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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124387
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ブラインド取付装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/323 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
E06B9/323
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022127
(22)【出願日】2021-02-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】森田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高部 浩一
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043BB04
(57)【要約】
【課題】高所における狭小空間であっても、ブラインドの施工、メンテナンスといった作業を安全に行うことが可能なブラインド取付装置を提供する。
【解決手段】ブラインド取付装置100は、開閉可能なスラット210を備えたブラインド200を固定面FSに取り付けるためのであって、固定面FSに少なくとも一部が移動可能に支持される一対の縦枠110を備え、一対の縦枠110間には、ブラインド200が設置され、縦枠110の少なくとも一部を上下方向に移動させることでブラインド200の設置される高さが変更可能に構成されている。かかる構成によれば、縦枠を固定面に対して上下に移動させることで、ブラインドを作業者の手の届く高さまで安全に昇降させることできる。よって、高所における狭小空間であっても、ブラインドの施工、メンテナンスといった作業を安全に行うことができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な遮蔽材を備えたブラインドを固定面に取り付けるためのブラインド取付装置であって、
前記固定面に少なくとも一部が移動可能に支持される一対の縦枠を備え、
一対の前記縦枠間には、前記ブラインドが設置され、
前記縦枠の少なくとも一部を上下方向に移動させることで前記ブラインドの設置される高さが変更可能であることを特徴とする、ブラインド取付装置。
【請求項2】
前記縦枠は、
前記固定面に固定されるベースレールと、
前記ベースレールに沿って上下方向に相対移動可能なスライドレールと、
からなり、
前記ブラインドは、前記スライドレールと一体に移動することを特徴とする、請求項1に記載のブラインド取付装置。
【請求項3】
前記ベースレールと前記スライドレールとの間には、前記ベースレールに対する前記スライドレールの移動を規制する固定具が設けられ、
前記固定具による規制を解除することで、前記スライドレールの移動が許容されることを特徴とする、請求項2に記載のブラインド取付装置。
【請求項4】
一対の前記スライドレールの下端近傍には、一対の前記スライドレール同士を連結する操作枠が着脱自在となっており、一対の前記スライドレール同士を連結した操作枠を上下動させることで、前記ベースレールに沿って一対の前記スライドレールを移動可能であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のブラインド取付装置。
【請求項5】
前記遮蔽材は、前記操作枠の取付位置を超えて下降可能であることを特徴とする、請求項4に記載のブラインド取付装置。
【請求項6】
前記スライドレールには、前記ブラインドに電力供給又は制御信号を送信するための配線を収容する配線空間が形成されることを特徴とする、請求項2~5のいずれかに記載のブラインド取付装置。
【請求項7】
前記配線空間には、配線を出し入れ自在とする開口が前記スライドレールの上下方向に沿って形成されることを特徴とする、請求項6に記載のブラインド取付装置。
【請求項8】
前記遮蔽材は、前記縦枠の長さよりも長いことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のブラインド取付装置。
【請求項9】
一対の前記縦枠同士は横枠によって連結されており、前記横枠には前記遮蔽材を支持する支持部材がブラケットを介して取り付けられることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のブラインド取付装置。
【請求項10】
一対の前記縦枠同士は横枠によって連結されており、前記横枠は前記遮蔽材を支持する支持部材であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のブラインド取付装置。
【請求項11】
