(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124441
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 17/00 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
G06T17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112056
(22)【出願日】2021-07-06
(62)【分割の表示】P 2021022030の分割
【原出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】517425446
【氏名又は名称】リンクウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 文生
【テーマコード(参考)】
5B080
【Fターム(参考)】
5B080AA00
5B080AA14
5B080AA19
5B080DA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】三次元モデルデータから三次元モデル点群データを容易に生成可能であると共に、三次元モデル点群データが従来と異なり、センサにより取得された三次元計測点群データのように規則的な並びの点群データを生成することが可能となる情報処理方法、情報処理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理方法は、三次元モデルデータ取得部により、三次元モデルデータを取得するステップと、基準面設定部により、取得した三次元モデルデータの周囲に基準面を設定するステップと、規則位置座標設定部により、基準面において所定の規則に沿って規則的に並ぶ規則位置座標を設定するステップと、モデル点座標生成部により、規則位置座標から延伸した第1仮想直線と三次元モデルデータの交点にモデル点座標を生成するステップと、を含む。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理方法であって、
三次元モデルデータ取得部により、三次元モデルデータを取得するステップと、
基準面設定部により、取得した前記三次元モデルデータの周囲に基準面を設定するステ
ップと、
規則位置座標設定部により、前記基準面において所定の規則に沿って規則的に並ぶ規則
位置座標を設定するステップと、
モデル点座標生成部により、前記規則位置座標から延伸した第1仮想直線と前記三次元
モデルデータの交点にモデル点座標を生成するステップと、
を含む、ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記三次元モデルデータは、対象物の形状を示す面の情報があるデータである、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の情報処理方法であって、
前記基準面を設定するステップは、
前記三次元モデルデータを囲う立体形状の三次元基準範囲を設定するステップと、
前記立体形状の所定の面を前記基準面として設定するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理方法であって、
前記所定の規則に沿って規則的に並ぶ前記規則位置座標を設定するステップは、
前記基準面に所定の間隔で格子状に並ぶ第2仮想直線の交点を前記規則位置座標として
設定するステップである、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の情報処理方法であって、
前記第1仮想直線と前記三次元モデルデータの交点に前記モデル点座標を生成するステ
ップでは、
前記三次元モデルデータの表側との交点に前記モデル点座標として生成する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の情報処理方法であって、
三次元計測点群データ取得部により、センサにより計測された三次元計測点群データを
取得するステップと、
フィッティング部により、前記モデル点座標の集合である三次元モデル点群データと、
前記三次元計測点群データとの位置合わせを実行するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理方法であって、
前記位置合わせを実行するステップは、
前記三次元モデル点群データと前記三次元計測点群データとが最も近似する位置に位置
合わせするステップを含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
情報処理システムであって、
三次元モデルデータを取得する三次元モデルデータ取得部と、
取得した前記三次元モデルデータの周囲に基準面を設定する基準面設定部と、
前記基準面において所定の規則に沿って規則的に並ぶ規則位置座標を設定する規則位置
座標設定部と、
前記規則位置座標から延伸した第1仮想直線と前記三次元モデルデータの交点にモデル
点座標を生成するモデル点座標生成部と、
を含む、ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記情報処理方法として、
