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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124472
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20220818BHJP
   B66F 7/22 20060101ALI20220818BHJP
   B66F 9/065 20060101ALI20220818BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B60P1/44 J
B60P1/44 E
B60P1/44 B
B66F7/22 C
B66F9/065 A
B66F9/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018194
(22)【出願日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2021021435
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 良和
(72)【発明者】
【氏名】池田 滋
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA20
3F333AB01
3F333AD09
3F333BD02
3F333DB10
3F333FA11
3F333FD08
(57)【要約】
【課題】荷受台のチルト機能を備えつつ適正に荷受台を床下に格納する。
【解決手段】車枠の下部に取り付けたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って前後に移動可能なスライダと、前記スライダに回動可能に連結されたアームと、前記アームの先端に回動可能に連結された荷受台とを備え、前記荷受台が折り畳み状態であるかを判定し、前記ガイドレールに対する前記荷受台の相対角が設定角度範囲に収まっているかを判定し、前記荷受台が折り畳み状態であり、かつ前記荷受台の相対角が前記設定角度範囲に収まっていることを条件に、格納操作に応じて前記車枠の下部に前記荷受台を引き込み可能とする荷受台昇降装置を提供する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車枠の下部に取り付けたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って前後に移動可能なスライダと、
前記スライダに回動可能に連結されたアームと、
前記アームの先端に回動可能に連結された荷受台と、
前記アームを回動させて前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、
前記スライダと共に前記荷受台を前後に移動させるスライドシリンダと、
前記荷受台を傾動させるチルトシリンダと、
前記荷受台が折り畳まれた状態であることを検知するゲートセンサと、
前記ガイドレールに対する荷受台の相対角に関する状態量を検出するチルトセンサと、
前記荷受台の格納操作をするための操作装置と、
前記操作装置からの信号に従って前記リフトシリンダ及び前記チルトシリンダを駆動し、前記荷受台を昇降及び傾動させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記ゲートセンサの出力を基に前記荷受台が折り畳み状態であるかを判定し、
前記チルトセンサの出力を基に前記荷受台の相対角が設定角度範囲に収まっているかを判定し、
前記荷受台が折り畳み状態であり、かつ前記荷受台の相対角が前記設定角度範囲に収まっていることを条件に、格納操作に伴って前記操作装置から入力される格納操作信号に応じて前記スライドシリンダを収縮させ、前記車枠の下部に前記荷受台を引き込み可能とする
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記制御装置は、前記荷受台が折り畳み状態であり、かつ前記荷受台の相対角が前記設定角度範囲から外れている場合、前記格納操作信号に応じて前記チルトシリンダを駆動し、前記荷受台の相対角を前記設定角度範囲に収めた後、前記車枠の下部に前記荷受台を引き込むことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記制御装置は、前記荷受台が折り畳み状態であり、かつ前記荷受台の相対角が前記設定角度範囲から外れている場合、報知出力装置に前記荷受台の相対角が前記設定角度範囲から外れている旨の報知出力動作を指令することを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記制御装置は、前記荷受台の相対角が前記設定角度範囲から外れている場合、前記格納操作信号に応じた前記スライドシリンダの動作を不能とすることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項5】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記制御装置は、
前記荷受台が折り畳み状態で、かつ前記荷受台の相対角が前記設定角度範囲に対して上下いずれかの特定方向から収まったことを条件として、前記車枠の下部に前記荷受台を引き込むことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項6】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記制御装置は、
前記荷受台が折り畳み状態である場合、前記相対角が前記設定角度範囲から外れて前記荷受台が前傾しているとき、前記格納操作信号に応じて前記チルトシリンダを駆動し、前記荷受台の相対角を前記設定角度範囲に収めた後、前記車枠の下部に前記荷受台を引き込み、
前記荷受台が折り畳み状態である場合、前記相対角が前記設定角度範囲に収まって前記荷受台が水平であるとき、及び前記相対角が前記設定角度範囲から外れて前記荷受台が後傾しているとき、前記格納操作信号に応じて前記チルトシリンダを駆動し、前記相対角が前記設定角度範囲から外れて前記荷受台が前傾する状態にした後、前記荷受台の相対角を前記設定角度範囲に収めて前記車枠の下部に前記荷受台を引き込むことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項7】
請求項1-6のいずれか1つの荷受台昇降装置において、
前記チルトセンサは、前記チルトシリンダのストロークを検出するセンサであることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項8】
請求項1-6のいずれか1つの荷受台昇降装置において、
前記制御装置は、前記ガイドレールに対する前記荷受台の相対角を演算し、その演算値に基づき前記ガイドレールに対して前記荷受台が前記設定角度範囲にあるかどうかを判定することを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項9】
請求項1-6のいずれか1つの荷受台昇降装置において、
前記チルトセンサは、重力方向を基準とする前記荷受台の角度を測定する第1の傾斜センサと、重力方向を基準とする前記車枠の角度を測定する第2の傾斜センサとを含んで構成され、
前記制御装置は、前記第1の傾斜センサ及び前記第2の傾斜センサの測定値の差をとって前記荷受台の相対角を演算することを特徴とする荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置は、車両の荷台床面の高さと地面との間で荷受台を昇降させ、荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援する装置である。荷受台昇降装置には、荷受台を車枠の下に引き込んで格納する床下格納式のものがある(特許文献1)。また、車両の走行時等に、荷台の後面に沿って起立させて荷受台を格納する荷受台昇降装置もある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-123778号公報
【特許文献2】特開2020-121632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載された荷受台昇降装置は、荷受台を傾斜させて角度を調整することができるため、例えば積載した荷物の重さで荷受台が傾斜した場合等に傾斜角度の調整を行うことができる等のメリットがある。特許文献1に記載された床下格納式の荷受台昇降装置にこうした荷受台のチルト機能はないものの、特許文献2に記載された荷受台昇降装置の構成を適用して荷受台のチルト機能を付加することは可能である。但し、床下格納式の荷受台昇降装置では、車枠に対して荷受台の引き込み動作が所定の角度で行われることが望まれるところ、荷受台のチルト機能を付加すると荷受台の角度にばらつきが生じ得る。
【0005】
床下格納式の荷受台昇降装置においては、所定のデパーチャアングルを確保するために、格納時に荷受台を車枠に極力接近させなければならない。そのため、車枠に対して荷受台が傾斜していると、車枠の下に出し入れする際に荷受台が周辺の構造物に干渉したり、荷受台の格納時に所定のデパーチャアングルが確保できなくなったりする可能性がある。また、リフトシリンダの作動油のリークにより荷受台が下降することがないように格納時には荷受台を落下防止部材で係止する構成が採用される場合があるが、荷受台が傾斜していると荷受台が落下防止部材に適正に係止されない恐れもある。