一対の前記縦枠は、前記横枠の上端よりも上方に突出していることを特徴とする、請求項9又は10に記載のブラインド取付装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインド取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインド取付装置としては、特開2015-28278号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献には、ブラケットにヘッドボックスを仮止めする仮止め機構と、仮止めされたヘッドボックスをブラケットに固定する固定機構と、を備えたブラインド取付装置が開示されている。仮止め機構は、ブラケットの開口を通じた収容部へのヘッドボックスの進入を許容する許容位置と、収容部へのヘッドボックスの進入を規制する規制位置との間で変位可能な変位部材を有する。変位部材は、規制位置に位置する場合に、収容部に進入したヘッドボックスを仮止めする。
【0003】
かかる構成によれば、ヘッドボックスの取付け位置が高所や狭所であり、ヘッドボックスをブラケットに取り付ける際の作業スペースが柱や梁などの構造物によって制限される場合であっても効果がある。例えば、ヘッドボックスを支える治具あるいは作業者の手から離れてしまったとしても、仮止め機構によってヘッドボックスがブラケットから誤って落下することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-28278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のブラインド取付装置では、高所における狭小空間の場合、ヘッドボックスをブラケットに取り付ける際、又はブラケットから取り外す際、ヘッドボックスの外側面に形成される突起を長尺状の治具の先端部で保持しながら、ブラインドを上げ下げする必要がある。よって、ブラインドの施工、メンテナンスといった作業の安全性の面で依然として課題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高所における狭小空間であっても、ブラインドの施工、メンテナンスといった作業を安全に行うことができるブラインド取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、開閉可能な遮蔽材を備えたブラインドを固定面に取り付けるためのブラインド取付装置であって、前記固定面に少なくとも一部が移動可能に支持される一対の縦枠を備え、一対の前記縦枠間には、前記ブラインドが設置され、前記縦枠の少なくとも一部を上下方向に移動させることで前記ブラインドの設置される高さが変更可能であることを特徴とする、ブラインド取付装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、縦枠を固定面に対して上下方向に移動させることで、ブラインドを作業者の手の届く高さまで安全に昇降させることできる。よって、高所における狭小空間であっても、ブラインドの施工、メンテナンスといった作業を安全に行うことができる。
【0009】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、前記縦枠は、前記固定面に固定されるベースレールと、前記ベースレールに沿って上下方向に相対移動可能なスライドレールと、からなり、前記ブラインドは、前記スライドレールと一体に移動するようにしてもよい。かかる構成によれば、ベースレールに沿って上下方向に相対移動可能なスライドレールと一体にブラインドを移動するようにしたことで、ブラインドをスライドレールとともに安定した状態で昇降させることができる。
【0010】
また、前記ベースレールと前記スライドレールとの間には、前記ベースレールに対する前記スライドレールの移動を規制する固定具が設けられ、前記固定具による規制を解除することで、前記スライドレールの移動が許容されるようにしてもよい。かかる構成によれば、ベースレールとスライドレールとを連通するように固定具を設けることで、固定具によってスライドレールの昇降を規制して安定した状態で保持し、固定具の解除でスライドレールを昇降可能な状態に切替えることができる。
【0011】
また一対の前記スライドレールの下端近傍には、一対の前記スライドレール同士を連結する操作枠が着脱自在となっており、一対の前記スライドレール同士を連結した操作枠を上下動させることで、前記ベースレールに沿って一対の前記スライドレールを移動可能であるようにしてもよい。かかる構成によれば、着脱自在な操作枠によってスライドレールを昇降可能とすることで、作業性が向上する。
【0012】
また、前記遮蔽材は、前記操作枠の取付位置を超えて下降可能なようにしてもよい。かかる構成によれば、操作枠を取り外すことで、より高さ寸法の大きなブラインドを昇降可能に設置できる。
【0013】
また、前記スライドレールには、前記ブラインドに電力供給又は制御信号を送信するための配線を収容する配線空間が形成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、スライドレールに配線空間を設けることで、スライドレールのベースレールとの相対移動の影響を配線が受けることを防止することができる。よって、配線を配線空間内で安定した状態で収容しながらスライドレールとともに昇降させることができる。
