(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124503
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】電気自動車
(51)【国際特許分類】
B60L 58/19 20190101AFI20220819BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20220819BHJP
【FI】
B60L58/19
B60L50/60
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022187
(22)【出願日】2021-02-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】391011113
【氏名又は名称】網矢 貞幸
(72)【発明者】
【氏名】網矢 貞幸
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC30
5H125CA01
5H125EE05
5H125EE42
(57)【要約】
【課題】 従来の電気自動車のモーターは、最高出力で長時間運転してもモーターのコイルが焼きつかなかったが、電気には使用率という考えかたがあるので、それを利用する。そこで、短時間なら倍以上の電圧をかけることができるため、小さなモーターで良い。
【解決手段】 本発明の高出力バッテリーは、電気自動車のモーター(1)と複数のバッテリー(2)で構成され、普段のバッテリー(2)は並列に配線されている。しかし高出力時には、複数のバッテリー(2)は切換スイッチ(3)によって直列配線になり、高出力はモーター(1)が高温になるのを見越して、モーター(1)には温度センサー(5)のサーモスタットが具備されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車は、モーター(1)と複数のバッテリー(2)と切換スイッチ(3)で構成され、
通常の該バッテリー(2)は、該切換スイッチ(3)によって並列に配線されており、
高出力時には、該バッテリー(2)は切換スイッチ(3)によって直列に切り換え、
該切換スイッチ(3)の切換は、アクセルスイッチ(4)から、前記モーター(1)に設置した温度センサー(5)のサーモスタットを介し、該切換スイッチ(3)のコイル(3d)に配線することを特徴とする高出力バッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターの出力を一時的に上げる高出力バッテリーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車は内燃機関が殆どで、最高出力は5000毎分回転で回転させていたとすると、倍の10000回転回すとバルブなどがサージング(バルブのバネが、その回転に追いつかなくなる、または高振動領域でバネ自体の固有振動が誘発され、ビビリ振動をおこすこと)を起こし、ピストンとバルブと緩衝し、エンジンが破損するため、最高出力以上には出せなかった。
従来の電気自動車のモーター50キロワットは、最高出力で長時間運転しても、モーターのコイルが焼きつかなかった。それは、信頼性に基づき、モーターのコイルが焼け付かないように、大きいモーターを使用していた。
また、特開2009-262894の名称ハイブリッドカーは、発電する電気を切り換えてモーターに替えることと、バッテリーを並列から直列にすることで高出力を出す物があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-262894
【特許文献2】特開平7-231510
【特許文献3】特開平4-208007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電気自動車のモーターは、最高出力で長時間運転してもモーターのコイルが焼きつかなかった。それは、信頼性に繋がるものであった。しかし、電気には使用率という考えかたがあるので、それをこの電気理論を利用する。その使用率とは、例えば溶接の抵抗器では、大きい電流300アンペアを使用して、大きい溶接棒の直径Φ6を焚くとしたら、その溶接棒と同じく大きい抵抗器(横幅600ミリ、奥行き800ミリ、高さ800ミリ)で、大型の機械を用いなければならない。しかし、使用率という考え方では、大きい溶接棒を焚いても、小さい抵抗器(横幅は300ミリ、奥行き400ミリ、高さ400ミリ)で、使用率10%では1分間溶接棒を焚いたら、その後9分間休ませると、抵抗器は常温に戻るという考え方である。したがって、造船所のように何時も大きい溶接棒を焚くところでは使用率の多い物で、大型の抵抗器が必要であり、町工場などでは抵抗器が小さい分、使用率に気を付けて溶接をすることでΦ6の溶接棒が炊ける。
