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特開2022-124414基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法、二酸化炭素回収貯蔵装置、及び、該方法を用いて構築された基礎
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124414
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法、二酸化炭素回収貯蔵装置、及び、該方法を用いて構築された基礎
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/46 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
E02D5/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022162
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193286
【弁理士】
【氏名又は名称】圷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】大越 正彦
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA01
2D041DA12
2D041DA15
2D041EB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】土木建築のための基礎施工現場で排出される排ガスを回収して貯蔵するための基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法、二酸化炭素回収貯蔵装置、及び、該方法を用いて構築された基礎を提供する。
【解決手段】基礎施工現場において、掘削対象の地盤内若しくは掘削対象の地盤に形成された杭孔内に供給される掘削液若しくは硬化性材料と少なくとも1つの原動機から排出された排ガスとを混合するために、排ガスを地盤内若しくは杭孔内に供給する排ガス供給工程S1を備える。また、杭孔から排出された残土やオーバーフロー液等の排出物に固化材を添加して固化させる排出物固化工程S11を更に備えていてもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎施工現場において、掘削対象の地盤内若しくは掘削対象の地盤に形成された杭孔内に供給される掘削液若しくは硬化性材料と少なくとも1つの原動機から排出された排ガスとを混合するために、前記排ガスを前記地盤内若しくは前記杭孔内に供給する排ガス供給工程を備えることを特徴とする基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機の原動機若しくは杭打ち機に搭載された発電機の原動機であり、
前記排ガス供給工程において、前記掘削液若しくは前記硬化性材料としてのセメントミルクを前記地盤内若しくは前記杭孔内に供給するための供給管に前記排ガスを供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、水とセメントを混合して前記硬化性材料としてのセメントミルクを調製するためのセメントミルクプラントに電力を供給する発電機の原動機であり、
前記排ガス供給工程は、前記発電機の原動機から排出された排ガスを前記水、前記水と前記セメントの混合物、若しくは前記セメントミルクと混合する排ガス混合工程を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機の原動機若しくは杭打ち機に搭載された発電機の原動機であり、
前記地盤の掘削土と前記セメントミルクを前記杭打ち機によって撹拌混合する撹拌混合工程を備える
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法。
【請求項5】
基礎施工現場において、掘削対象の地盤内若しくは掘削対象の地盤に形成された杭孔内に供給される掘削液若しくは硬化性材料と少なくとも1つの原動機から排出された排ガスを混合するために、前記排ガスを前記地盤内若しくは前記杭孔内に供給する排ガス供給手段を備えることを特徴とする基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機の原動機若しくは杭打ち機に搭載された発電機の原動機であり、
前記排ガス供給手段は、前記掘削液若しくは前記硬化性材料としてのセメントミルクを前記地盤内若しくは前記杭孔内に供給するための供給管に前記排ガスを供給するためのポンプを有する
ことを特徴とする請求項5に記載の基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、水とセメントを混合して前記硬化性材料としてのセメントミルクを調製するためのセメントミルクプラントに電力を供給する発電機の原動機であり、