【0014】
また、前記配線空間には、配線を出し入れ自在とする開口が前記スライドレールの上下方向に沿って形成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、配線空間に配線を出し入れ可能とする開口を形成することで、メンテナンス性を向上できる。特にスライドレールを昇降させた後も、配線同士の接続、接続解除作業にあたり、作業性低下を抑制できる。
【0015】
また、前記遮蔽材は、前記縦枠の長さよりも長くしてもよい。かかる構成によれば、高所に設置したブラインドをより下方まで下降させることが可能となるため、縦枠の長さよりも高所にブラインドを設置することが可能となる。
【0016】
また、一対の前記縦枠同士は横枠によって連結されており、前記横枠には前記遮蔽材を支持する支持部材がブラケットを介して取り付けられるようにしてもよい。かかる構成によれば、例えば、横枠に予め固定したブラケットに支持部材を取付けることで、横枠にブラインドを開閉可能に支持させることができる。縦枠同士を連結する横枠に支持部材を着脱自在に取り付けることで、ブラインドのメンテナンスなどのときにブラインド取付装置からブラインドを容易に着脱することができる。
【0017】
また、一対の前記縦枠同士は横枠によって連結されており、前記横枠は前記遮蔽材を支持する支持部材であるようにしてもよい。かかる構成によれば、横枠をブラインドの支持部材と兼用させることで、支持部材の両端を直接縦枠に連結し、部品点数を削減できる。
【0018】
また、一対の前記縦枠は、前記横枠の上端よりも上方に突出しているようにしてもよい。かかる構成によれば、横枠の上方に隙間が形成されるため、取付空間内において空気の流れが遮断されることを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のブラインド取付装置によれば、高所における狭小空間であっても、ブラインドの施工、メンテナンスといった作業を安全に行うことが可能である。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態のブラインド取付装置100にブラインド200を取り付けた状態を示す斜視図である。
図2】ブラインド取付装置100の斜視図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4】スライドレール114を下降した状態を示すブラインド取付装置100を室外から見た斜視図である。
図5】狭小空間にベースレール112を取り付けた状態を示す側断面図である。
図6】狭小空間にブラインド取付装置100によってブラインド200を取り付けた状態を示す側断面図である。
図7】狭小空間においてスラット210を下降させた状態を示す側断面図である。
図8】ブラインド200を取り外す手順を示す概略図であり、(a)はスラット210を下降させた状態を示し、(b)はスラット210を畳み上げた状態を示す。
図9】ブラインド200を取り外す手順を示す概略図であり、(a)は操作枠140を取り付けた状態を示し、(b)はスライドレール114を下降させた状態を示す。
図10】スラット210を畳み上げて操作枠140を取り付けた状態を示す側断面図である。
図11】スライドレール114を下降させた状態を示す側断面図である。
図12】ブラインド取付装置100からブラインド200を取り外した状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るブラインド取付装置100の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、ブラインド取付装置100にブラインド200を取り付けた状態を示す斜視図である。ブラインド取付装置100は、昇降(開閉)可能な複数のスラット(遮蔽材)210を備えたブラインド200を固定面FSに取り付けるためのものであり、固定面FSに少なくとも一部が移動可能に支持される一対の縦枠110と、一対の縦枠110同士を連結する横枠120と、を備える。横枠120には、スラット210を支持するヘッドボックス(支持部材)220がブラケット122を介して取り付けられる。縦枠110の少なくとも一部を上下方向に移動させることでブラインド200の設置される高さが変更可能である。
【0023】
なお、本実施形態では、ブラインド200は、一般的な電動の横型ブラインドを用いるものとし、ブラインド200の詳細な説明は省略するものとする。以下、ブラインド取付装置100の各部の構成について説明する。
【0024】
(縦枠110)
縦枠110は、少なくとも一部を上下に移動させることでブラインド200の高さを変更可能にするものである。縦枠110の構成について、図1に加え、図2図4を参照しながら説明する。図2は、ブラインド取付装置100の斜視図である。図3は、図1のA-A断面図である。図4は、スライドレール114を下降した状態を示すブラインド取付装置100を室外から見た斜視図である。縦枠110は、図2及び図3に示したように、固定面FSに固定されるベースレール112と、ベースレール112に沿って上下に移動可能なスライドレール114と、からなる。