【0006】
本発明の目的は、荷受台のチルト機能を備えつつ適正に荷受台を床下に格納することができる荷受台昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車枠の下部に取り付けたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って前後に移動可能なスライダと、前記スライダに回動可能に連結されたアームと、前記アームの先端に回動可能に連結された荷受台と、前記アームを回動させて前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、前記スライダと共に前記荷受台を前後に移動させるスライドシリンダと、前記荷受台を傾動させるチルトシリンダと、前記荷受台が折り畳まれた状態であることを検知するゲートセンサと、前記ガイドレールに対する荷受台の相対角に関する状態量を検出するチルトセンサと、前記荷受台の格納操作をするための操作装置と、前記操作装置からの信号に従って前記リフトシリンダ及び前記チルトシリンダを駆動し、前記荷受台を昇降及び傾動させる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記ゲートセンサの出力を基に前記荷受台が折り畳み状態であるかを判定し、前記チルトセンサの出力を基に前記荷受台の相対角が設定角度範囲に収まっているかを判定し、前記荷受台が折り畳み状態であり、かつ前記荷受台の相対角が前記設定角度範囲に収まっていることを条件に、格納操作に伴って前記操作装置から入力される格納操作信号に応じて前記スライドシリンダを収縮させ、前記車枠の下部に前記荷受台を引き込み可能とする荷受台昇降装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷受台のチルト機能を備えつつ適正に荷受台を床下に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す左側面図
図2】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の右側面図
図3】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置のアームの基部付近の拡大図
図4図3に表した部分の平面図
図5】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったパワーユニットの一構成例を表す油圧回路図
図6】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置における傾斜センサの取り付け図
図7図4のVII-VII線による矢視断面図
図8】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置のリフトシリンダによる荷受台の動作の説明図
図9】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置のチルトシリンダによる荷受台の動作の説明図
図10】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の荷受台の展開作業の説明図
図11】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャート
図12】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャート
図13】本発明の第3実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャート
図14】本発明の第4実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったパワーユニットの一構成例を表す油圧回路図
図15】本発明の第4実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャート
図16】本発明の第5実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0011】
<第1実施形態>
-車両-
図1は本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す左側面図である。本願明細書においては、図1の左右を荷受台昇降装置4の前後とする。
【0012】
図1に示した車両は、車枠1と、車枠1の前方に設けた運転室2と、車枠1上に搭載した荷台3と、車枠1の下側後部に設けた床下格納式の荷受台昇降装置4とを含んで構成されている。この荷受台昇降装置4は、車両走行運転時等の不使用時には荷受台5が折り畳まれて車枠1の下に格納される。使用時には、車枠1の下から荷受台5を後方に引き出して展開し、荷台3の床面の高さと地面の高さとの間で昇降させて荷役作業(荷台3に対する荷物の積み下ろし作業)を支援する。
【0013】
-荷受台昇降装置-
図2は荷受台昇降装置4の右側面図で、荷受台5を格納した状態を表している。図3図2に示した荷受台昇降装置4のアームの基部付近の拡大図、図4図3に表した部分の平面図である。図3ではガイドローラ13及びそのサポート17を図示省略してある。
【0014】
これらの図に示したように、荷受台昇降装置4は、荷物を積載する上記の荷受台5の他、スライドユニット10、リフトユニット20、パワーユニット30(図5)、操作装置40(図5)及び制御装置50(図5)を含んで構成されている。スライドユニット10は、荷受台5を前後にスライドさせるユニットである。リフトユニット20は、荷受台5を昇降及び傾斜させるユニットである。パワーユニット30は、スライドユニット10及びリフトユニット20を駆動するユニットである。操作装置40は、荷受台5の上げ操作、下げ操作、前傾操作及び後傾操作をするための装置である。制御装置50は、パワーユニット30を制御する装置(例えばコンピュータ)である。これら要素について順次説明していく。
【0015】
-スライドユニット-
スライドユニット10は、左右のガイドレール11、スライダ12、ガイドローラ13、左右のスライドシリンダ14等を含んで構成されている。左右のガイドレール11は、車枠1の下側後部に前後に延びるように取り付けてある。スライダ12は、左右のブロック15及びクロスメンバ16を含んで構成されている。左右のブロック15は、左右のガイドレール11に支持されており、ガイドレール11に沿って前後に移動可能である。クロスメンバ16は、左右に延びて左右のブロック15を連結している。ガイドローラ13は、スライダ12に支持されて後方に突出した片持ち片持ち梁状のサポート17の先端(後端)に回転自在に支持されている。このガイドローラ13は、回転軸を左右に延ばした姿勢で支持されており、格納及び展開の際に傾動する荷受台5を支持しその動作をガイドする。左右のスライドシリンダ14は、スライダ12を前後に移動させる複動式の油圧シリンダであり、適宜支持部材を介して両端がガイドレール11及びスライダ12に連結されている。スライダ12が移動すると、スライダ12と共に荷受台5がガイドレール11に沿って前後に移動する。
【0016】
-リフトユニット-
リフトユニット20は、リンク21、アーム(リフトアーム)22、チルトシリンダ(コンプレッションアーム)23、リフトシリンダ24を左右一組ずつ含んで構成されている。リンク21は、ブラケット25を介してスライダ12(クロスメンバ16)に連結されており、上部が回転軸を介してブラケット25に対して連結されていて、下部が前後に回動可能である。アーム22は、前端が回転軸を介してリンク21に連結され、リンク21を介してスライダ12に連結されており、スライダ12に対して上下に回動可能である。アーム22の後端には、荷受台5が回動可能に連結されている。チルトシリンダ23は、荷受台5を傾動させるシリンダであり、前端がブラケット26を介してスライダ12(クロスメンバ16)に回動可能に連結されている。チルトシリンダ23の後端には、荷受台5が回動可能に連結されている。リフトシリンダ24は荷受台5を昇降させるシリンダであり、前端がリンク21に回動可能に連結され、リンク21を介してスライダ12に連結されている。リフトシリンダ24の後端は、アーム22に回動可能に連結されている。チルトシリンダ23は、所定の長さにすることでアーム22と共に平行リンクとして機能し、リフトシリンダ24の伸縮によりスライダ12に対して荷受台5が水平姿勢のまま昇降する。リフトシリンダ24及びチルトシリンダ23は複動式でも良いが、本実施形態では単動式の油圧シリンダが用いてある。
【0017】
-荷受台-
荷受台5は折り畳み式の昇降台であり、基端側荷受台6及び先端側荷受台7を含んで構成されている。基端側荷受台6はリフトユニット20のアーム22及びチルトシリンダ23の後端に支持されている。先端側荷受台7は、ヒンジ8を介して基端側荷受台6に連結されている。ヒンジ8は、基端側荷受台6及び先端側荷受台7に対して両端がピン(不図示)を介して回動可能に連結されている。このように基端側荷受台6に対する先端側荷受台7の回動動作が2軸の自由度を有することで、荷受台5は、基端側荷受台6の上向きの荷受面に先端側荷受台7の荷受面が平行に対面する姿勢に折り畳めるようになっている。本実施形態では荷受台5が1箇所のみで折れる構成を例示しているが、2箇所で折れる折り畳み構造とする場合もある。
