(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124270
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】保持部材
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220818BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021940
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆太郎
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA03
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
5F131JA21
(57)【要約】
【課題】対象物が加熱されたときでも、対象物の全体の均熱性を確保できる保持部材を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、静電チャック1において、セラミックス部材10の上面11側から静電チャック1を見たときに、セラミックス部材10は、当該セラミックス部材10の外周13が略円形状に形成されており、セラミックス部材10の外周13の一部に、セラミックス部材10の外周13により形成される仮想円VCよりも径方向の内側に形成される部分であって、半導体ウエハWの周方向の位置合わせを行うためのオリフラ部61を備え、オリフラ部61とベース部材20の冷媒流路23とが重なるように配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周が円形状または略円形状の対象物を保持する保持面を備える保持部と、
前記保持部に対し前記保持面側とは反対側に配置され、前記対象物を冷却する冷媒を流す流路を備える冷却部と、
を有する保持部材において、
前記保持面側から前記保持部材を見たときに、
前記保持部は、
当該保持部の外周が略円形状に形成されており、
前記保持部の外周の一部に、前記保持部の外周により形成される仮想円よりも径方向の内側に形成される部分であって、前記対象物の周方向の位置合わせを行うための位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部と前記流路とが重なるように配置されていること、
を特徴とする保持部材。
【請求項2】
請求項1の保持部材において、
前記保持面側から前記保持部材を見たときに、
前記位置合わせ部と、前記流路における当該流路の外部との連通口と、が重なるように配置されていること、
を特徴とする保持部材。
【請求項3】
請求項2の保持部材において、
前記連通口は、前記流路への前記冷媒の投入口であること、
を特徴とする保持部材。
【請求項4】
請求項2または3の保持部材において、
前記流路は、前記連通口から前記保持面の面方向に延びるように形成される面方向流路部位を備えており、
前記保持面側から前記保持部材を見たときに、
前記位置合わせ部と前記面方向流路部位とが重なるように配置されていること、
を特徴とする保持部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つの保持部材において、
前記保持面側から前記保持部材を見たときに、
前記位置合わせ部は、直線状に形成されていること、
を特徴とする保持部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つの保持部材において、
前記保持面側から前記保持部材を見たときに、
前記位置合わせ部の全てが前記流路と重なるように配置されていること、
を特徴とする保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体ウエハなどの対象物を保持する保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
保持部材に関する従来技術として、特許文献1には、外周の一部にオリフラ(オリエンテーションフラット)部が設けられるセラミック誘電体基板を有する静電チャックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される静電チャックにおいて、セラミック誘電体基板のオリフラ部では、オリフラ部以外の部分と比べて、処理対象物との非接触面積が大きい。そのため、処理対象物が加熱されたときに、処理対象物においてオリフラ部に対応する部分が、セラミック誘電体基板側からの抜熱による冷却が不十分となり、温度が高くなる部分(すなわち、ホットスポット)となるおそれがある。したがって、処理対象物が加熱されたときに、処理対象物の全体の均熱性を確保できないおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、対象物が加熱されたときでも、対象物の全体の均熱性を確保できる保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、外周が円形状または略円形状の対象物を保持する保持面を備える保持部と、前記保持部に対し前記保持面側とは反対側に配置され、前記対象物を冷却する冷媒を流す流路を備える冷却部と、を有する保持部材において、前記保持面側から前記保持部材を見たときに、前記保持部は、当該保持部の外周が略円形状に形成されており、前記保持部の外周の一部に、前記保持部の外周により形成される仮想円よりも径方向の内側に形成される部分であって、前記対象物の周方向の位置合わせを行うための位置合わせ部を備え、前記位置合わせ部と前記流路とが重なるように配置されていること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、位置合わせ部の直下に冷却部の流路を配置している。