【0025】
ベースレール112とスライドレール114は、図2に示したように、長尺な略長方形状であり、同様の長さに構成されている。スライドレール114は、ベースレール112のほぼ全長にわたって、ベースレール112に沿って上下動可能となっている。スライドレール114を最も上昇させるとベースレール112と完全に重なり、スライドレールを下降させると、ベースレール112の下端から下方に突出していく。よって、ベースレール112を最も上昇させたときに比べて、下降させたときには、縦枠110の長さが2倍程度になる。
【0026】
縦枠110の形状を、図3に示す断面形状を用いて説明する。縦枠110は、ほぼ全長にわたってこの断面形状に形成されている。まず、ベースレール112について説明する。ベースレール112は、図3に示したように、固定面FSに接する凹部112aと、凹部112aの一方の壁部の上端から固定面FSと平行に幅方向(固定面FSにおける奥行方向)に直線状に延びる延長部112bと、延長部112bの先端に略L字状に形成されるL字部112cとからなる。L字部112cの一端部は固定面FSに当接する。また、L字部112cの他端は、延長部112bとともにスライドレール114の移動を案内する案内空間112dを構成する。
【0027】
ベースレール112は、案内空間112dと、凹部112aの他方の壁部112eとによってスライドレール114の移動を案内する。ベースレール112は、凹部112aがベースレール固定ネジ116によって固定面FSにねじ止めされることにより、固定面FSに固定される。
【0028】
スライドレール114は、図3に示したように、幅方向(固定面FSにおける奥行方向)のほぼ全長わたって直線状に延びる直線部114aが形成されている。直線部114aの一端には階段状に屈曲した被案内部114bが形成されている。被案内部114bは、ベースレール112の案内空間112dに挿入されて、延長部112bに当接する。また、スライドレール114には、ベースレール112の凹部112aの壁部112eが挿入する案内溝114cが形成されている。
【0029】
案内溝114cは、直線部114aから凹部112aの底部に当接するように突出する第1突出部114dと、壁部112eを挟んで略L字状に突出する第2突出部114eと、の間によって構成される。第2突出部114eは、壁部112eに沿った片と壁部112eの側方に突出した片とを備える。さらに、スライドレール114には、ベースレール112の延長部112bに当接する第3突出部114fが形成されている。
【0030】
スライドレール114は、図2に示したように、下端近傍において上下方向に2つの下部スライドレール固定ネジ用孔114jが形成されている。下部スライドレール固定ネジ用孔114jは、図3に示したように、第3突出部114fの部分に配置されている。スライドレール114は、図1に示したように、スライドレール114を上昇させたときに、下部スライドレール固定ネジ用孔114jを介してスライドレール固定ネジ118によってベースレール112に固定される。スライドレール114は、スライドレール固定ネジ118を取り外すことで、再びベースレール112に対する移動の規制が解除され、移動が許容される。
【0031】
また、スライドレール114は、図2に示したように、上端近傍において上下方向に2つの上部スライドレール固定ネジ用孔114nが形成されている。上部スライドレール固定ネジ用孔114nも下部スライドレール固定ネジ用孔114jと同様の第3突出部114fの部分に配置されている。スライドレール114は、図4に示したように、スライドレール114を下降させたときに、上部スライドレール固定ネジ用孔114nを介してスライドレール固定ネジ118でベースレール112に固定される。このようにスライドレール114を下降させた作業しやすい位置に固定しておいてブラインド200のメンテナンスや交換作業などを行うことができる。スライドレール114は、スライドレール固定ネジ118を取り外すことで、再びベースレール112に対する移動の規制が解除される。
【0032】
スライドレール固定ネジ118は、図3に示したように、スライドレール114の第3突出部114fに配置されており、スライドレール固定ネジ118を締め付けたときの押圧力によるスライドレール114のたわみが防止されている。スライドレール114は、被案内部114b、第1突出部114dと、第3突出部114fとの3点がベースレール112に当接するため、がたつきがなく、安定して連結される。
【0033】
