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特開2022-124479テキスタイルワイヤーと導電性テープとからなるアンテナを用いた無線周波数送受信デバイスおよび関連する電子タグ
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  • 特開-テキスタイルワイヤーと導電性テープとからなるアンテナを用いた無線周波数送受信デバイスおよび関連する電子タグ 図1a
  • 特開-テキスタイルワイヤーと導電性テープとからなるアンテナを用いた無線周波数送受信デバイスおよび関連する電子タグ 図1b
  • 特開-テキスタイルワイヤーと導電性テープとからなるアンテナを用いた無線周波数送受信デバイスおよび関連する電子タグ 図1c
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124479
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】テキスタイルワイヤーと導電性テープとからなるアンテナを用いた無線周波数送受信デバイスおよび関連する電子タグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220818BHJP
   H01Q 9/42 20060101ALI20220818BHJP
   G06K 19/02 20060101ALI20220818BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G06K19/077 280
H01Q9/42
G06K19/02 050
G06K19/077 156
G06K19/077 212
H01L21/60 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022020365
(22)【出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】2101414
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】519275571
【氏名又は名称】プリモ1ディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンネ ギーリマンド
(72)【発明者】
【氏名】ダニエレ セッテ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴワール スーニエ
(57)【要約】
【課題】本発明は、送受信回路(4)と、送受信回路(4)に電気的に連結された2つの連結パッド(4a、4b)とを有するチップ(1)と、チップ(1)の送受信回路(4)に接続されたダイポールアンテナ(7a、7b)とを備えた無線周波数送受信デバイス(D)に関する。
【解決手段】本発明によれば、ダイポールアンテナ(7a、7b)は、テキスタイルヤーンと、導電性材料から形成された少なくとも1本のテープとを含み、テープは、少なくとも部分的に覆うためにテキスタイルヤーンに複数巻の状態で巻きつけられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数送受信デバイス(D)であって、
-送受信回路(4)と、前記送受信回路(4)に電気的に連結された少なくとも2つの連結パッド(4a、4b)とを含むチップ(1)と、
-前記チップ(1)の前記送受信回路(4)に接続されたダイポールアンテナ(7a、7b)と
を備え、
前記無線周波数送受信デバイス(D)は、前記アンテナ(7a、7b)が、テキスタイルヤーンと、導電性材料から形成された少なくとも1本のテープとを含むことにおいて特徴づけられ、前記テープは、少なくとも部分的に覆うために前記テキスタイルヤーンに複数巻の状態で巻きつけられていることを特徴とする無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項2】
前記ダイポールアンテナは、前記チップ(1)の前記2つの連結パッド(4a、4b)にそれぞれ電気的に連結された2本のアンテナワイヤー(7a、7b)からなることを特徴とする請求項1に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項3】
前記2本のアンテナワイヤー(7a、7b)は、前記チップ(1)の対向面に提供された2つの縦溝(2a、2b)にそれぞれ収容されることを特徴とする請求項2に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項4】
