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特開2022-124261微小ボールボンド部の接合良否検査方法及び検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124261
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】微小ボールボンド部の接合良否検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20220818BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G01N25/72 E
H01L21/60 301B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021923
(22)【出願日】2021-02-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】520036134
【氏名又は名称】アイエルテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】松本 順
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚子
(72)【発明者】
【氏名】熊田 哲也
【テーマコード(参考)】
2G040
5F044
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040AB08
2G040BA18
2G040BA25
2G040CA02
2G040DA06
2G040DA15
2G040EA06
2G040EC04
2G040EC09
2G040HA05
2G040HA16
5F044AA01
5F044BB00
5F044JJ01
(57)【要約】
【課題】30μm以下の微細径ワイヤの微小ボールボンド部の接合界面状態の良否検査を、非接触・非破壊にて、信頼性を以て瞬時に行うことができる微小ボールボンド部の接合良否検査方法及び検査装置を提供することを課題とする。
【解決手段】リードフレーム51に担持されているチップ52の各微小ボールボンド部53の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査する方法であって、周期加熱レーザー照射を、ワイヤ54の径中心であってボールボンド部53の先端部から所定の高さの照射ポイントgに対して行う。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査する方法であって、
前記周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であって前記ボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項2】
リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査するための方法であって、
前記チップの全体画像を画像処理することにより実装位置誤差を補正した当該チップの前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、
前記各ボールボンド部につきその重心座標の予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算して、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、
前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる処理を行うことにより、前記周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であって前記ボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことを可能にしたことを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項3】
リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査するための方法であって、
位置決め多軸ステージのワーク受けテーブル上にセットされたリードフレームに担持された前記チップのうちの検査対象となるチップの画像処理により、当該チップのチップ基準位置からのズレ量を測定し、そのズレ量の補正を行うチップの位置補正ステップと、
前記チップの全体画像を画像処理することにより当該チップに含まれる前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、前記各ボールボンド部につきその重心座標の予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算し、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる照射ポイントの位置補正ステップと、
位置補正された前記照射ポイントを、前記周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて前記ボールボンド部の接合状態の良否を判定する接合良否判定ステップ
から成ることを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項4】
前記各ボールボンド部の重心座標の計算は、前記チップの全体を前記チップの直上から低倍率カメラで撮影して取得したチップ全体画像の画像処理により行なう、請求項3に記載の微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項5】