そのため、保持部の位置合わせ部において、冷却部の流路を流れる冷媒により対象物の抜熱が促進されるので、対象物の冷却性能を上げることができる。したがって、対象物が加熱されたときに、対象物において位置合わせ部に対応する部分が、他の部分と比べて温度が高い部分(すなわち、ホットスポット)となることを抑制できる。ゆえに、対象物が加熱されたときでも、対象物の全体の均熱性を確保できる。
【0008】
上記の態様においては、前記保持面側から前記保持部材を見たときに、前記位置合わせ部と、前記流路における当該流路の外部との連通口と、が重なるように配置されていること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、流路における当該流路の外部との連通口を出入りする冷媒の流れにより、保持部の位置合わせ部における対象物の冷却性能を上げることができる。
【0010】
上記の態様においては、前記連通口は、前記流路への前記冷媒の投入口であること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、保持部の保持面側から保持部材を見たときに、保持部の位置合わせ部と、流路への冷媒の投入口とが重なるようにして、位置合わせ部の直下に流路への冷媒の投入口を配置している。そのため、投入口にて投入される冷媒であって対象物よりも低温状態である冷媒により、効果的に保持部の位置合わせ部における対象物の冷却性能を上げることができる。したがって、より効果的に、対象物の全体の均熱性を確保できる。
【0012】
上記の態様においては、前記流路は、前記連通口から前記保持面の面方向に延びるように形成される面方向流路部位を備えており、前記保持面側から前記保持部材を見たときに、前記位置合わせ部と前記面方向流路部位とが重なるように配置されていること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、流路の面方向流路部位を流れる冷媒の乱流により、保持部の位置合わせ部における対象物の冷却性能を上げることができる。
【0014】
上記の態様においては、前記保持面側から前記保持部材を見たときに、前記位置合わせ部は、直線状に形成されていること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、位置合わせ部が直線状に形成されているので、例えばノッチ形状のように部分的にクラックが生じる可能性が低く、耐久性がよい。
【0016】
また、対象物が位置合わせ部と接触しても、位置合わせ部から対象物に対して部分的に力が集中して作用し難いので、対象物を傷つけ難い。
【0017】
上記の態様においては、前記保持面側から前記保持部材を見たときに、前記位置合わせ部の全てが前記流路と重なるように配置されていること、が好ましい。
【0018】
この態様によれば、位置合わせ部の全てに亘って、冷却部の流路を流れる冷媒により対象物の抜熱が促進されるので、より効果的に対象物の冷却性能を上げることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の保持部材によれば、対象物が加熱されたときでも、対象物の全体の均熱性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】本実施形態の静電チャックの断面図(
図2のA-A断面図)である。
【
図7】第1の変形例における
図2の領域αの拡大図である。
【
図8】第2の変形例における静電チャックの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の保持部材に係る実施形態について説明する。本実施形態では、保持部材として、対象物である半導体ウエハWを保持する静電チャック1を例示して説明する。
【0022】
<静電チャックの全体説明>
本実施形態の静電チャック1は、半導体ウエハWを静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば、半導体製造装置の真空チャンバー内で半導体ウエハWを固定するために使用される。なお、半導体ウエハWは、例えば、その外周が円形状または略円形状に形成されている。また、半導体ウエハWは、本開示の「対象物」の一例である。
【0023】
図1に示すように、静電チャック1は、セラミックス部材10と、ベース部材20と、セラミックス部材10とベース部材20とを接合する接合層30とを有する。なお、セラミックス部材10は本開示の「保持部」の一例であり、ベース部材20は本開示の「冷却部」の一例である。
【0024】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、