【0018】
-パワーユニット-
図5はパワーユニット30の一構成例を表す油圧回路図である。この図に示したパワーユニット30は、スライドユニット10及びリフトユニット20、具体的にはスライドシリンダ14、チルトシリンダ23及びリフトシリンダ24を駆動する油圧回路を含んでいる。パワーユニット30には、電動モータ31、油圧ポンプ32、スライドシリンダ用の制御弁33、チルトシリンダ用の制御弁34、リフトシリンダ用の制御弁35を含んで構成されている。
【0019】
電動モータ31はバッテリ57(不図示)で駆動される。油圧ポンプ32は電動モータ31によって駆動され、作動油タンク36から吸い込んだ作動油を吐出する。油圧ポンプ32の吐出管路の最大圧はメインリリーフ弁37で制限される。
【0020】
制御弁33は、スライドシリンダ14に対する作動油の流れを制御する電磁弁であり、油圧ポンプ32の接続先をスライドシリンダ14のボトム側油室又はロッド側油室に切り換えたり、スライドシリンダ14を保持したりする。制御弁33は、複数の2位置切換弁(開閉弁)で構成することもできるし、単一の3位置切換弁(方向切換弁)で構成することもできる。この制御弁33は、制御装置50からの指令信号によりソレノイドが励磁されて駆動される。例えば制御弁33が駆動されて油圧ポンプ32がスライドシリンダ14のボトム側油室に接続すると、ボトム側油室に作動油が供給されてスライドシリンダ14が伸長する。スライドシリンダ14のロッド側油室から押し出された作動油は制御弁33を介して作動油タンク36に戻る。反対に、制御弁33が駆動されて油圧ポンプ32がスライドシリンダ14のロッド側油室に接続すると、ロッド側油室に作動油が供給されてスライドシリンダ14が収縮する。スライドシリンダ14のボトム側油室から押し出された作動油は制御弁33を介して作動油タンク36に戻る。制御装置50から制御弁33への指令信号が出力されていない場合、制御弁33はばね力で閉止位置に付勢され、スライドシリンダ14のボトム側油室とロッド側油室を閉止してスライドシリンダ14を保持する。
【0021】
制御弁34は、チルトシリンダ23に対する作動油の流れを制御する電磁弁であり、チルトシリンダ23の油室の接続先を油圧ポンプ32又は作動油タンク36に切り換えたり、チルトシリンダ23を保持したりする。制御弁34は、複数の2位置切換弁(開閉弁)で構成することもできるし、単一の3位置切換弁(方向切換弁)で構成することもできる。この制御弁34は、制御装置50からの指令信号によりソレノイドが励磁されて駆動される。例えば制御弁34が駆動されてチルトシリンダ23の油室が油圧ポンプ32に接続すると、油室に作動油が供給されてチルトシリンダ23が伸長する。反対に、制御弁34が駆動されてチルトシリンダ23の油室が作動油タンク36に接続すると、荷受台5の重量でチルトシリンダ23が収縮し、油室から押し出された作動油は制御弁34を介して作動油タンク36に戻る。制御弁34と作動油タンク36とを繋ぐ配管には流量制御弁38が設けられており、荷受台5の重量によるチルトシリンダ23の収縮速度が調整されている。制御装置50から制御弁34への指令信号が出力されていない場合、制御弁34はばね力で閉止位置に付勢され、チルトシリンダ23の油室を閉止してチルトシリンダ23を保持する。
【0022】
制御弁35は、リフトシリンダ24に対する作動油の流れを制御する電磁弁であり、リフトシリンダ24の油室の接続先を油圧ポンプ32又は作動油タンク36に切り換えたり、リフトシリンダ24を保持したりする。制御弁35は、複数の2位置切換弁(開閉弁)で構成することもできるし、単一の3位置切換弁(方向切換弁)で構成することもできる。この制御弁35は、制御装置50からの指令信号によりソレノイドが励磁されて駆動される。例えば制御弁35が駆動されてリフトシリンダ24の油室が油圧ポンプ32に接続すると、油室に作動油が供給されてリフトシリンダ24が伸長する。反対に、制御弁35が駆動されてリフトシリンダ24の油室が作動油タンク36に接続すると、荷受台5の重量でリフトシリンダ24が収縮し、油室から押し出された作動油は制御弁35を介して作動油タンク36に戻る。制御弁35と作動油タンク36とを繋ぐ配管には流量制御弁39が設けられており、荷受台5の重量によるリフトシリンダ24の収縮速度が調整されている。制御装置50から制御弁35への指令信号が出力されていない場合、制御弁35はばね力で閉止位置に付勢され、リフトシリンダ24の油室を閉止してリフトシリンダ24を保持する。
【0023】
-操作装置-
操作装置40は、オペレータが荷受台5の上げ操作、下げ操作、前傾操作及び後傾操作をするためのリモコンである。荷受台昇降装置4には、有線式のリモコン及び無線式のリモコンの少なくとも一方が操作装置40として備わっている。上げ操作は、リフトシリンダ24を伸長させて荷受台5を上昇させる操作であるが、所定条件下においてスライドシリンダ14の収縮動作を加えた荷受台5の格納動作の操作(格納操作)を兼ねる。下げ操作は、リフトシリンダ24を収縮させて荷受台5を下降させる操作であるが、所定条件下においてスライドシリンダ14の伸長動作を加えた荷受台5の展開動作の操作(展開操作)を兼ねる。前傾操作は、チルトシリンダ23を伸長させて荷受台5を前傾させる(荷受台5の後端が上昇する方向に傾動させる)操作である。後傾操作は、チルトシリンダ23を収縮させて荷受台5を後傾させる(荷受台5の後端が下降する方向に傾動させる)操作である。これらの操作をするための操作装置40のスイッチはモーメンタリスイッチであり、操作中にのみ操作装置40から操作信号が出力され、スイッチから手を放すと操作信号の出力は停止する。但し、操作装置40のスイッチには、オルタネイトスイッチも用いられ得る。
【0024】
-制御装置-
制御装置50は例えばマイコンであり、操作装置40からの信号に従ってリフトシリンダ24及びチルトシリンダ23を駆動し、荷受台5を昇降及び傾動させる機能を持つ。制御装置50には、所定条件下においてリフトシリンダ24及びスライドシリンダ14を切り換え制御して、荷受台5の展開動作及び格納動作を実行する機能も備わり得る。この制御装置50は電源スイッチを介して荷受台昇降装置4のバッテリに接続しており、電源スイッチによって制御装置50の電源のオンオフが切り換えられる。
【0025】
図示していないが、制御装置50には、入力ポートやメモリ(RAM、ROM、その他の記憶装置)、演算装置(CPU)、出力ポートを含んで構成されている。入力ポートには、操作装置40からの操作信号の他、各種センサ(後述する後端センサa、格納センサb、ゲートセンサc、圧力センサd、傾斜センサe、チルトセンサf1,f2)からの検出信号が入力される。メモリには、荷受台昇降装置4の制御プログラムや制御閾値等の各種データが記憶されている。演算装置は、メモリに記憶されたプログラムに従って処理を実行し、操作信号やセンサ出力に基づいてリフトシリンダ24やチルトシリンダ23、スライドシリンダ14の伸縮動作を指令する指令信号を生成する。演算装置で生成された指令信号は、出力ポートを介してパワーユニット30、具体的には制御弁33-35や電動モータ31に適宜出力される。
【0026】
また、制御装置50には、所定の場面で報知出力装置Aに出力ポートを介して報知出力動作(アラームの発報等)を指令する機能も備わっている。この場合、荷受台昇降装置4(例えば操作装置40)に報知出力装置Aを備える構成であっても良いし、車両側に備わった報知出力装置Aに制御装置50を電気的に接続し、車載の報知出力装置Aに制御装置50が報知出力動作を指令する構成であっても良い。報知出力装置Aとしては、ブザーやスピーカー等の音声出力装置や、ランプやモニタ等の表示出力装置を用いることができる。
【0027】
-センサ-
図5に示したように、荷受台昇降装置4には、後端センサa、格納センサb、ゲートセンサc、圧力センサd、傾斜センサe及びチルトセンサf1,f2が備わっている。これらセンサは、ケーブルを介して制御装置50に電気的に接続されている。
【0028】
・後端センサ
本実施形態では、スライダ12の前後の移動範囲を規制する前後のストッパ(後側のストッパ18のみ図2に図示)がガイドレール11に設けられている。スライダ12の移動範囲の引き出し方向の端部はストッパ18で制限される。後端センサaは、荷受台5が後端位置(スライダ12がストッパ18に接触する位置)付近にあること、具体的にはストッパ18とスライダ12(ストッパ18との当接部76)の間隔が設定距離L(例えば50mm程度)以下であることを検知するセンサである。後端センサaは、本例ではスライダ12に設けた近接スイッチであり、ガイドレール11に取り付けた後側ドグ(不図示)を検知するとオンになり、非検知状態になるとオフになる。後側ドグは、例えばガイドレール11の後部に取り付けてある。後側ドグの前端は、スライダ12が後端位置にあるときの後端センサaの位置よりも設定距離Lだけ前側に位置している。設定距離Lは、例えば後端センサaや後側ドグの配置により設定でき、0mmに設定することも可能である。後側ドグは、その前端部から後方に延び、スライダ12が後端位置にあるときの後端センサaの位置までをカバーする。これにより、荷受台5が後端位置から設定距離L以内に位置していることが後端センサaで検知される。
【0029】
