(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124412
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ロボット用ハンド、ロボット、制御装置、制御プログラム、調理システムおよび調理補助具
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022160
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】518106124
【氏名又は名称】コネクテッドロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】板野 光司
(72)【発明者】
【氏名】大久保 翔太
(72)【発明者】
【氏名】アラサカトラッ スリー ランジャン
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊昭
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS34
3C707BS10
3C707CY37
3C707ES06
3C707ET08
3C707EV21
3C707EW01
3C707KT01
3C707KT15
3C707LV01
3C707MS14
(57)【要約】
【課題】調理補助具を適切に扱うロボット用ハンド等を実現する。
【解決手段】調理対象がセットされる調理補助具に係合するハンド本体部と、ハンド本体部と調理補助具との係合状態を、第1係合状態と、第1係合状態に比べてハンド本体部と調理補助具との係合が強まる第2係合状態との間で、状態遷移させることが可能な係合強化手段と、ハンド本体部に調理補助具が係合されたことを表す信号を発生する信号発生部とを備え、係合強化手段は、信号の発生に基づいて、第1係合状態から第2係合状態に遷移させる、ロボット用ハンドが開示される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理対象がセットされる調理補助具に係合するハンド本体部と、
前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合状態を、第1係合状態と、前記第1係合状態に比べて前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合が強まる第2係合状態との間で、状態遷移させることが可能な係合強化手段と、
前記ハンド本体部に前記調理補助具が係合されたことを表す信号を発生する信号発生部とを備え、
前記係合強化手段は、前記信号の発生に基づいて、前記第1係合状態から前記第2係合状態に遷移させる、ロボット用ハンド。
【請求項2】
前記ハンド本体部は、前記第1係合状態において前記ハンド本体部に所定の外力が作用する場合でも前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合が解除されることがないように、構成される、請求項1に記載のロボット用ハンド。
【請求項3】
前記調理補助具は、水平面内に延在する被支持部を有し、
前記ハンド本体部は、前記被支持部の下面を下方から面接触する態様で、前記調理補助具に係合する、請求項1又は2に記載のロボット用ハンド。
【請求項4】
前記調理補助具の前記被支持部及び前記ハンド本体部は、それぞれ、互いに対して位置決めされた係合を実現するためのピン又は孔の形態の位置決め手段を2つ以上有し、
前記信号発生部は、前記位置決めされた係合が実現された場合に前記信号を発生する、請求項3に記載のロボット用ハンド。
【請求項5】
前記係合強化手段は、前記ハンド本体部における2つの前記位置決め手段の間に、前記調理補助具と前記ハンド本体部との間の吸着力を発生する、請求項4に記載のロボット用ハンド。
【請求項6】
調理対象がセットされる調理補助具に係合するハンド本体部と、
前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合状態を、第1係合状態と、前記第1係合状態に比べて前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合が強まる第2係合状態との間で、状態遷移させることが可能な係合強化手段とを備え、
前記ハンド本体部は、前記第1係合状態において前記ハンド本体部に所定の外力が作用する場合でも前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合が解除されることがないように、構成される、ロボット用ハンド。
【請求項7】
前記調理補助具は、水平面内に延在する被支持部を有し、
前記ハンド本体部は、前記被支持部の下面を下方から面接触する態様で、前記調理補助具に係合する、請求項6に記載のロボット用ハンド。
【請求項8】
前記調理補助具の前記被支持部及び前記ハンド本体部は、それぞれ、互いに対して位置決めされた係合を実現するためのピン又は孔の形態の位置決め手段を1つ以上有する、請求項7に記載のロボット用ハンド。
【請求項9】
請求項1から8のうちのいずれか1項に記載のロボット用ハンドが装着されたロボット。
【請求項10】
請求項1から5のうちのいずれか1項に記載のロボット用ハンドが装着されたロボットを制御する制御装置であって、
前記信号の発生に基づいて、前記係合強化手段により、前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合状態を前記第1係合状態から前記第2係合状態に遷移させる、制御装置。
【請求項11】
請求項1から5のうちのいずれか1項に記載のロボット用ハンドが装着されたロボットに所定動作を実行させるためのロボット制御処理をコンピュータに実行させる制御プログラムであって、
前記所定動作は、前記信号の発生に基づいて、前記係合強化手段により、前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合状態を前記第1係合状態から前記第2係合状態に遷移させる処理を含む、制御プログラム。
【請求項12】
請求項1から5のうちのいずれか1項に記載のロボット用ハンドが装着されたロボットと、請求項11に記載の制御プログラムとを含む、調理システム。
【請求項13】
前記調理補助具は、上下方向に交差する方向で互いに対して離れており、それぞれロボット用ハンドが係合可能な第1被係合部および第2被係合部と、
前記第1被係合部および前記第2被係合部により同時に支持され、上下方向に交差する面内に調理対象をセット可能な複数の支持部を有するトレイ部とを有し、
前記複数の支持部のうちの少なくとも1つは、上面視で、前記第1被係合部および前記第2被係合部に重ならない位置に設けられる、請求項1または2に記載のロボット用ハンド。
【請求項14】
前記調理補助具は、上下方向に交差する方向で互いに対して離れており、それぞれロボット用ハンドが係合可能な第1被係合部および第2被係合部と、
前記第1被係合部および前記第2被係合部により同時に支持され、上下方向に交差する面内に調理対象をセット可能な複数の支持部を有するトレイ部とを有し、
前記複数の支持部のうちの少なくとも1つは、上面視で、前記第1被係合部および前記第2被係合部に重ならない位置に設けられ、
前記第1被係合部および前記第2被係合部は、前記被支持部として設けられる、請求項3~5のいずれか1項に記載のロボット用ハンド。
【請求項15】
前記係合強化手段は、前記ハンド本体部と前記第1被係合部との係合状態および前記ハンド本体部と前記第1被係合部との係合状態を状態遷移させることが可能である、請求項13または14に記載のロボット用ハンド。
【請求項16】
上下方向に交差する方向で互いに対して離れており、それぞれロボット用ハンドが係合可能な第1被係合部および第2被係合部と、
前記第1被係合部および前記第2被係合部により同時に支持され、上下方向に交差する面内に調理対象をセット可能な複数の支持部を有するトレイ部とを有し、