三次元モデルデータ取得部により、三次元モデルデータを取得するステップと、
基準面設定部により、取得した前記三次元モデルデータの周囲に基準面を設定するステ
ップと、
規則位置座標設定部により、前記基準面において所定の規則に沿って規則的に並ぶ規則
位置座標を設定するステップと、
モデル点座標生成部により、前記規則位置座標から延伸した第1仮想直線と前記三次元
モデルデータの交点にモデル点座標を生成するステップと、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理システム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から例えばCADデータのような三次元モデルデータを三次元点群データ化する技
術が知られている。例えば特許文献1には、CADデータが対象物の表面形状を三角形の
集合体により近似的に記述されたSTLデータであって、各三角形の頂点座標を点データ
として三次元点群データ化する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、STLデータは近似的な表面形状を示すものであるので、これだけでは
元のCADデータと三次元点群データのモデル形状には差ができる。そこで特許文献1に
記載された発明においては、さらにサブ点群と曲率データから高精度の三次元点群データ
モデルを生成していた。
【0005】
ところが、CADデータのモデル形状に近い高精度の三次元点群データが生成できるも
のの、生成された三次元点群データの点データの位置は均一ではない。そのため、基準と
なるCADデータの基準モデル形状と、光学センサ等により実際の対象物から取得された
三次元点群データのモデル形状とを比較することができず、例えば、実際の対象物が製品
としての基準をクリアしているか判定できなかった。
【0006】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、三次元モデルデータから、セン
サにより生成したような規則的な配置の三次元点群データを容易に抽出することが可能と
なり、基準となる三次元モデルデータから得た基準三次元点群データと、実対象物から得
た三次元点群データとを容易に比較できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、三次元モデルデータ取得部により、
三次元モデルデータを取得するステップと、基準面設定部により、取得した前記三次元モ
デルデータの周囲に基準面を設定するステップと、規則位置座標設定部により、前記基準
面において所定の規則に沿って規則的に並ぶ規則位置座標を設定するステップと、モデル
点座標生成部により、前記規則位置座標から延伸した第1仮想直線と前記三次元モデルデ
ータの交点にモデル点座標を生成するステップと、を含む、ことを特徴とする情報処理方
法である。
【0008】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面に
より明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、三次元モデルデータから三次元モデル点群データを容易に生成可能で
あると共に、三次元モデル点群データが従来と異なり、センサにより取得された三次元計
測点群データのように規則的な並びの点群データを生成することが可能となり、基準とな
る三次元モデルデータから得た三次元モデル点群データと、実対象物から得た三次元計測
点群データとを容易に比較できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態1の情報処理システム100の全体構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態1に係る端末1のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態1に係る端末1の機能構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態1に係る三次元点群データの表示例を示す図を示す。
【
図5】本実施形態1に係る三次元モデルデータの表示例を示す図である。
【
図6】本実施形態1に係る三次元基準範囲の表示例を示す図である。
【
図7】本実施形態1に係る基準面を例示する図である。
【
図8】本実施形態1に係る規則位置座標を例示する図である。
【
図9】本実施形態1に係るモデル点座標を例示する図である。
【
図10】本実施形態1に係る三次元モデル点群データの表示例を示す図である。
【
図11】本実施形態1に係る三次元モデルデータの表裏に関する一例を示す図である。
【
図12】本実施形態1に係る三次元モデルデータの表裏に関する他の例を示す図である。
【
図13】本実施形態1に係る情報処理方法のフローチャート例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば以下のような構成を
備える。
【0012】
[項目1]
情報処理方法であって、
三次元モデルデータ取得部により、三次元モデルデータを取得するステップと、
