(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124344
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスク
(51)【国際特許分類】
G03F 1/24 20120101AFI20220818BHJP
【FI】
G03F1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022055
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】522212882
【氏名又は名称】株式会社トッパンフォトマスク
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】合田 歩美
(72)【発明者】
【氏名】中野 秀亮
(72)【発明者】
【氏名】市川 顯二郎
(72)【発明者】
【氏名】山形 悠斗
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BB35
2H195BC05
2H195BC11
2H195CA01
2H195CA11
2H195CA15
2H195CA16
2H195CA22
(57)【要約】
【課題】検査光に対する微小パターンのコントラストが高く、EUV露光における射影効果を最小限に抑えることができる反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクブランクを提供する。
【解決手段】基板と、反射部と、低反射部と、を備え、低反射部は、吸収層と最表層とを備える少なくとも2層以上の積層構造体であり、吸収層の波長13.5nmに対する消衰係数kは、k>0.041であり、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとしたとき、低反射部の膜厚は、0.5×da+dc≦21.5nmを満たす膜厚、もしくは0.5×da+dc≧27.5nmを満たす膜厚であることを特徴とする反射型フォトマスクブランク。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されて入射した光を反射する反射部と、
前記反射部上に形成されて入射した光を吸収する低反射部と、を備え、
前記低反射部は、吸収層と最表層とを備える少なくとも2層以上の積層構造体であり、
前記吸収層の波長13.5nmに対する消衰係数kは、k>0.041であり、
前記吸収層の膜厚をda、前記最表層の膜厚をdcとしたとき、前記低反射部の膜厚は、
0.5×da+dc≦21.5nmを満たす膜厚、もしくは
0.5×da+dc≧27.5nmを満たす膜厚であることを特徴とする反射型フォトマスクブランク。
【請求項2】
前記吸収層の波長13.5nmに対する消衰係数kは、k>0.041であり、
前記吸収層の屈折率nは、n≦0.98であることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項3】
前記吸収層は、少なくとも1層以上で構成され、
前記吸収層の少なくとも1層は、第1の材料群から選択される1種類以上の元素を合計して50原子%以上含み、
前記第1の材料群は、テルル(Te)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、プラチナ(Pt)、インジウム(In)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、及びビスマス(Bi)、並びにその酸化物、窒化物、及び酸窒化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項4】
前記吸収層は、錫(Sn)、及びインジウム(In)、並びにその酸化物、窒化物、及び酸窒化物から選択される1種類以上の元素を合計して50原子%以上含み、
前記最表層は、第2の材料群から選択される1種類以上の元素を合計して50原子%以上を含み、
前記第2の材料群は、珪素(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、Cr(クロム)、モリブデン(Mo)、及びルテニウム(Ru)、並びにその酸化物、窒化物、及び酸窒化物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項5】
前記低反射部は、複数層に分割された場合であっても、前記低反射部の合計膜厚が17nm以上45nm以下の範囲内であり、且つOD値(Optical Density:光学濃度)が1.0以上となる薄膜であり、且つ、第1の材料群から選択される材料を含み、
前記第1の材料群は、テルル(Te)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、プラチナ(Pt)、インジウム(In)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、及びビスマス(Bi)、並びにその酸化物、窒化物、及び酸窒化物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に形成されて入射した光を反射する反射部と、