前記複数の支持部のうちの少なくとも1つは、上面視で、前記第1被係合部および前記第2被係合部に重ならない位置に設けられる、調理補助具。
【請求項17】
前記トレイ部と前記第1被係合部とを接続する第1の脚部と、前記トレイ部と前記第2被係合部とを接続する第2の脚部と、
を備え、
前記トレイ部には、前記調理対象がそれぞれセットされる3つの前記支持部が一方向に並んで形成され、中央の前記支持部と両側の前記支持部との間の2つの領域のそれぞれに、前記第1の脚部および前記第2の脚部が設けられる、請求項16に記載の調理補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット用ハンド、ロボット、制御装置、制御プログラム、調理システムおよび調理補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術としては、麺を搬送するためのバケットを有する調理システムを例示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、調理補助具を適切に扱うロボット用ハンドを実現することが難しい。また、ロボットにとって扱いやすい調理補助具が要求される。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、調理補助具を適切に扱うロボット用ハンド等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、調理対象がセットされる調理補助具に係合するハンド本体部と、前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合状態を、第1係合状態と、前記第1係合状態に比べて前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合が強まる第2係合状態との間で、状態遷移させることが可能な係合強化手段と、前記ハンド本体部に前記調理補助具が係合されたことを表す信号を発生する信号発生部とを備え、前記係合強化手段は、前記信号の発生に基づいて、前記第1係合状態から前記第2係合状態に遷移させる、ロボット用ハンドを提供する。
【0007】
上記の態様において、好ましくは、前記ハンド本体部は、前記第1係合状態において前記ハンド本体部に所定の外力が作用する場合でも前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合が解除されることがないように、構成される。
【0008】
上記の態様において、好ましくは、前記調理補助具は、水平面内に延在する被支持部を有し、前記ハンド本体部は、前記被支持部の下面を下方から面接触する態様で、前記調理補助具に係合する。
【0009】
上記の態様において、好ましくは、前記調理補助具の前記被支持部及び前記ハンド本体部は、それぞれ、互いに対して位置決めされた係合を実現するためのピン又は孔の形態の位置決め手段を2つ以上有し、前記信号発生部は、前記位置決めされた係合が実現された場合に前記信号を発生する。
【0010】
上記の態様において、好ましくは、前記係合強化手段は、前記ハンド本体部における2つの前記位置決め手段の間に、前記調理補助具と前記ハンド本体部との間の吸着力を発生する。
【0011】
本開示の他の一態様によれば、調理対象がセットされる調理補助具に係合するハンド本体部と、前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合状態を、第1係合状態と、前記第1係合状態に比べて前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合が強まる第2係合状態との間で、状態遷移させることが可能な係合強化手段とを備え、前記ハンド本体部は、前記第1係合状態において前記ハンド本体部に所定の外力が作用する場合でも前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合が解除されることがないように構成されるロボット用ハンドを提供する。
【0012】
上記の態様において、好ましくは、前記調理補助具は、水平面内に延在する被支持部を有し、前記ハンド本体部は、前記被支持部の下面を下方から面接触する態様で、前記調理補助具に係合する。
【0013】
上記の態様において、好ましくは、前記調理補助具の前記被支持部及び前記ハンド本体部は、それぞれ、互いに対して位置決めされた係合を実現するためのピン又は孔の形態の位置決め手段を1つ以上有する。
【0014】
本開示の他の一態様によれば、上記の態様によるロボット用ハンドが装着されたロボットを提供する。
【0015】
本開示の他の一態様によれば、上記の態様によるロボット用ハンドが装着されたロボットを制御する制御装置であって、前記信号の発生に基づいて、前記係合強化手段により、前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合状態を前記第1係合状態から前記第2係合状態に遷移させる、制御装置を提供する。
【0016】
本開示の他の一態様によれば、上記の態様によるロボット用ハンドが装着されたロボットに所定動作を実行させるためのロボット制御処理をコンピュータに実行させる制御プログラムは、前記所定動作は、前記信号の発生に基づいて、前記係合強化手段により、前記ハンド本体部と前記調理補助具との係合状態を前記第1係合状態から前記第2係合状態に遷移させる処理を含む、制御装置を提供する。
【0017】
本開示の他の一態様によれば、上記の態様によるロボット用ハンドが装着されたロボットと、上記の態様による制御プログラムとを含む、調理システムを提供する。
【0018】
上記の態様において、好ましくは、前記調理補助具は、上下方向に交差する方向で互いに対して離れており、それぞれロボット用ハンドが係合可能な第1被係合部および第2被係合部と、前記第1被係合部および前記第2被係合部により同時に支持され、上下方向に交差する面内に調理対象をセット可能な複数の支持部を有するトレイ部とを有し、前記複数の支持部のうちの少なくとも1つは、上面視で、前記第1被係合部および前記第2被係合部に重ならない位置に設けられる。
【0019】
上記の態様において、好ましくは、上下方向に交差する方向で互いに対して離れており、それぞれロボット用ハンドが係合可能な第1被係合部および第2被係合部と、前記第1被係合部および前記第2被係合部により同時に支持され、上下方向に交差する面内に調理対象をセット可能な複数の支持部を有するトレイ部とを有し、前記複数の支持部のうちの少なくとも1つは、上面視で、前記第1被係合部および前記第2被係合部に重ならない位置に設けられる、調理補助具を提供する。
【0020】
上記の態様において、好ましくは、前記第1被係合部および前記第2被係合部は、それぞれ、水平面内に延在する被支持部として形成され、前記ハンド本体部は、2つの前記被支持部のそれぞれの下面を下方から面接触する態様で係合する。
【発明の効果】
【0021】
1つの側面では、本発明によれば、調理補助具を適切に扱うロボット用ハンド等を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施例における調理システムの構成を示す図である。
【
図2】複数のセクションを備える調理場を示す図である。
【
図3】第1セクションに配置されるレール511を示す斜視図である。
【
図9】プレート部材を取り外した状態のハンド本体部を示す斜視図である。
【
図10】ハンド本体部とトレイとの係合状態を示す斜視図である。
【
図12】てぼ(ザル)を保持した状態のトレイを示す斜視図である。
【
図13】第2の実施例における調理システムの構成を示す図である。
【
図14】複数のセクションを備える調理場を示す図である。
【
図16】ロボット用ハンドのハンド本体部を示す斜視図である。
【
図17】上面を構成する部材を取り外した状態のハンド本体部を示す斜視図である。
【
図18】ハンド本体部とトレイとの係合状態を示す斜視図である。
【