図1に示すようにXYZ軸を定義する。ここで、Z軸は、静電チャック1の中心軸Ca方向(
図1において上下方向)の軸であり、X軸とY軸は、静電チャック1の径方向の軸である。
【0025】
セラミックス部材10は、
図1に示すように、円盤状の部材であり、セラミックスにより形成されている。具体的には、セラミックス部材10は、直径の異なる2つの円盤が中心軸Ca(
図3参照)を共通にして重なる(詳細には、大きな直径を有する円盤状の下段部10bの上に、小さな直径を有する円盤状の上段部10aが重なる形態の)段付きの円盤状をなしている。セラミックスとしては、様々なセラミックスが用いられるが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性等の観点から、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al
2O
3)または窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合の最も多い成分(例えば、体積含有率が90vol%以上の成分)を意味する。
【0026】
図1~
図3に示すように、セラミックス部材10は、半導体ウエハWを保持する保持面である上面11と、セラミックス部材10の厚み方向(Z軸方向に一致する方向、上下方向)について上面11とは反対側に設けられる下面12とを備えている。
【0027】
また、セラミックス部材10の直径は、上段部10aが例えば150~300mm程度であり、下段部10bが例えば180~400mm程度である。セラミックス部材10の厚さは、例えば2~6mm程度である。なお、セラミックス部材10の熱伝導率は、10~50W/mK(より好ましくは、18~30W/mK)の範囲内が望ましい。
【0028】
そして、
図3に示すように、半導体ウエハWは、セラミックス部材10の上面11に支持されて、静電チャック1に保持される。
【0029】
また、セラミックス部材10は、その内部に不図示のチャック電極(吸着電極)を備えている。このチャック電極に図示しない電源から電圧が印加されることによって、チャック電極に静電引力が発生し、この静電引力によって半導体ウエハWが上面11に吸着されて保持される。
【0030】
ベース部材20は、セラミックス部材10に対し上面11側とは反対側に配置されている。このベース部材20は、例えば円柱状に形成されている。また、ベース部材20は、例えば金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されているが、金属以外であってもよい。
【0031】
そして、ベース部材20は、
図1と
図3に示すように、上面21と、ベース部材20の厚み方向(Z軸方向に一致する方向、上下方向)にて上面21とは反対側に設けられる下面22と、を備えている。そして、ベース部材20の上面21は、セラミックス部材10の下面12と、接合層30を介して、熱的に接続されている。
【0032】
ベース部材20の直径は、例えば180~400mm程度である。また、ベース部材20の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば20~50mm程度である。なお、ベース部材20(アルミニウムを想定)の熱伝導率は、160~250W/mK(好ましくは、230W/mK程度)の範囲内が望ましい。
【0033】
また、
図3に示すように、ベース部材20は、半導体ウエハWを冷却する冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)を流す冷媒流路23を備えている。冷媒流路23は、
図2に示すように、ベース部材20の下面22に設けられた供給口24と排出口25とに接続しており、供給口24からベース部材20に供給された冷媒が、冷媒流路23内を流れて排出口25からベース部材20の外へ排出される。このようにして、ベース部材20の冷媒流路23内に冷媒を流すことにより、ベース部材20が冷却され、これにより、接合層30を介してセラミックス部材10が冷却される。これにより、セラミックス部材10により半導体ウエハWが冷却されて、すなわち、セラミックス部材10と接合層30を介して半導体ウエハWとベース部材20との間で熱伝達が行われて、半導体ウエハWの抜熱が行なわれる。
【0034】
本実施形態では、冷媒流路23は、
図2と
図3に示すように、主流路部41と、主流路部41の外部に設けられた外部連通部42を備えている。主流路部41は、静電チャック1の中心軸Caを中心にして渦巻き形状(あるいは、螺旋形状)に形成されている。この主流路部41は、投入口51と面方向流路部位52を備えている。投入口51は、外部連通部42との連通口である。面方向流路部位52は、投入口51から上面11の面方向に延びるように形成されている。外部連通部42は、供給口24に接続しており、供給口24を介してベース部材20の外部に連通している。なお、主流路部41は、本開示の「流路」の一例である。
【0035】
冷媒流路23の断面(詳しくは、冷媒流路23の中心軸方向から見たときの断面)の外形の形状としては、円形や四角形や角部にR部を有する四角形や凹形などが考えられる。一例として、冷媒流路23の断面の外形の形状を、直径5.0~25.0mm程度の円形とすることが考えられる。
【0036】