前記反射部上に形成されて入射した光を吸収する低反射部と、を備え、
前記低反射部は、吸収層と最表層とを備える少なくとも2層以上の積層構造体であり、
前記吸収層の波長13.5nmに対する消衰係数kは、k>0.041であり、
前記吸収層の膜厚をda、前記最表層の膜厚をdcとしたとき、前記低反射部の膜厚は、
0.5×da+dc≦21.5nmを満たす膜厚、もしくは
0.5×da+dc≧27.5nmを満たす膜厚であることを特徴とする反射型フォトマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体デバイスの微細化に伴いフォトリソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっている。フォトリソグラフィにおける転写パターンの最小現像寸法は、露光光源の波長に大きく依存し、波長が短いほど最小解像寸法を小さくできる。このため、先端の半導体デバイスの製造プロセスにおける露光光源は、従来の波長193nmのArFエキシマレーザー光から、波長13.5nmのEUV(Extreme Ultraviolet)が導入されている。
【0003】
ほとんどの物質がEUVに対して高い光吸収性もつため、従来の光の透過を利用する屈折光学系が使用できないことから、露光機の光学系部材はレンズではなく、ミラーとなる。フォトマスクも従来の透過型から反射型のEUVフォトマスクとなる。EUVフォトマスクへの入射光と反射光が同軸上に設計できないことから、通常、EUVリソグラフィでは光軸をEUVフォトマスクの垂直方向から6度傾けてEUV光を入射し、マイナス6度の角度で反射する反射光を半導体基板に照射する手法が採用されている。しかし、光軸を傾斜させることから、EUVフォトマスクに入射するEUV光がEUVフォトマスクのパターン(吸収層パターン)の影を作ることにより、転写性能が悪化する、射影効果(シャドウイング効果)と呼ばれる問題が発生する。よって、シャドウイング効果を低減し、転写性能を向上することが課題となっている。
この課題に対し、吸収層に消衰係数kが高い材料を用いてEUV反射率を抑えることによって、従来よりも膜厚が薄い吸収層パターンの形成が可能となり、射影効果を低減する反射型フォトマスクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年、マスクパターンの微細化に伴い、これまで問題とならなかった微小なパターン寸法誤差や位置の誤差などが、転写後に欠陥とされ、歩留まりの低下を引き起こしている。このため、より精度の高い検査が必要になってきている。先端マスクの検査では一般的に波長250~270nmの光源が用いられてきたが、より高い解像性が要求されているため、波長190~200nmの光源の適用が検討されている。また、吸収層パターンと反射層のコントラストが高いほうが、一般的に微小欠陥の検出に有利である。これにより、波長190~200nmに対して高いコントラストを持つフォトマスクが求められている。また、反射層と吸収層の間に、Ruの保護層が形成されている場合、保護層からのDUV反射率が保護層の無い場合より低いため、コントラストの低下を引き起こすという問題がある。よって、吸収膜及び吸収膜を含む多層膜の改善により、コントラストを向上して検査性を改善することが課題となっている。
【0005】
この課題に対し、特許文献2では、TaもしくはCrを主材料とする吸収層上に検査光コントラストの向上のために窒素及び酸素の含有量を調節したSiと遷移金属の混合膜を形成することで、EUVコントラストと波長200nm以下の検査光のコントラストの両方を向上する方法を開示している。
【0006】
しかし、文献2の方法では、吸収層上にDUV光に対する低反射部を形成する方法が記述されているが、低反射部を形成することで、吸収体層と低反射部の合計膜厚が厚くなることにより、射影効果が増大することについては全く言及がなく、転写性の高いEUVフォトマスクであるか明らかになっていない。また、文献2の方法では、コントラストの定義がパターンの無いベタ部の吸収層と反射層の比較にとどまっているため、実際に微小パターンが明瞭に判別できる構造であるか明らかになっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6408790号公報
【特許文献2】特開2015-84447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、検査光に対する微小パターンのコントラストが高く、EUV露光における射影効果を最小限に抑えることができる反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクブランクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る反射型フォトマスクブランクは、基板と、前記基板上に形成されて入射した光を反射する反射部と、前記反射部上に形成されて入射した光を吸収する低反射部と、を備え、前記低反射部は、吸収層と最表層とを備える少なくとも2層以上の積層構造体であり、前記吸収層の波長13.5nmに対する消衰係数kは、k>0.041であり、前記吸収層の膜厚をda、前記最表層の膜厚をdcとしたとき、前記低反射部の膜厚は、0.5×da+dc≦21.5nmを満たす膜厚、もしくは0.5×da+dc≧27.5nmを満たす膜厚であることを特徴とする。