図19A】トレイにてぼ(ザル)が挿入された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施例)
図1は、調理システム100の構成を示す図である。調理システム100は、制御装置1を含む。なお、制御装置1は、1つ以上のコンピュータにより実現されてもよい。この場合、1つ以上のコンピュータは、サーバコンピュータを含んでもよい。
【0025】
図1に示すように、本実施例の制御装置1は、作業装置としてのロボット21の動作を制御する処理装置11と、調理場50を撮像するカメラ74aの画像を処理する画像処理装置12と、主制御部13と、処理装置11における処理を規定するプログラム及び処理装置11における制御に必要なデータを格納する記憶部14と、主制御部13における処理を規定するプログラム及び主制御部13における制御に必要なデータを格納する記憶部15と、を備える。以下で説明する制御装置1の機能は、記憶部14及び/又は記憶部15内に記憶される1つ以上のプログラムを処理装置11及び/又は主制御部13が実行することで実現できる。なお、記憶部14及び記憶部15は共通の記憶装置により実現されてもよい。また、画像処理装置12は、例えばGPU(Graphics Processing Unit)単体であるが、処理装置11とは別の処理装置(GPUを含む処理装置)により実現されてもよい。
【0026】
また、主制御部13には、制御装置1の動作状態等を表示する表示部16と、作業者等の操作を受け付ける操作受付部17と、警報出力部18とが接続されている。主制御部13は、表示部16や警報出力部18を介して、ユーザ(作業者)にアドバイスや警報を出力してよい。例えば、主制御部13は、複数のセンサ74、カメラ74a、各種センサ74bからのセンサ情報と、後述するロボット21に設けられる複数のセンサからのセンサ情報とに基づいて、所定の異常を検出した場合に、異常情報を発生させる処理を実行する。なお、検出対象の所定の異常は、任意であり、異常情報は、異常内容を指示や示唆するメッセージであってもよいし、単なる警報音等であってもよい。
【0027】
また、処理装置11は、係合強化手段56を制御する。係合強化手段56は、ハンド本体部72とトレイ80との間に吸着力を発生する手段であるが、例えば電磁石であってもよく、エアの吸引力(負圧)を発生させる負圧発生装置等であってもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0028】
また、処理装置11は、信号発生部71からの情報に基づいて、係合強化手段56を制御する。信号発生部71は、例えば近接センサであってよいし、感圧センサや画像センサ等であってもよい。
【0029】
また、処理装置11は、調理場50に配置される複数のセンサ74に接続される。複数のセンサ74は、カメラ74a(画像センサ)や、他の各種センサ74bを含み、調理場50の状態を検出する機能を有する。なお、カメラ74aは、2台以上設けられてもよい。
【0030】
主制御部13と処理装置11は、協働して調理に必要な処理を順次、実行する。
【0031】
次に、
図2以降を参照して、調理システム100が機能するのに好適な調理場50を詳説する。以下では、主に、蕎麦を調理することを例に説明するが、調理対象は、蕎麦以外の麺類(例えばうどん、ラーメン、パスタ)であってもよいし、麺類以外の任意の食材(何らかの調理が必要な食材)であってもよい。
【0032】
図2は、複数のセクションを備える調理場50を示す図である。
図2に示す例では、複数のセクションは、第1セクション51、第2セクション52、及び第3セクション53を含む。なお、セクションの数は、任意であり、第3セクション53は省略されてもよいし、更なるセクションが追加されてもよい。
【0033】
図3は、第1セクション51に配置されるレール511を示す斜視図である。第1セクション51では、レールにより複数のレーン511A、511B、511Cが規定される。1つ以上の“てぼ(ザル)”を保持するトレイ80(以下、単に「トレイ80」とも称する)は、レーンのいずれかに載置されて、Y方向Y1側へと搬送される。なお、この搬送は、作業者による手作業で実現されてもよいし、ロボット21以外のロボットや駆動機構で実現されてもよい。なお、レール511は、Y1側が下方になるように傾斜が付けられてもよい。この場合、トレイ80は、重力の作用により、Y方向Y1側へと移動できる。
【0034】
例えば、第1セクション51のレーンの最もY方向Y1側に、“てぼ(ザル)”を保持するトレイ80が位置すると、調理準備開始状態となる。
【0035】
図4は、レール511の支持台512を示す斜視図である。支持台512は、レール511を取り外し可能に支持できる。これにより、レール511のメンテナンスが容易となる。
【0036】
図5は、第3セクション53の設備を示す斜視図である。
図5では、第3セクション53は、サブセクション531、532を有する。サブセクション531、532に割り当てられる作業は任意であるが、例えば水切り作業や、ぬかるみを取る作業である。
【0037】
本実施例では、
図2に示すように、第3セクション53に、ロボット21が配置される。すなわち、第3セクション53を構成する設備の壁体W(
図5参照)にロボット21の基端21aが取り付けられる。これにより、ロボット21の基端21aが第2セクション52に配置される場合に比べて、ロボット21のメンテナンスが容易となる。また、第2セクション52の上方に配置されうるダクトとの干渉の可能性が低減され、スペース効率の良い調理場50を実現できる。
【0038】
図6は、第2セクション52の設備を示す斜視図である。第2セクション52には、蕎麦を茹でる作業が割り当てられる。
【0039】
図7は、ロボット21の本体を示す斜視図である。なお、
図7では、ロボット21は、ハンド本体部72が取り付けられていない状態で示される(
図2も同様)。
【0040】
ロボット21は、複数の回転関節を有する多関節ロボットであり、基端21aが壁体Wに取り付けられる。なお、ロボット21として、回転関節だけでなく直動関節を有するロボット21を用いることもできる。ロボット21には、各関節を駆動するためのアクチュエータ(不図示)が関節ごとに設けられ、これらのアクチュエータが処理装置11に接続されて制御される。ロボット21の先端21bには、ロボット用ハンド70(
図8)が取り付けられる。
【0041】
本実施例ではロボット21は、多関節ロボットであり、壁体W側に退避させることができるので、サブセクション531、532の上方の作業スペースを効果的に確保できる。この場合、例えば
図2に示す領域R1付近に立ちながら作業者が作業することも可能となり、ロボット21の非稼働時にも設備を有効に利用できる。
【0042】
図8は、ロボット用ハンド70のハンド本体部72を示す斜視図である。
図9は、プレート部材700を取り外した状態のハンド本体部72を示す斜視図である。
図10は、ハンド本体部72とトレイ80との係合状態を示す斜視図である。
図11は、トレイ80の単品状態を示す斜視図である。
図12は、てぼ(ザル)を保持した状態のトレイ80を示す斜視図である。
図8には、互いに直交する2つの方向としてX方向とY方向とが、ハンド本体部72の上面720を基準として定義されている。また、
図10~
図12には、Z方向が定義されている。Z方向は、トレイ80のトレイ部81における支持面に垂直な方向であり、以下では、Z方向Z1側を、「上側」とし、Z方向Z2側を、「下側」として、上下方向に関連する用語(例えば上面や、下面等)を用いる場合がある。
【0043】
ロボット用ハンド70は、トレイ80をピックアップし、所定場所(第1セクション51等)に載置するのが好適に形成される。ロボット用ハンド70は、トレイ80に係合するハンド本体部72を有する。
【0044】
ハンド本体部72は、係合する際にトレイ80の被支持部82の下面と面接触する上面720を有する。