基準面設定部により、取得した前記三次元モデルデータの周囲に基準面を設定するステ
ップと、
規則位置座標設定部により、前記基準面において所定の規則に沿って規則的に並ぶ規則
位置座標を設定するステップと、
モデル点座標生成部により、前記規則位置座標から延伸した第1仮想直線と前記三次元
モデルデータの交点にモデル点座標を生成するステップと、
を含む、ことを特徴とする情報処理方法。
[項目2]
項目1に記載の情報処理方法であって、
前記三次元モデルデータは、対象物の形状を示す面の情報があるデータである、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目3]
項目1または2のいずれかに記載の情報処理方法であって、
前記基準面を設定するステップは、
前記三次元モデルデータを囲う立体形状の三次元基準範囲を設定するステップと、
前記立体形状の所定の面を前記基準面として設定するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目4]
項目1ないし3のいずれかに記載の情報処理方法であって、
前記所定の規則に沿って規則的に並ぶ前記規則位置座標を設定するステップは、
前記基準面に所定の間隔で格子状に並ぶ第2仮想直線の交点を前記規則位置座標として
設定するステップである、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目5]
項目1ないし4のいずれかに記載の情報処理方法であって、
前記第1仮想直線と前記三次元モデルデータの交点に前記モデル点座標を生成するステ
ップでは、
前記三次元モデルデータの表側との交点に前記モデル点座標として生成する、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目6]
項目1ないし5のいずれかに記載の情報処理方法であって、
三次元計測点群データ取得部により、センサにより計測された三次元計測点群データを
取得するステップと、
フィッティング部により、前記モデル点座標の集合である三次元モデル点群データと、
前記三次元計測点群データとの位置合わせを実行するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目7]
項目6に記載の情報処理方法であって、
前記位置合わせを実行するステップは、
前記三次元モデル点群データと前記三次元計測点群データとが最も近似する位置に位置
合わせするステップを含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目8]
情報処理システムであって、
三次元モデルデータを取得する三次元モデルデータ取得部と、
取得した前記三次元モデルデータの周囲に基準面を設定する基準面設定部と、
前記基準面において所定の規則に沿って規則的に並ぶ規則位置座標を設定する規則位置
座標設定部と、
前記規則位置座標から延伸した第1仮想直線と前記三次元モデルデータの交点にモデル
点座標を生成するモデル点座標生成部と、
を含む、ことを特徴とする情報処理システム。
[項目9]
情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記情報処理方法として、
三次元モデルデータ取得部により、三次元モデルデータを取得するステップと、
基準面設定部により、取得した前記三次元モデルデータの周囲に基準面を設定するステ
ップと、
規則位置座標設定部により、前記基準面において所定の規則に沿って規則的に並ぶ規則
位置座標を設定するステップと、
モデル点座標生成部により、前記規則位置座標から延伸した第1仮想直線と前記三次元
モデルデータの交点にモデル点座標を生成するステップと、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【0013】
<実施の形態1の詳細>
本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の具体例を、以下に図面を参照しつ
つ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に
よって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれること
が意図される。以下の説明では、添付図面において、同一または類似の要素には同一また
は類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に
関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに
矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0014】
図1は、本実施形態の情報処理システム100の一例を示す図である。
図1に示される
ように、本実施形態の情報処理システム100では、端末1と、作業用ロボット2、コン
トローラ3とを有している。作業用ロボット2は、少なくともアーム21、ツール22、
センサ23を有している。端末1・コントローラ3と作業用ロボット2とは、有線または
無線にて互いに通信可能に接続されている。なお、センサ23は、必ずしも作業用ロボッ