接合層30は、セラミックス部材10の下面12とベース部材20の上面21との間に配置され、セラミックス部材10とベース部材20とを熱伝達可能に接合する。
【0037】
この接合層30は、熱伝導性を有するフィラーを含む樹脂(シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等)の接着材により構成されている。なお、接合層30の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば0.1~1.5mm程度である。また、接合層30の熱伝導率は、例えば1.0W/mKである。なお、接合層30(シリコーン系樹脂を想定)の熱伝導率は、0.1~2.0W/mK(好ましくは、0.5~1.5W/mK)の範囲内が望ましい。
【0038】
<オリフラ部について>
図2に示すように、静電チャック1を上面視したときに(すなわち、セラミックス部材10の上面11側から静電チャック1を見たときに)、セラミックス部材10は、当該セラミックス部材10の外周13が略円形状に形成されている。なお、ここでいう外周13とは、セラミックス部材10の上段部10aの外周である。
【0039】
そして、
図4に示すように、セラミックス部材10は、その外周13の一部に、半導体ウエハWの周方向の位置合わせを行うためのオリフラ部61(オリエンテーションフラット部、切り欠け部)を備える。このオリフラ部61は、静電チャック1を上面視したときに、外周13により形成される仮想円VC(
図4にて一部が一点鎖線で示される円)よりも径方向の内側にて、直線状に形成されている。なお、ここでいう直線状の長さは、例えば25.0~45.0mm程度である。
【0040】
このようにして、セラミックス部材10にオリフラ部61が形成されているので、半導体ウエハWの目印となる位置(例えば、切り欠き部の位置)とオリフラ部61の位置とを合わせることにより、半導体ウエハWの周方向の位置合わせを行うことができる。
【0041】
<半導体ウエハの全体の均熱性を確保する対策について>
次に、半導体ウエハWの全体の均熱性を確保する対策について説明する。
【0042】
図5に示すように、オリフラ部61における半導体ウエハWとセラミックス部材10の非接触部分NC1の面積は、
図6に示すオリフラ部61以外の外周13の部分における半導体ウエハWとセラミックス部材10の非接触部分NC2の面積よりも大きい。そのため、オリフラ部61において、冷媒流路23を流れる冷媒による半導体ウエハWの抜熱が促進され難くなるおそれがある。したがって、半導体ウエハWが加熱されたとき(例えば、半導体ウエハWをプラズマ処理する際に半導体ウエハWに対して熱が加えられるプラズマ入熱時)に、半導体ウエハWにおいて、オリフラ部61に対応する部分が、他の部分と比べて温度が高い部分(すなわち、ホットスポット)となるおそれがある。ゆえに、半導体ウエハWの全体の均熱性を確保できないおそれがある。
【0043】
そこで、本実施形態では、オリフラ部61と冷媒流路23との位置関係を工夫して、半導体ウエハWが加熱されたときであっても、半導体ウエハWにおいてオリフラ部61に対応する部分がホットスポットとなることを抑制して、半導体ウエハWの全体の均熱性を確保する。
【0044】
具体的には、
図4に示すように、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61と冷媒流路23とが重なるように配置されている。詳しくは、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61が、冷媒流路23の主流路部41における外部連通部42との連通口である投入口51と、面方向流路部位52に重なるように配置されている。
【0045】
そして、このようにして、
図3に示すように、オリフラ部61の直下に、冷媒流路23の主流路部41の投入口51と面方向流路部位52が配置されている。そのため、オリフラ部61において、投入口51を出入りする冷媒の流れにより、オリフラ部61における半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。特に、投入口51にて投入される低温状態の冷媒により、効果的にオリフラ部61における半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。また、面方向流路部位52を流れる冷媒の乱流により、オリフラ部61における半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。したがって、半導体ウエハWが加熱されたときに、半導体ウエハWにおいてオリフラ部61に対応する部分が、ホットスポットとなることを抑制できる。ゆえに、半導体ウエハWの全体の均熱性を確保できる。
【0046】
また、本実施形態では、
図2と
図3に示すように、冷媒流路23の外部連通部42を、ベース部材20の径方向に沿って形成するようにして、ベース部材20の内部で取り回している。これにより、外部連通部42において冷媒の乱流を発生させた上で、主流路部41の投入口51に冷媒を流すことができる。そのため、より効果的にオリフラ部61における半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。
【0047】
なお、第1の変形例として、