図8では、ハンド本体部72は、コの字断面状(X方向視の形状)のプレート部材700を含み、プレート部材700が上面720を形成する。上面720は、トレイ80の重力を受け持つ。すなわち、ハンド本体部72は、トレイ80の被支持部82をすくい上げる態様でピックアップする。これにより、ハンド本体部72を介してトレイ80を持ち上げている最中に、電源の異常等により、係合強化手段56が機能しなくなった場合でも、ハンド本体部72とトレイ80との間の係合を維持できる(すなわちトレイ80の落下を防止できる)。
【0045】
ハンド本体部72には、ピン721が設けられる。ピン721は、例えば上面720から上側に突出する態様で設けられる。ピン721の数は任意であるが、
図8では、2つであり、上面720におけるY方向の中心位置付近でX方向に離間して設けられる。ピン721は、トレイ80における対応する孔821に挿入されることで、ハンド本体部72がトレイ80に係合する際の位置決め機能を果たす。なお、変形例では、トレイ80側にピン(例えば下向きのピン)が形成され、ハンド本体部72側に対応する孔が形成されてもよい。
【0046】
ピン721は、任意の断面形状であってもよいが、好ましくは、断面が円形であり、先端が細くなるテーパ状の形態である。これにより、係合直前にトレイ80とハンド本体部72との間に僅かなズレがある場合でも、当該ズレを矯正しつつ互いの係合状態を実現できる。
【0047】
ハンド本体部72には、係合強化手段56(
図8には概略的に図示)が設けられる。係合強化手段56は、好ましくは、X方向でピン721の間に設けられる。なお、上面720には、係合強化手段56用の穴541が形成されてよい。これにより、ハンド本体部72とトレイ80との間の係合度合いを効果的に高めることができる。係合強化手段56の数は任意であるが、
図8では、2つであり、上面720におけるX方向の中心位置付近でY方向に離間して設けられる。本実施例では、係合強化手段56は、例えば、電磁石であり、被支持部82は、磁性体により形成される。これにより、電磁石がオン状態となると、ハンド本体部72とトレイ80との間の係合度合いが高くなる。これにより、外乱等により大きな振動等が生じた場合でも、ハンド本体部72とトレイ80との間の係合を維持できる可能性を高めることができる。
【0048】
ハンド本体部72には、信号発生部71(
図8には概略的に図示)が設けられる。信号発生部71は、上面720におけるトレイ80の被支持部82の下面と面接触する領域内に設けられる。なお、上面720には、信号発生部71用の穴711が形成されてよい。信号発生部71は、ハンド本体部72に対する被支持部82の近接状態を検出する。本実施例では、信号発生部71は、ハンド本体部72の上面720とトレイ80の被支持部82の下面との間のZ方向の距離が閾値以下となった場合に、近接状態を表す所定信号を発生する。信号発生部71は、例えば近接センサであってよい。
【0049】
なお、ハンド本体部72は、
図9に示すように、好ましくは、上面720よりも下方に搭載スペース750を有する。なお、
図9は、上面720を形成するコの字断面状(X方向視の形状)のプレート部材700を取り外した状態で、ロボット用ハンド70が示される。搭載スペース750内には、ピン721の下部や、係合強化手段56、信号発生部71、配線等が配置されてよい。なお、
図9では、信号発生部71を適切な位置に配置するためのスペーサ714が図示されている。
【0050】
本実施例では、ハンド本体部72にトレイ80が係合された状態が第1係合状態(
図10参照)である。このとき、係合強化手段56は機能していないか、あるいは微弱である。なお、「微弱」とは、係合強化手段56が電磁石の場合、第2係合状態を実現するときの通電電流(又は磁力)を100とした場合、100よりも有意に小さいことを意味し、例えば50以下であり、好ましくは、10以下である。そして、係合強化手段56が機能すると、ハンド本体部72とトレイ80との間の係合度合いが高くなる第2係合状態が実現されてもよい。第1係合状態から第2係合状態への遷移(切り替え)は、処理装置11により実現される。具体的には、上述したように、信号発生部71が例えば近接センサである場合、近接センサは、トレイ80の、ハンド本体部72に対する第1係合状態が検出された場合に、所定信号を発生する。処理装置11は、この所定信号の発生をトリガとして、第1係合状態から第2係合状態への遷移(切り替え)を実現する。なお、信号発生部71は、好ましくは、ピン721を介して位置決めされていない係合状態では、所定信号を発生しないように構成される。すなわち、信号発生部71は、好ましくは、ピン721を介して位置決めされた係合状態を検出した場合のみ、所定信号を発生する。
【0051】
なお、第1係合状態と第2係合状態は、ロボット用ハンド70とトレイ80との位置関係は、同じであり、ともに
図10に示す状態である。
【0052】
なお、第1係合状態から第2係合状態への遷移(切り替え)は、ハンド本体部72の上面720にトレイ80の重力が作用している状態で実現されてもよい。なお、この場合、信号発生部71は、かかる重力の作用状態を検出するセンサ等であってもよい。
【0053】
トレイ80は、
図11に示すように、トレイ部81と、被支持部82と、脚部83とを含む。
【0054】
トレイ部81は、“てぼ(ザル)”が挿入される貫通孔810を有する。貫通孔810の個数は任意であるが、
図11では、3つ設けられる。貫通孔810に挿入される“てぼ(ザル)”は、貫通孔810まわりの縁部により支持される。
【0055】
被支持部82は、上述したように、ハンド本体部72に係合される部分である。被支持部82は、ハンド本体部72の上面720に面接触する下面を形成する。被支持部82は、ハンド本体部72のピン721が挿入(嵌入)される孔821を有する。
【0056】
脚部83は、被支持部82をトレイ部81よりも上方に位置するように支持する。脚部83は、対で設けられ、上端部が、被支持部82のX方向両側の縁部に接続される。また、脚部83は、下端部がトレイ部81の上面に固定される。このような脚部83を設けることで、被支持部82の下方に、ハンド本体部72の上面720を形成する部分が位置できるように、被支持部82をトレイ部81に対して上方に支持できる。
【0057】
本実施例では、第1セクション51で準備されたトレイ80は、
図12に模式的に示すように、調理前の蕎麦が入った“てぼ(ザル)”を保持する。ロボット21は、第1セクション51上のトレイ80をピックアップして、第2セクション52まで搬送し(空中を移動させ)、第2セクション52内に用意された湯内に、トレイ80ごと漬ける。これにより、茹で作業を実現できる。茹で作業が開始されると、ロボット21は、一旦、トレイ80との係合を解消してもよい。この場合、茹で作業が終了するまで、他の作業を実現することも可能である。ついで、茹で作業が開始されてから所定時間が経過すると、ロボット21は、第2セクション52内のトレイ80をピックアップして、第3セクション53にて後処理を行う。すなわち、ロボット21は、まず、サブセクション531内に溜まった冷水に、トレイ80を浸して蕎麦のぬめりを除去する。なお、この際、ロボット21は、トレイ80を動かす等して作業効率を高めてもよい。また、調理場50は、サブセクション531内のトレイ80を検出すると、冷水が注入されるように構成されてもよい。ついで、ロボット21は、サブセクション532上にトレイ80を運び、水切り作業を行う。この際、ロボット21は、トレイ80を傾斜させて上下に振動させることで、水切りが効果的に実現されるようにしてもよい。ロボット21は、水切り作業を終了すると、第1セクション51にトレイ80を搬送し、第1セクション51上のレール511上にトレイ80を載置する。なお、この際、載置するレーンは、規定されてもよい。このようにして、一連の調理作業が実現される。
【0058】
このように、本実施例によれば、一連の調理作業中におけるトレイ80の動きは、調理場50におけるY方向Y2側の端部からY方向Y1側の端部まで搬送されてから、Y方向Y2側に戻る動きとなる。すなわち、往復動する双方向の動きである。
【0059】