前記排ガス供給手段は、前記発電機の原動機から排出された排ガスを前記水、前記水と前記セメントの混合物、若しくは前記セメントミルクと混合する排ガス混合手段を含む
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵装置。
【請求項8】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法を使用して構築されたことを特徴とする基礎。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法、二酸化炭素回収貯蔵装置、及び、該方法を用いて構築された基礎に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、温室効果ガスである二酸化炭素の排出抑制のための技術開発が行われている。例えば、土木建築分野では、特許文献1が開示するように、コンクリート構造物に二酸化炭素を吸収させる技術や、特許文献2が開示するように、二酸化炭素とγビーライトを反応させて炭酸化コンクリートを製造する技術が開発されている。前者は、空気中の二酸化炭素をコンクリート構造物に吸収させるものであり、後者は、火力発電所の排ガスに含まれる二酸化炭素をγビーライトと反応させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4829017号公報
【特許文献2】特許第4822373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、国連で採択されたSDGs(Sustanable Development Goals(持続可能な開発目標))の社会的な広がりもあって、二酸化炭素の排出抑制の必要性が益々高まってきている。特に、土木建築分野では、セメントの原材料であるクリンカの製造過程で大量の二酸化炭素が排出されることから、二酸化炭素の排出抑制のための技術開発を行うことの意義は大きい。
上述した事情に鑑みて、本発明の目的は、土木建築のための基礎施工現場で排出される排ガス中の二酸化炭素を回収して貯蔵するための基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法、二酸化炭素回収貯蔵装置、及び、該方法を用いて構築された基礎を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法は、
基礎施工現場において、掘削対象の地盤内若しくは掘削対象の地盤に形成された杭孔内に供給される掘削液若しくは硬化性材料と少なくとも1つの原動機から排出された排ガスとを混合するために、前記排ガスを前記地盤内若しくは前記杭孔内に供給する排ガス供給工程を備える。
【0006】
上記構成(1)によれば、原動機から排出された排ガスを地盤内若しくは杭孔内に供給することにより、排ガス中の二酸化炭素が掘削液若しくは硬化性材料に溶解・反応して吸収される。二酸化炭素を吸収した掘削液は、掘削土と混合されるか地盤に浸透し、二酸化炭素を吸収した硬化性材料は地盤内若しくは杭孔内で硬化する。これにより基礎施工現場の原動機から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵され、この結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0007】
また、基礎施工現場では、掘削液と掘削土が混ざり合った残土が地上に排出されるとともに、掘削土を含む硬化性材料の一部がオーバーフロー液として地上に流出することがある。これら残土やオーバーフロー液は、固化材を使用して固体化されて産業廃棄物として処分される。この際、地盤若しくは杭孔内に供給された排ガスの一部は、これら残土又はオーバーフロー液に吸収された状態で地上に排出され、産業廃棄物に含まれた状態で処分されることとなる。このように杭孔から排出された残土やオーバーフロー液等の排出物を固化して処理すれば、結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
一方、セメントを主成分とする硬化性材料が二酸化炭素を吸収して炭酸化した場合、炭酸化していない場合よりも強度が高くなり、基礎の性能が向上する。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機の原動機若しくは杭打ち機に搭載された発電機の原動機であり、
前記排ガス供給工程において、前記掘削液若しくは前記硬化性材料としてのセメントミルクを前記地盤内若しくは前記杭孔内に供給するための供給管に前記排ガスを供給する。
【0009】
上記構成(2)によれば、杭打ち機の原動機若しくは杭打ち機に搭載された発電機の原動機から排出された排ガスを、掘削液若しくはセメントミルクの供給管に供給することで、排ガスを供給するための経路の構成を簡単にすることができる。
