(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124523
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】封止体及びその封止体により封止された容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20220819BHJP
B67B 7/16 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B65D51/22
B67B7/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022215
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】打田 浩明
【テーマコード(参考)】
3E081
3E084
【Fターム(参考)】
3E081AA15
3E081AA16
3E081AB06
3E081AC01
3E081BB52
3E081BC06
3E081BC08
3E081EE21
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA23
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC02
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC02
3E084FA09
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB12
3E084JA18
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で開封を容易にできる封止体及びその封止体により封止された容器を提供する。
【解決手段】封止体本体と、封止体本体に装着されるシール部材と、封止体本体を開封させるための開封部材と、を備え、開封部材は、封止体本体とシール部材との間又はシール部材内部に固定される固定部と、固定部に連続して形成されるとともに封止体本体の外側に配置される開口を有する指かけ部と、を有し、固定部及び指かけ部は、非金属製で柔軟性を有する部材からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止体本体と、前記封止体本体に装着されるシール部材と、前記封止体本体を開封させるための開封部材と、を備え、前記開封部材は、前記封止体本体と前記シール部材との間又は前記シール部材内部に固定される固定部と、前記固定部に連続して形成されるとともに前記封止体本体の外側に配置される開口を有する指かけ部と、を有し、前記固定部及び前記指かけ部は、非金属製で柔軟性を有する部材からなることを特徴とする封止体。
【請求項2】
前記指かけ部は、前記封止体本体の平面視において、その中心を挟んでそれぞれ対向する一方側及び他方側の両側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の封止体。
【請求項3】
前記指かけ部の開口は、前記開封部材の長さ方向に延びるスリットからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の封止体。
【請求項4】
前記開封部材は、長尺扁平状に形成され、前記指かけ部は、前記開封部材が長さ方向に折り返されたリング状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の封止体。
【請求項5】
前記開封部材は、前記固定部と、前記固定部の端部に固定されたリング状の紐部材とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の封止体。
【請求項6】
前記指かけ部の開口は、容器本体に装着された際に該容器本体の径方向外側に向けて開口していることを特徴とする請求項4に記載の封止体。
【請求項7】
容器本体の開口部の外側に被せられる封止体であって、
前記封止体本体は、円板状の天面部と、前記天面部の外周縁から垂直下方に延びるスカート部と、を有し、前記シール部材は、前記天面部の内面に形成されたライナからなり、
前記天面部及び前記スカート部の外側表面に、前記スカート部下縁における前記指かけ部が垂れ下がる領域の両側縁から前記スカート部及び前記天面部にわたって一対のスコアが形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の封止体。
【請求項8】
容器本体の開口部内に嵌合される封止体であって、
前記封止体本体は、平面視円形状の円形平板部からなり、前記シール部材は、前記円形平板部に固定され、前記開口部に嵌合可能な内栓からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の封止体。
【請求項9】
金属製の前記容器本体と、前記容器本体の開口部の外側に被せられた請求項7に記載の封止体と、を備え、
前記容器本体は、円筒部と、前記円筒部より小径の首部と、前記首部を介して接続された口部とを備え、前記口部は、エッジを含む端部が径方向の外側に折り返され巻回されてなるカール部を外周部に有しており、前記スカート部が前記カール部に巻き込まれて固定されていることを特徴とする容器。
【請求項10】
容器本体と、前記容器本体の開口部内に嵌合された請求項8に記載の封止体と、を備え、
前記容器本体の開口部には、前記内栓が嵌合していることを特徴とする容器。
【請求項11】
前記指かけ部は、前記封止体本体の平面視において、その中心を挟んでそれぞれ対向する一方側及び他方側の両側に配置されており、前記指かけ部の一方は、前記容器体本体の首部に巻き付けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の容器。
【請求項12】
前記指かけ部は、前記容器体本体の外周面に仮止め固定されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の内容物が充填される缶体や瓶に装着され、これらを封止することが可能な封止体及びその封止体により封止された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料等の内容物が充填される容器の開口部にキャップを装着して密封する構造のものが知られている。このような容器を密封するキャップとして、特許文献1に記載のキャップが提案されている。この特許文献1には、スカート部を介して天面部にスコアが形成されたキャップが容器の口部に巻締固定され、タブを引き起こすことによってスコアが破断され、容器から該キャップを離脱して開栓できる構成が開示されている。このようなキャップが装着される対象は、瓶の他、例えば、スチールやアルミニウム合金などからなるボトル形状の缶体(ボトル缶)の開口部に瓶口と同様な形状のカール部を形成したものが対象となる。この点、キャップの装着対象がボトル缶の場合、キャップのスカート部をカール部に巻き込むようにして形成されるが、内容物が漏れることを抑制するため、キャップ内面にライナを装着し、これによりボトル缶を密封することが可能となる。