前記X、Y、Z座標の補正値の計算は、前記検査対象のボールボンド部の周辺を含む部位を高倍率カメラで撮影してボールボンド部周辺画像を取得し、その周辺画像について画像処理を行い、前記各ボールボンド部につき予め設定されている基準位置座標からボールボンド部を特定することにより行う、請求項3又は4に記載の微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項6】
周期加熱レーザー光学系と放射赤外線量測定光学系を同軸で構成した同軸光学測定ヘッド、及び、三次元測定位置認識を目的とした画像処理光学ヘッドと、前記同軸光学測定ヘッド及び前記画像処理光学ヘッドを支持し、それらをX軸方向(横方向)に移動させる門型ステージ機構と、検査対象のチップ並びにそこに含まれる微小ボールボンド部を最適検査位置に移動させる位置決め多軸ステージとを備えて成る微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【請求項7】
前記門型ステージ機構は門型フレームの横梁に、X軸粗動ステージを組み込んだものである、請求項6に記載の微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【請求項8】
前記同軸光学測定ヘッド及び前記画像処理光学ヘッドは、支持ブラケットを介して正面視V字型になるように前記門型ステージに取り付けられ、前記支持ブラケットを介してX軸方向に移動可能にされる、請求項6又は7に記載の微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【請求項9】
前記位置決め多軸ステージは、下から順に、Y軸粗動ステージ、XY軸微動ステージ、Z軸微動ステージ、θステージが配置されて構成され、前記θステージ上に検査対象のリードフレームを載置するワーク受けテーブルが設置される、請求項6乃至8のいずれかに記載の微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【請求項10】
前記Y軸粗動ステージはボールネジ駆動の一軸ステージにより、前記XY軸微動ステージは直交ステージにより、前記Z軸微動ステージは楔形のZ軸ステージにより、前記θステージはロータリーアクチュエータによりそれぞれ構成され、前記θステージ上面のθテーブルに、検査対象のリードフレームを載置するワーク受けテーブルが設置される、請求項6乃至9のいずれかに記載の微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小ボールボンド部の接合良否検査方法及び検査装置に関するものであり、より詳細には、直径30μm以下の微細径ワイヤを用いて行なうワイヤボンディング後に、その微小ボールボンド部の接合状態の良否を、非接触非破壊にて瞬時に検査するための微小ボールボンド部の接合良否検査方法及び検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイヤボンディングは、LSIやトランジスタ等の半導体チップ上の接続端子である電極と、基板上の導体端子とを金線や銅線のワイヤを介して接続する技術であり、言うまでもなく、ワイヤ両端部は十分に接合されていることが重要である。そのため、ワイヤボンディング後に、ワイヤの接合界面状態の良否検査が行われるが、その検査を非接触で迅速に行う方法が種々提案され、実用化されている。
【0003】
その方法の1つとして本発明者は、接合した微小金属間の片方を周期的に強弱(正弦波)加熱すると、その加熱部も加熱周期に同期した温度変化をし、その加熱周期と温度変化周期の位相差が、接合部の面積と相関するとの知見の基に、周期加熱をレーザーで、温度変化測定を放射赤外線量測定で実施する、金属接合部の非接触非破壊瞬時検査方法の発明に携わっている(特許第6620499号公報等)。
【0004】
上記発明に係る金属接合部の検査方法は、パワー半導体で使用される直径50μm以上のアルミワイヤのボンド部を検査対象としたものである。しかるに、CPUやメモリのワイヤボンディングに用いるワイヤの線径はどんどん細くなり、現在では直径15~25μmの微細径の金線(又は銅線)ワイヤが主流となっている。しかし、上記従来の検査方法は、このような微細径ワイヤの微小ボールボンド部の検査を想定したものではないため、その方法をそのまま適用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6620499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来提案されているワイヤボンド部の接合状態の良否検査方法は、現在主流となっている30μm以下の微細径ワイヤの微小ボールボンド部の接合界面状態の良否検査に適用することができないため、その改良が求められていた。本発明は、かかる要望に応えるためになされたもので、現在主流となっている30μm以下の微細径ワイヤの微小ボールボンド部の接合界面状態の良否検査を、非接触・非破壊にて、信頼性を以て瞬時に行うことができる微小ボールボンド部の接合良否検査方法及び検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究開発を進めた結果、その課題解決のためには、
ア.加熱領域(加熱レーザースポット径)を15μm以下にすること
イ.この微小な加熱領域の放射赤外線(100KHzの正弦波温度応答)を測定可能にすること
ウ.微小ボールボンド部の加熱測定最適位置からのズレを高精度画像処理で自動補正可能にすること(±1μm以下)
の3つの問題をクリアする必要があるとの知見を得て、本発明の完成に至ったものである。
【0008】