また、掘削液若しくはセメントミルクの供給管に排ガスを供給することで、掘削液若しくはセメントミルクと排ガスを効率的に混合することができる。この結果として、掘削液若しくはセメントミルクに、排ガス中の二酸化炭素を効率的に溶解・反応させ、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されること抑制することができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(1)又は(2)において、
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、水とセメントを混合して前記硬化性材料としてのセメントミルクを調製するためのセメントミルクプラントに電力を供給する発電機の原動機であり、
前記発電機の原動機から排出された排ガスを前記水、前記水と前記セメントの混合物、若しくは前記セメントミルクと混合する排ガス混合工程を備える。
【0011】
上記構成(3)によれば、セメントミルクプラントに電力を供給する発電機の原動機から排出された排ガスを水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクと混合することにより、排ガス中の二酸化炭素が水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクに溶解・反応して吸収される。ここで、水に溶解・反応した二酸化炭素は、水とセメントが混合されることにより、セメントにも溶解・反応してセメントミルクに吸収される。従って、水と混合された排ガス中の二酸化炭素は、セメントミルクと混合された場合と同様に、セメントミルクにも溶解・反応して吸収されることになり、排ガスは、セメントミルクに含まれた状態で地盤若しくは杭孔に供給される。そして、二酸化炭素を吸収したセメントミルクは掘削土と混合されて硬化し、これにより基礎施工現場の発電機から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵される。この結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(3)の何れか1つにおいて、
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機の原動機若しくは杭打ち機に搭載された発電機の原動機であり、
前記地盤の掘削土と前記セメントミルクを前記杭打ち機によって撹拌混合する撹拌混合工程を備える。
【0013】
上記構成(4)によれば、掘削土とセメントミルクを撹拌混合することによって、排ガスが分散され、掘削土とセメントミルクによって形成されるソイルセメントの強度低下を抑制することができる。
【0014】
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係る基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収装置は、
基礎施工現場において、掘削対象の地盤内若しくは掘削対象の地盤に形成された杭孔内に供給される掘削液若しくは硬化性材料と少なくとも1つの原動機から排出された排ガスを混合するために、前記排ガスを前記地盤内若しくは前記杭孔内に供給する排ガス供給手段を備える。
【0015】
上記構成(5)によれば、排ガス供給手段によって、原動機から排出された排ガスを地盤内若しくは杭孔内に供給することにより、排ガス中の二酸化炭素が掘削液若しくは硬化性材料に溶解・反応して吸収され、排ガスは、掘削液に含まれた状態で地盤若しくは杭孔に供給される。そして、二酸化炭素を吸収した掘削液は、掘削土と混合されるか地盤に浸透し、二酸化炭素を吸収した硬化性材料は地盤内若しくは杭孔内で硬化する。これにより基礎施工現場の原動機から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵され、この結果として排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0016】
また、基礎施工現場では、掘削液と掘削土が混ざり合った残土が地上に排出されるとともに、掘削土を含む硬化性材料の一部がオーバーフロー液として地上に流出することがある。これら残土やオーバーフロー液は、固化材を使用して固体化されて産業廃棄物として処分される。この際、地盤若しくは杭孔内に供給された排ガスの一部は、これら残土又はオーバーフロー液に吸収された状態で地上に排出され、産業廃棄物に含まれた状態で処分されることとなる。このように杭孔から排出された残土やオーバーフロー液等の排出物を固化して処理すれば、結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
一方、セメントを主成分とする硬化性材料が二酸化炭素を吸収して炭酸化した場合、炭酸化していない場合よりも強度が高くなり、基礎の性能が向上する。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(5)において、
