IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 近江度量衡株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-農産物の内部品質測定装置 図1
  • 特開-農産物の内部品質測定装置 図2
  • 特開-農産物の内部品質測定装置 図3
  • 特開-農産物の内部品質測定装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124382
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】農産物の内部品質測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/359 20140101AFI20220818BHJP
【FI】
G01N21/359
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022121
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000163501
【氏名又は名称】近江度量衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】中井 剛
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059AA05
2G059BB11
2G059EE01
2G059HH01
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059JJ17
2G059KK01
(57)【要約】
【課題】農産物の大きさに起因する感度調整の困難さを低減することができる農産物の内部品質測定装置を提供する。
【解決手段】農産物Wの内部品質を測定するための測定光を投光するハロゲンランプ32と、前記農産物Wを透過した前記測定光を受光する受光ユニット33と、を備え、前記ハロゲンランプ32および前記受光ユニット33は、前記農産物Wを間に介して当該農産物Wの側方に配置され、前記受光ユニット33の入光端33aは前記農産物Wの下側に向かって配置され、前記ハロゲンランプ32は前記受光ユニット33の入光端33aよりも高い位置に配置される、ことを特徴とする農産物Wの内部品質測定装置30。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物の内部品質を測定するための測定光を投光する投光部と、
前記農産物を透過した前記測定光を受光する受光部と、
を備え、
前記投光部および前記受光部は、前記農産物を間に介して当該農産物の側方に配置され、
前記受光部は前記農産物の下側に向かって配置され、
前記投光部は前記受光部よりも高い位置に配置される、
ことを特徴とする農産物の内部品質測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物の内部品質を測定する内部品質測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農産物の集出荷施設では、収穫された農産物をその品質別に選別する選別装置が従来から導入されている。当該選別装置は、農産物の外観品質を判定する外観品質判定装置と、農産物の内部品質を判定する内部品質判定装置と、判定された外観品質および内部品質に基づいて定まる農産物の等階級別に農産物を仕分ける仕分装置と、仕分けられた農産物をプールするプール装置と、を備えており、上記の外観品質判定装置および内部品質判定装置は、農産物を搬送するコンベアの経路上に設けられている。
【0003】
ここで、農産物の内部品質とは、農産物の糖度や熟度であり、当該内部品質を測定する内部品質判定装置として、例えば特許文献1には、農産物に測定光を照射する投光手段と、当該農産物を透過した測定光を受光する受光手段と、受光した光の強度に応じて農産物の内部品質を評価する制御装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-182882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載された内部品質判定装置では、投光手段が農産物の搬送経路の上方に設置されており、受光手段が農産物の搬送経路の下方に設置されているので、農産物を透過する透過光の光路長が判定対象の農産物の大きさによって変わることとなり、光路長の長短に基づく受光量の調整、すなわち感度調整が困難であった。
【0006】
上記の課題に鑑み、本発明は、農産物の大きさに起因する感度調整の困難さを低減することができる農産物の内部品質測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の内部品質測定装置は、農産物に対して測定光を投光する投光部と、前記農産物を透過した前記測定光を受光する受光部と、を備え、前記投光部および前記受光部は、前記農産物を間に介して当該農産物の側方に配置され、前記受光部は前記農産物の下側に向かって配置され、前記投光部は前記受光部よりも高い位置に配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、農産物の大きさに起因する感度調整の困難さを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る内部品質測定装置が設置された選別装置の概略構成を説明する図。
図2】(a)は上記内部品質測定装置の構成図、(b)内部品質測定装置の受光ユニットの断面図。
図3】当該内部品質測定装置のハードウエア概略図。
図4】(a)サイズの大きい農産物の内部品質を測定する際の測定光の態様を示した図、(b)サイズの小さい農産物の内部品質を測定する際の測定光の態様を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る農産物の内部品質測定装置を説明する。
【0011】
図1に示すように、内部品質測定装置30は、農産物Wの選別装置1において用いられる装置である。農産物Wの選別装置1は、農産物Wを等階級別に選別する装置であって、農産物Wを搬送するコンベア10と、農産物Wの外観品質を測定する外観品質測定装置20と、農産物Wの内部品質を測定する内部品質測定装置30と、農産物Wを等階級別にプールする複数のプールコンベア50と、を備えている。
【0012】