・格納センサ
格納センサbは、荷受台5が前端位置(スライダ12が前側ストッパに接触する位置)付近にあること、具体的には前端位置から所定距離(例えば100mm程度)以内に荷受台5が位置することを検知するセンサである。格納センサbは、例えばスライダ12に設けた近接スイッチであり、ガイドレール11に取り付けた前側ドグ(不図示)を検知するとオンになり、非検知状態になるとオフになる。前側ドグは例えばガイドレール11の前部に取り付けてある。前側ドグの後端の位置は、スライダ12が前端位置から所定距離にあるときの格納センサbの位置に一致し、当然に後側ドグの前端よりも前側である。前側ドグは、その後端部から前方に延び、スライダ12が前端位置にあるときの格納センサbの位置までをカバーする。これにより、荷受台5が前端位置から所定距離以内に位置することが格納センサbで検知される。
【0030】
・ゲートセンサ
ゲートセンサcは、荷受台5が折り畳まれた状態であることを検知するセンサである。このゲートセンサcには、例えばヒンジ8(図2)の基端側荷受台6に対する角度を検出する角度センサを用いることができる。本実施形態で言う「荷受台5が折り畳まれた状態」は、基端側荷受台6と先端側荷受台7の互いの荷受面が対面した状態であり、荷受面同士のなす角θ(図10)が設定角度θ1以下の状態をいう。従って、ゲートセンサcの検出角度(θ)が設定角度θ1以下になったら荷受台5が折り畳まれた状態であることが判定できる。
【0031】
・圧力センサ
圧力センサdは、荷受台5の格納動作時にガイドレール11に荷受台5が押し付けられたことを検知するセンサであり、例えば油圧ポンプ32の吐出管路に設けられている(図5)。リフトシリンダ24が伸長してガイドレール11に荷受台5が接触すると吐出管路の圧力が上昇することから、圧力センサdの検出圧力に閾値(設定値)を設けておき、検出圧力が閾値を超えたらガイドレール11に荷受台5が接触したと判定することができる。特に図示していないが、ガイドレール11と荷受台5とはパッドを介して接触するようになっている。
【0032】
・傾斜センサ
図6は傾斜センサの取り付け図である。図6は荷受台5の左側から傾斜センサeを見た図を表している。同図に示した傾斜センサeは、重力方向を基準とする荷受台5の角度φ1を測定するセンサであり、ブラケット9を介して荷受台5に設けられている。傾斜センサeには、例えばジャイロセンサを用いることができる。但し、ジャイロセンサの他にも、振り子式又はフロート式の傾斜センサ(吊るした錘や液面に対する荷受台5の傾きを検出するセンサ)や加速度センサ、慣性センサ等を傾斜センサeとして用いることができる。
【0033】
傾斜センサeが設置される荷受台5の部位としては、基端側荷受台6の左右いずれか(本例では左側)のスチフナ5aの内部が例示できる。本実施形態におけるスチフナ5aは中空の部材であり、荷受台5の下面(荷受面と反対側の面)の左右の領域に1本ずつ設けられている。左右のスチフナ5aは、基端側荷受台6と先端側荷受台7との間で長手方向に分割されている。展開した荷受台5の荷受面が水平な状態を想定して説明すると、左右から見てスチフナ5aは前後に細長い三角形状であり、上面は水平で厚みが後方(荷受台5の後端)に近付くにつれて薄くなっている(図8)。本実施形態では、スチフナ5aの内部における比較的広い前部の空間に傾斜センサeが収容してある。
【0034】
・チルトセンサ
図7図4のVII-VII線による矢視断面図である。図2図4と共に図7を参照してチルトセンサf1,f2について説明する。
【0035】
チルトセンサf1,f2は、ガイドレール11や車枠1に対する荷受台5の相対角に関する状態量を検出するセンサである。車枠1に対する荷受台5の相対角に関する状態量とは、荷受台5(基端側荷受台6)のチルト動作に伴って変化する値であり、例えば荷受台5(基端側荷受台6)の角度そのものの他、チルトシリンダ23の伸縮量等が例示できる。本実施形態では、チルトセンサf1,f2に近接スイッチを採用し、荷受台5の相対角が設定角度範囲であることを判定するためにチルトシリンダ23の所定のストロークをチルトセンサf1,f2で検出する例を説明する。本実施形態において、チルトセンサf1は設定角度範囲の下限を規定し、チルトセンサf2は設定角度範囲の上限を規定する役割を果たす。
【0036】
本実施形態では、左右いずれか(本例では右側)のチルトシリンダ23のチューブにブラケットR1を介してチルトセンサf1,f2が、ロッドにブラケットR2を介してドグD1,D2が装着してある。チルトセンサf1,f2はチルトシリンダ23のチューブとロッドのうち基端側に設けることが望ましく、チルトシリンダ23のロッドをスライダ12に連結する場合には、チルトセンサf1,f2をロッド側に、ドグD1,D2をチューブ側に設置する。
【0037】
チルトセンサf1,f2はチルトシリンダ23の伸縮方向から見て重ならないように配置されており、本実施形態ではチルトシリンダ23のチューブの径方向に位置をずらしてチルトセンサf1,f2が配置してある(図7)。チルトセンサf1,f2はチルトシリンダ23のチューブの周方向に位置をずらしても良い。同様に、ドグD1,D2もチルトシリンダ23の伸縮方向から見て重ならないように配置されている。チルトシリンダ23の伸縮方向から見たドグD1,D2の配置は、チルトセンサf1,f2の配置に対応している(図7)。
【0038】
ドグD1,D2は、チルトシリンダ23の伸縮方向に長いバー状の部材(本例ではチャンネル材)であり、長穴に通したボルトBによりブラケットR2に固定されている。これにより、所定の条件を満たすようにチルトシリンダ23の伸縮方向にドグD1,D2の位置が調整できるようになっている。
【0039】
ドグD1,D2の位置設定について説明する。ドグD1,D2の位置を設定する場合、まず図2のように荷受台5を格納状態にし、ガイドレール11の上面を基準面として基端側荷受台6の荷受面が所定角度(例えば基準面と平行)になるようにチルトシリンダ23を駆動して荷受台5を傾動させる。この状態でチルトシリンダ23の収縮方向にドグD1を動かしてチルトセンサf1に近付け、チルトセンサf1がドグD1を検知してチルトセンサf1の出力がオフからオンになる位置でボルトBを締めてドグD1をブラケットR2に固定する。その後、チルトシリンダ23を僅かに伸長させ、僅かな角度(例えば2度程度)だけ基端側荷受台6の荷受面を前傾させる。この状態でチルトシリンダ23の収縮方向にドグD2を動かしてチルトセンサf2に近付け、チルトセンサf2がドグD2を検知してチルトセンサf2の出力がオフからオンになる位置でボルトBを締めてドグD2をブラケットR2に固定する。
【0040】
これにより、チルトセンサf1がオフでチルトセンサf2がオンである場合に、ガイドレール11の上面に対する基端側荷受台6の荷受面の相対角が上記の設定角度範囲にあると判定することができる。ガイドレール11に対する基端側荷受台6の荷受面の相対角が上記の2度程度の設定角度範囲に収まっていることを、本実施形態ではガイドレール11や車枠1に対して荷受台5が平行であることと扱う。なお、設定角度範囲から外れて荷受台5がガイドレール11に対して後傾した(後端を下げた)姿勢であれば、チルトセンサf1,f2の出力はいずれもオンになる。反対に、設定角度範囲から外れて荷受台5がガイドレール11に対して前傾した(後端を上げた)姿勢であれば、チルトセンサf1,f2の出力はいずれもオフになる。
【0041】
-動作-
図8はリフトシリンダ24による荷受台5の動作の説明図、図9はチルトシリンダ23による荷受台5の動作の説明図、図10は荷受台5の展開作業の説明図である。これらの図を適宜参照して荷受台昇降装置4の動作を説明する。以下に説明する動作は、制御装置50が操作装置40からの操作信号に応じて制御弁33-35や電動モータ31を駆動することで実行される。また、荷受台昇降装置4は、操作装置40のスイッチ操作がされている間のみ動作し、操作装置40のスイッチからオペレータの手が離れると停止する。
【0042】
・荷役動作
荷役動作は、荷受台5が展開状態であること、具体的には後端センサaがオンでゲートセンサcがオフであることを条件として実行される。例えば操作装置40で上げ操作がされると、制御装置50が上げ操作信号に応じて電動モータ31及び制御弁35に指令し、電動モータ31を駆動して油圧ポンプ32を駆動すると共に、制御弁35を駆動してリフトシリンダ24を油圧ポンプ32に接続する。これにより、リフトシリンダ24に作動油が供給され、リフトシリンダ24が伸長して図8に示すように荷受台5が上昇する。操作装置40で下げ操作がされると、制御装置50が下げ操作信号に応じて制御弁35に指令し、電動モータ31を停止させて油圧ポンプ32を停止させると共に、制御弁35を駆動してリフトシリンダ24を作動油タンク36に接続する。これにより、荷受台5の重量によりリフトシリンダ24から作動油が排出され、リフトシリンダ24が収縮して図8に示すように荷受台5が下降する。
【0043】
なお、荷受台5が接地した状態では、操作信号に応じて制御装置50が出力する指令信号や油圧回路の動作に変わりはないが、荷受台5が地面で受けられていることからリフトシリンダ24の伸縮に伴ってリンク21が回動する。これによりチルトシリンダ23に対してアーム22が後方に移動し、平行リンクが変形して荷受台5がチルトし、スチフナ5aの下面の全体が接地して荷受面の後端が地面に接近した状態となる(図8)。このような状態となることで、地面と荷受面との間で台車が行き来し易くなる。