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機の原動機若しくは杭打ち機に搭載された発電機の原動機であり、
前記排ガス供給手段は、前記掘削液若しくは前記硬化性材料としてのセメントミルクを前記地盤内若しくは前記杭孔内に供給するための供給管に前記排ガスを供給するためのポンプを有する。
【0018】
上記構成(6)によれば、ポンプによって、掘削液若しくはセメントミルクの供給管に排ガスを供給することで、排ガスを供給するための経路の構成を簡単にすることができる。
また、掘削液若しくはセメントミルクの供給管に排ガスを供給することで、掘削液若しくはセメントミルクと排ガスを効率的に混合することができる。この結果として、掘削液若しくはセメントミルクに、排ガス中の二酸化炭素を効率的に溶解・反応させ、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されること抑制することができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記構成(5)又は(6)において、
前記少なくとも1つの原動機のうち1つは、水とセメントを混合して前記硬化性材料としてのセメントミルクを調製するためのセメントミルクプラントに電力を供給する発電機の原動機であり、
前記発電機の原動機から排出された排ガスを前記水、前記水と前記セメントの混合物、若しくは前記セメントミルクと混合する排ガス混合手段を備える。
【0020】
上記構成(7)によれば、発電機から排出された排ガスを水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクと混合することにより、排ガス中の二酸化炭素が水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクに溶解・反応して吸収される。ここで、水に溶解・反応した二酸化炭素は、水とセメントが混合されることにより、セメントにも溶解・反応してセメントミルクに吸収される。従って、水と混合された排ガス中の二酸化炭素は、セメントミルクと混合された場合と同様に、セメントミルクにも溶解・反応して吸収されることになり、排ガスは、セメントミルクに含まれた状態で地盤若しくは杭孔に供給される。そして、二酸化炭素を吸収したセメントミルクは掘削土と混合されて硬化し、これにより基礎施工現場の発電機から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵される。この結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0021】
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係る基礎は、
上記構成(1)乃至(4)の何れか一つに記載の基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法を使用して構築されたものである。
【0022】
上記構成(8)によれば、基礎が、上記構成(1)乃至(4)の何れか一つに記載の基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法を使用して構築されており、掘削土とセメントミルクによって形成されているソイルセメントが二酸化炭素を吸収している。このように二酸化炭素を吸収して炭酸化したソイルセメントは、炭酸化していない従来のソイルセメントよりも強度が高くなり、基礎の性能が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、土木建築のための基礎施工現場で排出される排ガスを回収して貯蔵するための基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法、二酸化炭素回収貯蔵装置、及び、該方法を用いて構築された基礎が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】基礎施工現場の一例を説明するための概略図である。
図2】(a)は地盤を掘削して杭孔を形成している様子を示し、(b)は杭周固定液を供給しながら杭周固定液と掘削土を撹拌混合して杭周固定部となるソイルセメントを生成している様子を示し、(c)は根固め液を供給しながら根固め液と掘削土を撹拌混合して根固め部となるソイルセメントを生成している様子を示しており、(d)は掘削ドリルを引き上げている様子を示し、(e)は杭打ち機により、ソイルセメントが溜められている杭孔内に既製杭を沈設している様子を示し、(f)は杭孔内に既製杭が沈設された様子を示している。(g)は杭孔からオーバーフローした掘削液と掘削土が混ざり合った残土や掘削土を含む杭周固定液のオーバーフロー液等の排出物に固化材を添加して撹拌・混合し、固化させる様子を示している。