即ち、上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査する方法であって、
前記周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であって前記ボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法である。
【0009】
上記課題を解決するための請求項2に係る発明は、リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査するための方法であって、
前記チップの全体画像を画像処理することによりチップ実装位置誤差を補正した当該チップの前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、前記各ボールボンド部につきその重心座標の予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算し、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる処理を行うことにより、前記周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であって前記ボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことを可能にしたことを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法である。
【0010】
上記課題を解決するための請求項3に係る発明は、リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査するための方法であって、
位置決め多軸ステージのワーク受けテーブル上にセットされたリードフレームに担持された前記チップのうちの検査対象となるチップの画像処理により、当該チップのチップ基準位置からのズレ量を測定し、そのズレ量の補正を行うチップの位置補正ステップと、
前記チップの全体画像を画像処理することにより当該チップに含まれる前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、前記各ボールボンド部につきその重心座標の予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算し、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる照射ポイントの位置補正ステップと、
位置補正された前記照射ポイントを、前記周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて前記ボールボンド部の接合状態の良否を判定する接合良否判定ステップ
から成ることを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法である。
【0011】
一実施形態においては、前記各ボールボンド部の重心座標の計算は、前記チップの全体を前記チップの直上から低倍率カメラで撮影して取得したチップ全体画像の画像処理により行なう。
【0012】
一実施形態においては、前記X、Y、Z座標の補正値の計算は、前記検査対象のボールボンド部の周辺を含む部位を高倍率カメラで撮影してボールボンド部周辺画像を取得し、その周辺画像について画像処理を行い、前記各ボールボンド部につき予め設定されている基準位置座標からボールボンド部を特定することにより行う。
【0013】
上記課題を解決するための請求項6に係る発明は、周期加熱レーザー光学系と放射赤外線量測定光学系を同軸で構成した同軸光学測定ヘッド、及び、三次元測定位置認識を目的とした画像処理光学ヘッドと、前記同軸光学測定ヘッド及び前記画像処理光学ヘッドを支持し、それらをX軸方向(横方向)に移動させる門型ステージ機構と、検査対象のチップ並びにそこに含まれる微小ボールボンド部を最適検査位置に移動させる位置決め多軸ステージとを備えて成る微小ボールボンド部の接合良否検査装置である。
【0014】
一実施形態においては、前記門型ステージ機構は門型フレームの横梁に、X軸粗動ステージを組み込んだものである。また、一実施形態においては、前記同軸光学測定ヘッド及び前記画像処理光学ヘッドは、支持ブラケットを介して正面視V字型になるように前記門型ステージ機構に取り付けられ、前記支持ブラケットを介してX軸方向に移動可能とされる。
【0015】
一実施形態においては、前記位置決め多軸ステージは、下から順に、Y軸粗動ステージ、XY軸微動ステージ、Z軸微動ステージ、θステージが配置されて構成され、前記θステージ上に検査対象のリードフレームを載置するワーク受けテーブルが設置される。また、一実施形態においては、前記Y軸粗動ステージはボールネジ駆動の一軸ステージにより、前記XY軸微動ステージは直交ステージにより、前記Z軸微動ステージは楔形のZ軸ステージにより、前記θステージはロータリーアクチュエータによりそれぞれ構成され、前記θステージ上面のθテーブルに、検査対象のリードフレームを載置するワーク受けテーブルが設置される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法及び検査装置は上記のとおりであって、現在主流となっている30μm以下の微細径ワイヤの微小ボールボンド部の接合界面状態の良否検査を、非接触・非破壊にて、信頼性を以て瞬時に行うことを可能にする効果がある。また、周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であってボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことで、接合界面から極力等距離より加熱することができ、以て、接合界面全体に亘ってより精確で信頼性に富んだ検査が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査装置の正面図である。
