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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124434
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】チューブ曲げ加工システム
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20220818BHJP
   B21D 7/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B21D43/00 A
B21D7/00 G
B21D43/00 G
B21D43/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021064470
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小滝 裕一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 敦
(72)【発明者】
【氏名】易 茹
(72)【発明者】
【氏名】欒 盛華
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063CA07
4E063GA03
4E063GA05
4E063MA18
(57)【要約】
【課題】曲げ加工の前に不良品の発生を防止できるチューブ曲げ加工システムを提供する。
【解決手段】チューブ曲げ加工システム1は、被加工チューブTaの端部側にフレアナットFを移動させる端寄せ操作を行う端寄せ機構10と、曲げ加工機2にて曲げ加工されるべき被加工チューブTaの異常を端寄せ操作を利用して検出する検査機構12とを備えている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に形成された二つの環状突部を有する金属製チューブと、前記二つの環状突部のそれぞれに対応するように前記金属製チューブの外周に一つずつ装着された二つのフレアナットとを含む被加工チューブを所定形状に曲げ加工するチューブ曲げ加工システムであって、
前記被加工チューブを曲げ加工する曲げ加工機と、
前記被加工チューブを受け入れて前記曲げ加工機に供給するチューブ供給機と、
を備え、
前記チューブ供給機は、前記被加工チューブに対して、前記二つのフレアナットの一方が前記二つの環状突部の一方に、前記二つのフレアナットの他方が前記二つの環状突部の他方にそれぞれ突き当たるように前記被加工チューブの端部側に前記二つのフレアナットを移動させる端寄せ操作を行う端寄せ機構と、前記曲げ加工機にて曲げ加工されるべき前記被加工チューブの異常を前記端寄せ操作を利用して検出する検査機構と、を含むチューブ曲げ加工システム。
【請求項2】
前記検査機構は、前記端寄せ操作にて位置決めされた前記被加工チューブが配置されるステージと、前記ステージ上に設定され前記フレアナットを含む撮像範囲を撮像して得た画像データを出力し、前記ステージとの位置関係が固定された撮像手段と、前記被加工チューブが前記ステージ上に位置決めされた状態で前記撮像範囲が撮像されるように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記画像データに基づいて前記被加工チューブの前記異常を検出する異常検出手段と、を有する請求項1のチューブ曲げ加工システム。
【請求項3】
前記端寄せ機構は、前記被加工チューブの外径よりも大きく前記フレアナットの外径よりも小さい幅の受け入れ溝が形成され、前記フレアナットを挟んで前記環状突部の反対側で前記被加工チューブを受け入れ、かつ軸線方向に移動可能な左右一対のチューブ受け入れ部材と、前記左右一対のチューブ受け入れ部材を独立に駆動可能な駆動手段と、を備え、前記左右一対のチューブ受け入れ部材の一方を前記ステージの所定位置に移動させ、かつ前記左右一対のチューブ受け入れ部材の他方を前記ステージから離れる方向に移動させることにより、前記被加工チューブを前記ステージに対して位置決めする請求項2のチューブ曲げ加工システム。
【請求項4】
前記被加工チューブは、前記二つのフレアナットとして軸線方向寸法が互いに異なる異種のフレアナットが装着されるべき物品として準備され、
前記異常検出手段は、前記異常として、前記チューブ供給機が前記被加工チューブを左右反対向きの状態で受け入れたチューブ供給異常を検出する請求項2又は3のチューブ曲げ加工システム。
【請求項5】
前記異常検出手段は、前記被加工チューブの端末の位置を前記画像データに基づいて特定することにより前記チューブ供給異常を検出する請求項4のチューブ曲げ加工システム。
【請求項6】
前記被加工チューブは、表面が被覆層にて覆われ、かつ両端末から前記二つのフレアナットのそれぞれの前記軸線方向寸法に応じて左右異なる長さだけ前記被覆層が剥離されており、
前記異常検出手段は、前記被覆層が剥離された剥離範囲と前記被覆層が剥離されていない非剥離範囲との境界位置を前記画像データに基づいて特定することにより前記チューブ供給異常を検出する請求項4のチューブ曲げ加工システム。
【請求項7】