【0003】
一方、飲料等の内容物が充填される容器を封止する構造として、瓶を王冠により封止した構造のものが知られている。この王冠を開放するためには栓抜きが必要である。この王冠を、栓抜きを用いることなく開放可能な王冠の取り付け及び取り外し方法として、特許文献2に記載の王冠の取り付け及び取り外し方法が知られている。この特許文献2に記載の方法では、二枚折りにした長方形のナイロン紙をビンの口上に置き、その上に王冠の栓をし、このビンを開放する際には、ナイロンの折り口に指を入れて引き抜き取り外すことにより王冠を取り外し可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-165057号公報
【特許文献2】特開2001‐2184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の構成では、キャップにタブが設けられているが、小さすぎて指をかけにくい。一方、特許文献2の構成では、ナイロン紙を瓶の口に配置した状態で王冠を装着する。このため、ナイロン紙がシール材も兼ねることから軟質であり、開封時にナイロン紙が伸びてしまい、開栓しにくくなる。一方、開封時に伸びないように強度を大きくすると、シール性を損なうおそれが生じる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で開封を容易にできる封止体及びその封止体により封止された容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の封止体は、封止体本体と、前記封止体本体に装着されるシール部材と、前記封止体本体を開封させるための開封部材と、を備え、前記開封部材は、前記封止体本体と前記シール部材との間又は前記シール部材内部に固定される固定部と、前記固定部に連続して形成されるとともに前記封止体本体の外側に配置される開口を有する指かけ部と、を有し、前記固定部及び前記指かけ部は、非金属製で柔軟性を有する部材からなる。
【0008】
本発明では、指かけ部が非金属製で柔軟性を有する部材により形成されているので、指かけ部が特許文献1のタブのように金属或いは樹脂により構成されている場合に比べて、開封に伴う指掛け易さ、指への部分的な圧迫、開封動作のやり易さ等のストレスを軽減させる機能や飲用時にキャップが落ちない機能等を提供することができる。また、開封部材とは別にシール部材が設けられ、固定部が封止体本体とシール部材との間又はシール部材内部(以下、封止体内領域という)に配置されていることから、内容物を充填した缶体や瓶、プラスチック製の容器体等の容器本体を封止した際に、開封部材が内容物に接することがない。このため、開封部材の素材をシール部材とは別に選択でき、指のかけ易さ、引っ張り強度等の観点から適切に選択することができる。例えば、開封部材の素材としては、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン、アセテート等の樹脂や綿、麻、絹等の布、あるいは合成紙、紙と樹脂のラミネート材等を用いることができる。
【0009】
本発明の封止体の好ましい態様としては、前記指かけ部は、前記封止体本体の平面視において、その中心を挟んでそれぞれ対向する一方側及び他方側の両側に配置されているとよい。
上記態様では、2つの指かけ部の開口のそれぞれに指をかけて封止体本体の両側を押し上げることができるので、容易に容器を開栓することができる。
【0010】
本発明の封止体の好ましい態様としては、前記指かけ部の開口は、前記開封部材の長さ方向に延びるスリットからなるとよい。
上記態様では、開封部材に形成されたスリットが開口となり、封止体本体の外側に露出しているので、このスリットに指を挿通させることができる。
【0011】
本発明の封止体の別の態様としては、前記開封部材は、長尺扁平状に形成され、前記指かけ部は、前記開封部材が長さ方向に折り返されたリング状に形成されている。
上記態様では、開封部材が長さ方向に折り返されることによりリング状の指かけ部が形成されているので、指かけ部を構成する開封部材の幅を大きくでき、指かけ部をより丈夫に形成することができる。
【0012】
本発明の封止体の別の態様としては、前記開封部材は、前記固定部と、前記固定部の端部に固定されたリング状の紐部材とからなる。
上記態様では、指かけ部が紐部材からなるので、指かけ部をより丈夫に形成することができる。
【0013】
本発明の封止体の好ましい態様としては、前記指かけ部の開口は、容器本体に装着された際に該容器本体の径方向外側に向けて開口しているとよい。
指かけ部が容器本体の径方向外側に向けて開口しているので、指かけ部に指を掛けやすくできる。このため、容器をより開封しやすくできる。
【0014】
本発明の封止体の一つの態様としては、容器本体の開口部の外側に被せられる封止体であって、前記封止体本体は、円板状の天面部と、前記天面部の外周縁から垂直下方に延びるスカート部と、を有し、前記シール部材は、前記天面部の内面に形成されたライナからなり、前記天面部及び前記スカート部の外側表面に、前記スカート部下縁における前記指かけ部が垂れ下がる領域の両側縁から前記スカート部及び前記天面部にわたって一対のスコアが形成されている。
上記態様では、指かけ部を持ち上げることによりスコアに沿ってスカート部及び天面部が破断され、これにより封止体を容器本体から容易に外すことができる。
【0015】
本発明の封止体の別の態様としては、容器本体の開口部内に嵌合される封止体であって、前記封止体本体は、平面視円形状の円形平板部からなり、前記シール部材は、前記円形平板部に固定され、前記開口部に嵌合可能な内栓からなる。
上記態様では、内栓を容器本体の開口部にはめ込むことで容易に容器本体を封止できるとともに、指かけ部を持ち上げることにより内栓を容器本体の開口部から容易に外すことができる。
【0016】
本発明の容器は、金属製の前記容器本体と、前記容器本体の開口部の外側に被せられた上記一つの態様としての封止体と、を備え、前記容器本体は、円筒部と、前記円筒部より小径の首部と、前記首部を介して接続された口部とを備え、前記口部は、エッジを含む端部が径方向の外側に折り返され巻回されてなるカール部を外周部に有しており、前記封止体は、前記スカート部が前記カール部に巻き込まれて固定されている。