また、スライドレール114には、図3に示したように、直線部114aと第2突出部114eによって、ブラインド200に電力供給又は制御信号を送信するための配線230をベースレール112から隔離して収容する配線空間114gが形成されている。第2突出部114eの端部は直線部114aの端部よりも内側に位置しており、上下及び側部の3方向が連続している開口114mが形成されている。この開口114mは、配線空間114gに配線230を出し入れするためのものであり、上下及び側部の3方向が開口しているため配線空間114gへの配線230の出し入れが自在になる。また、直線部114aの他端は略L字状に固定面FSの方向に屈曲した屈曲部114hを有しており、配線空間114gから配線230が不用意に脱落することが防止されている。
【0034】
配線空間114gの長さは、図1に示したように、スライドレール114よりも短く、スライドレール114の上下端部近傍には形成されていない。このため、配線空間114gの上部にはヘッドボックス220からの配線230を導入しやすい。また、配線空間114gの下部から導出された配線230は、スライドレール114を下方に移動させたときにも配線空間114gに追従することができる。
【0035】
また、スライドレール114には、図2に示したように、スライドレール固定ネジ118の上方に2つの操作枠取付孔114kが幅方向に形成されている。操作枠取付孔114kには、図4に示したように、一対のスライドレール114同士を連結する操作枠140が操作枠固定ネジ142によって着脱自在に取付可能となっている。操作枠140を上下動させることで、ベースレール112に沿って一対のスライドレール114を上下方向に同時に移動させることができる。
【0036】
(横枠120)
横枠120は、一対の縦枠110同士を連結し、ブラインド200を上下動させるものである。横枠120は、図2に示したように、直方体状であり、両端がスライドレール114にそれぞれ連結されている。このとき、横枠120は、上端から縦枠110が上方に突出するように配置される。横枠120の下面には、複数のブラケット122が所定間隔をおいて取り付けられている。ブラケット122には、図1に示したように、ブラインド200のヘッドボックス220が取り付けられている。よって、ブラインド200はスライドレール114と一体に上下方向に移動する。
【0037】
以上、ブラインド取付装置100の構成について説明した。以下、図5図7を参照しながら、ダブルスキン構造の狭小空間にブラインド取付装置100を取り付けた状態について説明する。図5は、狭小空間にベースレール112を取り付けた状態を示す側断面図である。図6は、狭小空間にブラインド取付装置100によってブラインド200を取り付けた状態を示す側断面図である。
【0038】
ブラインド取付装置100は、図5に示したように、ダブルスキン構造の内ガラスIGと外ガラスOGの間の狭小空間の壁である固定面FSに取り付けられる。内ガラスIGの上部は内壁IWに取付けられており、室内側に開閉することで開放可能となっている。外ガラスOGの上部は外壁OWに固定されている。外壁OWにはガラリGRが設けられている。内壁IWの下端近傍は天井CLが設けられている。内壁IWの上端には天井壁CWが設けられており、天井壁CWは、ガラリGRの途中に配置されている。内ガラスIGは外ガラスOGよりも高さが低く、高さ方向の寸法はベースレール112以上の長さである。
【0039】
ブラインド取付装置100は、図5に示したように、内ガラスIGを開放し、狭小空間に挿入して、固定面FSに取り付ける。その際、ベースレール112の上端は天井壁CWに当接される。縦枠110が横枠120の上端よりも上方に突出するため、横枠120と天井壁CWの間には隙間が形成され、空気が循環して自然換気が可能となっている。
【0040】
配線空間114gの下端から導出されたブラインド200の配線230は、図5に示したように、天井CLの上に設置された制御ボックス240の配線250とコネクタ260、261で接続されている。制御ボックス240には電源線270を介して電気が供給される。
【0041】
狭小空間に配置されたブラインド200は、図6に示したように、ヘッドボックス220が、内壁IWとガラリGRの間に配置されて、内ガラスIG又は外ガラスOGを介して外部から視認することができない位置に隠される。スラット210は、内ガラスIGの上方まで上昇する。よって、畳み上げられたスラット210は、内壁IWによって視認することができない位置に隠される。
【0042】
スラット210を下降させると、図7に示したように、スラット210が縦枠110の下端を超えて下降する。すなわち、スラット210は、操作枠140の取付位置を超えて下降する。よって、内ガラスIGと外ガラスOGの間にスラット210が配置される。
【0043】
以上、ダブルスキン構造の狭小空間にブラインド取付装置100を取り付けた状態について説明した。次に、ブラインド取付装置100からブラインドを取り外す手順について、図8図12を参照しながら説明する。図8は、ブラインド200を取り外す手順を示す概略図であり、(a)はスラット210を下降させた状態を示し、(b)はスラット210を畳み上げた状態を示す。図9は、ブラインド200を取り外す手順を示す概略図であり、(a)は操作枠140を取り付けた状態を示し、(b)はスライドレール114を下降させた状態を示す。図10は、スラット210を畳み上げて操作枠140を取り付けた状態を示す側断面図である。図11は、スライドレール114を下降させた状態を示す側断面図である。図12は、ブラインド取付装置100からブラインド200を取り外した状態を示す側断面図である。