図2】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査装置の側面図である。
図3】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査装置の平面図である。
図4】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法の検査対象となるチップを示す図である。
図5】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法の検査対象となるチップを示す図である。
図6】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法の検査対象となるチップの実装位置のズレを示す図である。
図7】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法における低倍率カメラによるチップの全体画像のイメージ図である。
図8】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法における高倍率カメラによるボールボンド部の周辺画像のイメージ図である。
図9】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法におけるボールボンド部のズレ量を示すイメージ図である。
図10】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法におけるボールボンド部の周辺画像とX、Y、Z軸のイメージ図である。
図11】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法におけるボールボンド部の補正後の周辺画像のイメージ図である。
図12】本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法における処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態につき、添付図面に依拠して説明する。本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法は、リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査する方法であって、前記周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であって前記ボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことを特徴とするものである。
【0019】
より詳細には、本方法は、前記チップの全体画像を画像処理することにより当該チップに含まれる前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、前記各ボールボンド部につき予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算し、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる処理を行うことにより、前記周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であって前記ボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことを可能にするものである。このように照射ポイントを、ワイヤの径中心であってボールボンド部の先端部から所定の高さに設定するのは、接合界面から極力等距離より加熱することで、接合界面全体に亘ってより精確で信頼性に富んだ検査を実現するためである。
【0020】
また、本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査装置は、上記方法を実施するためのものであり、図1乃至図3に示されるように、周期加熱レーザー光学系と放射赤外線量測定光学系を同軸で構成した同軸光学測定ヘッド1、及び、最適測定位置認識を目的とした画像処理光学ヘッド2と、同軸光学測定ヘッド1及び画像処理光学ヘッド2を支持し、それらをX軸方向(横方向)に移動させて、垂直基準軸A1に位置決めする門型ステージ10と、検査対象のチップ52並びにそこに含まれる微小ボールボンド部53を測定基準位置f(最適測定位置)に移動させる位置決め多軸ステージ11と、図示してないが、同軸光学測定ヘッド1と画像処理光学ヘッド2の間の、測定基準位置f直上に配置されてチップ52の全体画像を撮像する低倍率カメラを備えて構成される(図3の軸線A1と軸線A2の交点付近の、同軸光学測定ヘッド1と画像処理光学ヘッド2に干渉しない位置に設置される。)。
【0021】
門型ステージ機構10は光学定盤12上に設置された門型フレーム13の横梁14に、X軸粗動ステージ15を組み込んだものである。図2に示されるように、X軸粗動ステージ15は、横梁14に固定されるガイドレール16と、図示せぬボールネジを駆動するパルス(ステッピング)モータ17と、ボールネジ駆動されてガイドレール16に沿って移動するスライダー18と、スライダー18に固定されて横方向(X軸方向)に移動する支持プレート19から成る(図2参照)。支持プレート19の天面には、横梁14を越えて伸びる連結材20が固定され、その先端部は、横梁14の後ろ側に配置されるケーブルキャリア20aに連結される。
【0022】