ト2に搭載されていなくともよく、対象物から三次元点群データを取得可能であればどの
ような構成であってもよい。
【0015】
<端末1>
図2は、端末1のハードウェア構成を示す図である。端末1は、例えばパーソナルコン
ピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティン
グによって論理的に実現されてもよい。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の
構成を有していてもよい。例えば、端末1のプロセッサ10に設けられる一部の機能が外
部のサーバや別端末により実行されてもよい。
【0016】
端末1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13
、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0017】
プロセッサ10は、端末1全体の動作を制御し、少なくとも作業用ロボット2とのデー
タ等の送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行
う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processi
ng Unit)および/またはGPU(Graphics Processing U
nit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開された本システムのための
プログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0018】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memor
y)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard
Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ
11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、端末1の起動時に実行
されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各
種設定情報等を格納する。
【0019】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各
処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ12に構築されていてもよ
い。
【0020】
送受信部13は、端末1を少なくとも作業用ロボット2と接続し、プロセッサの指示に
従い、データ等の送受信を行う。また、送受信部13は、有線または無線により構成され
おり、無線である場合には、例えば、WiFiやBluetooth(登録商標)及びB
LE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インターフェースによ
り構成されていてもよく、端末1の外部とデータ等の送受信を行う。
【0021】
入出力部14は、例えば端末1がパーソナルコンピュータで構成されている場合は情報
出力機器(例えばディスプレイ)と情報入力機器(例えばキーボードやマウス)により構
成され、スマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等の
情報入出力機器により構成されている。
【0022】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各
種制御信号を伝達する。
【0023】
<作業用ロボット2>
図1に戻り、本実施形態に係る作業用ロボット2について説明する。
【0024】
上述のとおり、作業用ロボット2は、アーム21と、ツール22と、センサ23とを有
する。なお、図示された構成は一例であり、この構成に限定されない。
【0025】
アーム21は、三次元のロボット座標系に基づき、端末1にその動作を制御される。ま
た、アーム21は、有線または無線で作業用ロボット2と接続されたコントローラ3をさ
らに備え、これによりその動作を制御されてもよい。
【0026】
ツール22は、三次元のツール座標系に基づき、端末1にその動作を制御される。また
、ツール22の構成は、用途に合わせて何れのツールを備えていてもよく、例えば、溶接
用トーチや塗装用塗料噴射装置、把持装置、掘削装置、研磨装置などであってもよい。
【0027】
センサ23は、三次元のセンサ座標系に基づき、対象物のセンシングを行う。センサ2
3は、例えば三次元スキャナとして動作するレーザセンサであり、センシングにより対象
物の三次元計測点群データ40を取得する。三次元計測点群データ40は、例えば、
図4
に示されるような三次元計測点群データ40であり、それぞれの点データがセンサ座標系
の座標情報を有し、規則的に並ぶ点群により対象物の形状を把握することが可能となる。
【0028】
なお、作業前に所定のキャリブレーションを行い、ロボット座標系及びツール座標系、
センサ座標系を互いに関連付け、例えばセンサ座標系を基にユーザが位置(座標)を指定