【0010】
また、本開示の一態様に係る反射型フォトマスクは、基板と、前記基板上に形成されて入射した光を反射する反射部と、前記反射部上に形成されて入射した光を吸収する低反射部と、を備え、前記低反射部は、吸収層と最表層とを備える少なくとも2層以上の積層構造体であり、前記吸収層の波長13.5nmに対する消衰係数kは、k>0.041であり、前記吸収層の膜厚をda、前記最表層の膜厚をdcとしたとき、前記低反射部の膜厚は、0.5×da+dc≦21.5nmを満たす膜厚、もしくは0.5×da+dc≧27.5nmを満たす膜厚であることを特徴とする。
【0011】
前記吸収層の波長13.5nmに対する消衰係数kは、k>0.041であり、前記吸収層の屈折率nは、n≦0.98であることを特徴とする。
【0012】
前記低反射部の吸収層の少なくとも1層に第1の材料群から1種類以上を合計して50原子%以上を含み、前記第1の材料群はテルル(Te)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、プラチナ(Pt)、インジウム(In)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)とその酸化物、窒化物、酸窒化物であることを特徴とする。
【0013】
前記低反射部の吸収層は、錫(Sn)、インジウム(In)とのその酸化物、窒化物、酸窒化物から1種類以上を合計して50原子%以上含み、前記低反射部の最表層は、第2の材料群から1種類以上を合計して50原子%以上を含み、前記第2の材料群は珪素(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、Cr(クロム)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)とその酸化物、窒化物、酸窒化物の1種類以上を合計して50原子%以上含むことを特徴とする。
【0014】
前記低反射部は、複数層に分割された場合であっても、合計膜厚が17nm以上、45nm以下で、且つOD値(Optica Density:光学濃度)が1.0以上となる、第一の材料群から選択した材料とその他の混合物の混合割合が決められた混合材料から成る薄膜であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一態様に係る反射型フォトマスク、及びそれを作製するための反射型フォトマスクブランクであれば、検査光に対する微小パターンのコントラストが高く、EUV露光における射影効果を最小限に抑えることができる、欠陥保証に有利で且つ転写性の良い反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクブランクを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る反射型フォトマスクブランクの一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図2】本実施形態に係る反射型フォトマスクの一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図3】EUV光の波長における各金属の光学定数を示すグラフである。
【
図4】本実施形態に係る反射型マスクの製造工程を示す概略断面図である。
【
図5】本実施形態に係る反射型マスクの製造工程を示す概略断面図である。
【
図6】本実施形態に係る反射型マスクの製造工程を示す概略断面図である。
【
図7】本実施形態に係る反射型マスクの製造工程を示す概略断面図である。
【
図8】本実施形態に係る反射型マスクの製造工程を示す概略断面図である。
【
図9】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの設計パターンを表す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、図面に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造などが下記のものに限定されるものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る反射型フォトマスクブランク100を示す概略断面図である。また、
図2は、本発明の実施の形態に係る反射型フォトマスク200を示す概略断面図である。なお、
図2に示す本発明の実施の形態に係る反射型フォトマスク200は、
図1に示す本発明の実施の形態に係る反射型フォトマスクブランク100の低反射部18をパターニングして形成される。
【0019】
(反射型フォトマスクブランクの構成)
本開示の実施形態に係る反射型フォトマスクブランクの基本構成について、
