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  • 特開-アスベスト混濁水の処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124510
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】アスベスト混濁水の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 9/02 20060101AFI20220819BHJP
   C02F 9/08 20060101ALI20220819BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20220819BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20220819BHJP
   B01D 36/04 20060101ALI20220819BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
C02F9/02
C02F9/08
B01D21/00 C
B01D21/01 C
B01D36/04
B01D21/01 102
C02F1/52 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022200
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】321001562
【氏名又は名称】有限会社アサラ
(71)【出願人】
【識別番号】000206934
【氏名又は名称】株式会社マルテー大塚
(74)【代理人】
【識別番号】110002446
【氏名又は名称】特許業務法人アイリンク国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長曽 洋二
(72)【発明者】
【氏名】石川 雅也
【テーマコード(参考)】
4D015
4D116
【Fターム(参考)】
4D015BA04
4D015BA19
4D015BB06
4D015CA20
4D015DA04
4D015EA06
4D015EA32
4D015FA02
4D015FA15
4D116KK04
4D116QA24C
4D116QA24D
4D116QA51C
4D116QA51D
4D116QA55C
4D116QA55D
4D116TT01
4D116VV09
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】 アスベスト混濁水を、放流可能な水とスラッジとに、確実かつ効率的に分離する方法を提供する。
【解決手段】 超高圧洗浄水によって構造物から剥離したアスベストを含有するアスベスト混濁水W1を、放流可能な水W4と、スラッジSLとに分離するアスベスト混濁水の処理方法であって、上記構造物からアスベストを剥離する過程で発生するアスベスト混濁水を、反応処理の一単位分だけ反応槽4に送り、反応槽4内で所定の処理時間放置して上記アスベスト混濁水中の固形物を凝集沈殿させた後、反応槽4の上澄み液W2の全量を中継槽5に送り、上澄み液W2の中継槽5への輸送が終了するたびに反応槽4内の沈殿物をスラッジ回収容器9に送るとともに、中継槽5に貯蔵された上澄み液W2を、脱水機6に圧送してこの脱水機6から排出される一次濾液W3を微細フィルタ7へ連続的に送り、微細フィルタ7で濾過された二次濾液W4を放流する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高圧洗浄水によって構造物から剥離したアスベストを含有するアスベスト混濁水を、放流可能な水と、スラッジとに分離するアスベスト混濁水の処理方法であって、
上記構造物からアスベストを剥離する過程で発生する上記アスベスト混濁水を、反応処理の一単位分だけ反応槽に送り、
上記反応槽内で所定の処理時間放置して上記アスベスト混濁水中の固形物を凝集沈殿させた後、
上記反応槽の上澄み液の全量を中継槽に送り、
上記上澄み液の中継槽への輸送が終了するたびに上記反応槽内の沈殿物をスラッジ回収容器に送るとともに、
上記中継槽に貯蔵された上澄み液を、脱水機に圧送してこの脱水機から排出される一次濾液を微細フィルタへ連続的に送り、
上記微細フィルタで濾過された二次濾液を放流するアスベスト混濁水の処理方法。
【請求項2】
上記アスベスト混濁水中の大型固形物を分離する固液分離手段を備え、
