。出力電圧検出回路5は、電解コンデンサ32と並列に接続される。抵抗51と抵抗52の分圧値はマイクロコンピュータ62に入力される。これにより、マイクロコンピュータ62はスイッチング回路3の出力電圧Voutを検出する。
【0026】
図2は、実施の形態1に係る制御回路60の機能を説明する図である。本実施の形態では、一例としてスイッチングのオン時間を1スイッチングごとに制御する乗算器制御方式が採用される。
【0027】
制御回路60は、マイクロコンピュータ62と制御部30から形成される。マイクロコンピュータ62は、各種の演算を行うCPUと、メモリと、タイマを備えている。メモリには、予めCPUの演算に用いられる値およびプログラムが書き込まれている。メモリは、例えば不揮発性メモリから構成される。また、マイクロコンピュータ62の機能は、専用のハードウェアで実現されても良い。また、マイクロコンピュータ62の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしても良い。
【0028】
制御部30についても、マイクロコンピュータまたは専用のハードウェアで構成することができる。また、制御部30の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現しても良い。また、制御回路60を1つのマイクロコンピュータまたはハードウェア等の制御装置から構成しても良い。
【0029】
マイクロコンピュータ62は、増幅器62aを有する。増幅器62aの一方の入力には、抵抗62bを介して出力電圧Voutが入力される。増幅器62aの他方の入力と接地用端子GNDとの間には、基準電源62cが接続される。増幅器62aの一方の入力と出力との間には、コンデンサ62dと抵抗62eの直列回路が接続される。増幅器62aの出力は増幅器62fの一方の入力に接続される。増幅器62fの他方の入力には、オシレータからの信号が入力される。増幅器62a、抵抗62b、コンデンサ62d、抵抗62e、増幅器62fは、誤差増幅器を構成する。誤差増幅器からは、スイッチング回路3の出力電圧Voutと予め定められた目標値との差分に対応する電圧が出力される。ここで、予め定められた目標値は、基準電源62cの電圧に対応する。マイクロコンピュータ62において、誤差増幅器はプログラムにより仮想的に構築されている。
【0030】
また、マイクロコンピュータ62は、演算器62gを有する。演算器62gは、出力電圧Voutと目標値との差分に対応する電圧と、後述するバイアス電圧とを加算または乗算してフィードバック電圧FBを算出する。マイクロコンピュータ62において、演算器62gはプログラムにより仮想的に構築されている。演算器62gはマルチプライヤとも呼ばれる。
【0031】
フィードバック電圧FBは、マイクロコンピュータ62のFB端子から出力され、制御部30に入力される。なお、図2において図1に示される回路部品の一部が省略されている。
【0032】
制御部30は、コンパレータ30aを有する。コンパレータ30aは、フィードバック電圧FBと、スイッチング素子35に流れる電流に対応する電圧とを比較する。本実施の形態では、スイッチング素子35に流れる電流はドレイン電流Idである。
【0033】
コンパレータ30aの出力には、駆動回路30bが接続される。駆動回路30bは、コンパレータ30aの比較結果に応じて、スイッチング回路3の出力電圧Voutと目標値とが一致するようにスイッチング素子35のオンオフを制御する。
【0034】
以上から、絶縁形フライバック回路であるスイッチング回路3の定電圧フィードバックが実現する。本実施の形態の制御回路60は、スイッチング回路3の出力電圧が予め定められた目標値と一致するように、スイッチング素子35のオンオフを制御する。スイッチング回路3は、スイッチング素子35のオンオフにより、負荷80に電力を供給する。
【0035】
図3は、実施の形態1に係る電源装置10の各部の波形を示す図である。マイクロコンピュータ62は、入力電圧Vinとバイアス電圧とを対応させるテーブル62hを記憶している。テーブル62hは、マイクロコンピュータ62のメモリ空間に予め書き込まれている。マイクロコンピュータ62は、スイッチング回路3への入力電圧Vinに応じて、テーブル62hを参照し、バイアス電圧を決定する。
【0036】
マイクロコンピュータ62は、入力電圧検出回路2により例えば入力電圧Vinの周期を検出する。入力電圧Vinの周期は、例えば50Hzまたは60Hzである。テーブル62hは、例えば入力電圧Vinの周期毎に設定されている。マイクロコンピュータ62は、入力電圧Vinの周期に対応するテーブルを選択する。テーブル62hに設定されたバイアス電圧の波形は、図3に示されるように、スイッチング回路3への入力電圧Vinの周期を有する正弦波から形成される。本実施の形態のバイアス電圧は、正弦波の半周期分が連続した波形である。つまり、バイアス電圧は全波整流波形を有する。
【0037】
マイクロコンピュータ62は、テーブル62hに設定された正弦波の位相と同期する入力電圧Vinの位相を検出したとき、スイッチング回路3の入力電圧Vinに従って読み込んだテーブルからバイアス電圧を決定する。
【0038】
マイクロコンピュータ62は、誤差増幅器からの出力電圧と、バイアス電圧を演算し、その結果であるフィードバック電圧FBを制御部30に入力する。制御部30は、フィードバック電圧FBと、スイッチング素子のドレイン電流Idをコンパレータ30aで比較し、比較結果をスイッチングのオン時間としてスイッチング回路3に入力する。図3では、スイッチング素子35に入力される信号が電圧Vgとして示されている。
【0039】