ところで、トレイ80の動きが調理場50におけるY方向Y2側の端部からY方向Y1側の端部までの、一方向の動きだけで一連の調理作業を実現する比較例(図示せず)の場合、茹で作業に係るセクション(本例では、第2セクション52)を、茹でた後の作業を行うセクション(本例では第3セクション53)よりもY方向Y2側に配置する必要がある。この場合、ロボット21は、茹で作業に係るセクション(中央のセクション)に配置される必要性が高くなる。茹で作業に係るセクションにロボット21を配置すると、茹で作業の際の湯気等を受けてロボット21の耐久性が悪くなり得、また、ダクトとの干渉の可能性が増す。
【0060】
これに対して、本実施例によれば、往復動する双方向の動きで一連の調理作業を実現できるので、後処理を行うセクション(すなわち第3セクション53)に対応付けてロボット21を配置できる。これにより、ロボット21の耐久性が良好となり、かつ、ダクトの配索の自由度を高めることができる。
【0061】
(第2の実施例)
以下、第2の実施例について説明する。図面において、実施例1と実質的に同一の要素には、同一符号を付している。
【0062】
図13は、調理システム200の構成を示す図である。調理システム200は、制御装置1を含む。なお、制御装置1は、1つ以上のコンピュータにより実現されてもよい。この場合、1つ以上のコンピュータは、サーバコンピュータを含んでもよい。
【0063】
図13に示すように、本実施例の制御装置1は、作業装置としてのロボット21A(第1ロボット)およびロボット21B(第2ロボット)の動作を制御する処理装置11と、調理場150を撮像するカメラ74aの画像を処理する画像処理装置12と、主制御部13と、処理装置11における処理を規定するプログラム及び処理装置11における制御に必要なデータを格納する記憶部14と、主制御部13における処理を規定するプログラム及び主制御部13における制御に必要なデータを格納する記憶部15と、を備える。以下で説明する制御装置1の機能は、記憶部14及び/又は記憶部15内に記憶される1つ以上のプログラムを処理装置11及び/又は主制御部13が実行することで実現できる。なお、記憶部14及び記憶部15は共通の記憶装置により実現されてもよい。また、画像処理装置12は、例えばGPU(Graphics Processing Unit)単体であるが、処理装置11とは別の処理装置(GPUを含む処理装置)により実現されてもよい。
【0064】
また、主制御部13には、制御装置1の動作状態等を表示する表示部16と、作業者等の操作を受け付ける操作受付部17と、警報出力部18とが接続されている。主制御部13は、表示部16や警報出力部18を介して、ユーザ(作業者)にアドバイスや警報を出力してよい。
【0065】
また、処理装置11は、係合強化手段56を制御する。係合強化手段56は、例えば電磁石であるが、吸引力(負圧)を発生させる負圧発生装置等であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0066】
また、処理装置11は、信号発生部41からの情報に基づいて、係合強化手段56を制御する。信号発生部41は、例えば近接センサであってよいし、感圧センサや画像センサ等であってもよい。
【0067】
また、処理装置11は、調理場150に配置される複数のセンサ74に接続される。複数のセンサ74は、カメラ74a(画像センサ)や、他の各種センサ74bを含み、調理場150の状態を検出する機能を有する。なお、カメラ74aは、2台以上設けられてもよい。
【0068】
主制御部13と処理装置11は、協働して調理に必要な処理を順次、実行する。
【0069】
次に、
図14以降を参照して、調理システム200が機能するのに好適な調理場150を詳説する。以下では、主に、蕎麦を調理することを例に説明するが、調理対象は、蕎麦以外の麺類(例えばうどん、ラーメン、パスタ)であってもよいし、麺類以外の任意の食材(何らかの調理が必要な食材)であってもよい。
【0070】
図14は、複数のセクションを備える調理場150を示す図、
図15は、調理場を示す上面図である。
【0071】
図14に示す例では、複数のセクションは、第1セクション51、第2セクション52、第3セクション53および第4セクション54を含む。なお、セクションの数は、任意であり、更なるセクションが追加されてもよい。
【0072】
図14に示すように、第2セクション52は、サブセクション521と、サブセクション522とを有する。サブセクション521には、蕎麦を茹でるための工程が割り当てられる。サブセクション522は、トレイ60を一時的に載置するための置台として機能する。なお、サブセクション522の構成は任意であるが、例えば、第1セクション51に配置されるレール511またはこれに類似した構造物を配置し、トレイ60を載置するための第1セクション51と同様のレーンを構成してもよい。
【0073】
図14に示すように、第3セクション53は、サブセクション531、532を有する。サブセクション531、532に割り当てられる作業は任意であるが、例えば水切り作業や、ぬめりを取る作業である。サブセクション521において茹でられた蕎麦を、サブセクション531、サブセクション532の順で、後処理することができる。例えば、サブセクション531において、蕎麦のぬめりを取る作業を中心に行い、さらに、サブセクション532において水で蕎麦をしめる(冷却する)作業を行うことができる。この場合、サブセクション532における水の温度を極力低下させることが要求される一方、サブセクション531における水の温度は極端に低くなくてもよい。このため、低温の冷水をサブセクション532のみに供給してもよい。この場合、サブセクション531における水位を、サブセクション532における水位よりも低く設定し、サブセクション532の水位を超えてサブセクション532から溢れた水が、自然にサブセクション531に供給されるようにしてもよい。これにより、サブセクション532に供給された冷水を、サブセクション531においても有効に利用できる。また、サブセクション531に対して、直接、水を供給する必要がなくなる。
【0074】
本実施例では、
図14に示すように、第3セクション53に、ロボット21Aが配置される。すなわち、第3セクション53を構成する設備の壁体W(
図5参照)にロボット21Aの基端21aが取り付けられる。
【0075】
また、
図15に示すように、本実施例では、第4セクション54にロボット21Bが配置される。すなわち、第4セクション54を構成する設備の壁体W1(
図15参照)にロボット21Bの基端21aが取り付けられる。これにより、ロボット21Bによる後述の動作を容易に実行することが可能となる。なお、ロボット21Bを第2セクション52など、他の場所に配置してもよい。
【0076】
図14に示す第4セクション54は、蕎麦を入れる容器(ばんじゅう)を載置する置台として機能する。
【0077】
ロボット21Aおよびロボット21Bは、
図7に示すロボット21と同一の構成を有する。
【0078】
すなわち、ロボット21A、21Bは、複数の回転関節を有する多関節ロボットである。なお、ロボット21A、21Bとして、回転関節だけでなく直動関節を有するロボットを用いることもできる。ロボット21A、21Bには、各関節を駆動するためのアクチュエータ(不図示)が関節ごとに設けられ、これらのアクチュエータが処理装置11に接続されて制御される。本実施例では、ロボット21Aの先端21bには、ロボット用ハンド40が取り付けられる。また、ロボット21Bの先端21bには、ロボット用ハンド30が取り付けられる。
【0079】
本実施例ではロボット21A、21Bは、多関節ロボットであり、壁体W、W1側に退避させることができるので、例えば、サブセクション531、532の上方の作業スペースを効果的に確保できる。この場合、調理場150内で作業者が作業することも可能となり、ロボット21A、21Bの非稼働時にも設備を有効に利用できる。
【0080】
図16は、ロボット用ハンド40のハンド本体部42を示す斜視図である。