前記異常検出手段は、前記異常として、前記二つのフレアナットの少なくとも一方が前記環状突部に対して正規方向とは逆向きで突き当てられたナット装着方向異常を検出する請求項2又は3のチューブ曲げ加工システム。
【請求項8】
前記二つのフレアナットのそれぞれは、雄ねじが形成されたねじ部と前記ねじ部に隣接する頭部とを備えており、
前記異常検出手段は、前記フレアナットの像を含む前記画像データを、先端側のアウトサイドエリアと反対側のインサイドエリアとに区分し、前記アウトサイドエリア内における明るさ値の変動量と前記インサイドエリア内における明るさ値の変動量とを比較し、これら変動量の大小関係に基づいて前記ねじ部が前記アウトサイドエリア側に存在するか否かを推定することにより、前記ナット装着方向異常を検出する請求項7のチューブ曲げ加工システム。
【請求項9】
前記チューブ供給機は、前記端寄せ操作後に前記被加工チューブを前記曲げ加工機へ搬送する搬送機構を更に有し、
前記搬送機構は、前記検査機構が前記異常を検出した場合、前記被加工チューブを前記曲げ加工機に搬送せずに、前記搬送機構の動作範囲内に設けられた回収手段に搬送する請求項1又は2のチューブ曲げ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチューブ曲げ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の多重巻きチューブの用途として自動車のブレーキチューブが広く知られている。ブレーキチューブは車両の床下形状に適合するように三次元的に曲げ加工される。こうしたチューブを各種装置に結合するため、チューブの両端部には環状突部が形成され、環状突部に突き当たるようにフレアナットが装着されている。チューブの端部を各種装置に挿入した状態でフレアナットを締結することにより各種装置にチューブが結合される。このようなチューブの曲げ加工はチューブの両端部に適合する二つのフレアナットが装着された状態で行われることが一般的である。金属製チューブを曲げ加工する装置として例えば下記特許文献1の装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3148663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
曲げ加工されたチューブはその形状のほとんどが左右非対称である。そして、チューブの端部毎に異種のフレアナットが装着される仕様である場合が多い。そのため曲げ加工の対象となるチューブの多くは左右に区別がある。例えば、チューブが正規の向きと左右逆向きに曲げ加工装置に供給されたまま曲げ加工されると、各端部に不適合なフレアナットが装着された不良品が発生する。また、フレアナットはねじ部の側が環状突部に突き当たる方向で装着されるべきであるが、頭部の側が環状突部に突き当たる逆向きの方向にフレアナットが誤装着されたチューブが曲げ加工された場合も不良品になる。
【0005】
そこで、本発明の目的の一つは、曲げ加工の前に不良品の発生を防止できるチューブ曲げ加工システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のチューブ曲げ加工システムは、両端部に形成された二つの環状突部を有する金属製チューブと、前記二つの環状突部のそれぞれに対応するように前記金属製チューブの外周に一つずつ装着された二つのフレアナットとを含む被加工チューブを所定形状に曲げ加工するチューブ曲げ加工システムであって、前記被加工チューブを曲げ加工する曲げ加工機と、前記被加工チューブを受け入れて前記曲げ加工機に供給するチューブ供給機と、を備え、前記チューブ供給機は、前記被加工チューブに対して、前記二つのフレアナットの一方が前記二つの環状突部の一方に、前記二つのフレアナットの他方が前記二つの環状突部の他方にそれぞれ突き当たるように前記被加工チューブの端部側に前記二つのフレアナットを移動させる端寄せ操作を行う端寄せ機構と、前記曲げ加工機にて曲げ加工されるべき前記被加工チューブの異常を前記端寄せ操作を利用して検出する検査機構と、を有するものである(請求項1)。
【0007】
このチューブ曲げ加工システムは、被加工チューブをチューブ供給機が受け入れてから曲げ加工機にて曲げ加工されるまでの過程で実施される端寄せ操作を利用して被加工チューブの異常を検出する。被加工チューブに対する検査専用の物理的操作が不要なので、検査工程をシステムに組み込むことで生じるスループットの低下を抑制できる。また、曲げ加工機に供給される前段階で被加工チューブの異常を検出できるので曲げ加工の前に不良品の発生を防止できる。
【0008】
本発明の一態様において、前記検査機構は、前記端寄せ操作にて位置決めされた前記被加工チューブが配置されるステージと、前記ステージ上に設定され前記フレアナットを含む撮像範囲を撮像して得た画像データを出力し、前記ステージとの位置関係が固定された撮像手段と、前記被加工チューブが前記ステージ上に位置決めされた状態で前記撮像範囲が撮像されるように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記画像データに基づいて前記被加工チューブの前記異常を検出する異常検出手段とを有してもよい(請求項2)。
【0009】