図7に示すように、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61の端部(
図7の右側の端部)に投入口51を配置して、オリフラ部61の全てについて、冷媒流路23(すなわち、主流路部41の投入口51と面方向流路部位52)に重なるように配置されていてもよい。
【0048】
また、第2の変形例として、
図8に示すように、供給口24をオリフラ部61の直下に配置してもよい。すなわち、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61と供給口24とが重なるように配置されていてもよい。これにより、供給口24にて投入される低温状態の冷媒により、効果的にオリフラ部61における半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。
【0049】
<本実施形態の作用効果>
本実施形態の静電チャック1によれば、当該静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61と冷媒流路23とが重なるようにして配置されている。
【0050】
このようにして、オリフラ部61の直下に冷媒流路23を配置している。そのため、オリフラ部61において、冷媒流路23を流れる冷媒による半導体ウエハWの抜熱が促進されるので、半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。したがって、半導体ウエハWが加熱されたときに、半導体ウエハWにおいてオリフラ部61に対応する部分が、ホットスポットとなることを抑制できる。ゆえに、半導体ウエハWが加熱されたときでも、半導体ウエハWの全体の均熱性を確保できる。
【0051】
また、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61と、冷媒流路23の主流路部41における外部連通部42との連通口である投入口51と、が重なるようにして配置されている。
【0052】
このようにして、オリフラ部61の直下に投入口51を配置している。そのため、投入口51を出入りする冷媒の流れにより、オリフラ部61における半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。特に、投入口51にて投入される冷媒であって半導体ウエハWよりも低温状態である冷媒により、効果的にオリフラ部61における半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。したがって、半導体ウエハWが加熱されたときでも、より効果的に、半導体ウエハWの全体の均熱性を確保できる。
【0053】
また、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61と冷媒流路23の主流路部41の面方向流路部位52とが重なるように配置されている。
【0054】
これにより、面方向流路部位52を流れる冷媒の乱流により、オリフラ部61における半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。
【0055】
また、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61は、直線状に形成されている。
【0056】
これにより、例えばノッチ形状のように部分的にクラックが生じる可能性が低く、耐久性がよい。また、半導体ウエハWがオリフラ部61と接触しても、オリフラ部61から半導体ウエハWに対して部分的に力が集中して作用し難いので、半導体ウエハWを傷つけ難い。
【0057】
また、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61の全てが冷媒流路23と重なるように配置されていてもよい。
【0058】
これにより、オリフラ部61の全てに亘って、冷媒流路23を流れる冷媒による半導体ウエハWの抜熱が促進されるので、より効果的に半導体ウエハWの冷却性能を上げることができる。
【0059】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0060】
例えば、セラミックス部材10は、上下で2つの部材に分かれる2部材構造になっていてもよく、この場合、上方の部材が本開示の「保持部」の一例となる。また、例えば、セラミックス部材10とベース部材20とが一体物に形成されていてもよい。
【0061】
また、例えば、本開示の「位置合わせ部」の一例として、直線状のオリフラ部61の代わりに、V字形状のノッチ形状部であってもよい。
【0062】
また、例えば、主流路部41から外部連通部42に冷媒が排出される場合において、静電チャック1を上面視したときに、オリフラ部61と、主流路部41の排出口(すなわち、主流路部41から外部連通部42に冷媒が排出される排出口)とが重なるようにして配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 静電チャック
10 セラミックス部材
10a 上段部
11 上面
13 外周
20 ベース部材
23 冷媒流路
24 供給口
25 排出口
30 接合層
41 主流路部
42 外部連通部
51 投入口
52 面方向流路部位
61 オリフラ部
W 半導体ウエハ
VC 仮想円
NC1,NC2 非接触部分