図17は、上面420を構成する部材を取り外した状態のハンド本体部42を示す斜視図である。
図18は、ハンド本体部42とトレイ60との係合状態を示す斜視図である。
図19は、トレイ60の単品状態を示す斜視図、
図19Aは、トレイ60に“てぼ(ザル)”が挿入された状態を示す斜視図である。
図16には、互いに直交する2つの方向としてX方向とY方向とが、ハンド本体部42の上面420を基準として定義されている。また、18、
図19および
図19Aには、Z方向が定義されている。Z方向は、トレイ60のトレイ部61における支持面に垂直な方向であり、以下では、Z方向Z1側を、「上側」とし、Z方向Z2側を、「下側」として、上下方向に関連する用語(例えば上面や、下面等)を用いる場合がある。
【0081】
ロボット用ハンド40は、トレイ60をピックアップし、所定位置(第1セクション51、サブセクション522等)に載置するのが好適な形状に形成される。ロボット用ハンド40は、トレイ60に係合するハンド本体部42を有する。
【0082】
ハンド本体部42は、係合する際にトレイ60の一対の被支持部62の下面と面接触する上面420を有する。
図16では、上面420は、ロボット21Aの先端21bに取り付けられる取付面400Aを有するプレート部材400により支持される。上面420は、トレイ60の重力を受け持つ。すなわち、ハンド本体部42は、トレイ60の被支持部62をすくい上げる態様でピックアップする。これにより、ハンド本体部42を介してトレイ60を持ち上げている最中に、電源の異常等により、係合強化手段56が機能しなくなった場合でも、ハンド本体部42とトレイ60との間の係合を維持できる(すなわちトレイ60の落下を防止できる)。
【0083】
ハンド本体部42には、ピン421が設けられる。ピン421は、例えば上面420から上側に突出する態様で設けられる。ピン421の数は任意であるが、
図16では、2つであり、一対の被支持部62のそれぞれに対応して設けられる。ピン421は、トレイ60における対応する孔621に挿入されることで、ハンド本体部42がトレイ60に係合する際の位置決め機能を果たす。なお、変形例では、トレイ60側にピン(例えば下向きのピン)が形成され、ハンド本体部42側に対応する孔が形成されてもよい。
【0084】
ピン421は、任意の断面形状であってもよいが、好ましくは、断面が円形であり、先端が細くなるテーパ状の形態である。これにより、係合直前にトレイ60とハンド本体部42との間に僅かなズレがある場合でも、当該ズレを矯正しつつ互いの係合状態を実現できる。
【0085】
ハンド本体部42には、係合強化手段56(
図16には概略的に図示)が設けられる。なお、上面420には、係合強化手段56用の穴561が形成されてよい。これにより、ハンド本体部42とトレイ60との間の係合度合いを効果的に高めることができる。係合強化手段56の数は任意であるが、一対の被支持部62のそれぞれに対応して設けられる。本実施例では、係合強化手段56は、電磁石であり、被支持部62は、磁性体により形成される。これにより、電磁石がオン状態となると、ハンド本体部42とトレイ60との間の係合度合いが高くなる。これにより、外乱等により大きな振動等が生じた場合でも、ハンド本体部42とトレイ60との間の係合を維持できる可能性を高めることができる。
【0086】
ハンド本体部42には、信号発生部41(
図17には概略的に図示)が設けられる。信号発生部41は、上面420におけるトレイ60の被支持部62の下面と面接触する領域内に設けられる。なお、上面420には、信号発生部41用の穴(不図示)が形成されてよい。信号発生部41は、ハンド本体部42に対する被支持部62の近接状態を検出する。本実施例では、信号発生部41は、ハンド本体部42の上面420とトレイ60の被支持部62の下面との間のZ方向の距離が閾値以下となった場合に、近接状態を表す所定信号を発生する。信号発生部41は、例えば近接センサであってよい。なお、センサは、被支持部62に対応して対で設けられてもよいし、一方の被支持部62にのみ対応して設けられてもよい。
【0087】
なお、ハンド本体部42は、
図17に示すように、好ましくは、上面420よりも下方に搭載スペース450を有する。なお、
図17では、上面420を形成する部材を取り外した状態で、ロボット用ハンド40が示される。搭載スペース450内には、ピン421の下部や、係合強化手段56、信号発生部41、配線等が配置されてよい。
【0088】
本実施例では、ハンド本体部42にトレイ60が係合された状態が第1係合状態(
図18参照)である。このとき、係合強化手段56は機能していないか、あるいは微弱である。なお、「微弱」とは、係合強化手段56が電磁石の場合、第2係合状態を実現するときの通電電流(又は磁力)を100とした場合、100よりも有意に小さいことを意味し、例えば50以下であり、好ましくは、10以下である。そして、係合強化手段56が機能すると、ハンド本体部42とトレイ60との間の係合度合いが高くなる第2係合状態が実現されてもよい。第1係合状態から第2係合状態への遷移(切り替え)は、処理装置11により実現される。具体的には、上述したように、信号発生部41が例えば近接センサである場合、近接センサは、トレイ60の、ハンド本体部42に対する第1係合状態が検出された場合に、所定信号を発生する。処理装置11は、この所定信号の発生をトリガとして、第1係合状態から第2係合状態への遷移(切り替え)を実現する。なお、信号発生部41は、好ましくは、ピン421を介して位置決めされていない係合状態では、所定信号を発生しないように構成される。すなわち、信号発生部41は、好ましくは、ピン421を介して位置決めされた係合状態を検出した場合のみ、所定信号を発生する。
【0089】
なお、第1係合状態と第2係合状態は、ロボット用ハンド40とトレイ60との位置関係は、同じであり、ともに
図18に示す状態である。
【0090】
なお、第1係合状態から第2係合状態への遷移(切り替え)は、ハンド本体部42の上面420にトレイ60の重力が作用している状態で実現されてもよい。なお、この場合、信号発生部41は、かかる重力の作用状態を検出するセンサ等であってもよい。
【0091】
図19に示すように、トレイ60は、トレイ部61と、一対の被支持部62と、トレイ部61と被支持部62とを接続する脚部63とを含む。
【0092】
トレイ部61は、調理器具としての“てぼ(ザル)”が挿入される、支持部としての複数の貫通孔610を有する。貫通孔610の個数は任意であるが、
図19では、3つ設けられる。貫通孔610に挿入される“てぼ(ザル)”は、貫通孔610まわりの縁部により支持される。
図19Aにおいて、貫通孔610に挿入された“てぼ(ザル)”のざる65の部分を示している。実際には、3つの貫通孔610のそれぞれに対して、“てぼ(ザル)”を挿入することができる。
【0093】
被支持部62は、上述したように、ハンド本体部42に係合される部分であり、上下方向に交差する方向で互いに対して離れて設けられた、第1の被係合部および第2の被係合部を構成する。被支持部62は、ハンド本体部42の上面420に面接触する下面を形成する。被支持部62は、ハンド本体部42のピン421が挿入(嵌入)される孔621を有する。
【0094】
脚部63は、被支持部62をトレイ部61よりも上方に位置するように支持する。脚部63は、被支持部62に対応して対で設けられ、それぞれの上端部が、対応する被支持部62の縁部に接続される。また、脚部63は、下端部がトレイ部61の上面に固定される。このような脚部63を設けることで、被支持部62の下方に、ハンド本体部42の上面420を形成する部分が位置できるように、被支持部62をトレイ部61に対して上方に支持できる。
【0095】
