(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124372
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】染毛組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20220818BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220818BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/49
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022104
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】521068530
【氏名又は名称】彩資生株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】御子柴 和文
(72)【発明者】
【氏名】山田 稔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB081
4C083AB082
4C083AB222
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB412
4C083AC072
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC532
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC732
4C083AC792
4C083AC812
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC892
4C083AD042
4C083AD132
4C083BB44
4C083BB53
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE03
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】従来のカラートリートメントでは実現できなかった染着性を上げるばかりでなく、染毛剤や脱色剤に混ぜても綺麗な発色をすることができる染毛組成物を提供する。
【解決手段】HC青16(HC Blue No.
16)、塩基性黄87(Basic Yellow 87)、塩基性橙31(Basic Orange 31) 、塩基性赤51(Basic Red 51)を組み合わせ、使用時のpHを9.0以上とすることで、染毛剤の脱色作用に影響することなく綺麗な発色を表現することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HC青16、塩基性黄87、塩基性橙31、及び、塩基性赤51の染料のうち、いずれか1種類以上の染料を含む染毛組成物であり、使用時のpHが9.0以上である
ことを特徴とする染毛組成物。
【請求項2】
前記染料は、使用時の配合量が0.0質量%より多く1.0質量%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の染毛組成物。
【請求項3】
タール色素、HC染料、塩基性染料、及び、直接染料のうち、いずれか1種類以上を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の染毛組成物。
【請求項4】
単品で使用され、使用時のpHが9.0以上である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の染毛組成物。
【請求項5】
pH調整用組成物、染毛剤、及び、脱色剤のいずれかに混ぜられることで使用され、使用時のpHが9.0以上である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の染毛組成物。
【請求項6】
炭酸水素アンモニウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、AMP、及び、塩化アルミニウムのうちいずれか1つ以上を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の染毛組成物。
【請求項7】
前記pH調整用組成物、前記染毛剤、及び、前記脱色剤は、炭酸水素アンモニウム、アンモニア水、及び、塩化アンモニウムを含む
ことを特徴とする請求項5に記載の染毛組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染毛組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
染毛料と染毛剤は、使用される染料又はメラニンに対する脱色作用の有無によって分類することができる。
【0003】
染毛料の代表例としては、酸性染料、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性青75、塩基性青124、塩基性赤76などの塩基性染料、HC青2、HC黄2、HC黄4などのHC染料、ニトロ染料等の直接染料を含む半永久染毛剤が挙げられる。
【0004】
染毛剤の代表例としては、アルカリ剤及び酸化染料を含む第1剤と酸化剤を含む第2剤とからなる永久染毛剤が挙げられる。
【0005】
永久染毛剤には、毛髪深部まで浸透し、色が抜け難く、染毛効果が持続するという優れた面がある反面、酸化染料によって付与される色調がそれほど鮮やかでないという問題がある。
【0006】
そこで、永久染毛剤において、酸化染料に直接染料を併用してより鮮やかな色を得ようとする方法も提案されている(例えば下記特許文献1)。
【0007】
また、永久染毛剤に特定の酸性染料を配合し、永久染毛剤の酸化染料では表現できない鮮やかな色を補うという方法も提案されている(例えば下記特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-024158号公報