前記ダイポールアンテナは、インピーダンス整合ループ(b)を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項5】
前記2本のアンテナワイヤー(7a、7b)は、ボンディング材を介して前記チップ(1)の前記2つの連結パッド(4a、4b)へそれぞれ組み立てられることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項6】
前記テキスタイルヤーンを構成する前記材料(複数可)は、前記ヤーンが2Nの荷重の張力を受けて置かれたとき、80℃から300℃の間に選択された決定されている温度における前記ヤーンの局所的な加熱により切れないように選択されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項7】
前記テキスタイルヤーンを構成する前記材料(複数可)は、150℃より高いガラス転移温度を示すことを特徴とする請求項6に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項8】
前記テキスタイルヤーンは、静止時の長さの5%、20%、50%以上の、または100%ちょうどの弾性の伸長力を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項9】
前記テキスタイルヤーンは、アラミド繊維または芳香族ポリエステルから作られることを特徴とする請求項8に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項10】
前記テキスタイルヤーンは、5%未満の弾性の伸長力を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項11】
前記テープは、圧延した金属線から作られることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項12】
前記テープは、前記テキスタイルヤーンの直径の30倍以下の、有利には前記直径の10倍以下の厚さを有することを特徴とする請求項11に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項13】
前記巻きは、切れ目のある、離れて間隔をあけられることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項14】
前記巻きは、切れ目のない、または重なり合うことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項15】
前記テキスタイルヤーンに複数巻の状態で巻きつけられた導電性材料によって形成された複数のテープを備えることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の無線周波数送受信デバイス(D)。
【請求項16】
織物部分と、前記織物部分へバッキングするおよび/または組み込まれた、請求項1ないし15のいずれか一項に係る無線周波数送受信デバイス(D)とを備えたことを特徴とする電子タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばRFIDタグなど、無線周波数送受信デバイスに関する。より詳細には、本発明は、ワイヤードフォームファクタ(wired form factor)を有する無線周波数送受信デバイスに関する。上記のデバイスは、物体を、より詳細には、例えば衣類またはタイヤの分野における場合であるように、変形させやすい物体を、タギングする分野において適用を見出す。
【背景技術】
【0002】
文献US8471773、WO2016038342、WO2011161336、GB2472025、GB2472026、JP2013189718、またはWO2008080245は、織物の性質を持つ長い束に集積回路を組み入れているデバイスを開示し、ゆえに、デバイスにワイヤフォームファクタを付与することを認めている。文献US2019391560において、電気伝導体からなる2本のアンテナワイヤーは、それぞれ、「E-Thread(トレードマーク)」技術の実装にしたがって、無線周波数(RF)送受信チップのパッドにはんだ付けされる。
【0003】