【0017】
本発明の容器は、容器本体と、前記容器本体の開口部内に嵌合された上記別の態様としての封止体と、を備え、前記封止体は、前記容器本体の開口部に前記内栓が嵌合している。
【0018】
本発明の容器の好ましい態様としては、前記指かけ部は、前記封止体本体の平面視において、その中心を挟んでそれぞれ対向する一方側及び他方側の両側に配置されており、前記指かけ部の一方は、前記容器本体の首部に巻き付けられているとよい。
上記態様では、指かけ部の一方が容器本体の首部に巻き付けられているので、指かけ部の他方を引っ張って封止体を容器本体から取り外して容器を開封しても、封止体と容器本体とが分離することを抑制できる。
【0019】
本発明の容器は、前記指かけ部は、前記容器本体の外周面に仮止め固定されているとよい。
上記態様では、指かけ部が容器本体の外周面に仮止め固定されているので、流通過程において指かけ部が何かに引っ掛かって意図せず開封されることを抑制できる。なお、仮止め固定されているとは、指かけ部が容器本体に完全に固定されているわけではなく、ユーザが簡単にその固定を解除できる程度に固定されていることをいい、これによりユーザは仮止めを解除して指かけ部に指を掛けて容器を開封可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、封止体を簡易な構成で開封を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態の封止体により封止された缶体を用いたボトル容器の右半分を缶軸を通る断面にした正面図である。
【
図4】
図1に示す封止体の開封部材を構成するリボンを示す図である。
【
図5】
図1に示す封止体の製造工程を示す図である。
【
図6】本発明の第2実施形態の封止体により封止された缶体を用いたボトル容器の平面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態の封止体により封止された缶体を用いたボトル容器の正面図である。
【
図11】本発明の第4実施形態の封止体により封止された缶体を用いたボトル容器の正面図である。
【
図12】
図11に示す指かけ部を構成する開封部材の平面図である。
【
図13】
図11に示す指かけ部を構成する開封部材の変形例を示す平面図である。
【
図14】本発明の第5実施形態の封止体により封止された缶体を用いたボトル容器の正面図である。
【
図15】本発明の第6実施形態の封止体により封止された瓶の開口部近傍を拡大して示す正面図である。
【
図18】本発明の第7実施形態の封止体により封止された缶体を用いたボトル容器の正面図である。
【
図19】
図18に示す封止体の開封部材を上方から見た平面図である。
【
図20】
図19に示す封止体の開封部材を下方から見た背面図である。
【
図21】本発明の第8実施形態の封止体に用いられる開封部材の平面図である。
【
図22】本発明の開封部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る封止体及びその封止体により封止された容器の各実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、容器本体の開口部の外側に被せられる封止体の一例について説明する。
【0023】
[第1実施形態]
本実施形態の封止体(キャップ200)により封止される缶体100(容器本体)は、
図1に示すように、全体がボトル形状に形成されたボトル缶であり、その上端部の口部14において、外部に開口する開口部15を形成するようにカール部50を有する。缶体100は、開口部15を通じて内部に飲料等の内容物を充填した後、口部14にキャップ200を装着することにより開口部15が密封され、ボトル容器300とされる。
【0024】
図1には、缶体100と、缶体100の口部14に装着されたキャップ200と、を備えるボトル容器300を示している。
図1では、ボトル容器300の右半分に、缶軸Cを通る断面を示している。
【0025】
缶体100は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の薄板金属からなり、
図1に示すように、高さ方向の中間位置までストレート状に形成され、その上方部分が開口部15に向かうに従って縮径された円筒状をなす胴部10と、胴部10の下部を閉鎖する底部17とを備える有底円筒状に形成されている。
【0026】
図1に示すように、胴部10及び底部17は互いに同軸に配置されており、本実施形態において、これらの共通軸を缶軸Cと称して説明を行う。缶軸Cに沿う方向(缶軸方向)のうち、開口部15から底部17側へ向かう方向を下側(下方)、底部17から開口部15側へ向かう方向を上側(上方)とし、以下の説明においては、
図1に示す向きと同様に上下方向を定めるものとする。缶軸Cに直交する方向を径方向といい、径方向のうち、缶軸Cに接近する向きを径方向の内側(内方)、缶軸Cから離間する向きを径方向の外側(外方)とする。缶軸C回りに周回する方向を周方向とする。
【0027】
本実施形態では、缶体100の底部17は、缶軸C上に位置するとともに上方(胴部10の内部)に向けて膨出するドーム部171と、ドーム部171の外周部と胴部10の下端部とを接続するヒール部172とを備えている。ドーム部171とヒール部172との接続部分は、缶体100が正立姿勢(
図1に示される開口部15が上方を向く姿勢)となるように、接地面(載置面)上に載置されたときに接地面に接する接地部173となっている。接地部173は、底部17において最も下方に向けて突出しているとともに、周方向に沿って延びる環状をなしている。
【0028】
缶体100の胴部10は、
図1に示されるように、胴部10の下部側(底部20側)において円筒状に形成された円筒部11と、円筒部11の上端で径方向内方に屈曲するように缶軸方向の上方に向けて縮径された肩部12と、肩部12の上端に接続されて缶軸方向の上方に向けて延びる円筒部11より小径の細長い首部13と、首部13の上端に接続されて外部に開口する口部14と、を備える。円筒部11、肩部12、首部13、口部14は、それぞれ胴部10の周方向全周にわたって延びる環状をなしている。
【0029】