この態様によれば、ステージと撮像手段との位置関係が固定されているため、ステージ上に設定される撮像範囲は一定である。したがって、ステージ上に位置決めされた被加工チューブの各部の位置を正常な各部の位置と比較するだけで異常を検出できる。検査対象となる被加工チューブの寸法や外形を画像データから認識する必要がない。
【0010】
端寄せ機構は適宜の構成でよい。例えば、前記端寄せ機構は、前記被加工チューブの外径よりも大きく前記フレアナットの外径よりも小さい幅の受け入れ溝が形成され、前記フレアナットを挟んで前記環状突部の反対側で前記被加工チューブを受け入れ、かつ軸線方向に移動可能な左右一対のチューブ受け入れ部材と、前記左右一対のチューブ受け入れ部材を独立に駆動可能な駆動手段と、を備え、前記左右一対のチューブ受け入れ部材の一方を前記ステージの所定位置に移動させ、かつ前記左右一対のチューブ受け入れ部材の他方を前記ステージから離れる方向に移動させることにより、前記被加工チューブを前記ステージに対して位置決めしてもよい(請求項3)。
【0011】
本発明の一態様において、前記被加工チューブは、前記二つのフレアナットとして軸線方向寸法が互いに異なる異種のフレアナットが装着されるべき物品として準備され、前記異常検出手段は、前記異常として、前記チューブ供給機が前記被加工チューブを左右反対向きの状態で受け入れたチューブ供給異常を検出してもよい(請求項4)。
【0012】
被加工チューブの両端に互いに軸線方向寸法が異なるフレアナットが装着されている場合、その被加工チューブには左右の区別がある。この態様によれば、左右反対向きに供給された被加工チューブを曲げ加工前にチューブ供給異常として検出できる。被加工チューブとして良品であるにもかかわらず誤供給によって不良品が発生する事態を防止できる。チューブ供給異常となった被加工チューブを正しい向きにして再供給すれば良品を製造できる。
【0013】
この態様において、前記異常検出手段は、前記被加工チューブの端末の位置を前記画像データに基づいて特定することにより前記チューブ供給異常を検出してもよい(請求項5)。また、被加工チューブの表面が被覆層にて覆われ、かつ両端末から二つのフレアナットのそれぞれの軸線方向寸法に応じて左右異なる長さだけ被覆層が剥離されている場合、前記異常検出手段は、前記被覆層が剥離された剥離範囲と前記被覆層が剥離されていない非剥離範囲との境界位置を前記画像データに基づいて特定することにより前記チューブ供給異常を検出してもよい(請求項6)。ステージ上に被加工チューブが位置決めされるので正常時と異常時でこれらの位置に違いが生じる。したがって、これらの位置を特定することによりチューブ供給異常を検出できる。
【0014】
本発明の一態様において、前記異常検出手段は、前記異常として、前記二つのフレアナットの少なくとも一方が前記環状突部に対して正規方向とは逆向きで突き当てられたナット装着方向異常を検出してもよい(請求項7)。この場合は、結合対象にチューブを結合できない不良品の発生を防止できる。
【0015】
この態様において、前記二つのフレアナットのそれぞれは、雄ねじが形成されたねじ部と前記ねじ部に隣接する頭部とを備えており、前記異常検出手段は、前記フレアナットの像を含む前記画像データを、先端側のアウトサイドエリアと反対側のインサイドエリアとに区分し、前記アウトサイドエリア内における明るさ値の変動量と前記インサイドエリア内における明るさ値の変動量とを比較し、これら変動量の大小関係に基づいて前記ねじ部が前記アウトサイドエリア側に存在するか否かを推定することにより、前記ナット装着方向異常を検出してもよい(請求項8)。
【0016】
この態様によれば、画像データ内の明るさ値の変動量を二つに区分し、それらエリア内で変動量の大小関係を比べることで、ねじ部が先端側にあるかどうかを推定できる。ねじ部と頭部とを区別するためにフレアナットの形状や寸法の特徴を画像データより認識する処理に比べて簡素な処理でナット装着方向異常を検出できる。
【0017】
本発明の一態様において、前記チューブ供給機は、前記端寄せ操作後に前記被加工チューブを前記曲げ加工機へ搬送する搬送機構を更に有し、前記搬送機構は、前記検査機構が前記異常を検出した場合、前記被加工チューブを前記曲げ加工機に搬送せずに、前記搬送機構の動作範囲内に設けられた回収手段に搬送してもよい(請求項9)。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、曲げ加工の前に不良品の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】 チューブ曲げ加工システムの全体構成を示した平面図。
図1B】 被加工チューブの一例を示した平面図。
図2図1Aのシステムの一部を矢印II方向から見た状態を示した図。
図3】 受け入れ部の主要構成の一部を示した斜視図。
図4図3の受け入れ部を矢印IV方向から見た状態を示した図。
図5】 供給機構の動作を説明する側面図。
図6】 被加工チューブを検査機構が検査する状態を示した斜視図。
図7図5の矢印VII方向から見た状態を示した図。
図8】 検査機構のシステム構成を示した図。
図9】 チューブ供給異常の検出方法の一例を示した図。
図10】 チューブ供給異常の検出方法の他の例を示した図。
図11】 ナット装着方向異常の検出方法の一例を示した図。