今述べたはんだ付けは、チップの側面および対向面に与えられた溝において実行されることがある。従来、アンテナワイヤーは、導電性材料のストランド(または上記のストランドの複数)から構成され、直径が通常50から200ミクロンの間である実質上円形の断面を有して、チップの片側に形成された溝に挿入されることを可能にし、チップの高さが通常300から500ミクロンの間である。
【0004】
送受信チップのパッドとアンテナワイヤーとの間の電気的な連結がどのようにできているかに関わらず、連結は相対的に壊れやすいままである。今述べたことは、特に、送受信デバイスが物体に統合されるとき、または物体への統合の間、アンテナワイヤーにかかることがある引っ張り力、ねじりの力、またはせん断力に関する場合である。
【0005】
今述べた力の少なくともいくつかに関して、無線周波数送受信デバイスをより堅牢にするために、曲げやすい特性およびワイヤードフォームファクタを失うことなしに、最新の状況についての若干の文献、例えば文献WO2019175509などは、テキスタイルヤーン(textile yarn)によりデバイスをバッキングすることを規定する。例えば、今述べたことは、テキスタイルコアヤーン(textile core yarn)にデバイスを巻き付けるという動作を含むことがある。
【0006】
特に、今述べた覆う動作は、RF送受信デバイスのチェーンを取り扱うことを必要とするので、実装することに対して慎重を要する。特に、チップとアンテナワイヤーとの間の電気的な連結において、上記の動作の間に今述べたチェーンにかかる力は、それらの分離を導くことがあって、分離が選び出された後にデバイスを作動させなくする。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、少なくとも部分的に、今述べた問題に取り組もうとする。より詳細には、本発明の目的は、引っ張り力、曲げる力、またはせん断力に関して最新の状況についてのものと少なくとも同じくらい堅牢であり、作るのがより容易であるワイヤードフォームファクタを有する無線周波数伝送受信デバイスを提供することである。
【0008】
今述べた目的を達成する意図により、本発明の主題は、次を含む無線周波数送受信デバイスを提案する。
-送受信回路と、送受信回路に電気的に連結された少なくとも2つの連結パッドとを含むチップ、
-チップの送受信回路に接続されたダイポールアンテナ。
【0009】
本発明によれば、ダイポールアンテナは、テキスタイルヤーン(textile yarn)と、導電性材料から形成された少なくとも1本のテープとを含み、テープは、少なくとも部分的に覆うためにテキスタイルヤーンに複数巻の状態で巻きつけられている。
【0010】
本発明の他の有利な非限定的な特徴によれば、単独において、または技術的に実現可能な組み合わせにおいて、次が取り込まれる。
-ダイポールアンテナは、チップの2つの連結パッドにそれぞれ電気的に連結された2本のアンテナワイヤーから構成される、
-2本のアンテナワイヤーは、チップの対向面に与えられた2つの縦溝にそれぞれ収容される、
-ダイポールアンテナは、インピーダンス整合ループを含む、
-2本のアンテナワイヤーは、ボンディング材を介してチップの2つの連結パッドへそれぞれ組み立てられる、
-テキスタイルヤーンを構成する材料(複数可)は、ヤーンが2Nの荷重の張力を受けて置かれたとき、80℃から300℃の間に選択された決定されている温度におけるヤーンの局所的な加熱により切れないように選択される、
-テキスタイルヤーンを構成する材料(複数可)は、150℃より高いガラス転移温度を示す、
-テキスタイルヤーンは、静止時の長さの5%、20%、50%以上の、または100%ちょうどの弾性の伸長力(elastic elongation power)を有する、
-テキスタイルヤーンは、アラミド繊維または芳香族ポリエステルから作られる、
-テキスタイルヤーンは、5%未満の弾性の伸長力を有する、
-テープは、圧延した金属線から作られる、
-テープは、テキスタイルヤーンの直径の30倍以下の、有利には今述べた直径の10倍以下の厚さを有する、
-巻きは、切れ目のある、離れて間隔をあけられる、切れ目のない、または重なり合う、
-導電性材料によって形成された複数のテープは、テキスタイルヤーンに複数巻の状態で巻きつけられている。
【0011】
別の様相によれば、本発明は、織物部分と、織物部分へバッキングするおよび/または組み込まれた、上に説明されたことにしたがう無線周波数送受信デバイスとを含む電子タグに関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1a】一態様に係る無線周波数送受信デバイスの全体図を示す。