コンベア10は、農産物Wを等間隔で単列搬送する搬送装置であり、本実施形態の選別装置1ではチルト式のコンベアが用いられている。チルト式コンベアは、農産物Wが載置される複数のトレイ11が搬送方向に直列的に連結されたコンベア10であり、当該コンベア10の搬送制御を行う制御装置12によって、トレイ11の傾動が制御される。作業者によって農産物Wがコンベア10に供給されると、コンベア10は農産物Wを所定の方向に搬送する。なお、本実施形態ではチルト式コンベアを用いているが、ベルトコンベアでも良いし、農産物Wを載置する非連結のフリートレイを用いても構わない。
【0013】
上記コンベア10の搬送経路の途中に、農産物Wの外観品質測定装置20が設けられている。農産物Wの外観品質とは、農産物Wの大きさ、形状、表皮の色合い、傷の有無やその程度等である。当該外観品質測定装置20は、搬送経路に設けられた暗室21と、暗室21内において搬送経路の上方に設けられ、搬送されている農産物Wを撮像するカメラ22と、カメラ22によって生成された画像を解析し外観品質の各要素を測定するコンピュータ(不図示)と、を備えている。当該コンピュータは、選別装置1全体を制御するメインコンピュータ3と通信可能に接続されており、外観品質を測定する度に当該外観品質をメインコンピュータ3へと送信する。
【0014】
上記コンベア10の搬送経路には、また、農産物Wの内部品質測定装置30が設けられている。農産物Wの内部品質とは、農産物Wの糖度や酸度などである。当該内部品質測定装置30は、図2に示すように、搬送経路に設けられた暗室31内に、測定光を投光する投光部として機能するハロゲンランプ32と、農産物Wを透過した測定光を受光する受光部として機能する受光ユニット33を備えている。なお、測定光には、近赤外線に代表されるように、農産物Wの内部品質を測定するための波長が含まれている。
【0015】
ハロゲンランプ32は、背面側に反射鏡35を備えており、測定光を正面側に放射するように構成されている。このハロゲンランプ32は、暗室31内において、コンベア10の側方に配置され、搬送される農産物Wに向かって測定光を照射する。なお、ハロゲンランプ32の正面にはシャッター(不図示)が設けられており、当該シャッターの開閉がコンピュータ36によって制御されている。
【0016】
受光ユニット33は、農産物Wを透過した測定光を受光するユニットであって、フード37と、ミラー38と、レンズ39と、光ファイバー40を備える。フード37は、細長い筒状体であり、その筒軸を水平に向けた姿勢で、ハロゲンランプ32とは反対側の農産物の側方に配置される。当該フード37の先端が測定光の入光端33aとして機能している。フード37の後方にはミラー38が配置されており、フード37から出た測定光がミラー38によって下方に反射される。ミラー38の下方にはレンズ39および光ファイバー40が設けられており、ミラー38によって反射された測定光がレンズ39によって光ファイバー40へと集光される。図3に示すように、光ファイバー40によって送られた測定光は分光器41へと送られる。分光器41は、光ファイバー40によって送られてきた測定光を内部品質の測定に必要な波長へと分光する。当該分光器41によって分光された測定光の各々はセンサ42に入力される。センサ42は入力された測定光の強度に応じた信号を出力し、当該信号がコンピュータ36に入力されることで、当該コンピュータ36によって内部品質が測定される。コンピュータ36は、測定した内部品質を、その都度、メインコンピュータ3へと送信する。
【0017】
メインコンピュータ3は、外観品質測定装置20および内部品質測定装置30から受信した外観品質および内部品質、並びに他の測定装置から受信した測定内容に基づいて農産物Wの等階級を判定する。判定された等階級は、農産物Wの搬送順に管理され記憶される。メインコンピュータ3は、コンベア10の制御装置12と通信可能に接続されており、農産物Wを載せたトレイ11が所定の位置まで搬送されたことを認識すると、当該農産物Wを載せたトレイ11を傾動させるよう制御装置12にコマンドを送信する。
【0018】
コンベア10の制御装置12は、メインコンピュータ3からのコマンドに対応したトレイ11を傾動させる。これにより、農産物Wはコンベア10から排出され、プールコンベア50へと送られることとなる。このようにして、本実施形態の選別装置1は農産物Wを等階級別に選別する。
【0019】
ここで、本実施形態の内部品質測定装置30は、上述のとおり、投光部であるハロゲンランプ32と受光部である受光ユニット33が農産物Wを介するようにコンベア10の側方に配置されているが、受光ユニット33とハロゲンランプ32は、互いに高さ方向に位置をずらして設けられている。
【0020】
具体的には、図2に示すように、受光ユニット33の入光端33aが下方に設置され、ハロゲンランプ32が上方に設置されている。さらに具体的には、農産物Wの大きさを、Lサイズ、Mサイズ、Sサイズ、規格外に区分した場合に、Sサイズとしての標準の農産物WSの中位の高さよりも下側(若干下方)に入光端33aが水平方向を向くように設置されている。また、ハロゲンランプ32はLサイズとして標準の農産物WLの中位の高さよりも上方にハロゲンランプ32が水平方向を向くように設置されている。
【0021】
このように構成される内部品質測定装置30によると、受光ユニット33には図4に示す測定光(透過光)が入光する。この図に示されるように、大きいサイズの農産物WLには、ハロゲンランプ32からの測定光が集光されることにより、光量の多い測定光が照射される。このとき、農産物WLの内部に進入した測定光は、内部において散乱を繰り返すことで減衰されて、入光端33aに達することとなる。一方で、小さいサイズの農産物WSに対して、ハロゲンランプ32からの測定光が集光されず一部の測定光しか照射されないため、少ない光量の測定光が照射される。このとき、農産物WSの内部に進入した測定光は、内部において散乱を繰り返すことで減衰されて、入光端33aに達することとなる。ここで、サイズの大きい農産物WLについては、その内部に進入する測定光の光量は多いが、農産物WL内部における光路が長いため、内部における測定光の減衰率が高くなる。サイズの小さい農産物WSについては、その内部に進入する測定光の光量は、サイズの大きい農産物WLと比べると少なくなる。しかし、小さいサイズの農産物WS内部の光路長はサイズの大きい農産物WLよりも短いため、内部における測定光の減衰率は低くなる。したがって、入光端33aに入る光の光量は、農産物Wのサイズの影響を受けにくくなり、農産物Wの大きさに起因する感度調整が容易となる。
【0022】
本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0023】
W 農産物
30 内部品質測定装置
32 ハロゲンランプ(投光部)
33 受光ユニット(受光部)


図1
図2
図3
図4