また、本実施例では、脚部63を、上方から視て、隣り合う貫通孔610の中間の位置に設けている。さらに、一対の被支持部62のそれぞれを一対の脚部63のそれぞれに対応させるとともに、上方から視たときの被支持部62の面積を抑制している。このため、貫通孔610に挿入された“てぼ(ザル)”の上方を広く開放することができ、“てぼ(ザル)”への蕎麦の投入が容易に行える。すなわち、脚部63および被支持部62が貫通孔610に挿入された“てぼ(ザル)”の上方から回避した位置にあるため、蕎麦を投入する際の障害となることがなく、貫通孔610に挿入された“てぼ(ザル)”に蕎麦を投入することができる。例えば、3つ並んだ貫通孔610のうち、中央に位置する貫通孔610は、上方から視たときに、被支持部62および脚部63に重ならない位置に設けられている。このため、この貫通孔610に挿入された“てぼ(ザル)”に対しても、一対の被支持部62および一対の脚部63の間から、容易に蕎麦を投入することができる。
【0096】
図20は、ロボット用ハンド30を示す斜視図である。
【0097】
ロボット用ハンド30は、茹でる前の蕎麦を把持するとともに、把持された蕎麦を所定の位置で解放するのに適した形態に構成される。
【0098】
図20に示すように、ロボット用ハンド30は、ロボット21Bの先端21bに固定される基部31と、基部31に対して矢印35の方向に、それぞれスライド可能に移動する可動部32および可動部33と、を備える。可動部32には4本の爪32a~32dが、可動部33には4本の爪33a~33dが、それぞれ設けられている。可動部32および可動部33は、同時に、矢印35に沿った方向であって、互いに反対方向に移動する。ロボット用ハンド30は、可動部32および可動部33の間の距離が最短になる閉状態と、当該距離が最長になる開状態との間で、繰り返し状態を切り替えることが可能とされている。爪32a~32dおよび爪33a~33dは、それぞれ、
図20に示すA方向(矢印35と直交する方向)に沿って配列されている。
【0099】
爪32a~32dは、それぞれ、可動部32から直線状に延びる基端部321(
図20では、爪32aのみに表示)と、基端部321から折り曲げて形成された先端部322(
図20では、爪32aのみに表示)とを有する。同様に、爪33a~33dは、それぞれ、可動部33から直線状に延びる基端部331(
図20では、爪33aのみに表示)と、基端部331から折り曲げて形成された先端部332(
図20では、爪33aのみに表示)とを有する。
図20の例では、基端部321および基端部331は、互いに平行に延びている。
【0100】
爪32aと爪33a、爪32bと爪33b、爪32cと爪33c、および、爪32dと爪33は、それぞれ対をなしており、対をなす爪の先端部322と先端部332が互いに爪の先に向かって接近する方向に延びている。
【0101】
ロボット用ハンド30が閉状態にあるとき、爪32a~32dの先端が、それぞれ爪33a~33dの先端に接近し、茹でる前の蕎麦を、爪32a~32dと爪33a~33dの間に挟み込むようにして保持可能とされる。このとき、対を成す爪の先端部322と先端部332が互いに接近する方向に延びているので、基端部321および基端部331が蕎麦を挟み込むように蕎麦の両側の側部を覆うと同時に、先端部322と先端部332が蕎麦を下方から支持する。このため、蕎麦が落下することを効果的に防止できる。なお、ロボット用ハンド30が閉状態にあるとき、対をなす爪の先端部322と先端部332が互いに接触してもよく、あるいは、僅かの間隔をあけて互いに離れていてもよい。先端部322と先端部332の位置関係は、把持する対象物の特性に応じて、適宜、設定することができる。
【0102】
ロボット用ハンド30が閉状態から開状態に遷移すると、爪32a~32dと爪33a~33dの間に挟み込まれて保持されていた蕎麦が、先端部322と先端部332の間を滑り落ちるように自重により落下することで、ロボット用ハンド30からリリースされる。
【0103】
図20に示すように、爪を対で設ける場合には、爪の総数は偶数(
図20では、8つ)となる。またこのとき、爪によって掴まれた蕎麦の落下を防止する観点から、爪の対の数を2以上とすることが望ましい。すなわち、爪の数を4つ以上とすることが望ましい。
【0104】
図21は、蕎麦を入れる容器90を示す斜視図、
図22は、仕切り92を示す斜視図である。
【0105】
容器90は、有底形状の容器本体91と、容器本体91の内部を区画する仕切り92とからなる。容器本体91の矩形状の内部は、仕切り92の立壁92A、92B、92Cによってマトリクス状に区画されている。例えば、
図22における領域95は、仕切り92によって区画された領域の一つを示している。仕切り92によって区画された領域ごとに、一纏りの蕎麦が入れられる。
【0106】
なお、仕切りの形状は任意であり、例えば、複数のサイズの領域が形成されるように、仕切りの間隔に変化を与えてもよい。これにより異なる蕎麦の分量、例えば、大盛り、少量盛りなどにも対応することが可能となる。
【0107】
仕切り92によって区画された領域のそれぞれには、茹でる前の蕎麦が既定量、例えば、一人分の量が入れられる。仕切り92によって区画された領域に、茹でる前の蕎麦をあらかじめセットしておくことにより、ロボット用ハンド30によって、当該領域に入れられている蕎麦の全量を確実に掴むことが可能となる。すなわち、開状態にあるロボット用ハンド30の爪32a~32dおよび爪33a~33dを当該領域内に差し込み、ロボット用ハンド30を閉状態に遷移させると、当該領域に入れられている蕎麦が爪32a~32dと爪33a~33dの間に挟み込まれて、当該領域に入れられていた蕎麦の全量が保持される。ロボット用ハンド30によって、ばらける可能性のある蕎麦などの調理対象を一纏めごとに掴むことができる。
【0108】
ロボット用ハンド30を所定の位置に移動させ、ロボット用ハンド30を開状態に遷移させると、その位置において蕎麦がリリースされる。
【0109】
図21、
図22に示すように、仕切り92には、ロボット用ハンド30の爪32a~32dおよび爪33a~33dが係合可能な係合部としての係合孔93が形成されている。
図22に示すA方向における係合孔93のピッチは、
図20に示すA方向の爪32a~32dおよび爪33a~33dのピッチに一致している。また、仕切り92には、容器本体91に対して、仕切り92を係合させるための係合爪94が形成されている。
【0110】
図20および
図22におけるA方向を合致させた状態において、開状態にあるロボット用ハンド30の爪32a~32dおよび爪33a~33dを容器本体91内の所定位置に下向きに差し込み、ロボット用ハンド30を閉状態に遷移させると、係合孔93に爪32a~32dおよび爪33a~33dが挿入される。その状態からロボット用ハンド30を上昇させると、爪32a~32dおよび爪33a~33dが係合孔93に係合した状態で、仕切り92とともに、係合爪94を介して仕切り92に係合した容器本体91が、すなわち容器90の全体が持ち上がる。その後、ロボット用ハンド30を移動させて、容器90を所定位置に載置し、ロボット用ハンド30を開状態に遷移させると、爪32a~32dおよび爪33a~33dが係合孔93から外れる。このようにして、容器90を所定位置に移動することができる。
【0111】
このように、仕切り92に、ロボット用ハンド30の爪32a~32dおよび爪33a~33dが係合可能な係合孔93が形成されているので、ロボット21Bは、ロボット用ハンド30を介して、茹でる前の蕎麦を掴んで搬送するだけでなく、容器90を掴んで搬送する機能を発揮する。このため、容器90を移動するためにロボットの台数を増やし、あるいはロボット用ハンドを複数種類、用意し、ハンドを付け替える必要がない。例えば、ロボット21Bは、ロボット用ハンド30を介して、空になった容器90を第4セクション54から、第5セクション55(
図14)に移動することができる。第4セクション54に、あらかじめ、蕎麦の入った容器90を積み上げるようにしておけば、空になった容器90を上から順に、ロボット21Bによって、適時、例えば、第5セクション55の床に置かれたテーブルや台車などの上に移動することが可能となる。容器90を第5セクション55に対してリリースする際に、ロボット用ハンド30に印加される容器90の重量をセンサにより計測し、当該重量が所定値よりも小さくなったタイミングで容器90をリリースしてもよい。これにより、容器90が実質的に第5セクション55に載置された状態で、容器90をリリースすることが可能となり、容器90の落下を防止できる。