【0044】
ブラインド取付装置100からブラインド200を取り外す際には、図8(a)に示したように、スラット210が下降している場合がある。このようにスラット210が下降していると、スラット210によって縦枠110を操作しづらくなる。このため、図8(b)に示したように、スラット210を最上位置まで畳み上げる。
【0045】
そして、内ガラスIGを開放して、図9(a)及び図10に示したように、操作枠固定ネジ142によって操作枠140をスライドレール114に取り付ける。次に、コネクタ260、261を取り外して配線230と配線250を分離する。その後、スライドレール固定ネジ118を取り外し、スライドレール114をベースレール112に対して移動可能な状態にする。
【0046】
そして、操作枠140を持って、図9(b)の矢印aの方向にスライドレール114を引き下げる。すると、スライドレール114と一体に横枠120が下降する。ブラインド200は、図11に示したように、ヘッドボックス220を横枠120に取り付けているブラケット122が天井CLと同程度の位置まで下降するため、ブラケット122の操作が可能になる。
【0047】
そして、図12に示したように、上部スライドレール固定ネジ用孔114nを介してスライドレール固定ネジ118によってスライドレール114をベースレール112に固定する。その後、ブラケット122を操作して、ヘッドボックス220を取り外す。そして、矢印bに示したように、ブラインド200をブラインド取付装置100から取り外す。ブラインド取付装置100にブラインド200を取り付ける場合は、矢印cに示したように、上記とは逆の手順で操作を行う。
【0048】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、縦枠110を固定面FSに対して上下方向に移動させることで、ブラインド200を作業者の手の届く高さまで安全に昇降させることできる。よって、高所における狭小空間であっても、ブラインド200の施工、メンテナンスといった作業を安全に行うことができる。
【0049】
また、ベースレール112に沿って上下方向に相対移動可能なスライドレール114と一体にブラインド200を移動するようにしたことで、ブラインド200をスライドレール114とともに安定した状態で昇降させることができる。
【0050】
また、ベースレール112とスライドレール114とを連通するようにスライドレール固定ネジ118を設けることで、スライドレール固定ネジ118によってスライドレール114の昇降を規制して安定した状態で保持し、スライドレール固定ネジ118の解除でスライドレール114を昇降可能な状態に切替えることができる。
【0051】
また、着脱自在な操作枠140によってスライドレール114を昇降可能とすることで、作業性が向上する。
【0052】
また、操作枠140を取り外すことで、より高さ寸法の大きなブラインド200を昇降可能に設置できる。
【0053】
また、スライドレール114に配線空間114gを設けることで、スライドレール114のベースレール112との相対移動の影響を配線230が受けることを防止することができる。よって、配線230を配線空間114g内で安定した状態で収容しながらスライドレール114とともに昇降させることができる。
【0054】
また、配線空間114gに配線230を出し入れ可能とする開口114mを形成することで、メンテナンス性を向上できる。特にスライドレール114を昇降させた後も、配線230,250同士の接続、接続解除作業にあたり、作業性低下を抑制できる。
【0055】
また、下降状態にある複数のスラット210の全体の高さを縦枠110の長さよりも長くするため、高所に設置したブラインド200をより下方まで下降させることが可能となる。よって、縦枠110の長さよりも高所にブラインド200を設置することが可能となる。
【0056】
また、横枠120に予め固定したブラケット122にヘッドボックス220を取付けることで、横枠120にブラインド200を開閉可能に支持させることができる。縦枠同士を連結する横枠120にヘッドボックス220を着脱自在に取り付けることで、ブラインド200のメンテナンスなどのときにブラインド取付装置100からブラインド200を容易に着脱することができる。
【0057】
