(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124537
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】機器保護構造
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
H05K5/02 L
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022238
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】青木 仁志
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB13
4E360AB33
4E360AB34
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA05
4E360EA12
4E360EB03
4E360EC12
4E360ED02
4E360ED07
4E360GA04
4E360GA29
4E360GB99
4E360GC02
(57)【要約】
【課題】給油所に備えられた可搬式発電機等が浸水したり水没することによる故障等を防止する機器保護構造を提供する。
【解決手段】保護対象機器40を載置する板状のベース基部3と、ベース基部上の保護対象機器を包囲し、下方が開放された覆い部2と、覆い部の下端部と、ベース基部の周縁部とを係止して防水構造を形成する係止部4とを備える機器保護構造1。係止部は、覆い部の下端部の下方に敷設された天板5と、天板とベース基部の周縁部の間に介装された第1の弾性体6と、覆い部の下端部の上方に敷設されて天板とで覆い部の下端部を挟持すると共に、ベース基部の周縁部の第1の弾性体よりも外側の位置でベース基部の周縁部とで第2の弾性体8を挟持し、ベース基部に着脱自在に取り付け可能な固定基部7とで構成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象機器を載置する板状のベース基部と、
該ベース基部上の前記保護対象機器を包囲し、下方が開放された覆い部と、
該覆い部の下端部と、前記ベース基部の周縁部とを係止して防水構造を形成する係止部とを備えることを特徴とする機器保護構造。
【請求項2】
前記係止部は、
前記覆い部の下端部の下方に敷設された天板と、
該天板と前記ベース基部の周縁部の間に介装された第1の弾性体と、
前記覆い部の下端部の上方に敷設されて前記天板とで前記覆い部の下端部を挟持すると共に、前記ベース基部の周縁部の前記第1の弾性体よりも外側の位置で前記ベース基部の周縁部とで第2の弾性体を挟持し、前記ベース基部に着脱自在に取り付け可能な固定基部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の機器保護構造。
【請求項3】
前記係止部は、
前記覆い部の下端部の上方に敷設された天板と、
前記ベース基部の周縁部に載置された第1の弾性体と、
前記覆い部の下端部の下方に敷設されて前記天板とで前記覆い部の下端部を挟持すると共に、前記ベース基部の周縁部とで前記第1の弾性体を挟持し、前記第1の弾性体よりも外側の位置で前記ベース基部の周縁部とで第2の弾性体を挟持し、前記ベース基部に着脱自在に取り付け可能な固定基部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の機器保護構造。
【請求項4】
前記第1の弾性体は軟質であることを特徴とする請求項2又は3に記載の機器保護構造。
【請求項5】
前記第2の弾性体は硬質であることを特徴とする請求項2又は3に記載の機器保護構造。
【請求項6】
前記ベース基部の下面に鋼材が敷設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の機器保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器保護構造に関し、特に給油所に備えられた可搬式発電機等を保護するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両にガソリン等の燃料油を供給する給油所では、燃料油を貯留する地下タンクが埋設され、地下タンクと地上に設けた給油装置とを給油管で接続し、給油装置で車両へ燃料油を給油する。このような給油所で、例えば地震等の災害が発生して停電した場合には、給油所の機器を点検して正常に使用できる場合に、特許文献1に示す可搬式発電機で電力を供給して給油を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、可搬式発電機は給油所の倉庫や車両整備室等に置かれているため、集中豪雨や台風時に河川が氾濫すると、浸水により可搬式発電機の内部の電気機器が破損したり、土砂が内部に侵入し、水が引いた後に使用不可能になる恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、給油所に備えられた可搬式発電機等が浸水したり水没して故障することを防止できる機器保護構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、機器保護構造であって、保護対象機器を載置する板状のベース基部と、該ベース基部上の前記保護対象機器を包囲し、下方が開放された覆い部と、該覆い部の下端部と、前記ベース基部の周縁部とを係止して防水構造を形成する係止部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、保護対象機器全体を収納して水の浸入を抑えることができるため、保護対象機器の浸水、水没を防いで災害時に保護対象機器を正常に使用することができる。