【0044】
また、操作装置40で前傾操作がされると、制御装置50が前傾操作信号に応じて電動モータ31及び制御弁34に指令し、電動モータ31を駆動して油圧ポンプ32を駆動すると共に、制御弁34を駆動してチルトシリンダ23を油圧ポンプ32に接続する。これにより、チルトシリンダ23に作動油が供給され、チルトシリンダ23が伸長して図9に示すように荷受台5が前傾する。操作装置40で後傾操作がされると、制御装置50が後傾操作信号に応じて制御弁34に指令し、電動モータ31を停止させると共に、制御弁34を駆動してチルトシリンダ23を作動油タンク36に接続する。これにより、荷受台5の重量によりチルトシリンダ23から作動油が排出され、チルトシリンダ23が収縮して図9に示すように荷受台5が後傾する。この動作は、例えば坂道に車両を停車させた場合に、荷受台5が水平になるように車両に対して荷受台5を前傾(チルトアップ)又は後傾(チルトダウン)させる場合等に役立つ。また、荷受台5を垂直に前傾(起立)させることができる構成とすれば、荷受台5を荷台3の床面付近まで上昇させて荷受台5を起立させ、荷台3の後面に沿わせた格納姿勢を採ることも可能となる。
【0045】
・展開動作
荷受台昇降装置4の展開動作は、リフトシリンダ24及びスライドシリンダ14を対象としたシーケンス制御により、格納状態の荷受台5を車枠1の下から引き出して地面に下ろす動作である。この展開動作は、ゲートセンサcがオンであることを条件として、操作装置40で下げ操作がされることにより実行される。本実施形態の展開動作には、第1引出動作、第1下降動作、第2引出動作、及び第2下降動作が含まれ、図1に矢印で示したように、格納位置から地面まで荷受台5がステップ状に下ろされる。
【0046】
第1引出動作において、制御装置50は、スライドシリンダ14を伸長させ、格納位置から格納センサbがオフに切り換わる位置まで荷受台5が後方に引き出し、スライドシリンダ14を停止させる。第1引出動作に続く第1下降動作において、制御装置50は、リフトシリンダ24を収縮させ、ゲートセンサcがオフに切り換わる高さまで荷受台5を下降させ、リフトシリンダ24を停止させる。第1下降動作に続く第2引出動作において、制御装置50は、再びスライドシリンダ14を伸長させ、後端センサaがオンに切り換わる位置まで荷受台5を引き出し、スライドシリンダ14を停止させる。第2下降動作に続く第2下降動作において、制御装置50は、再びリフトシリンダ24を収縮させ、接地するまで荷受台5を下降させる。
【0047】
荷受台5が接地したら、図10に示したようにガイドローラ13(同図ではガイドローラ13は車両のバンパーに隠れている)に立て掛かった状態の先端側荷受台7を引き倒して荷受台5を水平に展開する。先端側荷受台7を倒す動作は人力とするが、シリンダ等の駆動装置を別途設けて駆動装置により先端側荷受台7を開く構成としても良い。
【0048】
・格納動作
荷受台昇降装置4の格納動作は、リフトシリンダ24及びスライドシリンダ14を対象としたシーケンス制御により、地上にある荷受台5を車枠1の下に引き込んで格納する動作である。この格納動作は、後端センサaがオンの条件下で上げ操作がされて荷受台5が折り畳まれることを条件に実行される。従って、地上で水平に開いた先端側荷受台7を、図10の矢印と反対方向にガイドローラ13に立て掛ける準備作業を事前に行っておく必要がある。この準備作業は人力で行うこととするが、シリンダ等の駆動装置を別途設けて駆動装置により先端側荷受台7を閉じる構成としても良い。この準備作業をしておくことで、上げ操作に伴って荷受台5が上昇する過程で基端側荷受台6と先端側荷受台7の荷受面のなす角θが減少し、所定の高さまで上昇すると荷受台5が折り畳まれてゲートセンサcがオフからオンに切り換わる。
【0049】
本実施形態の格納動作には、第1上昇動作、第1引込動作、第2上昇動作、及び第2引込動作が含まれ、展開動作と同じようにステップ状に地上から格納位置まで荷受台5が移動する。第1上昇動作において、制御装置50は、リフトシリンダ24を伸長させ、地面からゲートセンサcがオンになる高さまで荷受台5を上昇させる。第1上昇動作に続く第1引込動作において、制御装置50は、スライドシリンダ14を収縮させ、格納センサbがオンになる位置まで荷受台5を前方に引き込む。第1引込動作に続く第2上昇動作において、制御装置50は、再びリフトシリンダ24を伸長させ、圧力センサdがオンになるまで荷受台5を上昇させる。第2上昇動作に続く第2引込動作において、制御装置50は、再びスライドシリンダ14を収縮させ、前端位置まで荷受台5を前進させて格納状態とる。
【0050】
-荷受台の引込開始動作-
本実施形態では、ガイドレール11に対して荷受台5が平行(前述した相対角が設定角度範囲内)であることを条件として、荷受台5の上昇動作(本例では第1上昇動作)から引込動作作(本例では第1引込動作)に移行する。具体的には、荷受台5の動作を上昇動作から引込動作に切り換える際、制御装置50は、ゲートセンサcの出力を基に荷受台5が折り畳み状態であるかを判定し、チルトセンサf1,f2の出力を基に荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっているかを判定する。そして、荷受台5が折り畳み状態で、かつ荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっていることを条件に、上げ操作に伴って操作装置40から入力される上げ操作信号に応じてスライドシリンダ14を収縮させ、車枠1の下部に荷受台5を引き込む。
【0051】
このとき、本実施形態において、制御装置50は、荷受台5が折り畳み状態であり、かつ荷受台5の相対角が設定角度範囲から外れている場合、ガイドレール11に対して荷受台5が平行になるように荷受台5の相対角を自動で調整する。荷受台5が折り畳み状態に移行した際に荷受台5とガイドレール11とが平行でなければ、制御装置50は、リフトシリンダ24を停止させてからスライドシリンダ14を駆動するまでの間に、チルトシリンダ23の制御を実行する。これにより荷受台5の相対角を設定角度範囲に収めた後、制御装置50は、スライドシリンダ14を駆動して車枠1の下部に荷受台5を引き込む。荷受台5の格納動作の一連の工程は全て上げ操作に応じて実行され、この荷受台5の相対角の自動調整も上げ操作中に所定条件下で自動的に実行される。
【0052】
以下、制御装置50による荷受台5の引込開始動作の具体的制御手順を例示する。
【0053】
図11は制御装置50による荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャートである。図11で説明するフローは、前述した格納動作における第1上昇動作の開始から第1引込動作に切り換わる間のシーケンスに当たり、上げ操作信号の入力判定(ステップS11)を所定のサイクルタイム(例えば0.1s)で繰り返し実行する。同図のフローは、先端側荷受台7をガイドローラ13に立て掛ける前掲の準備作業の後、オペレータが荷受台5の格納を意図して行う上げ操作による動作のみを表しており、例えば格納を中止して途中で下げ操作に変更するような場合の動作は表していない。
【0054】
まず、制御装置50は、上げ操作信号の入力の有無で上げ操作がされているかを判定する(ステップS11)。上げ操作がされておらず上げ操作信号の入力がない場合、制御装置50は、パワーユニット30への指令出力をすることなく(又は指令出力を停止し)、ステップS11に手順を戻す(ステップS12)。従って、上げ操作がされていない間は、ステップS11,S12の処理が繰り返されて荷受台5は停止状態となる。上げ操作がされて上げ操作信号が入力されている場合、制御装置50は、後端センサaがオンであるかを判定する(ステップS13)。仮に後端センサaがオフであれば、制御装置50は、ステップS11に手順を戻すが、荷役作業後の格納開始の場面において後端センサaはオンであり、ステップS13の判定は満たされる前提である。
【0055】
後端センサaがオンであることを確認したら、制御装置50は、ゲートセンサcがオンであるかを判定する(ステップS14)。荷受台5が折り畳み状態に移行しておらずゲートセンサcがオフの状態であれば、制御装置50は荷受台5の上昇を指令してステップS11に手順を戻し(ステップS15)、ゲートセンサcがオンになるまでステップS11-S15の手順を繰り返す。ステップS11-S15の手順を繰り返すうちに、荷受台5が上昇し折り畳み状態に移行してゲートセンサcがオンになったら、制御装置50は、上昇指令を停止して荷受台5の上昇動作を停止させる(ステップS16)。
【0056】
荷受台5の上昇動作を停止させたら、制御装置50は、チルトセンサf1がオフであるかを判定する(ステップS17)。その際、チルトシリンダ23の長さが適正範囲よりも短く、ガイドレール11に対して基端側荷受台6が設定角度範囲から外れて後傾していれば(後端側が下がっていれば)、チルトセンサf1はオンになる。この場合、制御装置50はチルトアップ指令(チルトシリンダ23の伸長指令)を実行してステップS11に手順を戻し(ステップS18)、ステップS11-S18の手順を繰り返す。ステップS11-S18の手順を繰り返し荷受台5がチルトアップするうちに、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲の下限値に一致してチルトセンサf1がオフになったら、制御装置50は、チルトアップ指令を停止する(ステップS19)。