図12】 検査に使用する画像データの表示例。
図13】 チューブ曲げ加工システムの処理の一例を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一例として、自動車のブレーキチューブは金属製チューブであり、マスターシリンダで発生した圧力を車輪毎に設けられたブレーキユニットまで伝達する配管として使用される。ブレーキチューブの端末には、フレアナットが装着された状態で高圧用の端末加工が施されている。高圧用の端末加工としては、例えば、国際標準化機構(ISO)で規定されたISOフレアや日本自動車技術会規格(JASO)で規定されたダブルフレア等の環状突部を形成する端末加工がある。ブレーキチューブはフレアナットが外周に装着された状態で環状突部を形成する端末加工と自動車の床下形状等に合わせた三次元的な曲げ加工が行われる。
【0021】
図1Aはチューブ曲げ加工システムの全体構成を示した平面図である。チューブ曲げ加工システム(以下、加工システムと略する。)1は、被加工チューブTa(図1B参照)を所定形状に曲げ加工する曲げ加工機2と、被加工チューブTaを受け入れて曲げ加工機2に供給するチューブ供給機3とを備えている。加工システム1は全長が異なる複数種類の被加工チューブTaを曲げ加工できる。被加工チューブTaはチューブ供給機3に対してオペレータ(不図示)にてチューブ投入部4に繰り入れられる。その後、曲げ加工機2にて曲げ加工された加工後のチューブTbは曲げ加工機2に設けられた集積部5に集められる。
【0022】
図1Bに示すように、被加工チューブTaは両端部に環状突部Prが形成された直線状の金属製チューブTの外周に二つのフレアナットFが環状突部Prに突き当たるようにして装着されたものである。フレアナットFは、雄ねじが形成されたねじ部Faとねじ部Faに隣接して締付トルクが入力される頭部Fbとを有する。図示の例では、左右のフレアナットFは互いに軸線方向寸法が異なっている。被加工チューブFaは樹脂材料の被覆層Cにて覆われ、被覆層Cは装着されるべきフレアナットFの寸法に合わせて各端末から所定範囲R1、R2まで剥離されている。被覆層Cの剥離後にフレアナットFが装着された状態で環状突部Prを形成する端末加工が施される。
【0023】
図1A及び図2に示すように、チューブ供給機3は、被加工チューブTaに対してフレアナットFの端寄せ操作を行う端寄せ機構10と、端寄せ操作後に被加工チューブTaを曲げ加工機2へ搬送する搬送機構11と、曲げ加工機2にて曲げ加工されるべき被加工チューブTaの異常を端寄せ機構10の動作を利用して検出する検査機構12とを有する。搬送機構11は、端寄せ操作と検査が終了した被加工チューブTaを把持するハンド13を備えている。ハンド13はアーム14に対して矢印で示すように伸縮自在に設けられる。アーム14は電動モータEにて回転中心Cの周りに回転駆動される。検査機構12によって異常が検出されなかった被加工チューブTaは搬送機構11にて曲げ加工機2に受け渡される。一方、異常が検出された被加工チューブTaは搬送機構11の動作範囲内に設けられた回収手段の一例である不良品箱Bに搬送機構11にて回収される。
【0024】
端寄せ機構10による端寄せ操作は、図1Bに示すように被加工チューブTaに対して、二つのフレアナットFの一方が二つの環状突部Prの一方に、二つのフレアナットFの他方が二つの環状突部Prの他方にそれぞれ突き当たるように被加工チューブTaの端部側に二つのフレアナットFを移動させる操作である。フレアナットFはチューブに固定されておらず軸方向に移動可能な状態であるため、曲げ加工のために端寄せ操作が実施される。図1A及び図2に示すように、端寄せ機構10は一対の受け入れ部15が上段に配置された第1のセットと、一対の受け入れ部15が下段に配置された第2のセットとを含む。上段及び下段のそれぞれに設けられた一対の受け入れ部15は、これらの間隔を任意に設定可能となっている。例えば、図示の例のように、上段に配置された一対の受け入れ部15の間隔を狭く、下段に配置された一対の受け入れ部の間隔を広くなるように設定することで、長尺及び短尺の2種類の被加工チューブTaを繰り入れて、長尺及び短尺の被加工チューブTaを交互に曲げ加工することもできる。各受け入れ部15には後に詳述する検査機構12が設置されている。このように配置された端寄せ機構10及び受け入れ部15は左右対称の構造を持ち互いに同一である。以下、これらを互いに区別する必要がある場合を除き、特に区別せずに説明する。
【0025】
図3及び図4に示すように、受け入れ部19595は、軸線Axの方向に対して垂直方向に広がり、かつ軸線Axの方向に移動可能な状態で配置されたチューブ受け入れ板16と、チューブ受け入れ板16を軸線Axの方向に駆動するアクチュエータ17とを備える。アクチュエータ17はもう一方の受け入れ部15にも設けられていて、チューブ受け入れ板16を同方向に駆動できる。チューブ受け入れ板16はチューブ受け入れ部材の一例に相当する。また、一対の受け入れ部15のそれぞれに一つずつ設けられた二つのアクチュエータ17の組み合わせが本発明に係る駆動手段の一例に相当する。
【0026】