同軸光学測定ヘッド1及び画像処理光学ヘッド2は、上記支持プレート19に固定される逆T字形の支持ブラケット21に固定されて支持されるが、その場合同軸光学測定ヘッド1と画像処理光学ヘッド2は、干渉を避けるために、それぞれ上方を垂直軸からX軸方向に、例えば、22.5度(相対45度)傾けて、正面視V字型になるように取り付けられる(図1参照)。
【0023】
また、同軸光学測定ヘッド1と画像処理光学ヘッド2は、それぞれ下部が前方(Y軸方向)に傾くように取り付けられる(図2,3参照)。好ましい実施形態においては、その前方への傾きは、それぞれ垂直軸から30度とされる。画像処理光学ヘッド2をこのように傾けて設置するのは、後述するように、三次元画像を取得するためである。
【0024】
位置決め多軸ステージ11は、門型フレーム13の横梁14の下側に配置される。位置決め多軸ステージ11は、下から順に、Y軸粗動ステージ23、XY軸微動ステージ24、Z軸微動ステージ25、θステージ26が配置されて構成され、θステージ26のθテーブル上に検査対象のリードフレーム51を載置するワーク受けテーブル27が設置される。
【0025】
一番下のY軸粗動ステージ23は、例えば、ボールネジ駆動の一軸ステージで、ボールネジと、それを駆動するパルス(ステッピング)モータ28を組み込んだベース29と、それに跨ってボールネジによってY軸方向に粗動駆動されるテーブル板30とから成る。テーブル板30には、ケーブルキャリア32に連結される連結材31が固定される。
【0026】
XY軸微動ステージ24は直交ステージで、例えば、ボールネジ駆動の一軸ステージを直交させたものとされる。図示した例では、下側にボールネジとパルス(ステッピング)モータ34を組み込んだX軸微動ステージ33が配置され、上側にボールネジとパルス(ステッピング)モータ36を組み込んだY軸微動ステージ35が配置されている(図2参照)。
【0027】
Z軸微動ステージ25は、楔形のZ軸ステージで、パルス(ステッピング)モータ37により下側の楔形部材を前後動させることにより、上側の楔形部材を上下動させるものである。
【0028】
θステージ26はロータリーアクチュエータにより構成され、その上面のθテーブルに、検査対象のリードフレーム51を載置するワーク受けテーブル27が設置される。
【0029】
同軸光学測定ヘッド1は、周期加熱レーザー光学系(レーザーコリメート部1a)と放射赤外線量測定光学系(赤外線センサー部1b)を共通の光学系で同軸構成としたもので、周期加熱レーザー光学系の目標とするレーザースポット径は、15μmである(ガウシアン型よりもレーザー強度分布が均一なトップハット型を採用することが好ましい。)。また、画像処理光学ヘッド2は、微小ボールボンド部52及びその周辺部の観察が可能な被写界深度を有する、中倍率で高解像力のレンズと、高分解能C-MOSカメラの併用により、微小ボールボンド部の観察が可能な画像光学鏡筒を含む。
【0030】
本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法は、上記本発明に係る検査装置を用いて行うもので、周期加熱レーザー照射を、ワイヤ54の径中心であってボールボンド部53の先端部から所定の高さの照射ポイントg(図9,10参照)に対して行うことを特徴とするものであり、下記各ステップにおける処理は、この照射ポイントgを、測定基準位置f(最適測定位置)に合致するように移動させる処理である。
【0031】
本発明に係る方法は以下の各ステップから成るが(図12参照)、そのうち、ステップS11は、各チップ52を基準位置に位置決めするための処理であり、ステップS12以下は、各ボールボンド部53を基準位置に位置決めして接合部の良否検査をするための処理である。以下、各ステップにつき、工程順に詳細に説明する。
【0032】
チップの位置補正ステップ(S11)
本発明に係る微小ボールボンドの接合良否検査方法は、リードフレーム51に担持された多数の半導体チップ52の多数の微小ボールボンド部53の接合状態の良否を、チップ52を90度ずつ回転させて、その四辺すべての微小ボールボンド部53の接合良否を順次連続的に検査していくものである(図4参照)。
【0033】
ボールボンド部53は、図4,5に示されるように、リードフレーム51に多数担持されたチップ52の周縁部に多数存在するものである(ワイヤの他端はウェッジボンド部となる。)。1つのチップ52を90度ずつ回転させて、その四辺すべての微小ボールボンド部53の接合良否の検査を終了した後、隣のチップ52について同様の検査を行い、以後残りのすべてのチップ52について、順次同様の検査を行っていく。但し、検査全体速度を早くするために、1つのチップ52ごとではなく、同一列のすべてのチップ52について連続して実測するようにすることが好ましい。
【0034】
各チップ52は、リードフレーム51上の設計位置に実装されるが、実際には、その実装位置が設計位置から若干ずれていることが多く、ズレ量も一定ではない(図6の(A)は設計位置に合致している場合を示し、(B)はズレが生じている場合を示している。)。そこで、ボールボンド部53の検査に先立ち、リードフレーム51を、三次元移動する位置決め多軸ステージ11のワーク受けテーブル27上にセットした後、チップ52の位置補正、即ち、下記のチップ52のチップ基準位置を所定の位置(本発明においては画像中心eとする)に移動させる処理を行う(図6参照)。
【0035】
このチップ52の位置補正に利用するために、リードフレーム51の位置決め穴がワーク原点50に設定され、また、チップ52の4つのコーナーが、それぞれそのチップ52の各辺に対するチップ基準位置a~dに設定される(図4参照)。例えば、チップ基準位置aは、丸数字1~8を付したボールボンド部53列に対する基準となり(図5参照)、後述するボールボンド部の検査に先立って、チップ基準位置aの画像中心eからのズレ量補正が行なわれる。