【0112】
図22では、係合孔93が全部で10個設けられているが、個数は任意である。爪32a~32dおよび爪33a~33dの数に合わせて8個としてもよい。また、係合孔93として例示した係合部の形状も限定されない。係合部は孔でなくてもよく、爪32a~32dおよび爪33a~33dが係合可能とされていればよい。
【0113】
なお、蕎麦を掴む場合と、容器90を持ち上げる場合において、ロボット用ハンド30の開状態または閉状態における先端部322と先端部322の間の距離を、それぞれの場合に最適化させ、互いに異なるものとしてもよい。
【0114】
また、ロボット用ハンド30の閉状態において、爪32a~32dおよび爪33a~33dを駆動するモータのトルクをそれぞれの場合に適合させ、互いに異なるものとしてもよい。これにより、蕎麦を掴む場合の力および容器90を掴む場合の力を最適化できる。
【0115】
次に、本実施例における動作について説明する。
【0116】
本実施例では、第1セクション51で準備されたトレイ60は、空の “てぼ(ザル)”を保持する(
図19A)。ロボット21Aは、ロボット用ハンド40を介して第1セクション51上のトレイ60をピックアップして、第2セクション52まで搬送し(空中を移動させ)、第2セクション52内のサブセクション522にトレイ60を載置する。
【0117】
一方、ロボット21Bは、ロボット用ハンド30によって第4セクション54上の容器90に入れられている茹でる前の蕎麦を掴む。上記のように、ここでは、ロボット用ハンド30を開状態から閉状態に遷移させることにより、仕切り92により区画された領域の1つから、茹でる前の蕎麦を、爪32a~32dおよび爪33a~33dによって掴むことができる。
【0118】
次に、ロボット21Bは、ロボット用ハンド30によって、茹でる前の蕎麦を第2セクション52まで搬送し(空中を移動させ)、第2セクション52内のサブセクション522まで移動し、トレイ60に挿入された、対応する“てぼ(ザル)”に茹でる前の蕎麦を投入する。上記のように、蕎麦の投入時には、対応する“てぼ(ザル)”の内部または上方まで蕎麦を移動させる。次に、ロボット用ハンド30を閉状態から開状態に遷移させることにより、掴んでいた蕎麦を落下させ、対応する“てぼ(ザル)”に蕎麦を投入することができる。
【0119】
このとき、上記のように、トレイ60の脚部63を、上方から視て、隣り合う貫通孔610の中間の位置に設け、さらに、一対の被支持部62のそれぞれを一対の脚部63のそれぞれに対応して設けている(
図18)。このため、貫通孔610に挿入された“てぼ(ザル)”の上方が開放され、脚部63や被支持部62がロボット用ハンド30や、搬送される蕎麦と干渉しない。このため、容易に貫通孔610に挿入された“てぼ(ザル)”に蕎麦を投入することができる。3つ並んだ貫通孔610のうち、中央に位置する貫通孔610に挿入された“てぼ(ザル)”に対しては、一対の脚部63の間から蕎麦を投入することができる。
【0120】
このような、ロボット用ハンド30によって第4セクション54上の容器90に入れられている蕎麦を搬送し、対応する“てぼ(ザル)”に投入するという一連の動作を3回繰り返すことにより、トレイ60に挿入されている3つの“てぼ(ザル)”のすべてに蕎麦を投入することができる。なお、蕎麦を投入するまでの一連の動作は、カメラ74aの撮影画像などに基づいて適切に変更され得る。例えば、トレイ60に1つまたは2つの“てぼ(ザル)”が挿入されている場合には、“てぼ(ザル)”の個数に応じた回数だけ、一連の動作を繰り返すことができる。また、容器90に入れられている蕎麦の状況、例えば、蕎麦が入っている領域の個数に応じて、動作が変更され得る。
【0121】
ロボット21Bがロボット用ハンド30を第2セクション52から退去させた後、ロボット21Aは、ロボット用ハンド40を介してサブセクション522上のトレイ60をピックアップして、第2セクション52のサブセクション521に用意された湯内に、トレイ60ごと漬ける。これにより、茹で作業を実行できる。茹で作業が開始されると、ロボット21Aは、一旦、トレイ60との係合を解消してもよい。この場合、茹で作業が終了するまで、他の作業を実行することも可能である。
【0122】
ついで、茹で作業が開始されてから所定時間が経過すると、ロボット21Aは、第2セクション52内のトレイ60をピックアップして、第3セクション53にて後処理を行う。すなわち、ロボット21Aは、まず、サブセクション531内に溜まった冷水に、トレイ60を浸して蕎麦のぬめりを除去する。なお、この際、ロボット21Aは、トレイ60を動かす等して作業効率を高めてもよい。また、調理場150は、サブセクション531内のトレイ60を検出すると、冷水が注入されるように構成されてもよい。
【0123】
ついで、ロボット21Aは、サブセクション532上にトレイ60を運び、水切り作業を行う。この際、トレイ60を傾斜させて上下に振動させることで、水切りが効果的に実現されるようにしてもよい。ロボット21Aは、水切り作業を終了すると、第1セクション51にトレイ60を搬送し、第1セクション51上のレール511上にトレイ60を載置する。なお、この際、載置するレーンは、規定されてもよい。このようにして、一連の調理作業が実現される。
【0124】
以上のように、第2の実施例は、調理補助具(トレイ60)は、上下方向に交差する方向で互いに対して離れており、それぞれロボット用ハンドが係合可能な第1被係合部および第2被係合部(被支持部62)と、第1被係合部および第2被係合部(被支持部62)により同時に支持され、上下方向に交差する面内に調理対象(蕎麦)をセット可能な複数の支持部(貫通孔610)を有するトレイ部61とを有し、複数の支持部(貫通孔610)のうちの少なくとも1つは、上面視で、第1被係合部および第2被係合部(被支持部62)に重ならない位置に設けられるロボット用ハンド40を開示する。
【0125】
また、第2の実施例は、上下方向に交差する方向で互いに対して離れており、それぞれロボット用ハンドが係合可能な第1被係合部および第2被係合部(被支持部62)と、第1被係合部および第2被係合部(被支持部62)により同時に支持され、上下方向に交差する面内に調理対象(蕎麦)をセット可能な複数の支持部(貫通孔610)を有するトレイ部61とを有し、複数の支持部(貫通孔610)のうちの少なくとも1つは、上面視で、第1被係合部および第2被係合部(被支持部62)に重ならない位置に設けられる調理補助具(トレイ60)を開示する。
【0126】
これらの構成によれば、支持部(貫通孔610)の上方に、ロボット21Bのための作業空間を確保することができるため、支持部(貫通孔610)に対して調理対象(蕎麦)を容易にセットすることができる。これにより、第1の実施例に対し、第2の実施例では、調理対象のセットについても自動化が可能となる。
【0127】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 制御装置
11 処理装置
12 画像処理装置
13 主制御部
14 記憶部
15 記憶部
16 表示部
17 操作受付部
18 警報出力部
21 ロボット
21A ロボット
21B ロボット
21a 基端
21b 先端
30 ロボット用ハンド
40 ロボット用ハンド
41 信号発生部
42 ハンド本体部
50 調理場
51 第1セクション
52 第2セクション
53 第3セクション
54 第4セクション
56 係合強化手段
60 トレイ
61 トレイ部
62 脚部
70 ロボット用ハンド
71 信号発生部
72 ハンド本体部
74 センサ
74a カメラ
80 トレイ
82 被支持部
100 調理システム
150 調理場
200 調理システム
512 支持台
521 サブセクション
522 サブセクション
531 サブセクション
532 サブセクション
721 ピン
W 壁体
W1 壁体