首部13は、缶軸方向の上方に向けて漸次縮径された形状とされており、円筒部11よりも小径である。この首部13の高さ(缶軸方向の寸法)は、円筒部11の高さ(缶軸方向の寸法)より若干小さく形成されている。本実施形態の缶体100では、首部13は、肩部12の上端に連続して缶軸方向の上方に向けて漸次縮径するテーパ筒状である。そして、首部13の上端に、口部14が接続されている。この口部14は、エッジを含む端部が径方向の外側に折り返され巻回されてなるカール部50を外周部に有している。
【0030】
このような缶体100の口部14に装着されるキャップ200(封止体)は、
図2及び
図3に示すように、円板状の天面部211及び天面部211の外周縁から垂直下方に延びるスカート部212を有するキャップ本体21(封止体本体)と、天面部211の内面に形成されたライナ22(シール部材)と、非金属製で柔軟性を有する部材からなる開封部材3と、を備えている。この開封部材3は、キャップ本体21とシール部材22との間に固定される固定部30と、固定部31に連続して形成されるとともにキャップ本体21の外側に配置される開口を有する指かけ部31,32と、を有している。これらのうち、リング状の指かけ部31,32は、キャップ本体21の外側に配置されている。
【0031】
このキャップ本体21の天面部211及びスカート部212の外側表面には、スカート部212下縁における指かけ部31,32が垂れ下がる領域の両側縁からスカート部212及び天面部211にわたって二対のスコア23が形成されている。具体的には、天面部211の平面視において、キャップ中心C0を通る直線C1及びこれに直交するキャップ中心C0を通る直線をC2とした場合に、直線C2を挟んで両側にスコア23が隙間w1を開けた状態で一対ずつ直線C1に線対称に形成されている。より具体的には、
図2の左側に位置する一対のスコア23に囲まれた延出部213が指かけ部31に対応して設けられ、
図2の右側に位置する一対のスコア23に囲まれた延出部213が指かけ部32に対応して設けられている。
【0032】
これら各スコア23のうち、天面部211に形成される部分は、
図2に示すように、2つの円弧部231,232が連なって形成されており、円弧部231は、直線C2近傍に位置し、直線C1から離間する方向に向けて突出する凸円弧状に形成され、円弧部232は、直線C1に近接する方向に向けて突出する凸円弧状に形成されている。この円弧部231の曲率半径R1は曲率半径R2より小さく設定されている。また、円弧部232の径方向外側の端部は、
図3に示す直線部233に接続されており、これら円弧部231,232及び直線部233によりスコア23が形成されている。
【0033】
スカート部212は、このスカート部212の外周縁から延出する延出部213と、延出部213の径方向両側に形成される切り欠き部214とを備えている。この延出部213は、開封部材3が外部に露出する領域に形成され、スコア23の切断起点として平面視三角形状の切り欠き部214が形成されている。また、スカート部212の延出部213の延出方向に沿ってスコア23の直線部233が形成されている。
なお、天面部211の直径L1は25mm~40mm、スカート部212の高さh1(延出部213を除く部分)は5mm~10mm、スカート部212の延出部213の高さh2は7mm~12mm、延出部213の幅L2は10mm~20mmとされている。
【0034】
開封部材3は、非金属製で柔軟性を有する素材、例えば、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン、アセテート等の樹脂や綿、麻、絹等の布、あるいは合成紙、紙と樹脂のラミネート材等により形成されている。この開封部材3は、長尺扁平状に形成され、その幅が3mm~20mm、厚さが0.03mm~0.5mmとされ、引張強度は50N~1000Nであることが好ましい。また、キャップ本体21から露出している部分である指かけ部31,32の長さL3は、30mm~80mmが好ましい。この開封部材3の固定部30は、キャップ本体21とライナ22との間に配置されている。
【0035】
具体的には、開封部材3は、
図4(a)に示すように、長尺扁平状の1本のリボンA3からなり、以下に示す手順により開封部材3とされる。まず、このリボンA3の端部A31を把持し、
図4(a)の矢印H1に示すように中央部に向けて移動させ、リボンA3を長さ方向に折り返して端部A31の裏面(
図4(a)で紙面上に向いている面を表面とする)をリボンA3の中央部の表面上に重ね合わせてV字状となるように配置して
図4(b)に示す状態とする。次に、リボンA3の端部A32を把持し、
図4(b)の矢印H2に示すように中央部に向けて移動させ、端部A32の裏面をリボンA3の中央部の表面上に重ね合わせて配置するとともに、これら端部A31,A32を接続状態に固定して
図4(c)に示した状態とする。最後に、この状態のリボンA3の中央部をキャップ本体21とライナ22との間に固定する。つまり、
図2及び
図3に示すように、リボンA3の中央部においては、リボンA3が重なった状態となる。詳述すると、リボンA3の中央部においては、キャップ本体21の天面部211におけるライナ22に対向する面に対してリボンA3の中央部の表面、端部A31の表面及び端部A32の表面とが同じ方向(
図4(c)の紙面の上方向)を向いた状態となり、中央部の外側では長さ方向に折り返されたリング状となる。また、この
図4(c)において、リング状となった部分に形成される開口は、紙面の下方向の開口端より紙面の上方向に向けて広がった状態に形成される。
そして、リボンA3の中央部(固定部30)が封止体内領域に配置されることにより、開封部材3となる。このため、指かけ部31,32は、径方向外側に向けて開口する形状であり、しかも径方向外方に向かうにしたがって開口が広がった形状となり、これにより指かけ部31,32に指を掛けやすくしている。
【0036】
これら指かけ部31,32は、天面部211の中心を挟んでそれぞれ対向する位置に配置され、スカート部212の延出部213の先端から外部に露出するとともに、上述したように、径方向外側に向けて開口する状態とされている。
【0037】
[キャップの製造方法]
本実施形態のキャップ200は、例えば、
図5に示す手順で製造される。まず、アルミニウム又はアルミニウム合金等の薄板金属の該表面に印刷を施した後、二対のスコア23を形成した後、
図5(a)に示す形状に打ち抜きながら
図5(b)に示す形状に成形する。具体的には、印刷後の薄板金属のキャップ200の天面部211及びスカート部212に相当する部分に対して、
図5(a)のキャップ中心C0を通る直線C1及びこれに直交するキャップ中心C0を通る直線をC2とした場合に、直線C2を挟んで両側に一対ずつのスコア23(二対のスコア23)を、隙間w1を開けた状態で直線C1に線対称になるように形成した後、スカート部212に延出部213及び切り欠き部214が形成されるように