図3】本発明の一実施形態に係る基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図4】二酸化炭素回収貯蔵方法を説明するための概略的な図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る二酸化炭素回収貯蔵方法を説明するための概略的な図である。
図6】本発明の更に他の実施形態に係る二酸化炭素回収貯蔵方法を説明するための概略的な図である。
図7】本発明の一実施形態に係る排ガス供給手段の構成を概略的に示す図である。
図8】本発明の他の一実施形態に係る排ガス供給手段の構成を概略的に示す図である。
図9】本発明の他の一実施形態に係る排ガス供給手段の構成を概略的に示す図である。
図10】地盤改良施工現場の一例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0026】
図1は、基礎施工現場の一例を説明するための概略図である。図1の基礎施工現場は、杭基礎の施工現場であり、既製杭を用いるプレボーリング工法の施工現場である。基礎施工現場には、杭打ち機(掘削機)1、掘削液ミキサ(不図示)、セメントミルクプラント3、発電機5、水槽7及びサイロ8等が設置されている。
【0027】
杭打ち機1は、杭打ち機本体9、マスト11、及びモータ13を備えている。杭打ち機本体9は自走可能であり、杭打ち機本体9にマスト11が取り付けられ、マスト11にはモータ13が昇降可能に取り付けられている。モータ13には、スイベル15及び掘削ドリル17が連結されている。また杭打ち機1には、モータ13に電力を供給するための発電機19が搭載され、モータ13によって掘削ドリル17を回転駆動可能である。一方、掘削ドリル17は内部流路を有しており、掘削液ミキサやセメントミルクプラント3からスイベル15を介して掘削ドリル17の内部流路に掘削液やセメントミルク(杭周固定液や根固め液)を供給可能である。内部流路に供給された掘削液やセメントミルクは、掘削ドリル17の先端(下端)から吐出される。
【0028】
図2(a)~(g)は、杭打ち機1を用いた杭基礎の構築工程を概略的に示している。図2(a)は地盤を掘削して杭孔21を形成している様子を示しており、図2(b)は、杭周固定液を供給しながら杭周固定液と掘削土を撹拌混合して杭周固定部となるソイルセメント23を生成している様子を示している。図2(c)は、根固め液を供給しながら根固め液と掘削土を撹拌混合して根固め部となるソイルセメント25を生成している様子を示しており、図2(d)は、掘削ドリルを引き上げている様子を示している。図2(e)は、杭打ち機1により、ソイルセメント23,25が溜められている杭孔21内に既製杭27を沈設している様子を示しており、図2(f)は、杭孔21内に既製杭27が沈設された様子を示している。ソイルセメント23,25が硬化して杭周固定部及び根固め部をそれぞれ形成することにより、杭基礎の構築が終了する。図2(g)は、杭孔からオーバーフローした掘削液と掘削土が混ざり合った残土や掘削土を含む杭周固定液のオーバーフロー液等の排出物に固化材28を添加して撹拌・混合し、固化させる様子を示している。固化したものは産業廃棄物として処理される。
【0029】
図3は、上述した杭基礎の構築方法に適用可能な本発明の一実施形態に係る基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収貯蔵方法(以下、単に貯蔵方法ともいう)の概略的な手順を示すフローチャートである。図4は、貯蔵方法を説明するための概略的な図である。
図3に示したように、排ガス供給工程S1を備えており、杭基礎の構築方法は、掘削工程S3(図2(a))、杭周固定液注入・撹拌混合工程S5(図2(b))、根固め液注入・撹拌混合工程S7(図2(c))、既製杭沈設工程S9(図2(e))、排出物固化工程S11(図2(g))を備えている。
【0030】
基礎施工現場においては、掘削対象の地盤内若しくは掘削対象の地盤に形成された杭孔21内に掘削液若しくはセメントミルク等の硬化性材料が供給される。図4を参照すると、排ガス供給工程S1では、杭打ち機1や発電機5,19等の原動機29,31,33のうち少なくとも1つの原動機から排出された排ガスと掘削液若しくはセメントミルク等の硬化性材料とを混合するために、排ガスを地盤内若しくは杭孔21内に供給する。
【0031】
上記構成によれば、原動機29,31,33から排出された排ガスを地盤内若しくは杭孔21内に供給することにより、排ガス中の二酸化炭素が掘削液若しくはセメントミルク等の硬化性材料に溶解・反応して吸収される。二酸化炭素を吸収した掘削液は、掘削土と混合されるか地盤に浸透し、二酸化炭素を吸収したセメントミルク等の硬化性材料は地盤内若しくは杭孔21内で硬化する。これにより基礎施工現場の原動機29,31,33から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵され、この結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0032】