【0057】
ステップS17でチルトセンサf1がオフであると判定された場合、制御装置50は、チルトセンサf2がオンであるかを判定する(ステップS20)。チルトシリンダ23の長さが適正範囲よりも長く、ガイドレール11に対して基端側荷受台6が設定角度範囲から外れて前傾していれば(後端側が上がっていれば)、チルトセンサf2はオフになる。この場合、制御装置50はチルトダウン指令(チルトシリンダ23の収縮指令)を実行してステップS11に手順を戻し(ステップS21)、ステップS11-S21の手順を繰り返す。ステップS11-S21の手順を繰り返し荷受台5がチルトダウンするうちに、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲の上限値に一致してチルトセンサf2がオンになったら、制御装置50は、チルトダウン指令を停止する(ステップS22)。
【0058】
なお、ステップS17-S19の手順とステップS20-S22の手順は、実行順序を入れ換えても良い。ステップS17-S19のチルトアップ動作、又はステップS20-S22のチルトダウン動作の結果、ガイドレール11に対する基端側荷受台6の相対角が設定角度範囲に収まると、ステップS17,S20の双方の判定が満たされる。また、格納動作の開始時点でチルトシリンダ23の長さが適正範囲に収まっていれば、ステップS17-S22の角度調整をするまでもなくステップS17,S20の判定は満たされる。こうしてステップS17,S20の判定が満たされたら、制御装置50は、チルトシリンダ23及びリフトシリンダ24を停止させた状態でスライドシリンダ14を収縮させ、荷受台5の動作を上昇動作から引込動作に移行する。
【0059】
-効果-
(1)本実施形態の荷受台昇降装置4は、床下格納式でありながら荷受台5の任意のチルト動作が可能であり、車両に対して荷受台5を適宜傾けることで、例えば車両の停車位置が坂道である場合でも荷受台5を水平にして荷役作業をすることができる。しかし、荷受台昇降装置4は床下格納式であるため、車両のデパーチャアングルを確保する上でも荷受台5を車枠1に極力接近させて格納しなければならない。このように荷受台5と車枠1とが接近した状態では、ガイドレール11に対する荷受台5の平行精度が出ていないと、格納時に周辺構造物に荷受台5が干渉する恐れがある。
【0060】
それに対し、本実施形態では、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっていることを条件として荷受台5が床下に引き込まれる。そのため、例えば荷受台5を傾けて使用した後で荷受台5の角度を戻して床下に格納する場合、ガイドレール11に対する相対角が設定角度範囲に収まっていない状態で荷受台5が床下に引き込まれることを回避できる。従って、荷受台5のチルト機能を備えつつ適正に荷受台5を床下に格納することができる。
【0061】
また、特に図示していないが、荷受台5は格納状態で落下防止部材に係止される。落下防止部材については、特開2019-55747号公報に詳しく記載されている。荷受台5が設定角度範囲から外れて傾斜していると、荷受台5が落下防止部材と適正に係り合わない可能性がある。荷受台5が適正に係止されていない状態で長時間放置されると、リフトシリンダ24やチルトシリンダ23の作動油のリークにより荷受台5が徐々に下降する可能性がある。
【0062】
それに対し、本実施形態においては、ガイドレール11に対する相対角が設定角度範囲に収まった状態で荷受台5が床下に引き込まれるので、格納状態に移行する際、落下防止部材に荷受台5を適正に係止させることができる。
【0063】
(2)本実施形態の場合、格納動作の過程で荷受台5が折り畳み状態に移行した際、荷受台5の相対角が設定角度範囲から外れている場合、チルトシリンダ23を駆動して荷受台5の角度を自動調整した上で荷受台5の引込動作が実行される。これにより手動でチルトシリンダ23を駆動して荷受台5の角度を調整することなく、円滑に荷受台5を適正に格納することができる。
【0064】
(3)チルトセンサf1,f2でチルトシリンダ23のストロークを検出する構成であるため、比較的安価な近接スイッチを利用してガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっているかを判定することができる。
【0065】
但し、チルトシリンダ23のストロークを判定する限りにおいては、レーザ等を用いて対象物との距離を測定する非接触型の距離計を用いることもできる。例えばチルトシリンダ23のチューブにチルトセンサとして距離計を設置し、ロッド側のターゲットとなる構造物までの距離を距離計で測定することで、チルトシリンダ23のストロークを測定することができる。この場合、チルトセンサは1つで足りる。また、近接スイッチを用いる場合でも、例えばドグを短尺化してチルトシリンダ23の伸縮過程でそのドグが近接スイッチの検知範囲を通過する構成とすることで、チルトセンサを1つにすることができる。つまり、荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっている状態でのみ近接スイッチの検知範囲にドグが重なる構成である。第2実施形態や第3実施形態でも同様である。
【0066】
<第2実施形態>
図12は本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台5の引込開始動作の制御手順を表すフローチャートである。同図において、第1実施形態における引込開始動作の制御手順と同様の手順には図11と同一の番号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0067】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、荷受台5が折り畳み状態で、かつガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲から外れている場合、制御装置50が報知出力装置Aに報知出力動作を指令する点である。本実施形態において、荷受台5が設定角度範囲から外れている場合に、チルトアップ指令及びその停止指令、並びにチルトダウン指令及びその停止指令(図11のステップS18,S19,S21,S22)が実行されることはなく、これらの手順は省略される。
【0068】
図12のフローを説明すると、まずステップS11-S17の手順は第1実施形態と同様である。荷受台5が設定角度範囲から外れて後傾していて、荷受台5が折り畳み状態になったときにチルトセンサf1がオンである場合、制御装置50は報知出力装置Aに報知出力動作(アラーム)を指令してステップS11に手順を戻す(ステップS23)。また、荷受台5が設定角度範囲から外れて前傾していて、荷受台5が折り畳み状態になったときにチルトセンサf2がオフである場合も、制御装置50は報知出力装置Aに報知出力動作(アラーム)を指令してステップS11に手順を戻す(ステップS24)。ステップS23,S24で指令する報知出力動作は、報知出力装置Aの同一の動作でも良いし、荷受台5が前傾状態なのか後傾状態なのか、つまりチルトダウンさせれば良いのかチルトアップさせれば良いのかがオペレータに伝わるように異なる動作としても良い。また、ステップS17,S20の判定順序は逆でも良いし併せて実行しても良い。
【0069】
荷受台5が折り畳み状態に移行したもののガイドレール11に対して荷受台5が平行でない場合、上げ操作がされても、制御装置50はステップS11-S24の手順を繰り返し、荷受台5を駆動することなく荷受台5が傾斜している旨をオペレータに報知する。その後、オペレータが前傾操作又は後傾操作をし、荷受台5がガイドレール11に対して平行になるように手動で角度調整を行ってから再び上げ操作をするとステップS17,S20の判定が満たされ、制御装置50は荷受台5の引込動作に移行する。荷受台5が折り畳み状態に移行した時点でオペレータが荷受台5の角度を手動調整するまでもなくステップS17,S20の判定が満たされる場合、制御装置50は、報知出力動作指令(ステップS23,S24)をすることなく荷受台5の引込動作に手順を移す。
【0070】
本実施形態において、その他の点は、荷受台昇降装置4のハード構成を含めて第1実施形態と同様である。
【0071】
本実施形態においても、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっていることを条件として荷受台5が床下に引き込まれるため、荷受台5のチルト機能を備えつつ適正に荷受台5を床下に格納することができる。また、報知出力装置Aを介して報知出力動作を出力し、荷受台5の相対角が設定角度範囲から外れている旨をオペレータに報知することにより、オペレータに荷受台5の角度調整を積極的に促し、障害物との干渉を避けて荷受台5を格納することができる。
【0072】
<第3実施形態>
図13は本発明の第3実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台5の引込開始動作の制御手順を表すフローチャートである。同図において、第2実施形態における引込開始動作の制御手順と同様の手順には図12と同一の番号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0073】