この固液分離手段で大型固形物を分離後のアスベスト混濁水を上記反応槽に送る
請求項1に記載のアスベスト混濁水の処理方法。
【請求項3】
上記スラッジ回収容器で発生した上澄み液を上記反応槽に送る
請求項1または2に記載のアスベスト混濁水の処理方法。
【請求項4】
上記脱水機の残渣を、上記スラッジ回収容器とは別の回収容器に回収する請求項1~3のいずれか1項に記載のアスベスト混濁水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アスベスト混濁水の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアスベストを用いた構造物の解体処理などの際にアスベストを飛散させることがないよう、超高水圧で構造物からアスベストを剥離して、アスベストを含む処理水を回収しながらの湿式処理が行われている。この湿式処理では、アスベストを含有したアスベスト混濁水が大量に発生することになる。
しかし、アスベストは厳密に管理する必要があるため、解体作業などで発生したアスベスト混濁水を放流可能な水とスラッジとに分離して、スラッジは産業廃棄物として廃棄しなければならない。
また、アスベスト混濁水から放流可能な水を分離するため、例えば1[μm]以下の細かい目のフィルタ(以下「微細フィルタ」という)を備える濾過装置を使ってアスベスト混濁水を濾過していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-209324号公報
【特許文献2】特許第6542940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アスベスト混濁水を濾過すると、微細フィルタはすぐに目詰まりしてしまう。そのため、濾過装置を次々交換しなければならない。その結果、濾過作業に時間もコストもかかってしまうという問題があった。
また、目詰まりした微細フィルタで使用を続けると、微細フィルタで処理できずに溢れたアスベスト含有水がそのまま放流されてしまう恐れもあった。
この発明の目的は、作業性がよく、確実に、アスベスト含有水を放流可能な水と、スラッジとに分離することができるアスベスト混濁水の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、超高圧洗浄水によって構造物から剥離したアスベストを含有するアスベスト混濁水を、放流可能な水と、スラッジとに分離するアスベスト混濁水の処理方法であって、上記構造物からアスベストを剥離する過程で発生する上記アスベスト混濁水を、反応処理の一単位分だけ反応槽に送り、上記反応槽内で所定の処理時間放置して上記アスベスト混濁水中の固形物を凝集沈殿させた後、上記反応槽の上澄み液の全量を中継槽に送り、上記上澄み液の中継槽への輸送が終了するたびに上記反応槽内の沈殿物をスラッジ回収容器に送るとともに、上記中継槽に貯蔵された上澄み液を、脱水機に圧送してこの脱水機から排出される一次濾液を微細フィルタへ連続的に送り、上記微細フィルタで濾過された二次濾液を放流する。
【0006】
第2の発明は、上記アスベスト混濁水中の大型固形物を分離する固液分離手段を備え、この固液分離手段で大型固形物を分離後のアスベスト混濁水を上記反応槽に送る。
【0007】
第3の発明は上記スラッジ回収容器で発生した上澄み液を上記反応槽に送る。
【0008】
第4の発明は、上記脱水機の残渣を、上記スラッジ回収容器とは別の回収容器に回収する。
【発明の効果】
【0009】
この発明では、反応槽と脱水機との間に中継槽を設けたので、脱水機の処理能力が低くても、反応槽を空にすることができ、反応槽での反応処理を連続的に行なうことができる。
また、微細フィルタには、脱水機で絞り出された一次濾液を送るようにしているので、微細フィルタが目詰まりしにくく、構造物から回収したアスベスト混濁水を、直接微細フィルタへ送る場合と比べて、フィルタの交換回数を圧倒的に少なくすることができる。
したがって、この発明によれば、アスベスト混濁水を連続的に処理して、放流可能な水とスラッジとに分離することができる。そのため、アスベスト混濁水の処理作業の作業性が向上し、コストを抑えることもできる。
【0010】
第2の発明によれば、アスベスト混濁水中の大型固形物を分離してから反応槽へ送るようにしているので、例えば凝集剤が大型固形物に付着するようなことがなく、有効に機能し、反応槽での凝集沈殿を効率的に行なうことができる。
【0011】