【0036】
このチップの位置補正ステップ(S11)においては、上記低倍率カメラにて直上より撮影して取得したチップの全体画像を画像処理し、そのズレ量を計算してズレ量を補正する処理が行われる。
【0037】
リードフレーム51をワーク受けテーブル27上にセットした後、始動スイッチを入れると、位置決め多軸ステージ11のX軸粗動ステージ15及びY軸粗動ステージ23の作用で、リードフレーム51がXY軸方向に粗動される。詳細には、リードフレーム51に担持されている複数のチップ52のうちの最初の検査対象のチップ52の第1の辺(図5において、ボールボンド部53に丸数字を付した辺)に対応する第1のチップ基準位置aが、所定位置(通例、画像中心e)にくるように、リードフレーム51を移動させる。その場合、チップ基準位置aが画像中心eに一致する場合(図6(A))と、ずれている場合(図6(B))とがある。
【0038】
チップ52を粗動させた後、その全体をその直上から、低倍率カメラで撮影して取得したチップの全体画像の画像処理により、チップ基準位置aの画像中心eからのズレ量を測定する。このズレ量測定のために、予めレシピデータから得られた値として、各チップ52ごとのチップ基準位置a~dの座標が与えられる。レシピデータとして与える座標は、ワーク原点50から各チップ52のチップ基準位置a~dごとの絶対座標であり、チップ基準位置a~dを画像中心eに移動させるための設計値である。このようにして得られたズレ量は、XY軸微動ステージ24によりチップ52を微動させることにより補正される。
【0039】
ボールボンド部移動ステップ(S12)
このステップは、検査対象のチップ52の検査対象となるボールボンド部53を、XY軸微動ステージ24の作用でXY軸方向に微動させて、所定位置(画面中心)に移動させる処理を行うステップである。この処理は、チップ基準位置a~dに対する各ボールボンド部53のレシピデータから得られた相対座標を元に、当該ボールボンド部53を選択し、それの直上画像より得られた重心座標に基づいて移動させる方法により行われる。
【0040】
その場合、所定位置(画面中心)に移動させたチップ52の全体を、当該チップ52の直上から上記低倍率カメラで撮影してチップ全体画像を取得し、そのチップ全体画像を画像処理して、そこに含まれる各ボールボンド部53の重心座標を計算する処理を行う(図7参照)。図7は、低倍率カメラの画像イメージを示すもので、そこにおいて(Xi,Yi)(i=1~8)は、各ボールボンド部53の重心座標を示している。
【0041】
次いで、検査対象となるボールボンド部53の重心座標が、測定基準位置fにくるように、XY軸微動ステージ24の作用でチップ52をXY軸方向に微動させる。これにより、当該ボールボンド部53が画面中心に映ることになる。
【0042】
照射ポイントの位置補正ステップ(S13)
このステップにおいては、位置決めされた検査対象のボールボンド部53の周辺を含む部位を、画像処理光学ヘッド2の高倍率カメラで撮影してボールボンド部周辺画像を取得し(図8は、周辺画像のイメージを示す。)、その周辺画像について画像処理を行う。そして、各ボールボンド部53につき、予め設定されている最適測定位置座標からのズレ量を計算する。
【0043】
図9は、ボールボンド部53のズレ量のイメージ図である。そこに示される例では、その画像処理により、ボールボンド部53の先端部から所定の高さL[pix]であり、且つ、ワイヤ径の中央である照射ポイントgが、横軸方向にMh[pix]、縦軸方向にMv[pix]分、測定位置Hb[pix](測定基準位置fを通る横軸座標)、及び、測定位置Vb[pix]からずれていることが計算される。
【0044】
三次元座標変換ステップ(S14)
次いで、上記ステップ(S13)で求めた横軸方向にMh[pix]、縦軸方向にMv[pix]分のズレ量につき、その補正に必要なX、Y、Z座標の補正値を計算する。横軸方向のズレMh[pix]を補正するのに必要なX,Y,Z座標の補正値をMhx,Mhy,Mhz[pix]とし、縦軸方向のズレMv[pix]を補正するのに必要なX,Y,Z座標の補正値をMvx,Mvy,Mvz[pix]とする。なお、図10から理解できるように、画像の横軸とX軸、画像の縦軸とY軸は一致していない。そのため、Mh[pix]、Mv[pix]については、X,Y,Z座標でのベクトル成分を計算する。
【0045】
三次元位置補正ステップ(S15)
ステップ(S14)で求めた各座標の補正値に、画素サイズPixSize[μm]を掛けた下記量だけ、XY軸微動ステージ24、及び、Z軸微動ステージ25の作用で移動させる。図11は移動後の画像を示す(測定基準位置fと照射ポイントgが一致している。)。
・Mhx×PixSize[μm]
・Mhy×PixSize[μm]
・Mhz×PixSize[μm]
・Mvx×PixSize[μm]
・Mvy×PixSize[μm]
・Mvz×PixSize[μm]
以上の手順を踏むことで、各ボールボンド53について、一定の高さL[pix]且つワイヤ径の中央となる照射ポイントgにレーザーを照射することが可能となる。
【0046】
三次元位置微調整ステップ(S16)
三次元位置補正(S15)を行った後、照射ポイントgに向けて低出力レーザーを照射し、正しく照射ポイントgに照射されているかを画像処理により確認し、ずれている場合はXY軸微動ステージ24、及び、Z軸微動ステージ25による微動駆動で自動補正する。なお、上述したように、照射ポイントgを、ワイヤの径中心であってボールボンド部の先端部から所定の高さL[pix]に設定するのは、接合界面から極力等距離より加熱することで、接合界面全体に亘ってより精確で信頼性に富んだ検査を実現するためであって、高さL[pix]は、ボールボンド形状に基づいて設定値(指定値)として与えられる。