図1b】一態様に係る無線周波数送受信デバイスの断面図を示す。
図1c図1aに示されたデバイスの異形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1aおよび図1bは、それぞれ、一態様に係る無線周波数送受信デバイスDの全体図および断面図を示す。
【0014】
デバイスDは、半導体チップ1(説明の残りにおいて、より簡単に「チップ」と呼ばれる)のかたちの集積電子回路を含む。例示された態様において、および図1bに見られることが可能であるように、チップ1は、作動する送受信回路4を含むサブストレート3によって形成される。さらに、チップは、ここにT字型のクロスセクション(cross-section)を有するカバー5も含み、T字の足部がサブストレート3の主面により組み立てられる。このようにして、2つの縦溝2a、2bは、カバー5のT字の横棒とサブストレート3の主表面との間に、チップ1の2つの両側の側面に形成される。今述べた溝は、2本のアンテナワイヤー7a、7bの縦方向の部分を収納することが意図され、それぞれ、2本のワイヤーが送受信回路4のダイポールアンテナを構成する。溝2a、2bは、チップ1の1つの面からもう一方の面までわたり、通常、各々50から200ミクロンの間にはいっている高さおよび深さを有して、アンテナワイヤー7a、7bの部分が、溝に完全に、および有利にはそれの埋め込みを強要することなく、収容されることがある。
【0015】
また、チップ1は、図1bに示される例にて、サブストレート3の主面の上に配列され、溝2a、2bのうちの1つおよびもう一方へそれぞれ通じている、少なくとも2つの連結パッド4a、4bも含む。今述べたパッド4a、4bは、サブストレート3の上およびの中に配列された導電性トラックおよび/またはビア(via)を用いて、チップ1の送受信回路4と電気的に連結される。ゆえに、アンテナワイヤー7a、7bが溝2a、2bに収容されているときに連結パッド4a、4bと電気的に接触している状態にて今述べたワイヤーを配置することと、送受信回路4と協働させることとが可能である。有利には、連結パッド4a、4bとのアンテナワイヤー7a、7bの電気的な連結は、はんだ材料17または導電性接着剤であり得るボンディング材を用いて作られる。さらに、ボンディング材は、チップ1に対するアンテナワイヤー7a、7bの機械的強度も与える。さらに、アンテナワイヤー7a、7bを連結パッド4a、4bとワイヤーボンディングによって電気的に連結し、今述べたボンディングが、通常、超音波を加えることによって、相互に連結する2つのエレメントにしっかり固定される、例えば金から作られる、導電性ワイヤーを実装することを予想することも可能である。
【0016】
今述べた連結がはんだ付けによって作られるとき、はんだ付け段階は、はんだ付け材料を通常80℃から300℃の間の温度にさらすが、今述べたはんだ付けを実行するとき、チップ1、回路4、およびアンテナワイヤー7a、7bを損傷させやすい過度の温度にさらさないようにすることが可能である。はんだ材料17は、いずれかの適切な導電性材料、例えば、金属、または金属の合金、例えば、スズ、銀、および銅の合金であり得る。溶接する材料は、電磁放射線の適用、超音波によって、熱気流によってなど、いずれかの手段によって溶融されることがある。はんだに対する代わりとなるものとして、重合が温度によっておよび/またはUV放射線の適用によって実行される導電性粘着剤を、ボンディング材として用いることが可能である。さらに別の異形において、アンテナワイヤー7a、7bは、溝に埋め込まれて、今述べたワイヤーと連結パッド4a、4bとの間の接触を強要する。今述べた場合に、ボンディング材17は必要ではなく、ボンディングは、室温において、熱エネルギーの供給なしに実行される。
【0017】
すべての場合に、チップ1、回路4、およびアンテナワイヤーは、例えば300℃を超える、先の段落にて明らかにされたような過度の接合温度(ボンディング材についてのはんだ付けまたは重合の温度)にさらされない。通常、今述べた接合温度は、80℃から300℃の間である。
【0018】
使用のとき、デバイスDは、例えば300℃に達し得る相対的に高い温度にさらされることがあって(例えば、染色段階の間、今述べたデバイスが織物部分へ統合されるとき、または例えば押し出しによる最終的なデバイスへの統合の間)、デバイスおよびその構成要素の温度抵抗(temperature resistance)は、これらの制約を顧慮する性能がなければならないことが特筆される。
【0019】