本実施形態が第2実施形態と相違する点は、荷受台5が折り畳み状態に移行した時点でガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲から外れていることをオペレータに報知する手順(図12のステップS23,S24)を省略した点である。本実施形態においても、第2実施形態と同じく、荷受台5が設定角度範囲から外れている場合にチルトシリンダ23の制御は実行されず、図11のステップS18,S19,S21,S22に相当する手順は存在しない。つまり、制御装置50は、荷受台5の相対角が設定角度範囲から外れている場合、単に上げ操作信号に応じたスライドシリンダ14の動作を不能とする(インターロックをかける)。
【0074】
図13のフローを説明すると、まずステップS11-S20の手順は第2実施形態と同様である。荷受台5が設定角度範囲から外れて後傾していて、荷受台5が折り畳み状態になったときにチルトセンサf1がオンである場合、制御装置50はパワーユニット30にも報知出力装置Aにも指令を出力することなくステップS11に手順を戻す(ステップS17)。また、荷受台5が設定角度範囲から外れて前傾していて、荷受台5が折り畳み状態になったときにチルトセンサf2がオフである場合も、制御装置50はパワーユニット30や報知出力装置Aに指令することなくステップS11に手順を戻す(ステップS20)。ステップS17,S20の判定順序は逆でも良いし併せて実行しても良い。
【0075】
荷受台5が折り畳み状態に移行したもののガイドレール11に対して荷受台5が平行でない場合、上げ操作がされても、制御装置50は、ステップS11-S20の手順を繰り返し、上げ操作があっても荷受台5も報知出力装置Aも駆動しない。その後、オペレータが前傾操作又は後傾操作をし、荷受台5がガイドレール11に対して平行になるように手動で角度調整を行ってから再び上げ操作をすると、ステップS17,S20の判定が満たされ、制御装置50は、荷受台5の引込動作に移行する。荷受台5が折り畳み状態に移行した時点で荷受台5の角度を手動調整するまでもなくステップS17,S20の判定が満たされる場合、制御装置50は、インターロックの手順を行う(ステップS11に手順を戻す)ことなく荷受台5の引込動作に移行する。
【0076】
本実施形態において、その他の点は、荷受台昇降装置4のハード構成を含めて第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
【0077】
本実施形態においても、ガイドレール11に対して荷受台5が平行でない場合には、荷受台5の格納を意図して上げ操作をしても、荷受台5が折り畳み状態に移行した段階で荷受台5が動作しなくなる。そして、オペレータがガイドレール11に対して平行になるように荷受台5の角度を調整しなければ、荷受台5は車枠1の下に引き込まれない。本実施形態においても、荷受台5のチルト機能を備えつつ適正に荷受台5を床下に格納することができる。
【0078】
<第4実施形態>
図14は本発明の第4実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったパワーユニットの一構成例を表す油圧回路図である。同図は第1実施形態の図5に対応しており、第1実施形態と同様の要素には図5と同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角を演算し、その演算値によりガイドレール11に対して荷受台5が設定角度範囲にあるかどうかを判定する点である。第1実施形態-第3実施形態では、チルトシリンダ23のストロークを検出してガイドレール11に対する荷受台5の相対角を判定する構成を例示したが、本実施形態ではガイドレール11に対する荷受台5の相対角を演算する。そのために、本実施形態では、近接スイッチであるチルトセンサf1,f2に代え、前述した第1の傾斜センサeと共に第2の傾斜センサe’をチルトセンサとして用いる。
【0080】
傾斜センサe’には、傾斜センサeと同じ方式のセンサを用いることができる。傾斜センサe’の出力は制御装置50に入力される。傾斜センサe’は、車枠1に対する傾斜角度が不変のスライドユニット10(例えば静止体であるガイドレール11)又は車枠1に設置される。すなわち、この傾斜センサe’により、重力方向を基準とする車枠1やガイドレール11の角度φ2が測定される。重力方向を基準とする荷受台5の角度φ1が荷受台5に設置した傾斜センサeで測定されるので、制御装置50において傾斜センサe,e’で測定された角度φ1,φ2の差を演算することにより、ガイドレール11の荷受台5の相対角αを演算することができる。本実施形態では、制御装置50のメモリに相対角αについての設定角度範囲の下限値α1及び上限値α2が記憶されている。制御装置50において、演算した相対角αをこれら下限値α1及び上限値α2と比較することで、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角αが設定角度範囲(α1~α2)に収まっているかが判定される。
【0081】
図15は本発明の第4実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台5の引込開始動作の制御手順を表すフローチャートである。同図において、第1実施形態における引込開始動作の制御手順と同様の手順には図11と同一の番号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0082】
図15のフローを説明すると、まずステップS11-S16の手順は第1実施形態と同様である。本実施形態では、荷受台5が折り畳み状態に移行して上昇動作を停止したら(ステップS16)、制御装置50は、傾斜センサe,e’の出力を基にガイドレール11に対する荷受台5の相対角αを演算する(ステップS16a)。本実施形態では、チルトセンサf1,f2のオンオフの判定(図11のステップS17,S20)の代わりに、相対角αが下限値α1以上であるか(ステップS17’)、また相対角αが上限値α1以下であるか(ステップS20’)を判定する。荷受台5が設定角度範囲から外れて後傾していて、αが下限値α1を下回っていれば、チルトアップ指令をしてステップS11に手順を戻す(ステップS18)。その結果、相対角αが下限値α1以上になればチルトアップ指令を停止する(ステップS19)。反対に荷受台5が設定角度範囲から外れて前傾していて、αが上限値α2を上回っていれば、チルトダウン指令をしてステップS11に手順を戻す(ステップS21)。その結果、相対角αが上限値α2以下になればチルトアップ指令を停止する(ステップS22)。荷受台5の相対角αが設定角度範囲に収まって(α1≦α≦α2)ステップS17’,S20’の判定が共に満たされれば、制御装置50は荷受台5の引込動作に手順を移す。
【0083】
なお、ステップS17’,S18,S19の手順とステップS20’,S21,S22の手順は、実行順序を入れ換えても良い。
【0084】
本実施形態において、以上で説明した点以外については、第1実施形態と同様である。
【0085】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様にガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっていることを条件として荷受台5が床下に引き込まれる。従って、荷受台5のチルト機能を備えつつ適正に荷受台5を床下に格納することができる。
【0086】
また、本実施形態においては、第1実施形態に対し、傾斜センサe’を設ける代わりに2つのチルトセンサf1,f2(近接スイッチ)を省略することができる。そのため、第1実施形態に比べてセンサ数を減らし、部品点数を削減できるメリットがある。
【0087】
なお、本実施形態では、傾斜センサe,e’の出力を基に演算した相対角αが設定角度範囲から外れている場合の処理として、第1実施形態と同様にチルトシリンダ23を制御する場合を例示した。しかし、第2実施形態と同様にオペレータに報知したり、第3実施形態と同様に単にインターロックを実行したりすることも、勿論可能である。
【0088】
また、本実施形態では、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角αを演算するために、2つの傾斜センサe,e’を用いる構成を例示したが、相対角αを演算する方法はこの例に限られない。例えばスライドユニット10(スライダ12等)に対するアーム22の角度を検出する第1の角度センサと、アーム22に対する基端側荷受台6の角度を検出する第2の角度センサとを設け、これら角度センサの出力を基に相対角αを演算することもできる。
【0089】
また、相対角αを演算する代わりに、近接スイッチで設定角度範囲を検出する構成とすることもできる。例えばスライダ12に対してアーム22が所定範囲の角度のときにオン(又はオフ)になる第1の近接スイッチと、アーム22に対して基端側荷受台6が所定範囲の角度のときにオン(又はオフ)になる第2の近接スイッチとを設ける構成が例示できる。つまり、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角αが設定角度範囲に収まった適正な姿勢のときに2つの近接スイッチが所定の組み合わせでオンオフするように構成すれば、近接スイッチで設定角度範囲を検出することができる。
【0090】
<第5実施形態>