【0047】
接合良否判定ステップ(S17)
以上の処理によりボールボンド部53を最適測定位置に位置決めした後、照射ポイントgを周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて、ボールボンド部53の接合状態の良否を判定する。
【0048】
この良否判定方法は、上記特許文献1等に記載されている方法に準じる。即ち、この方法は、強度を周期的に変調させた熱流エネルギーを与えた時の、加熱領域からある距離だけ離れた位置における温度応答の振幅又は位相差から熱拡散率を求める周期加熱法を応用した方法であり、熱エネルギーとして、レーザー光のジュール熱を周期的に変調して与え、温度応答の検出に、高感度、高速応答のテルル化カドミウム水銀(MCT)赤外線センサー等を使用する。
【0049】
以上のステップを経て1つのボールボンド部53の良否検査が終了すると、隣のボールボンド部53について、上記ボールボンド部移動ステップ(S12)から接合良否判定ステップ(S17)までの処理が行われ、以後同様に同列すべてのボールボンド部53の検査が反復され、その列すべてのボールボンド部53の検査が終了すると、チップ52が90度回転されて、次の辺のボールボンド部53列について同様の処理が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る微小ボールボンド部の接合良否検査方法及び検査装置は上記のとおりであって、現在主流となっている30μm以下の微細径ワイヤの微小ボールボンド部の接合界面状態の良否検査を、非接触・非破壊にて、信頼性を以て瞬時に行うことが可能となり、また、周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であってボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことで、接合界面から極力等距離より加熱することができ、以て、接合界面全体に亘ってより精確で信頼性に富んだ検査が可能となる効果があり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0051】
1 同軸光学測定ヘッド
2 画像処理光学ヘッド
10 門型ステージ機構
11 位置決め多軸ステージ
13 門型フレーム
15 X軸粗動ステージ
23 Y軸粗動ステージ
24 XY軸微動ステージ
25 Z軸微動ステージ
26 θステージ
27 ワーク受けテーブル
51 リードフレーム
52 チップ
53 ボールボンド部
54 ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査するための方法であって、
前記チップの全体画像を画像処理することにより実装位置誤差を補正した当該チップの前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、
前記各ボールボンド部につきその重心座標の予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算して、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、
前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる処理を行うことにより、前記周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であって前記ボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことを可能にしたことを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項2】
リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査するための方法であって、
位置決め多軸ステージのワーク受けテーブル上にセットされたリードフレームに担持された前記チップのうちの検査対象となるチップの画像処理により、当該チップのチップ基準位置からのズレ量を測定し、そのズレ量の補正を行うチップの位置補正ステップと、
前記チップの全体画像を画像処理することにより当該チップに含まれる前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、前記各ボールボンド部につきその重心座標の予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算し、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる照射ポイントの位置補正ステップと、
位置補正された前記照射ポイントを、前記周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて前記ボールボンド部の接合状態の良否を判定する接合良否判定ステップ
から成ることを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項3】
前記各ボールボンド部の重心座標の計算は、前記チップの全体を前記チップの直上から低倍率カメラで撮影して取得したチップ全体画像の画像処理により行なう、請求項2に記載の微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項4】
前記X、Y、Z座標の補正値の計算は、前記検査対象のボールボンド部の周辺を含む部位を高倍率カメラで撮影してボールボンド部周辺画像を取得し、その周辺画像について画像処理を行い、前記各ボールボンド部につき予め設定されている基準位置座標からボールボンド部を特定することにより行う、請求項2又は3に記載の微小ボールボンド部の接合良否検査方法。