図5(a)に示す一対の凸部を有する円形に薄板金属を打ち抜きながら絞り成形し、円板状の天面部211及び天面部211の外周縁から垂直下方に延びるスカート部212、延出部213及び切り欠き部214を有する
図5(b)に示すような円筒形状とする。この場合、開栓時に開封部材3が切れることを抑制するため、延出部213の先端部(天面部211とは反対側の端部)は、周方向に沿う直線状に成形する。
そして、
図5(c)に示すように、キャップ本体21の底面(天面部211とは反対側の面)に接着剤25を塗布する。その後、
図5(d)に示すように、
図4(c)に示す状態のリボンA3を延出部213の先端部の上にC1方向に沿って配置した後、エラストマー等の溶融樹脂220をリボンA3の上に滴下し、パンチ26により溶融樹脂220を押圧し、リボンA3の中央部(固定部30となる部分)をキャップ本体21に接合するとともに、ライナ22を型押し成形し、
図5(e)に示したキャップ200を形成する。
【0038】
なお、上記説明では、円板210に対してスコア23を形成した後、キャップ状に成形する例を説明したが、これに限らず、例えば、キャップ本体21に成形した後、天面部211及びスカート部212に対してレーザ加工によってスコア23を形成してもよい。
【0039】
そして、上記方法により製造されたキャップ200を缶体100の口部14の開口部15に装着することにより、ボトル容器300が形成される。具体的には、缶体100の内部に内容物を充填後、口部14にキャップ200を被せる。そして、キャップ200を上方から缶軸方向の下方に向けて押圧し、ライナ22が内面に設けられた天面部211を圧縮した状態で、キャップ200のスカート部212を工具の爪で径方向内方に向けて押圧することにより、カール部50の外面に倣わせるようにスカート部212(延出部213の先端部分以外の領域)を変形させる。これにより、スカート部212の下端部をカール部50の下端部に引っ掛けるように巻き込み、キャップ200を缶体100に装着する。この場合、スカート部212のうち、延出部213はスカート部212よりも延出していることから、その中央部に巻き込み加工が施されていても先端部には影響がないため、延出部213の先端部を周方向に沿って直線状に形成することができる。これにより開封部材3の指かけ部31,32が破断することを抑制している。
【0040】
[容器の開栓方法]
このようなボトル容器300の開栓は以下の手順で行う。まず、ボトル容器300を載置した状態で、一方の手の人差し指を指かけ部31に引っ掛けるとともに、他方の手の人差し指を指かけ部32に引っ掛け、かつ、両方の手の親指をキャップ200の天面に添えた状態で、各指かけ部31,32を上方に引っ張る。これにより、スコア233が破断され延出部213が上方に持ち上がる。この状態で、一方の手でボトル容器300の胴部を把持するとともに、他方の手の人差し指を指かけ部31,32に掛け上方に持ち上げることにより、スコア232,231が破断されて天面部211が破断されて開栓される。この場合、対向するスコア23間には隙間が形成されているため、スコア23の全領域が破断されてもキャップ200が分断されることはない。
なお、ボトル容器300の開栓は上記方法に限らず、例えば、指かけ部31,32に引っ掛ける指は、人差し指でなくてもかまわない。また、一方の手でボトル容器300の胴部を把持した状態で他方の手の指を指かけ部31,32のいずれかのみに掛けて、上方に持ち上げることにより開栓してもよい。つまり、2つの指かけ部31,32の両方を必ずしも使用しなくてもかまわない。
【0041】
本実施形態のキャップ200では、指かけ部31,32が非金属製で柔軟性を有する開封部材3により形成されていることから、指かけ部が特許文献1のタブのように金属或いは樹脂により構成されている場合に比べて、開封に伴う指掛け易さ、指への部分的な圧迫、開封動作のやり易さ等のストレスを軽減させる機能や飲用時にキャップ200が落ちない機能等を提供することができる。例えば、指かけ部31,32を大きく形成できるとともに、柔らかく、指かけ部31,32の開口に指を掛けやすいため、簡易な構成にもかかわらず開封を容易にできる。また、開封部材3とは別にライナ22が設けられ、開封部材3の両端部がキャップ本体21とライナ22との間に配置されていることから、キャップ200により内容物を充填した缶体100を封止した際に、開封部材3が内容物に接することがない。このため、開封部材3の素材をライナ22とは別に選択でき、指のかけ易さ、引っ張り強度等の観点から適切に選択することができる。また、固定部30が扁平状に形成されているので、固定部30がキャップ本体21とシール部材22との間に配置されても、シール部材22のシール性が損なわれることを抑制できる。さらに、開封部材3を1本のリング状のリボンA3により形成しているので、例えば、固定部30と指かけ部31,32とを別部材により形成する場合に比べて開封部材3の構成を簡易にできる。
【0042】
また、2つの指かけ部31,32の開口のそれぞれに指をかけてキャップ本体21の両側を押し上げることができるので、容易にボトル容器300を開栓することができる。この際、指かけ部31,32を持ち上げることによりスコア23に沿ってスカート部212及び天面部211が破断され、これによりキャップ200をボトル容器300から容易に外すことができる。
【0043】
また、指かけ部31,32がリング状の開封部材3の一部により形成されているので、指かけ部31,32を構成する開封部材3の幅を大きくでき、指かけ部31,32をより丈夫に形成することができる。さらに、指かけ部31,32が径方向外側に向けて開口する形状であり、しかも径方向外方に向かうにしたがって開口が広がった形状であるので、指かけ部31,32に指を掛けやすくできる。このため、ボトル容器30をより開封しやすくできる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図6は、本実施形態のキャップ200Aにより封止された缶体100を用いたボトル容器300の平面図であり、
図7は、ボトル容器300の正面図であり、
図8は、ボトル容器300の背面図である。
【0045】
本実施形態のボトル容器300は、キャップ200Aが1つの指かけ部33のみを備えている点で上記第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
キャップ200Aは、上記キャップ200と同様に、キャップ本体21Aと、ライナ22と、開封部材3Aと、を備えている。このキャップ本体21Aの天面部211及びスカート部212の外側表面には、スカート部212下縁における指かけ部33が垂れ下がる領域の両側縁からスカート部212及び天面部211にわたって一対のスコア23Aが形成されている。