【0005】
また、もっと身近では、電動工具のベビーグラインダー600ワットであるが、そのベビーグラインダーは30分以上の使用をしないように書いている。それは、寒い冬だといくら使用しても温度が上らないが、夏になると大気が熱くなり、コイルが焼けてしまうので制限している。そのベビーグラインダーも溶接の抵抗器も、電動車のモーターもコイルを使用しているのは確かで、同様と考える。そこで、その使用率の理論を応用して、電動車のモーターは、何時も一定の出力で走っているわけで無いので、非常時だけ電圧を高めて出力を上げるものである。すると、モーターは小さくなり、軽くなっているので、加速や上り坂のときに高出力用電源を利用して加速すれば、後はそのままのスピードを維持するのは、普通の出力で良いという考え方である。
また、その考え方で特開2009-262894の名称ハイブリッドカーは、電気を切り換えることと、バッテリーを直列にすることで一時的に高出力を出す物があったが、モーターにはサーモスタットがないため、モーターのようすが分からなかった。
【0006】
そこで、普通車があるとしたら、従来のモーターの出力50キロワットでは、速度100キロメートル/毎時で走行している車の出力は50%で25キロワットであった。しかし、本発明の20キロワットでは、速度100キロメートル/毎時で走っているときが、一番効率の良い100%にして、20キロワットで非常時の最高出力は、バッテリー(2)を工夫して200%や300%の電流を使用する。そのため、従来の使用しない50%を温存するものと、温存するのが0%で走るものでは効率が違い、走行距離も伸びる。
【0007】
また、ギヤ比が最高160キロメートル/毎時まで速度を上げるには、モーターの回転数が1000回転/毎分であるとき、ギヤ比は1.3のとき最高スピードを出すようになっている。しかし、本発明の最高速度を100キロメートル/毎時とすると、そのギヤ比は1.6(車輪が1回転回るとモーターは1.6回転回る)になり、時速40キロで走るときはギヤ比を落としている方が、明らかに有効なのは分かる。そして、100キロ以上の高速度が必要なときは、電圧を上げることで簡単にモーターの最高回転を上げることができる。つまり、電気だけに許された、電気理論に基づく発明である。それを自転車で分かり易く説明すると、競輪の自転車はギヤ比が高速に合わせて高くしているが、郵便局で使用している自転車では街中を走るため低く設定してあり、街中を走るのならば低速ギヤの方が体力を消耗しなく、その方が良いことは分かる。
【0008】
そこで本発明の高出力バッテリーは、普段のバッテリー(2)は並列に配線されており、高出力時にはバッテリー(2)を直列に切り換えて、高出力を出すため、モーター(1)は高温になるのを見越して、モーター(1)には温度センサー(5)のインナーサーモスタットが具備している。また、高出力になっても高温にならないときは、その設定事態が誤って要るので、高出力になったときに、温度が数分で上る高出力バッテリーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の高出力バッテリーの電気自動車は、モーター(1)と複数のバッテリー(2)と切換スイッチ(3)で構成されており、通常のバッテリー(2)は切換スイッチ(3)によって並列に配線されている。
高出力時には、バッテリー(2)は切換スイッチ(3)によって直列に切り換えられる。
切換スイッチ(3)の切換は、アクセルスイッチ(4)から、前記モーター(1)に設置した温度センサー(5)のサーモスタットを介し、その切換スイッチ(3)のコイル(3d)に配線することで目的を達成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明の高出力バッテリーは、次のような効果がある。
(イ)内燃機関は無理をすると破損するが、モーターは一時的には無理ができる。
(ロ)バッテリーを直列に繋ぐことで、モーターの出力が上る。
(ハ)高出力バッテリーを使用することで、モーターが小さくなる。