第3の発明によれば、一旦回収されたスラッジ回収容器内の水分を再度処理して、放流可能な水を分離することで、スラッジ回収容器内のスラッジを減容できる。したがって、廃棄物が減容化され、その廃棄コストを下げることができる。
【0012】
第4の発明によれば、廃棄するスラッジの減容化を効率的にできる。脱水機の残渣は、もともと含水量が少ないのに、反応槽から回収されたスラッジと混合してしまうと、上記残渣に水分を与えてしまうことになってしまう。しかし、この発明のように、脱水機の残渣と反応槽から回収されたスラッジとを別々に回収すれば、最終的に廃棄すべきスラッジを効率的に減容化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、この発明の実施形態を実行するシステムの概略図である。
図2】実施形態の処理の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
以下にこの発明の実施形態を説明する。図1はこの実施形態のアスベスト混濁水を処理するためのシステムの概略図である。図2は、実施形態の処理の流れ図である。
この実施形態は、アスベストを含有した壁材を構造物から剥離して、その際に発生するアスベスト混濁水を放流可能な水とアスベストを含有したスラッジとに分離するものである。
【0015】
図1に示す実施形態のシステムは、超高圧水を噴射してアスベストを含有した処理対象面を洗浄する超高圧洗浄機1と、超高圧洗浄機1の超高圧洗浄水によって剥離されたアスベスト含有物を含んだアスベスト混濁水W1を回収して貯蔵するダンパー車2とを備えている。また、上記アスベスト混濁水W1を処理する工程順に、固液分離手段3、反応槽4、中継槽5、脱水機6、微細フィルタ(濾過装置)7が配置されるともに、吸引装置8、スラッジ回収容器9を備えている。
【0016】
上記固液分離手段3とは、ダンパー車2から反応槽4へアスベスト混濁水W1を送る経路中に設けられたかご状の部材である。この固液分離手段3によって、ダンパー車2から送られてきたアスベスト混濁水W1中の、例えばコンクリートかすなどの大型固形物を分離回収するようにしている。
【0017】
反応槽4は、ダンパー車2から送られたアスベスト混濁水W1から固液分離手段3で大型固形物が除かれたアスベスト混濁水W1を、反応処理の一単位分受け入れて所定時間放置し、アスベストを含んだスラッジSLを凝集沈殿させる槽である。なお、反応槽4には、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などの凝集剤を投入し、アスベスト混濁水中の微粒子を凝集させて沈殿しやすくしている。また、反応槽4には撹拌装置4aが設けられている。また、反応処理の一単位分は、反応槽4の容量に応じた量となる。
【0018】
中継槽5は、反応槽4で処理が終わった後に、反応槽4から送られてきた上澄み液W2を貯蔵するための槽である。中継槽5の容量は、反応槽4の容量よりも十分に大きく設定されている。
【0019】
脱水機6は、図示しない液体圧送手段を介して中継槽5に接続され、中継槽5から圧送されてきた上澄み液W2から水分を搾り取る装置である。具体的には、脱水機6は、内部に分岐した流路が形成されており、その分岐した各流路に各濾過室を備え、各室に設けられた濾材で各流路から流れ込む上澄み液W2を濾過するようにしている。その際、上澄み液W2を各室に設けた濾材を通過させつつ上澄み液W2には圧力を作用させ、上澄み液W2の水分が十分に搾り取られるようにしている。この脱水機6では、当該脱水機6から濾材が取り外し可能とされて、取り外しされた濾材から残渣を回収し、当該濾材は洗浄できるようになっている。
【0020】
また、微細フィルタ7は、数[μm]以下の粒子を捕獲可能なフィルタで、脱水機6で絞りだされた一次濾液W3を濾過して、二次濾液W4を放流可能な水として排出する装置である。この微細フィルタ7には、脱水機6の排水口が配管を介して接続され、脱水機6から排出された一次濾液W3が微細フィルタ7に自動的に供給されるようにされている。
吸引装置8は、反応槽4内の底にたまった沈殿物であるスラッジSLを吸引しスラッジ回収容器9に移すための装置である。
スラッジ回収容器9は、ドラム缶などであり、産業廃棄物として処分されるアスベストを含有したスラッジSLを回収する容器である。
【0021】
(作用・効果等)
図2を用いて、この実施形態のアスベスト混濁水の処理手順を説明する。
まず、作業員は、超高圧洗浄機1によって処理対象面を洗浄しながら、発生するアスベスト混濁水を吸引し(ステップS1)、ダンパー車に貯蔵させる(ステップS2)。これらステップS1、S2は、上記ダンパー車2の容量がアスベスト混濁水W1で満杯になるまでの間、連続して行なうことができる。ただし、ダンパー車2にアスベスト混濁水W1が、上記反応槽4の反応処理の一単位分以上貯蔵されたら一時中断してもよい。