また、縦枠110は、横枠120の上端よりも上方に突出しているよう構成されているため、横枠120の上方に隙間が形成されるため、取付空間内において空気の流れが遮断されることを防止できる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るブラインド取付装置の構成について説明する。本実施形態のブラインド取付装置は、一対の縦枠が横枠に代えてブラインドのヘッドボックスの両端で連結されているものである。その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0059】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、横枠をブラインドのヘッドボックスと兼用させることで、ヘッドボックスの両端を直接縦枠に連結し、部品点数を削減できる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、上記実施形態では、固定面FSに固定されるベースレール112とベースレール112と相対移動可能なスライドレール114とで縦枠110を構成し、スライドレール114を移動させることでブラインド200の設置位置を変更する例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。高所における狭小空間であっても、ブラインドの施工、メンテナンスといった作業を安全に行うことができれば任意の設計とすることができる。例えば、縦枠全体を上下方向に移動させて固定面に固定することによりブラインド200の設置位置を変更するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ブラインドを横型ブラインドとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ロールスクリーン、プリーツスクリーン、縦型ブラインドなどでもよい。さらには、電動ブラインドではなく、手動のブラインドでもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ベースレール112とスライドレール114とを連通するように、ベースレール112に対するスライドレール114の移動を規制するスライドレール固定ネジ118が設けられ、スライドレール固定ネジ118による規制を解除することで、スライドレール114の移動が許容される例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、スライドレールがベースレールに対して所望の位置に来たときに嵌合する構成としてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、一対のスライドレール114の下端近傍には、一対のスライドレール114同士を連結する操作枠140が着脱自在となっており、一対のスライドレール114同士を連結した操作枠140を上下動させることで、ベースレール112に沿って一対のスライドレール114を移動可能である例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、一対のスライドレールの幅によっては、両手で持って移動させてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、スラット210は、操作枠140の取付位置を超えて下降可能である例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、スラットは、操作枠の取付位置内で下降するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、スライドレール114には、ブラインド200に電力供給又は制御信号を送信するための配線230を収容する配線空間114gが形成される例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、配線空間はベースレールと同一空間内にあってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、配線空間114gには、配線230を出し入れ自在とする開口114mがスライドレール114の上下方向に沿って形成される例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、配線空間の上下に開口した筒状の空間としてもよい。
【0068】
また、上記第1の実施形態では、下降状態にある複数のスラット210の全体の高さは、縦枠110の長さよりも長い構成とした例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、遮蔽材は縦枠の長さより短くしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、一対の縦枠110同士は横枠120によって連結されており、横枠120にはスラット210を支持するヘッドボックス220がブラケット122を介して取り付けられるようにした例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ヘッドボックス220を横枠120にねじ止めなどで取付けてもよい。即ち、横枠120とヘッドボックス220を一体の構成としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、一対の縦枠110は、横枠120の上端よりも上方に突出しているようにした例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、一対の縦枠の上端と横枠の上端とを同じ高さにしてもよい。また、通気のために横枠に部分的な凹みを設けるなどしてもよい。