【0046】
各スコア23Aの天面部211に形成される部分は、
図6に示すように、2つの円弧部231A,232Aが連なって形成されている。具体的には、キャップ中心C3を通り、一対のスコア23Aによって区画された領域の中心線(指かけ部33を上部に持ち上げた際の径方向の軌道に沿う線)を直線C4とし、これに直交するキャップ中心C3を通る直線をC5とした場合に、円弧部231Aは、直線C5近傍に位置し、直線C4から離間する方向に向けて突出する凸円弧状に形成され、円弧部232Aは、直線C4に近接する方向に向けて突出する凸円弧状に形成されている。この円弧部232Aの曲率半径R5は、円弧部231Aの曲率半径R4より小さく設定されている。また、円弧部232Aの径方向外側の端部は、
図7に示す直線部233Aに接続されており、円弧部231Aの径方向外側の端部は、
図8に示すように、スカート部212の途中まで延びる直線部230Aに接続されている。これら円弧部231A,232A、直線部230A及び直線部233Aによりスコア23Aが形成されている。また、これらスコア233A,232A,231A,230Aがこの順に破断されると、スカート部212に形成された直線部230Aの端部を結んだ破線部分(
図8参照)がヒンジとして機能する。なお、直線C4を挟んで左側に位置する円弧部231Aの端部と右側に位置する円弧部231Aの端部との間の距離W5は、10mm~36mmとされている。
【0047】
スカート部212は、1つの延出部213と、延出部213の径方向両側に形成される2つの切り欠き部214とを備えている。
また、開封部材3Aは、幅3mm~20mm、厚さ0.03mm~0.5mmの非金属製で柔軟性を有する素材からなる1本のリボンにより形成され、一方の端部と他方の端部がキャップ本体21Aとライナ22との間に配置される。具体的には、開封部材3Aは、長さ方向の途中が折り返され、一方の端部と他方の端部とからなる固定部がキャップ本体21とライナ22との間に配置されるとともに、折り返し部分からなるリング状の指かけ部33がキャップ本体21Aの外側に配置されている。
【0048】
また、本実施形態では、開封部材3Aとなるリボンは、キャップ本体21の天面部211におけるライナ22に対向する面に対して開封部材3Aとなるリボンの一方の端部の表面と他方の端部の表面とを同じ方向に向けてこれら端部を重ね、かつ、V字状にずらした状態で配置されている。つまり、本実施形態の開封部材3Aとなるリボンは、第1実施形態の
図4(b)に示すリボンA3の左半分からなる形状である。このため、指かけ部33が径方向外側に向けて開口する形状であり、しかも径方向外方に向かうにしたがって開口が広がった形状となり、指かけ部33に指を掛けやすくしている。この指かけ部33の長さ(第1実施形態の
図3のL3に対応する長さ)は、例えば、30mm~80mmに設定されている。
【0049】
[容器の開栓方法]
このようなボトル容器300の開栓は以下の手順で行う。まず、ボトル容器300を一方の手で把持した状態で、他方の手の指を指かけ部33に引っ掛け、指かけ部33を上方に引っ張る。これにより、スコア233Aが破断され延出部213が上方に持ち上がる。この状態でさらに指かけ部33を上方に持ち上げることにより、スコア232A,231A、直線部230Aが破断されて天面部211が破断されて開栓される。
【0050】
本実施形態では、指かけ部33が1つしか形成されていないので、例えば、上記第1実施形態と同じ長さのリボンA3を用いた場合には、指かけ部33を構成する開封部材の長さを大きくできるため、指かけ部33に指をより掛けやすくできる。
【0051】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図9は、本実施形態のキャップ200Bにより封止された缶体100を用いたボトル容器300Bの平面図であり、
図10は、キャップ200Bの平面図である。
【0052】
本実施形態のボトル容器300Bは、指かけ部31B,32Bが缶体100の周方向に向けて開口している点で上記第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
本実施形態では、開封部材3となるリボンは、一方の端部の裏面及び他方の端部の表面が接続されたリング状に形成されている。具体的には、このリボンは、
図10に示すように、リング状のリボンの内面どうしが接触するように重ねられた状態で、その中央部(固定部30B)がキャップ本体21内に配置され、両端部がキャップ本体21の外側に配置されている。このため、指かけ部31B,32Bは、
図9に示すように、缶体100の周方向に開口する形状となる。なお、開封方法は第1実施形態と同じである。
【0053】
本実施形態では、リボンを長さ方向に折り返すことなく、リング状のリボンの内面どうしを接触するように重ねるだけで開封部材を形成でき、製造工程を簡略化できる。
【0054】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図11は、本実施形態のキャップ200Cにより封止された缶体100を用いたボトル容器300Cの平面図であり、
図12は、指かけ部34,35を構成する開封部材3Cの平面図である。
【0055】
本実施形態のボトル容器300Cは、キャップ200Cに固定される開封部材3Cが折り返されていない1本のリボンにより構成されている点で上記第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
キャップ200Cは、
図11に示すように、上記キャップ200と同様に、キャップ本体21と、ライナ22と、開封部材3Cと、を備えている。この開封部材3Cは、
図12に示すように、両端部に該開封部材3Cの長さ方向に延びるスリット341,351が形成されている。この開封部材3Cの中央部(固定部30C)は、キャップ本体21とライナ22との間に固定され、スリット341,351が形成された両端部が指かけ部34,35としてキャップ本体21の外側に露出している。これらキャップ本体21の外側に露出しているスリット341,351は、指かけ部34,35の開口を形成しており、その長さは、例えば、50mm~180mmに設定されている。ボトル容器300Cは、これらスリット341,351に指を掛けて引っ張ることにより開封されるようになっている。
【0056】
本実施形態では、開封部材3Cに形成されたスリット341,351がキャップ本体21の外側に露出しているので、このスリット341,351に指を挿通させることができる。また、本実施形態では、開封部材3Cとなるリボンを長さ方向の途中で折り返してリング状に形成する必要が無いことから、その構成を簡易にでき有用である。