機械的および化学的保護の理由により、好ましくは、チップ1は、例えば堅くて曲がらない耐水の樹脂など、保護材料19を用いてカプセルに入れられコートされる。
【0020】
多くの異形および追加が、図1a、1bに示されたデバイスDの例になされることがある。ゆえに、送受信回路4は、必ずしもサブストレート3に組み込まれず、カバー5に少なくとも部分的に組み込まれることがある。今述べたカバー5は、必要または有用にみえるならば、図に例示されたチップ1のサブストレート3に形成されたものと同様の連結パッド、トラック、およびビア(via)を与えられるだろう。回路4は、放射受信(emission-reception)およびチップ1のそれ(示された例におけるサブストレート3および/またはカバー5)以外の機能性を有することがある、または、放射受信回路4以外の回路を組み込むことがある。特に、今述べたものは、センサー(温度、圧力など)、計算回路、メモリー、エネルギーソース(バッテリー、太陽電池など)、または例えば発光ダイオードなどの光学的な活性回路などであり得る。本願への前置きにて与えられたタギングアプリケーションに対して、有利には、送受信回路4はRFID識別回路を形成する。
【0021】
図1aの無線周波数送受信デバイスDの概観は、2つのパッド4a、4bに電気的に連結された送受信回路4と、2本のワイヤーがそれぞれ2つのパッドに電気的に連結されている、チップ1の溝に収容された長さの一部を有している2本のアンテナワイヤー7a、7bとを含むチップ1を示す。
【0022】
2本のアンテナワイヤーは、デバイスDのダイポールアンテナを構成し、チップ1が2本のワイヤーの間に配列される。「ダイポールアンテナ」は、今述べた2つの要素間において伝搬する電磁界の電気成分によって、誘導磁界を介するのみではなく、リーダーデバイスと接続する性能があるどんなアンテナでも意味する。送信電磁放射線の送信および/または受信は、送受信回路4を用いて、2本のワイヤー7a、7bの間におよび/または2本のワイヤー7a、7bにおいて、電気信号を印加するまたは集めることによって実行される。
【0023】
図1aに示される有利な構成において、第1のアンテナワイヤー7aは、チップ1の両側に延びる。言い換えれば、第1のアンテナワイヤー7aの中央部分は、チップ1の溝2aに収容される。今述べた中央部分は、示される例においてボンディング材17を用いて、回路4の連結パッド4aに電気的に連結される。さらに、第2のアンテナワイヤー7bは、第1の端においてもう一方の連結パッド4bに電気的に連結される。それゆえ、第2のワイヤー7bは、チップ1の片側に延びるだけである。溝2bに収容される、反対側の第2の端は、第1のアンテナワイヤー7aと電気的に接触して、インピーダンス整合ループbを形成する。
【0024】
図1aのものと機能的に同じである、図1cに示される別の有利な構成において、インピーダンス整合ループbは、チップ1のいずれかの側から延びる第2のアンテナワイヤー7bの1つの端を、チップ1の片側だけに延びる第1のアンテナワイヤー7aに連結することによって作られる。
【0025】
より一般的には、2本のアンテナワイヤー7a、7bは、アンテナのインピーダンスを送受信回路4のインピーダンスに適合できるように、互いに電気的に接触してループbを構成する。ループの長さは、アンテナのインピーダンスをチップ1の送受信回路4のインピーダンスと最もよくマッチするように選択される。
【0026】
2本のアンテナワイヤー7a、7bが、今述べたループbを形成するのに選択された接点の外側にて互いに電気的に接触するのを防止するために、今述べた2本のワイヤー(または少なくとも1本)の新出現の部分を、電気的に絶縁する材料、例えば樹脂などによりコートする準備がされることがある。
【0027】
参照が文献US2019391560に対してなされて、上記のトランシーバーデバイスDを製造することが可能な方法を取得することがある。今述べた文献によれば、チップ1は、アンテナワイヤーにより組み立てられ、2本のワイヤーは、今述べた組立段階の間、張力を受け、実質的に互いに平行に保たれる。
【0028】
重要な様相に従って、およびデバイスDが受けることがある機械的応力に関してデバイスDを堅牢にさせることを目的により、アンテナワイヤー7a、7bは、両方、導電性材料のテープが複数巻の状態で巻きつけられるテキスタイルヤーンからできている。「テープ」は、延ばされた、曲げやすい、平べったいフィルムを意味する。今述べたテープは、例えば、圧延した金属線から構成されることがある。今述べたテープは、テキスタイルヤーンに対して巻かれ、このヤーンに対して少ししっかりしている。テキスタイルヤーンとテープとの間に粘着材を与えることは必要ではない。