することにより、アーム21やツール22が対応した位置を基に動作制御されるように構
成をなしてもよい。
【0029】
<端末1の機能>
図3は、端末1に実装される機能を例示したブロック図である。本実施の形態において
は、端末1のプロセッサ10は、三次元計測点群データ取得部101、三次元モデルデー
タ取得部102、三次元データ表示部103、基準面設定部104、規則位置座標設定部
105、モデル点座標生成部106、フィッティング部107を有している。また、端末
1のストレージ12は、三次元計測点群データ記憶部121、三次元モデルデータ記憶部
122、三次元モデル点群データ記憶部123を有している。
【0030】
三次元計測点群データ取得部101は、端末1の入出力部14からの指示により、例え
ば作業用ロボット2を制御し、センサ23により対象物の三次元計測点群データを取得す
る。取得した三次元点群データは、例えばセンサ座標系に基づく三次元座標情報データで
あり、三次元計測点群データ記憶部121に記憶される。
【0031】
三次元モデルデータ取得部102は、例えば端末1の送受信部13から受信した対象物
の基準モデルとなる三次元モデルデータを取得する。三次元モデルデータは、対象物の形
状を示す面の情報があるデータであればよく、例えばCADデータ、STLデータなどの
メッシュデータ、サーフェスデータなどである。取得した三次元モデルデータは、三次元
モデルデータ記憶部122に記憶される。三次元モデルデータは、例えば仮想空間内の三
次元座標系に基づくデータである。なお、三次元モデルデータの取得は、上記の形態に限
らず、例えば端末1の同一または異なるアプリケーション上で作成された三次元モデルデ
ータを取り込むようにしてもよい。
【0032】
三次元データ表示部103は、三次元計測点群データ取得部101により取得された三
次元計測点群データ40を、例えば
図4に例示されるように端末1の入出力部14に表示
する。また、三次元データ表示部103は、三次元モデルデータ取得部102により取得
された三次元モデルデータ50を、例えば
図5に例示されるように端末1の入出力部14
に表示する。ユーザは、表示された三次元点群データまたは三次元モデルデータを任意の
方向から視認可能である。この場合、入出力部14は、前述のとおり、例えば端末1がパ
ーソナルコンピュータで構成されている場合は情報出力機器(例えばディスプレイ)と情
報入力機器(例えばキーボードやマウス)により構成され、スマートフォンまたはタブレ
ット端末で構成されている場合はタッチパネル等の情報入出力機器により構成されており
、入出力部14により、上記任意の方向を指定可能である。
【0033】
基準面設定部104は、例えば
図6に例示されるように三次元モデルデータ50が配置
された仮想空間内の三次元座標系において、既知の方法により三次元モデルデータ50が
存在する範囲を判定して、当該三次元モデルデータ50を囲う三次元基準範囲51を設定
し、後述の規則位置座標設定部105等により用いられる基準面52を三次元基準範囲5
1の少なくとも一面(例えば、
図7における直方体の上面など)に対して設定する。なお
、三次元基準範囲は
図6-7に例示されるような直方体に限らず、立方体、角柱、円柱と
いった面を有する立体形状であればよい。
【0034】
また、基準面設定部104は、他の実施の形態として、三次元基準範囲51を設定せず
に、三次元モデルデータ50の周囲の任意の位置にある所定の面(例えばx-y平面、y
-z平面、x-z平面など)を基準面52として設定してもよく、特に
図6-7における
直方体の上面位置に所定の面を配置できるように、例えば三次元モデルデータ50の仮想
空間におけるサイズを解析した後に、面を配置した場合に一番覆う面積が広い位置や面に
対向する対象物の一部が一番平らな位置などを算出し、基準面52として設定してもよい
。
【0035】
さらに、基準面設定部104は、他の実施の形態として、
図5に示されるように入出力
部14の情報出力機器に表示されている状態で、情報入力機器により三次元基準範囲51
または基準面52をユーザが手動で設定してもよい。より具体的には、例えば複数の頂点
(例えば4点)の位置を情報入力機器により選択し、当該頂点に合わせて直方体等の立体
形状を生成し、頂点の位置や辺の位置、半径などを適宜調整してサイズを変更してもよい
し、面モデルのサイズや向きを調整して基準面52を配置するように設定してもよい。ま
たは、入出力部14の情報出力機器に表示された三次元モデルデータ50を操作して、例
えばセンサ23のスキャン方向と合うように三次元モデルデータ50の向きを変更し、そ
の状態で画面上にて三次元モデルデータ50を囲う面をユーザが手動で設定する。その後
、当該設定された面を当該面に垂直な方向の三次元モデルデータ50の端部位置に配置し
た立体形状の三次元基準範囲51(例えば、
図6参照)を設定するようにしてもよい。
【0036】
規則位置座標設定部105は、例えば
図8に例示されるように基準面設定部104によ
り設定された基準面52において、規則的に並ぶ規則位置座標情報データ53を複数設定
する。例えば
図8においては、基準面52上に所定の間隔で格子状に並ぶ仮想直線の交点
を規則位置座標情報データ53として設定してもよい。なお、格子形状は、井桁格子やク