また、基礎施工現場では、掘削液と掘削土が混ざり合った残土が地上に排出されるとともに、掘削土を含む杭周固定液等の硬化性材料の一部がオーバーフロー液として地上に流出することがある。これら残土やオーバーフロー液は、固化材28を使用して固体化されて産業廃棄物として処分される。この際、地盤若しくは杭孔21内に供給された排ガスの一部は、これら残土又はオーバーフロー液に吸収された状態で地上に排出され、産業廃棄物に含まれた状態で処分されることとなる。このように杭孔21から排出された残土やオーバーフロー液等の排出物を固化して処理すれば、結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
一方、セメントを主成分とする硬化性材料が二酸化炭素を吸収して炭酸化した場合、炭酸化していない場合よりも強度が高くなり、基礎の性能が向上する。
【0033】
一方、セメントミルクと二酸化炭素が反応すると比較的短時間でセメントミルクの流動性が低下する。このため、杭孔21内からのセメントミルクの逸脱を防止することもできる。
【0034】
また、排ガスを杭孔21内に供給することにより、ソイルセメントの自重、排ガスの熱、セメントミルクと二酸化炭素の反応熱及び地熱により、ソイルセメントを高温・高圧養生することができ、早期に所定強度を得ることができる。
更に、水分量が多いほど二酸化炭素の吸収量は多くなるため、杭基礎施工現場の掘削深度に地下水がある場合には、より多くの二酸化炭素を吸収・貯蔵することができる。
【0035】
なお、セメントミルク等の硬化性材料による二酸化炭素の吸収は以下の概略的な反応式によって表されると考えられる。ただし、式中のxCaO・ySiOは珪酸三カルシウムや珪酸二カルシウム(ビーライト、γCS)等の珪酸カルシウムを表しており、式の左右でのモル数の整合性については無視している。式に示したように、珪酸カルシウム、水及び二酸化炭素が反応して炭酸カルシウムが生成される。
xCaO・ySiO+HO→vCaO・wSiO・HO+Ca(OH)
Ca(OH)+CO→CaCO+H
また、掘削液による二酸化炭素の吸収は以下の概略的な反応式によって表される。式に示したように、二酸化炭素と水が反応して炭酸が生成される。
CO+HO→HCO
【0036】
幾つかの実施形態では、図4に示したように、少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機1の原動機29若しくは杭打ち機1に搭載された発電機19の原動機(ディーゼルエンジン)31であり、排ガス供給工程S1において、掘削液若しくは硬化性材料としてのセメントミルクを地盤内若しくは杭孔21内に供給するための供給管35に排ガスを供給する。
【0037】
上記構成によれば、杭打ち機1の原動機29若しくは杭打ち機1に搭載された発電機19の原動機31から排出された排ガスを、掘削液若しくはセメントミルクの供給管35に供給することで、排ガスを供給するための経路の構成を簡単にすることができる。
また、掘削液若しくはセメントミルクの供給管35に排ガスを供給することで、掘削液若しくはセメントミルクと排ガスを効率的に混合することができる。この結果として、掘削液若しくはセメントミルクに、排ガス中の二酸化炭素を効率的に溶解・反応させ、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されること抑制することができる。
【0038】
図5は、本発明の他の実施形態に係る貯蔵方法を説明するための概略的な図である。図6は、本発明の更に他の実施形態に係る貯蔵方法を説明するための概略的な図である。
幾つかの実施形態では、排ガス供給工程S1は、排ガス混合工程を含む。排ガス混合工程では、図5及び図6に示したように、少なくとも1つの原動機のうち1つは、水とセメントを混合して硬化性材料としてのセメントミルクを調製するためのセメントミルクプラント3に電力を供給する発電機5の原動機33であり、発電機5の原動機33から排出された排ガスを水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクと混合する。なお、水とセメントの混合物とは混合中のものを指しており、十分に混合されたものをセメントミルクと称するものとする。
【0039】