【0022】
ダンパー車2に、アスベスト混濁水W1が貯蔵されたら、ステップS3で作業員は、送液手段を作動させてアスベスト混濁水W1を、反応槽4における反応処理の一単位分、ここでは反応槽4の容量に応じて約4[m]だけ反応槽4へ送る。反応槽4には、上記固液分離手段3によって、大型固形物が除かれたアスベスト混濁水W1が送られることになる。
【0023】
ステップS4では、反応槽4に、例えばポリ塩化アルミニウム(PAC)などの凝集剤を添加し、撹拌装置4aで撹拌して溶解させてから所定時間放置し、微粒子を凝集沈殿させる。なお、反応槽4で必要な処理時間は、固形物濃度や、容量によっても変わるが、標準的な濃度のアスベスト混濁水W1が約4[m]の場合には、5~10分間放置する。
所定の処理時間が経過したら、ステップS5で、作業員は送水手段を操作して、反応槽4の上澄み液W2を中継槽5へ送る。上澄み液W2の全量が中継槽5へ送られたら、ステップS6へ進む。
【0024】
ステップS6で、作業員は、反応槽4内の底にたまった、沈殿物であるスラッジSLを吸引装置8を用いて吸引し、ドラム缶などのスラッジ回収容器9に移す。スラッジSLをすべてスラッジ回収容器9へ移して、反応槽4が空になったら、ステップS3に戻り、再び、ダンパー車2から反応槽4へアスベスト混濁水W1を送る。
上記ステップS3からステップS6までの処理を、ダンパー車2に貯蔵されたアスベスト混濁水W1が空になるまで繰り返す。
【0025】
一方、上記ステップS5で、反応槽4の上澄み液W2が中継槽5に送られると中継槽5が上澄み液W2を受け入れる(ステップS7)ことになる。つまりステップS5とステップS7とはほぼ同じタイミングである。
中継槽5に上澄み液W2が貯蔵されたら、ステップS8で、作業員は圧送手段を作動させて上澄み液W2を脱水機6へ圧送させる。このとき、作業員は、中継槽5に上澄み液W2が貯蔵開始された時点で、圧送手段を作動させて上澄み液W2を脱水機6へ圧送させることもできる。
ステップS9で、送られた上澄み液W2は、脱水機6で濾過され、一次濾液W3が微細フィルタ7に送られる。
ステップS10で、微細フィルタ7で濾過され、排出された二次濾液W4を放流する。
【0026】
ステップS7~S10を中継槽5に貯槽された上澄み液W2がなくなるまで連続させる。
また、スラッジSLを回収したスラッジ回収容器9を放置しておくと、上澄み液W5が染み出してくるので、この上澄み液W5を反応槽4へ戻し、ステップS4でアスベスト混濁水W1とともに凝集沈殿させる。
【0027】
以上のステップS1~S10によって、アスベスト混濁水を、放流可能な水である二次濾液W4とスラッジSLとに分離できる。
なお、上記脱水機6の残渣は、水分が十分に搾り取られているので、スラッジ回収容器9とは別の回収容器(例えば、麻袋)で回収し、廃棄するようにする。
【0028】
この実施形態では、反応槽4と脱水機6との間に中継槽5を設けたので、反応槽4から上澄み液W2を中継槽5に送り、脱水機6で脱水処理を開始させつつ、反応槽4でも、新たに送られてきたアスベスト混濁水W1の凝集沈殿のための反応処理を開始せることができる。ここで、中継槽5がないと仮定すると、反応槽4から脱水機6に上澄み液W2を直接送らなければならなくなり、脱水機6で脱水処理されている間中、反応槽4には、上澄み液W2が残ることになる。そのため、脱水機6での脱水処理と反応槽4での反応処理とを同時に実施することができない。これに対して、反応槽4と脱水機6との間に中継槽5を設けたことで、脱水機6での脱水処理と反応槽4での反応処理とを同時に実施できる。
【0029】
特に、脱水機6の処理能力が低いような場合には、その処理能力がボトルネックになり、その上流側の処理である反応処理等への影響が顕著になってしまう。これに対して、反応槽4と脱水機6との間に中継槽5を設けたことで、脱水機6の処理能力が低いような場合でも、その影響が上流側の反応処理等に及ぶのを抑制できる。
【0030】
また、中継槽5の容量が反応槽4の容量よりも大きいので、脱水機6の処理能力が低くて、中継槽5に上澄み液W2が残っていたとしても、反応槽4から新たな上澄み液W2を中継槽5に送ることができる。そして、上澄み液W2の輸送が終わるたびに、反応槽4のスラッジSLを回収することができる。そのため、脱水機6の処理の進み具合にかかわりなく、反応処理が終了すれば、反応槽4を空にして、再度、反応槽4にアスベスト混濁水W1を送って、凝集沈殿させる反応処理を連続的に行なうことができる。