ロス格子などであってもよいが、これらに限定されない。また、規則的に並ぶ規則位置座
標情報データ53を設定可能であれば、格子形状を用いずともよく、例えば基準面52の
第1の角を設定開始位置として、所定の間隔で順番に基準面52上に網羅的に規則位置座
標情報データ53を設定するような方法であってもよい。
【0037】
モデル点座標生成部106は、前述の各規則位置座標情報データ53が示す座標位置か
ら延伸する仮想直線54が、例えば
図9に例示されるように、三次元モデルデータ50(
図9では特に三角形のメッシュ55を有するSTLデータを例示)を貫通する点(交点)
をモデル点座標情報データ56として生成する。仮想直線54は、例えば基準面52に対
して垂直に延伸する直線であってもよいし、基準面52に対して所定の角度傾いて延伸す
る直線であってもよい。生成した三次元モデル点群データ57のモデル点座標情報データ
56は、三次元モデル点群データ記憶部123に記憶される。
【0038】
なお、三次元データ表示部103は、当該三次元モデル点群データ57を、例えば
図1
0に例示されるように端末1の入出力部14に表示してもよい。また、三次元モデルデー
タ50において、表側及び裏側がある場合には、例えば
図11に例示されるように表側及
び裏側に貫通する点が生成されるが、表側及び裏側のいずれを採用するかを予め設定して
おいてもよい。この時、表側の交点であることが望ましいが、これに限らず、裏側の交点
であってもよい。もしくは、
図12に例示されるように、仮想直線54が無限長ではなく
、基準面52から三次元モデルデータ50までの距離や三次元モデルデータ50の厚みが
判明している場合には、仮想直線54を所定の有限長とすることで、表側の交点だけを取
得可能にしてもよい。
【0039】
フィッティング部107は、三次元モデル点群データ57に対して三次元計測点群デー
タ40の位置合わせ(いわゆるフィッティング)を実行する。フィッティングは既知の方
法で実行されてよいが、例えば、三次元モデル点群データ57と三次元計測点群データ4
0との各点データの配置が最も近似する位置と設定することであってもよい。より具体的
な例としては、例えば、三次元計測点群データ40(または三次元モデル点群データ57
)の各点データのそれぞれを中心とする所定範囲の探索範囲半径Rからなる球の中心点か
ら、所定の位置に配置された三次元モデル点群データ57(または三次元計測点群データ
40)の各点データのうち当該球に含まれる点データまでの距離Lを算出し、例えば距離
Lのうち一番短い距離L’の平均値、または、全ての距離Lの平均値を算出する。そして
、三次元モデル点群データ57(または三次元計測点群データ40)を移動させ、再度上
記平均値を算出する。これを複数回実行し、当該平均値が一番小さい場合の三次元モデル
点群データ57(または三次元計測点群データ40)の位置をフィッティング位置として
設定する。
【0040】
フィッティング部107は、さらに位置合わせ後に、既知の方法により三次元モデル点
群データ57と三次元計測点群データ40との両者の形状の差異を示すようにしてもよい
。
【0041】
<情報処理方法のフローチャート>
図13は、本実施の形態の情報処理システム100における情報処理方法のフローチャ
ートの一例である。
【0042】
まず、ユーザは、端末1を操作し、三次元モデルデータ取得部102により、三次元モ
デルデータ50を取得する(SQ101)。
【0043】
次に、端末1の基準面設定部104により、取得した三次元モデルデータ50の周囲に
基準面52を設定する(SQ102)。
【0044】
次に、端末1の規則位置座標設定部105により、基準面52において所定の規則に沿
って規則的に並ぶ規則位置座標53を設定する(SQ103)。
【0045】
次に、端末1のモデル点座標生成部106により、規則位置座標53から延伸した仮想
直線54と三次元モデルデータ50の貫通点(交点)にモデル点座標を生成し、モデル点
座標情報データ56として記憶する(SQ104)。
【0046】
これにより、三次元モデルデータ50から三次元モデル点群データ57を容易に生成可
能であると共に、三次元モデル点群データ57が従来と異なり、センサ23により取得さ
れた三次元計測点群データ40のように規則的な並びの点群データを生成することが可能
となる。そして、このように規則的な並びの三次元モデル点群データ57が得られること
により、特にセンサ23により取得された三次元計測点群データ40と実質的に同様に扱
うことが可能となり、例えば三次元モデル点群データ57と三次元計測点群データ40と
を互いにフィッティングする際の精度が、従来手法により生成された三次元モデル点群デ
ータを用いた場合と比較して格段に向上する。
【0047】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするため
のものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸
脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 端末
2 作業用ロボット
21 アーム
22 ツール
23 センサ
3 コントローラ