【請求項5】
周期加熱レーザー光学系と放射赤外線量測定光学系を同軸で構成した同軸光学測定ヘッド、及び、三次元測定位置認識を目的とした画像処理光学ヘッドと、前記同軸光学測定ヘッド及び前記画像処理光学ヘッドを支持し、それらをX軸方向(横方向)に移動させる門型ステージ機構と、検査対象のチップ並びにそこに含まれる微小ボールボンド部を最適検査位置に移動させる位置決め多軸ステージとを備えて成り、
前記位置決め多軸ステージは、下から順に、Y軸粗動ステージ、XY軸微動ステージ、Z軸微動ステージ、θステージが配置されて構成され、前記θステージ上に検査対象のリードフレームを載置するワーク受けテーブルが設置されたものであることを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【請求項6】
前記門型ステージ機構は門型フレームの横梁に、X軸粗動ステージを組み込んだものである、請求項5に記載の微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【請求項7】
前記同軸光学測定ヘッド及び前記画像処理光学ヘッドは、支持ブラケットを介して正面視V字型になるように前記門型ステージに取り付けられ、前記支持ブラケットを介してX軸方向に移動可能にされる、請求項5又は6に記載の微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【請求項8】
前記Y軸粗動ステージはボールネジ駆動の一軸ステージにより、前記XY軸微動ステージは直交ステージにより、前記Z軸微動ステージは楔形のZ軸ステージにより、前記θステージはロータリーアクチュエータによりそれぞれ構成され、前記θステージ上面のθテーブルに、検査対象のリードフレームを載置するワーク受けテーブルが設置される、請求項5乃至7のいずれかに記載の微小ボールボンド部の接合良否検査装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するための請求項に係る発明は、リードフレームに担持されているチップの各微小ボールボンド部の接合状態の良否を、周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて連続的に検査するための方法であって、
前記チップの全体画像を画像処理することにより実装位置誤差を補正した当該チップの前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、
前記各ボールボンド部につきその重心座標の予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算して、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、
前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる処理を行うことにより、前記周期加熱レーザー照射を、ワイヤの径中心であって前記ボールボンド部の先端部から所定の高さの照射ポイントに対して行うことを可能にしたことを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決するための請求項に係る発明は、位置決め多軸ステージのワーク受けテーブル上にセットされたリードフレームに担持された前記チップのうちの検査対象となるチップの画像処理により、当該チップのチップ基準位置からのズレ量を測定し、そのズレ量の補正を行うチップの位置補正ステップと、
前記チップの全体画像を画像処理することにより当該チップに含まれる前記各ボールボンド部の重心座標を計算し、前記各ボールボンド部につきその重心座標の予め設定されている基準位置座標からのズレ量を計算し、そのズレ量よりX、Y、Z座標の補正値を計算し、前記各ボールボンド部につきその補正値分移動させる照射ポイントの位置補正ステップと、
位置補正された前記照射ポイントを、前記周期加熱レーザー照射により加熱し、正弦波状に変化する前記周期加熱レーザーの強度と、被加熱部から放射される正弦波状に変化する赤外線の強度の位相差に基づいて前記ボールボンド部の接合状態の良否を判定する接合良否判定ステップ
から成ることを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査方法である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
上記課題を解決するための請求項に係る発明は、周期加熱レーザー光学系と放射赤外線量測定光学系を同軸で構成した同軸光学測定ヘッド、及び、三次元測定位置認識を目的とした画像処理光学ヘッドと、前記同軸光学測定ヘッド及び前記画像処理光学ヘッドを支持し、それらをX軸方向(横方向)に移動させる門型ステージ機構と、検査対象のチップ並びにそこに含まれる微小ボールボンド部を最適検査位置に移動させる位置決め多軸ステージとを備えて成り、
前記位置決め多軸ステージは、下から順に、Y軸粗動ステージ、XY軸微動ステージ、Z軸微動ステージ、θステージが配置されて構成され、前記θステージ上に検査対象のリードフレームを載置するワーク受けテーブルが設置されたものであることを特徴とする微小ボールボンド部の接合良否検査装置である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
一実施形態においては、前記Y軸粗動ステージはボールネジ駆動の一軸ステージにより、前記XY軸微動ステージは直交ステージにより、前記Z軸微動ステージは楔形のZ軸ステージにより、前記θステージはロータリーアクチュエータによりそれぞれ構成され、前記θステージ上面のθテーブルに、検査対象のリードフレームを載置するワーク受けテーブルが設置される。