【0029】
有利には、テキスタイルヤーンは、伸張性の性質があるように選択され、換言すると、今述べた場合に、ヤーンは、静止時の長さの5%、20%、50%以上、またはちょうど100%であり得る弾性の伸長力を有する。しかしながら、今述べた特性は本質的ではなく、本発明は、例えば5%未満の弾性の伸長を有する、伸長性のないテキスタイルヤーンと完全に互換性がある。
【0030】
テキスタイルヤーンを構成する材料は、先に述べたデバイスDの製造および使用のために、熱処理に耐性があるように選択される。より具体的には、テキスタイルヤーンを構成する材料は、ヤーンが2Nの荷重の張力をかけられて置かれたとき、アンテナワイヤー7a、7bとチップ1との連結温度におけるヤーンの局所的な加熱により切れないように選択される。理解されたように、今述べた加熱は、300℃に達することがある。今述べたことは、組立段階に関してテキスタイルヤーンの互換性を確実にする。有利には、今述べた局所的な加熱は、20%を超えないヤーンの伸長を生じる。さらにより具体的には、テキスタイルヤーンを構成する材料(複数可)は、150℃より高いガラス転移温度を有する。
【0031】
例えば、テキスタイルヤーンは、アラミド繊維から、ゆえにメタ系アラミドマルチフィラメント繊維(例えば商品名「Nomex(商標)」として知られている)から作られることがあり、ヤーンは、例えばポリアミドイミド(例えば商品名「Kermel(商標)」として知られている)などの短いまたは長いメタ系アラミドから作られる。代替えとして、PBO繊維(ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)、商品名「Zylon(商標」」として知られている)であり得る。さらに、芳香族ポリエステル(例えば、商品名Vectran(商標)として知られている)から形成されることがある。さらに、例えばPEAK(ポリアリルエーテルケトン)などのポリマー、天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、PPS繊維(ポリフェニレンサルファイド)、またはスチール繊維などから形成されたヤーンでもあり得る。今述べた繊維に加えて、または取り替えとして、テキスタイルヤーンは、20ミクロン未満の直径を持つ導電性ストランド(または複数の導電性ストランド)を含むことが与えられることがある。テキスタイルヤーンは、有利には電気絶縁体または弱導電性であるが、このテキスタイルヤーンが導電性である可能性を排除しない。
【0032】
ワイヤーは、有利には円形の横断面(cross section)を有し、その直径は、10マイクロから500マイクロの間である。
【0033】
さらに、導電性材料から作られたテープは、金属または複数の金属から成り立っていることがある。理解されたように、圧延した金属線であり得る。今述べた場合に、有利には、今述べた圧延は冷間により実行される。好ましくは、続いて熱アニーリングを実行しない。今述べた方法は、ストリップを構成する材料の硬化が増し、それゆえ耐疲労性を増す。
【0034】
テープは、銅、真鍮、ブロンズ、キュプロニッケル、質量の96%より多く銅を含む銅合金、ニッケルから作られるまたは含むことがある。
【0035】
第1の材料の主層から構成される今述べたテープに対して準備がされることがあり、この主層は、少なくとも1つが導電性コーティングにより覆われている。ゆえに、主層は、次の材料、銀、金、銅、スズ、ニッケル、真鍮、亜鉛、スズ合金から構成されるグループから選択される材料から作られたコーティングによりコーティングされたスチールから作られることがある。代替えとして、主層は、次の材料、ステンレス鋼、ニッケルのみが合金の質量の少なくとも45%に相当するニッケル合金、チタンのみが合金の質量の少なくとも70%に相当するチタン合金、ニッケルから構成されるグループから選択される材料から作られることがある。
【0036】
有利には、コーティングは、主層を形成する材料のよりも低い電気抵抗率を有する。腐食防止のために選択されることがあり、例えば、銀から作られる。コーティングは、先の段落にて与えられている圧延段階の前または後に、主層におけるデポジションによって形成されることが可能である。今述べたテープが、コーティングを露出するようにテキスタイルヤーンに巻かれて、アンテナワイヤー7a、7bを形成することがある。そして、今述べたコーティングの相対的に低い抵抗が利用され、電磁放射線によってアンテナワイヤーに生成される信号の電気伝導を表皮効果によって促進する。