【0008】
上記機器保護構造において、前記係止部は、前記覆い部の下端部の下方に敷設された天板と、該天板と前記ベース基部の周縁部の間に介装された第1の弾性体と、前記覆い部の下端部の上方に敷設されて前記天板とで前記覆い部の下端部を挟持すると共に、前記ベース基部の周縁部の前記第1の弾性体よりも外側の位置で前記ベース基部の周縁部とで第2の弾性体を挟持し、前記ベース基部に着脱自在に取り付け可能な固定基部とを備えることができる。
【0009】
また、上記機器保護構造において、前記係止部は、前記覆い部の下端部の上方に敷設された天板と、前記ベース基部の周縁部に載置された第1の弾性体と、前記覆い部の下端部の下方に敷設されて前記天板とで前記覆い部の下端部を挟持すると共に、前記ベース基部の周縁部とで前記第1の弾性体を挟持し、前記第1の弾性体よりも外側の位置で前記ベース基部の周縁部とで第2の弾性体を挟持し、前記ベース基部に着脱自在に取り付け可能な固定基部とを備えてもよい。
【0010】
また、前記第1の弾性体を軟質とすることで、シール面の密着性を確保して効果的に止水することができる。
【0011】
さらに、前記第2の弾性体は硬質とすることで、水圧によるシール部の変形を抑えて効果的に止水することができる。
【0012】
また、前記ベース基部の下面に鋼材を敷設することで、剛性を向上させて、第1及び第2の弾性体の変形を防止して良好なシール性を維持することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、給油所に備えられた可搬式発電機等が浸水したり水没して故障することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る機器保護構造の第1の実施形態を示す全体斜視図である。
【
図2】
図1に示す機器保護構造の分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す機器保護構造の部分断面図である。
【
図4】本発明に係る機器保護構造の第1の実施形態の変形例を示す部分断面図である。
【
図5】本発明に係る機器保護構造の第2の実施形態を示す分解斜視図である。
【
図6】
図5に示す機器保護構造の部分断面図である。
【
図7】本発明に係る機器保護構造の第2の実施形態の変形例を示す部分断面図である。
【
図8】本発明に係る機器保護構造の第3の実施形態を示す図であって、(a)は全体断面図、(b)は(a)のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1~
図3は、本発明に係る機器保護構造の第1の実施形態を示し、この機器保護構造1は、保護対象機器40を載置するベース基部3と、ベース基部3に載置された保護対象機器40を包囲し、下方が開放された覆い部2と、覆い部2の下端部と、ベース基部3の周縁部とを係止して防水構造を形成する係止部4とを備える。保護対象機器40は、給油所に備えられた可搬式発電機等であるが、浸水や水没よる故障防止の対象となる機器であれば種類は問わない。
【0017】
覆い部2は、防炎性、防水性及びIPX7程度の耐吸水性を備えたシート状で、下方が開放された直方体状に形成される。覆い部2の下端部にはフランジ部2aが設けられる。
【0018】
ベース基部3は、鋼材等で形成され、保護対象機器40を載置する平板状の載置部3aと、載置部3aの周縁部から立ち下がる立下部3bと、立下部3bの下端部から水平方向に延設されたフランジ部3cからなる。
【0019】
係止部4は、覆い部2の下端部のフランジ部2aの下方に敷設された上面視フレーム状の天板5と、天板5とベース基部3の載置部3aの間に介装された上面視フレーム状の第1の弾性体6と、覆い部2のフランジ部2aの上方からベース基部3のフランジ部3cに掛けて敷設される上面視フレーム状の固定基部7と、固定基部7とベース基部3の間に介装され、上面視フレーム状の第2の弾性体8と、固定基部7とベース基部3とを締め付けるボルト9及び蝶ナット10とで構成される。ボルト9は、ベース基部3のフランジ部3cの上面に立設される。
【0020】
固定基部7は、覆い部2のフランジ部2aの上方に位置する内側フレーム7aと、内側フレーム7aの周縁部から立ち下がる立下部7bと、立下部7bの下端部から水平方向に延設されたフランジ部7cからなる。
【0021】
天板5及び固定基部7は鋼材等の金属からなり、第1の弾性体6は軟質、第2の弾性体8は硬質であり、第1の弾性体6及び第2の弾性体8は繰り返し着脱されるので圧縮永久ひずみを抑えたものが好ましい。第1の弾性体6を軟質としたのは、シール面の密着性を確保して効果的に止水するためであり、第2の弾性体8を硬質としたのは、水圧によるシール部の変形を抑えて効果的に止水するためである。
【0022】
天板5の上面と覆い部2のフランジ部2aの下面、及び覆い部2のフランジ部2aの上面と固定基部7の内側フレーム7aの下面は接着部11、12によって強固に接着される。
【0023】