【特許文献2】特開2020-143016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、酸性染料は、皮膚への染着性が高く美容師の施術を必要とする。またアルカリ性の製剤に配合した場合、安定な染料の種類が少なく、色のバリエーションを作ることが困難であるという問題があった。
【0010】
そして、従来のヘアカラートリートメントは、染料の安定性の問題から酸性~中性領域にする必要があり、染毛剤や脱色剤などと併せて使用するとアルカリ剤と過酸化水素の脱色作用により色が変色したり、毛髪への染着が薄くなったりといった欠点を有していた。
【0011】
本発明では、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、毛髪を鮮やかに染色し、様々な色のバリエーションを表現できる染毛組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点における染毛組成物によれば、
HC青16、塩基性黄87、塩基性橙31、及び、塩基性赤51の染料のうち、いずれか1種類以上の染料を含む染毛組成物であり、使用時のpHが9.0以上である
ことを特徴とする。
【0013】
より好ましくは、
前記染料は、使用時の配合量が0.0質量%より多く1.0質量%以下である
ことを特徴とする。
【0014】
より好ましくは、
タール色素、HC染料、塩基性染料、及び、直接染料のうち、いずれか1種類以上を含ことを特徴とする。
【0015】
より好ましくは、
単品で使用され、使用時のpHが9.0以上である
ことを特徴とする。
【0016】
より好ましくは、
pH調整用組成物、染毛剤、及び、脱色剤のいずれかに混ぜられることで使用され、使用時のpHが9.0以上である
ことを特徴とする。
【0017】
より好ましくは、
炭酸水素アンモニウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、AMP、及び、塩化アルミニウムのうちいずれか1つ以上を含む
ことを特徴とする。
【0018】
より好ましくは、
前記pH調整用組成物、前記染毛剤、及び、前記脱色剤は、炭酸水素アンモニウム、アンモニア水、及び、塩化アンモニウムを含む
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る染毛組成物によれば、従来のカラートリートメントでは表現することができなかった多彩な色調に染毛することができ、さらには、染毛剤や脱色剤と使用時に混ぜることで、永久染毛剤には難しい毛髪を明るくしながら高彩度の色に染色することができる。
【0020】
また、本発明に係る染毛組成物によれば、酸性染料、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性青75、塩基性青124、塩基性赤76などの塩基性染料、HC青2、HC黄2、HC黄4などのHC染料、ニトロ染料等の直接染料と比べて安定した染着性を示すことができる。
【0021】
さらに、本発明に係る染毛組成物によれば、高いpH領域でも変色しないばかりか、ヘアカラーの脱色作用の影響を受けない。そして、高いpH領域でも染着の影響を受けない青、赤、黄から選ばれる「色の3原色」を用いることで、多彩な色合いを表現することができ、橙色を追加することでブラウンをさらに強調することができる。
【0022】
さらに、本発明に係る染毛組成物によれば、染毛剤、及び、脱色剤のいずれかに混ぜられることでpHが9.0以上となるものとすることにより、黒髪を明るくしながら染毛剤では表現できなかった色合いを出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る染毛組成物について説明する。
本発明に係る染毛組成物は、HC青16、塩基性黄87、塩基性橙31、及び、塩基性赤51のうち、いずれか1種類以上の染料を含む染毛組成物である。ただし、当該染料の(染毛組成物使用時の)配合量は、0.0質量%より多く1.0質量%以下、より好ましくは、0.01質量%以上0.5質量%以下である(1.0質量%を超えると染料が析出する恐れがあるため)。
【0025】
本発明に係る染毛組成物は、pH6.50~8.00が好ましいが、HC青16、塩基性黄87、塩基性橙31、及び、塩基性赤51のうち、いずれか1種類以上配合して染毛組成物を作る場合は、pH8.00以上でも問題なく、さらには、使用時にpH9.00以上であればより効果を得ることができる。
【0026】
また、本発明に係る染毛組成物には、芳香族アルコール及びアルカリ剤を含有させることにより、より好ましい添加効果が発揮される傾向がある。
【0027】
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、α-メチルベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール等が挙げられる。これらの中で、好ましくはベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールが用いられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0028】
アルカリ剤(pH調整剤)としては、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。ただし、これら以外のアルカリ剤を用いてもよい。
【0029】
また、本発明に係る染毛組成物には、必要に応じ、pHの安定性を向上させる効果を目的として、アルミニウム化合物を含有させることができる。
【0030】
そのようなアルミニウム化合物としては、硫酸カリウムアルミニウム(カリミョウバン)、クロルヒドロキシアルミニウム(塩化アルミニウム)等が挙げられ、好ましくは、クロルヒドロキシアルミニウムが用いられる。ただし、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0031】
アルミニウム化合物の含有量は、0.02~10重量%が好ましく、0.05~5重量%がより好ましい。アルミニウム化合物の含有量が0.02重量%未満ではpHのバッファー効果が不十分となる傾向があり、一方、5重量%を超えてもpHのバッファー効果は余り向上せず、却って染毛剤の安定性が悪くなる傾向がある。