図1を用いて説明する。
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る反射型フォトマスクブランク100は、基板11と、基板11上に形成された反射部17と、反射部17上に形成された低反射部18とを備えている。また、反射型フォトマスクブランク100は、反射部17において多層反射膜12と、キャッピング層13とを備えており、低反射部18において吸収層14と、最表層15とを備えている。すなわち、反射型フォトマスク200は、基板11の一方の面側に、多層反射膜12、キャッピング層13、吸収層14、及び最表層15がこの順に積層されている。以下、各層について詳細に説明する。
【0020】
(基板)
基板11は、反射型フォトマスクブランク100の基材となる層である。本発明の実施形態に係る基板11には、平坦なSi基板や合成石英基板等を用いることができる。また、基板11には、チタンを添加した低熱膨張ガラスを用いることができるが、熱膨張率の小さい材料であれば、本発明ではこれらに限定されるものではない。
また、
図4に示すように、基板11の多層反射膜2を形成していない面に裏面導電膜16を形成することができる。裏面導電膜16は、反射型フォトマスクブランク100を露光機に設置するときに静電チャックの原理を利用して固定するための膜である。
【0021】
(反射部)
反射部17は、基板11上に形成され、反射型フォトマスクブランク100に入射した光を反射するために設けられている。反射部17は、多層反射膜12と、キャッピング層13とを備えている。
【0022】
(多層反射膜)
多層反射膜12は、基板11上に形成される層であり、反射型フォトマスクブランク100において露光光であるEUV光(極端紫外光)を反射するために設けられた層である。
多層反射膜12は、EUV光に対する屈折率の大きく異なる材料の組み合わせによる複数の反射膜から構成されている。例えば、多層反射膜12は、Mo(モリブデン)とSi(シリコン)、またはMo(モリブデン)とBe(ベリリウム)といった組み合わせの層を40周期程度繰り返し積層することにより形成することができる。
【0023】
(キャッピング層)
キャッピング層13は、多層反射膜12上に形成される層であり、吸収層パターンをエッチングする際に、多層反射膜12へのダメージを防ぐエッチングストッパとして機能する層である。本発明の実施形態に係るキャッピング層13は、吸収層14のパターン形成の際に行われるドライエッチングに対して耐性を有する材質で形成されている。例えば、キャッピング層13は一般的にルテニウム(Ru)が適用される。なお、多層反射膜12の材質やエッチング条件により、キャッピング層13はなくてもかまわない。
【0024】
(低反射部)
低反射部18は、反射部17上に形成され、反射型フォトマスクブランク100において露光光であるEUV光を吸収するために設けられた層である。低反射部18は、吸収層14と、最表層15とを備えている。なお、低反射部18は少なくとも二層以上で構成されており、そのうちの一層を吸収層14とし、吸収層14上に最表層15を備えている。
【0025】
(吸収層)
吸収層14は、キャッピング層13上に形成される層であり、少なくとも1層以上で構成される層である。また、吸収層14は、転写するための微細パターンである吸収層パターン(転写パターン)を形成する層である。
図2に示すように、反射型フォトマスクブランクの吸収層14の一部を除去することにより、即ち吸収層14をパターニングすることにより、反射型フォトマスク200の吸収パターン(吸収層パターン)が形成される。EUVリソグラフィにおいて、EUV光は斜めに入射し、反射部17で反射されるが、低反射部パターン18aが光路の妨げとなる射影効果により、ウェハ(半導体基板)上への転写性能が悪化することがある。この転写性能の悪化は、EUV光を吸収する低反射部18の厚さを薄くすることで低減される。
【0026】
低反射部18の厚さを薄くするためには、従来の材料よりEUV光に対する吸収性の高い材料、つまり波長13.5nmに対する消衰係数kの高い材料を低反射部18に適用することが好ましい。
従来の吸収層14の主材料であるタンタル(Ta)の消衰係数kは0.041である。吸収層14の主材料が、タンタル(Ta)より大きい消衰係数kを有する化合物材料であれば、従来に比べて吸収層14の厚さを薄くすることが可能であり、射影効果を低減できる。
【0027】
図3は、従来材料であるタンタル(Ta)と第1の材料群の光学定数を示すグラフである。なお、第1の材料群は、テルル(Te)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、プラチナ(Pt)、インジウム(In)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)とその酸化物、窒化物、酸窒化物を含んでいる。
図3のグラフの横軸は屈折率nを表し、縦軸は消衰係数kを示している。
図3より、第1の材料群の材料はそれぞれ従来材料より消衰係数kが大きいため、第1の材料群を用いることにより射影効果を低減できることがわかる。
【0028】