図16は本発明の第5実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった制御装置による荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャートである。同図において、第1実施形態における引込開始動作の制御手順と同様の手順には図11と同一の番号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0091】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、荷受台5が折り畳み状態で、かつガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲に対して上下いずれかの特定方向から収まったことを条件として、制御装置50が車枠1の下部に荷受台5を引き込む点である。荷受台5の引込動作に移行する条件として、荷受台5が後傾姿勢から設定角度範囲に収まることを設定することもできるが、本実施形態においては、荷受台5が前傾姿勢から設定角度範囲に収まることを条件とする。
【0092】
具体的には、制御装置50は、荷受台5が折り畳み状態に移行した際、相対角が設定角度範囲から外れて荷受台5が前傾しているときは、第1実施形態と同じく格納操作信号に応じてチルトシリンダ23を駆動し荷受台5を後傾動作させて水平にする。こうして荷受台5の相対角を設定角度範囲に収めた後、制御装置50は、スライドシリンダ14を収縮させて車枠1の下部に荷受台5を引き込む。
【0093】
荷受台5が折り畳み状態に移行した際、相対角が設定角度範囲から外れて荷受台5が前傾していなければ、制御装置50は、格納操作信号に応じてチルトシリンダ23を駆動し、荷受台5を一旦前傾させてから水平にする。相対角が設定角度範囲から外れて荷受台5が前傾していない場合とは、相対角が設定角度範囲に収まって荷受台5が水平である場合、及び相対角が設定角度範囲から外れて荷受台5が後傾している場合である。これらの場合には、制御装置50は、まず相対角が設定角度範囲から外れて荷受台5が前傾する状態に一旦してから、荷受台5の相対角を設定角度範囲に収め、その後、スライドシリンダ14を収縮させて車枠1の下部に荷受台5を引き込む。
【0094】
図16のフローを説明すると、まずステップS11-S16の手順は第1実施形態と同様である。本実施形態では、荷受台5が折り畳み状態に移行して上昇動作を停止したら(ステップS16)、制御装置50は、チルトセンサf1,f2が共にオフであるかを判定する(ステップS17”)。ステップS17”は荷受台5前傾姿勢であるかを判定する手順であるが、チルトセンサf2がオフであれば必然的にチルトセンサf1もオフになる。結果として、ステップS17”はチルトセンサf2がオフであるかの判定に等しく、図11(第1実施形態)のステップS17と同じアルゴリズムを適用することができる。
【0095】
荷受台5前傾姿勢であってチルトセンサf2がオフである場合、制御装置50は、チルトダウン指令を実行しつつ(ステップS21)チルトセンサf2がオンになったかを判定する(ステップS21a)。ステップS21,S21aの手順を繰り返すうちにチルトセンサf2がオンになったら、制御装置50は、チルトダウン指令を停止し(ステップS22)、荷受台5の引込動作に移行する。荷受台5が前傾姿勢からチルトダウンし、チルトセンサf2がオンになった時点で引込動作に移行するので、荷受台5は水平姿勢(チルトセンサf2がオンで、かつチルトセンサf1がオフの姿勢)で引き込まれる。
【0096】
他方、上昇指令を停止した時点で荷受台5が水平姿勢(チルトセンサf2がオンでチルトセンサf1がオフ)又は後傾姿勢(チルトセンサf1,f2ともにオン)である場合、制御装置50は、チルトアップ指令を実行する(ステップS18)。本実施形態では、この時点においては荷受台5が前傾姿勢と判定されない限り、たとえ水平姿勢と判定された場合であっても、荷受台5をチルトアップして一旦前傾姿勢に移行させる。制御装置50は、チルトアップ指令をしつつ上げ操作が継続していることを確認し(ステップS18a)、チルトアップ動作に伴ってチルトセンサf2がオフになってからの経過時間が遅延時間(極短い設定値)に到達したかを判定する(ステップS18b)。仮にチルトセンサf2がオフになって遅延時間が経過するまでに上げ操作が中断されたら、制御装置50は荷受台昇降装置4の動作を停止させて(ステップS18c)ステップS11に手順を戻す。チルトアップに伴ってチルトセンサf2がオフになってから遅延時間が経過し荷受台5が僅かに前傾した時点で、制御装置50は、チルトアップ指令を停止し(ステップS19)、ステップS11に手順を戻す。ステップS11に手順が戻ると、この場面では、上げ操作がされていればステップS11,S13,S14,S17”の判定は満たされる。そのため、制御装置50は、チルトアップ指令停止(ステップS19)の後、チルトダウン指令(ステップS21)に移行し、前述したようにステップS21,S21a,S22の手順を経て、荷受台5の引込動作指令に移行する。
【0097】
本実施形態において、以上で説明した点以外については、第1実施形態と同様である。
【0098】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様にガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっていることを条件として荷受台5が床下に引き込まれる。従って、荷受台5のチルト機能を備えつつ適正に荷受台5を床下に格納することができる。
【0099】
また、荷受台5が水平であると判定される状態であっても、チルトダウンにより上から設定角度範囲に収まったのかチルトアップにより下から設定角度範囲に収まったのかで、荷受台5の角度に僅かなばらつきが生じ得る。この点を考慮して、本実施形態では、決まった方向から荷受台5が設定角度範囲に収まることを条件として荷受台5の引込動作が開始されることとした。これにより、引込動作中の荷受台5の角度のばらつきが一層抑制される。
【0100】
特に本実施形態においては、チルトダウンにより荷受台5が上から設定角度範囲に収まることを条件に設定した。チルトアップは、油圧ポンプ32を駆動してチルトシリンダ23に作動油を送り込んで実行される動作である。それに対し、チルトダウンは、前述した通り荷受台5の自重を利用した動作である。つまり、チルトアップ動作の場合、制御弁34の他、電動モータ31及び油圧ポンプ32の制御を伴うため、これら機器の応答性の変動により停止のタイミングにばらつきが生じ得る。それに対し、チルトダウン動作の場合、制御弁34の制御のみで実行され、しかも動力を用いず荷受台5の自重を利用した動作であるため、応答良くスムーズに停止でき、停止のタイミングのばらつきが生じ難い。そのため、チルトアップにより荷受台5が水平になったことを条件とする場合に比べ、最終的にチルトダウンにより荷受台5が水平になったことを条件とすることにより、引込動作時の荷受台5の角度のばらつきの発生をより合理的に抑制することができる。
【0101】
<変形例>
なお、第1-第3及び第5実施形態は、チルトシリンダ23の長さが適正であるかを判定する形態であると言え、荷受台5が折り畳み状態に移行する前であってもステップS17(S17”),S20(図11)の判定が満たされる状態であるかは判定できる。従って、ステップS17(S17”),S20の判定をステップS14よりも前に実行し、荷受台5の相対角が設定角度範囲から外れることを認識した上で、折り畳み状態に移行した際に荷受台5の角度調整、アラーム発報、又はインターロックを実行しても良い。
【0102】
また、第1-第5実施形態は適宜組み合わせ可能である。例えば、第4実施形態の傾斜センサe,e’を用いた判定を、第2、第3又は第5実施形態のチルトセンサf1,f2を用いた判定に代えて適用することもできる。
【0103】
また、発明の本質は、ガイドレール11に対する荷受台5の相対角が設定角度範囲に収まっている状態で引込動作が実行されるようにすることであり、この思想を逸脱しない範囲で荷受台昇降装置4の構成や動作は適宜変更可能である。例えば、第1上昇動作、第1引込動作、第2上昇動作、第2引込動作の手順を含む荷受台5の格納動作を例に挙げて説明したが、例えば単純に後端位置から一直線に前端位置まで荷受台5を引き込んで格納動作を完了する構成であっても良い。また、荷受台5が地面から格納位置に至るまでに介在する上昇動作及び引込動作の数は2回ずつに限定されず、必要であれば増やしても良い。また、荷受台5が車枠1の後方に引き出される荷受台昇降装置を適用対象として説明したが、車枠1の側方(例えば左側)に荷受台5が引き出されるものにも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…車枠、4…荷受台昇降装置、5…荷受台、11…ガイドレール、12…スライダ、14…スライドシリンダ、22…アーム、23…チルトシリンダ、24…リフトシリンダ、40…操作装置、50…制御装置、A…報知出力装置、c…ゲートセンサ、e…傾斜センサ(第1の傾斜センサ)、e’…傾斜センサ(第2の傾斜センサ)、f1,f2…チルトセンサ(近接スイッチ、ストロークを検出するセンサ)、α…相対角、α1…設定角度範囲の下限値、α2…設定角度範囲の上限値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16