【0071】
上記実施形態、応用例、変形例は、任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
100 ブラインド取付装置
110 縦枠
112 ベースレール
112a 凹部
112b 延長部
112c L字部
112d 案内空間
114 スライドレール
114a 直線部
114b 被案内部
114c 案内溝
114d 第1突出部
114e 第2突出部
114f 第3突出部
114g 配線空間
114h 屈曲部
114j 下部スライドレール固定ネジ用孔
114k 操作枠取付孔
114m 開口
114n 上部スライドレール固定ネジ用孔
116 ベースレール固定ネジ
118 スライドレール固定ネジ
120 横枠
122 ブラケット
140 操作枠
142 操作枠固定ネジ
200 ブラインド
210 スラット(遮蔽材)
220 ヘッドボックス(支持部材)
230 配線
240 制御ボックス
250 配線
260、261 コネクタ
270 電源線
FS 固定面
IG 内ガラス
OG 外ガラス
IW 内壁
OW 外壁
GR ガラリ
CW 天井壁
CL 天井

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な遮蔽材を備えたブラインドを固定面に取り付けるためのブラインド取付装置であって、
前記固定面に少なくとも一部が移動可能に支持される一対の縦枠を備え、
一対の前記縦枠間には、前記ブラインドが設置され、
前記縦枠の少なくとも一部を上下方向に移動させることで前記ブラインドの設置される高さが変更可能であり、
一対の前記縦枠同士は横枠によって連結されており、前記横枠には前記遮蔽材を支持する支持部材がブラケットを介して取り付けられることを特徴とする、ブラインド取付装置。
【請求項2】
開閉可能な遮蔽材を備えたブラインドを固定面に取り付けるためのブラインド取付装置であって、
前記固定面に少なくとも一部が移動可能に支持される一対の縦枠を備え、
一対の前記縦枠間には、前記ブラインドが設置され、
前記縦枠の少なくとも一部を上下方向に移動させて前記縦枠の長さが伸縮することで、又は、一対の前記縦枠を上下方向に移動させて前記固定面に固定させることで、前記ブラインドの設置される高さが変更可能であることを特徴とする、ブラインド取付装置。
【請求項3】
前記縦枠は、
前記固定面に固定されるベースレールと、
前記ベースレールに沿って上下方向に相対移動可能なスライドレールと、
からなり、
前記ブラインドは、前記スライドレールと一体に移動することを特徴とする、請求項1又は2に記載のブラインド取付装置。
【請求項4】
開閉可能な遮蔽材を備えたブラインドを固定面に取り付けるためのブラインド取付装置であって、
前記固定面に少なくとも一部が移動可能に支持される一対の縦枠を備え、
一対の前記縦枠間には、前記ブラインドが設置され、
前記縦枠の少なくとも一部を上下方向に移動させることで前記ブラインドの設置される高さが変更可能であり、
前記縦枠は、
前記固定面に固定されるベースレールと、
前記ベースレールに沿って上下方向に相対移動可能なスライドレールと、
からなり、
前記ブラインドは、前記スライドレールと一体に移動し、
前記ベースレールと前記スライドレールとの間には、前記ベースレールに対する前記スライドレールの移動を規制する固定具が設けられ、
前記固定具による規制を解除することで、前記スライドレールの移動が許容されることを特徴とする、ブラインド取付装置。
【請求項5】
一対の前記スライドレールの下端近傍には、一対の前記スライドレール同士を連結する操作枠が着脱自在となっており、一対の前記スライドレール同士を連結した操作枠を上下動させることで、前記ベースレールに沿って一対の前記スライドレールを移動可能であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のブラインド取付装置。
【請求項6】
前記遮蔽材は、前記操作枠の取付位置を超えて下降可能であることを特徴とする、請求項に記載のブラインド取付装置。
【請求項7】
前記スライドレールには、前記ブラインドに電力供給又は制御信号を送信するための配線を収容する配線空間が形成されることを特徴とする、請求項3~6のいずれかに記載のブラインド取付装置。
【請求項8】
前記配線空間には、配線を出し入れ自在とする開口が前記スライドレールの上下方向に沿って形成されることを特徴とする、請求項に記載のブラインド取付装置。
【請求項9】
前記遮蔽材は、前記縦枠の長さよりも長いことを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載のブラインド取付装置。
【請求項10】
一対の前記縦枠同士は横枠によって連結されており、前記横枠は前記遮蔽材を支持する支持部材であることを特徴とする、請求項2~9のいずれかに記載のブラインド取付装置。
【請求項11】
一対の前記縦枠は、前記横枠の上端よりも上方に突出していることを特徴とする、請求項1又は10に記載のブラインド取付装置。