チューブ受け入れ板16は上下方向に対して曲げ加工機2の側(図4の右側)に傾いた直線状の第1傾斜部18と、第1傾斜部18と直交する第2傾斜部19とを有する。第2傾斜部19には一本分の被加工チューブTaを受け入れる溝状のポケット20が形成されている。ポケット20の幅は被加工チューブTaの外径よりも若干大きくかつフレアナットFの外径よりも小さい。したがって、一対のチューブ受け入れ板16のそれぞれが、フレアナットFを挟んで環状突部Prの反対側に配置された状態で各チューブ受け入れ板16が互いに離れる方向に相対移動すると、各フレアナットFは被加工チューブTaの端部側に寄せられて端寄せ操作が可能となる。ポケット20は受け入れ溝の一例に相当する。
【0027】
図3図5に示すように、チューブ投入部4(図1A及び図2)に繰り入れられた被加工チューブTaは送り機構25を介して端寄せ機構10の受け入れ部15に送り込まれる。送り機構25はチューブ投入部4に隣接して設けられたベルトコンベア26と、ベルトコンベア26にて搬送された被加工チューブTaを一本ずつ端寄せ機構10に供給する供給機構27とを備える。
【0028】
図5に示すように、供給機構27は、ベルトコンベア26の出口部26aと受け入れ部15との間に配置され、チューブ受け入れ板16の第1傾斜部18に沿って移動可能な可動部材であるスライド部材28と、スライド部材28を駆動するアクチュエータ29とを備える。
【0029】
スライド部材28は第1傾斜部18に沿って延びる第1部分28aと第1部分28aから垂直に延びる第2部分28bとを含み、全体として横向きのほぼT字状に形成される。第2部分28bはアクチュエータ29の駆動ロッド29aに連結されている。第1部分28aの厚みは被加工チューブTaの外径以下に設定されている。これにより、図5のA及びBに示したように、ベルトコンベア26よりも低位置で待機するスライド部材28の先端部分に被加工チューブTaが導かれた状態でスライド部材28が第1傾斜部18に沿って移動すると、一本の被加工チューブTaだけがスライド部材28の第1部分28aの先端部分に載せられて第1傾斜部18に沿って持ち上げられる。第1部分28aの先端部分は第1傾斜部18側に下向きに傾斜している。このため、被加工チューブTaに働く重力に対する第1部分28aからの反力が第1傾斜部18に接近する側に作用する。したがって被加工チューブTaが第1傾斜部18から離れにくくなり、被加工チューブTaの移動時の脱落が抑制される。そして、図5のCに示したように、被加工チューブTaを載せたスライド部材28の第1部分28aが第1傾斜部18の上端に達すると、被加工チューブTaはチューブ受け入れ板16の第2傾斜部19上を矢印方向に転がってポケット20に入り込む。
【0030】
図6及び図7に示すように、被加工チューブTaがポケット20に入り込むと、端寄せ機構10の一方はチューブ受け入れ板16を図7の右側に移動させるとともに、図示されていない反対側の他方の端寄せ機構10が被加工チューブTaを反対方向に引っ張ることにより端寄せ操作が完了する。受け入れ部15には被加工チューブTaの異常を検出する検査機構12が設けられている。
【0031】
検査機構12はチューブ供給機3のフレーム3aに固定されたステージ30と、フレーム3aから斜め上方に延びるアーム31と、アーム31から軸線Axの方向に延びるブラケット32と、ブラケット32に固定されていてステージ30に向けられたデジタルカメラ33とを含む。ブラケット32は、アーム31に固定された本体部32aと、本体部32aに固定されたカメラ取付部32bとを含む。デジタルカメラ33は撮像手段の一例に相当する。ステージ30とデジタルカメラ33とは共通のフレーム3aに対して固定されているので、ステージ30とデジタルカメラ33との位置関係は固定される。端寄せ機構10のチューブ受け入れ板16はステージ30の所定位置まで移動可能になっている。そのため、端寄せ機構10による端寄せ操作が完了すると、被加工チューブTaはステージ30上に対して位置決めされる。
【0032】
デジタルカメラ33は、ステージ30上に位置決めされた被加工チューブTaのフレアナットFを含む範囲に設定された撮像範囲を撮像し、その撮像によって得た画像データを出力する。出力された画像データをディスプレイに表示した一例を図12に示す。
【0033】
図8に示すように、検査機構12はデジタルカメラ33が取得した画像データを処理して被加工チューブTaの異常を検出するため、デジタルカメラ33毎に設けられたパーソナルコンピュータ(PC)35を更に備えている。プログラマブルロジックコンピュータ(PLC)36は曲げ加工機2やチューブ供給機3の端寄せ機構10や搬送機構11などの各部を制御するコンピュータとして加工システム1に設けられている。PLC36にはタッチパネル37が接続されており、PLC36はタッチパネル37を介してオペレータの操作を適宜受け付ける。各PC35はハブ38を介して通信ケーブル39によってPLC36に接続されていて、各PC35とPLC36との間で各種の情報が所定ロジックに基づいて交換されている。これにより検査機構12は端寄せ機構10が行う端寄せ操作に連係して被加工チューブTaに対する検査を実行できる。
【0034】
ここで、検査機構12が行う検査について説明する。検査機構12は、(1)チューブ供給機3が被加工チューブTaを左右反対向きに受け入れた誤供給を原因としたチューブ供給異常と、(2)フレアナットFが環状突部Prに対して正規方向とは逆向きで装着された誤組付けを原因としたナット装着方向異常とを検出する。なお、上記(1)又は(2)のいずれか一方を行ってもよい。