マイクロコンピュータ62のメモリには、バイアス電圧の更新期間が予め設定されている。更新期間は、商用電源の交流周期より十分遅い期間である。マイクロコンピュータ62は、タイマで更新期間を管理し、更新期間が経過したときバイアス電圧を更新する。
【0040】
図4は、比較例に係る電源装置の波形を説明する図である。図5は、実施の形態1に係る電源装置10の波形を説明する図である。なお、図4、5に示される波形は、交流電源ACの交流周期に対して拡大されている。また、比較例では、誤差増幅器の出力に入力電圧Vinを乗算することでフィードバック電圧FBが得られる点が本実施の形態と異なる。
【0041】
交流電源ACの電圧が上昇したとき、入力電圧検出回路2で検出される入力電圧Vinも同期して上昇する。
【0042】
比較例において、誤差増幅器の出力に入力電圧Vinを乗算して得られるフィードバック電圧FBは、入力電圧Vinに合わせて上昇する。ドレイン電流Idは、フィードバック電圧に応じて上昇する。このため、出力電圧Voutも上昇する。これにより、出力電圧Voutは目標値よりも大きくなる。このため、誤差増幅器はフィードバック電圧FBを小さくするように制御する。低下したフィードバック電圧FBに応じてドレイン電流Idは低下する。このため、出力電圧Voutは下降し、再び基準電源62cの電圧と一致する。
【0043】
このように、比較例において入力電圧Vinが上昇すると、出力電圧Voutも一時的に上昇する。つまり、所謂オーバーシュートが発生するおそれがあった。
【0044】
一方、本実施の形態では、誤差増幅器からの出力電圧と、テーブル値であるバイアス電圧を演算し、フィードバック電圧FBを算出する。テーブル値は、入力電圧Vinの一時的な変動に影響されない。このため、交流電源ACの一時的な上昇の伴い、フィードバック電圧FBが上昇することがない。フィードバック電圧FBが上昇しないため、ドレイン電流Idも上昇しない。よって、出力電圧Voutも上昇しない。
【0045】
このように、本実施の形態では、入力電圧Vinが一時的にサグなどで変動した場合でも、出力電圧Voutにオーバーシュートまたはアンダーシュートが発生しにくくすることができる。従って、スイッチング回路3への入力電圧Vinの変動に対して、スイッチング回路3の出力電圧Voutの変動を抑制できる。
【0046】
また、入力電圧Vinを検出せず演算器62gを使用しない場合、入力電圧Vinの変動に伴うオーバーシュートまたはアンダーシュートは発生しない。しかし、入力電圧Vinに対して入力電流がひずみ易くなり、力率が低下するおそれがある。これに対し本実施の形態では、力率の低下を抑制しつつ、スイッチング回路3への入力電圧Vinの変動に対して出力電圧Voutの変動を抑制できる。
【0047】
入力電圧Vinは交流電源ACの電圧を整流した電圧に対応する。このため、定常状態の入力電圧Vinは、正弦波で容易に置き換えることができる。このため、テーブル62hを容易に生成できる。なお、定常状態とは、サグ等の一時的な変動がない状態を示す。
【0048】
また、バイアス電圧は、スイッチング回路3への入力電圧Vinの周期より長い周期で更新される。これにより、バイアス電圧を安定して更新することができる。
【0049】
本実施の形態の制御回路60は、スイッチング回路3の出力電圧Voutと目標値との差分に対応する電圧と、バイアス電圧とを加算または乗算してフィードバック電圧FBを算出する。また、制御回路60は、フィードバック電圧FBと、スイッチング素子35に流れる電流に対応する電圧との比較結果に応じて、スイッチング素子35のオンオフを制御する。制御回路60は、これらの機能を実現できれば良く、図2に示される構成に限定されない。
【0050】
また、本実施の形態のバイアス電圧の波形は、定常状態でのスイッチング回路3への入力電圧Vinの波形と同様である。つまりバイアス電圧は、定常状態での交流電圧を整流した電圧に対応する電圧である。この変形例として、バイアス電圧の波形は正弦波に限定されず、入力電圧Vinの波形と異なっていても良い。バイアス電圧は、定常状態でのスイッチング回路3への入力電圧波形に対応して変動すれば良い。つまり、バイアス電圧は、スイッチング回路3への入力電圧波形の山部分では入力電圧波形の谷部分よりも大きくなるように設定されれば良い。
【0051】
バイアス電圧を加算または乗算して得られるフィードバック電圧FBと、ドレイン電流Idとの比較結果は、スイッチング素子35のオン時間に対応する。つまり、バイアス電圧は、スイッチング素子35のオン時間に影響する。このため、バイアス電圧は、入力電圧波形の山部分では谷部分よりも、スイッチング素子35のオン時間が長くなるように設定されるものとしても良い。
【0052】
本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 入力フィルタ回路、2 入力電圧検出回路、3 スイッチング回路、5 出力電圧検出回路、6 制御部、10 電源装置、11 ヒューズ、12 コンデンサ、13 ダイオードブリッジ、21 抵抗、22 抵抗、23 フォトカプラ、30 制御部、30a コンパレータ、30b 駆動回路、31 コンデンサ、32 電解コンデンサ、33 トランス、34 ダイオード、35 スイッチング素子、36 抵抗、37 抵抗、38 コンデンサ、39 ダイオード、40 コンデンサ、41 抵抗、51 抵抗、52 抵抗、60 制御回路、61 レギュレータ、62 マイクロコンピュータ、62a 増幅器、62b 抵抗、62c 基準電源、62d コンデンサ、62e 抵抗、62f 増幅器、62g 演算器、62h テーブル、63 抵抗、64 コンデンサ、65 フォトカプラ、71 入力端、72 出力端、80 負荷、100 照明器具、AC 交流電源
図1
図2
図3
図4
図5