また、第1の材料群は、13.5nmの波長に対する屈折率nが≦n≦0.98となっている。すなわち、第1の材料群の屈折率n≦0.98を用いることにより位相シフト効果の向上が期待できる。
【0029】
また、検査光に対する微小パターンのコントラストは、反射層の反射率及び低反射部の反射率を用いて算出される。具体的には、反射層の反射率をRm、低反射部の反射率をRaとしたとき、コントラストは、下記の式(1)に従って算出される。
(Rm-Ra)/(Rm+Ra)×100 ・・・式(1)
なお、光検査における光源は波長190~270nm程度である。光源が波長190~270nm程度である場合、より高い解像性を得ることができる。
微小パターンの反射率分布の場合、Rm>Raとは限らず、Rm<Raの反転パターンになる場合がある。このような場合は、コントラストはマイナスに大きい方が像は鮮明になる。よって式(1)でパターンが判別できるコントラストの範囲は、-0.1より小さく、0.1より大きい場合である。
【0030】
また、コントラストは検査対象のパターン寸法やフォトマスクの構造に依存する。100nm以下の微小パターンを検査する場合、低反射部18の膜厚は、吸収層の膜厚daと最表層の膜厚dcの関係において、0.5×da+dc≦21.5を満たすこと、もしくは、0.5×da+dc≧27.5を満たすことが望ましい。低反射部18の膜厚が0.5×da+dc≦21.5を満たす場合、低反射部18は薄膜なので、位相シフトの効果によりコントラストは増大する。低反射部18の膜厚が0.5×da+dc≧27.5を満たす場合、比較的大きい寸法ではプラスに大きく十分なコントラストが得られ、微小パターンでは反転してマイナスに大きなコントラストが得られる。
【0031】
また、反射部17と低反射部18の光強度のコントラストを表す指標である光学濃度(OD:Optical Density)値は、下記の式(2)で規定される。
OD=-log(Ra/Rm) ・・・式(2)
従来のEUV反射型マスクの吸収層には、上述の通りタンタル(Ta)を主成分とする化合物材料が適用されてきた。吸収層の主成分がタンタル(Ta)である場合、EUV光に対する光学濃度OD値が1以上となるには、膜厚は40nm以上必要であった。また、OD値が2以上となるには、膜厚は70nm以上必要であった。
本実施形態において、低反射部18の膜厚は、吸収層が複数層に分割された場合であっても、低反射部18の合計膜厚は17nm以上45nm以下の範囲内であることが望ましい。吸収層14の膜厚が上記範囲内であることにより、検査において必要なコントラストを十分に得ることができる。
【0032】
OD値は大きいほうがコントラストは良く、高い転写性が得られる。パターン転写にはOD値が1より大きい必要がある。なお、本実施形態において、上記従来との比較により、OD値は1.5以上であると、更に好ましい。
【0033】
第1の材料群は、従来材料のタンタル(Ta)よりもEUV光に対する消衰係数kが高く、低反射部18の吸収層14に適用できる。第1の材料群を吸収層14に適用することで、低反射部18を薄膜化でき、射影効果を低減し、転写性の向上が期待できる。従来膜より射影効果を低減するためには、吸収層14において第1の材料群が少なくとも50原子%以上含有する材料であることが望ましい。
【0034】
吸収層14がフッ素系ガスまたは塩素系ガスでエッチング可能な材料であると、従来の製造工程から大きな変更が無く、微細なパターンを形成することができる。錫(Sn)、インジウム(In)は塩素系ガスでエッチングすることができる。また、錫の酸化物、酸窒化物及びインジウムの酸化物、窒化物、酸窒化物は融点が高く、熱に対して高い耐性を持つため、EUV光の吸収により高温化する環境下でも好適に適用することができる。化学的な安定性のため、錫に対する酸素の原子数比率は1.5以上、酸素とインジウムの原子数比率は1.0以上、窒素とインジウムの原子数比率は0.5以上が望ましい。
【0035】
吸収層14の化合物材料は、第1の材料群の他に、アモルファス性、洗浄耐性、ミキシング防止、位相シフト等の目的で別材料を混合しても良い。
【0036】
(最表層)
最表層15の材料には、フッ素系ガスまたは塩素系ガスでエッチング可能な第2の材料群から少なくとも1種類以上選択することができる。第2の材料群は珪素(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)とその酸化物、窒化物、酸窒化物を含む。エッチング速度を低下させないために、最表層15は、第2の材料群の材料を少なくとも50%以上含有する材料であることが望ましい。
吸収層14が塩素ガスでエッチング可能な錫もしくはインジウムを含む場合、最表層15においても、同様に塩素系ガスでエッチング可能な窒化タンタルやモリブデンを好適に選択することができる。この場合、1回のプロセスで低反射部をエッチング加工できるため、プロセスの簡略化やコンタミの低減に期待できる。
また、最表層15にフッ素系ガスでエッチング加工が可能な酸化タンタルや、珪素の酸化物、窒化物、酸窒化物を好適に選択することができる。この場合、最表層15がエッチングマスクとしても活用できるため、パターンの矩形性の向上やローディング効果による寸法の変動の低減に期待できる。