【0035】
(1)チューブ供給異常の検出
チューブ供給異常の検出方法として以下の二つの方法がある。
(a)被覆層Cの剥離範囲に基づく異常検出
図1Bに示したように、被加工チューブTaの剥離範囲R1、R2は左右で異なる。そこで、一方の剥離範囲R1と非剥離範囲Rとの境界位置P1と、他方の剥離範囲R2と非剥離範囲Rとの境界位置P2とを特定することにより、チューブ供給機3が被加工チューブTaを正規の向きで受け入れたか逆向きで受け入れたかを判別できる。境界位置P1又はP2のいずれか一方の位置が正規の位置と異なることが分かれば他方についても異なることが分かるので、境界位置P1又はP2のいずれか一方の位置を特定すれば足りる。なお、境界位置P1と境界位置P2とを区別する必要がない場合には以下の説明でこれらを代表して境界位置P1と表記する。
【0036】
PC35は、デジタルカメラ33が取得した画像データに基づいて、境界位置P1が画像データの何ピクセル目にあるかを特定し、そのピクセル位置と事前に取得して記憶した正しいピクセル位置と比較して相違があった場合はチューブ供給異常として検出する。上述したように、デジタルカメラ30とステージ30との位置関係は固定されていて、端寄せ機構10の端寄せ操作によって被加工チューブTaはステージ30に対して位置決めされる。そのため、剥離範囲R1の長さを測定しなくても境界位置P1のピクセル位置と正しいピクセル位置とを比較すればよい。
【0037】
境界位置Pのピクセル位置をPC35が特定する方法は次の通りである。
【0038】
(a1)画像データのカラー要素を取り除くためグレースケール化する。そして、グレースケール化した画像データのピクセル毎にそのピクセルにおける明るさ値を格納する。この場合の明るさ値はグレースケール画像の画素値である。なお、カラー画像を使用する場合は明るさ値として輝度を用いる。
【0039】
(a2)図9に示したように、画像データ内の被加工チューブTa上に長方形のエリアX1を設定し、そのエリアX1を左右に2等分し、エリアX1a、エリアX1bとする。
【0040】
(a3)エリアX1a、X1b毎に、そのエリア内のピクセルの明るさ値の総和を算出する。そして、エリアX1aの総和とエリアX1bの総和の差分値Dを算出する。エリアX1内に境界位置P1が存在しない場合はエリアX1aとエリアX1bとの間で画像データの明るさ値に違いがほとんどない。そのためエリアX1a、X1bの総和の差分値Dは0に近い。
【0041】
(a4)長方形のエリアX1を被加工チューブに沿って軸線Axの方向にずらしていきながら、上記(a3)に従って差分値Dを算出する。そうすると、差分値Dの変化は、図9のグラフのようになる。
【0042】
(a5)エリアX1の中央が境界位置P1となる点が差分値Dの最大値となるため、上記(a4)で算出した差分値Dの最大値となるピクセル位置を、境界位置P1のピクセル位置として特定する。
【0043】
(b)被加工チューブTaの端末位置に基づく異常検出
被加工チューブTaは端寄せ機構10の端寄せ操作によってステージ30に対して位置決めされる。そのため、ステージ30上の被加工チューブTaの端末位置P3(図1B参照)は装着されたフレアナットFの軸線方向寸法により一意に決まる。仮に、被加工チューブTaの左右反対向きの誤供給により軸線方向寸法が異なるフレアナットFが存在する場合はステージ30上の端末位置P3が正常に供給された場合と異なる。このことを利用して、端末位置P3が画像データの何ピクセル目にあるかを特定し、そのピクセル位置と事前に取得して記憶した端末位置P3の正しいピクセル位置とを比較して相違があった場合はチューブ供給異常として検出する。上記(a)の異常検出と同様に、一方の端末位置P3が正規の位置と相違すれば、他方の端末位置P3も正規の位置と異なることが分かるので、被加工チューブTaの一方の端末位置P3を特定すれば足りる。
【0044】
端末位置P3のピクセル位置をPC35が特定する方法は次の通りである。
【0045】
(b1)画像データのカラー要素を取り除くためグレースケール化する。そして、グレースケール化した画像データのピクセル毎にそのピクセルにおける明るさ値を格納する。
【0046】
(b2)図10の(i)に示すように、軸線Axをx軸とし、x軸方向と垂直方向にy軸を設定する。そして、フレアナットFをカバーするa1からa2までの範囲でピクセルの明るさ値pxyのy軸方向に総和sumを算出する。総和sumは式1で表される。
【数1】
【0047】
(b3)図10の(ii)に示すように、x軸方向に対して画像データの平滑化処理を行う。具体的には、総和sumについて3ピクセル分を平均する。その平均値smoothは式2で表される。
【数2】
【0048】
(b4)図10の(iii)に示すように、平均値smoothxの差分値Dを算出する。差分値Dは式3で表される。
【数3】
【0049】
(b5)図10の(iv)に示すように、差分値Dが所定の閾値th1より大きくなる点を被加工チューブTaの端末位置P3に対応するピクセル位置として特定する。
【0050】
(2)ナット装着方向異常の検出