【0057】
なお、上記第4実施形態では、開封部材3Cの両端部にスリット341,351を形成することとしたが、これに限らず、例えば、
図13に示すように、開封部材3Dの長さ方向に延びる1本のスリット361のみを形成し、固定部30Dを封止体内領域に固定することで2つの指かけ部34,35を形成してもよい。この場合、スリットを2か所に形成する必要が無いため、製造工程を簡略化できる。
【0058】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図14は、本実施形態のキャップ200により封止された缶体100を用いたボトル容器300Eの平面図である。
【0059】
本実施形態のボトル容器300Eは、キャップ200に固定される開封部材3の指かけ部31Eが缶体100の首部に巻き付けられているとともに、指かけ部31Eに連結部材37が取り付けられている点で上記第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
本実施形態の指かけ部31Eは、
図14に示すように、缶体100の首部13に巻き付けられている。また、指かけ部31Eは、連結部材37の孔部(図示省略)に挿通されており、この連結部材37の位置を変化させることで、首部13に対する指かけ部31Eの締め付け具合を変化させることが可能となっている。この指かけ部31Eを首部13に装着するには、連結部材37を装着した状態の指かけ部31Eを首部13に巻き付けた後、連結部材37を指かけ部31Eの先端方向に移動させて、指かけ部31Eと首部13との隙間を小さくしてこれらを強固に連結させる。これにより、キャップ200と缶体100とが連結部材37により連結される。なお、指かけ部31Eの裏面(缶体100に接触する面)には、接着剤等が塗布され、指かけ部31Eと缶体100とが固定されていることがより好ましい。
【0060】
本実施形態では、指かけ部31Eが連結部材37により首部13に連結されているので、指かけ部32を引っ張ってキャップ200を缶体100から取り外してボトル容器300Eを開封しても、キャップ200と缶体100とが分離することを抑制できる。
【0061】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について図面を用いて説明する。この実施形態では、容器本体の開口部内に嵌合される封止体を例に挙げて説明する。
図15は、第5実施形態のキャップ600により封止された瓶500(容器本体)を用いた瓶容器400の開口部近傍を拡大して示す正面図であり、
図16は、
図15に示すキャップ600の平面図であり、
図17は、
図15に示すキャップ600の正面図である。
【0062】
本実施形態の瓶容器400は、キャップ600が瓶400の開口部内に嵌合される点で上記第1~第5実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
瓶容器400は、キャップ600と、キャップ600により封止される瓶500とからなる。このキャップ600は、本発明の封止体に相当し、
図16及び
図17に示すように平面視円形状の円形平板部61と、円形平板部61の中央に固定され、瓶500の開口部に嵌合可能な内栓62と、非金属製で柔軟性を有する開封部材3と、を備えている。円形平板部61は、本発明の封止体本体に相当し、例えば、アルミニウム合金などにより形成されている。また、内栓62は、本発明のシール部材に相当し、樹脂等により形成されている。これらのうち、内栓62は、先端に向かうに従って徐々にその直径が小さくなる形状、つまり、縦断面視台形状に形成されている。これら円形平板部61及び内栓62のサイズは、瓶500の開口部のサイズに合わせて適宜設定可能である。
【0063】
開封部材3は、第1実施形態の開封部材と同様に、固定部30が円形平板部61と内栓62との間に形成されるともに、開封部材3の指かけ部31,32が円形平板部61の外側に配置されている。
また、瓶500は、内栓62が嵌合可能な開口部(図示省略)を有しており、キャップ600の内栓62が上記開口部に嵌合することにより、
図15に示すような瓶容器400が形成される。
【0064】
[容器の開栓方法]
このような瓶容器400の開栓は以下の手順で行う。まず、瓶容器400を載置した状態で、一方の手の指を指かけ部31に引っ掛けるとともに、他方の手の指を指かけ部32に引っ掛けた状態で、各指かけ部31,32を上方に引っ張り上げる。これにより、内栓62が上方に持ち上がり開栓される。
なお、瓶容器400の開栓は上記方法に限らず、例えば、一方の手で瓶容器400の胴部を把持した状態で他方の手の指を指かけ部31,32に引っ掛けて上方に持ち上げることにより開栓してもよい。
【0065】
本実施形態では、円形平板部61の外側に指かけ部31,32が配置される構成であるため、指かけ部31,32に指を掛けて持ち上げるだけで内容物が充填された瓶400を容易に開栓できる。また、開封部材3とは別に内栓62が設けられ、開封部材3の固定部30が円形平板部61と内栓62との間に配置されていることから、キャップ600により内容物を充填した瓶500を封止した際に、開封部材3に内容物が接することがない。このため、開封部材3の素材を内栓62とは別に選択でき、指のかけ易さ、引っ張り強度等の観点から適切に選択することができる。
【0066】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図18は、本実施形態のキャップ200により封止された缶体100を用いたボトル容器300Fの平面図であり、
図19は、キャップ200を構成する開封部材3Fを上面側から見た平面図であり、
図20は開封部材3Fを背面側から見た平面図である。
【0067】
本実施形態のボトル容器300Fは、キャップ200に固定される開封部材3Fの指かけ部31F,32Fが缶体100に仮止めされている点で上記第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
開封部材3Fは、第1実施形態のリボンA3と同じ素材により形成され、指かけ部31F,32Fは、
図18に示すように、缶体100の外周面にメルトやのり等により仮止めされている。この開封部材3Fは、
図19及び
図20に示すように、1本のリング状のリボンの内面を同じ方向に向けた状態で平行に配置し、その両端部を平面視三角形状に折ることにより平面状とされている。そして、この状態の開封部材3Fの中央部(固定部30F)を封止体本体21とライナ22との間に固定するとともに、