上記構成によれば、セメントミルクプラント3に電力を供給する発電機5の原動機33から排出された排ガスを水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクと混合することにより、排ガス中の二酸化炭素が水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクに溶解・反応して吸収される。ここで、水に溶解・反応した二酸化炭素は、水とセメントが混合されることにより、セメントにも溶解・反応してセメントミルクに吸収される。従って、水と混合された排ガス中の二酸化炭素は、セメントミルクと混合された場合と同様に、セメントミルクにも溶解・反応して吸収されることになり、排ガスは、セメントミルクに含まれた状態で地盤若しくは杭孔21に供給される。そして、二酸化炭素を吸収したセメントミルクは掘削土と混合されて硬化し、これにより基礎施工現場の発電機5から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵される。この結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、貯蔵方法は、少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機1の原動機29若しくは杭打ち機1に搭載された発電機19の原動機31であり、地盤の掘削土とセメントミルクを杭打ち機によって撹拌混合する撹拌混合工程を備える。本実施形態では、当該撹拌混合工程に、杭周固定液注入・撹拌混合工程S5及び根固め液注入・撹拌混合工程S7がそれぞれ相当する。
【0041】
上記構成によれば、掘削土とセメントミルクを撹拌混合することによって、排ガスが分散され、掘削土とセメントミルクによって形成されるソイルセメント、すなわち杭周固定部や根固め部の強度低下を抑制することができる。
【0042】
以下、上記した貯蔵方法に適した本発明の一実施形態に係る基礎施工現場の排ガス中の二酸化炭素回収装置(以下、単に回収装置ともいう)について説明する。
図4図6に示したように、回収装置は、基礎施工現場において、掘削対象の地盤内若しくは掘削対象の地盤に形成された杭孔21内に供給される掘削液若しくは硬化性材料と、原動機29,31,33のうち少なくとも1つの原動機から排出された排ガスを混合するために、排ガスを地盤内若しくは杭孔21内に供給する排ガス供給手段を備える。
【0043】
上記構成によれば、排ガス供給手段によって、原動機から排出された排ガスを地盤内若しくは杭孔内に供給することにより、排ガス中の二酸化炭素が掘削液若しくは硬化性材料に溶解・反応して吸収される。二酸化炭素を吸収した掘削液は、掘削土と混合されるか地盤に浸透し、二酸化炭素を吸収した硬化性材料は地盤内若しくは杭孔21内で硬化する。これにより基礎施工現場の原動機から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵され、この結果として排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの原動機のうち1つは、杭打ち機1の原動機29若しくは杭打ち機1に搭載された発電機19の原動機31であり、排ガス供給手段は、掘削液若しくは硬化性材料としてのセメントミルクを地盤内若しくは杭孔21内に供給するための供給管35に排ガスを供給するためのポンプ37,39を有する。
【0045】
上記構成によれば、ポンプ37,39によって、掘削液若しくはセメントミルクの供給管35に排ガスを供給することで、排ガスを供給するための経路の構成を簡単にすることができる。
また、掘削液若しくはセメントミルクの供給管35に排ガスを供給することで、掘削液若しくはセメントミルクと排ガスを効率的に混合することができる。この結果として、掘削液若しくはセメントミルクに、排ガス中の二酸化炭素を効率的に溶解・反応させ、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されること抑制することができる。
【0046】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの原動機のうち1つは、水とセメントを混合して硬化性材料としてのセメントミルクを調製するためのセメントミルクプラント3に電力を供給する発電機5の原動機33であり、排ガス供給手段は、発電機5の原動機33から排出された排ガスを水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクと混合する排ガス混合手段を含む。排ガス混合手段は、例えば図5及び図6に示したように、セメントミルクプラント3への水の供給管又は水槽7に排ガスを供給するポンプ41である。
【0047】
上記構成によれば、発電機5から排出された排ガスを水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクと混合することにより、排ガス中の二酸化炭素が水、水とセメントの混合物、若しくはセメントミルクに溶解・反応して吸収される。ここで、水に溶解・反応した二酸化炭素は、水とセメントが混合されることにより、セメントにも溶解・反応してセメントミルクに吸収される。従って、水と混合された排ガス中の二酸化炭素は、セメントミルクと混合された場合と同様に、セメントミルクにも溶解・反応して吸収されることになる。そして、二酸化炭素を吸収したセメントミルクは掘削土と混合されて硬化し、これにより基礎施工現場の発電機5から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵される。この結果として、排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、図5に示したように、少なくとも1つの原動機のうち1つは、水とベンドナイトを混合して掘削液を調製するための掘削液ミキサ43に電力を供給する発電機5の原動機33であり、排ガス供給手段は、発電機5の原動機33から排出された排ガスを水、水とベンドナイトの混合物、若しくは掘削液と混合する排ガス混合手段を含む。排ガス混合手段は、掘削液ミキサ43への水の供給管又は水槽7に排ガスを供給するポンプ45である。なお、水とベンドナイトの混合物とは混合中のものを指しており、十分に混合されたものを掘削液と称するものとする。