尚、最表層15と吸収層14の境界は必ずしも明確である必要はなく、組成比が連続的に変化する一層でも構わない。
【0037】
最表層15の混合材料は、第2の材料群の他に、アモルファス性、洗浄耐性、ミキシング防止、位相シフト等の目的で別材料を混合しても良い。
【0038】
(反射型フォトマスクの製造方法)
次に、反射型フォトマスクの製造方法について
図4から
図8を用いて説明する。
図4に示すように、反射型フォトマスクブランク100に備えられた低反射部18の上に、ポジ型化学増幅型レジスト(SEBP9012:信越化学株式会社製)を120nmの膜厚にスピンコートで成膜した。その後、110℃で10分間ベークし、
図5に示すように、レジスト膜19を形成した。
次いで、電子線描画機(JBX3030:日本電子株式会社製)によってポジ型化学増幅型レジストで形成されたレジスト膜19に所定のパターンを描画した。その後、110℃、10分間ベーク処理を施し、次いでスプレー現像(SFG3000:シグマメルテック社製)した。これにより、
図6に示すように、レジストパターン19aを形成した。
【0039】
次に、
図7に示すようにレジストパターン19aをエッチングマスクとして、フッ素系ガスを主体としたドライエッチングにより最表層15のパターニングを行い、最表層パターンを形成した。
【0040】
次に、
図8に示すようにレジストパターン19aをエッチングマスクとして、塩素系ガスを主体としたドライエッチングにより吸収層14のパターニングを行い、吸収層パターンを形成した。これにより、最表層パターン及び吸収層パターンを備える低反射部パターン18aが形成された。
【0041】
次に、残存したレジストパターン19aの剥離を行い、低反射部パターン18aを露出させた。以上により本実施形態に係る反射型フォトマスク200を製造する。なお、低反射部18において形成された低反射部パターン18aは、転写評価用の反射型フォトマスク200上で、線幅100nmLS(ラインアンドスペース)パターン、AFMを用いた吸収層の膜厚測定用の線幅200nmLSパターン、EUV反射率測定用の4mm角の低反射部除去部を含んでいる。線幅100nmLSパターンは、EUVの斜め照射による射影効果の影響が見えやすくなるように、
図9に示すようにx方向とy方向それぞれに設計されている。
【0042】
<本実施形態の効果>
本実施形態に係る反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200は、以下の効果を有する。
(1)本実施形態の反射型フォトマスクブランク100において、吸収層14の波長13.5nmに対する消衰係数kは、k>0.041である。
この構成によれば、従来の材料よりEUV光に対する吸収性の高い材料を用いることにより、低反射部18を薄膜化でき、射影効果を低減できる。
(2)本実施形態の反射型フォトマスクブランク100において、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとしたときに、低反射部の膜厚は、0.5×da+dc≦21.5nmを満たす膜厚、もしくは0.5×da+dc≧27.5nmを満たす膜厚である。
この構成によれば、十分なコントラストを得ることができ、転写性が高くなる。
(3)本実施形態の反射型フォトマスクブランク100において、吸収層14は第1の材料群から選択される1種類以上の元素を合計して50原子%以上含む。なお、第1の材料群は、テルル(Te)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、プラチナ(Pt)、インジウム(In)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、及びビスマス(Bi)、並びにその酸化物、窒化物、及び酸窒化物を含む。
この構成によれば、低反射部18を薄膜化でき、射影効果を低減できる。
【実施例0043】
以下、本開示を実施例によりさらに詳しく説明するが、本開示は実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
基板として低熱膨張性を有する合成石英基板を用いた。基板の上に、多層反射膜としてシリコン(Si)とモリブデン(Mo)とを一対とする積層膜を40枚積層して形成した。多層反射膜の膜厚は280nmとした。
次に、多層反射膜上に、ルテニウム(Ru)を用いて膜厚が3.5nmになるようにキャッピング層を成膜した。これにより、基板上には多層反射膜及びキャッピング層を有する反射部が形成された。
キャッピング層の上に、酸化錫を用いて膜厚が25nmとなるように吸収層を成膜した。錫と酸素の原子数比率は、EDX(エネルギー分散型X線分析)で測定したところ1:2.5であった。また、XRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
次に、吸収層上に、窒化珪素を用いて膜厚が2nmになるよう最表層を成膜した。これにより、反射層上には吸収層及び最表層を有する膜厚が27nmの低反射部が形成された。ま吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=14.5となることが分かった。