(ニ)モーターが小さいと、車体重量も軽くなる。
(ホ)車体重量が軽くなると、燃費がよくなる。
(ヘ)ギヤ比を低く設定できるため、低速時の効率が良い。
(ト)高出力時には、モーターの最高回転数を上げる。
(チ)高出力で、モーターが熱を持つと温度センサーが働き、バッテリーは並列になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】図は、高出力バッテリーの略式の配線図である。
【
図2】図は、高出力バッテリーの3個の略式配線図である。
【
図5】図は、モーターの温度センサーの配線図である。
【
図6】図は、切換スイッチ内のコンデンサーの配線図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の高出力バッテリーは、モーター(1)が高温になるのを見越していて、モーター(1)が何時までももつような、半端な高出力では意味がない。その電気自動車はモーター(1)と複数のバッテリー(2)で構成され、普段の該バッテリー(2)は切換スイッチ(3)2個によってコモン(3a)からブレーク(3b)の、並列に配線されている。そして、モーター(1)とバッテリー(2)の間には制御装置が付いていて、低出力のモーター(1)のコントロールをする装置が付いている。
【0013】
高出力には、アクセルスイッチ(4)を床まで踏み込み、床に取り付けた押しボタンスイッチが入り、アクセルスイッチ(4)から切換スイッチ(3)のコイル(3d)の電磁石を作動させて、ブレーク(3b)からメーク(3c)にスイッチを切換、バッテリー(2)は切換スイッチ(3)によって直列になり、高電圧のバッテリー(2)はモーター(1)が高出力を出す。
【0014】
そのモーター(1)は直列にすると、一定の時間で温度は高温になるのを見越して、モーター(1)の温度を計測する温度センサー(5)は、モーター(1)内部の温度を測り運転席に掲示するメーターと、温度が一定以上高温になると、アクセルスイッチ(4)の配線は温度センサー(5)のサーモスタットが切換スイッチ(3)のコイル(3d)に電気を送っていた配線を遮断する。そのため切換スイッチ(3)のメーク(3c)からブレーク(3b)に戻り通常の運転になり、通常の運転ではモーター(1)に加わった温度は徐々に下がり、平温の50℃に戻る。また、モーター(1)のケーシングも銅で作ることで熱伝導がよく、軸方向のフィンはあるが、電気自動車のモーター(1)では横向きに取り付けていて、フィンが回転方向に取り付けた方が、効率が上るときは、回転方向にフィンを取り付ける。
【0015】
そして、その切換スイッチ(3)には、コモン(3a)とブレーク(3b)の間にコンデンサー(3e)を取り付け、コモン(3a)スイッチがメーク(3c)に変わるときに、ブレーク(3b)に加わっていた電流を一度に切ると放電するので、コンデンサー(3e)がスイッチの入れ替わる0・1秒間をカバーするので放電は起きない。
【0016】
それと同様に、その切換スイッチ(3)には、コモン(3a)とメーク(3c)の間にコンデンサー(3e)を取り付け、コモン(3a)スイッチがブレーク(3b)に変わるときに、メーク(3c)に加わっていた300ボルトの電流を一度に切ると放電するので、コンデンサー(3e)がスイッチの入れ替わる0・1秒間をカバーするので放電は起きないようにする。
【実施例0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、高出力バッテリーの略式の配線図である。その略式配線図は、モーター(1)と切換スイッチ(3)2個とバッテリー(2)2個で構成されており、配線の実線は作動している並列のバッテリー(2)を表している。その配線は、モーター(1)から下の配線を電流が伝わり、配線は2つに分岐する。一方は、下のバッテリー(2)のマイナスに繋がり、バッテリー(2)の150ボルトを受け、左の切換スイッチ(3)のコモン(3a)からブレーク(3b)に伝わっているため、電流は150ボルトを、モーター(1)の上に書かれている配線から伝わる。
【0018】
もう一方の配線は、先に分岐されたところから、右の切換スイッチ(3)のブレーク(3b)に伝わり、コモン(3a)から上のバッテリー(2)のマイナスに入り、同じく150ボルトを受けて配線の合流地点を通り、モーター(1)に流れている。そのため、並列の150ボルトと150ボルトを足しても150ボルトなので、モーター(1)は150ボルトで作動している。