ナット装着方向異常は、画像データの明暗の情報に基づいてねじ山の凹凸があるフレアナットFのねじ部Faを特定し、そのねじ部Faの側が被加工チューブTaの先端側にあるかその反対側にあるかを特定することにより検出される。換言すれば、画像データを被加工チューブTaの先端側のアウトサイドエリアと反対側のインサイドエリアとに区分し、アウトサイドエリア内における明るさ値の変動量とインサイドエリア内における明るさ値の変動量とを比較し、これら変動量の大小関係に基づいてねじ部Faがアウトサイドエリア側に存在するか否かを推定することにより、ナット装着方向異常を検出する。この処理の具体的な一例は以下の通りである。
【0051】
(a)画像データのカラー要素を取り除くためグレースケール化する。そして、グレースケール化した画像データのピクセル毎にそのピクセルにおける明るさ値を格納する。
【0052】
(b)図11の(i)に示すように、nx(a2-a1)のサイズのエリアX2を設定する。そして、エリアX2において、軸線Axの方向(x軸方向)で隣接するピクセルの明るさ値の差分をとり、それら差分の絶対値を全て足し合わせる。その値はエリアX2ないの明暗の変動量を表す。隣接ピクセル間の明暗の変動が大きいほど、この変動量の数値は大きくなる。変動量diffは、式4で表される。
【数4】
【0053】
(c)図11の(ii)に示すように、エリアX2をフレアナットFの画像に沿ってx軸方向にずらしていき、変動量diffxをエリアX2毎に算出して、図11のグラフを描くようなデータを得る。
【0054】
(d)図11の(iii)に示すように、上記(c)で得たデータをx軸方向の中心で2等分に区分し、区分された先端側のデータをアウトサイドエリアOaに属するデータとし、その反対側のデータをインサイドエリアIaに属するデータとする。
【0055】
(e)変動量diffxについて、零より大きくねじ部Faにおける変動量よりも小さい閾値th2を予め設定しておく。そして、閾値th2未満の領域についてアウトサイドエリアOaに属する面積Oaを算出するとともに、インサイドエリアIaに属する面積Siを算出する。
【0056】
(f)ねじ部Faに対応する変動量diffxのデータは閾値th2よりも大きな値を持つ。このため、ねじ部Fa側の面積は小さくなる。したがって、両サイドの面積Soと面積Siとを比較し、ねじ部Faが存在しているべきアウトサイドエリアOaの面積SoがインサイドエリアIaの面積Siよりも小さい場合はフレアナットFの装着方向が正しいと推定できる。言い換えれば、アウトサイドエリアOaの面積SoがインサイドエリアIaの面積Siよりも大きければ、ねじ部FaがインサイドエリアIa側に存在することが推定されるのでフレアナットFが反対向きに装着されたナット装着方向異常として検出する。
【0057】
上記(d)において、上記(c)で得たデータをx軸方向の中心で2等分してアウトサイドエリアOa及びインサイドエリアIaを設定したが、データ領域を2等分することは一例にすぎない。検査対象として想定するフレアナットFの頭部Fbとねじ部Faとの寸法比に応じてアウトサイドエリアOaとインサイドエリアIaとの配分を適宜変更してもよい。
【0058】
上記(e)及び(f)において、閾値th2を設定し、閾値th2未満の領域の面積をアウトサイドエリアOa及びインサイドエリアIaのそれぞれについて算出して明るさ値の変動量の大小関係を比較しているが変動量の大小関係に基づく処理方法の一例にすぎない。例えば、閾値th2を設定せずに、アウトサイドエリアOaに含まれる変動量の積分値とインサイドエリアに含まれる変動量の積分値とを比較してねじ部Faの存在を推定することもできる。この場合はアウトサイドエリアOaの積分値がインサイドエリアIaの積分値よりも大きい場合にフレアナットFの装着方向が正しいと推定される。反対に、アウトサイドエリアOaの積分値がインサイドエリアIaの積分値よりも小さい場合にはフレアナットの装着方向が誤っていると推定される。
【0059】
次に、図13を参照しながら、PC35及びPLC36が実行する処理の流れを説明する。図13のルーチンは、PLC36が加工システム1の曲げ加工機2及びチューブ供給機3の動作制御をするために実行するルーチンと、PC35が検査機構12の動作制御と画像処理及び異常判定処理をするために実行するルーチンとを含む。これらのルーチンはPLC36及びPCによって並行して実行される。
【0060】
ステップS1において、PLC36は加工システムが曲げ加工する製品毎に割り当てられた品番を設定する。ステップS2において、PLC36は運転開始設定を行い、製品情報が品番に対応づけられたデータベースを検索して曲げ形状を特定するプロフィールなどの曲げ加工に必要な情報を取得する。
【0061】
ステップS3において、PLC36はチューブ供給機3の送り機構25を制御してチューブ投入部4に繰り入れられた被加工チューブTaを端寄せ機構10の受け入れ部15に移動させる(図3図5参照)。次に、ステップS4において、PLC36は端寄せ機構10を制御して受け入れ部15に送り込まれた被加工チューブTaに対して端寄せ操作を行う。これにより、被加工チューブTaはステージ30に対して位置決めされる。続いて、ステップS5において、PLC36は検査機構12による検査の開始を管理するために設けられた検査開始フラグFをONにセットする。