【0037】
どんな選択される性質のテープでも、テキスタイルヤーンに複数巻の状態で巻きつけられるのに十分に曲げやすいように、50ミクロン未満、通常5ミクロンから20ミクロンの間、有利には5ミクロンから10ミクロンの間の薄い厚さがある。弾性的または塑性的に変形できる。通常、テープは、テキスタイルヤーンの直径の10から20倍、またはちょうど30倍の厚さがある。それゆえ、アンテナワイヤー7a、7bの直径は、基本的にテキスタイルヤーンの直径によって決定される。今述べた直径は、アンテナワイヤーが収容されることが意図される、デバイスDのチップ1の中に配列された溝2a、2bの高さおよび深さと完全に互換性がある。
【0038】
導電性材料から作られたテープは、40ミクロンから200ミクロンまでの幅を有することがあるが、この特性は、けっして限定されない。場合によっては、今述べた幅は、チップの長さ、換言すると、縦溝2a、2bおよび/またはアンテナワイヤーが配列されるチップの寸法(通常500ミクロンのオーダー)よりも大きくなるように選択されることがある。このようにして、一巻きが溝を完全に占めることがある。そして、アンテナワイヤー7a、7bのチップ1に対する組み立ては、特に、テープの巻きが切れ目のあるときのワイヤーの連結パッド4a、4bへの電気的な連結の間じゅう容易になる。
【0039】
テキスタイルフィルム(textile film)への複数巻の状態でのテープの巻きつけは、複数のやり方において達成されることがある。ゆえに、図1aに示されるように、巻きは、切れ目のあることがあり、換言すると、2つの連続した巻きは、互いから離れて間隔をあけられ接しない。代替えとして、テープを切れ目のない巻きにまたは重ねた巻きに巻くことが可能である。切れ目のない巻きは、ワイヤーの電気伝導性を向上させるのに役立つ。
【0040】
さらに、テキスタイルヤーンに複数巻の状態ですべてが巻きつけられる複数の導電性テープを提供して、アンテナワイヤー7a、7bを形成することも可能である。今述べたことは、ワイヤーの機械的なおよび電気的な堅牢性を向上させる。特に、アンテナワイヤーの電気的な連続は、たとえテープのうちの1つが破れても保証される。上記の場合に、テキスタイルヤーンへのテープの巻き付け方向は、すべて同一であってもよい、または異なってもよい。テープは導電性材料で作られており、それらはすべて同じであってもよい、または互いと異なってもよい。
【0041】
テキスタイルヤーンにおけるテープ(複数可)のどんな枚数、性質、および巻き付け方向でも、今述べた予備的な準備段階の終わりに、堅牢なダイポールアンテナの形成を可能にする、換言すると、高い機械抵抗があり、曲げやすい、換言すると、たとえ引っ張り力、ねじりの力、および/またはせん断力がサイクルにおいて何度も繰り返されたあとでも、悪化することなくこれらの力を吸収できる、アンテナワイヤーを有する。
【0042】
ゆえに、ワイヤーのテキスタイルの性質と組み合わされたテープの相対的に薄い厚さは、アンテナに、曲げやすくするのを、それゆえ例えばねじることによって変形するのを可能にする。すでに記したように、テープの構造は、疲労に特に抵抗させる。テキスタイルヤーンにおけるテープのらせん状の配列は、特に、アンテナワイヤーにかかる引っ張り力を吸収させる。アンテナワイヤーの寸法(直径)は、従来の導電性ワイヤーのものと同一であり得る。
【0043】
今述べた特性は、円形の横断面(cross section)を有し、完全に電気伝導体からなる、従来の導電性ワイヤーを用いて作り出されたアンテナによって、たとえ複数巻の状態で配列されても、同一に取得されることは可能ではないだろう。特に今述べたことは引張変形の場合である。
【0044】
さらに、たった今与えたアンテナワイヤーの構成は、特に文献US2019391560に説明されている無線周波数送受信デバイスDを製造することの方法と完全に互換性があることも特筆する。テキスタイルヤーンへのテープの巻きつけは、チップ1を2本のアンテナワイヤーへ組み立てる段階の前に実行されることがある。もう一度、上記のアンテナワイヤーは、円形のクロスセクション(cross-section)を有し、完全に導体からなる従来のワイヤーのとかなり似ている、フォームファクタ、特に直径を有する。
【0045】