【0019】
高出力時には、モーター(1)から下に配線された切換スイッチ(3)の、ブレーク(3b)からメーク(3c)の点線であらわしている方にコモン(3a)のスイッチが移動して、バッテリー(2)は直列になり、300ボルトをモーター(1)に流すため、モーター(1)は20キロワットから40キロワットの高出力になる。つまり、150ボルトが20キロワットだった物が、300ボルトでは40キロワットになる。
【0020】
それを
図1で説明すると、モーター(1)の下の配線から下のバッテリー(2)のマイナスに配線し、150ボルトの電圧を受けた電流は、左の切換スイッチ(3)のコモン(3a)から、点線で書かれているスイッチはメーク(3c)に接触して、メーク(3c)に電流を伝える。そして電流は、右の切換スイッチ(3)のメーク(3c)端子から点線のとおりコモン(3a)に伝わり、上のバッテリー(2)のマイナスに繋がる。バッテリー(2)は150ボルトであるため、150ボルトを加え300ボルトになった電流はモーター(1)を高出力にする。
【0021】
この場合、通常のモーター(1)の温度は50℃であるが、倍の300ボルトの電圧を掛けたため、許容最高温度を180℃とすると、50℃から180℃までになるまでの130℃を上昇するまでに10分かかるため、その間の加速は有効に使用する。この高出力バッテリーは、長い時間使用をできる物ではなく、使用率という電気の考えかたに基づくものであるから、10分以上かかるようであれば、その設定は間違っており、10分以内に温度が上る物が良い。なお、2つの切換スイッチ(3)を1個に纏めたものの4Pを使用する。
その高出力バッテリーは、1個のモーター(1)と3個のバッテリー(2)と4個の切換スイッチ(3)で構成されており、全ての切換スイッチ(3)のコイル(3d)は、図には記載していないが、コイル(3d)は通電していない状態であり、コモン(3a)はブレーク(3b)と接触しており、モーター(1)は150ボルトの電圧を消費している。
そして直列に配線するときは、図には記載されていないコイル(3d)に電流が流れると、切換スイッチ(3)内の電磁石が作動し、コモン(3a)スイッチを引っ付け、点線であらわしたメーク(3c)端子の方に移動し、コモン(3a)からメーク(3c)に接触する。
この状態を図面で説明すると、通常のバッテリー(2)で、モーター(1)に150ボルトを流す場合は、モーター(1)の下から配線を通って右下の分岐しているところから、下のバッテリー(2)のマイナスに伝わる。その分岐したもう一方の配線は、右下の切換スイッチ(3)のブレーク(3b)端子からコモン(3a)端子に伝わる。そして、分岐点で真ん中のバッテリー(2)に入る。
分岐したもう一方の配線は、右上に切換スイッチ(3)に入る。ブレーク(3b)を通った電流は、コモン(3a)を介して上のバッテリー(2)のマイナスに入る。それぞれのバッテリー(2)はプラス側から直接または、左の切換スイッチ(3)を介してモーター(1)に150ボルトを伝える。
そして直列にした場合は、モーター(1)から一番下に書かれているバッテリー(2)に配線され、150ボルトの電流は左下の切換スイッチ(3)のコモン(3a)に配線されていて、点線のメーク(3c)端子の方に繋がり、右下の切換スイッチ(3)のメーク(3c)端子に繋がっている。
そのメーク(3c)端子から、点線であらわしたスイッチはコモン(3a)に電気を流し、真ん中のバッテリー(2)に繋がり、150ボルトであった電圧は300ボルトになり、左上の切換スイッチ(3)のコモン(3a)スイッチに流れ、点線のメーク(3c)に接し、右上の切換スイッチ(3)のメーク(3c)に配線される。
メーク(3c)から点線のコモン(3a)に流れた電流は、一番上のバッテリー(2)に接続され、300ボルトを450ボルトの電圧にして、電流をモーター(1)に与える。その450ボルトは、モーター(1)対して常時電圧として耐える物でないため、50℃から180℃になるまでの130℃を超えるまでの時間が使用できる使用時間であり、この場合約1分間が使用時間である。そしてモーター(1)が180℃を越えると、サーモスタットが遮断され、全てのバッテリー(2)が並列に変わり、180℃まで上った温度は徐々に下がり、下がった温度によって、また高出力が使用できる時間が決まる。なお、切換スイッチ(3)は4つの配線を、一つの電磁石で操作する8Pの物があるので使用する。