【0062】
他方のルーチンにおいては、PC35は、ステップS11において、検査開始フラグFの内容をチェックして検査フラグFの内容を記憶する。そして、検査に必要な情報、例えば設定された品番に対応した被加工チューブTaが持つ剥離境界位置に関するピクセル情報や端末位置に関するピクセル情報などを読み出す。
【0063】
PC35は、ステップS12において、検査開始フラグFがONの場合はステップS13に処理を進め、検査開始フラグFがONでない場合は処理をステップS11に戻す。ステップS13において、PC35はステージ30上に位置決めされた被加工チューブTaが撮像されるようにデジタルカメラ30を制御する。
【0064】
ステップS14において、PC35はデジタルカメラ30が取得した画像データを処理して、上述したチューブ供給異常及びナット装着方向異常を検出する異常判定処理を実行する。なお、チューブ供給異常の検出において、被加工チューブTaの剥離層の境界に基づく方法と端末位置に基づく方法の両方を実施することもできるし、いずれか一方を行ってもよい。PC35は、異常判定処理の結果、これらの異常の少なくとも一つを検出した場合、異常ありとの判定結果を保持するとともに、これらの異常のいずれも検出できなかった場合、異常なしとの判定結果を保持する。ステップS15において、PC35は、判定結果として保持した異常あり又は異常なしの情報をPLC36に送信する。
【0065】
PLC36は、ステップS6において、PC35から受け取った判定結果に関する情報を参照して、異常なしの場合はステップS7に進み、異常ありの場合はステップS8に進む。ステップS7において、PLC35は検査が済んだ被加工チューブTaが曲げ加工機2に供給されるように搬送機構11(図2参照)を制御するとともに、曲げ加工機2にて被加工チューブTaが曲げ加工されるように曲げ加工機2を制御する。
【0066】
一方、ステップS8においてPLC35は異常検出時処理を実施する。PLC36は異常時検出処理として異常が検出された被加工チューブTaが不良品箱B(図2参照)に回収されるように搬送機構11を制御するとともに、タッチパネル37(図8)等の表示装置に警告表示を表示させる。なお、警告表示の代わりに又は警告表示とともに警告音等の音声情報を出力させることもできる。
【0067】
PC35は、図13のステップS11~S13の処理を実行することにより撮像制御手段の一例として、図13のステップS14の処理を実行することにより異常検出手段の一例として、それぞれ機能する。
【0068】
以上本発明を適用した実施形態を図面を参照しながら説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態で実施できる。
【0069】
端寄せ機構の他の形態として、例えば、被加工チューブが自重で転がることができる斜め下向きの傾斜部材と、傾斜部材上を転がる被加工チューブに対してフレアナットを端部側に寄せながらステージに案内するガイド部材とを有し、これら傾斜部材及びガイド部材によって被加工チューブをステージに導いて被加工チューブをステージ上に位置決めできる機構を端寄せ機構とすることができる。
【0070】
上記形態及びその変形例から特定可能な発明を以下に開示する。なお、開示発明の理解を容易にするため、上記形態の説明に用いた参照符号や図番をかっこ内に記載したが、図示した構成の形状や構造等に限定されない。
【0071】
開示発明の検査方法は、環状突部(Pr)が端部に形成された金属製チューブ(T)の外周に、ねじ部(Fa)及び頭部(Fb)を含むフレアナット(F)が前記ねじ部の側が前記環状突部に突き当たる正規の方向で装着されるべきフレアナット付きチューブ(Ta)を検査対象とする検査方法であって、前記フレアナットを含む撮像範囲を撮像して得た画像データを、先端側のアウトサイドエリア(Oa)と反対側のインサイドエリア(Ia)とに区分し、前記アウトサイドエリア内における明るさ値の変動量と前記インサイドエリア内における明るさ値の変動量とを比較し、これら変動量の大小関係に基づいて前記ねじ部が前記アウトサイドエリア側に存在するか否かを推定することにより、前記フレアナットが正規方向とは逆向きで装着された異常を検出するものである。
【0072】
この検査方法によれば、画像データ内の明るさ値の変動量を二つに区分し、それらエリア内で変動量の大小関係を比べることで、ねじ部が先端側にあるかどうかを推定できる。ねじ部と頭部との区別を形状や寸法の特徴を画像データより認識する処理に比べて簡素な処理でナット装着方向異常を検出できる。
【符号の説明】
【0073】
1:チューブ曲げ加工システム
2:曲げ加工機
3:チューブ供給機
10:端寄せ機構
11:搬送機構
12:検査機構
15:受け入れ部
16:チューブ受け入れ板(チューブ受け入れ部材)
17:アクチュエータ(駆動手段)
20:ポケット(受け入れ溝)
30:ステージ
33:デジタルカメラ(撮像手段)
35:PC
B:不良品箱(回収手段)
C:被覆層
F:フレアナット
Fa:ねじ部
Fb:頭部
P1、P2:境界位置
Pr:環状突部
R1、R2:剥離範囲
R:非剥離範囲
T:金属製チューブ
Ta:被加工チューブ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13