【0049】
上記構成によれば、発電機5から排出された排ガスを水、水とベンドナイトの混合物、若しくは掘削液と混合することにより、排ガス中の二酸化炭素が水、水とベンドナイトの混合物、若しくは掘削液に溶解・反応して吸収される。そして、二酸化炭素を吸収した掘削液は、掘削土と混合されるか地盤に浸透する。これにより基礎施工現場の原動機33から排出された排ガス中の二酸化炭素が回収されて地盤内に貯蔵され、この結果として排ガス中の二酸化炭素が大気中に放出されることを抑制することができる。
【0050】
図7は、本発明の一実施形態に係る排ガス供給手段の構成を概略的に示す図である。
幾つかの実施形態では、図7に示したように、排ガス供給手段は、超音波振動子を有する超音波ノズル47を有し、超音波ノズル47を介して掘削液又はソイルセメントの供給管35に排ガスを供給する。超音波ノズル47を用いることにより、マイクロバブル状にて排ガスを供給することができ、これにより、掘削液又はソイルセメントと排ガスを効率よく混合して反応させることができる。
【0051】
図8は、本発明の一実施形態に係る排ガス供給手段の構成を概略的に示す図である。
幾つかの実施形態では、図8に示したように、排ガス供給手段は、超音波振動子を有する超音波ノズル49を有し、超音波ノズル49を介して水が貯留されたタンク51に排ガスを供給する。超音波ノズル49を用いることにより、マイクロバブル状にて排ガスを供給することができ、これにより、水と排ガスを効率よく混合して反応させることができる。
【0052】
図9は、本発明の更に他の一実施形態に係る排ガス供給手段の構成を概略的に示す図である。
幾つかの実施形態では、図9に示したように、排ガス供給手段は、高圧タンク53及びスプレー55を有する。この場合、排ガスで満たされた常圧よりも高圧の高圧タンク53内にスプレー55を介して水を噴霧して水と排ガスを混合する。常圧よりも高圧下で水を噴霧することにより、水と排ガスを効率よく混合し、反応させることができる。
【0053】
かくして上述した貯蔵方法又は回収装置を用いて構築された本発明の一実施形態に係る基礎は、掘削土とセメントミルクによって形成されているソイルセメントが二酸化炭素を吸収している。このように二酸化炭素を吸収して炭酸化したソイルセメントは、炭酸化していない従来のソイルセメントよりも強度が高くなり、基礎の性能が向上する。
【0054】
最後に、本発明は上述した幾つかの実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では、掘削ドリル17の内部流路を通じて杭孔21内に排ガスを供給したが、これとは別に地盤又は杭孔21内に排ガスを供給する供給路を設けてもよい。
そして、既製杭27の種類は特に限定されることはなく、SC杭(外殻鋼板付きコンクリート杭)、PC杭(プレストレストコンクリート杭)、PHC杭(プレストレスト高強度コンクリート杭)、及びPRC杭(プレストレスト鉄筋コンクリート杭)等のコンクリート杭や鋼管杭を用いることができる。
また、本発明が適用される杭は既製杭に限定されず、場所打ち杭であってもよい。場所打ち杭の場合、硬化性材料は、水、セメント及び骨材を混合して生成されたコンクリートである。
更に、本発明が適用される基礎は、杭基礎に限定されず、直接基礎や地盤改良(柱状改良)であってもよい。地盤改良の場合、図10に示したように、杭孔を掘削せずに、掘削ドリル57で地盤を掘削しながらセメントミルクを注入して撹拌混合し、地盤に柱状体59を形成する。なお、柱状体59内に更に既製杭を沈設してもよい。
また、硬化性材料は、セメントミルクやコンクリートに限定されずモルタルでもよい。つまり、硬化性材料は珪酸カルシウムを含むものであればよい。
【符号の説明】
【0055】
1 杭打ち機(掘削機)
3 セメントミルクプラント
5 発電機
7 水槽
9 杭打ち機本体
11 マスト
13 モータ
15 スイベル
17 掘削ドリル
19 発電機
21 杭孔
23 ソイルセメント(杭周固定部)
25 ソイルセメント(根固め部)
27 既製杭
28 固化材
29,31,33 原動機
35 供給管
37,39,41,45 ポンプ
43 掘削液ミキサ
47,49 超音波ノズル
51 タンク
53 高圧タンク
55 スプレー
57 掘削ドリル
59 柱状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10