上記構成を有する機器保護構造1によれば、保護対象機器40をベース基部3の載置部3aに載置し、保護対象機器40全体を覆い部2で包囲し、覆い部2の下端部と、ベース基部3の周縁部とを係止部4で係止して防水構造を形成することで、機器保護構造1が浸水したり水没しても、内部に設置された保護対象機器40には影響がなく、保護対象機器40の故障等を防止することができる。
【0024】
また、天板5を配置することでシールの確実性を向上させることができ、ボルト9及び蝶ナット10を用いることで、専用工具を用いることなく固定基部7を着脱することができる。
【0025】
上記機器保護構造1の変形例を
図4に示す。この変形例では、上記機器保護構造1の固定基部7とベース基部3とを締め付けるボルト9及び蝶ナット10に代えて蝶ボルト13を用いている。その他の構成要素は機器保護構造1と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0026】
次に、本発明に係る機器保護構造の第2の実施形態について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
【0027】
この機器保護構造21は、保護対象機器40を載置する板状のベース基部3と、ベース基部3に載置された保護対象機器40を包囲し、下方が開放された覆い部2と、覆い部2の下端部と、ベース基部3の周縁部とを係止して防水構造を形成する係止部24とを備える。覆い部2とベース基部3は、第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0028】
係止部24は、覆い部2の下端部のフランジ部2aの上方に敷設された天板25と、ベース基部の載置部3aの周縁部に載置された上面視フレーム状の第1の弾性体6と、覆い部2のフランジ部2aの下方からベース基部3のフランジ部3cに掛けて敷設される上面視フレーム状の固定基部27と、固定基部27とベース基部3のフランジ部3c間に介装され、上面視フレーム状の第2の弾性体8と、固定基部27とベース基部3とを締め付けるボルト9及び蝶ナット10とで構成される。第1の弾性体6、第2の弾性体8、ボルト9及び蝶ナット10は、第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0029】
固定基部27は、覆い部2のフランジ部2aの上方に位置する内側フレーム27aと、内側フレーム27aの周縁部から立ち下がる立下部27bと、立下部27bの下端部から水平方向に延設されたフランジ部27cからなる。
【0030】
天板25は、上面視フレーム状の基部25aと、基部25aの内側周縁部から立ち上がる立上部25bからなり、覆い部2のフランジ部2aを固定基部27の内側フレーム27aとで挟持して固定するために設けられる。
【0031】
天板25及び固定基部27は鋼材等の金属からなる。天板25の基部25aの下面と覆い部2のフランジ部2aの上面、及び覆い部2のフランジ部2aの下面と固定基部27の内側フレーム27aの上面は接着部28、29によって強固に接着される。
【0032】
上記構成を有する機器保護構造21によれば、保護対象機器40をベース基部3の載置部3aに載置し、保護対象機器40全体を覆い部2で包囲し、覆い部2の下端部と、ベース基部3の周縁部とを係止部24で係止して防水構造を形成することで、機器保護構造21が浸水したり水没しても、内部に設置された保護対象機器40には影響がなく、保護対象機器40の故障等を防止することができる。
【0033】
また、覆い部2は縮み、縫い目を考慮して大きめに作成されるため、板金のように角部が図面通りに形成されずはみ出ることで、長期の浸水により水を吸って本来の目的を達することができなくなる恐れがある。そこで、本実施の形態では、覆い部2の余分な部分を切り取って接着部28、29でシールすることで保護対象機器40の浸水、水没を防ぐことができる。機器保護構造21のその他の作用効果は、第1の実施形態の機器保護構造1と同様である。
【0034】
上記機器保護構造21の変形例を
図7に示す。この変形例では、上記機器保護構造21の固定基部27とベース基部3とを締め付けるボルト9及び蝶ナット10に代えて蝶ボルト13を用いている。その他の構成要素は機器保護構造21と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0035】
次に、本発明に係る機器保護構造の第3の実施形態について、
図8を参照しながら説明する。
【0036】
この機器保護構造31では、保護対象機器40が載置されるベース基部3の載置部3aの下面に、保護対象機器40のキャスター40aの幅に合わせて鋼材(溝形鋼)32を溶着してベース基部3を補強し、ベース基部3の剛性を確保している。その他の構成は、上記第1又は第2の実施形態と同様である。このように、重量物である保護対象機器40の形状や構造に合わせて適宜鋼材32等でベース基部3を補強することができる。
【0037】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0038】
1、21、31 機器保護構造
2 覆い部
3 ベース基部
4 係止部
5 天板
6 第1の弾性体
7 固定基部
8 第2の弾性体
9 ボルト
10 蝶ナット
11、12 接着部
13 蝶ボルト
24 係止部
25 天板
27 固定基部
28、29 接着部
32 鋼材
40 保護対象機器