次に、基板の多層反射膜が形成されていない側に、窒化クロム(CrN)を用いて100nmの厚さとなるように裏面導電膜を成膜した。
【0044】
基板上へのそれぞれの膜の成膜は、多元スパッタリング装置を用いた。各々の膜の膜厚は、スパッタリング時間で制御した。
【0045】
次に、低反射部上にポジ型化学増幅型レジスト(SEBP9012:信越化学工業株式会社製)を120nmの膜厚にスピンコートで成膜し、110度で10分間ベークし、レジスト膜を形成した。
次いで、電子線描画機(JBX3030:日本電子株式会社製)によってポジ型化学増幅型レジストに所定のパターンを描画した。
その後、110度で10分間ベーク処理を施し、次いでスプレー現像(SFG3000:シグマメルテック株式会社製)した。これによりレジストパターンを形成した。
【0046】
次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ガスを主体としたドライエッチングにより最表層のパターニングを行い、最表層に最表層パターンを形成した。
次に、塩素系ガスを主体としたドライエッチングにより吸収層のパターニングを行い、吸収層パターンを形成した。これにより、低反射部において最表層パターン及び吸収層パターンを有する低反射部パターンが形成された。
次に、残ったレジストパターンの剥離を行った。以上により、実施例1の反射型フォトマスクを作製した。
【0047】
また、作製した反射型フォトマスクを80℃の硫酸に10分間浸漬し、その後アンモニアと過酸化水素水と水を1:1:20の割合で混合した洗浄層に、500Wのメガソニックを用いて10分間浸漬し、10分間流水する、洗浄を行った。その後AFMで膜厚を測定し、成膜時の膜厚と比較したが、変化は見られなかった。
【0048】
なお、実施例1の低反射部パターンは、転写評価用の反射型フォトマスク上で、線幅100nmLS(ラインアンドスペース)パターン、AFMを用いた吸収層の膜厚測定用の線幅200nmLSパターン、EUV反射率測定用の4mm角の低反射部除去部を含んでいる。この線幅100nmLSパターンは、EUVの斜め照射による射影効果の影響が見えやすくなるように、x方向とy方向にそれぞれ設計した。
【0049】
<実施例2>
吸収層の膜厚を21nmに変更した。また、最表層の膜厚を4nmに変更した。このとき、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=14.5となった。低反射部の膜厚は合計で25nmとなった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の反射型フォトマスクを作製した。
【0050】
<実施例3>
吸収層の膜厚を39nmに変更した。また、最表層の膜厚を10nmに変更した。このとき、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=29.5となった。低反射部の膜厚は合計で49nmとなった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例3の反射型フォトマスクを作製した。
【0051】
<実施例4>
最表層の材料を窒化タンタルに変更した。また、最表層のパターニングにおいて、塩素系ガスを主体としたドライエッチングにより最表層パターンを形成した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例4の反射型フォトマスクを作製した。なお、実施例1と同様に洗浄を行った後、AFMで膜厚を測定し、成膜時の膜厚と比較したが、変化は見られなかった。
【0052】
<実施例5>
吸収層の膜厚を21nmに変更し、最表層の膜厚を4nmに変更した。このとき、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=14.5となった。低反射部の膜厚は合計で25nmとなった。それ以外は実施例4と同様の方法で、実施例5の反射型フォトマスクを作製した。
【0053】
<実施例6>
吸収層の膜厚を39nmに変更し、最表層の膜厚を10nmに変更した。このとき、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=18.5となった。低反射部の膜厚は合計で49nmとなった。それ以外は実施例4と同様の方法で、実施例6の反射型フォトマスクを作製した。
【0054】
<実施例7>
吸収層の材料を酸化錫とタンタル(Ta)が50:50の原子数比率で均質となる混合材料(SnTaO)に変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例7の反射型フォトマスクを作製した。
【0055】
<実施例8>
吸収層の膜厚を21nmに変更し、最表層の膜厚を4nmに変更した。このとき、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=14.5となった。低反射部の膜厚は合計で25nmとなった。それ以外は実施例7と同様の方法で、実施例8の反射型フォトマスクを作製した。