【0031】
上記のように、この実施形態では、図2のステップS3~S6の処理と、ステップS7~S10の処理とを平行して実行し、全体の処理効率を上げることができる。
また、微細フィルタ7には、脱水機6で絞り出された一次濾液W3を送るようにしているので、微細フィルタ7が目詰まりしにくく、例えばアスベスト混濁水W1を直接微細フィルタ7へ送るような場合と比べて、フィルタの交換回数を圧倒的に少なくすることができる。
そのため、処理作業の作業性とともに、フィルタのコストを抑えることもできる。
【0032】
なお、上記固液分離手段3は必須ではないが、この実施形態では、固液分離手段3によってアスベスト混濁水W1中の大型固形物を分離してから反応槽4へ送るようにしている。そのため、この実施形態では、例えば凝集剤が大型固形物に付着するようなことがなく、有効に機能し、反応槽4での凝集沈殿も効率的に行なわれる。
【0033】
また、スラッジSLが回収されたスラッジ回収容器9内の水分(上澄み液W5)を再度反応槽4へ戻すことで、スラッジ回収容器9内の水分を減らし、スラッジ回収容器9に回収されるスラッジの固形分の割合を高くできる。さらに、スラッジ回収容器9内の水分を再度反応処理して、凝集沈殿させたスラッジと放流可能な水とに分離することができる。
【0034】
また、元々含水量が少ない脱水機6の残渣を、反応槽4から回収されたスラッジSLと混合してしまうと、残渣に水分を与えることになってしまう。しかし、この実施形態では、脱水機6の残渣をスラッジ回収容器9とは別に回収するようにしたので、廃棄物の水分を減らす減容化を効率的にできる。
【0035】
産業廃棄物の廃棄コストは、スラッジの容量やラッジ回収容器の数に依存するが、この実施形態では、アスベストを含有したスラッジから水分を十分に分離することができるので、廃棄コストを下げることができる。例えば、水分を多く含んだスラッジを回収した場合には、その回収容器であるドラム缶数が多くなるが、スラッジから水分を可能な限り減らした場合には、必要なドラム缶(スラッジ回収容器)の数が少なくなり、廃棄コストが大きく異なる。この実施形態では、水分を可能な限り除いたスラッジが回収されたドラム缶を廃棄することが可能になるので、その廃棄コストを従来よりも大幅に下げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
アスベストが使用された構造物の解体作業現場で有用である。
【符号の説明】
【0037】
3 固液分離手段
4 反応槽
5 中継槽
6 脱水機
7 微細フィルタ
8 吸引装置
9 スラッジ回収容器
W1 スラッジ混濁水
W2 上澄み液
W3 一次濾液
W4 二次濾液
W5 (スラッジ回収容器の)上澄み液
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
造物から剥離されたアスベストを含有するアスベスト混濁水を、放流可能な水と、スラッジとに分離するアスベスト混濁水の処理方法であって、
上記構造物からアスベストを剥離する過程で発生する上記アスベスト混濁水を、反応処理の一単位分だけ反応槽に送り、
上記反応槽内で所定の処理時間放置して上記アスベスト混濁水中の固形物を凝集沈殿させた後、
上記反応槽の上澄み液の全量を中継槽に送り、
上記上澄み液の中継槽への輸送が終了するたびに上記反応槽内の沈殿物をスラッジ回収容器に送るとともに、
上記中継槽に貯蔵された上澄み液を、脱水機に圧送してこの脱水機から排出される一次濾液を微細フィルタへ連続的に送り、
上記微細フィルタで濾過された二次濾液を放流するアスベスト混濁水の処理方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
第1の発明は、構造物から剥離されたアスベストを含有するアスベスト混濁水を、放流可能な水と、スラッジとに分離するアスベスト混濁水の処理方法であって、上記構造物からアスベストを剥離する過程で発生する上記アスベスト混濁水を、反応処理の一単位分だけ反応槽に送り、上記反応槽内で所定の処理時間放置して上記アスベスト混濁水中の固形物を凝集沈殿させた後、上記反応槽の上澄み液の全量を中継槽に送り、上記上澄み液の中継槽への輸送が終了するたびに上記反応槽内の沈殿物をスラッジ回収容器に送るとともに、上記中継槽に貯蔵された上澄み液を、脱水機に圧送してこの脱水機から排出される一次濾液を微細フィルタへ連続的に送り、上記微細フィルタで濾過された二次濾液を放流する。