図20に示した三角形状の部分311,321にメルトやのり等の仮止め材を塗布し、缶体100に固定する。これにより、
図18に示すボトル容器300Fとなる。
【0068】
本実施形態では、指かけ部31F,32Fが缶体100の外周面にメルトやのり等で仮止め固定されているので、流通過程において指かけ部31F,32Fが何かに引っ掛かって意図せず開封されることを抑制できる。なお、仮止め固定されているとは、指かけ部31F,32Fが缶体100に完全に固定されているわけではなく、ユーザが簡単にその固定を解除できる程度に固定されていることをいい、これによりユーザは仮止めを解除して指かけ部31F,32Fに指を掛けて容器を開封可能となる。また、指かけ部31F,32Fを、仮止め部に代えて、シュリンクフィルム等で覆ってもよい。
なお、本実施形態では、指かけ部31F,32Fが缶体100の外周面に仮止め固定されている例について説明したが、これに限らず、第6実施形態の構成において、指かけ部を瓶の外周面に仮止め固定することも可能である。
【0069】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図21は、本実施形態のキャップに用いられる開封部材3Gを示す平面図である。
【0070】
本実施形態の開封部材3Gは、固定部30Gと指かけ部31G,32Gとがそれぞれ異なる部材により形成されている点で上記各実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
開封部材3Gは、長尺扁平状の固定部30Gと、固定部30Gの両端部に固定されたリング状の紐部材からなる指かけ部31G,32Gとからなる。固定部30Gは、第1実施形態で示したリボンA3と同じ素材により形成され、指かけ部31G,32Gは、紐部材により形成されている。この紐部材は、非金属製で柔軟性を有する部材からなり、例えば、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン、アセテート等の樹脂や綿、麻、絹等の布、あるいは合成紙、紙と樹脂のラミネート材からなり、その長さが25mm~70mm、直径が1mm~5mmとされている。
【0071】
また、指かけ部31G,32Gと固定部30Gの端部との接続部分は、固定部30Gよりも厚くなる。このため、指かけ部31G,32Gの一部がキャップ本体21内に配置されることとなると、キャップ200を缶体100に固定することが難しい。このため、本実施形態では、キャップ本体21内に指かけ部31G,32Gが配置されることがないように、固定部30Gの長さが30mm~70mmとされ、その中央部がキャップ本体21とライナ22との間に固定されている。
【0072】
本実施形態では、指かけ部31G,32Gが紐部材からなるので、指かけ部31G,32Gをより丈夫に形成することができる。なお、指かけ部31G,32Gが紐部材からなる場合においても、上記第7実施形態のように缶体100に仮止め固定することも可能である。
【0073】
なお、本発明は上記各実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記第6実施形態では、開封部材3の両端部は、円形平板部61と内栓62との間に配置されることとしたが、これに限らず、内栓62の内部に配置されてもよい。
【0074】
上記第6実施形態において、瓶500の開口部をキャップ600で封止し、そのキャップ600を上記開口部上に被覆した状態で固定する筒状の封緘部と、封緘部と開口部との間を係合する係合部材と、を有して構成される封緘部付きキャップをさらに取り付けてもよい。
【0075】
また、上記第6実施形態では、瓶500を封止する例について説明したが、キャップ600で封止される対象は瓶に限らず、アルミニウム合金製又はスチール製のボトル缶やプラスチック製の容器体にも適用可能である。同様に、第1~第5及び第7実施形態では、缶体100を封止する例について説明したが、これら各実施形態のキャップで封止される対象は、缶体100に限らず、瓶やプラスチック製の容器体にも適用可能である。
【0076】
上記第1実施形態では、リボンA3を
図4に示す手順で開封部材3を形成することとしたが、これに限らず、例えば、
図22に示す手順で開封部材を形成してもよい。まず、
図22(a)に示すリボンA3の端部A31の表面と端部A32の裏面とを接着剤等により接続して、
図22(b)に示すようにリング状とし、このリング状のリボンA3の中央部を重ねてX字状にずらして、開封部材を構成してもよい。また、リボンA3の端部A31の表面と端部A32の裏面とを接着剤等により接続して、
図22(b)に示すようにリング状とし、このリング状のリボンA3の中央部を180°ねじった上、中央部でリボンを重ねた状態で固定して開封部材を構成してもよい。さらに、
図22(a)に示すリボンA3を180°ねじった後、端部A31の表面と端部A32の裏面とを接着剤等により接続してねじられたリング状とし、中央部でリボンを重ねた状態で固定して開封部材を構成してもよい。
【0077】
上記各実施形態では、指かけ部が1つ又は2つの例を示したが、これに限らず、指かけ部は3つ以上あってもよい。この場合、各指かけ部を構成する開封部材は1つであってもよいし、複数であってもよい。また、開封部材を構成するリボンの両端部は接続されていなくてもよく、リボンの両端部が上記各実施形態で示した封止体内領域に配置されていればよい。また、開封部材の指かけ部を含めてボトルの口部はシュリンクフィルムで覆われてもよい。この場合、上記第8実施形態で示したように、指かけ部の先端が缶体や瓶に仮止めされていなくても、流通途中で指かけ部が何かに引っかかることを抑制できる。
【符号の説明】
【0078】
10 胴部
11 円筒部
12 肩部
13 首部
14 口部
15 開口部
17 底部
171 ドーム部
172 ヒール部
173 接地部
21,21A キャップ本体(封止体本体)
22 ライナ
23,23A スコア
3,3A,3C,3D,3E,3F,3G 開封部材
30,30C,30D,30F,30G 固定部
31,31B,32,32B,33,34,35 指かけ部
341,351,361 スリット
50 カール部
61 円形平板部(封止体本体)
62 内栓
100 缶体(容器本体)
200,200A,200B,600 キャップ(封止体)
211 天面部
212 スカート部
213 延出部
214 切り欠き部
230A,233,233A 直線部
231,231A,232,232A 円弧部
300,300A,300B,300C,300E,300F ボトル容器
400 瓶容器
500 瓶(容器本体)
A3 リボン
A31,A32 端部