【0056】
<実施例9>
吸収層の膜厚を39nmに変更し、最表層の膜厚を10nmに変更した。このとき、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=28.5となった。低反射部の膜厚は合計で49nmとなった。それ以外は実施例7と同様の方法で、実施例9の反射型フォトマスクを作製した。
【0057】
<比較例1>
吸収層の膜厚を40nmに変更した。これにより低反射部の膜厚は42nmとなった。このとき、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=22となった。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の反射型フォトマスクを作製した。
【0058】
<比較例2>
最表層の膜厚を10nmに変更した。これにより低反射部の膜厚は35nmとなった。このとき、吸収層の膜厚をda、最表層の膜厚をdcとした場合に、0.5×da+dc=22.5となった。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の反射型フォトマスクを作製した。
【0059】
<比較例3>
最表層の材料を窒化タンタルに変更した。それ以外は比較例1と同様の方法で、比較例3の反射型フォトマスクを作製した。
【0060】
<比較例4>
最表層の材料を窒化タンタルに変更した。それ以外は比較例2と同様の方法で、比較例4の反射型フォトマスクを作製した。
【0061】
<比較例5>
最表層の材料を酸化錫とタンタル(Ta)が50:50の原子数比率で均質となる混合材料(SnTaO)に変更した。それ以外は比較例1と同様の方法で、比較例5の反射型フォトマスクを作製した。
【0062】
<比較例6>
最表層の材料を酸化錫とタンタル(Ta)が50:50の原子数比率で均質となる混合材料(SnTaO)に変更した。それ以外は比較例1と同様の方法で、比較例6の反射型フォトマスクを作製した。
【0063】
<参考例>
参考例として、従来のタンタルを主成分とした既存膜のフォトマスクを想定した。窒化タンタル(TaN)を用いて膜厚58nmになるよう吸収層を形成し、酸化タンタル(TaO)を用いて膜厚2nmになるよう最表層を形成して反射型フォトマスクを作製した。それ以外は、実施例1と同様の方法で参考例の反射型フォトマスクを作製した。
【0064】
<評価>
上述した実施例1から9、比較例1から6、参考例で得られた反射型フォトマスクについて、以下の方法で検査性及び転写性能の評価を行った。なお、検査性は検査光に対するコントラストの測定値から評価した。また、転写性能はウェハ露光評価により確認した。
【0065】
〔検査性〕
実施例1から9、比較例1から6、参考例において、波長199nmの検査装置を用いて、反射率分布からコントラストを算出した。検査装置のNAは0.85であった。反射率の測定には、x方向のLSパターンを用いた。LSパターンの反射部からの反射率をRm、低反射部からの反射率をRaとして、式(1)を用いてコントラストを算出した。また、算出したコントラストの値から、検査性について以下の○、×の2段階で評価した。
<評価基準>
○:コントラスト値が-0.1より小さい、もしくは0.1より大きい場合
×:コントラスト値が-0.1以上0.1以下である場合
【0066】
〔ウェハ露光評価〕
EUV露光装置(NXE3300B:ASML社製)を用いて、EUVポジ型化学増幅型レジストを塗布した半導体ウェハ上に、各実施例、比較例及び参考例で作製した反射型フォトマスクの吸収層パターンを転写露光した。このとき、露光量は、x方向のLSパターンが設計通りに転写するように調節した。その後、電子線寸法測定機により転写されたレジストパターンの観察及び線幅測定を実施し、解像性とH-Vバイアスの確認し、以下の○、△、×の3段階で評価した。
<評価基準>
○:H-Vバイアスが2.2nm(参考例のH-Vバイアスの値)より小さい場合
△:H-Vバイアスが2.2nm以上であり、3nm以下である場合
×:H-Vバイアスが3nmを超える場合
以上の評価結果を表1に示す。
【0067】
【0068】
表1中に表されるように、実施例1から9、比較例1から6の評価結果から、実施例1から9のように低反射部の膜厚が0.5×da+dc≦21.5nmを満たす膜厚、もしくは0.5×da+dc≧27.5nmを満たす膜厚である場合には、比較例1から6のように低反射部の膜厚が21.5nm<0.5×da+dc<27.5である場合と比べて、転写性に優れており、且つ検査光のコントラストが高いことがわかった。実施例3と実施例6に関しては、射影効果の影響により転写性の改善がみられなかった。しかし、実施例9では転写性の改善が見られた。これにより、吸収膜及び最表層の膜厚の合計が45nm以下であれば確実に射影効果を低減し、転写性が改善されることがわかった。
【0069】
なお、本開示の反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。