【0032】
本発明に係る染毛組成物に含有される染毛料には、色素や染料としては、タール色素、塩基性染料、HC染料、直接染料等が好ましく、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの色素や染料を含有させることにより、多彩な色調に染毛することが可能である。
【0033】
このようなタール色素としては、昭和41年8月31日公布の厚生省令第30号「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」によって指定されている色素が挙げられる。
【0034】
塩基性染料としては、染毛料に通常用いられ得る塩基性染料であれば特に限定されるものでなく、例えばBasic Blue 75(塩基性青75)、Basic Red 76(塩基性赤76)、Basic Blue 99(塩基性青99)、Basic Brown 16(塩基性茶16)、Basic Brown 17(塩基性茶17)、Basic Yellow 57(塩基性黄57)等が挙げられる。
【0035】
HC染料としては、染毛料に通常用いられ得るHC染料であれば特に限定されるものでなく、例えばHC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue no.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11等が挙げられる。
【0036】
直接染料としては、2-アミノ-6-クロロ-4ニトロフェノ-ル、2-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、4-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、ヒドロキシアントラキノンアミノプロピルメチルモルホニウムメトサルフェ-ト、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノ-ル、2-ニトロ-5-グリセリルメチルアニリン等のニトロ染料が挙げられる。
【0037】
酸性染料としては、染毛料に通常用いられ得る酸性染料であれば特に限定されるものでなく、例えば赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色201号、赤色227号、赤色220号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、橙色205号、橙色207号、黄色202号、黄色203号、緑色201号、緑色204号、緑色206号、青色202号、青色203号、青色205号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色402号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、褐色201号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号等が挙げられる。
【0038】
上述した色素や染料の含有量は、2重量%以下が好ましく、0.01~1重量%がより好ましい。2重量%を超えると皮膚への染着性が大きくなる傾向がある。
【0039】
さらに、本発明に係る染毛組成物に含有される染毛料には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧品や染毛料に常用される各種成分を含有させることができる。
【0040】
例えば、界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、
ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ソルビタン等のノニオン性界面活性剤、
セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチル等の油剤、
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系高分子化合物、グアーガム、キサンタンガム、トラガントガム、アラビアガム、ガッチガム、カラヤガムなどのガム系高分子化合物、
デキストリンなどのデンプン系高分子化合物、
アルギン酸ナトリウムなどの天然系高分子化合物、
ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アミド、アクリル酸メタクリル酸共重合体などの合成高分子化合物などの増粘剤、
1,3-BG、PG、DPG、グリセリン等の保湿剤;EDTA、EDTA-2Na、EDTA-4Na、ヒドロキシエタンジホスホン酸等のキレート剤:パラベン、メチルイソチアゾリノン等の防腐剤;エタノール、イソプロピルアルコール等の溶剤、
香料等で、
これらは必要に応じ、2種以上組み合わせて適宜配合することができる。
【0041】
なお、本発明に係る染毛組成物は、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、あるいは、泡状等、任意の剤型とすることができ、その容器形状についても限定されるものではない。
【0042】
以下では、本発明に係る染毛組成物を、実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、各表中の数値は質量%を示す。
【実施例0043】
表1に示すA-1~A-4は、従来のカラートリートメントで使用する主な染料、すなわち、HC青2、塩基性青99、塩基性茶16、HC黄2、HC黄4と、アルカリ剤(pH調整剤)を用いてpH7付近に調整した比較例用検体である。A-5は、従来のカラートリートメントで使用する主な染料を組み合わせてナチュラルブラックとし、アルカリ剤(pH調整剤)を用いてpH7付近に調整した比較例用検体である。
【0044】
B-1~B-4は、それぞれ、HC青16、塩基性黄87、塩基性橙31、塩基性赤51のいずれかの染料にアルカリ剤(pH調整剤)を用いてpH7付近に調整した実施例用検体である。B-5は、HC青16、塩基性黄87、塩基性橙31、及び、塩基性赤51を組み合わせてナチュラルブラックとし、アルカリ剤(pH調整剤)を用いてpH7付近に調整した実施例用検体である。なお、各実施例用検体における染料の配合量は、それぞれ0.0質量%より多く1.0質量%以下としている。