導電性テープを複数巻の状態で巻きつけることを含むアンテナワイヤーは、特に電気的性質の他の利点がある。単純な従来の導電性ワイヤーよりも大きい誘導成分があるインピーダンスを有する。結果として、ダイポールアンテナのインピーダンス整合ループbの寸法を減らすことが可能である。デバイスがより堅牢性にされ、今述べたループbをまたはこのループの構成ワイヤーを時おりコーティングする保護樹脂の量が減らされる。剛性部分が、知られているソリューションよりも小さい送受信デバイスが形成される。さらに、導電性ワイヤー7aの長さは、ダイポールアンテナの送受信能力に影響を及ぼすことなく、短くされることがあり、デバイスDに、よりコンパクトにさせることを可能にする。特に、今述べたことは、デバイスDがRFIDタグを形成し、送受信回路4が、900メガヘルツ前後の規格化された周波数帯において動作するように要請される場合である。
【0046】
さらに、テキスタイルヤーンを切ることなくテープを切ることも可能であり、アンテナワイヤーの機械的な連続性を切断することなく、ヤーンの電気的な連続性に、切断させることを、例えばアンテナの有効長を短くすることを可能にする。特に、今述べた特性は、2つのとても長いテキスタイルヤーンを用いて一緒につながされる複数のデバイスの製造の間、利用されることがあり、これら2つのとても長いテキスタイルヤーンに複数巻の状態で巻きつけられたテープは、規則正しく切られて、各チップに関連付けられたアンテナを定義する。今述べたことは、デバイスに、たとえそれらが一緒につながったかたちにおいて与えられても、作動させることを可能にする。
【0047】
もちろん、本発明は説明された態様に限定されず、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、異形を追加することが可能である。
【0048】
ゆえに、デバイスDは、図を参照して例として与えられている、溝2a、2bを提供されたチップ1を組み込むことに決して限定されない。溝は、組み立ての間、チップ1に関してアンテナワイヤー7a、7bの位置を定めることを容易にする。今述べた接着段階を容易にするために、一時的にのみサブストレート3に組み立てられるカバー5に対して準備がされるが、この段階の後に取り外されるものに対して準備がされることがある。上記の組立方法は、特に文献US2020335475にて説明される。
【0049】
さらに、単一のアンテナワイヤーに、チップ1と電気的に接触しないものを提供することも可能である。ゆえに、例えば、文献US2010321161に説明されているように、チップ1の連結パッド4a、4bは、誘導ループアンテナに連結されることがある。今述べたアンテナは、支持体上のループに配列された導電性トラックによって形成されることがある。チップ1は、直接的にまたは間接的に、パッドを今述べたトラックと電気的に正確に接触させる支持体に載っている。今述べた組立部品は、例えばプラスチック材料にて、カプセルに入れられてモノリシックデバイスを形成することがある。
【0050】
モノリシックデバイスは、本説明にしたがって、換言すると、テキスタイルヤーンと、このヤーンに複数巻の状態で巻きつけられた少なくとも1本のテープとから構成される単一のアンテナワイヤーに関連付けられる。単一のアンテナワイヤーは、誘導ループアンテナが電気的に接続することが可能であるように、モノリシックデバイスの近くに配列される。アンテナワイヤーは、モノリシックデバイスが固定されているファブリックに添付される、または統合されることがある。
【0051】
無線周波数送受信デバイスDの選択される構成が何であっても、送受信回路4と、送受信回路4に電気的に連結された2つの連結パッド4a、4bとを含むチップ1によって形成される。少なくとも1本のアンテナワイヤーがチップに接続され、このアンテナワイヤーは、テキスタイルヤーンと、テキスタイルヤーンに複数巻の状態で巻きつけられた少なくとも1本のテープとから構成される。
【0052】
有利には、本説明に従うデバイスは、織物部分にバッキングされて、または組み込まれて(例えば、刺繍されて、または織られて)、例えば電子タグ(例えばRFIDタグ)を形成することがある。上記のタグは、衣服(衣類に関連付けられている)または洗濯物(例えば、シーツに関連付けらている)の分野に適用を見つけることがある。取り扱いを容易にするために、本発明に従うデバイスは、1本または複数のテキスタイルカバーリングヤーン(textile covering yarn)により覆われることがある。デバイスの機械的な堅牢性は、機能性を失うことなく、機械的におよび熱的に応力を加える洗濯の取り扱いを経ることを可能にし、それゆえ、衣服および洗濯の分野における使用に特によく適している。
図1a
図1b
図1c
【外国語明細書】