【0045】
表2に示すクリア剤C-1は、検体と後述のpH調整剤C-2とを混ぜた場合の染料濃度に合わせるために調整したクリア剤(薄め剤)である。
【0046】
pH調整用組成物C-2は、検体のpHを上げるために調整したpH調整剤であって、C-3と混合することにより脱色剤ともなる(脱色剤1剤)。2剤C-3は、髪を明るくする為にpH調整剤C-2と混ぜて使用する2剤(過酸化水素水)である。
【0047】
ここで、比較例用検体A-1~A-5と実施例用検体B-1~B-5とを比較する。
【0048】
〈検証1〉
[染毛方法]
長さ約10センチのヤク毛、ブリーチ毛BR-1、BR-2(ビューラックス社製)毛束1gに下記各検体を塗布し、20分間放置後、30秒間水洗処理した。
【0049】
[評価方法]
まず、比較例用検体A-1~A-5、実施例用検体B-1~B-5それぞれに、クリア剤C-1を1:1で混ぜ合わせた各検体の各毛束(ヤク毛、ブリーチ毛BR-1、BR-2)への染着度合いの評価を「3」(基準評価)とした。
【0050】
次に、比較例用検体A-1~A-5、実施例用検体B-1~B-5それぞれに、pH調整用組成物C-2を1:1で混ぜ合わせpHを9.0以上とした各混合検体の毛束(ヤク毛、ブリーチ毛BR-1、BR-2)への染着度合いの評価を、1~5の5段階で評価した。
【0051】
そして、各混合検体の各毛束への染着度合いの評価の平均値を算出し、それに基づき、各混合検体の総合評価を、上記基準評価に比べてかなり薄い「×」、若干薄い「△」、同等「〇」、若干濃い「◎」、濃い「◎◎」で示した。
【0052】
[評価結果]
表1の結果に示すように、HC青16、塩基性橙31、塩基性黄87、塩基性赤51がそれぞれ含まれる実施例用検体B-1~B-4は、使用時にpH調整用組成物C-2を混ぜ合わせることによりpHを上げることで、染着度合いが著しく上がることが判明した。
【0053】
〈検証2〉
[染毛方法]
検証1と同じ。
【0054】
[評価方法]
表2に示すように、検証1における比較例用検体A-1~A-5、実施例用検体B-1~B-5それぞれに、クリア剤C-1を1:3で混ぜ合わせた各検体の各毛束への染着度合いの評価を「3」(基準評価)とした。
【0055】
次に、比較例用検体A-1~A-5:pH調整用組成物(脱色剤1剤)C-2:2剤C-3=1:1:2、実施例用検体B-1~B-5:pH調整用組成物(脱色剤1剤)C-2:2剤C-3=1:1:2として、それぞれ混ぜ合わせた各混合検体の各毛束への染着度合いの評価を、1~5の5段階で評価した(C-2,C-3については表3に示すとおり)。ただし、実施例用検体を含む混合検体は、pH9.0以上とする。
【0056】
そして、各混合検体の各毛束への染着度合いの評価の平均値を算出し、それに基づき、各混合検体の総合評価を、上記基準評価に比べてかなり薄い「×」、若干薄い「△」、同等「〇」、若干濃い「◎」、濃い「◎◎」で示した。
【0057】
[評価結果]
表2の結果に示すように、2剤C-3の過酸化水素水の脱色作用が加わることで、比較例用検体A-1~A-5は染着度合いが悪くなったが、一方で、HC青16、塩基性橙31、塩基性黄87、塩基性赤51がそれぞれ含まれる実施例用検体B-1~B-4は、染着度合いが向上し、鮮やかな発色と共に濃く染まる結果となった。
【0058】
なお、上記検証1,2においては、pH調整用組成物C-2、あるいは、脱色剤C-2及び2剤C-3を、各実施例用検体に混ぜ合わせてpH9.0以上としているが、C-2,C-3に代えて、一般的な染毛剤(2剤式ヘアカラー)を各実施例用検体に混ぜ合わせてpH9.0以上としても、染着度合いが良くなる。
【0059】
〈検証3〉
[染毛方法]
検証1と同じ。
【0060】
[評価方法]
表5に示すように、実施例用検体B-1の各毛束への染着度合いの評価を「3」(基準評価)とし、次に、実施例用検体B-1に、pH調整剤(アルカリ剤)としてモノエタノールアミン、強アンモニア水(28%)のいずれかを添加したものを実施例用検体D-1~D-4(添加量を2パターンずつ振った計4種類)として、各毛束への染着度合いの評価を、1~5の5段階で評価した。
【0061】
そして、各検体の各毛束への染着度合いの評価の平均値を算出し、それに基づき、各検体の総合評価を、上記基準評価に比べてかなり薄い「×」、若干薄い「△」、同等「〇」、若干濃い「◎」、濃い「◎◎」で示した。
【0062】
[評価結果]
表5の結果に示すように、モノエタノールアミンやアンモニア水を用いて使用時のpHを9.00以上にすることで、HC青16の染着度合いが向上した。さらに、モノエタノールアミンやアンモニア水の添加量を増やし、pHを10.00付近まで上げることで、よりその効果を得ることができた。
【0063】
検証1~3の結果から、HC青16、塩基性橙31、塩基性黄87、塩基性赤51の染料は、pH9.00以上で使用することによりpH7.00付近で使用するよりも遙かに効果が高いことがわかった。
【0064】
〈検証4〉
[染毛方法]
検証1と同じ。
【0065】
[評価方法]
表6に示すように、実施例用検体A-5の各毛束への染着度合いの評価を「3」(基準評価)とし、次に、実施例用検体A-5に、HC青16を添加したものを実施例用検体E-1,E-2(E-2は、さらに強アンモニア水(28%)を添加したもの)として、各毛束への染着度合いの評価を、1~5の5段階で評価した。
【0066】
そして、各検体の各毛束への染着度合いの評価の平均値を算出し、それに基づき、各検体の総合評価を、上記基準評価に比べてかなり薄い「×」、若干薄い「△」、同等「〇」、若干濃い「◎」、濃い「◎◎」で示した。
【0067】
[評価結果]
表6の結果に示すように、実施例用検体E-1は比較例用検体A-5と比べて染着度合いが向上した。さらに、アンモニア水の添加量を増やしpHを9.00以上まで上げた実施例用検体E-2は、ヤク毛に対する染着度合いが向上することがわかった。
【0068】
〈検証5〉
同様にして、表7に示すように、AMPを含まない比較例用検体G-1とAMPを含む実施例用検体F-1~F-3とを評価した結果、AMPを含むようにすると染着度合いが向上することがわかった。